説明

米飯計量供給装置

【課題】 弁当やおにぎり等に使用するため所定量の米飯を計量供給する場合において、その移送中における米飯の食感の低下を防止して品質を向上すると共に米飯の所定量の計量も簡易な機構で迅速かつ確実に行うようにする。
【解決手段】 上部に米飯供給部1を有する垂直方向の案内筒4の下部に周面を送り溝部5′を形成した送りローラー5と該送りローラーより速度の速い解しローラー6とを対向設置し、案内筒4内の米飯に可及的に粘り、圧迫作用が加わるのを防止してその下方の米飯計量室8に移送して計量後搬出するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弁当、握飯等を製造するために米飯を所定量計量して連続供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニ、スーパー等で販売する弁当、握飯を製造するため炊飯した米飯を連続的に所定量宛計量供給することが行なわれているが、従来の方式は米飯をスクリューロール、移送ロール等で圧送して所定量を計量しているため、米飯が粘られたり圧迫されたりして米飯の粘性が増加し団塊状態となって均質化が損なわれ食感を低下せしめ品質を低下せしめる欠陥がある。
【0003】
またこれらの米飯を所定量に計量する場合においても、最初は所定量より少なめの米飯を計量供給した後、その不足量分を追加補填供給するようにして歩留り低下を防止することも知られている。
【特許文献1】特開2001−224325号公報
【特許文献2】特開2004−73048号公報
【0004】
しかしながら、従来の米飯の追加補給方式は主供給分と追加補給分との米飯の違和感も加わって一層食感を低下させるだけでなく、機構的にも構成が複雑大型化しそのメンテナンス、洗浄清掃、分解組立て等の作業も面倒となる等の欠陥がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの現状に鑑み、本発明は米飯の供給から計量終了までの粘性の増加を可及的に少なくして食感の低下を防止しながら、所定量の米飯を効率よく迅速かつ確実に計量供給して品質のよい米飯を連続供給できると共にその機構の簡易化を図るようにした米飯計量供給装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、上部に米飯供給部を設けた垂直方向の案内筒の下部に、周面に送り溝部を有する送りローラーと該送りローラーより速度が速く回転する解しローラーとを対向設置すると共に該対向部の下方に下側に計量秤を有する米飯計量室を設置し、該米飯計量室の一側に押出プッシャーを設けたことを特徴とするものであり、米飯の供給から計量終了までの間に必要以上の粘り、圧迫作用の加わることを極力防止して弁当、握飯等に適した品質のよい所定量の米飯を計量供給するようにしたものである。
【0007】
また本発明は送りローラーと解しローラーとを夫々高低速に速度変換自在に構成し、該速度変換機構を計量秤の計量作用と連動せしめて制御することにより、米飯の主供給作用は迅速に、少量の補給供給作用は時間をかけて徐々に行い、しかも計量作用を同一部分で連続して円滑確実に行ってこれらの構成の簡易小型化を図るようにしたものである。
【0008】
また本発明は送りローラーと該送りローラーより速度の速い解しローラーとを微小間隔を保持して対向設置することにより、米飯の解し作用を一層円滑に行うようにしたものである。
【0009】
更に本発明は案内筒の解しローラー側上部に設けた流量調節ガイドを上下自在に設けて調節することにより、米飯の移送量、性状等に応じた最適の解し作用を行なうようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は米飯を案内筒内をその自重による落下作用によって移送すると共にその下部に対向設置した送りロールには送り溝部を形成し、解しローラーの回転速度は速くして米飯の粘り及び圧迫作用を極力防止しながら解しローラーによる解し作用を効率よく円滑確実に行い、米飯の団塊化を防止して米飯を均質化して計量室に送込むことができ、食感の低下を防止した弁当、握飯に適した品質のよい所定量の米飯を計量供給することができる。
【0011】
また本発明は送りローラーと解しローラーの速度を高低に変換自在に構成し、これを計量計の計量作用と連動制御せしめて米飯の主供給作用は高速で迅速に行い少量の追加補給作用は低速で徐々に行って所定量の米飯の計量を迅速確実にすると共に主供給作用と追加補給供給作用を同一箇所において連続的に行ってこれらの構成を従来の夫々別個に連設する方式に比し、その構成を著しく簡易小型化することができる。
【0012】
また本発明において送りローラーと速度の速い解しローラーとを微小間隔を保持して対向設置したことは解し作用における米飯の粘り、圧迫作用及び団塊化を一層確実に防止でき解し作用をより効率よく円滑に行うことができる。
【0013】
更に本発明においては解しローラー側に設けた流量調節ガイドを上下調節することによって、米飯の硬軟、粘性及び団塊状態等の性状、移送量等に応じた最適の解し作用を行なうことでき、一層米飯の食感及び品質を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を実施例の図面について説明すると、米飯供給部1内に設けられた米飯搬送コンベヤ2の前端部上部には解し羽根回転ロール3が設けられると共にその前部下方には垂直方向に案内筒4が設置され、米飯搬送コンベヤ2上の米飯を順次解し羽根回転ロール3で解しながら案内筒4内に落下せしめるように構成されている。
【0015】
しかして前記案内筒4内の下部一側面にはガイド4′が他側面には上下調節自在の流量調節ガイド4″が夫々対向して設けられると共に前記ガイド4′側の下部には回転速度を高速、中速及び低速に変換可能な送りローラー5が設けられ、また前記流量調節ガイド4″側の下部には前記送りローラー5より高速度で回転しかつ高速、中速及び低速に速度変換可能な解しローラー6が対向設置され、更に両ローラー5・6はその対向部において1〜5mm程度の微小間隔を保持するように構成されている。
【0016】
前記送りローラー5は図2において時計廻り方向に回動し、図4、図5に示すようにその周面には複数列(図面では3列)に回転方向に漸次深さが浅くなるように形成された送り溝部5′・5′・・が穿設されると共に隣接する列の送り溝部5′・5′とは齟齬状態に形成されている。
【0017】
一方前記解しローラー6は図2において反時計廻り方向に回転すると共に送りローラー5と略同径で送りローラーの1回転に対して10〜30回転の速い回転をし、その位置は送りロール5より稍々高く位置しており、更にその周面に解し爪6′が軸方向に複数列にかつ隣接する周方向のものとはずれるように突設され、案内筒4の下部の米飯を送りローラー5との回転差を利用して米飯を軸方向において細かく分割分離しながら解して下方に供給できるように構成されている。
【0018】
また前記送りローラー5と解しローラー6との下方には、下部に電子秤からなる計量秤7を有しかつ両端を開放した米飯計量室8が設けられると共に該米飯計量室8の開放端一側には計量秤7の予め設定した重量で連動作動する米飯押出プッシャー9が設けられ、計量終了後の米飯を米飯計量室8から他側に設置された米飯搬出コンベヤ10上に送出できるように構成されている。
【0019】
しかして前記案内筒4の上部には米飯搬送コンベヤ2と解し羽根回転ロール3を制御する上部米飯検知センサー11と、送りローラー5と解しローラー6の作動を制御する下部米飯検知センサー12とが設置されており、上部米飯検知センサー11は米飯が案内筒4内に満杯になるとこれを検知して米飯搬送コンベヤー2と解し羽根回転ロール3の作動を止め案内筒4内への米飯の送込み作用を停止し、上部米飯検知センサー11の満杯検知作用が切れると再び米飯の送込み作用を開始するように構成されており、また下部米飯検知センサー12は、米飯が案内筒4下部に次第に溜まり、下部米飯検知センサー12の位置まで蓄積されるとこれを検知して送りローラー5と解しローラー6を作動せしめ、その検知作用が切れると送りローラー5と解しローラー6の作動を停止せしめ再び検知するまで待機状態となるように構成されている。
【0020】
また前記送りローラー5と解しローラー6の速度変換機構は前記計量秤7の計量作用と連動して切換制御されるように構成されており、例えば米飯供給総量を260gとする場合、高速回転は計量秤7の計量値が予め設定された180gに達するまで行うと中速回転に変換され、更に計量値が予め設定された240gに達すると低速回転に変換する等のように三段階に変換されるものであり、これらの切換計量値は予め任意の所定量に設定することができる。
【0021】
本発明の実施例は上記のように構成されているので、米飯供給部1内の米飯搬送コンベヤ2上に供給された米飯は、解し羽根回転ロール3に解されながら案内筒4内に落下供給され次第に溜り下部米飯検知センサー12の位置まで蓄積されるとこれを検知して送りローラー5と解しローラー6とを同時に回動せしめて米飯を解しながら計量秤7上の米飯計量室8に落下せしめる。
【0022】
次いで米飯計量室8内の米飯が予め設定した総所定重量に達すると米飯押出プッシャー9が作動して米飯計量室8内の米飯を米飯搬出コンベヤ10上に移送して所定位置に移送するものである。しかしてこの場合米飯の米飯計量室8への供給は例えば前記の如く米飯の総計量供給量を260gとし、送りローラー5と解しローラー6の速度変換計量値を夫々180g、240gに設定すると、最初の主供給分は高速で米飯は米飯計量室8に供給され次いで240gまでは中速で供給され、最後の240gからは徐々に低速供給されるものである。
【0023】
なお前記実施例は、送りローラー5と解しローラー6の速度変換を高、中、低の三段階としているが、高低二速変換で行なうこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明実施例の縦断正面図。
【図2】図1A−A線断面図。
【図3】要部の側面図。
【図4】送りローラーの正面図。
【図5】同一部切欠側面図。
【図6】解しローラーの正面図。
【図7】同側面図。
【符号の説明】
【0025】
1 米飯供給部
4 案内筒
4″ 流量調節ガイド
5 送りローラー
5′ 送り溝部
6 解しローラー
6′ 解し爪
7 計量秤
8 米飯計量室
9 米飯押出プッシャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に米飯供給部を設けた垂直方向の案内筒の下部に、周面に送り溝部を有する送りローラーと該送りローラーより速度が速く回転する解しローラーとを対向設置すると共に該対向部の下方に下側に計量秤を有する米飯計量室を設置し、該米飯計量室の一側に押出プッシャーを設けたことを特徴とする米飯計量供給装置。
【請求項2】
送りローラーと解しローラーとの速度を夫々高低速変換自在に構成すると共に該高低速変換機構を計量秤の計量作用で制御連動せしめて米飯の主供給分は高速で、補給分は低速で行なうようにしたことを特徴とする請求項1記載の米飯計量供給装置。
【請求項3】
送りローラーと解しローラーとを微小間隔を保持して対向設置したことを特徴とする請求項1記載の米飯計量供給装置。
【請求項4】
案内筒の解しローラー側上部に流量調節ガイドを上下調節自在に設けたことを特徴とする請求項1記載の米飯計量供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−43948(P2007−43948A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231481(P2005−231481)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(591165942)市川工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】