説明

籾摺装置

【課題】未脱ぷの籾がほとんど混じってない状態の玄米を効率よく適切に得ることができると共に、装置構成が合理的で低コストでの製造が可能な籾摺装置を提供すること。
【解決手段】籾ホッパー10と、籾ホッパー10から供給される籾を、衝撃を与えることで脱ぷするように、第1の脱ぷケース21の中央部から導入して接線方向へ排出するインペラ式の第1の籾摺機構部20と、第1の籾摺機構部20によって得られて第1のダクト25を介して供給される玄米と籾及び籾殻の混在する混合米を、衝撃を与えることで脱ぷするように、第2の脱ぷケース31の中央部から導入して接線方向へ排出するインペラ式の第2の籾摺機構部30と、第2の籾摺機構部30によって得られた玄米と籾殻が第2のダクト35を介して供給される籾殻分離機構部と、籾殻分離機構部を含む選別装置60によって選別された玄米を機外へ排出する玄米の排出口70とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、籾を順次連続的に供給して籾摺りを行い、籾殻を除去し、玄米が順次連続的に得られるように排出される籾摺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
籾摺りの方式としては、従来から、ゴムロール式と、衝撃式が知られている。ゴムロール式では、籾が二つの回転するゴムロールを通り抜ける際に、籾殻をゴムロールの回転速度の差によって摺り落とすことで、籾摺りが行われる。また、衝撃式では、インペラ式とそれを改良したジェット式とが知られている。インペラ式は、高速で回転する羽根車を備え、その羽根車による遠心力で繰り出された籾が壁面に衝突する衝撃力を利用して脱ぷするものである。
【0003】
ゴムロール式の籾摺装置にあっては、二つの回転するゴムロールによって摺る力を強めると、玄米を傷つけてしまうことになるため、その力を適度に弱めた状態に調整して籾摺りがなされる。このため、籾の脱ぷ率が低くなりやすい。そこで、一回の籾摺り工程では十分でなく、選別装置で選別された籾と玄米の混合米を二つの回転するゴムロールの間に繰返して通すことで脱ぷ率を高めている(特許文献1参照)。
【0004】
また、衝撃式の籾摺装置にあっても、その衝撃力を強めると、玄米の穀粒が粉砕されて胴割米を発生してしまうため、衝撃力を適度に弱めた状態に調整して籾摺りがなされる。このため、籾の脱ぷ率が低くなりやすい。そこで、一回の籾摺り工程では十分でなく、選別装置で選別された籾と玄米の混合米を羽根車の中に再度投入する装置構成として脱ぷ率を高めている(特許文献2参照)。
【0005】
しかし、そのような従来のゴムロール式と衝撃式の個々の籾摺り方式のように、選別された未脱ぷの籾を籾摺機構部内へ繰返し供給することで脱ぷ率を高めることは、最初の選別を高い精度で行うことが前提であるため限界があった。
これに対しては、最終的に選別装置に投入されるまでの脱ぷ率を高めることで対応できると考えられるが、従来は適切な構成の籾摺装置が提案されていなかった。
【0006】
そこで、本発明者は、ゴムロール式と衝撃式の二つの籾摺り方式を適切に利用し、未脱ぷの籾がほとんど混じってない状態の玄米を効率よく適切に得ることができる籾摺装置を提案してあり(特願2009−12741)、対照すべき装置例として以下に説明する。
図4は本発明の籾摺装置に対照すべき装置例を示す説明図である。この籾摺装置によれば、籾を順次連続的に供給して籾摺りを行い、籾殻を除去し、玄米が順次連続的に得られるように排出することができる。
【0007】
10は籾ホッパーであり、籾11を貯留すると共に下方へ順次連続的に供給する部位になっており、装置の上部に設けられている。
40は第1の籾摺機構部であり、籾ホッパー10から供給される籾を二つの回転するゴムロール41、42間を通すことによる摺り作用によって脱ぷするように設けられている。この第1の籾摺機構部40は、籾ホッパー10の下側に設けられており、その籾ホッパー10から籾11が落下することで第1の籾摺機構部40に供給される。
【0008】
43は混合米の排出口であり、第1の籾摺機構部40の下部に設けられている。
この混合米の排出口30からは、第1の籾摺機構部40の脱ぷ作用によって得られた玄米と籾及び籾殻の混在する混合米45が排出される。
【0009】
50は第2の籾摺機構部であり、第1の籾摺機構部40の混合米の排出口43に接続される導入口51を有し、その導入口51から供給される混合米45の籾を衝撃作用によって脱ぷするように設けられている。混合米45には籾殻が含まれていることで、衝撃作用を適度に緩和でき、胴割米等の損傷のある玄米の発生を防止できる。
また、46は混合米の通路であり、混合米の排出口43と導入口51とを接続するように設けられている。
【0010】
この第2の籾摺機構部50としては、例えば、図1に示すような回転する羽根車53による遠心力によって衝撃を与えるインペラ式の籾摺装置とすることができる。この羽根車53としては、例えば、一対の円板の間に複数の羽根(インペラ)が放射状に配されて設けられ、軸受けされた中心軸が電動モータ(図示せず)で駆動されることによって高速回転できる構造にすることができる。
【0011】
また、第2の籾摺機構部50は、第1の籾摺機構部40の下側に設けられており、混合米45が混合米の排出口43から重力によって自然に落下することで混合米の通路46及び導入口51を介して第2の籾摺機構部50内に供給される。これにより、混合米45を第1の籾摺機構部40から第2の籾摺機構部50へ好適に供給することができる。これによれば、第1の籾摺機構部40と第2の籾摺機構部50との間にホッパーや籾殻分離機構部等の特別な構成を設ける必要がなく、第1の籾摺機構部40と第2の籾摺機構部50とを簡単な構造で且つ適切に接続できる。
また、第2の籾摺機構部50の直上に第1の籾摺機構部40を配設することもできる。これによれば、本発明に係る籾摺装置のコンパクト化を図ることができる。特に籾摺装置の設置床面積を小さくすることができる。
【0012】
61は籾殻分離機構部であり、第2の籾摺機構部50によって得られた玄米と籾殻が供給され、その籾殻を風力で分離するように設けられている。なお、55は穀粒の管路であり、脱ぷされた穀粒を第2の籾摺機構部50から籾殻分離機構部61に送る通路になっている。
63は脱ぷされた穀粒の移動方向を示す矢印であり、62は籾殻の排出路である。
70は玄米の排出口であり、籾殻分離機構部61を含む選別装置60によって選別された玄米71を機外へ排出する口となっている。
【0013】
このように、各機構部を配置することで、ゴムロール式による籾摺りの後に、衝撃式による籾摺りを行う順序になる。ゴムロール式による摺り作用によって第1の籾摺機構部40内では脱ぷされない籾であっても脱ぷされ易い状態になり、その籾を第2の籾摺機構部50内では衝撃によって脱ぷできるため、脱ぷ効率を格段に向上できる。これによれば、二つの籾摺り方式を適切に利用でき、未脱ぷの籾がほとんど混じっていない状態の玄米を効率よく適切に得ることができる。
本発明に係る構成は、コインを投入することで自動的に籾摺りを行うコイン籾摺装置として好適に用いることができる。そのような自動的に運転するもみすり装置の場合、第1の籾摺機構部40の運転が終了した後、一定の時間が経過した後に第2の籾摺機構部50の運転を自動的に停止するように制御するとよい。
また、ゴムロール41、42による摺り作用の強さと、羽根車53の回転による衝撃の強さがどちらも必要以上に大きくならないように調整された状態で脱ぷできるため、玄米を傷つけないで済み、良質な玄米を得ることができる。
【0014】
65は揺動選別装置部であり、籾殻分離機構部61の後工程部に配され、斜面を揺動させることで玄米と未脱ぷの籾とを選別する。この揺動選別装置部65は、選別装置を構成する装置の一部として設けられている。これにより、未脱ぷの籾を選別でき、玄米に未脱ぷの籾が混入することを防止できる。なお、選別された玄米は、矢印72で示すように持ち上げられて、玄米の排出口70から排出される。
また、選別の方式としては、本形態例のような揺動式に限らず、他の方式として例えば万石式及び回転式を採用してもよい。
【0015】
66は籾の戻し装置部の通路を示す矢印(点線)であり、揺動選別装置部65で選別された未脱ぷの籾を、再度の衝撃によって脱ぷすべく、第2の籾摺機構部50へ戻すように設けられている。これにより、さらに脱ぷ率を向上でき、未脱ぷの籾がほとんど完全にない玄米を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平7−328459号公報(第1頁)
【特許文献2】特開平11−57503号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
籾摺装置に関して解決しようとする問題点は、ゴムロール式と衝撃式の二つの籾摺り方式を利用したものでは、脱ぷ効率を高めることができるが、異種の方式を用いるため装置構成が複雑になり、製造コストを低減しにくく、保守点検が煩雑になり易い。
そこで本発明の目的は、未脱ぷの籾がほとんど混じってない状態の玄米を効率よく適切に得ることができると共に、装置構成が合理的で、製造コストを低減し易く、保守点検が行い易い籾摺装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、籾を順次連続的に供給して籾摺りを行い、籾殻を除去し、玄米が順次連続的に得られるように排出される籾摺装置において、籾を貯留すると共に下方へ順次連続的に供給する籾ホッパーと、該籾ホッパーから供給される籾を、円形の第1の脱ぷケース内において第1の羽根車の遠心力によって衝撃を与えることで脱ぷするように、前記第1の脱ぷケースの中央部から導入して接線方向へ排出するインペラ式の第1の籾摺機構部と、該第1の籾摺機構部によって得られて第1のダクトを介して供給される玄米と籾及び籾殻の混在する混合米を、円形の第2の脱ぷケース内において第2の羽根車の遠心力によって衝撃を与えることで脱ぷするように、前記第2の脱ぷケースの中央部から導入して接線方向へ排出するインペラ式の第2の籾摺機構部と、該第2の籾摺機構部によって得られた玄米と籾殻が第2のダクトを介して供給され、該籾殻を風力で分離する籾殻分離機構部と、該籾殻分離機構部を含む選別装置によって選別された前記玄米を機外へ排出する玄米の排出口とを具備する。
また、本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、前記第1の羽根車と前記第2の羽根車とが、同一の回転速度で回転するように設けられていることを特徴とすることができる。
【0019】
本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、籾を順次連続的に供給して籾摺りを行い、籾殻を除去し、玄米が順次連続的に得られるように排出される籾摺装置において、籾を貯留すると共に下方へ順次連続的に供給する籾ホッパーと、該籾ホッパーから供給される籾を、円形の第1の脱ぷケース内において回転駆動軸の一方側に設けられた第1の羽根車の遠心力によって衝撃を与えることで脱ぷするように、前記第1の脱ぷケースの中央部から導入して接線方向へ排出するインペラ式の第1の籾摺機構部と、該第1の籾摺機構部によって得られて第1のダクトを介して供給される玄米と籾及び籾殻の混在する混合米を、円形の第2の脱ぷケース内において前記回転駆動軸の他方側に設けられた第2の羽根車の遠心力によって衝撃を与えることで脱ぷするように、前記第2の脱ぷケースの中央部から導入して接線方向へ排出するインペラ式の第2の籾摺機構部と、該第2の籾摺機構部によって得られた玄米と籾殻が第2のダクトを介して供給され、該籾殻を風力で分離する籾殻分離機構部と、該籾殻分離機構部を含む選別装置によって選別された前記玄米を機外へ排出する玄米の排出口とを具備する。
【0020】
また、本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、前記第1の籾摺機構部と前記第2の籾摺機構部とにおいて、脱ぷのための衝撃の強さが同等に与えられるように前記第1の羽根車と前記第2の羽根車との形状的な方向性が回転方向について同一に構成されていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、前記第1の籾摺機構部と前記第2の籾摺機構部とにおいて、脱ぷのための衝撃の強さが異なって与えられるように前記第1の羽根車と前記第2の羽根車との形状的な方向性が回転方向について反対に構成されていることを特徴とすることができる。
【0021】
また、本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、前記籾ホッパーから供給される籾を前記第1の脱ぷケースの中央部へ導入する導入口が該第1の脱ぷケースの内側端板に設けられ、前記第1の籾摺機構部から供給される前記混合米を前記第2の脱ぷケースの中央部へ導入する導入口が該第2の脱ぷケースの内側端板に設けられていることを特徴とすることができる。
【0022】
また、本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、前記籾ホッパーから前記第1の籾摺機構部への供給路が籾を移送するスクリュウコンベアによって設けられ、前記第1の羽根車及び前記第2の羽根車が回転を開始した後に、前記スクリュウコンベアの始動ができるように作動制御装置が設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、前記籾ホッパーから前記第1の籾摺機構部への供給路を開閉するシャッターが設けられ、前記第1の羽根車及び前記第2の羽根車が回転を開始した後に、前記シャッターが開いて籾の供給ができるようにシャッターの開閉制御装置が設けられていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の籾摺装置によれば、未脱ぷの籾がほとんど混じってない状態の玄米を効率よく適切に得ることができると共に、装置構成が合理的で、製造コストを低減し易く、保守点検が行い易いという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る籾摺装置の形態例を説明する正面図である。
【図2】図1の形態例を説明する右側面図である。
【図3】本発明に係る籾摺装置の他の形態例を説明する側面図である。
【図4】本発明の籾摺装置に対照すべき装置例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る籾摺装置の他の形態例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る籾摺装置の最良の形態例を、添付図面(図1〜3)に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の籾摺装置に係る形態例を示す説明図であり、図2はその右側面図である。この籾摺装置によれば、籾を順次連続的に供給して籾摺りを行い、籾殻を除去し、玄米が順次連続的に得られるように排出することができる。なお、図4の中に記載した構成と同等の機能を有する構成には、図4に用いた符号を付して説明する。
【0026】
10は籾ホッパーであり、籾を貯留すると共に下方へ順次連続的に供給するように、装置の脇に設けられている。
20はインペラ式の第1の籾摺機構部であり、籾ホッパー10から供給される籾を、円形の第1の脱ぷケース21内において回転駆動軸12の一方側に設けられた第1の羽根車22の遠心力によって衝撃を与えることで脱ぷするように、第1の脱ぷケース21の中央部から導入して接線方向へ排出する構造になっている。
なお、15は駆動モータであり、回転駆動軸12を回転駆動させるように機体内に配され、ベルト(図示せず)などで回転駆動軸12に動力を与えるように設けられている。
【0027】
30はインペラ式の第2の籾摺機構部であり、第1の籾摺機構部20によって得られて第1のダクト25を介して供給される玄米と籾及び籾殻の混在する混合米を、円形の第2の脱ぷケース31内において回転駆動軸12の他方側に設けられた第2の羽根車32の遠心力によって衝撃を与えることで脱ぷするように、第2の脱ぷケース31の中央部から導入して接線方向へ排出する構造になっている。混合米は、第1の羽根車22の遠心力によって飛ばされ、第1のダクト25を介して送風の圧力が加わった状態で好適に第2の籾摺機構部30へ送られる。
【0028】
ところで、どちらの脱ぷケース21、31においても混合米が接線方向で且つ上方へ排出される形態となっている。そして、第1の脱ぷケース21での籾と第2の脱ぷケース31での混合米の投入方向は左右反対になっている。また、双方の羽根車22、32は、装置の本体部を挟んで左右対称となるように配された形態となっているため、回転方向が逆になる。例えば、回転駆動軸12の回転方向は、右面から見たときに右回りであると、左面から見ると左回りになる。そのため、この双方の羽根車22、32は、インペラの風の案内向きが線対称形状(ミラー対称形状)となるように設けることができる。つまり、第1の籾摺機構部20と第2の籾摺機構部30とにおいて、第1の羽根車22と第2の羽根車32との形状的な方向性を、回転方向について同一に構成することができる。このようにミラー対称形状とすることで、二つの籾摺機構部20、30において、脱ぷのための衝撃の強さを同等で最も効率的な状態にすることができる。
【0029】
また、双方の羽根車22、32がミラー対称形状とならないように設け、脱ぷのための衝撃の強さが異なるように作用する形態としてもよい。つまり、第1の籾摺機構部20と第2の籾摺機構部30とにおいて、第1の羽根車22と第2の羽根車32との形状的な方向性を、回転方向について反対に構成することができる。例えば、同一形状の羽根車を両方の脱ぷケース21、31内に配し、回転方向が逆になることで、インペラの風の案内方向が反対方向になるようにしてもよい。また、例えば、第1の籾摺機構部20では籾への衝撃が弱くなる向きのインペラを備える羽根車を配する形態とし、第2の籾摺機構部30では緩衝材となる籾殻の混合された状態の籾へ十分な衝撃を与える向きのインペラを備えるに羽根車を配する形態にすることができる。これによれば、脱ぷに係る衝撃のバランスを適正化でき、胚芽が分離していない高品質の玄米を得ることができる。
【0030】
また、本形態例でも、第2の籾摺機構部30によって得られた玄米と籾殻が第2のダクト35を介して供給され、その籾殻を風力で分離する籾殻分離機構部61(図4参照)と、その籾殻分離機構部61を含む選別装置60によって選別された玄米を機外へ排出する玄米の排出口70とを備えている。
【0031】
以上の構成の籾摺装置によれば、玄米を選別する選別装置60に投入する前の脱ぷ率を格段に高めることができるため、未脱ぷの籾がほとんど完全に混じってない状態の玄米を効率よく適切に得ることができる。それぞれの羽根車22、32の回転による衝撃の強さがどちらも必要以上に大きくならないように調整された状態で脱ぷできるため、玄米を傷つけないで済み、良質な玄米を得ることができる。
また、この籾摺装置によれば、装置構成が簡単で、よりコンパクト且つ低コストで合理的に製造できる。
そして、回転駆動軸12の両端側に羽根車22、32が装着されている構造であり、バランスがよいため、安定性が高く且つ耐久性に優れた装置にすることができる。
【0032】
また、本形態例では、籾ホッパー10から第1の籾摺機構部20への供給路を開閉するシャッター80が設けられ、第1の羽根車22及び第2の羽根車32が回転を開始した後に、シャッター80が開いて籾の供給ができるようにシャッターの開閉制御装置81が設けられている。
これによれば、コイン籾摺機に好適に適用できる。
【0033】
次に、図3に基づいて、他の形態例について説明する。
この形態例では、二つの羽根車の回転軸を並列に配し、第1の籾摺機構部20及び第2の籾摺機構部30を並列に配置したものである。籾ホッパー10に投入れた籾が、第1の籾摺機構部20、第1のダクト25、第2の籾摺機構部30、第2のダクト35、選別装置60の順に送られて、玄米と籾殻に分かれて排出される。
【0034】
これによれば、前述の形態例と同様に、分離機構部に導入される前の籾の脱ぷ率を高めることができ、未脱ぷの籾がほとんど混じっていない状態の玄米を効率よく得ることができる。そして、回転軸が二本となるが、インペラ式の二つの籾摺機構部20、30が同一面で並ぶこととなり、一方の側から同じようにメンテナンスができ、保守管理の効率を高めることができる。
【0035】
図1の形態例の第1の羽根車22と第2の羽根車32とは、回転駆動軸12を同一とするもので、同一の回転速度で回転するように設けられているが、図3の形態例でも同様に、双方の羽根車の回転速度を同一としてもよい。また、脱ぷのための衝撃力や風量のバランスなどを適正化するために、双方の羽根車の回転速度について適宜差異を設けてもよい。双方の羽根車の回転速度を同一にしない場合は、図3の形態例は回転軸が二軸であるため、容易に対応できる。例えば、駆動モータを共用してベルト駆動とし、径の大きさ異なる従動プーリを用いればよい。
【0036】
次に、図5に基づいて、他の形態例について説明する。なお、以上の形態例の構成と同等の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
この形態例では、籾ホッパー10から供給される籾を第1の脱ぷケース21の中央部へ導入する導入口21aがその第1の脱ぷケース21の内側端板23に設けられ、第1の籾摺機構部20から供給される前記混合米を第2の脱ぷケース31の中央部へ導入する導入口31aがその第2の脱ぷケース31の内側端板33に設けられている。
これによれば、装置をコンパクト化でき、例えば、コイン籾摺機の省スペース化を好適に実現できる。
【0037】
19はベースフレーム部であり、基部19aと支持部19bとによって構成され、第1の籾摺機構部20と第2の籾摺機構部30とを含む装置構成が搭載された台部になっている。また、15aは従動プーリであり、回転駆動軸12の中央部或いは端部に設けることができる(図5では両方の実施形態を図示したが、どちらか一方を採用すればよいのは勿論である)。この従動プーリ15aは、例えばVベルトのプーリになっており、基部19a上に載置された駆動モータ(図示せず)によって回転駆動軸12のベルト駆動がなされるように設けることができる。
【0038】
16は籾の導入ケースであり、籾ホッパー10から供給される籾が移送される通路であると共に、軸受17が固定されて回転駆動軸12の支持部になっている。26は混合米の導入ケースであり、第1の籾摺機構部20から供給される混合米が移送される通路であると共に、軸受27が固定されて回転駆動軸12の支持部になっている。どちらもボックス形状に形成されており、通路となると共に軸受17、27が好適に装着される構造になっている。
これにより、回転駆動軸12を合理的に支持することができ、装置のコンパクト化を可能にしている。
【0039】
また、この形態例では、籾ホッパー10から第1の籾摺機構部20への供給路が籾を移送するスクリュウコンベア90によって設けられ、第1の羽根車22及び第2の羽根車32が回転を開始した後に、スクリュウコンベア90の始動ができるように作動制御装置が設けられている。
これによれば、装置システムの設計自由度を向上でき、例えば、コイン籾摺機の省スペース化を可能にできる。また、作動制御装置によって、適切な籾摺装置の運転が可能になる。
【0040】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0041】
10 籾ホッパー
11 籾
12 回転駆動軸
15 駆動モータ
20 第1の籾摺機構部
21 第1の脱ぷケース
21a 導入口
22 羽根車
23 内側端板
25 第1のダクト
30 第2の籾摺機構部
31 第2の脱ぷケース
31a 導入口
32 羽根車
33 内側端板
35 第2のダクト
60 選別装置
61 籾殻分離機構部
65 揺動選別装置部
70 玄米の排出口
80 シャッター
81 シャッターの開閉制御装置
90 スクリュウコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾を順次連続的に供給して籾摺りを行い、籾殻を除去し、玄米が順次連続的に得られるように排出される籾摺装置において、
籾を貯留すると共に下方へ順次連続的に供給する籾ホッパーと、
該籾ホッパーから供給される籾を、円形の第1の脱ぷケース内において第1の羽根車の遠心力によって衝撃を与えることで脱ぷするように、前記第1の脱ぷケースの中央部から導入して接線方向へ排出するインペラ式の第1の籾摺機構部と、
該第1の籾摺機構部によって得られて第1のダクトを介して供給される玄米と籾及び籾殻の混在する混合米を、円形の第2の脱ぷケース内において第2の羽根車の遠心力によって衝撃を与えることで脱ぷするように、前記第2の脱ぷケースの中央部から導入して接線方向へ排出するインペラ式の第2の籾摺機構部と、
該第2の籾摺機構部によって得られた玄米と籾殻が第2のダクトを介して供給され、該籾殻を風力で分離する籾殻分離機構部と、
該籾殻分離機構部を含む選別装置によって選別された前記玄米を機外へ排出する玄米の排出口とを具備することを特徴とする籾摺装置。
【請求項2】
前記第1の羽根車と前記第2の羽根車とが、同一の回転速度で回転するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の籾摺装置。
【請求項3】
籾を順次連続的に供給して籾摺りを行い、籾殻を除去し、玄米が順次連続的に得られるように排出される籾摺装置において、
籾を貯留すると共に下方へ順次連続的に供給する籾ホッパーと、
該籾ホッパーから供給される籾を、円形の第1の脱ぷケース内において回転駆動軸の一方側に設けられた第1の羽根車の遠心力によって衝撃を与えることで脱ぷするように、前記第1の脱ぷケースの中央部から導入して接線方向へ排出するインペラ式の第1の籾摺機構部と、
該第1の籾摺機構部によって得られて第1のダクトを介して供給される玄米と籾及び籾殻の混在する混合米を、円形の第2の脱ぷケース内において前記回転駆動軸の他方側に設けられた第2の羽根車の遠心力によって衝撃を与えることで脱ぷするように、前記第2の脱ぷケースの中央部から導入して接線方向へ排出するインペラ式の第2の籾摺機構部と、
該第2の籾摺機構部によって得られた玄米と籾殻が第2のダクトを介して供給され、該籾殻を風力で分離する籾殻分離機構部と、
該籾殻分離機構部を含む選別装置によって選別された前記玄米を機外へ排出する玄米の排出口とを具備することを特徴とする籾摺装置。
【請求項4】
前記第1の籾摺機構部と前記第2の籾摺機構部とにおいて、脱ぷのための衝撃の強さが同等に与えられるように前記第1の羽根車と前記第2の羽根車との形状的な方向性が回転方向について同一に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の籾摺装置。
【請求項5】
前記第1の籾摺機構部と前記第2の籾摺機構部とにおいて、脱ぷのための衝撃の強さが異なって与えられるように前記第1の羽根車と前記第2の羽根車との形状的な方向性が回転方向について反対に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の籾摺装置。
【請求項6】
前記籾ホッパーから供給される籾を前記第1の脱ぷケースの中央部へ導入する導入口が該第1の脱ぷケースの内側端板に設けられ、前記第1の籾摺機構部から供給される前記混合米を前記第2の脱ぷケースの中央部へ導入する導入口が該第2の脱ぷケースの内側端板に設けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の籾摺装置。
【請求項7】
前記籾ホッパーから前記第1の籾摺機構部への供給路が籾を移送するスクリュウコンベアによって設けられ、前記第1の羽根車及び前記第2の羽根車が回転を開始した後に、前記スクリュウコンベアの始動ができるように作動制御装置が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の籾摺装置。
【請求項8】
前記籾ホッパーから前記第1の籾摺機構部への供給路を開閉するシャッターが設けられ、前記第1の羽根車及び前記第2の羽根車が回転を開始した後に、前記シャッターが開いて籾の供給ができるようにシャッターの開閉制御装置が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の籾摺装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−96220(P2012−96220A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110078(P2011−110078)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(508067149)
【Fターム(参考)】