説明

籾摺選別機の集塵装置

【課題】作業環境を向上させた籾摺選別機を提供する。
【解決手段】シャッタ板を開閉させてフィード籾を籾摺部11に供給制御する籾ホッパ2と、籾摺によって得られた籾殻を機外に排出させる吸引ファン13とを備え、籾ホッパ2近傍に吸引口26を備えるものである。加えて、吸引口26は、吸引ファン13にダクト27を介して連通させ、シャッタ板の開閉と、吸引口26の開閉とを連動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾ホッパと、吸引ファンとを備える摺選別機に関して、より詳細にはフィード籾の籾塵を効率的に吸引除去しうる吸引口を備えた摺選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の籾摺選別機には、籾摺後の混合米を貯留する混合米タンク内の混合米量に応じて、混合米タンク内に設けられた抵抗板の上下移動に伴い、この抵抗板に連動されるロッドにより、籾ホッパ(籾漏斗)下部に有するシャッタ板を、この籾ホッパ近傍に配した操作レバーにより開閉させ、籾ホッパから籾摺部へフィード籾の供給量調節を行うものがある(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−33419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の籾摺選別機では、籾摺作業を行うため籾ホッパにフィード籾を供給する際、フィード籾から発生した籾塵を作業者が吸い込むことから、作業者はこのような悪い環境の中で作業を行う必要があった。
そこでこの発明の目的は、作業環境を向上させた籾摺選別機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため請求項1に記載の発明は、シャッタ板を開閉させてフィード籾を籾摺部に供給制御する籾ホッパと、前記籾摺部での籾摺りによって得られた籾殻を機外に排出させる吸引ファンとを備える籾摺選別機において、前記籾ホッパ近傍に吸引口を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の籾摺選別機において、前記吸引口は、前記吸引ファンにダクトを介して連通させることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の籾摺選別機において、前記シャッタ板の開閉と、前記吸引口の開閉とを連動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、シャッタ板を開閉させてフィード籾を籾摺部に供給制御する籾ホッパと、籾摺部での籾摺りによって得られた籾殻を機外に排出させる吸引ファンとを備える籾摺選別機において、籾ホッパ近傍に吸引口を備えるので、フィード籾から発生した籾塵を機内に集塵させることができる。従って、作業環境を向上させた籾摺選別機を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、吸引口は、吸引ファンにダクトを介して連通させるので、新たに集塵用の駆動装置を設ける必要がなく、吸引口から機内に集塵させた籾塵を吸引ファンにより作業者から離れた機外に排出することができる。従って、簡単な構造、かつ作業環境を向上させた籾摺選別機を提供することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、シャッタ板の開閉と、吸引口の開閉とを連動させるので、作業者が籾ホッパにフィード籾を供給する際、シャッタ板の閉扉に連動して吸引口が開口し、発生する籾塵を吸引口から機内に集塵することができる。従って、作業性を向上させた籾摺選別機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一例としての籾摺選別機の右側面図、図2は籾摺選別機の平面図、図3は籾摺選別機の正面図、図4は図1における籾摺機内部の側面模式図である。
【0012】
この例の籾摺選別機1は、図1〜図3に示すように、機体上部中央に籾ホッパ2と、この籾ホッパ2の側面視背面には、混合米揚穀機3と混合米タンク4が連設される。さらに機体前端には、籾殻排出筒5および機体後端に玄米揚穀機6が備えられ、玄米揚穀機6の上部後端に仕上米出口9が設けられている。また、機体下部には粃搬送装置7と籾還元スロワ16とが連設される。
【0013】
図4に示すように、主軸11aと副軸11bとからなる籾摺ロール11cを有する籾摺部11の下方には、籾摺ロール11cで籾摺され、得られた粃や玄米などの混合米が通過する風選路12aを有する風選部12が配設される。この籾摺ロール11c下方であって、風選路12a終端下部の機体前部(側面視左端)には混合米に吸引作用する吸引ファン13、この吸引ファン13の後部(側面視右隣)であって、籾摺ロール11cの下方には、風選路12aから混合米中の粃(小米を含む)が落下する粃排出樋14、さらに粃排出樋14の後部には、混合米中の籾や玄米が落下する混合米受樋15などが列設される。
【0014】
混合米受樋15に落下した籾や玄米を搬送する図示しない螺旋の搬送終端側は、側面視機体背面側に立設され、複数のバケット3aを備える混合米揚穀機3に連通し、この混合米揚穀機3の揚穀終端側は混合米タンク4に連通されている。
【0015】
さらに、混合米タンク4の下方には混合米を搬送する渡し樋17を有し、この渡し樋17の下方には選別部18が備えられる。この選別部18は、渡し樋17の搬送終端側に複数の流路からなる分配ケース18aと、分配ケース18aの側方に有し、多段からなる揺動選別板18bと、揺動選別板18bの前部および中央部にそれぞれ配設される籾仕切板18c、玄米仕切板18dなどから構成される。
【0016】
選別部18の下方には、選別部18の前部から順に籾用流路19、混合米用流路20、玄米用流路21がそれぞれ配設される。そして、籾用流路19の終端に有する返り籾入口部16aが、返り籾出口部16bを介して側面視手前に備えられる図1に示す籾還元スロワ16に連通され、この籾還元スロワ16の上部は、籾摺部11に連通される。また、混合米用流路20と玄米用流路21の間には玄米の機内循環と機外排出とを切り替える切替弁22が設けられる。そして、機体後端には玄米用流路21が下部に連設され、複数のバケット6aを備える玄米揚穀機6が立設される。
【0017】
なお、符号23aは、籾摺機1を運転操作する操作盤で、装置各部を駆動制御する不図示のコントローラが内臓されている。また、符号23bは、籾ホッパ2底部に有する不図示のシャッタ板を開閉させる手動のシャッタレバーである。
【0018】
ここで、籾摺選別機1を使用して籾摺作業を行うときは、籾ホッパ2に籾を供給し、操作盤23の図示しないスイッチにより機体各部を駆動させ、籾ホッパ2底部に有するシャッタ板を開いて、籾摺ロール11cに供給された籾が籾摺された後、落下した混合米は風選路12aで風選され、最も軽い籾殻は吸引ファン13により吸引され、籾殻排出筒5を介して機外に排出される。
【0019】
また、上記風選路12aで風選された比較的軽い粃(小米を含む)は、粃出口14から排出され、粃出口14に連通される粃搬送装置7内に流入した後、螺旋により返り籾入口部16aまで搬送され、返り籾出口部16bより籾還元スロワ16内に流入させることで、この粃を返り籾入口部16aより返り籾出口部16bを介して籾還元スロワ16内に流入する選別部18からの返り籾と、籾還元スロワ16内で合流させ、これら粃と籾との混合米が籾還元スロワ16によって籾摺部11に戻され、再度籾摺される。一方、重量の重い玄米と籾摺を損ねた籾との混合米は受樋15に落下し、混合米揚穀機3で揚穀されて混合米タンク4に供給された後、渡し樋17および分配ケース18aを介して揺動選別板18bに供給される。
【0020】
混合米は、揺動選別板18bでの揺動により、小さく比重の重い玄米は揺上側に、また玄米よりも大きく比重の軽い籾は揺下側に、さらに中間部分には分離されない籾と玄米との混合米がそれぞれ偏流分布しながら選別される。
【0021】
揺動選別板18bで選別された玄米などの穀粒は、籾仕切板18cと玄米仕切板18dで仕切られ、揺動選別板18bより排出される。このとき、切替弁22は揺動選別板18b上での穀粒の偏流分布が不安定な際、混合米用流路20と玄米用流路21との間を連通させて、混合米と玄米を再度受樋15に流入させるようにするが、揺動選別板18b上での穀粒の偏流分布が安定すると、混合米用流路20と玄米用流路21との間を遮断させるように切り替えられる。
【0022】
その結果、混合米が混合米用流路20を落下し、受樋15を介して再度選別部18に搬送され、玄米は玄米用流路21から玄米揚穀機23を介して機外に取り出される。また、籾は籾用流路19から返り籾入口部16aを経て、この返り籾入口部16aの下方であって、返り籾入口部16aに連通される返り籾出口部16bから流入した籾還元スロワ16を介して籾摺部11に還元され、再度籾摺される。
【0023】
次に、本願発明の特徴である集塵部について、その具体的構成を説明する。上記図1〜4に示されるように、集塵部25は、機体前端と籾殻排出筒5との間であって、機体前端に幅広く固設され、その上端には吸引口26を備える。この吸引口26から下方は、集塵部25枠内に空洞を有するダクト27が機体下部に有する吸引ファン13を介して籾殻排出筒5に連通される。
【0024】
吸引口26は、例えば、格子状に配設された二層板からなり、それぞれの上層または下層の一方が固定板26a、他方が摺動される摺動板26bであって、この摺動板26bを、籾ホッパ2底部に有するシャッタ板を開閉させるシャッタレバー23bに不図示のワイヤーやリンク機構などで連動させ、吸引口26が開閉されるスライド式の開口部を有する構成となっている。
【0025】
ここで、籾摺作業を始める際、シャッタレバー23bを閉にすることで籾ホッパ2のシャッタ板が閉じられるとともに、シャッタレバー23bに連動されるリンク機構により摺動板26bが固定板26aに重なるように摺動され、吸引口26が開口される。このとき、装置全体が駆動状態であるため、吸引ファン13も駆動されている。
【0026】
そして、籾袋から直接、または図示しない籾タンクから専用の搬送路でフィード籾を籾ホッパ2に供給する際、フィード籾から発生される籾塵が、吸引口26より吸引され、ダクト27を介して籾ホッパ2から離れた位置に有する籾殻排出筒5より機外へ排出されるため、籾ホッパ2近傍でフィード籾の供給作業をしている作業者が籾塵を直接吸い込むことがなく、環境安全が向上される。なお、籾殻排出筒5の長さを設けて、籾殻排出筒5の排出口を籾ホッパ2からさらに離してもよい。
【0027】
また、籾ホッパ2にフィード籾の供給を終え、フィード籾を籾摺部11に供給する際シャッタ板を開くため、シャッタレバー23bを開にすることで、リンク機構により摺動板26bが摺動して吸引口26が閉じられ、不要な異物の吸い込みが防止される。
【0028】
また、図5に示すように、吸引口26のスライド式の開口部を、ダクト27の中途部に有する開閉板に替えることもできる。この場合、吸引口26は、ダクト27内に籾塵以外の比較的大きな異物が落下して詰まらないようにするため、格子状や網状にすることが望ましい。
【0029】
そして、ダクト27内の上部であって、ダクト27の後板27b(操作盤23a側)に、上端28aを固定し、この上端28aを軸にして前方に摺動可能、かつダクト27幅と同じ幅を有する開閉板28が設けられる。さらに、開閉板28とシャッタレバー23bとの間にはリンク機構29を連係させる。
【0030】
これらより、シャッタレバー23bを閉にすることで、リンク機構29が後方に移動し、開閉板28が後板27bに当接される垂直位置に摺動させてダクト27が開口され、シャッタレバー23bを開にすると、リンク機構29が前方に移動し、開閉板28の下端がダクト27の前板27aに当接されるまで摺動され、ダクト27が閉じられる。
【0031】
さらに、図6(a),(b)に示すように、籾殻排出筒5´が機体中央近傍であって籾ホッパ2の後部に隣接して設けられる籾摺選別機1´では、集塵部25´を籾ホッパ2の右側面に取付けることもできる。この場合、前述したような格子状などのスライド式開口部を有する吸引口26´が、籾ホッパ2と操作盤23aとの間であって、籾ホッパ2に隣接させた側面視左右方向に備えられる。
【0032】
また、吸引口26´の下方には、機体内部の中央近傍に有する吸引ファン13´に向けて、円筒形や四角筒形などの形状を有するダクト27´が延設され、このダクト27´が吸引ファン13´を介して籾殻排出筒5´に連通される。そして、上記同様にシャッタレバー23bと吸引口26´とが不図示のリンク機構などで連動される。
【0033】
これらにより、フィード籾供給時にシャッタレバー23bを閉にすることで、リンク機構29により吸引口26´が開かれ、吸い込まれた籾塵がダクト27´を介して籾殻排出筒5´から籾ホッパ2より離れた機外に排出される。また、シャッタレバー23bを開にすると、吸引口26´が閉じられる。
【0034】
なお、上述のように吸引口26´の開口部は、スライド式に限定されず、網状などの固定式であってもよい。その場合には、ダクト27´内に、シャッタレバー23bとの間でリンク機構29を連係させたダクト27´幅と同じ幅を有する開閉板28´を設けることもできる。
【0035】
以上詳述したように、この例の籾摺選別機1は、シャッタ板を開閉させてフィード籾を籾摺部11に供給制御する籾ホッパ2と、籾摺によって得られた籾殻を機外に排出させる吸引ファン13とを備え、籾ホッパ2近傍に吸引口26を備えるものである。加えて、吸引口26は、吸引ファン13にダクト27を介して連通させ、シャッタ板の開閉と、吸引口26の開閉とを連動させる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の籾摺選別機の一例を示す側面図である。
【図2】本発明の籾摺選別機の平面図である。
【図3】本発明の籾摺選別機の正面図である。
【図4】図1の籾摺選別機の内部構造を示す模式図である。
【図5】シャッタレバーと開閉板との連係を示す模式図である。
【図6】籾殻排出筒を機体中央近傍に備える別の例を示す籾摺選別機の(a)は平面図、(b)は側面模式図である。
【符号の説明】
【0037】
1,1´ 籾摺選別機
2 籾ホッパ
5,5´ 籾殻排出筒
11 籾摺部
13,13´ 吸引ファン
23a 操作盤
23b シャッタレバー
25,25´ 集塵部
26,26´ 吸引口
26a 固定板
26b 摺動板
27,27´ ダクト
27b 後板
28,28´ 開閉板
28a 上端
29 リンク機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッタ板を開閉させてフィード籾を籾摺部に供給制御する籾ホッパと、
前記籾摺部での籾摺りによって得られた籾殻を機外に排出させる吸引ファンと、
を備える籾摺選別機において、
前記籾ホッパ近傍に吸引口を備えることを特徴とする籾摺選別機。
【請求項2】
前記吸引口は、前記吸引ファンにダクトを介して連通させることを特徴とする、請求項
1に記載の籾摺選別機。
【請求項3】
前記シャッタ板の開閉と、前記吸引口の開閉とを連動させることを特徴とする、請求項
1に記載の籾摺選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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