説明

粉体の接触角測定方法、該粉体の表面自由エネルギー求出方法、該粉体の検査方法及び粉体

【課題】 従来、困難を伴った粉体の加圧成型ペレットを用いる粉体の接触角測定方法に比べて、容易で、かつ、粉体の種類にかかわらず測定することが可能な、新しい粉体の接触角の測定方法を提供する。また、前記測定方法で求めた接触角値を用いる粉体の表面自由エネルギー測定方法、前記接触角測定方法による粉体の検査方法、該検査方法により検査された粉体を提供する。
【解決手段】 下記(1)〜(4)の行程により測定することを特徴とする粉体の接触角測定方法:
(1)粉体をバインダー樹脂に相溶させた相溶体または分散させた分散体を用いて表面占有率の異なる複合体を2種類以上作製する作製工程。
(2)前記2種類以上の複合体の接触角をそれぞれ測定する測定工程。
(3)前記表面占有率の異なる複合体に対する前記測定工程により得られた接触角をプロットするプロット工程。
(4)前記プロット工程により線形回帰直線を求め、求められた前記回帰直線を基に前記粉体の接触角を求める工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体の濡れ性などを評価する粉体の接触角測定方法、該粉体の表面自由エネルギー求出方法、該粉体の検査方法及び粉体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な分野において、物質の濡れ性や表面自由エネルギーの評価のために液体との接触角が測定されている。接触角は一般的に液滴法やメニスカス法で測定される。形状なども含めた物質表面の濡れ性を評価する場合と異なり、表面自由エネルギーなどの物質そのものの濡れ性を評価する際には、平滑面で接触角を測定する必要がある。したがってブロック状のものや、溶剤に溶解し成膜させることができるようなものであれば、容易に平滑なサンプルが作製でき接触角が測定できる。
【0003】
しかし測定したいものが粉体のような微小なサンプルである場合、そのままでは測定することができない。一般に粉体の接触角を測定する場合、粉体を加圧成型したペレット化してこれを用いている。そして接触角は表面の凹凸の影響を受けてしまうため、表面形状の影響を取り除き、粉体そのものの接触角を知るためには、なるべく平坦な面を作る必要がある(例えば特許文献1、段落「0300」参照)。
【0004】
しかしながら、粉体の種類によってはペレットの表面を平坦にすることが困難な場合がある。また粉体の種類によってはペレットを作製することができない、または作製できたとしても空隙が大きく接触角を測定する際に液体が染み込んでしまうなど、接触角を測定することができない場合があった。
【特許文献1】特開平11−311868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来、困難を伴った粉体の加圧成型ペレットを用いる粉体の接触角測定方法に比べ、容易で、かつ、粉体の種類にかかわらず測定することが可能な、新しい粉体の接触角の測定方法を提供することを目的とし、また、本発明は、前記測定方法で求めた接触角値を用いる粉体の表面自由エネルギー測定方法、前記接触角測定方法による粉体の検査方法、該検査方法により検査された粉体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下のような解決する手段により達成される。すなわち、本発明によれば、
第一に、下記(1)から(4)の行程により測定することを特徴とする粉体の接触角測定方法:
(1)粉体をバインダー樹脂に相溶させた相溶体または分散させた分散体を用いて表面占有率の異なる複合体を2種類以上作製する作製工程。
(2)前記2種類以上の複合体の接触角をそれぞれ測定する測定工程。
(3)前記表面占有率の異なる複合体に対する前記測定工程により得られた接触角をプロットするプロット工程。
(4)前記プロット工程により線形回帰直線を求め、求められた前記回帰直線を基に前記粉体の接触角を求める工程。
この際に、粉体の表面占有率100%を外挿法により求めることが好ましい。
【0007】
第二に、前記相溶体を用いた複合体のときは、粉体の表面占有率が0〜80%の範囲内で表面占有率が異なる少なくとも2種類の複合体を用いることを特徴とする粉体の接触角測定方法が提供される。
【0008】
第三に、前記分散体を用いた複合体のときは、粉体の表面占有率が0〜40%の範囲内で表面占有率の異なる少なくとも2種類の複合体を用いることを特徴とする粉体の接触角測定方法が提供される。
【0009】
第四に、前記分散体を用いた複合体のときは、前記粉体の粒径が10μm以下であることを特徴とする粉体の接触角測定方法が提供される。
【0010】
第五に、前記相溶体を用いた複合体のときは、粉体とバインダー樹脂との重量比に基づいて粉体の体積占有率を求め、前記求められた体積占有率を粉体の表面占有率として用いることを特徴とする前記に記載の粉体の接触角測定方法が提供される。
【0011】
第六に、前記分散体を用いた複合体のときは、粉体とバインダー樹脂の重量比に基づいて粉体の体積占有率を求め、前記求められた体積占有率に所定値を乗じて粉体の表面占有率とすることを特徴とする前記に記載の粉体の接触角測定方法が提供される。
【0012】
第七に、前記いずれかに記載の粉体の接触角測定方法で求めた接触角値を用いて粉体の表面自由エネルギーを求めることを特徴とする粉体の表面自由エネルギー求出方法が提供される。
【0013】
第八に、前記いずれかに記載の粉体の接触角測定方法を用いて粉体を検査することを特徴とする粉体の検査方法が提供される。
【0014】
第九に、前記に記載の粉体の検査方法を用いて検査されたことを特徴とする粉体。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の粉体の接触角測定方法によれば、粉体とバインダー樹脂との複合体を用いる方法であるので、従来の粉体の加圧成型ペレットのような測定対称物の作製自体に困難を伴うことなく容易にかつ粉体の種類にかかわらず接触角を測定することができる。さらにまた、この測定方法に基づいて粉体の表面自由エネルギーの測定や粉体の検査を行うことが可能であるなど、その応用範囲が広い。
【0016】
請求項2の粉体の接触角測定方法によれば、粉体をバインダー樹脂と相溶させた複合体のときは、粉体の表面占有率が0〜80%の範囲内で異なる少なくとも2種類の複合体を用いることから、複合体の成膜性を悪化させることなく粉体の接触角を測定することができる。
【0017】
請求項3の粉体の接触角測定方法によれば、粉体をバインダー樹脂に分散させた複合体のときは、粉体の表面占有率が0〜40%の範囲内で異なる少なくとも2種類の複合体を用いることから、複合体の成膜性を悪化させることなく粉体の接触角を測定することができる。
【0018】
請求項4の粉体の接触角測定方法によれば、粉体をバインダー樹脂に分散させた複合体のときは、粉体の粒径が10μm以下であることから、成膜時に表面を粗くさせず、また、液適法にて測定する際、粉体の表面占有率のばらつきが小さく、接触角を正確に測定することができる。
【0019】
請求項5ないし6の粉体の接触角測定方法によれば、粉体とバインダー樹脂を相溶させた複合体のときは、粉体とバインダー樹脂の重量比から、粉体の体積占有率を求め、前記体積占有率を粉体の表面占有率とすることができ、また粉体をバインダー樹脂に分散させた複合体のときは、粉体とバインダー樹脂の重量比から、粉体の体積占有率を求め、前記体積占有率を所定の値(たとえば0.8倍)を乗じることにより粉体の表面占有率を求めることができ。以上のように相溶または分散のいずれの場合も表面占有率を容易に求めることができる。
【0020】
請求項7の粉体の表面自由エネルギー測定方法によれば、上記請求項1ないし6いずれかに記載の粉体の接触角測定方法で求めた接触角値を用いて粉体の表面自由エネルギーを容易に求めることができる。
【0021】
請求項8の粉体の検査方法によれば、上記本発明の粉体の接触角測定方法を用いることにより、粉体の表面性などを検査することができ、粉体の品質管理や所望の表面性を持った粉体の製造あるいは選定などを行うことができる。
【0022】
請求項9の粉体によれば、上記粉体の検査方法により検査されているから、品質管理された粉体が得られ、また、所望の表面性を有する粉体が得られるなど生産上、利するところが多い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の粉体の接触角測定方法、粉体の表面自由エネルギーの求出方法、粉体の検査方法及びこの検査方法により得られた粉体について、詳細に説明する。
一般に、物質1と物質2から成る複合体において、該複合体表面のうち物質1の占める割合(表面占有率)をx(%)とし、液体との接触角θに対する余弦値cosθに加成性が成り立つとすると下記式(I)が成り立つ。
【0024】
【数1】

【0025】
式中、θ1、θ2はそれぞれ物質1、物質2と接触する液体との接触角を表し、θ′は複合体と接触する液体との接触角を表す。前記(I)式は、物質1の表面占有率xと複合体の接触する液体との接触角cosθ′は比例関係にあることを示している。したがって表面占有率xの異なる少なくとも2種類以上の複合体について、接触する液体とこの複合体との接触角を測定し、x対cosθ′とをプロットして線形回帰直線を求め、そこからそれぞれx=100、x=0に外挿することでcosθ1、cosθ2値、すなわち物質1、物質2と接触する液体との接触角を求めることができる。より精度よく接触角を求めるためには表面占有率の異なる複合体の種類を増やしていけばよい。
【0026】
本発明では粉体と接触する液体との接触角を測定するために上記の方法を用い、粉体をバインダー樹脂に相溶または分散した複合体を用いて接触する液体との接触角を求めて粉体と接触する液体との接触角を求める。バインダー樹脂を用いることで該複合体を容易に成膜させ、平滑な面を作ることができる。複合体は、表面占有率の異なるものが少なくとも2種類以上あればよく、その中の1つがバインダー樹脂のみであってもよい。また複合体において粉体の比率を高くすると成膜性が悪化したり、膜の表面の粗度や空隙率が大きくなると、接触角はその影響を受け、物質そのものの接触角が測定できない可能性が増す。そのため、粉体をバインダー樹脂と相溶させた複合体の場合は、粉体の表面占有率が0〜80%であり、粉体をバインダー樹脂に分散させた複合体の場合は、粉体の表面占有率が0〜40%までとしたほうが好ましい。
【0027】
粉体をバインダー樹脂に分散させる場合、粉体の粒径は10μm以下であることが望ましい。より好ましくは1μm以下である。粉体の粒径が大きくなるほど、成膜させたとき表面が粗くなってしまう。また液滴法にて接触角を測定する際、固体上に乗せる液滴の径は通常1〜3mm程度であるが、その液滴の径に対し粉体の粒径が十分小さくないと、液滴を乗せる場所による粉体の表面占有率のばらつきが大きくなり、接触角を正確に測定することができない。
【0028】
(表面占有率について)
粉体をバインダー樹脂に相溶させた複合体において、粉体の表面占有率は粉体の体積占有率と同じであると考えられる。そのため粉体をバインダー樹脂に相溶させた複合体を作製する行程において、粉体とバインダー樹脂の重量比からそれぞれの比重を用いて粉体の体積占有率を求めることで粉体の表面占有率を求めることができる。
【0029】
粉体をバインダー樹脂に分散させた複合体において、粉体の表面占有率は以下のようなモデルで求めることができる。
【0030】
(表面占有率のモデルの説明)
粉体をバインダー樹脂に分散させた複合体の一部として図1に示すような一辺Lの立方体を考える。ここで立方体内の粒子数をN、粒子の半径をrとする。次に図2のように、この立方体を一辺が2rのセルに分割する。セルの数は(L/2r)3となる。粒子が均一に分散されていると仮定すると1つのセルに粒子がある確率はN/(L/2r)3となる。図2における一番上の段(太枠)にある粒子数は、太枠内のセルの数が(L/2r)2であるから、N/(L/2r)3×(L/2r)2=N/(L/2r)となる。
【0031】
次に図2の太い点線部で切った断面が複合体の表面であると仮定する。図3は図2の太枠部のセルの1つを横から見た図であり、切られる部分は粒子の中心からa×rの位置であるとする。切られた粒子の断面の半径をRsとすると粒子の断面積はπRs2であり、表面全体ではπRs2×N/(L/2r)となる。したがって粉体粒子の表面占有率xはこの値を表面全体の面積L2で割って、
【0032】
x=πRs2×N/(L/2r)/L2 ・・・(II)
となる。
ここで粒子の体積占有率をvとすると、粒子数Nは
【0033】
N=L3×v/(4/3πr3) ・・・(III)
と表され、(2)(3)式から
【0034】
x=3Rs2 /2r2×v=3(1−a2)/2×v ・・・(IV)
となり表面占有率と体積占有率が比例することになる。比例定数はモデルとしてaをいくつにするかによって決まる。
【0035】
本発明者らはこの比例定数を実験的に求めた。平均粒径の異なる2種類のアルミナ(AA02、AA07:住友化学工業社製)をそれぞれポリカーボネート(Zポリカ:帝人化成製)に分散させた複合体を作製した。各粉体について体積占有率が10%、20%、30%、40%の複合体を作製し、作製した複合体についてFE−SEM(加速電圧2kV)にて写真(電子顕微鏡写真)を撮り、画像解析ソフトを用いて粉体部の画素数をカウントすることで粉体の表面占有率を求めた。その結果を表1に示す。なお本明細書において、ポリカーボネートをポリカという略称で言う場合がある。
【0036】
【表1】

【0037】
表1の結果から、表面占有率と体積占有率は比例し、その比例定数が約0.8になることが判った。即ちx=0.8vとなることを確認した。したがって粉体をバインダー樹脂に分散させた複合体を作製する行程において、粉体とバインダー樹脂の重量比からそれぞれの比重を用いて粉体の体積占有率を求め、さらに0.8倍することで粉体の表面占有率を求めることができる。
【0038】
本発明において、複合体の接触角の測定方法としては一般的な液滴法、メニスカス法などを用いることができる。
【0039】
以上のような本発明の粉体の接触角測定方法を用いることで粉体の接触角を測定することができる。また数種類の液体で求めた接触角値を用いることで粉体の表面自由エネルギー(表面張力)を求めることができる。表面自由エネルギーは表面処理、表面改質などの評価に利用することができ、また物質同士の付着性あるいは接着性などを評価することができる。このような接触角値から表面自由エネルギーを求める方法としては、臨界表面張力を求めるZismanプロットや、表面自由エネルギーを2または3成分で求めることができるFowkes理論、拡張Fowkes理論などを採用して求めることができる。
【0040】
さらに本発明の粉体の接触角測定方法を用いることで、粉体の表面性などを検査することができ、粉体の品質管理や所望の表面性を持った粉体の製造、選定などに利用することができる。例えば表面自由エネルギーは物質同士の付着性、接着性などの評価に用いられており、付着性等を制御するために粉体に表面処理を施すような場合などに、本発明の方法を用いて表面処理後の粉体の表面自由エネルギーを測定することで表面処理が正常に行われたかどうか、または所望の表面性(表面物性)が得られたかどうかなどを検査することができる。
【0041】
以上のように本発明によれば、今まで測定することが困難であった粉体の接触角及び表面自由エネルギーの測定方法の提供、さらに粉体の検査方法、該検査方法により検査された粉体が提供される。
【0042】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されて解釈されるものではない。
【実施例1】
【0043】
本発明の測定方法を用いて、粉体である下記構造式の有機物(1,1−ジフェニル−2−ジ−P−トリル−アミノ−P−フェニルエチレン)の接触角を測定した。
【0044】
【化1】

【0045】
〈複合体サンプルの作製〉
粉体である上記(化1)で表される有機物と、ポリカーボネート(Zポリカ:帝人化成製)をTHFに溶かした溶液を作製した。溶液の固形分(前記有機物とポリカーボネート)は10wt%であり、固形分中の有機物の割合が0,20,41,60,80vol%の溶液を作製した。
【0046】
作製した溶液をブレードコート法を用いてPETフィルム上に塗布し、150℃で20分間乾燥させることで構成比の異なる複合体を作製した。
相溶させた複合体の場合、表面占有率は体積占有率と同じであると考えられる。
【0047】
〈測定〉
作製したサンプルそれぞれについて接触角を測定した。接触角の測定には協和界面科学製自動接触角型CA-Wを用いた。また測定に用いた液体はジヨードメタン、αブロモナフタレン、純水、グリセリン、ジエチレングリコールであった。
測定結果を表2に示す。
【0048】
【表2】

【0049】
測定結果の有機物の表面占有率(x)対複合体の接触角(cosθ′)のグラフからxとcosθ′が比例していることが確認された。ここからx対cosθ′のグラフにおける線形回帰直線を求め、x=100に外挿することにより有機物の各液体に対する接触角を求めた。得られた接触角を表3に示す。
【0050】
【表3】

【実施例2】
【0051】
本発明の接触角測定方法を用いて、α−アルミナ(スミコランダム AA02:住友化学工業社製)について接触角を測定した。
【0052】
〈複合体サンプルの作製〉
下記組成の溶液をボールミル(150rpm、4日間)にて分散させ、アルミナの分散液を得た。なお部は重量部である。
・アルミナ 6.87部
・ポリカーボネート(Zポリカ:帝人化成製) 3.13部
・THF 30部
【0053】
ここで得たアルミナの分散液にポリカーボネート、THF(テトラヒドロフラン)を適宜加えることにより固形分15%、固形分中のアルミナ、ポリカーボネートの重量比が下記表4のような塗工液を得た。
【0054】
【表4】

【0055】
作製した塗工液をブレードコート法を用いてPETフィルム上に塗布し、150℃20分乾燥させることで構成比の異なる複合体を作製した。
作製したサンプルの表面占有率はアルミナ、ポリカーボネートそれぞれの比重から体積比を求め、前述の表面占有率のモデルから表面占有率を求めると下記表5のようになる。
【0056】
【表5】

【0057】
作製したサンプルそれぞれについて接触角を測定した。接触角の測定には協和界面科学製自動接触角型CA-Wを用いた。また測定に用いた液体はジヨードメタン、αブロモナフタレン、純水、グリセリン、ジエチレングリコールである。
【0058】
【表6】

【0059】
ここでも表面占有率(x)とcosθ′が比例することが確認された。ここからx対cosθ′のグラフにおける線形回帰直線を求め、x=100に外挿することによりアルミナの各液体に対する接触角を求めた。得られた接触角を表7に示す。
【0060】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】表面占有率のモデルを説明するための図で、粉体と樹脂バインダーとの複合体の一部を立方体で示した図である。
【図2】図1の複合体中の粉体の粒子数を求めるため、前記立方体をセルに分割した図である。
【図3】図2の太枠部のセルの1つを横から見た図である。
【図4】アルミナとポリカーボネートとの複合体におけるアルミナの体積占有率と表面占有率との関係を示すグラフである。
【図5】図4のアルミナとは平均粒径の異なるアルミナを使用した場合の体積占有率と表面占有率との関係を示すグラフである。
【図6】実施例による粉体有機物を用いた複合体の表面占有率と接触角(cosθ′)との関係を示すグラフである。
【図7】実施例によるアルミナを用いた複合体の表面占有率と接触角(cosθ′)との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)から(4)の行程により測定することを特徴とする粉体の接触角測定方法:
(1)粉体をバインダー樹脂に相溶させた相溶体または分散させた分散体を用いて表面占有率の異なる複合体を2種類以上作製する作製工程。
(2)前記2種類以上の複合体の接触角をそれぞれ測定する測定工程。
(3)前記表面占有率の異なる複合体に対する前記測定工程により得られた接触角をプロットするプロット工程。
(4)前記プロット工程により線形回帰直線を求め、求められた前記回帰直線を基に前記粉体の接触角を求める工程。
【請求項2】
前記相溶体を用いた複合体のときは、粉体の表面占有率が0〜80%の範囲内で表面占有率が異なる少なくとも2種類の複合体を用いることを特徴とする請求項1に記載の粉体の接触角測定方法。
【請求項3】
前記分散体を用いた複合体のときは、粉体の表面占有率が0〜40%の範囲内で表面占有率の異なる少なくとも2種類の複合体を用いることを特徴とする請求項1に記載の粉体の接触角測定方法。
【請求項4】
前記分散体を用いた複合体のときは、前記粉体の粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1または3記載の粉体の接触角測定方法。
【請求項5】
前記相溶体を用いた複合体のときは、粉体とバインダー樹脂との重量比に基づいて粉体の体積占有率を求め、前記求められた体積占有率を粉体の表面占有率として用いることを特徴とする請求項1または2記載の粉体の接触角測定方法。
【請求項6】
前記分散体を用いた複合体のときは、粉体とバインダー樹脂の重量比に基づいて粉体の体積占有率を求め、前記求められた体積占有率に所定値を乗じて粉体の表面占有率とすることを特徴とする請求項1、3または4記載の粉体の接触角測定方法。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれかに記載の粉体の接触角測定方法で求めた接触角値を用いて粉体の表面自由エネルギーを求めることを特徴とする粉体の表面自由エネルギー求出方法。
【請求項8】
請求項1ないし6いずれかに記載の粉体の接触角測定方法を用いて粉体を検査することを特徴とする粉体の検査方法。
【請求項9】
請求項8に記載の粉体の検査方法を用いて検査されたことを特徴とする粉体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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