説明

粉体吸引装置

【課題】粉体の詰まりが発生し難く、容器内の粉体を自動的にむらなく吸引できる粉体吸引装置を提供すること。
【解決手段】粉体吸引装置1は、吸引力発生手段3と、吸引力発生手段3に接続された粉体吸引管4と、粉体吸引管4を一つの回転中心線A周りに回転させる回転駆動手段5とを具備する。粉体吸引管4は、吸引力発生手段3に接続される基端側の排出口22、及び粉体を吸引する先端側の粉体吸入口21にして回転中心線Aから半径方向に離間して設けられた粉体吸入口21を有する粉体通路16を形成する粉体吸引管本体17と、基端側の吸気口23及び粉体吸入口21の近傍で粉体通路16内に開口する先端側の空気供給口24を有する空気通路18を形成する吸気管19とを具備し、粉体吸引管4が、回転しながら、粉体吸入口21から粉体を吸引すると共に吸気口23から空気を吸引する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体の吸引に用いる粉体吸引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器に貯留された粉体を吸引して、それを消費する他の装置に自動供給する粉体吸引装置が、例えば熱交換器の製造において用いられている。この場合の粉体は、熱交換器のアルミニュウム製チューブ部材等をろう付けする際に用いられる例えばフッ化アルミを主成分とする粉末フラックスであり、フラックス塗布工程に供給され、そこでろう付け対象部材であるチューブ部材等に塗布される。従来、フラックス塗布工程に自動的に粉末フラックスを供給するために、吸引ノズルと吸引ポンプを利用した粉体吸引装置が用いられてきた。この装置の吸引ノズルはその管路の縦軸線にほぼ整列した粉体吸入口を先端に備えており、また前記縦軸線を中心に回転駆動される間に、吸引ノズルに連通された吸引ポンプによって粉末フラックスを粉体吸入口から吸引してフラックス塗布工程に供給するものである。
【0003】
通常、粉末フラックスは粒度が小さくまた付着性及び凝集性が比較的高いことから、特に吸引ノズルの粉体吸入口付近で詰まりが発生することがあった。このように詰まりが発生すると、フラックス塗布工程へのフラックスの自動的で安定的な供給が阻害されることはもちろん、詰まりを解消するための労力も発生する。また、容器内の粉末をむらなく吸引することができずその結果フラックスの残量が多いことも従来の装置の課題であった。
【0004】
粉体の詰まりの発生を防ぐために、圧縮空気を粉体吸引口内で粉体に噴射する粉体吸引ノズルが特許文献1に記載されている。しかしながら、この粉体吸引ノズルは、圧縮空気源を必要とすること、及び容器内の粉体を自動的にむらなく吸引するという観点では課題を残しているものと考えられる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−289853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した従来技術の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、粉体の詰まりが発生し難く、容器内の粉体を自動的にむらなく吸引できる粉体吸引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、吸引力発生手段(3)と、吸引力発生手段(3)に接続された粉体吸引管(4)と、粉体吸引管(4)を一つの回転中心線(A)周りに回転させる回転駆動手段(5)と、を具備する粉体吸引装置であって、粉体吸引管(4)が、吸引力発生手段(3)に接続される基端側の排出口(22)、及び粉体を吸引する先端側の粉体吸入口(21)にして回転中心線(A)から半径方向に離間して設けられた粉体吸入口(21)を有する粉体通路(16)を形成する粉体吸引管本体(17)と、基端側の吸気口(23)及び粉体吸入口(21)の近傍で粉体通路(16)内に開口する先端側の空気供給口(24)を有する空気通路(18)を形成する吸気管(19)とを具備し、回転しながら、粉体吸入口(21)から粉体を吸引すると共に吸気口(23)から空気を吸引することを特徴としている。
【0008】
これにより、粉体吸入口(21)から吸引された粉体の流れに空気供給口(24)からの空気が合流するので、空気含有量の多い、従って詰まりの発生し難い粉体の流れを得ることができる。また、粉体吸引管が回転することにより粉体の流動が促進され、また回転中心から半径方向に離間された粉体吸入口(21)の方向及び位置も変化するので、粉体をむらなく効率的に吸引することが可能になる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、吸引力発生手段(3)及び粉体吸引管(4)及び回転駆動手段(5)を固定支持して昇降移動する昇降ブラケット(6)と、昇降ブラケット(6)を懸垂支持する懸垂支持手段(7)とを更に具備し、粉体吸引管(4)が回転しながら重力に基づいて下降する間に粉体及び空気を吸引する粉体吸引装置であって、懸垂支持手段(7)は、立設された固定フレーム(10)にして昇降ブラケット(6)を案内する固定フレーム(10)と、錘(11)と、固定フレーム(10)に固定されたプーリ(12)と、一端が錘(11)に連結され、他端が昇降ブラケット(6)に連結され、中間部がプーリ(12)に巻き掛けられたワイヤ(13)とを具備し、錘(11)の重量が、粉体吸引管(4)の下降速度を低下させる方向に作用することを特徴としている。これにより、粉体吸引管(4)は下降しながら回転するので、粉体を更にむらなく効率的に吸引することが可能になる。また下降のための動力は不要であり、下降の速度も錘(11)の重量を調節することにより所望の値を容易に得ることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、粉体吸引管(4)の粉体吸引管本体(17)の粉体通路(16)は、粉体吸入口(21)を有し且つ空気供給口(24)が開口する上流側通路部(28)と、排出口(22)を有する下流側通路部(27)とから構成され、粉体吸引管本体(17)が、回転中心線(A)に平行な縦軸線(A)を有して下流側通路部(27)を形成する直線状の第1パイプ部(25)と、第1パイプ部(25)の縦軸線(A)に対して垂直に延びて上流側通路部(28)を形成する第2パイプ部(26)とから構成され、粉体吸入口(21)は、回転中心線(A)に関する回転において先行する側の第2パイプ部(26)の周壁に、第2パイプ部(26)の縦軸線(A)の方向に長く形成されていることを特徴としている。
【0011】
これにより、第2パイプ部(26)に沿って長く形成された粉体吸入口(21)は、例えば円筒形タンクに堆積された粉体を回転しながら吸引するとき、その横長の形状により効率的な吸引を可能にする。また、回転の半径方向に延びる第2パイプ部(26)による粉体の撹拌効果も得られる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載の発明において、吸気管(19)の空気通路(18)が、上流側通路部(28)内に開口する複数の空気供給口(24)を有することを特徴としている。これにより、粉体吸入口(21)の形状及び大きさに応じて複数の空気供給口(24)を最適な位置に分散配置することが可能になる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、粉体吸引管(4)が回転されたとき粉体吸入口(21)の進行方向前方にある粉体中を掘進すると共に該粉体の半径方向外側への移動を妨げるように形成された掘進障壁部材(33)を粉体吸引管(4)が更に具備することを特徴としている。これにより、掘進障壁部材(33)に移動を阻止された粉体が粉体吸入口(21)へ導かれ易くなること、及び粉体吸入口(21)前方の粉体に対する突き崩し及び撹拌作用が得られる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、掘進障壁部材(33)が、回転の半径方向内側に湾曲した帯状部材として形成され、第2パイプ部(26)の端部に該帯状部材の基端部が固定され、自由端である先端部(33a)が先細に形作られていることを特徴としている。これにより、掘進障壁部材(33)が前進する際の抵抗が減少するとともに、粉体に対する破砕作用が高められる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項3〜6に記載の発明において、第1パイプ部(25)に一端が固定され、第1パイプ部(25)の縦軸線(A)に対して交差する軸線(A)を有する少なくとも一つの撹拌部材(34)を更に具備することを特徴としている。これにより、粉体に対する撹拌効果が更に高められる。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、撹拌部材(34)が、少なくとも部分的に可撓性であることを特徴としている。これにより、例えば粉体を貯留している円筒形タンクの入り口が狭まっている場合であっても、撹拌部材(34)を撓ませてタンク入り口を通過させることができるので、その入り口の内径より大きい回転円外径を有する撹拌部材(34)を用いることができる。
【0017】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本願発明の実施例による粉体吸引装置1及び粉体(不図示)が貯留された円筒形のタンク2の模式的斜視図である。なお、本実施例では、吸引される粉体はアルミ材のロウ付け用のフッ化アルミを主成分とした粉末フラックスである。
【0019】
図1の粉体吸引装置1は、吸引力を発生する吸引力発生手段3である例えばベンチュリポンプ3と、図1では上部基端側のみが示されている粉体吸引管4と、鉛直方向に延びる回転中心線Aを中心にして粉体吸引管4を図の矢印Rの方向に回転駆動する回転駆動手段5と、ベンチュリポンプ3及び粉体吸引管4及び回転駆動手段5を固定支持して昇降移動する昇降ブラケット6と、昇降ブラケット6を懸垂支持する懸垂支持手段7と、粉体吸引管4とベンチュリポンプ3との間に介装された回転継手8と、タンク置き台9を具備し、粉体吸引管4が回転しながら重力に基づいて下降するように構成されている。図1は、昇降ブラケット6がその下限位置まで下降した状態を示しており、粉体吸引管4の先端側の図示されない粉体吸入口21は粉末フラックス内に没入され、タンク2の底面間際に位置している。また、タンク2から吸引された粉末フラックスはベンチュリポンプ3の吐出管48を通って図示されない例えばロウ付け装置等の他の装置へ送給される。
【0020】
次に、本実施例の粉体吸引装置1の各構成要素をより詳細に以下に説明する。
まず、懸垂支持手段7は、昇降ブラケット6を上下に案内する立設された固定フレーム10と、錘11と、固定フレーム10に固定されたプーリ12と、一端が錘11に連結され他端が昇降ブラケット6に連結され中間部がプーリ12に巻き掛けられたワイヤ13とを具備し、重力に基づいて粉体吸引管4がゆっくり粉末フラックス中を下降するように構成されている。昇降ブラケット6には、それ自身の重量と粉体吸引管4及び回転駆動手段5及びベンチュリポンプ3の重量による下向きの力が作用し、粉体吸引管4が粉末フラックスから受ける上向きの抵抗力と錘11の重量に基づく力とが上向きに作用する。従って、錘11の重量を増減することにより昇降ブラケット6の下降速度を最適な値に近づけることが可能になる。また、この実施例における懸垂支持手段7では、昇降ブラケット6を上昇させるときに人が錘11を押し下げるために、錘11に二本の水平なハンドル14が設けられていてる。また押し下げた錘11をその下限位置でロックするために、図示しないロック装置が設けられている。また、粉体吸引管4の下降時、錘11を所定の上限位置で停止させることにより粉体吸引管4の先端がタンク2の底面に接する僅か手前で下降を停止させるために、錘用ストッパ15が固定フレーム10に固定されている。さらに、錘11がストッパ15に当接したとき、回転駆動手段5及びベンチュリポンプ3の作動を停止するために、錘11がストッパ15と同時に当接する図示されないマイクロスイッチのアクチュエータも固定フレーム10に設けられている。
【0021】
図2は本発明の実施例による粉体吸引管4の単体での正面図である。粉体吸引管4は、粉体通路16を形成する粉体吸引管本体17と空気通路18を形成する吸気管19とを具備している。前記粉体吸引管本体17内の粉体通路16は、粉末フラックス(図示せず)を吸引するために粉末フラックスの堆積に没入される先端側の粉体吸入口21と、図2には示されない回転継手8を介してベンチュリポンプ3に接続される基端側の排出口22とを有している。粉体吸入口21は回転中心線Aから半径方向に離間されて設けられている。また、吸気管19内の空気通路18は、基端側の吸気口23と先端側の空気供給口24とを有していて、前記空気供給口24は、本実施例では先端側で分岐された二つの空気供給口24として設けられている。吸気口23は、粉体吸入口21が粉末フラックスを吸引しているときも大気に開放しているように粉体吸入口21から上方に離間されて設けられている。
【0022】
図2に示される粉体吸引管4では、粉体吸引管本体17は、前記回転中心線Aと一致する縦軸線Aを有する直線状の第1パイプ部材25と、前記第1パイプ部材25の縦軸線Aに対して垂直に延び、一端が第1パイプ部材25に溶接されている第2パイプ部材26とから構成されている。粉体通路16は、第2パイプ部材26により形成されて粉体吸入口21を有する上流側通路部28と、第1パイプ部材25により形成されて排出口22を有する下流側通路部27とから構成されている。図3は、図2のY−Y断面図、すなわち空気供給口24部分における第2パイプ部材26の横断面を示す図であり、図中矢印Cが粉体吸入口21から吸引される粉体の流れを表し、矢印Dが空気供給口24へ向かって流れる空気の流れを表している。粉体吸入口21は、第2パイプ部材26の水平に延びる縦軸線Aの方向に長い長円形として第2パイプ部材26の周壁部に形成されていて、図2及び図3からわかるように、粉体吸引管4が矢印Rで示される回転方向に回転されたとき先行する側の第2パイプ部材26の周壁に開口されている。
【0023】
第1パイプ部材25と第2パイプ部材26との接合部の第1パイプ部材25の周壁には、上流側通路部28と下流側通路部27とが連通するように、図示されない周壁貫通穴が開けられている。また第1パイプ部材25の先端部には、該先端部を塞ぐため、及び第2パイプを補強するため、及び下降時の粉末フラックスからの抵抗を大きくする等の目的でフランジ状の円板29が溶接されている。ところで、図2の実施例における粉体吸引管本体17は、二つの別個の第1パイプ部材25と第2パイプ部材26を溶接することにより形成されているが、特にパイプ径が比較的細い場合には、一本のパイプ部材を先端部付近でL字形に屈曲させることにより、図2に示す粉体吸引管本体17と同等のものを形成することも可能である。
【0024】
前記吸気管19は、本実施例においては、第1パイプ部材25に固定された直管部31と、先端側の分岐管路部32とから構成されており、分岐管路部32の先端の二つの空気供給口24が上流側通路部28内に開口するように分岐管路部32の先端が第2パイプ部材26の上部周壁部に接合されている。なお、本発明では、空気供給口24の数量はもちろん二つに限定されるものではなく他の任意の数量が可能である。また、本実施例では吸気量は一定であるが、吸気量を調節するために絞り弁等の流量調整手段を吸気管19に付加することも可能である。
【0025】
さらに、本実施例における粉体吸引管4は、第2パイプ部材26の外端部に一端が固定された帯状で湾曲しかつ先端が先細にされている掘進障壁部材33を備えている。この掘進障壁部材33は、第2パイプ部材26の外径とほぼ等しい幅を有して第2パイプ部材26の外端部を塞いでおり、またその固定された基端部から、粉体吸引管4の回転の半径方向内側に湾曲して延在している。また掘進障壁部材33の自由端である先端部33aは、図3で示されるように、部材の幅が減少されて先細にされている。ところで、粉体吸引管4が回転されたとき、粉体吸入口21の進行方向前方にある粉末フラックスのうちのある部分は、粉体吸入口21に吸い込まれないで半径方向外側に流れようとするが、掘進障壁部材33を設けることにより粉末フラックスの半径方向外側への移動が妨害され、その結果粉体吸入口21に導かれ易くなる。また、掘進障壁部材33は先細にされた先端部33aを有するので、例えば凝集して固まりかけたフラックスの場合でもそれを突き崩しながら進むことができる。なお、掘進障壁部材33は、図2に示すように内側に湾曲した帯状部材から形成することが抵抗を減ずるので好適であるが、他の形状、例えば回転の接線方向から半径方向内側へ直線的に傾斜した形状も可能である。
【0026】
さらに、図2に示すように、粉体吸引管4は、その回転により粉末フラックスを撹拌するために、第1パイプ部材25の縦軸線Aに垂直な方向に延びる縦軸線Aを有する撹拌部材34を5本具備している。本実施例における撹拌部材34は、第1パイプ部材25に溶接固定された取付棒部分35と、該取付棒部分35に嵌着して2個のボルト36でねじ固定される撹拌棒部分37とから構成されている。撹拌棒部分37は取付棒部分35に接続されるパイプ材で形成された接続部38と、該接続部38に固定された先端側の可撓性部分39とから構成され、前記可撓性部分39はコイルスプリングから形成されている。可撓性部分39が設けられているので、フラックスを貯留するタンク2の入り口部が狭められているタンク2の場合であっても、粉体吸引管4をタンク2に挿入する際に可撓性部分39を撓ませることができ、そのため撹拌部材34の先端の回転中心線Aからの位置をタンク2の入り口部の内径より外側に設定することが可能になる。また、通常フラックスはビニール袋(不図示)に入った状態でタンク2に入れられているが、撹拌部材34が可撓性を有することにより、その先端が前記ビニール袋に引っ掛かり難くなるという効果も得られる。
【0027】
本実施例では、撹拌部材34の可撓性部分39はコイルスプリングから形成されているが、コイルスプリングではなく可撓性を有する合成樹脂製のチューブ材から形成されてもよい。また、撹拌部材34の本数は5本に限定されるものではなく他の任意の自然数も可能である。さらに、撹拌部材34の縦軸線Aは、本実施例では第1パイプ部材25の縦軸線Aに対して垂直に延びているが、本発明においてはこのように垂直に限定されるものではなく、第1パイプ部材25の縦軸線Aに交差する任意の角度が可能である。また、図2では5本の撹拌部材34が一列に整列されているが、このように整列されていなくてもよい。
【0028】
図1に戻って回転駆動手段5について説明すると、本実施例における回転駆動手段5は、昇降ブラケット6に固定されたモータ41と、該モータ41の出力軸の先端に結合された第1プーリ42と粉体吸引管4の上端部に結合された第2プーリ43と、第1及び第2プーリ42、43に巻き掛けられた伝動ベルト44とを具備している。これにより、モータ41が始動すると粉体吸引管4は回転中心線Aを中心にして矢印Rの方向に回転駆動される。
【0029】
ベンチュリポンプ3は、ポンプ本体45と吸引短管46とエアー管47と吐出管48とを具備し、吸引短管46が回転継手8の一端側(不図示)に連結されると共に昇降ブラケット6に固定されている。
【0030】
次に、粉体吸引管4とベンチュリポンプ3との接続について説明すると、粉体吸引管4はその上端部が回転継手8の他端側(不図示)に固定され、回転継手8が昇降ブラケット6に固定されることにより、鉛直及び水平方向には移動不能であるが回転中心線Aを中心に回転可能に昇降ブラケット6により支持されている。一方、ベンチュリポンプ3はその吸引短管46が昇降ブラケット6に固定されると共に前記回転継手8の一端側に接続されているので、粉体吸引管4の上端部の排出口22に流体連通はするが、粉体吸引管4の回転運動がベンチュリポンプの吸引短管46に伝達されることはない。
【0031】
次に、本実施例による粉体吸引装置1の作動について、該装置の使用手順を含めて以下に説明する。
最初に、粉体吸引管4を上方の所定位置にセットするために、錘11のハンドル14を人力によって押し下げて錘11をその下限位置でロックする。次に、粉末フラックスが貯留されたタンク2を所定の位置、すなわちタンク2の中心と回転中心線Aとが合う位置に配置する。次に、ベンチュリポンプ3と回転駆動手段5のモータ41のスイッチをONに投入してそれらを始動する。次に、錘11のロックを解除して、粉体吸引管4を重力により下降させる。そうすると、粉体吸引管4は回転中心線A周りに回転しながら徐々に下降し、粉体吸入口21が粉末フラックス中に没入し粉末フラックスを吸引する。ただし、吸気管19の吸気口23は上部に設けられて大気に開放しているので、粉体吸引管4はその粉体吸入口21から粉末フラックスを吸引する間に吸気口23から同時に空気を吸引し、その空気を空気供給口24において粉末フラックスの流れに合流させる。その結果、空気を比較的多量に含んだ粉末フラックスが粉体通路16内を通過して排出口22からベンチュリポンプ3の吸引短管46及び吐出管48を経て、ロウ付け装置等のフラックスを消費する装置へ送られる。そして、錘11がそのストッパ15に当接すると粉体吸引管4の下降は停止し同時にモータ41及びベンチュリポンプ3も停止する。
【0032】
本実施例の粉体吸引装置1においては、前述したとおり、粉末フラックスと共に吸気管19経由で空気を吸引するので、粉末フラックスは空気含有量が多く従って詰まり難い状態で粉体通路16及びベンチュリポンプ3の各管路を流れることが可能である。また、粉体吸引管4は下降しながら回転することにより粉末フラックスの流動が促進され且つ半径方向に延びる粉体吸入口21の位置が変化するので、タンク2内の粉末フラックスをむらなく効率的に吸引することが可能になる。この効果は撹拌部材34を設けたこと及び水平に延びる第2パイプ部材26によって促進される。さらに、掘進障壁部材33を設けたことにより、粉末フラックスの突き崩しと粉体吸入口21へのフラックスの誘導が促進される。
【0033】
前述の実施例による粉体吸引装置1は、吸引力発生手段3と粉体吸引管4と回転駆動手段5の他に昇降ブラケット6及び懸垂支持手段7を備え、回転し且つ下降する粉体吸引管4が粉末フラックスを吸引するように構成されているが、本発明において、下降しない粉体吸引管を備える粉体吸引装置も可能である。なお、そのような装置は、前述の実施例の粉体吸引装置の昇降ブラケット6を移動不能となるように固定することにより容易に実現される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例による粉体吸引装置の模式的斜視図である。
【図2】前記粉体吸引装置の粉体吸引管の正面図である。
【図3】図2のY−Y断面図である。
【符号の説明】
【0035】
3 ベンチュリポンプ
4 粉体吸引管
5 回転駆動手段
6 昇降ブラケット
7 懸垂支持手段
11 錘
16 粉体通路
17 粉体吸引管本体
18 空気通路
19 吸気管
21 粉体吸入口
22 排気口
23 吸気口
24 空気供給口
33 掘進障壁部材
34 撹拌部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力発生手段(3)と、
前記吸引力発生手段(3)に接続された粉体吸引管(4)と、
前記粉体吸引管(4)を一つの回転中心線(A)周りに回転させる回転駆動手段(5)と、を具備する粉体吸引装置であって、
前記粉体吸引管(4)は、前記吸引力発生手段(3)に接続される基端側の排出口(22)、及び粉体を吸引する先端側の粉体吸入口(21)にして前記回転中心線(A)から半径方向に離間して設けられた粉体吸入口(21)を有する粉体通路(16)を形成する粉体吸引管本体(17)と、基端側の吸気口(23)及び前記粉体吸入口(21)の近傍で前記粉体通路(16)内に開口する先端側の空気供給口(24)を有する空気通路(18)を形成する吸気管(19)と、を具備し、
前記粉体吸引管(4)が、回転しながら、前記粉体吸入口(21)から粉体を吸引すると共に前記吸気口(23)から空気を吸引することを特徴とする粉体吸引装置。
【請求項2】
前記吸引力発生手段(3)及び前記粉体吸引管(4)及び前記回転駆動手段(5)を固定支持して昇降移動する昇降ブラケット(6)と、前記昇降ブラケット(6)を懸垂支持する懸垂支持手段(7)とを更に具備し、前記粉体吸引管(4)が回転しながら重力に基づいて下降する間に粉体及び空気を吸引する請求項1に記載の粉体吸引装置であって、
前記懸垂支持手段(7)は、立設された固定フレーム(10)にして前記昇降ブラケット(6)を案内する固定フレーム(10)と、錘(11)と、前記固定フレーム(10)に固定されたプーリ(12)と、一端が前記錘(11)に連結され、他端が前記昇降ブラケット(6)に連結され、中間部が前記プーリ(12)に巻き掛けられたワイヤ(13)と、を具備し、
前記錘(11)の重量が、前記粉体吸引管(4)の下降速度を低下させる方向に作用することを特徴とする、粉体吸引装置。
【請求項3】
前記粉体吸引管(4)の前記粉体吸引管本体(17)の前記粉体通路(16)は、前記粉体吸入口(21)を有し且つ前記空気供給口(24)が開口する上流側通路部(28)と、前記排出口(22)を有する下流側通路部(27)とから構成され、
前記粉体吸引管本体(17)が、前記回転中心線(A)に平行な縦軸線(A)を有して前記下流側通路部(27)を形成する直線状の第1パイプ部(25)と、前記第1パイプ部(25)の前記縦軸線(A)に対して垂直に延びて前記上流側通路部(28)を形成する第2パイプ部(26)とから構成され、
前記粉体吸入口(21)は、前記回転中心線(A)に関する回転において先行する側の前記第2パイプ部(26)の周壁に、前記第2パイプ部(26)の縦軸線(A)の方向に長く形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体吸引装置。
【請求項4】
前記吸気管(19)の前記空気通路(18)が、前記上流側通路部(28)内に開口する複数の空気供給口(24)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉体吸引装置。
【請求項5】
前記粉体吸引管(4)が回転されたとき前記粉体吸入口(21)の進行方向前方にある粉体中を掘進すると共に該粉体の半径方向外側への移動を妨げるように形成された掘進障壁部材(33)を前記粉体吸引管(4)が更に具備することを特徴とする、請求項3又は4に記載の粉体吸引装置。
【請求項6】
前記掘進障壁部材(33)は、前記回転の半径方向内側に湾曲した帯状部材として形成され、前記第2パイプ部(26)の端部に該帯状部材の基端部が固定され、自由端である先端部(33a)が先細に形作られていることを特徴とする、請求項5に記載の粉体吸引装置。
【請求項7】
前記第1パイプ部(25)に一端が固定され、前記第1パイプ部(25)の縦軸線(A)に対して交差する軸線(A)を有する少なくとも一つの撹拌部材(34)を更に具備することを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の粉体吸引装置。
【請求項8】
前記撹拌部材(34)は、少なくとも部分的に可撓性であることを特徴とする、請求項7に記載の粉体吸引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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