説明

粉体回収装置および画像形成装置

【課題】粉体回収容器における誤検知を減らすこと。
【解決手段】回収された粉体が蓄積される粉体回収容器(1)と、光を照射する発光部(11a)と、前記発光部(11a)から照射された光を受光する受光部(11b)とを有する光センサ(11)と、前記粉体回収容器(1)の壁面に配置され且つ内部が粉体回収容器(1)と連通して粉体が進入可能な検知空間(7c)を有する検知部(7)であって前記粉体回収容器(1)内部からの力に応じて前記発光部(11a)と前記受光部(11b)との間に進入する進入位置に移動する前記検知部(7)と、を備えたことを特徴とする粉体回収装置(CLt)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーや紙粉等の粉体を回収する粉体回収装置および前記粉体回収装置を備えたプリンタ、FAX、複写機またはこれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置に関し、特に、回収された粉体の量を検知するための光センサを備えた粉体回収装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置では、記録用紙にトナー像が転写された後に像担持体(感光体や中間転写体)表面にトナーが残留したり、記録用紙からの紙粉が付着したりすることがある。したがって、従来の画像形成装置には、残留トナーや紙粉等の粉体をクリーナで除去して、粉体回収容器に搬送し蓄積することで粉体の回収を行っている。
このような粉体回収装置では、前記粉体回収容器に蓄積された粉体の量を検出して、適切な時期に交換する必要がある。
【0003】
粉体回収容器に収容された粉体の量を検出するための技術として、下記の従来技術(J01)、(J02)が公知である。
(J01)特許文献1(特開2002−341710号公報)記載の技術
特許文献1には、回収ボックス(20)の1側面部(20b)に、回収ボックス内部に向けて窪むように突出する2つの凹部(33,34)を形成し、各凹部(33,34)にフォトセンサ(50)の発光部(51)と受光部(52)とを配置することにより、凹部(33,34)により挟まれた内部空間(31)の高さまで現像剤が蓄積されたか否かを検出する技術が記載されている。また、特許文献1では、前記内部空間(31)と回収ボックス(20)との間に仕切部材(40)を配置し、内部空間(31)に舞い上がった現像剤が進入しないように構成されている。
【0004】
(J02)特許文献2(特開2000−132033号公報)、特許文献3(特開2003−156983号公報)、特許文献4(特開平10−69199号公報)記載の技術
特許文献2〜4には、トナー回収容器に形成された検査光透過窓の外側に配置された発光部および受光部により回収された現像剤の量を検出すると共に、前記検査光透過窓に付着した現像剤を回転する清掃部材により掻き取る技術が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−341710号公報(「0027」〜「0062」、図3、図4)
【特許文献2】特開2000−132033号公報(図2)
【特許文献3】特開2003−156983号公報(図3)
【特許文献4】特開平10−69199号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(従来技術の問題点)
前記従来技術では、粉体回収容器の一部(検知部分)を、光センサの検査光が通過または遮光されることにより検出が行われる。前記粉体回収容器は内部の粉体が満杯になると交換する必要があるため装置本体に対して着脱可能となっているが、光センサは一般的に装置本体に固定され着脱不能に構成されている。したがって、粉体回収容器装着時に、部品公差やガタ等により光センサの光軸と検知部分との位置がズレ、検出精度が低下して誤検知が発生するという問題があった。特に、公差等により、検知部分が検査光の光路上に進入しない状態で装着されると、トナー有無の検出ができないという問題がある。
また、仮に光センサを粉体回収容器に配置すると、粉体回収容器を交換する際に光センサも交換されるため、コスト高になる問題がある。
【0007】
本発明は前記事情に鑑み、次の記載内容(O01)を技術的課題とする。
(O01)粉体回収容器における誤検知を減らすこと。
【課題を解決するための手段】
【0008】
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の構成要素には、後述の実施例の構成要素との対応を容易にするため、実施例の構成要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。
なお、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0009】
(第1発明)
前記技術的課題を解決するために第1発明の粉体回収装置(CLt)は、
回収された粉体が蓄積される粉体回収容器(1)と、
光を照射する発光部(11a)と、前記発光部(11a)から照射された光を受光する受光部(11b)とを有する光センサ(11)と、
前記粉体回収容器(1)の壁面に配置され且つ内部が粉体回収容器(1)と連通して粉体が進入可能な検知空間(7c)を有する検知部(7)であって、前記粉体回収容器(1)内部からの力に応じて前記発光部(11a)と前記受光部(11b)との間に進入する進入位置に移動する前記検知部(7)と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
(第1発明の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の粉体回収装置(CLt)では、粉体回収容器(1)は、回収された粉体が蓄積される。光センサ(11)は、光を照射する発光部(11a)と、前記発光部(11a)から照射された光を受光する受光部(11b)とを有する。検知部(7)は、前記粉体回収容器(1)の壁面に配置され且つ内部が粉体回収容器(1)と連通して粉体が進入可能な検知空間(7c)を有する。前記検知部(7)は、前記粉体回収容器(1)内部からの力に応じて前記発光部(11a)と前記受光部(11b)との間に進入する進入位置に移動する。
したがって、第1発明の粉体回収装置(CLt)では、前記光センサ(11)から照射される光の光路上の進入位置に前記検知部(7)が移動するので、前記粉体回収容器(1)の位置精度や製造誤差、ガタツキ等により発生する前記光センサ(11)の誤検知(検知不良)を低減させることができる。
【0011】
(第1発明の形態1)
第1発明の形態1の粉体回収装置(CLt)は、第1発明において、
前記検知空間(7c)内部に進入して前記検知空間(7c)内の粉体を掻き出す掻き出し部材(9)を有し、前記粉体回収容器(1)内で回転駆動し、前記検知部(7)を内部から押圧する力を作用させる回転部材(8)、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
(第1発明の形態1の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態1の粉体回収装置(CLt)では、回転部材(8)は、前記検知空間(7c)内部に進入して前記検知空間(7c)内の粉体を掻き出す掻き出し部材(9)を有し、前記粉体回収容器(1)内で回転駆動し、前記検知部(7)を内部から押圧する力を作用させる。したがって、前記検知部(7)は、前記回転部材(8)が回転することにより、前記粉体回収容器(1)の内部から押圧されて進入位置に移動する。
第1発明の形態1の粉体回収装置(CLt)では、前記掻き出し部材(9)により、前記検知空間(7c)に進入した粉体や、前記検知部(7)の内側面に付着した粉体が除去されるため、前記検知空間(7c)の粉体有無を誤検知することを低減することができる。
【0013】
(第1発明の形態2)
第1発明の形態2の粉体回収装置(CLt)は、第1発明または第1発明の形態1において、
前記検知部(7)を前記粉体回収容器(1)内部から押圧する力を作用させる前記粉体回収容器(1)内部に蓄積された前記粉体、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の形態2の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態2の粉体回収装置(CLt)では、前記粉体は、前記粉体回収容器(1)内部に蓄積されて、前記検知部(7)を前記粉体回収容器(1)内部から押圧する力を作用させる。
【0014】
(第1発明の形態3)
第1発明の形態3の粉体回収装置(CLt)は、第1発明または第1発明の形態1もしくは第1発明の形態2のいずれかにおいて、
トナーにより構成された前記粉体、
を備えたことを特徴とする。
(第1発明の形態3の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態3の粉体回収装置(CLt)では、前記粉体は、トナーにより構成されている。したがって、前記粉体回収装置(CLt)には、トナーが蓄積される。
【0015】
(第2発明)
第2発明の画像形成装置(U)は、第1発明および第1発明の形態1ないし第1発明の形態3のいずれかの粉体回収装置(CLt)を備えたことを特徴とする。
(第2発明の作用)
前記構成を備えた第2発明の画像形成装置(U)は、第1発明および第1発明の形態1ないし第1発明の形態3のいずれかの粉体回収装置(CLt)を備えている。
したがって、第2発明の画像形成装置(U)では、前記検知部(7)が進入位置に移動するので、前記粉体回収容器(1)の位置精度や製造誤差、ガタツキ等により発生する前記光センサ(11)の誤検知(検知不良)を低減させることができる。
【発明の効果】
【0016】
前述の本発明は、下記の効果(E01)を奏する。
(E01)粉体回収容器における誤検知を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の斜視説明図である。
図2は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置としてのプリンタUは、画像が記録される用紙が収容される給紙カセットTR1が下部に収容されており、上面には排出トレイTRhが設けられている。前記プリンタUの前側上部には、UI(ユーザインタフェース)が設けられている。前記UIは、図示しない電源スイッチ、ディスプレイ等が設けられている。
図2において、前記プリンタUは、マイクロコンピュータにより構成されたコントローラCや、前記コントローラCにより作動を制御されるIPS(イメージプロセッシングシステム)、レーザ駆動回路DLおよび電源装置E等を有している。前記電源装置Eは、後述の帯電ローラCRy〜CRk、現像器Gy〜Gkおよび転写ローラRt等にバイアス電圧を印加する。
【0019】
前記IPS(イメージプロセッシングシステム)は、外部のホストコンピュータ等から入力された印字データを、K(黒),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の4色の画像に対応した潜像形成用の画像データに変換して、所定のタイミングでレーザ駆動回路DLに出力する。レーザ駆動回路DLは、入力された各色の画像データに応じてレーザ駆動信号を潜像形成装置ROS(光走査装置)に出力する。前記ROSは、レーザ駆動信号に応じて、各色の画像書き込み用のレーザビーム(画像書込光)Ly、Lm,Lc,Lkを出射する。
【0020】
前記ROSの上方には、トナー(現像剤)を補給するための現像剤補給装置Uaが配置されている。前記ROSの前方にはK(黒),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各色のトナー像を形成するトナー像形成装置UK,UY,UM,UCが配置されている。K(黒)のトナー像形成装置UKのドラム状の感光体(像担持体)Pkの周囲には、帯電器としての帯電ロールCRk、現像器Gk、感光体用トナー吸着保持部材CLk等が配置されている。
そして、他のトナー像形成装置UY,UM,UCの前記感光体Py,Pm,Pcの周囲にもそれぞれ前記感光体Pkの周囲と同様の帯電器CRy,CRm,CRc、現像器Gy,Gm,Gc、感光体用トナー吸着保持部材CLy,CLm,CLc等が配置されている。
【0021】
前記トナー像形成装置UY,UM,UC,UKの前方には中間転写装置Utが配置されている。中間転写装置Utは、3つの中間転写ドラム(中間トナー像担持体)DR1,DR2,DR3を有する。第1中間転写ドラムDR1は、Y色の感光体Pyと1次転写領域Qyで接触し且つM色の感光体Pmに1次転写領域Qmで接触する。第2中間転写ドラムDR2は、C色の感光体Pcと1次転写領域Qcで接触し且つK色の感光体Pkと1次転写領域Qkで接触する。第3中間転写ドラムDR3は、各中間転写ドラムDR1、DR2と中間転写領域Q31、Q32で接触する。
前記第3中間転写ドラムDR3の前方には、2次転写領域Q2で接触する2次転写ロール(2次転写器)Rtが対向して配置されている。前記2次転写ロールRtには、2次転写ロールRt表面のトナーをクリーニングする2次転写ロールクリーナCLtが接触している。
前記中間転写ドラムDR1およびDR2の回転方向で中間転写領域Q31およびQ32の下流側には、中間転写ドラム用トナー吸着保持部材CL1およびCL2が配置されている。また、前記第3中間転写ドラムDR3の回転方向で2次転写領域Q2の下流側には、中間転写ドラム用トナー吸着保持部材CL3が配置されている。前記各中間転写ドラムDR1〜DR3および2次転写ロールRtには、トナー像転写用のバイアスが印加される。
【0022】
図2において、感光体(1次トナー像担持体)Py,Pm,Pc,Pkは、それぞれ帯電ロールCRy,CRm,CRc,CRkにより一様に帯電された後、前記潜像形成装置ROSの出力するレーザビームLy,Lm,Lc,Lkによりその表面に静電潜像が形成される。フルカラー画像を形成する場合は、Y,M,C,Kの4色の画像に対応した静電潜像が各感光体Py,Pm,Pc,Pkに形成され、モノクロ画像の場合はK(黒)の画像に対応した静電潜像のみが感光体Pkに形成される。
前記感光体Py,Pm,Pc,Pk表面の静電潜像は、現像器Gy,Gm,Gc,GkによりY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の色のトナー像に現像される。各現像器Gy,Gm,Gc,Gkには、トナーディスペンサ装置Uaに装着された各色のトナーカートリッジKTy,KTm,KTc,KTk,からトナーが補給される。
【0023】
Y色、M色の感光体Py,Pm上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)のトナー像は1次転写領域Qy,Qmにおいて第1中間転写ドラムDR1に重ねて1次転写されてから、中間転写領域Q31において第3中間転写ドラムDR3に転写される。C色、K色の感光体Pc,Pk上に形成されたC(シアン)、K(黒)のトナー像は1次転写領域Qc,Qkで前記第2中間転写ドラムDR2に重ねて1次転写されてから中間転写領域Q32において第3中間転写ドラムDR3のY(イエロー)、M(マゼンタ)のトナー上に重ねて転写される。
【0024】
給紙トレイTR1に収容されたシートSは、所定のタイミングでピックアップロールRpにより取り出され、さばきロールRsで1枚づつ分離されて、シート搬送路SH1の搬送ローラRaによりレジロールRrに搬送される。また、手差しトレイTR0のシートSは、手差し給紙ロールRp0により給紙されてレジロールRrに搬送される。
前記レジロールRrに搬送された記録シートSは、多重トナー像または単色トナー像が2次転写領域Q2に移動するのにタイミングを合わせて、2次転写領域Q2に搬送され、2次転写ロールRtによりトナー像が2次転写される。
【0025】
1次転写後の各感光体Py,Pm,Pc,Pk表面に残留したトナーは、前記感光体用トナー吸着保持部材CLk,CLy,CLm,CLcによって一時的に吸着保持され、感光体Py,Pm,Pc,Pk表面がクリーニングされる。同様に、中間転写または2次転写後の中間転写ドラムDR1〜DR3表面に付着した残留トナーは、中間転写ドラム用トナー吸着保持部材CL1〜CL3により一時的に吸着保持され、クリーニングされる。
前記各トナー吸着保持部材CLk,CLy,CLm,CLc,CL1〜CL3により一時的に吸着保持されたトナーは、所定のタイミングで開始されるクリーニングモード時に、像担持体Py,Pm,Pc,Pk,DR1〜DR3表面に吐出されて、2次転写ロールRtまで転写、搬送され、2次転写ロールクリーナCLtにより回収される。
なお、トナー吸着保持部材でトナーを一時的に吸着保持したり、吐出したりしてクリーニングを行う技術は従来公知(例えば、特開2003−029588号公報等参照)であり、種々の構成を採用可能であるので、詳細な説明は省略する。
【0026】
前記2次転写領域Q2でトナー像が2次転写された記録シートSは、定着装置Fに搬送される。前記記録シートSは、定着装置Fの加熱ロールFhおよびFpが圧接する定着領域Q5を通過する際にトナー像が加熱定着される。トナー像が加熱定着された記録シートSは、シート排出ローラRhに搬送され、排出トレイTRhに排出される。
両面印刷を行う場合、シート排出ローラRhによりスイッチバックされてシート反転路SH2に搬送され、表裏が反転した状態でレジロールRrに再送される。
【0027】
(2次転写ロールクリーナ)
図3は実施例1の2次転写ロールクリーナの説明図である。
図4は実施例1の2次転写ロールクリーナの説明図であり、前記図3のIV−IV線断面図である。
図5は実施例2の2次転写ロールクリーナの説明図であり、図5Aは検査光透過部材が容器本体に収容された状態を示す図、検査光透過部材が前方に突出した状態を示す図である。
図3において、前記2次転写ロールクリーナ(粉体回収装置)CLtは、前記2次転写ロールRtまで転写、搬送されたトナーを収容するトナー回収容器(粉体回収容器)1を有している。なお、前記トナー回収容器1は、前記画像形成装置Uの本体に対して着脱可能(交換可能)に支持されている。
前記トナー回収容器1は、容器前端壁1aと、容器後端壁1bとを有している。前記容器前端壁1aの上部には、可撓性のある樹脂製のシールフィルム2が支持されている。前記容器後端壁1bの上部には、ホルダ3を介してクリーニングブレード4が支持されている。前記クリーニングブレード4の先端(エッジ)4aは、前記2次転写ロールRtの表面に対して所定の角度で当接しており、前記2次転写ロールRtの表面に付着したトナーを前記トナー回収容器1内に掻き落とす。また、前記シールフィルム2は、前記トナー回収容器1内に掻き落とされたトナーが外部(2次転写ロールクリーナCLtの外部)に漏れ出すのを防止する。
【0028】
前記容器前端壁1aには、検査光透過部材連結用孔1c(図3参照)が形成されている。前記検査光透過部材連結用孔1cの近傍には、可撓性のある柔軟な連結部材6(例えば、軟質なゴム等)を介して検査光透過部材(検出部)7が支持されている。なお、前記検査光透過部材7は、透明部材(後述する光センサの検査光が透過する部材、例えば、アクリル等)により構成されている。
図4において、前記検査光透過部材7は、右側前方(Y側X方向)に傾斜する検査光入射面7aと、左側前方(−Y側X方向)に傾斜する検査光出射面7bとを有している。前記検査光透過部材7の内部は、前記トナーが進入可能な検知空間7c(図3参照)が形成されている。
【0029】
図3、図4において、前記トナー回収容器1には、アジテータ(回転部材)8が回転可能に支持されている。前記アジテータ8の中央部には、前記トナー回収容器1内に蓄積されたトナーを攪拌する攪拌部8aが形成されており、前記アジテータ8の回転時に、前記トナー回収容器1に蓄積されたトナーが前記攪拌部8aにより攪拌されるため、トナーが前記クリーニングブレード4の先端4aの下方に偏って蓄積されることを防止できる。前記アジテータ8の右端部は、前記トナー回収容器1の右端面を貫通しており、その右端には前記アジテータ8に回転力を伝達するギヤ8bが支持されている。前記攪拌部8aの右側には、除去部材装着部8cが形成されている。前記除去部材装着部8cには、前記ギヤ8bにより回転力が伝達された際、前記アジテータ8と一体的に回転するトナー除去部材(掻き出し部材)9が支持されている。前記トナー除去部材9の先端部には、スリット9aが形成されている。
【0030】
図5Bにおいて、前記アジテータ8と一体的に回転する前記トナー除去部材9は、その先端部が前記検査光透過部材7の内側面よりも大きく形成されており、可撓性により弾性変形して、前記検知空間7cに流入(進入)したトナーや、前記検査光透過部材7の内側面に付着したトナーを掻き取ることができる。なお、前記トナー除去部材9の先端部に形成された前記スリット9aにより、前記トナー除去部材9の弾性変形が容易となり、前記検査光透過部材7の内側面に対して前記トナー除去部材9の先端部が隙間なく接触することができる。また、前記トナー除去部材9が弾性変形することにより、前記トナー除去部材9の先端(エッジ)が前記検査光透過部材7の内側面に立つので、前記検査光透過部材7の内側面に付着したトナーを効率よく掻き取ることができる。
図5において、前記検査光透過部材7の外側には、光センサ11が図示しない画像形成装置Uのフレームに支持されている。前記光センサ11は、光(検査光)を照射する発光部11aと、前記検査光を受光する受光部11bとを有する。
前記トナー回収容器1、シールフィルム2、ホルダ3、クリーニングブレード4、連結部材6、検査光透過部材7、アジテータ8、トナー除去部材9および光センサ11により、実施例1の2次転写ロールクリーナCLtが構成されている。
【0031】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の画像形成装置Uでは、2次転写ロールクリーナCLtの検査光透過部材7は、トナー回収容器1を画像形成装置Uに装着した時点(トナー回収容器を交換した時点)では図4、図5Aに示すように、前記トナー回収容器1内に収容された収容位置に保持される。この状態で、前記アジテータ8が回転すると、前記アジテータ8と一体的に回転するトナー除去部材9が前記検知空間7cに進入して、前記検査光透過部材7を前記トナー回収容器1の外側に押圧する。このとき、前記検査光透過部材7は、前記トナー回収容器1内に収容された収容位置(図5A参照)から、発光部11aと受光部11bとの間に進入する突出位置(進入位置、図5B参照)に移動する。
【0032】
前記検査光透過部材7が突出位置に移動した状態(図5B参照)では、前記検査光透過部材7が前記発光部11aと受光部11bの間に確実に進入するように、前記検査光透過部材7の突出量や光センサ11の配置場所が設定されている。すなわち、前記検査光透過部材7が突出位置に移動した状態では、前記光センサ11から照射された検査光の光路上に前記検査光透過部材7が移動した状態になる。前記光センサ11の発光部11aから照射された検査光は、前記検査光入射面7aから前記検知空間7cに入射される。前記検知空間7cにトナーがある場合には、前記トナーにより、検査光が遮断され、前記検知空間7cにトナーがない場合には、検査光が前記検知空間7cを通過して前記検査光出射面7bから出射されて、前記受光部11bで受光される。したがって、前記光センサ11により、前記検知空間7cのトナー有無を検知することができる。
【0033】
したがって、実施例1の前記2次転写ロールクリーナCLtでは、前記トナー除去部材9の押圧力により前記検査光透過部材7が確実に前記発光部11aと受光部11bの間に移動するため、前記トナー回収容器1の位置精度や製造誤差、ガタツキ等により発生する誤検知(検知不良)を低減させることができる。
また、何らかの要因(温度や湿度等)により、前記検査光透過部材7が突出位置に移動しない場合でも、前記検知空間7cにトナーが流入(進入)する程度までトナーが回収されると、前記トナー除去部材9の押圧力に加えて、前記トナーの圧力で前記検査光透過部材7を突出位置に移動させることができる。よって、前記検査光透過部材7は、確実に突出位置に移動するので、誤検知を低減できる。
さらに、実施例1の2次転写ロールクリーナCLtでは、前記トナー除去部材9は、舞い上がったりして前記検知空間7cに進入したトナーや、前記検査光透過部材7の内側面に付着したトナーを掻き取る。したがって、前記光センサ11が前記検知空間7cのトナー有無を誤検知することを低減できるため、前記2次転写ロールクリーナCLtの交換時期を高い信頼性で検知することができる。
【0034】
(実施例1の変更例)
この実施例1の変更例の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例1の変更例は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
前記実施例1では、原則的にトナー除去部材9の押圧力により検査光透過部材7が突出位置に移動したが、実施例1の変更例では、前記トナー除去部材9の押圧力に加えて、検知空間7cにトナーが流入する程度までトナー回収容器1にトナーが回収されたときの前記検知空間7cに流入したトナーの圧力により前記検査光透過部材7が突出位置に移動するように、連結部材6の剛性や材料が選択されている。
【0035】
(実施例1の変更例の作用)
前記構成を備えた実施例1の変更例の画像形成装置Uでは、前記トナー除去部材9の押圧力に加えて、検知空間7cにトナーが流入する程度までトナー回収容器1にトナーが回収されたときの検知空間7cに流入したトナーの圧力により検査光透過部材7が突出位置に移動する。このため、前記検知空間7cにトナーが流入する程度まで前記トナー回収容器1にトナーが回収されるまでは前記検査光透過部材7が収容位置に保持される。前記検査光透過部材7が収容位置に保持された状態では、光センサ11の発光部11aと受光部11bとの間に検査光を遮断するものが無いため、前記光センサ11が誤検知することがない。
前記検査光透過部材7が突出位置に移動した状態では、検知空間7cにトナーが流入しており、光センサ11の発光部11aと受光部11bとの間に前記検査光透過部材7が移動した状態になる。この状態では、前記発光部11aから照射された検査光は、前記検知空間7cに流入したトナーにより確実に遮断されるため、前記光センサ11の誤検知を防止することができる。
その他、実施例1の変更例1の作用は、前記実施例1と同様の作用(2次転写ロールクリーナCLtの交換時期を高い信頼性で検知する等)を奏する。
【0036】
(実施例2)
図6は実施例2の2次転写ロールクリーナの説明図であり、図6Aは検査光透過部材が収容位置に移動した状態を示す図、図6Bは検査光透過部材が突出位置に移動した状態を示す図である。
この実施例2の説明において、前記実施例1の変更例の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1の変更例と相違しているが、他の点では前記実施例1の変更例と同様に構成されている。
図6において、実施例2の2次転写ロールクリーナCLtでは、前記実施例1の変更例の連結部材6の替わりに、前記トナー回収容器1の前端壁1aや後端壁1bよりも厚さが薄く、容易に変形可能な連結部1dが前記トナー回収容器1に一体形成されている。なお、前記連結部1dには、検査光透過部材7が支持されており、トナー除去部材9の押圧力に加えて、検知空間7cにトナーが流入(進入)する程度までトナー回収容器1にトナーが回収されたときの前記検知空間7cに流入したトナーの圧力により検査光透過部材7が突出位置に移動するように、前記連結部1dの厚さが薄く形成されている。
【0037】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の画像形成装置Uは、前記実施例1の変更例と同様の作用(検知空間7cに流入したトナーにより検査光が確実に遮断されることによる誤検知の低減等)を奏する。なお、実施例2の連結部1dは、前記実施例1の連結部材6と同様に、原則的にトナー除去部材9の押圧力により前記検査光透過部材7が突出位置に移動するように構成することも可能である。
【0038】
(実施例3)
図7は実施例3の2次転写ロールクリーナの説明図であり、図7Aは検査光透過部材が収容位置に移動した状態を示す図、図7Bは検査光透過部材が突出位置に移動した状態を示す図である。
この実施例3の説明において、前記実施例1の変更例の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1の変更例と相違しているが、他の点では前記実施例1の変更例と同様に構成されている。
図7において、実施例3の2次転写ロールクリーナCLtでは、前記実施例1の変更例の連結部材6の替わりに、弾性変形可能な連結部材6′(例えば、ゴム等)がトナー回収容器1に支持されている。なお、前記連結部材6′には、検査光透過部材7が支持されている。
【0039】
前記トナー回収容器1の回収量が少なくトナーが検知空間7cに流入(進入)しない場合、トナー除去部材9が検査光透過部材7を押圧するときのみ前記検査光透過部材7が突出位置(図7B参照)に移動する。すなわち、前記検査光透過部材7が前記トナー除去部材9の押圧力を受けない場合には、収容位置(図7A参照)に保持される。
前記検知空間7cにトナーが流入する程度までトナー回収容器1にトナーが回収された場合、前記トナー除去部材9の押圧力や前記検知空間7c内のトナーの圧力により前記検査光透過部材7が突出位置に移動し、前記検知空間7cに流入したトナーにより前記検査光透過部材7が突出位置に保持される。
【0040】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の画像形成装置Uは、前記実施例1の変更例と同様の作用(検知空間7cに進入したトナーにより検査光が確実に遮断されることによる誤検知の低減等)を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0041】
(変更例)
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
(H01)本発明は、プリンタに限定されず、複写機、FAX、複合機等の画像形成装置に適用可能である。また、フルカラーの画像形成装置に限定されず、モノクロの画像形成装置にも適用可能である。
(H02)前記実施例1,3において、検査光透過部材(7)を進入位置(突出位置)に移動可能に支持する連結部材(6,6′)はこれに限定されず、種々の連結部材(例えば、蛇腹状の連結部材等)を使用することも可能である。
(H03)前記実施例1〜3において、検査光透過部材(7)の断面形状が略台形であったがこれに限定されず、前記検査光透過部材を三角形や長方形等の多角形や、半円状等の任意の形状にすることも可能である。
【0042】
(H04)前記実施例1〜3において、トナー除去部材(9)の先端部の形状が略台形であったがこれに限定されず、検知空間(7c)に進入したトナーや検査光透過部材(7)の内側面に付着したトナーを掻き取ることができる形状であれば多角形や半円状等の任意の形状にすることも可能である。
(H05)前記実施例1〜3において、中間転写ドラム(DR1〜DR3)を有する画像形成装置(U)に本発明を適用させたがこれに限定されず、中間転写ベルトを有する画像形成装置や連続紙を使用する画像形成装置等に本発明を適用させることも可能である。前記中間転写ベルトを有する画像形成装置に本発明を適用する場合、前記中間転写ベルト表面に残留したトナーを除去するクリーナや感光体表面に残留したトナーを除去するクリーナ等に本発明を適用することができる。また、スキャナの原稿搬送ロールクリーナのように、用紙から発生する紙粉を回収するクリーナ等に本発明を適用させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の斜視説明図である。
【図2】図2は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図3】図3は実施例1の2次転写ロールクリーナの説明図である。
【図4】図4は実施例1の2次転写ロールクリーナの説明図であり、前記図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図5は実施例2の2次転写ロールクリーナの説明図であり、図5Aは検査光透過部材が容器本体に収容された状態を示す図、検査光透過部材が前方に突出した状態を示す図である。
【図6】図6は実施例2の2次転写ロールクリーナの説明図であり、図6Aは検査光透過部材が収容位置に移動した状態を示す図、図6Bは検査光透過部材が突出位置に移動した状態を示す図である。
【図7】図7は実施例3の2次転写ロールクリーナの説明図であり、図7Aは検査光透過部材が収容位置に移動した状態を示す図、図7Bは検査光透過部材が突出位置に移動した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1…粉体回収容器、
11…光センサ、
11a…発光部、
11b…受光部、
7c…検知空間、
7…検知部、
8…回転部材、
9…掻き出し部材、
CLt…粉体回収装置、
U…画像形成装置。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収された粉体が蓄積される粉体回収容器と、
光を照射する発光部と、前記発光部から照射された光を受光する受光部とを有する光センサと、
前記粉体回収容器の壁面に配置され且つ内部が粉体回収容器と連通して粉体が進入可能な検知空間を有する検知部であって、前記粉体回収容器内部からの力に応じて前記発光部と前記受光部との間に進入する進入位置に移動する前記検知部と、
を備えたことを特徴とする粉体回収装置。
【請求項2】
前記検知空間内部に進入して前記検知空間内の粉体を掻き出す掻き出し部材を有し、前記粉体回収容器内で回転駆動し、前記検知部を内部から押圧する力を作用させる回転部材、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の粉体回収装置。
【請求項3】
前記検知部を前記粉体回収容器内部から押圧する力を作用させる前記粉体回収容器内部に蓄積された前記粉体、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の粉体回収装置。
【請求項4】
トナーにより構成された前記粉体、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の粉体回収装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の粉体回収装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−206129(P2007−206129A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21851(P2006−21851)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】