説明

粉体塗料、粉体塗料の製造方法および塗装方法

【課題】 粉体塗料を材料面から改良し、特に塗膜にピンホールや内在する気泡量を減少させつつ、塗装工程の効率化や塗装面の薄肉化にも適した粉体塗料の関連技術を提供する。
【解決手段】 粉体塗料において、該粉体塗料の粒度分布が第一のピークを有する第一粉体(20a,20b,20c)および第二のピークを有する第二粉体(30)の、少なくとも二つのピークを有するとともに、第一のピークおよび第二のピークにおける粒径差が4倍以上異なるように形成した粉体塗料とする。粒径差が9倍以下であり、第一のピークが5〜80μmの範囲、第二のピークが0.5μm〜20μmの範囲であると、より好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種材料の表面に表面の保護や装飾を目的とした塗膜を形成するために用いられる粉体塗料、その粉体塗料の製造方法、およびその粉体塗料を用いた塗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、粉体塗装の技術は、塗装工程でVOC排出量がほとんどなく、しかも塗装時、被塗装物に付着しなかった塗料を回収すれば再利用できるなど地球環境の面からが注目されている。
粉体塗装に用いる粉体塗料は、バインダーおよび所望により用いられるこのバインダーを硬化させる硬化剤、充填剤や難燃剤、レベリング剤等の他の成分とを混合、溶融後、所望の粒径に粉砕することにより製造される。こうして製造された粉体塗料は、流動浸漬法や静電塗装法などの方法にて被塗装体に塗装される。
【0003】
粉体塗料は、前述した製造工程にて製造すると、一般に粒径分布が広くなるため、塗料の流動性が低下する傾向にある。このため、図4に示すように、吹き付けのためのインジェクターに吸い込ませる前の段階で粉体を流動化させる流動化粉体槽にて、粒径がバラバラである粉体塗料を混合する技術などが用いられる。
【0004】
また、粉体塗料を改善することで流動性や帯電特性を向上させる技術が開示されている。
特許文献1では、モータコアの表面に摩擦帯電式静電粉体塗布機を用いて塗布する際に用いる粉体塗料として、粒径20μm以下が5%以下、粒径100μm以上が5%以下の粒度分布を持つ粉体塗料が開示されている。
また、特許文献2では、静電流動浸漬法に用いられる絶縁塗装用の粉体塗料として、(イ)体積平均粒子径が10〜20μm、(ロ)全粒子に占める25μm以上の粒子の体積割合が25%以下、(ハ)全粒子中に占める5μm以下の粒子の個数割合が45%以下であり、表面にシリカ微粒子が付着しているものが提案されている。
また、特許文献3のように、体積平均粒径が20〜50μmであり、粒径分布標準偏差が20μm以下である粉体塗料、特に体積平均粒径が20〜50μmの粉体塗料粒子に体積平均粒径が0.001〜10μmの第2の粉体塗料粒子を複合化した粉体塗料も提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−285078号公報
【特許文献2】特開平10−298452号公報
【特許文献3】特開平8−41384号公報
【特許文献4】特開平10−17792号公報
【非特許文献1】決定版 粉体塗料・水性塗料・無機系塗料&塗装法 複層形成粉体塗料の開発 (塗装技術 第37巻11号、1998年)
【0006】
これらに記載された技術は、いずれも、平均粒径に対し、極端に小さい又は大きな粒子を含有させないようにすることで流動性を向上させたり、帯電量を調整している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、流動化の改善のために粉体の粒径を均一化したとすると、図3に示すような問題が発生する。ここで、図3は、(A)において粉体塗料の吹き付け時、(B)において粉体塗料の溶融初期、(C)において焼き付け硬化後の塗装仕上がり時の様子を示すものとする。
図3(A)に示すように、被塗装体50の塗装面に対して、粉体塗料を付着させる。粒10a,10b,10cというように粉体の粒径が均一であると、粒と粒との間に空隙ができる。そして、図3(C)に示すように仕上がり時において、内在気泡19a、ピンホール19bや塗装表面の表面欠陥18の原因となる。前記の表面欠陥18が複数存在すると、塗装表面に縞模様として現れてしまったりする。
【0008】
このように、前述した技術では、粒子間に形成されてしまう空間に起因する気泡やピンホール等の発生を抑制することができていない。塗装面を薄肉化したいという要請下では、気泡やピンホールによる悪影響は小さくない。 粉体塗料の粒径を均一で且つ微細化すれば、気泡やピンホールも微細化するので、気泡やピンホール等の発生を抑制できると考えられるが、粒径があまりに微細では塗装工程の効率が極端に落ちることとなる。粉体塗料を一度に吹き付けて形成される塗膜の厚さが非常に薄くなってしまうからである。
【0009】
なお、特許文献4では、『平均粒径8〜20μmでありかつ熱硬化性樹脂から成る不定形粒子と、平均粒径が7μm以下でありかつ熱硬化性樹脂からなる球形粒子とを重量比99:1〜80:20の割合で使用した粉体塗料組成物』、非特許文献1では、『sp値のことなる平均粒径の小さなエポキシ粉体塗料とアクリル粉体塗料とを混合し、一度の塗装で複層形成可能な粉体塗料』が、それぞれ提案されているが、塗装工程の効率化や塗装面の薄肉化などの面で未だ満足できるものではなかった。
【0010】
そこで、本発明は、粉体塗料を材料面から改良し、特に塗膜にピンホールや内在する気泡量を減少させつつ、塗装工程の効率化や塗装面の薄肉化にも適した粉体塗料、粉体塗料の製造方法および塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、粉体塗料の粒度分布に着目した。すなわち、粒度分布に特定の関係を有する少なくとも二つのピークをもつ粉体塗料は、その粉体塗料を用いて被塗装物(50)に塗膜を形成した際、塗装効率を落とすことなくピンホールや内在気泡を減少させることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のような粉体塗料、粉体塗料の製造方法および塗装方法を提供するものである。なお、下記において、粒度分布と質量平均粒径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した値である。
【0012】
第一の発明は、粉体塗料において、該粉体塗料の粒度分布が第一のピークを有する第一粉体(20a,20b,20c)および第二のピークを有する第二粉体(30)の、少なくとも二つのピークを有するとともに、第一のピークおよび第二のピークにおける粒径差が4倍以上異なるように形成したこと特徴とする粉体塗料に係る。
「二つのピーク」、すなわち二種類以上としたのは、三種類以上の粒度分布のピークが存在しても良いという趣旨である。しかし、製造効率からは、二種類が最も経済的である。
【0013】
第一の発明は、前記粒径差を9倍以下とすると、より好ましい。粒径差が9倍を超えると、流動性が低下したり、気泡やピンホールの発生を抑制することが困難になる。さらに静電塗装の場合、被塗装体への塗料の付着が不均一になるため、結果として得られる塗膜表面の平滑性が低下したり、塗膜の厚さが不均一となり、塗膜信頼性が低下するからである。すなわち、第一粉体および第二粉体の混合比を変えることでは対応しきれないからである。
【0014】
第一の発明は、前記第一のピークが5〜80μmの範囲、前記第二のピークが0.5μm〜20μmの範囲とすると、より好ましい。この範囲より第一及び第二のピークが大きくなると塗膜のレベリング性が低下するし、この範囲よりも小さいと流動性や被塗装体への付着効率が低下する。第一及び第二のピークはいずれもこの範囲を逸脱すると塗膜の厚さが厚くても薄くても、気泡やピンホールの発生を抑制しにくくなるので好ましくない。
【0015】
第二の発明は、粉体塗料の製造方法に係る。 すなわち、質量平均粒径5〜80μmである第一粉体(20a,20b,20c)を形成する第一粉体形成工程と、 質量平均粒径が0.5〜20μmである第二粉体(30)を形成する第二粉体形成工程と、 前記第一粉体(20a,20b,20c)および前記第二粉体(30)を質量比3〜7:1の割合にて混合する混合工程とによって粉体塗料を製造することを特徴とする。
なお、第一粉体形成工程と第二粉体形成工程とは、それらの順序が入れ替わったり、同時に行われたとしても、本願発明の趣旨には変わりがない。
【0016】
第三の発明は、塗装を施す被塗装体(50)に対して粉体塗料を用いて塗装する塗装方法に係る。 すなわち、前記粉体塗料を被塗装体の塗装面に付着させる粉体塗着工程と、 その粉体塗着工程によって前記粉体塗料が被塗装体における塗装面に付着した状態において前記粉体塗料を溶融させる溶融工程とを含み、 前記粉体塗料は、粒度分布が第一のピークを有する第一粉体(20a,20b,20c)および第二のピークを有する第二粉体(30)の、少なくとも二つのピークを有するとともに、第一のピークおよび第二のピークにおける粒径差が4倍以上異なるように形成した粉体塗料としたことを特徴とする。
【0017】
第四の発明も、塗装を施す被塗装体(50)に対して粉体塗料を用いて塗装する塗装方法に係る。 ここで用いる粉体塗料としては、粒度分布が第一のピークを有する第一粉体(20a,20b,20c)および第二のピークを有する第二粉体(30)の、少なくとも二つのピークを有するとともに、第一のピークおよび第二のピークにおける粒径差が4倍以上異なるように形成した第一粉体塗料と該第一粉体塗料の第二のピークを粒度分布のピークとして有する第二粉体塗料の少なくとも2種が用いられる。
第四の発明では、前記第二粉体塗料を被塗装体の塗装面に付着させる粉体塗着工程と、その粉体塗着工程によって前記第二粉体塗料が被塗装体における塗装面に付着した状態において前記第一粉体塗料を前記第二粉体塗料の塗膜面に付着させる粉体塗着工程と、その粉体塗着工程によって前記第一粉体塗料が被塗装体における前記第二粉体塗料の塗膜面に付着した状態において前記第二粉体塗料と第一粉体塗料とを溶融させる溶融工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第一の発明によれば、塗膜内のピンホールや内在する気泡量を減少させつつ、塗装工程の効率化や塗装面の薄肉化にも適した粉体塗料を提供することができた。
第二の発明によれば、塗膜内のピンホールや内在する気泡量を減少させつつ、塗装工程の効率化や塗装面の薄肉化にも適した粉体塗料の製造方法を提供することができた。
第三の発明によれば、塗膜内のピンホールや内在する気泡量を減少させつつ、塗装工程の効率化や塗装面の薄肉化にも適した塗装方法を提供することができた。すなわち、複数回塗装しなくても、効率的に塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の粉体塗料及びその製造方法を実施するための最良の形態について具体的に説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
【0020】
図1に示すのは、被塗装体50に対して粉体塗装を施す際の、本実施形態における概念図である。図1の(A)において粉体塗料の吹き付け時、(B)において粉体塗料の溶融初期、(C)において焼き付け硬化後の塗装仕上がり時の様子を示す。
図2に示すように、吹き付ける粉体塗料は、粒度分布が第一のピークを有する第一粉体20a,20b,20cおよび第二のピークを有する第二粉体30の、二種類からなる。
より具体的には、第一粉体と第二粉体とのピークにおける粒径差は4倍以上で且つ9倍以下としている。更に具体的には、第一粉体20a,20b,20cの粒度分布のピークは5〜80μmの範囲、第二粉体30の粒度分布のピークは0.5μm〜20μmの範囲としている。
【0021】
二種類の第一粉体および第二粉体を混合して製造される粉体塗料は、以下のようにして製造する。
まず、粉体塗料の材料は特に限定されることなく、一般に粉体塗料用樹脂として用いられるアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂などが使用できる。紫外線による塗膜の劣化が少ないなど耐候性に優れたアクリル樹脂系、耐食性に優れたエポキシ樹脂系、中間的な性能のポリエステル樹脂系をなど用途に合わせて選択する。選択された樹脂には、目的に応じて硬化剤、架橋剤、硬化促進剤、無機充填剤、難燃剤、着色剤、カップリング剤、レベリング剤などの各種の添加剤を適宜混合することができる。
前記硬化剤としては、使用する粉体塗料用樹脂がエポキシ樹脂の場合、例えば、イソシアネート化合物、酸無水物、アミン化合物、ジシアンジアミド等が挙げられる。アクリル系樹脂の場合は、例えばエポキシ樹脂、メラミン樹脂、多価カルボン酸、ブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。ポリエステル系樹脂の場合は、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、多塩基酸、ブロックイソシアネート化合物、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。また、その他の添加剤としては、硬化促進剤又は硬化触媒、表面調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ワキ防止剤、顔料分散剤などが挙げられる。
上記材料は、ミキサーあるいはブレンダー等を用いて乾式混合後、エクストルーダー等で溶融混練した後、冷却固化し、その後、機械式あるいは気流式の粉砕機を用いて粉砕分級して製造する方法など一般的な粉体塗料製造法にて粉体塗料とする。
二種類の第一粉体および第二粉体は、粒度分布の広い塗料を分級により粒度分布ごとにグループ化しても良く、またそれぞれ個別に目的の粒度分布に製造しても良いが、生産性の面からそれぞれ個別に製造する方法が望ましい。
より具体的には、例えば、粉砕機の粉砕条件を質量平均粒径が5〜80μmとなるように調整し第一粉体20a,20b,20cを形成する工程と、質量平均粒径が0.5〜20μmとなるように調整し第二粉体30を形成する工程とに分け、その二つの粉体を混合する混合工程によって粉体塗料を製造する方法や、粒度分布の広い粉体塗料を篩や気流式の分級機を用いて前記と同様、質量平均粒径が5〜80μmである粉体塗料と質量平均粒径が0.5〜20μmである粉体塗料とに分け、その二つの粉体塗料を前述の混合工程によって粉体塗料を製造する方法、さらに粉体塗料を、篩などを用いるによって粒度分布ごとにグループ化し、そのグループの中から少なくとも質量平均粒径が5〜80μmである粉体塗料と質量平均粒径が0.5〜20μmである粉体塗料を混合する方法などが挙げられる。なお、第一粉体形成工程と第二粉体形成工程とは、逆になっても良いし、同時に行っても良い。
【0022】
混合工程は、前記各種方法により得た粉体塗料を所望の割合で混合する工程であるが、質量平均粒径が5〜80μmである第一粉体20a,20b,20cと、質量平均粒径が0.5〜20μmである第二粉体30とを、質量比3〜7:1の割合にて混合するのが好ましい。
【0023】
粉体塗料を吹き付けると、平均粒径の大きな第一粉体20a,20b,20cの隙間に、小さな粒径の第二粉体30が収まるようにして吹き付けられる。
吹き付け後は、粉体塗料に対して加熱し、溶融させる。すると、第一粉体20a,20b,20cの隙間に第二粉体30が収まっているので、気泡などの隙間がほとんど無いようにして溶融される。焼き付け硬化後は、気泡29aやピンホール29bがほとんど存在しない。また、表面にも表面欠陥28などが現れにくく、塗装不良としての模様はほとんど目立たない。
【0024】
また、本発明では、前記塗装方法の他、粉体塗料としては、粒度分布が第一のピークを有する第一粉体20a,20b,20cおよび第二のピークを有する第二粉体30の、少なくとも二つのピークを有するとともに、第一のピークおよび第二のピークにおける粒径差が異なるように形成した第一粉体塗料と該第一粉体塗料の第二のピーク(粒径が小さい方)を粒度分布のピークとして有する第二粉体塗料の少なくとも2種を用い、最初に前記第二粉体塗料を被塗装体の塗装面に吹き付け、その後に前記第一粉体塗料を吹き付ける。その後、加熱焼き付けを行なうと、一度の焼き付けで凹凸面などに対しても塗膜欠陥が少なく、密着性の良い塗膜を得ることができる。
【0025】
なお、塗装において用いる吹き付け装置には、図4に示したインジェクターに吸い込ませる前の段階で粉体を流動化させる流動化粉体槽が備えられているとより好ましい。第一粉体と第二粉体とを、塗装の直前に混合することができるからである。
また、前記第二粉体塗料を用いるような塗装方法に用いる吹き付け装置には、粉体塗料収容容器を2つ備えられているとより好ましい。容器が2つあることで、粉体塗料(b)と粉体塗料(a)を同一装置で塗装することができたり、第二粉体塗料と第一粉体塗料の第一のピーク(粒径が大きい方)を粒度分布のピークとして有する第三粉体塗料とを各々の容器に入れ、最初に第二粉体塗料を吹き付け、その後、第二粉体塗料と第三粉体塗料とを特定の割合で混合しながら吹き付けることもできるからである。
【0026】
本実施形態による塗装方法によれば、従来よりも塗膜の厚さを薄くすることにも寄与する。すなわち、従来であれば、気泡28aやピンホール28bが存在してしまうことを前提として、安全性を見た塗膜を形成しなければならなかった。しかし、本実施形態によれば、気泡28aやピンホール28bがほとんど存在しない、あるいはそれらの影響が極めて小さい状態とすることができるため、薄い塗膜にて防食、着色などが行えることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、防錆・防食のための塗装業、粉体塗装の材料である粉体塗料の製造業において用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態による塗装工程を示す概念図である。
【図2】第一粉体および第二粉体の分布を示すグラフである。
【図3】従来技術の問題点を示す概念図である。
【図4】粉体塗装に用いる吹き付け装置を示す概念図である。
【符号の説明】
【0029】
10a,10b,10c: 粉体塗料の粒
15: 塗装面
18: 表面欠陥
19a,19b: ピンホール
20a,20b,20c: 第一粉体
25: 塗装面
28: 表面欠陥(模様)
29a,29b: ピンホール
30: 第二粉体
50: 被塗装物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体塗料において、該粉体塗料の粒度分布が第一のピークおよび第二のピークの少なくとも二つのピークを有するとともに、第一のピークおよび第二のピークにおける粒径差が4倍以上異なるように形成したこと特徴とする粉体塗料。
【請求項2】
前記粒径差は、9倍以下としたことを特徴とする請求項1に記載の粉体塗料。
【請求項3】
前記第一のピークが5〜80μmの範囲、前記第二のピークが0.5μm〜20μmの範囲にあることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の粉体塗料。
【請求項4】
前記粉体塗料は質量平均粒径が異なる少なくとも二種類の粉体を混合したものであって、
第一の粉体の質量平均粒径は5〜80μmであり、
第二の粉体の質量平均粒径は前記第一の粉体の質量平均粒径に対して1/4倍〜1/9倍であり、
前記第一の粉体と前記第二の粉体との配合割合は、質量比にて3〜7:1の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の粉体塗料。
【請求項5】
粉体塗料の製造方法であって、
質量平均粒径が5〜80μmである第一粉体を形成する第一粉体形成工程と、
質量平均粒径が0.5μm〜20μmである第二粉体を形成する第二粉体形成工程と、
前記第一粉体および前記第二粉体を質量比3〜7:1の割合にて混合する混合工程とによって粉体塗料を製造する粉体塗料の製造方法。
【請求項6】
塗装を施す被塗装体に対して粉体塗料を用いて塗装する塗装方法であって、
前記粉体塗料を被塗装体の塗装面に付着させる粉体塗着工程と、
その粉体塗着工程によって前記粉体塗料が被塗装体における塗装面に付着した状態において前記粉体塗料を溶融させる溶融工程とを含み、
前記粉体塗料は、粒度分布が第一のピークおよび第二のピークの少なくとも二つのピークを有するとともに、第一のピークおよび第二のピークにおける粒径差が4倍以上異なるように形成した粉体塗料としたことを特徴とする塗装方法。
【請求項7】
塗装を施す被塗装体に対して粉体塗料を用いて塗装する塗装方法であって、
前記粉体塗料を被塗装体の塗装面に付着させる粉体塗着工程と、
その粉体塗着工程によって前記粉体塗料が被塗装体における塗装面に付着した状態において前記粉体塗料を溶融させる溶融工程とを含み、
前記粉体塗料は、粒度分布が第一のピークおよび第二のピークの少なくとも二つのピークを有するとともに、第一のピークおよび第二のピークにおける粒径差が4倍以上異なるように形成した第一粉体塗料と該第一粉体塗料の第二のピークを粒度分布のピークとして有する第二粉体塗料を用い、該第二粉体塗料による塗装後、該第一粉体塗料を塗装することを特徴とする塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−63521(P2008−63521A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245442(P2006−245442)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000108454)ソマール株式会社 (81)
【Fターム(参考)】