説明

粉体塗料用平滑剤

【課題】 粉体塗料に少量配合することにより、良好な平滑性を付与する粉体塗料用平滑剤を提供する。
【解決手段】 重合性不飽和二重結合を有する二塩基酸エステル(A)とアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステル(B)とを共重合することにより得られる共重合体から成り、該共重合体が、全モノマ−中、(A)を2〜65重量%、(B)を35〜98重量%の割合で含有するモノマ−配合を共重合することにより得られ、且つ、1000から60000の数平均分子量を有していることを特徴とする組成物を粉体塗料用平滑剤として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体塗料に少量添加することにより、塗膜に平滑性を付与することを目的とする、新規な粉体塗料用平滑剤に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体塗料は一般に溶剤系の塗料に比べて平滑性が劣るために、高外観が要求される用途に使用するには難しい傾向にあった。しかし、近年では環境汚染対策から、溶剤系の塗料に替えて粉体塗料を利用する試みがなされている。例えば、自動車用のトップコートなどにも利用が検討されている。それに伴い粉体塗料用の平滑剤もより高機能なものが求められ、様々なものが提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1は長鎖アルキルアクリレ−トとN−含有オレフィンとの共重合体を粉末塗料用のレベリング剤として使用する方法を記載する。特許文献1のレベリング剤はアルキル基に16ないし34個の炭素原子を有する長鎖アルキルアクリレ−トとN−含有オレフィンとの共重合体として記載される。
【0004】
特許文献2は塗料用表面改質剤及び塗料組成物を記載する。特許文献2はレベリング性、耐汚染性及び撥水性に優れた塗膜が得られる塗料用表面改質剤を得ることを目的とし、表面改質剤はアクリル酸パ−フルオロオクチルエチルエステルとアクリル酸ステアリルエステルとをタ−ペン中、ラウリルメルカプタン及びアゾビスイソブチロニトリルを用いて共重合反応させた共重合体として記載される。
【0005】
特許文献3は流動改質剤を含有する熱硬化性粉末コ−ティング組成物を記載する。特許文献3は基材に複合コ−ティングを与える方法を提供することを目的とし、流動改質剤はアルキル基中に6〜12個の炭素原子を有するアルキルアクリレ−トあるいはメタクリレ−ト、及びヒドロキシアルキルアクリレ−トあるいはメタクリレ−トの共重合体として記載される。
【0006】
特許文献4はアクリル系高分子共重合物とその共重合物を成分とする粉体塗料用レベリング剤を記載する。特許文献4のレベリング剤はアルキル基の炭素数が2〜22のアルキル(メタ)アクリレ−ト及びアルケニル基の炭素数が2〜22のアルケニル(メタ)アクリレ−トのうちの少なくとも1種の構造単位(A)とモノカルボン酸またはモノアミンが結合したイソシアネ−ト変性アクリル類の構造単位(B)とからなり、数平均分子量が4000〜100000であるアクリル系高分子共重合物として記載される。
【0007】
特許文献5は粉体塗料用反応性流動調整剤および粉体塗料を記載する。特許文献5は酸硬化型粉体塗料に配合することにより、粉体塗料の溶融時の流動性を調整するとともに主体樹脂と反応し、これにより薄い塗膜厚の場合でも優れた平滑性と優れた塗膜性能を有する塗膜を形成できる粉体塗料用流動調整剤および粉体塗料を得ることを目的とし、流動調整剤はアミド結合またはエステル結合を有する一塩基酸化合物であって、融点が50〜180℃、溶解性パラメ−タ−が9.5〜11の範囲にある化合物として記載される。
【0008】
特許文献6は粉体塗料用レベリング剤を記載する。特許文献6のレベリング剤はポリビニルエチルエ−テル、有利に分子量分布Mn=800〜10000、好ましくは1000〜5000を有するホモポリマ−として記載される。
【0009】
特許文献7は表面コ−ティング用レベリング剤を記載する。特許文献7は完全に平坦なコ−ティングフィルム、特にパウダ−コ−ティングを得るための新しいレベリング剤を提供することを目的とし、レベリング剤は重量平均分子量が5000〜100000であって、ラジカル重合またはイオン重合によって高分子化されたベ−ス分子を有する分岐状ポリマ−であって、当該ベ−ス分子に、末端がエチレン的不飽和結合を有し、かつ、重量平均分子量が1000〜30000であるマクロモノマ−ユニットがラジカル共重合またはイオン共重合によって組み込まれており、該マクロモノマ−ユニットの重量割合が分岐状ポリマ−の総重量に対して1〜
60重量%であることを特徴とする。
【0010】
【特許文献1】特開平2−102275号公報
【特許文献2】特開平6−240201号公報
【特許文献3】特開平8−325480号公報
【特許文献4】特開平10−158336号公報
【特許文献5】特開平8−3481号公報
【特許文献6】特表平11−515052号公報
【特許文献7】特開2002−179991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、近年研究されている自動車用の用途などの高外観を要求する分野には、従来からの技術では十分な平滑性が得られるとは言い難く、良好な外観を得ようとして多く添加すると耐温水試験で白化を起こすなどの悪影響もしばしば見られた。従って、本発明の目的は、従来からの粉体塗料用平滑剤では得られなかった、高外観が要求される用途にも利用できる平滑剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、重合性不飽和二重結合を有する二塩基酸エステル(A)とアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステル(B)とを共重合することにより得られる共重合体からなり、該共重合体が全モノマ−中、(A)を2〜65重量%、(B)を35〜98重量%の割合で含有するモノマ−配合を共重合することにより得られ、且つ1000〜60000の数平均分子量を有していることを特徴とする平滑剤が提供され、これを粉体塗料に配合することにより、上記課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の平滑剤は、粉体塗料に添加したときに従来にない良好な平滑性を塗膜に付与する事が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
全モノマ−配合中に占めるモノマ−(A)の割合が2重量%より少ない場合や、65重量%より多い場合には十分な平滑性が得られない。モノマ−(A)とモノマ−(B)との割合が2〜65重量%対35〜98重量%の範囲にある限りにおいては、モノマ−(A)及びモノマ−(B)以外のモノマ−(C)を全モノマ−配合中に占める割合が45重量%以下で含む場合においても十分な平滑性を得ることができる。
【0015】
共重合体の数平均分子量が、1000より小さい場合、又は60000より大きい場合は十分な平滑性を得ることが出来ない。数平均分子量の好ましい範囲は1500から20000である。更に好ましい範囲は2000から10000である。
【0016】
モノマ−(A)の例としては、マレイン酸ジ(モノ)メチルエステル、マレイン酸ジ(モノ)エチルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ノルマルプロピルエステル、マレイン酸ジ(モノ)イソプロピルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ノルマルブチルエステル、マレイン酸ジ(モノ)イソブチルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ノルマルオクチルエステル、マレイン酸ジ(モノ)2−エチルヘキシルエステル、マレイン酸ジ(モノ)イソノニルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ラウリルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ステアリルエステル、マレイン酸ジ(モノ)ベンジルエステル、フマル酸ジ(モノ)メチルエステル、フマル酸ジ(モノ)エチルエステル、フマル酸ジ(モノ)ノルマルプロピルエステル、フマル酸ジ(モノ)イソプロピルエステル、フマル酸ジ(モノ)ノルマルブチルエステル、フマル酸ジ(モノ)イソブチルエステル、フマル酸ジ(モノ)ノルマルオクチルエステル、フマル酸ジ(モノ)2−エチルヘキシルエステル、フマル酸ジ(モノ)イソノニルエステル、フマル酸ジ(モノ)ラウリルエステル、フマル酸ジ(モノ)ステアリルエステル、フマル酸ジ(モノ)ベンジルエステル、イタコン酸ジ(モノ)メチルエステル、イタコン酸ジ(モノ)エチルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ノルマルプロピルエステル、イタコン酸ジ(モノ)イソプロピルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ノルマルブチルエステル、イタコン酸ジ(モノ)イソブチルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ノルマルオクチルエステル、イタコン酸ジ(モノ)2−エチルヘキシルエステル、イタコン酸ジ(モノ)イソノニルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ラウリルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ステアリルエステル、イタコン酸ジ(モノ)ベンジルエステル等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を併せて用いることができる。
【0017】
モノマ−(B)の例としては、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ノルマルプロピルエステル、(メタ)アクリル酸イソプロピルエステル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチルエステル、(メタ)アクリル酸イソブチルエステル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチルエステル、(メタ)アクリル酸ノルマルオクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸イソノニルエステル、(メタ)アクリル酸ラウリルエステル、(メタ)アクリル酸ステアリルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸イソボニルエステル、等が挙げられる。
【0018】
モノマー(C)に制限はなく、単独であるいは2種以上を併せて用いることができる。モノマー(C)の例として、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−オクトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−ラウロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの重合数2〜50のもの)エステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの重合数2〜50のもの)エステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリ(エチレン−プロピレン)グリコール(エチレングリコール−プロピレングリコールの重合数2〜50のもの)エステル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコールエステル等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクロイルモルフォリンなどのアクリルアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル系化合物;3−メタクリロキシプロピルトリメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シランなどの有機珪素化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレート等のビニルエステルやアリル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ノルマルプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ノルマルブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ターシャリーブチルビニルエーテル、ノルマルオクチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミド等のその他のビニル系化合物などが挙げられる。
【0019】
前記説明において、マレイン酸ジ(モノ)メチルエステルはマレイン酸ジメチルエステルとマレイン酸モノメチルエステルを表し(他も同様)、(メタ)アクリル酸メチルエステルはアクリル酸メチルエステルとメタクリル酸メチルエステルを表す(他も同様)。
【0020】
本発明で用いる共重合物を合成する方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などがあり、また、重合を行う開始剤としては、一般に用いられるアゾ系重合開始剤や、過酸化物が用いられる。本発明は、共重合体の機能に関する発明であるから、共重合体の合成方法によって何ら制限されるものではない。
【0021】
本発明で得られる粉体塗料用平滑剤が適する塗料は、高外観が要求される粉体塗料であり、自動車トップコート用アクリル粉体塗料、家電製品用PCM塗料を主とする高外観ポリエステル粉体塗料等が挙げられる。
【0022】
本発明による粉体塗料用平滑剤を塗料に添加する方法は、使用する樹脂とのマスターバッチによる方法や、有機ワックスと混合して粉末状にしたものを塗料作成のプレミックス時に添加することが望ましい。
【0023】
本発明による粉体塗料用平滑剤の添加量は、塗料の樹脂の種類や、顔料の配合組成などにより異なるが、通常固形分換算で塗料ビヒクルに対し0.01から5重量%、好ましくは、0.1から2重量%である。添加量が0.01重量%より少ないと平滑性を十分に与えることが出来ない。また、5重量%より多く添加すると、塗膜の物性に悪影響を及ぼす可能性が大きくなるので好ましくない。
【実施例】
【0024】
次に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下における「部」及び「%」は、それぞれ、「重量部」及び「重量%」を示す。
【0025】
製造実施例1
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部を仕込み、窒素ガスを導入しながら110℃に昇温した後、下に示す滴下溶液(a−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。
滴下溶液(a−1)
アクリル酸ノルマルブチルエステル 188部
マレイン酸ジノルマルブチルエステル 112部
トルエン 73部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 12.5部
滴下溶液(a−1)の滴下終了1時間後及び2時間後にt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイトを各1.5部づつ加え、さらに、110℃に保持して1.5時間反応させた。反応終了後、ロータリーエバポレーターでトルエンを除去し、添加剤[A−1]を得た。合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、2500であった。
【0026】
製造実施例2
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(a−2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[A−2]を得た。
滴下溶液(a−2)
アクリル酸ノルマルブチルエステル 184部
イタコン酸ジノルマルブチルエステル 116部
トルエン 73部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 12.5部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、3000であった。
【0027】
製造実施例3
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(a−3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[A−3]を得た。
滴下溶液(a−3)
アクリル酸イソブチルエステル 207部
マレイン酸ジエチルエステル 93部
トルエン 73部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 12.5部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、2700であった。
【0028】
製造実施例4
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(a−4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[A−4]を得た。
滴下溶液(a−4)
アクリル酸イソブチルエステル 207部
フマル酸ジエチルエステル 93部
トルエン 73部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 12.5部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、2500であった。
【0029】
製造実施例5
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(a−5)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[A−5]を得た。
滴下溶液(a−5)
アクリル酸ラウリルエステル 180部
アクリル酸2−エチルヘキシルエステル 60部
マレイン酸モノノルマルオクチルエステル 175部
トルエン 58部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 8部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、5400であった。
【0030】
製造比較例1
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(n−1)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[N−1]を得た。
滴下溶液(n−1)
アクリル酸イソブチルエステル 300部
トルエン 150部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 15部
合成した重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、6000であった。
【0031】
製造比較例2
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(n−2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[N−2]を得た。
滴下溶液(n−2)
アクリル酸ノルマルブチルエステル 40部
イタコン酸ジノルマルブチルエステル 110部
トルエン 100部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 7.5部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、3400であった。
【0032】
製造比較例3
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(n−3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[N−3]を得た。
滴下溶液(n−3)
アクリル酸ノルマルブチルエステル 90部
マレイン酸ジノルマルブチルエステル 55部
トルエン 250部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 12.5部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、800であった。
【0033】
製造比較例4
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(n−4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[N−4]を得た。
滴下溶液(n−4)
アクリル酸ノルマルブチルエステル 188部
マレイン酸ジノルマルブチルエステル 112部
トルエン 25部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 0.2部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、75000であった。
【0034】
製造比較例5
製造実施例1の滴下溶液(a−1)の代わりに下記の滴下溶液(n−5)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、添加剤[N−5]を得た。
滴下溶液(n−5)
フマル酸ジノルマルブチルエステル 150部
ノルマルブチルビニルエ−テル 150部
トルエン 73部
t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト 12.5部
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、4000であった。
【0035】
製造比較例6
アクリル系重合物の平滑剤として、BYK354(ビックケミ−(株)製)を用いた。これを添加剤[N−6]とした。
【0036】
製造比較例7
シリコーン系の平滑剤として、KP322(信越シリコ−ン(株)製)を用いた。これを添加剤[N−7]とした。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
塗料試験例1(クリアー型粉体塗料での平滑性試験)
表3に示した配合のアクリルクリアー粉体塗料組成物について平滑性の試験を行った。
【表3】

【0040】
(マスターバッチの作成)
使用するアクリル樹脂(PD−3402)を170℃で溶融し、その中に固形分で10%濃度となるように表1および表2のレベリング剤をディスパーで高速撹拌しながら均一に分散させた。冷却後、ピンミルで粉砕し、32メッシュのふるいを通過させて10%アクリル樹脂マスターバッチ組成物を得た。
【0041】
(アクリル粉体塗料の作成)
上記方法で作成したマスターバッチ組成物を含む第3表の配合のアクリル系粉体塗料を乾式混合の後、90℃から100℃に保ったエクストルーダーにて溶融混練した。冷却後、ピンミルで粉砕し、150メッシュのふるいを通過させて、白色粉末状のクリアー型粉体塗料組成物を得た。
【0042】
(アクリル粉体塗料の塗装)
耐熱ステンレス鋼板(0.5×70×100mm)を各添加剤に対して2枚用意し、作成した粉体塗料粉末を静電粉体塗装法によって、硬化膜厚が60μmになるように吹き付けた。次いで、この塗装板を150℃で20分間焼き付けた。
【0043】
(アクリル粉体塗料の平滑性の評価)
平滑性の評価は肌の様子を目視にて「最良」(5)から「最悪」(1)までの5段階に評価した。また、wave scan(ビックケミー社製)によるSW値(Short Wave)とLW値(Long Wave)の 数値化も行った。これは、平滑性の善し悪しを示す数値で、値が低いほど平滑性が良好なことを示す。又、塗膜に見られるはじきやクレーターの数を目視にて数え、「最良」(5)から「最悪」(1)までの5段階に評価した。
【0044】
塗料試験例2 (耐水白化性の評価)
塗料試験例1で作成した塗装板を80℃の温水に1時間浸漬し、浸漬したまま自然放冷した。放冷後、塗膜を室温で乾燥させ、白化の評価は目視にて「最良」(5)から「最悪」(1)までの5段階に評価した。
【0045】
上記試験の結果を表4に示す。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性不飽和二重結合を有する二塩基酸エステル(A)とアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステル(B)とを共重合することにより得られる共重合体からなり、該共重合体が全モノマ−中、(A)を2〜65重量%、(B)を35〜98重量%の割合で含有するモノマ−配合を共重合することにより得られ、且つ1000〜60000の数平均分子量を有していることを特徴とする粉体塗料用平滑剤。
【請求項2】
(A)がマレイン酸ジエステル、マレイン酸モノエステル、フマル酸ジエステル、フマル酸モノエステル、イタコン酸ジエステルまたはイタコン酸モノエステルである請求項1に記載の粉体塗料用平滑剤。

【公開番号】特開2006−56950(P2006−56950A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238752(P2004−238752)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000225854)楠本化成株式会社 (12)
【Fターム(参考)】