説明

粉体塗装システム

第1の分割ブース2及び3を塗装位置Pに移動させて塗装ブースを形成し、この塗装ブース内で搬送装置により搬送される被塗物に塗装を行う。このとき、第2の分割ブース5及び6を清掃位置Cへ退避させると共にクリーニングブース8及び9を退避位置Tから作動位置S5及びS6へ移動させて分割ブース5及び6の開口部を覆い、この状態で清掃を行う。清掃が終了すると、クリーニングブース8及び9が退避位置Tに戻り、第2の分割ブース5及び6が塗装位置Pに移動して第2の塗装ブースを形成する。第1の分割ブース2及び3による塗装が終了すると、第1の分割ブース2及び3は塗装位置Pから清掃位置Cへと退避し、クリーニングブース8及び9が退避位置Tから作動位置S2及びS3へ移動して清掃が行われ、次の色替えに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体塗装システムに係り、特に色替えに適した塗装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保全の見地から、溶剤を使用しない、環境に優しい無公害型の塗装法として、粉体塗料を利用した静電粉体塗装が注目されている。この静電粉体塗装においては、塗装ガンの先端部に形成されたノズル開口から搬送エア流と共に噴射された粉体塗料が被塗物の表面に付着される。
ここで、塗装時における周辺への粉体塗料の飛散を防止するために、例えば特許文献1に開示されているように、搬送装置に吊り下げられて搬送される被塗物をブース内に導入して被塗物への粉体塗料の吹き付けを行う方法がある。
【特許文献1】特開平8−266944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようにして塗装を行うとブースの内壁面や床面に粉体塗料が付着するので、塗装の色替え時には、被塗物の搬送を停止し、集塵装置によりブース内を吸気しながらエアガン等で圧縮空気をブースの内壁面や床面に吹きつけて付着した粉体塗料を除去した後、色の異なる新たな粉体塗料を用いて塗装を行っていた。特に、粉体塗装においては、被塗物に向けて吹き付けられても被塗物の表面に付着しなかった粉体塗料を回収して再び塗装ガンから噴射させる方法が多く採られているため、色の異なる粉体塗料が混合されないように、色替え時には入念な清掃が必要となる。
【0004】
このように、色替え時に被塗物の搬送を停止してブース内の清掃を行うと、塗装工程の効率が著しく低下するため、それぞれ搬送装置から退避し得るように移動自在の複数のブースを搬送装置に沿って直列に配置し、1つのブース内で塗装を行う間に他のブースを退避させて内部の清掃を行う方法が考案されている。
ところが、ブースは搬送装置に吊り下げられた被塗物を両側から囲むように形成されているため、被塗物が吊り下げられていると、ブースを退避させることができない。従って、ブースの退避に必要な長さ分だけ被塗物が吊り下げられていない空白部分を搬送装置に沿って作らなければならず、塗装工程の効率低下を来していた。
【0005】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、効率よく色替えを行うことができる粉体塗装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る粉体塗装システムは、搬送経路に沿って被塗物が搬送されると共に塗装ブース内に位置した被塗物に塗装を行う粉体塗装システムにおいて、搬送経路の両側にてそれぞれ搬送経路に近接した塗装位置と搬送経路から退避した清掃位置との間で移動自在に配設されると共に搬送経路に対向する面が開口し且つ塗装位置では互いに開口部が近接して被塗物を囲む塗装ブースを形成する一対の分割ブースと、清掃位置に退避した分割ブースの開口部を覆う閉鎖手段とを備え、清掃位置の分割ブースの開口部を閉鎖手段で覆った状態で分割ブース内の清掃が行われるものである。
【0007】
なお、複数対の分割ブースを搬送経路に沿って直列に配置すれば、効率のよい塗装を行うことができる。
閉鎖手段は、それぞれ清掃位置に退避した分割ブースの開口部を覆う作動位置と分割ブースの移動経路に干渉しない退避位置との間で移動自在に配設される一対のクリーニングブースから構成することができる。この場合、一対のクリーニングブースを互いに一体に形成することもできる。複数の分割ブースに対応して共通のクリーニングブースを配設することもできる。また、塗装ブースを形成した他の分割ブースにて塗装を行っている間に一対の分割ブースを清掃位置に移動させると共にクリーニングブースを作動位置に移動させてこの分割ブースの清掃を行うようにしてもよい。
また、閉鎖手段により開口スリットを残して分割ブースの開口部の大部分を覆い、分割ブース内を吸気することにより開口スリットから外気が分割ブース内に取り入れられて分割ブースの内壁面に付着した粉体塗料を除去するように構成することもできる。
【0008】
塗装ブースにサイクロンを接続して被塗物の表面に付着しなかった粉体塗料を回収することが好ましい。この場合、一対の分割ブースにそれぞれサイクロンを接続してもよく、あるいは一対の分割ブースに対して一つのサイクロンを接続することもできる。
また、各分割ブースにブローオフ装置を搭載し、分割ブースの内壁面及び床面に圧縮空気を吹き付けて粉体塗料を除去することもできる。
レシプロケータに取り付けられた塗装ガンで被塗物に塗装を行うことができる。この場合、ブローオフ装置により塗装ガンの外面に圧縮空気を吹き付けて粉体塗料を除去するように構成することもできる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、搬送経路の両側にてそれぞれ搬送経路に近接した塗装位置と搬送経路から退避した清掃位置との間で移動自在に配設された一対の分割ブースによって被塗物を囲む塗装ブースを形成し、清掃位置に退避した分割ブースの開口部を閉鎖手段で覆った状態で分割ブース内の清掃を行うので、被塗物が吊り下げられていない空白部分を作らなくても分割ブースを退避させて清掃することができ、塗装工程の効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る粉体塗装システムの全体構成を示す平面図である。
【図2】実施の形態1において塗装位置に移動して塗装ブースを形成している状態の一対の分割ブースを示す正面図である。
【図3】実施の形態1において清掃位置に移動してクリーニングブースにより清掃状態にある分割ブースを示す正面図である。
【図4】実施の形態2に係る粉体塗装システムの全体構成を示す平面図である。
【図5】実施の形態2において塗装位置に移動して塗装ブースを形成している状態の一対の分割ブースを示す正面断面図である。
【図6】実施の形態2において清掃位置に移動してクリーニングブースにより清掃状態にある分割ブースを示す正面断面図である。
【図7】実施の形態3に係る粉体塗装システムにおける清掃状態を示す正面断面図である。
【図8】実施の形態4に係る粉体塗装システムで用いられたクリーニングブースを示す正面断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に実施の形態1に係る粉体塗装システムの全体構成を示す。図示しない搬送装置により被塗物を搬送するための搬送経路1が形成されている。この搬送経路1を挟むように搬送経路1の両側に一対の第1の分割ブース2及び3が配置されている。分割ブース2は、塗装ガンが取り付けられたレシプロケータ2aと、被塗物に向けて吹き付けられたものの被塗物の表面に付着しなかった粉体塗料を回収して再び塗装ガンから噴射させるためのサイクロン2bと共に移動ステージ2c上に設置されている。同様に、分割ブース3は、レシプロケータ3aとサイクロン3bと共に移動ステージ3c上に設置されている。これら分割ブース2及び3は、それぞれ移動ステージ2c及び3cにより搬送経路1に近接した塗装位置Pと搬送経路1から退避した清掃位置Cとの間で移動自在に配設されている。
【0012】
また、分割ブース2の近傍に第1のバグフィルタ4が配置されており、図示しない配管により、分割ブース2及び3が塗装位置Pに位置するときにはサイクロン2b及び3bに、清掃位置Cに位置するときには分割ブース2及び3内にそれぞれ接続されるように構成されている。
【0013】
これら第1の分割ブース2及び3から搬送経路1に沿って所定の間隔を隔てると共に搬送経路1を挟むように搬送経路1の両側に一対の第2の分割ブース5及び6が配置されている。分割ブース5は、レシプロケータ5aとサイクロン5bと共に移動ステージ5c上に設置されており、分割ブース6は、レシプロケータ6aとサイクロン6bと共に移動ステージ6c上に設置されている。これら分割ブース5及び6は、それぞれ移動ステージ5c及び6cにより搬送経路1に近接した塗装位置Pと搬送経路1から退避した清掃位置Cとの間で移動自在に配設されている。
【0014】
また、分割ブース5の近傍に第2のバグフィルタ7が配置されており、図示しない配管により、分割ブース5及び6が塗装位置Pに位置するときにはサイクロン5b及び6bに、清掃位置Cに位置するときには分割ブース5及び6内にそれぞれ接続されるように構成されている。
【0015】
搬送経路1の一方の側において、分割ブース2と分割ブース5との間にクリーニングブース8が配置され、他方の側において、分割ブース3と分割ブース6との間にクリーニングブース9が配置されている。クリーニングブース8は、搬送経路1と平行に分割ブース2の塗装位置Pに相当する作動位置S2から分割ブース2と分割ブース5との間の退避位置Tを通って分割ブース5の塗装位置Pに相当する作動位置S5まで移動自在に配設されている。同様に、クリーニングブース9は、搬送経路1と平行に分割ブース3の塗装位置Pに相当する作動位置S3から分割ブース3と分割ブース6との間の退避位置Tを通って分割ブース6の塗装位置Pに相当する作動位置S6まで移動自在に配設されている。
【0016】
分割ブース2及び3は、それぞれ搬送経路1に対向する面が開口しており、塗装位置Pに位置すると、互いの開口部が近接して被塗物を囲む塗装ブースを形成する。
なお、クリーニングブース8の退避位置Tは分割ブース2及び5の移動経路に干渉しない位置に設定され、同様に、クリーニングブース9の退避位置Tは分割ブース3及び6の移動経路に干渉しない位置に設定されている。
また、分割ブース2,3,5及び6の近傍には、それぞれ複数の色の粉体塗料を塗装ガンに供給するための塗料供給装置10,11,12及び13が配置されている。
なお、分割ブース2,3,5及び6の内壁面は、金属あるいは粉体塗料が付着しにくいような樹脂等から形成されている。
【0017】
次に、この実施の形態1の動作について説明する。
図1に示されるように、移動ステージ2c及び3cにより第1の分割ブース2及び3をそれぞれ塗装位置Pに移動させる。このとき、図2に示されるように、第1の分割ブース2及び3により搬送装置14にハンガーを介して吊り下げられた被塗物15を囲む塗装ブース16が形成される。
【0018】
この状態で搬送装置14に所定の間隔で複数の被塗物15を吊り下げて所定の搬送速度で搬送すると共に、塗料供給装置10及び11からレシプロケータ2a及び3aの塗装ガンに粉体塗料を供給して塗装ブース16内に導入された被塗物15に向けて粉体塗料を吹き付ける。また、分割ブース2及び3が塗装位置Pに移動したことで第1のバグフィルタ4が図示しない配管によりサイクロン2b及び3bに接続される。ここで、第1のバグフィルタ4を駆動すると、塗装ブース16内で被塗物15に向けて吹き付けられたものの被塗物15の表面に付着しなかった粉体塗料がサイクロン2b及び3bで回収されて塗料供給装置10及び11に戻され、再び塗装ガンから吹き付けられる。なお、サイクロン2b及び3bで回収されない微細な粒子は第1のバグフィルタ4に捕捉される。
このようにして複数の被塗物15に次々と塗装がなされる。
【0019】
このとき、図1に示されるように、第2の分割ブース5及び6はそれぞれ塗装位置Pから清掃位置Cへと退避し、クリーニングブース8及び9がそれぞれ退避位置Tから作動位置S5及びS6へ移動する。これにより、図3に示されるように、分割ブース6の開口部の大部分がクリーニングブース9によって覆われるが、クリーニングブース9の方が分割ブース6よりわずかに低く形成されており、このため分割ブース6の上端部に幅の狭い開口スリット17が形成される。また、分割ブース6が清掃位置Cに移動したことで第2のバグフィルタ7が図示しない配管により分割ブース6内に接続される。
【0020】
この状態で、第2のバグフィルタ7を駆動させて分割ブース6内の吸気を行うと、図3に矢印で示すように、上端部の開口スリット17から外気が取り入れられ、分割ブース6の内壁面に沿って流れる。これにより、前回の塗装の際に分割ブース6の内壁面に付着した粉体塗料が効率よく除去され、第2のバグフィルタ7に捕捉される。なお、クリーニングブース9内には作業者Mが乗るためのリフター18が設置されており、必要に応じて作業者Mがクリーニングブース9内に入り、エアガン等により圧縮空気を分割ブース6の内壁面に吹きつけて粉体塗料を除去することもできる。
【0021】
同様にして、分割ブース5の開口部がクリーニングブース8によってほぼ覆われ、第2のバグフィルタ7の駆動によって分割ブース5内の清掃が行われる。
このようにして、第2の分割ブース5及び6の清掃が終了すると、クリーニングブース8及び9が退避位置Tに戻り、第2の分割ブース5及び6がそれぞれ塗装位置Pに移動して第2の塗装ブースを形成する。そして、次の色替え時には、新たな色の粉体塗料をレシプロケータ5a及び6aの塗装ガンに供給することによって即座に塗装を開始することができる。
【0022】
第1の分割ブース2及び3による塗装が終了すると、第1の分割ブース2及び3はそれぞれ塗装位置Pから清掃位置Cへと退避し、クリーニングブース8及び9がそれぞれ退避位置Tから作動位置S2及びS3へ移動して清掃が行われ、次の色替えに備える。
【0023】
以上のように、分割ブース2,3,5及び6がそれぞれ搬送経路1に近接した塗装位置Pと搬送経路1から退避した清掃位置Cとの間で移動自在に配設されているので、搬送装置14により次々と被塗物15が搬送されてきても各分割ブースを塗装位置Pと清掃位置Cとの間で移動することができ、また、清掃位置Cに退避した分割ブースの開口部をクリーニングブースで覆って清掃することができるため、効率よく色替えを行うことが可能となり、塗装工程の効率が著しく向上する。
【0024】
なお、上記の実施の形態1においては、第1の分割ブース2及び3と第2の分割ブース5及び6に共通のクリーニングブース8及び9を配置したが、分割ブースごとに専用のクリーニングブースを配置することもできる。
閉鎖手段として、クリーニングブース8及び9の代わりに、シャッターや板状部材を用いて分割ブース2,3,5及び6の開口部を覆うこともできる。この場合も、開口スリットを残して分割ブースの開口部の大部分を閉鎖手段で覆い、分割ブース内を吸気することにより開口スリットから外気を分割ブース内に取り入れて分割ブースの内壁面に付着した粉体塗料を除去するように構成することが望ましい。
【0025】
実施の形態2.
図4に実施の形態2に係る粉体塗装システムの全体構成を示す。図1に示した実施の形態1の粉体塗装システムにおいては、各分割ブース2,3,5及び6にそれぞれ対応してサイクロン2b,3b,5b及び6bを配設したが、実施の形態2では、互いに近接して塗装ブースを形成する一対の分割ブースに対して一つのサイクロンが接続されている。図4に示されるように、第1の分割ブース2及び3に対して一つのサイクロン2bが移動ステージ2c上に配設され、第1の分割ブース2及び3と第1のバグフィルタ4にされている。同様に、第2の分割ブース5及び6に対して一つのサイクロン5bが移動ステージ5c上に配設され、第2の分割ブース5及び6と第2のバグフィルタ7にされている。
【0026】
このように構成しても、第1のバグフィルタ4の駆動により、被塗物の表面に付着しなかった粉体塗料がサイクロン2bで回収されて塗料供給装置10及び11に戻され、再び塗装ガンから吹き付けられる。同様に、第2のバグフィルタ7の駆動により、被塗物の表面に付着しなかった粉体塗料がサイクロン5bで回収されて塗料供給装置12及び13に戻され、再び塗装ガンから吹き付けられる。
【0027】
この実施の形態2では、一対の分割ブースに対して一つのサイクロンを配設して粉体塗料の回収を行うので、設備コストの低減を図ることができる。
具体的には、例えば図5に示されるように、一対の分割ブースを互いに非対称として、底部に排気ダクト21aを有する分割ブース21と、排気ダクトを有しない分割ブース22とから構成し、分割ブース21の排気ダクト21aに図示しないサイクロンを接続しておく。そして、これら分割ブース21及び22を互いに近接させて塗装ブース23を形成したときに分割ブース21の排気ダクト21aを介して吸気し、粉体塗料の回収を行うようにすればよい。
【0028】
これら非対称の分割ブース21及び22に対応させて、図6に示されるように、クリーニングブース24及び25も互いに非対称とし、排気ダクト21aを有する分割ブース21に対応するクリーニングブース24は排気ダクトを持たず、排気ダクトを有しない分割ブース22に対応するクリーニングブース25には排気ダクト25aを形成しておく。これにより、清掃時には分割ブース21の排気ダクト21a及びクリーニングブース25の排気ダクト25aを介してそれぞれ吸気することができる。
【0029】
実施の形態3.
図7に実施の形態3に係る粉体塗装システムを示す。この実施の形態3は、上述した実施の形態2の粉体塗装システムにおいて、各分割ブース21及び22にそれぞれブローオフ装置26を搭載し、分割ブース21及び22の内壁面及び床面に圧縮空気を吹き付けて、ここに付着した粉体塗料を除去するようにしたものである。さらに、レシプロケータ27及び28に取り付けられた塗装ガン29及び30の近傍にそれぞれブローオフ装置31を設置し、塗装ガン29及び30の外面に圧縮空気を吹き付けて、ここに付着した粉体塗料も除去するように構成されている。
【0030】
これらブローオフ装置26及び31から圧縮空気を吹き付けることにより、分割ブース21及び22の内壁面及び床面並びに塗装ガン29及び30の外面が清掃され、効率よく色替えを行うことが可能となる。
同様に、実施の形態1の粉体塗装システムに対しても、ブローオフ装置を配設して各分割ブース2,3,5及び6の内壁面及び床面並びに塗装ガンの外面を清掃することができる。
【0031】
実施の形態4.
図8に実施の形態4に係る粉体塗装システムで用いられたクリーニングブース32を示す。このクリーニングブース32は、図6に示した実施の形態2における一対のクリーニングブース24及び25を共通の移動ベース33上に固定して互いに一体に形成したものである。移動ベース33は、図8に示されるように分割ブース21及び22の開口部をそれぞれ覆う作動位置と、分割ブース21及び22の移動経路に干渉しない退避位置との間で被塗物15の搬送経路と平行に移動自在に構成されている。移動ベース33を介して互いに一体に形成された一対のクリーニングブース24及び25の間には、被塗物15が通るのに十分な隙間が形成されているため、分割ブース21及び22の清掃中であっても被塗物15を搬送することが可能となり、清掃中に飛散した粉体塗料が被塗物15に付着することがない。
【0032】
このように一対のクリーニングブース24及び25を一体に形成すれば、クリーニングブースを作動位置と退避位置との間で移動させるための移動装置が一つで済み、構成が簡単になると共に設備コストを低く抑えることができる。
なお、同様にして、実施の形態1における一対のクリーニングブース8及び9を互いに一体に形成することもできる。
【0033】
なお、実施の形態1及び2では、2対の分割ブースを配設したが、これに限るものではなく、3対以上の分割ブースを配設してもよい。
また、この発明は、粉体塗料を用いた粉体塗装システムに関しているが、溶剤系の塗料を使用する既設の溶剤塗装ラインにこの発明の粉体塗装システムを組み合わせて溶剤塗装と粉体塗装の併用ラインを形成することもできる。分割ブースを清掃位置に退避させて分割ブース内の清掃を行うため、分割ブースの清掃時でもラインを停止させる必要がなく、このとき溶剤塗装を行うことも可能である。このため、溶剤塗装と粉体塗装を併せ持つ、塗装効率の優れたシステムが構築される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って被塗物が搬送されると共に塗装ブース内に位置した被塗物に塗装を行う粉体塗装システムにおいて、
搬送経路の両側にてそれぞれ搬送経路に近接した塗装位置と搬送経路から退避した清掃位置との間で移動自在に配設されると共に搬送経路に対向する面が開口し且つ塗装位置では互いに開口部が近接して被塗物を囲む塗装ブースを形成する一対の分割ブースと、
清掃位置に退避した分割ブースの開口部を覆う閉鎖手段と
を備え、清掃位置の分割ブースの開口部を閉鎖手段で覆った状態で分割ブース内の清掃が行われることを特徴とする粉体塗装システム。
【請求項2】
複数対の分割ブースが搬送経路に沿って直列に配置された請求項1に記載の粉体塗装システム。
【請求項3】
閉鎖手段は、それぞれ清掃位置に退避した分割ブースの開口部を覆う作動位置と分割ブースの移動経路に干渉しない退避位置との間で移動自在に配設される一対のクリーニングブースからなる請求項1に記載の粉体塗装システム。
【請求項4】
前記一対のクリーニングブースは互いに一体に形成されている請求項3に記載の粉体塗装システム。
【請求項5】
複数の分割ブースに対応して共通のクリーニングブースが配設された請求項3に記載の粉体塗装システム。
【請求項6】
塗装ブースを形成した他の分割ブースにて塗装を行っている間に一対の分割ブースを清掃位置に移動させると共にクリーニングブースを作動位置に移動させてこの分割ブースの清掃を行う請求項3に記載の粉体塗装システム。
【請求項7】
閉鎖手段により開口スリットを残して分割ブースの開口部の大部分を覆い、分割ブース内を吸気することにより開口スリットから外気が分割ブース内に取り入れられて分割ブースの内壁面に付着した粉体塗料を除去する請求項1に記載の粉体塗装システム。
【請求項8】
塗装ブースにサイクロンが接続された請求項1に記載の粉体塗装システム。
【請求項9】
一対の分割ブースに対して一つのサイクロンが接続された請求項8に記載の粉体塗装システム。
【請求項10】
分割ブースの内壁面及び床面に圧縮空気を吹き付けて粉体塗料を除去するブローオフ装置が各分割ブースに搭載された請求項1に記載の粉体塗装システム。
【請求項11】
塗装ブース内に位置した被塗物に塗装を行うための塗装ガンが取り付けられたレシプロケータを備える請求項1に記載の粉体塗装システム。
【請求項12】
塗装ガンの外面に圧縮空気を吹き付けて粉体塗料を除去するブローオフ装置が配設された請求項11に記載の粉体塗装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【国際公開番号】WO2005/049221
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【発行日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515639(P2005−515639)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017156
【国際出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000229597)日本パーカライジング株式会社 (198)
【Fターム(参考)】