粉体廃棄物の処理方法
【課題】粉体廃棄物に対して所定の処理をするために粉体廃棄物を受入設備に投入する際に、粉体廃棄物の飛散や粉塵爆発を防止する。
【解決手段】粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射して粉体廃棄物を湿潤化し、次いで、湿潤化された粉体廃棄物を受入設備に投入する。これにより、投入時に粉体廃棄物の飛散を低減できるので、周辺設備の汚染、作業環境の悪化を防ぎ、更に粉塵爆発を防止することが出来る。この結果、簡単且つ安価な方法で粉体廃棄物を処理することができる。
【解決手段】粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射して粉体廃棄物を湿潤化し、次いで、湿潤化された粉体廃棄物を受入設備に投入する。これにより、投入時に粉体廃棄物の飛散を低減できるので、周辺設備の汚染、作業環境の悪化を防ぎ、更に粉塵爆発を防止することが出来る。この結果、簡単且つ安価な方法で粉体廃棄物を処理することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃トナー、EP灰(Electron Particle)、廃粉体塗料等の粉体廃棄物の処理方法に関する。特に、粉体廃棄物の飛散を防ぐことにより、周辺設備の汚染や作業環境の悪化を防ぎ、また、粉塵爆発を防止することができる粉体廃棄物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃トナー、EP灰、廃粉体塗料等の粉体廃棄物は、その殆どが埋め立て処分もしくは焼却処分されている。しかし、埋め立て処分場の残余年数の逼迫や排ガス規制値の強化による焼却処分場の減少により処理費用が高騰している。また、粉体廃棄物を処理する際に、粉体が飛散して周辺設備の汚染や作業環境の悪化を招いたり、粉塵爆発を起こしたりする可能性がある。従って、粉体廃棄物はその処理の困難性のため埋め立て・焼却処分場に敬遠され、また、処理するに際しては高額な費用が必要となっている。
【0003】
このような状況の下、廃トナー等の高発熱量を持つ粉体廃棄物の粉塵発生を抑えて固形燃料化する試みがなされているが(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)、その製造システムが複雑であるため実用化はなされていない。
【0004】
また、粉体の飛散を防止するため予め粉体に水を添加する方法が提案されている(特許文献5)。この方法は、水に濡れやすい焼却灰等の無機粉体廃棄物に対しては効果を有するが、廃トナー、EP灰等の水に濡れにくい有機粉体廃棄物には効果を期待できない。
【特許文献1】特開平5−295375号公報
【特許文献2】特開2000−136263号公報
【特許文献3】特開2001−259598号公報
【特許文献4】特開2005−120112号公報
【特許文献5】特開2005−221090号公報
【特許文献6】特許第3039644号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、廃トナー、EP灰、廃粉体塗料等の数μm〜数百μmの粒径を持つ粉体廃棄物に対して、埋め立て処分、焼却処分、または固形燃料等としてリサイクルするなどの所定の処理をするために粉体廃棄物を受入設備に投入する際には、粒径が小さいが故に粉体廃棄物の飛散により周辺設備の汚染、作業環境の悪化を招き、更に、可燃性粉体廃棄物の場合には静電気火花による粉塵爆発が生じる可能性がある。従って、これら粉体廃棄物の処理は困難とされ、処理費用は他の廃棄物に比べ高額なものとなっている。
【0006】
本発明は、これら飛散の激しい粒径が数μm〜数百μmの粒径を持つ粉体廃棄物に対して所定の処理をするために粉体廃棄物を受入設備に投入する際に、粉体廃棄物の飛散を防止し、更に、静電気火花等の着火による粉塵爆発を防止する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粉体廃棄物の処理方法は、粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射して前記粉体廃棄物を湿潤化し、次いで、湿潤化された前記粉体廃棄物を受入設備に投入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、廃トナー、EP灰、廃粉体塗料等の数μm〜数百μmの粒径を持つ粉体廃棄物に対して、埋め立て処分、焼却処分、または固形燃料等としてリサイクルするなどの所定の処理をするために粉体廃棄物を受入設備に投入するに先立って、粉体廃棄物の性質に応じた適切な界面活性剤水溶液を粉体廃棄物に噴射して粉体廃棄物を湿潤化する。これにより、受入設備への投入時に粉体廃棄物の飛散を低減できるので、周辺設備の汚染、作業環境の悪化を防ぎ、更に粉塵爆発を防止することが出来る。この結果、簡単且つ安価な方法で粉体廃棄物を処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において、前記粉体廃棄物に対する前記界面活性剤水溶液の浸透時間が24時間未満であることが好ましい。この条件を満足する界面活性剤水溶液は粉体廃棄物に対する濡れ性が良好であり、このような界面活性剤水溶液を使用することにより、粉体廃棄物を効率よく湿潤化させることができる。
【0010】
本発明では、粉体廃棄物が貯留されている容器の種類に応じて界面活性剤水溶液の噴射方法を選択することが好ましい。
【0011】
例えば、粉体廃棄物がフレキシブルコンテナやドラム缶等に貯留されている場合、容器としてのフレキシブルコンテナやドラム缶等内に貯留された前記粉体廃棄物の上方より前記容器の内壁に向かって前記界面活性剤水溶液を噴射することが好ましい。これにより、少量の界面活性剤水溶液で粉体廃棄物を効率良く湿潤化することができる。また、粉体廃棄物の外周部分を湿潤化することができるので、仮に中心部分に未湿潤化の粉体が残っていたとしても、これを外周部分の湿潤化された粉体が包み込むので、粉体廃棄物の飛散を大幅に防ぐことができ、また粉塵爆発を防止することができる。
【0012】
この場合、前記界面活性剤水溶液を噴出する開口が外周側面にのみ形成された噴射ノズルを用いて前記界面活性剤水溶液を噴射することが好ましい。これにより、容器の内壁に向かって界面活性剤水溶液を噴射することを容易に行うことができ、容器内の粉体廃棄物をその外周部分から効率よく湿潤化させることができる。
【0013】
粉体廃棄物がバルク車の貯蔵タンク等に貯留されている場合、容器としての貯蔵タンク内に貯留された前記粉体廃棄物を配管を介して排出する際に、前記配管の内壁面に設けられた噴射ノズルから前記配管中を移動する前記粉体廃棄物に前記界面活性剤水溶液を噴射することが好ましい。これにより、粉体廃棄物を排出する際に、少量の界面活性剤水溶液で粉体廃棄物を連続的に効率よく湿潤化させることができる。
【0014】
この場合において、前記噴射ノズルが前記配管の内壁面に螺旋状に複数個配置されていることが好ましい。これにより、粉体廃棄物をむらなく湿潤化させることができる。
【0015】
前記粉体廃棄物を前記受入設備内に落下させて投入する際に、落下中の前記粉体廃棄物に向かって前記界面活性剤水溶液を噴霧することが好ましい。これにより、湿潤化されていないために飛散した粉体廃棄物を界面活性剤水溶液の霧が捕捉するので、粉体廃棄物の飛散を一層防止できる。
【0016】
前記粉体廃棄物が廃トナー、EP灰、又は廃粉体塗料であることが好ましい。これらは、その粒径が小さいために、粉体の飛散や粉塵爆発が特に問題になることが多い。本発明によれば、この問題を解消することができる。
【0017】
前記容器がフレキシブルコンテナであることが好ましい。フレキシブルコンテナは安価であり粉体廃棄物を貯留するための容器として汎用されている。従って、本発明をフレキシブルコンテナに貯留された粉体廃棄物に適用すれば、本発明の効果が顕著に発現される。
【0018】
前記粉体廃棄物をセメント焼成用補助燃料の原料としてリサイクルすることが好ましい。これにより、作業環境の悪化を招くことなく、粉体廃棄物をセメント焼成用補助燃料として低コストでリサイクルすることができる。
【0019】
本発明において粉体廃棄物とは、好ましくは数μm〜数百μmの粒径を持つ粉体であって、重油燃焼設備の電気集塵機より回収されるEP灰、石炭燃焼設備の電気集塵機より回収されるフライアッシュ、複写機やプリンターなど電子式画像形成装置で用いられ、使用済みトナーカートリッジ等に残存している廃トナー、もしくはトナー製造工場において発生する廃トナー、粉体塗料製造工場もしくは塗装現場から発生する廃粉体塗料、脱臭設備より排出される廃活性炭粉末などを例示することができる。
【0020】
このような粉体廃棄物の処理はその発生場所で行われることは殆ど無く、通常はフレキシブルコンテナ、ドラム缶、バルク車等の容器に収められ、埋め立て処分場又は焼却処分場に運ばれて処分されたり、再資源化工場に運ばれて燃料等として再資源化されたりする。
【0021】
容器に収められて処分場又は再資源化工場に運ばれた粉体廃棄物は、直接、処分場又は再資源化設備に投入されるか、あるいは貯留設備に投入されて一時的に貯留された後、処分場又は再資源化設備に投入される。
【0022】
粉体廃棄物が飛散して、施設の汚染や作業環境の悪化、更には粉塵爆発が最も多く起こる工程は、発生場所から搬送した粉体廃棄物を最初に受入設備に投入する工程である。ここで、「受入設備」とは、発生場所から容器に収められて運ばれて来た粉体廃棄物が最初に投入される処分場又は設備であって、例えば埋め立て処分場の埋立地、焼却処分場の焼却設備、再資源化設備、又は粉体廃棄物をこれらに投入する前に一時的に貯留するための貯留設備を意味する。
【0023】
本発明では、容器に収められて発生場所から搬送されてきた粉体廃棄物を、この容器から最初に受入設備に投入する工程(即ち、受入工程)を行うに先立って、粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射して粉体廃棄物を湿潤化する。受入工程時に粉体廃棄物が湿潤化されていれば、その後の工程(例えば、埋め立て工程、焼却工程、他の廃棄物等との混合工程など)での粉体廃棄物の飛散を防止することができる。
【0024】
粉体廃棄物を効率良く湿潤化するためには、粉体廃棄物の性質に応じた適切な界面活性剤を用いることが好ましい。即ち、粉体廃棄物に対する界面活性剤水溶液の濡れ性が良好であることが好ましい。
【0025】
濡れ性は、以下の濡れ性試験を行うことで確認できる。容量200cm3のガラス製ビーカーに所定の濃度の所定の界面活性剤水溶液15gを入れ、次いで粉体廃棄物30gを加えた後、ビーカーを軽く数回振って、界面活性剤水溶液上に浮いた粉体廃棄物の上面を平らにしてビーカーを静置する。時間の経過とともに界面活性剤水溶液が粉体廃棄物中に浸透する。全ての界面活性剤水溶液が粉体廃棄物中に浸透して、界面活性剤水溶液が目視出来なくなるまでの時間を測定し、これを浸透時間とする。本発明では、この濡れ性試験での浸透時間が24時間未満、更には18時間未満、特に12時間未満である界面活性剤水溶液を用いることが好ましい。浸透時間が短いほど界面活性剤水溶液の粉体廃棄物を湿潤化する能力が高くなることを意味する。浸透時間が前記上限を超えると、粉体廃棄物に対する湿潤化能力が低く、粉体廃棄物を受入設備に投入する際に粉体廃棄物の飛散を十分に防止することができないので好ましくない。使用する界面活性剤は一種類を用いても、複数の種類を混合して用いてもかまわない。
【0026】
界面活性剤水溶液中の界面活性剤の濃度は特に制限はないが、0.1〜20重量%が好ましい。一般に、濃度が高くなるほど、上記の浸透時間は短くなり、粉体廃棄物に対する湿潤化能力は向上する。従って、濃度が上記範囲未満であると、粉体廃棄物に対する湿潤化能力を得られにくくなる。逆に、濃度が上記範囲を超えると、界面活性剤水溶液のコストが増大し、また、界面活性剤水溶液の粘性が増加して粉体廃棄物に対する浸透性が悪化することがある。
【0027】
本発明において、界面活性剤の種類は、界面活性剤水溶液の濡れ性試験における浸透時間が上記の条件を満足すれば特に限定はないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム等のアニオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン等の両性イオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン系界面活性剤等を用いることが出来る。
【0028】
本発明では、粉体廃棄物に対する界面活性剤水溶液の噴射方法は、粉体廃棄物が貯留されている容器の種類に応じて適宜選択することが好ましい。
【0029】
粉体廃棄物が収められている容器がフレキシブルコンテナである場合、図1に示すように、粉体廃棄物1を収納したフレキシブルコンテナ10を例えばフォークリフト6等で吊り下げて受入設備5の上方に移動させる。このとき、フレキシブルコンテナ10の上側投入口を開け、噴射ノズル20をフレキシブルコンテナ10内に挿入し、上側投入口を閉じた状態で、フレキシブルコンテナ10内の粉体廃棄物1に対して噴射ノズル20を用いて界面活性剤水溶液3を噴射する。噴射ノズル20は略柱形状を有し、図2に示すように、界面活性剤水溶液を噴出する開口21が、その先端面(底面)には形成されておらず、先端面近傍の外周側面にのみ複数個形成されている。この噴射ノズル20を図3に示すようにフレキシブルコンテナ10内に上側から挿入して、ホース22を介して界面活性剤水溶液3を噴射ノズル20に圧送する。界面活性剤水溶液3は、粉体廃棄物1の上方より、フレキシブルコンテナ10の内壁に向かって噴射される。
【0030】
界面活性剤水溶液3がフレキシブルコンテナ10の内壁に向かって噴射されることで、粉体廃棄物1は、フレキシブルコンテナ10の内壁に接触している外周部分(図3の斜線を施した部分)1aから中心部分に向かって徐々に湿潤化される。これにより、粉体廃棄物1を効率良く湿潤化することができる。また、粉体廃棄物1の外周部分1aを湿潤化することにより、仮に中心部分1bに未湿潤化の粉体が残っていたとしても、これを外周部分1aの湿潤化された粉体が包み込むので、フレキシブルコンテナ10から受入設備5に粉体廃棄物1を投入する際に粉体廃棄物の飛散を大幅に防ぐことができ、粉塵爆発を防止することができる。
【0031】
上記のようにしてフレキシブルコンテナ10内にて界面活性剤水溶液3を所定量噴射後、刃物でフレキシブルコンテナ10の底部を切り裂き、湿潤化した粉体廃棄物1を受入設備5に落下させ投入する。
【0032】
界面活性剤水溶液3の噴射量は粉体廃棄物1の質及び粒径等により異なるが、粉体廃棄物1の重量に対し5〜50重量%が好ましい。5重量%未満では粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、また50重量%を超えると湿潤化された粉体廃棄物1が泥状になりフレキシブルコンテナ10に付着しこれを汚染するため好ましくなく、同時に不経済である。
【0033】
フレキシブルコンテナ10内の粉体廃棄物1の組成が例えば上部と下部とで多少相違することなどの理由によって、上記の濡れ性試験で適性と判断した界面活性剤水溶液3を用いても粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、粉体廃棄物1の飛散を完全に防止できない場合がある。このような場合には、図1に示すように、吊り下げられたフレキシブルコンテナ10と受入設備5との間の空間に設置した噴霧ノズル25から、フレキシブルコンテナ10から受入設備5に向かって落下する粉体廃棄物に向かって界面活性剤水溶液4を霧状に噴霧することが好ましい。これにより、湿潤化されていないために飛散した粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧が捕捉するので、粉体廃棄物の飛散を防止できる。落下中の粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧で水平面内において周囲から包囲できるように、噴霧ノズル25の設置位置及び個数などを設定することが好ましい。
【0034】
噴霧ノズル25からの界面活性剤水溶液4の噴霧はフレキシブルコンテナ10から粉体廃棄物が落下している時間中は継続して行うことが好ましい。界面活性剤水溶液4の時間当たりの噴霧量は0.5kg/分〜5kg/分が好ましい。0.5kg/分未満では粉体廃棄物の飛散を防ぐことが困難になることがあり、また、5kg/分を超えても粉体飛散防止効果はほとんど変化せず、不経済である。
【0035】
粉体廃棄物が収められている容器がドラム缶である場合、図4に示すように、粉体廃棄物1が収められたドラム缶30の天板を外し、図3の場合と同様に、図2に示した噴射ノズル20をドラム缶30内に上側から挿入し、プラスチックシート31等でドラム缶30の上側開口及び噴射ノズル20を覆いながら、ホース22を介して界面活性剤水溶液3を噴射ノズル20に圧送する。界面活性剤水溶液3は、粉体廃棄物1の上方より、ドラム缶30の内壁に向かって噴射される。これにより、図3の場合と同様に、粉体廃棄物1は、ドラム缶30の内壁に接触している外周部分(図4の斜線を施した部分)1aから中心部分1bに向かって徐々に湿潤化される。
【0036】
噴射後、プラスチックシート31及び噴射ノズル20を取り除き、図5に示すように、ドラム缶30を回転式フォークリフト7を用いて保持し、受入設備5の上方にてドラム缶30を転倒させて、ドラム缶30内の粉体廃棄物1を受入設備5に落下させ投入する。ドラム缶30を搬送及び転倒させる手段は、回転式フォークリフト7に限定されず、例えばドラム転倒機を用いても良い。
【0037】
粉体廃棄物1がフレキシブルコンテナに収められている場合と同様に、界面活性剤水溶液3の噴射量は粉体廃棄物1の質及び粒径等により異なるが、粉体廃棄物1の重量に対し5〜50重量%が好ましい。5重量%未満では粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、また50重量%を超えると湿潤化された粉体廃棄物1が泥状になりドラム缶30に付着しこれを汚染するため好ましくなく、同時に不経済である。
【0038】
粉体廃棄物1がフレキシブルコンテナに収められている場合と同様に、上記の濡れ性試験で適性と判断した界面活性剤水溶液3を用いても粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、粉体廃棄物1の飛散を完全に防止できない場合がある。このような場合には、図5に示すように、転倒したドラム缶30と受入設備5との間の空間に設置した噴霧ノズル25から、落下する粉体廃棄物に向かって界面活性剤水溶液4を霧状に噴霧することが好ましい。これにより、湿潤化されていないために飛散した粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧が捕捉するので、粉体廃棄物の飛散を防止できる。落下中の粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧で水平面内において周囲から包囲できるように、噴霧ノズル25の設置位置及び個数などを設定することが好ましい。
【0039】
噴霧ノズル25からの界面活性剤水溶液4の噴霧はドラム缶30から粉体廃棄物が落下している時間中は継続して行うことが好ましい。界面活性剤水溶液4の時間当たりの噴霧量は0.5kg/分〜5kg/分が好ましい。0.5kg/分未満では粉体廃棄物の飛散を防ぐことが困難になることがあり、また、5kg/分を超えても粉体飛散防止効果はほとんど変化せず、不経済である。
【0040】
粉体廃棄物が収められている容器がバルク車の貯蔵タンクである場合、貯蔵タンク内にて粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射することは困難である。そこで、図6に示すように、バルク車40の貯蔵タンク41から粉体廃棄物を排出する排出管42と受入設備5との間に、内壁面に界面活性剤水溶液を噴出する噴射ノズルを備えた配管45を設置する。配管45の噴射ノズルから界面活性剤水溶液を噴射しながら、バルク車40の貯蔵タンク41内の粉体廃棄物を空気圧送又はスクリューフィーダーなどの方法により排出する。これにより、粉体廃棄物は、配管45内を通過する際に界面活性剤水溶液によって湿潤化される。
【0041】
噴射ノズルが設置された配管45の内径は、バルク車40の排出管42の内径とほぼ同じであることが好ましい。配管45の内径が排出管42の内径に比べて極端に小さいと、配管45内の粉体廃棄物の移送速度が速くなり、粉体廃棄物を十分に湿潤化させることが難しくなる。逆に、配管45の内径が排出管42の内径に比べて極端に大きいと、湿潤化された粉体廃棄物が配管45内に滞留し配管45を閉塞させる恐れが生じる。
【0042】
配管45の長さは、界面活性剤水溶液の粉体廃棄物に対する濡れ性によって適宜設定されるが、2m〜10mが好ましい。2m未満では粉体廃棄物の排出速度によっては粉体廃棄物を十分に湿潤化させることができない場合がある。また、10mを超えると湿潤化の効率はほとんど変らず、また、湿潤化した粉体廃棄物が配管45を閉塞させる可能性が増大する。
【0043】
配管45の内壁面に設けられる界面活性剤を噴射する噴射ノズルの数は一つでも構わないが、複数個であることが好ましい。複数個の噴射ノズルを設けることにより粉体廃棄物と界面活性剤水溶液との接触の機会が増えるので、粉体廃棄物を効率的に湿潤化させることができる。複数個の噴射ノズルを設置する場合、図7に示すように配管45の内壁面に螺旋状に複数個の噴射ノズル46を配置することが好ましい。これにより、配管45内を通過する粉体廃棄物をむらなく湿潤化させることができる。図6及び図7では図示を省略しているが、配管45には界面活性剤水溶液を噴射ノズル46に圧送するためのホースが接続されている。
【0044】
粉体廃棄物1がフレキシブルコンテナ及びドラム缶に収められている場合と同様に、界面活性剤水溶液の噴射量は粉体廃棄物1の質及び粒径等により異なるが、配管45内を通過する粉体廃棄物1の重量に対し5〜50重量%が好ましい。5重量%未満では粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、また50重量%を超えると湿潤化された粉体廃棄物1が泥状になり配管45の内壁面に付着し配管45が閉塞するため好ましくない。配管45内を通過する粉体廃棄物1の速度に応じて粉体廃棄物1に対する界面活性剤水溶液の比率が上記の範囲になるように、界面活性剤水溶液の噴射量を調節することが好ましい。
【0045】
粉体廃棄物1がフレキシブルコンテナ及びドラム缶に収められている場合と同様に、上記の濡れ性試験で適性と判断した界面活性剤水溶液を用いても粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、粉体廃棄物1の飛散を完全に防止できない場合がある。このような場合には、図7に示すように、排出管出口43と受入設備5との間の空間に設置した噴霧ノズル25から、落下する粉体廃棄物に向かって界面活性剤水溶液4を霧状に噴霧することが好ましい。これにより、湿潤化されていないために飛散した粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧が捕捉するので、粉体廃棄物の飛散を防止できる。落下中の粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧で水平面内において周囲から包囲できるように、噴霧ノズル25の設置位置及び個数などを設定することが好ましい。
【0046】
噴霧ノズル25からの界面活性剤水溶液4の噴霧は排出管出口43から粉体廃棄物が落下している時間中は継続して行うことが好ましい。界面活性剤水溶液4の時間当たりの噴霧量は0.5kg/分〜5kg/分が好ましい。0.5kg/分未満では粉体廃棄物の飛散を防ぐことが困難になることがあり、また、5kg/分を超えても粉体飛散防止効果はほとんど変化せず、不経済である。
【0047】
以上のように、粉体廃棄物に対する濡れ性が良好な界面活性剤水溶液を、粉体廃棄物を貯留する容器に応じた噴射方法で粉体廃棄物に噴射する。湿潤化された粉体廃棄物は、所定の処理手順に従ってそのまま埋め立てられたり、焼却されたり、又は他の廃棄物と混合されて燃料等として再資源化されたりする。本発明により湿潤化されて受入設備に投入された粉体廃棄物は、次に行われる処理(例えば再資源化工程)において粉塵を発生させたり粉塵爆発を起こしたりすることは無い。
【0048】
粉体廃棄物の再資源化の方法は、特に制限はないが、例えばセメント焼成用補助燃料の原料としてリサイクルすることができる。この場合、例えば特許文献6に記載されている方法により、セメント焼成用補助燃料に可逆的チキソトロピー性を付与することが好ましい。即ち、粉体廃棄物を含む複数の廃棄物を混合し、これらの廃棄物に含まれる水と油をエマルジョン化し、発熱量及び塩素含有量を調整してセメント焼成用補助燃料を製造する際に、セメント焼成用補助燃料に可逆的チキソトロピー性を付与する。
【0049】
セメント焼成用補助燃料に可逆的チキソトロピー性を付与することにより、貯留中などの静止状態では極端に粘度が高くなるため廃棄物に含まれる固形分の沈降を防ぐことができ、配管輸送、噴霧燃焼時などの流動時には粘度が低くなるため配管輸送、噴霧燃焼が容易にできるようになる。
【0050】
可逆的チキソトロピー性の有無およびその度合いは、回転粘度計を用いてローターの回転数を6回転/分及び60回転/分のそれぞれに設定して粘度を測定し、その値の比により判断する。60回転/分での粘度が6回転/分での粘度の1/10以下の値を示す組成物は良好なチキソトロピー性を有していると言える。
【0051】
複数の廃棄物を混合しセメント焼成用補助燃料を製造する際に、10μm以下の粒径を有する粉体を混合することによりセメント焼成用補助燃料に可逆的チキソトロピー性を与えることが出来る。本発明により湿潤化した10μm以下の粒径を有する粉体廃棄物を他の廃棄物と混合することにより可逆的チキソトロピー性を有する良好なセメント焼成用補助燃料を製造することが出来る。
【実施例】
【0052】
以下に例を示し本発明を具体的に説明する。
【0053】
(実施例1)
濡れ性試験として、ラウリル硫酸ナトリウム(花王(株)社製エマール2FG)の1%水溶液15gを容量200cm3のガラス製ビーカーに入れ、次いで廃トナー30gを投入しビーカーを軽く振って廃トナー表面を平らにした後、8時間静置したところ、ラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液は全て廃トナーに浸透した。
【0054】
300kgの廃トナーを収容したポリエチレン製内袋入りフレキシブルコンテナの上側投入口を開け、フレキシブルコンテナ内に図2に示す噴射ノズル20を挿入し、上側投入口を紐で縛って閉塞した後、図1に示すようにフォークリフト6でフレキシブルコンテナ10を、その底部が粉体受入槽(受入設備)5の上面から約1mの高さになるように吊り上げ、噴射ノズル20の開口21からラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液30kgを約1分間で噴射した。
【0055】
噴射の後、セラミックナイフでフレキシブルコンテナ10の底部を切り裂き、湿潤化した廃トナーを30m3の容量を持つ攪拌装置の付いた粉体受入槽5に落下させ投入した。投入の際、フレキシブルコンテナ10と粉体受入槽5との間に、3つの噴霧ノズル25を設け、落下する廃トナーに向かって各噴霧ノズル25からラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液を1kg/分の割合で噴霧し、少量発生した廃トナーの粉塵を捕捉した。
【0056】
廃トナーをラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液で湿潤化し、落下の際に少量発生した廃トナー粉塵をラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液を噴霧して捕捉することにより、粉塵発生を防止することが出来、周辺機器が汚染されることは無く、また当然粉塵爆発は起こらなかった。
【0057】
粉体受入槽5には既に廃酢酸及び廃水酸化ナトリウム水溶液が合計20×103kg、及びフッ化カルシウム汚泥をフィルタープレスにより脱水した脱水汚泥が約10×103kgが投入されており、廃トナー投入中に攪拌を継続することでスラリー状の組成物となっていた。ラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液で湿潤化された300kgの廃トナーは、投入終了後約5秒で既に投入されていた組成物と混じりあった。
【0058】
以上の操作を10回行い、合計3×103kgの廃トナーをフレキシブルコンテナ10から粉体受入槽5に落下投入した。
【0059】
3×103kgの廃トナーと、廃酢酸及び廃水酸化ナトリウム水溶液合計20×103kgと、脱水汚泥10×103kgとからなる混合物は均一なスラリー状となった。
【0060】
得られたスラリー5×103kgを容量15m3の2軸パドルミキサーに投入し、更に4×103kgの廃油を投入して20分間攪拌して得た組成物の発熱量及び塩素含有量を測定したところ、発熱量は4100kcal/kgであり、塩素含有量は520ppmであった。
【0061】
芝浦システム(株)製単一筒型回転粘度計、形式VS−Aを用いて上記スラリーの粘度を測定したところ、6回転/分では7,800mPa・s、60回転/分では750mPa・sであり十分なチキソトロピー性を示した。
【0062】
上記組成物をセメント焼成用仮焼炉で燃料として使用したところ、良好に燃焼し、生成したセメントの性状に支障は無かった。
【0063】
(比較例1)
濡れ性試験として、地下水15gを容量200cm3ガラス製ビーカーに入れ、次いで廃トナー30gを投入しビーカーを軽く振って廃トナー表面を平らにした後、24時間静置したところ、水は殆ど廃トナーに浸透しなかった。
【0064】
300kgの廃トナーを収容したポリエチレン製内袋入りフレキシブルコンテナに粉塵爆発防止の為、5本のアース線を取り付け、上側投入口を開け、フレキシブルコンテナ内に図2に示す噴射ノズル20を挿入し、上側投入口を紐を縛って閉塞した後、図1に示すようにフォークリフト6でフレキシブルコンテナ10を、その底部が粉体受入槽(受入設備)5の上面から約1mの高さになるように吊り上げ、噴射ノズル20の開口21から地下水30kgを約1分間で噴射した。
【0065】
噴射の後、セラミックナイフでフレキシブルコンテナ10の底部を切り裂き、廃トナーを30m3の容量を持つ攪拌装置の付いた粉体受入槽5に落下させ投入したところ、廃トナーは殆ど湿潤化されていないため、大量の粉塵が発生し、高さ約5mの天井付近まで舞い上がり、周辺機器に降りかかり、作業環境は極端に悪化した。投入の際、フレキシブルコンテナ10と粉体受入槽5との間に、3つの噴霧ノズル25を設け、落下する廃トナーに向かって各噴霧ノズル25から地下水を1kg/分の割合で噴霧したが、発生した粉塵を捕捉することは殆ど出来なかった。
【0066】
(実施例2)
濡れ性試験として、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(花王(株)製レオドールTW)の5%水溶液15gを容量200cm3ガラス製ビーカーに入れ、次いでEP灰30gを投入しビーカーを軽く振ってEP灰表面を平らにした後、5時間静置したところ、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの5%水溶液は全てEP灰に浸透した。
【0067】
図6に示すように、10×103kgのEP灰を積み込んだスクリュー式排出装置を持つバルク車40を管理型埋立処分場に設置し、その内径150mmの排出管42に、内径150mm、長さ5mの配管45を接続した。配管45の内壁面には螺旋状に10個の界面活性水溶液の噴射ノズル46が設けられていた。排出管出口43をバケット容量1m3のバケットローダーのバケット(受入設備)5上に設置し、各噴射ノズル46からポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの5%水溶液を0.02×103kg/分の割合で噴射しながら、0.15×103kg/分の割合でEP灰を排出しバケット5内に投入した。
【0068】
排出管出口43から排出されたEP灰は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの5%水溶液で良く湿潤化されており、バケットローダーのバケット5に落下する際に粉塵の発生は起こらなかった。
【0069】
バケットローダーに投入されたポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの5%水溶液で良く湿潤化されたEP灰は埋立処分場所に投入され、ローラーで転圧されたが、粉塵の発生は起こらず良く締め固めが出来た。
【0070】
(実施例3)
濡れ性試験として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製エマルゲン420)の3%水溶液15gを容量200cm3ガラス製ビーカーに入れ、次いで廃粉体塗料30gを投入しビーカーを軽く振って廃粉体塗料表面を平らにした後、17時間静置したところ、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液は全て廃粉体塗料に浸透した。
【0071】
図5に示すように、70kgの廃粉体塗料が入ったドラム缶30を固形廃棄物受入ピット(受入設備)5の上方に回転式フォークリフト7で保持し、ドラム缶30の天板を外し、ドラム缶30内に上側からドラム缶30の中央に図2に示す噴射ノズル20を挿入し、ドラム缶30の上側開口をポリエチレンシート31で覆い、噴射ノズル20の開口21からポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液14kgを約1分間で噴射した。
【0072】
噴射の後、噴射ノズル20及びポリエチレンシート31を取り去り、回転式フォークリフト7を用いてドラム缶30を180度転倒し、湿潤化した廃粉体塗料を固形廃棄物受入ピット5に落下させ投入した。投入の際、ドラム缶30と受入ピット5との間に、3つの噴霧ノズル25を設け、落下する廃粉体塗料に向かって各噴霧ノズル25からポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液を1kg/分の割合で噴霧し、少量発生した廃粉体塗料の粉塵を捕捉した。
【0073】
廃粉体塗料をポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液で湿潤し、落下の際に少量発生した廃粉体塗料粉塵をポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液を噴霧して捕捉することにより、粉塵発生を防止することが出来、周辺機器が汚染されることは無く、また当然粉塵爆発は起こらなかった。
【0074】
ポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液で湿潤化された廃粉体塗料は、固形廃棄物受入ピット5内で、既に投入されていた木屑、紙くず、廃プラスチックと混合された。これらの混合物は、自動投入装置を用いて焼却炉に投入され焼却されたが、他の廃棄物との混合工程及び焼却炉への投入工程において粉塵の発生は起こらなかった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の利用分野は特に制限はなく、廃トナー、EP灰、廃粉体塗料等の粉体廃棄物の処理に広範囲に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、粉体廃棄物がフレキシブルコンテナに収められている場合に、粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射する方法を示した図である。
【図2】図2は、界面活性剤水溶液を噴射するための噴射ノズルを示した側面図である。
【図3】図3は、フレキシブルコンテナに収められた粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射している状態を示した断面図である。
【図4】図4は、ドラム缶に収められた粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射している状態を示した断面図である。
【図5】図5は、ドラム缶に収められた粉体廃棄物を受入設備に投入する様子を示した側面図である。
【図6】図6は、バルク車の貯蔵タンクに収められた粉体廃棄物を受入設備に投入する様子を示した側面図である。
【図7】図7は、バルク車の排出管に接続される、界面活性剤水溶液を噴射する噴射ノズルを備えた配管を示した側面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 粉体廃棄物
1a 粉体廃棄物の外周部分
1b 粉体廃棄物の中心部分
3,4 界面活性剤水溶液
5 受入設備
6 フォークリフト
7 回転式フォークリフト
10 フレキシブルコンテナ
20 噴射ノズル
21 開口
22 ホース
25 噴霧ノズル
30 ドラム缶
31 プラスチックシート
40 バルク車
41 バルク車の貯蔵タンク
42 排出管
43 排出管出口
45 配管
46 噴射ノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は廃トナー、EP灰(Electron Particle)、廃粉体塗料等の粉体廃棄物の処理方法に関する。特に、粉体廃棄物の飛散を防ぐことにより、周辺設備の汚染や作業環境の悪化を防ぎ、また、粉塵爆発を防止することができる粉体廃棄物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃トナー、EP灰、廃粉体塗料等の粉体廃棄物は、その殆どが埋め立て処分もしくは焼却処分されている。しかし、埋め立て処分場の残余年数の逼迫や排ガス規制値の強化による焼却処分場の減少により処理費用が高騰している。また、粉体廃棄物を処理する際に、粉体が飛散して周辺設備の汚染や作業環境の悪化を招いたり、粉塵爆発を起こしたりする可能性がある。従って、粉体廃棄物はその処理の困難性のため埋め立て・焼却処分場に敬遠され、また、処理するに際しては高額な費用が必要となっている。
【0003】
このような状況の下、廃トナー等の高発熱量を持つ粉体廃棄物の粉塵発生を抑えて固形燃料化する試みがなされているが(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)、その製造システムが複雑であるため実用化はなされていない。
【0004】
また、粉体の飛散を防止するため予め粉体に水を添加する方法が提案されている(特許文献5)。この方法は、水に濡れやすい焼却灰等の無機粉体廃棄物に対しては効果を有するが、廃トナー、EP灰等の水に濡れにくい有機粉体廃棄物には効果を期待できない。
【特許文献1】特開平5−295375号公報
【特許文献2】特開2000−136263号公報
【特許文献3】特開2001−259598号公報
【特許文献4】特開2005−120112号公報
【特許文献5】特開2005−221090号公報
【特許文献6】特許第3039644号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、廃トナー、EP灰、廃粉体塗料等の数μm〜数百μmの粒径を持つ粉体廃棄物に対して、埋め立て処分、焼却処分、または固形燃料等としてリサイクルするなどの所定の処理をするために粉体廃棄物を受入設備に投入する際には、粒径が小さいが故に粉体廃棄物の飛散により周辺設備の汚染、作業環境の悪化を招き、更に、可燃性粉体廃棄物の場合には静電気火花による粉塵爆発が生じる可能性がある。従って、これら粉体廃棄物の処理は困難とされ、処理費用は他の廃棄物に比べ高額なものとなっている。
【0006】
本発明は、これら飛散の激しい粒径が数μm〜数百μmの粒径を持つ粉体廃棄物に対して所定の処理をするために粉体廃棄物を受入設備に投入する際に、粉体廃棄物の飛散を防止し、更に、静電気火花等の着火による粉塵爆発を防止する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粉体廃棄物の処理方法は、粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射して前記粉体廃棄物を湿潤化し、次いで、湿潤化された前記粉体廃棄物を受入設備に投入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、廃トナー、EP灰、廃粉体塗料等の数μm〜数百μmの粒径を持つ粉体廃棄物に対して、埋め立て処分、焼却処分、または固形燃料等としてリサイクルするなどの所定の処理をするために粉体廃棄物を受入設備に投入するに先立って、粉体廃棄物の性質に応じた適切な界面活性剤水溶液を粉体廃棄物に噴射して粉体廃棄物を湿潤化する。これにより、受入設備への投入時に粉体廃棄物の飛散を低減できるので、周辺設備の汚染、作業環境の悪化を防ぎ、更に粉塵爆発を防止することが出来る。この結果、簡単且つ安価な方法で粉体廃棄物を処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において、前記粉体廃棄物に対する前記界面活性剤水溶液の浸透時間が24時間未満であることが好ましい。この条件を満足する界面活性剤水溶液は粉体廃棄物に対する濡れ性が良好であり、このような界面活性剤水溶液を使用することにより、粉体廃棄物を効率よく湿潤化させることができる。
【0010】
本発明では、粉体廃棄物が貯留されている容器の種類に応じて界面活性剤水溶液の噴射方法を選択することが好ましい。
【0011】
例えば、粉体廃棄物がフレキシブルコンテナやドラム缶等に貯留されている場合、容器としてのフレキシブルコンテナやドラム缶等内に貯留された前記粉体廃棄物の上方より前記容器の内壁に向かって前記界面活性剤水溶液を噴射することが好ましい。これにより、少量の界面活性剤水溶液で粉体廃棄物を効率良く湿潤化することができる。また、粉体廃棄物の外周部分を湿潤化することができるので、仮に中心部分に未湿潤化の粉体が残っていたとしても、これを外周部分の湿潤化された粉体が包み込むので、粉体廃棄物の飛散を大幅に防ぐことができ、また粉塵爆発を防止することができる。
【0012】
この場合、前記界面活性剤水溶液を噴出する開口が外周側面にのみ形成された噴射ノズルを用いて前記界面活性剤水溶液を噴射することが好ましい。これにより、容器の内壁に向かって界面活性剤水溶液を噴射することを容易に行うことができ、容器内の粉体廃棄物をその外周部分から効率よく湿潤化させることができる。
【0013】
粉体廃棄物がバルク車の貯蔵タンク等に貯留されている場合、容器としての貯蔵タンク内に貯留された前記粉体廃棄物を配管を介して排出する際に、前記配管の内壁面に設けられた噴射ノズルから前記配管中を移動する前記粉体廃棄物に前記界面活性剤水溶液を噴射することが好ましい。これにより、粉体廃棄物を排出する際に、少量の界面活性剤水溶液で粉体廃棄物を連続的に効率よく湿潤化させることができる。
【0014】
この場合において、前記噴射ノズルが前記配管の内壁面に螺旋状に複数個配置されていることが好ましい。これにより、粉体廃棄物をむらなく湿潤化させることができる。
【0015】
前記粉体廃棄物を前記受入設備内に落下させて投入する際に、落下中の前記粉体廃棄物に向かって前記界面活性剤水溶液を噴霧することが好ましい。これにより、湿潤化されていないために飛散した粉体廃棄物を界面活性剤水溶液の霧が捕捉するので、粉体廃棄物の飛散を一層防止できる。
【0016】
前記粉体廃棄物が廃トナー、EP灰、又は廃粉体塗料であることが好ましい。これらは、その粒径が小さいために、粉体の飛散や粉塵爆発が特に問題になることが多い。本発明によれば、この問題を解消することができる。
【0017】
前記容器がフレキシブルコンテナであることが好ましい。フレキシブルコンテナは安価であり粉体廃棄物を貯留するための容器として汎用されている。従って、本発明をフレキシブルコンテナに貯留された粉体廃棄物に適用すれば、本発明の効果が顕著に発現される。
【0018】
前記粉体廃棄物をセメント焼成用補助燃料の原料としてリサイクルすることが好ましい。これにより、作業環境の悪化を招くことなく、粉体廃棄物をセメント焼成用補助燃料として低コストでリサイクルすることができる。
【0019】
本発明において粉体廃棄物とは、好ましくは数μm〜数百μmの粒径を持つ粉体であって、重油燃焼設備の電気集塵機より回収されるEP灰、石炭燃焼設備の電気集塵機より回収されるフライアッシュ、複写機やプリンターなど電子式画像形成装置で用いられ、使用済みトナーカートリッジ等に残存している廃トナー、もしくはトナー製造工場において発生する廃トナー、粉体塗料製造工場もしくは塗装現場から発生する廃粉体塗料、脱臭設備より排出される廃活性炭粉末などを例示することができる。
【0020】
このような粉体廃棄物の処理はその発生場所で行われることは殆ど無く、通常はフレキシブルコンテナ、ドラム缶、バルク車等の容器に収められ、埋め立て処分場又は焼却処分場に運ばれて処分されたり、再資源化工場に運ばれて燃料等として再資源化されたりする。
【0021】
容器に収められて処分場又は再資源化工場に運ばれた粉体廃棄物は、直接、処分場又は再資源化設備に投入されるか、あるいは貯留設備に投入されて一時的に貯留された後、処分場又は再資源化設備に投入される。
【0022】
粉体廃棄物が飛散して、施設の汚染や作業環境の悪化、更には粉塵爆発が最も多く起こる工程は、発生場所から搬送した粉体廃棄物を最初に受入設備に投入する工程である。ここで、「受入設備」とは、発生場所から容器に収められて運ばれて来た粉体廃棄物が最初に投入される処分場又は設備であって、例えば埋め立て処分場の埋立地、焼却処分場の焼却設備、再資源化設備、又は粉体廃棄物をこれらに投入する前に一時的に貯留するための貯留設備を意味する。
【0023】
本発明では、容器に収められて発生場所から搬送されてきた粉体廃棄物を、この容器から最初に受入設備に投入する工程(即ち、受入工程)を行うに先立って、粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射して粉体廃棄物を湿潤化する。受入工程時に粉体廃棄物が湿潤化されていれば、その後の工程(例えば、埋め立て工程、焼却工程、他の廃棄物等との混合工程など)での粉体廃棄物の飛散を防止することができる。
【0024】
粉体廃棄物を効率良く湿潤化するためには、粉体廃棄物の性質に応じた適切な界面活性剤を用いることが好ましい。即ち、粉体廃棄物に対する界面活性剤水溶液の濡れ性が良好であることが好ましい。
【0025】
濡れ性は、以下の濡れ性試験を行うことで確認できる。容量200cm3のガラス製ビーカーに所定の濃度の所定の界面活性剤水溶液15gを入れ、次いで粉体廃棄物30gを加えた後、ビーカーを軽く数回振って、界面活性剤水溶液上に浮いた粉体廃棄物の上面を平らにしてビーカーを静置する。時間の経過とともに界面活性剤水溶液が粉体廃棄物中に浸透する。全ての界面活性剤水溶液が粉体廃棄物中に浸透して、界面活性剤水溶液が目視出来なくなるまでの時間を測定し、これを浸透時間とする。本発明では、この濡れ性試験での浸透時間が24時間未満、更には18時間未満、特に12時間未満である界面活性剤水溶液を用いることが好ましい。浸透時間が短いほど界面活性剤水溶液の粉体廃棄物を湿潤化する能力が高くなることを意味する。浸透時間が前記上限を超えると、粉体廃棄物に対する湿潤化能力が低く、粉体廃棄物を受入設備に投入する際に粉体廃棄物の飛散を十分に防止することができないので好ましくない。使用する界面活性剤は一種類を用いても、複数の種類を混合して用いてもかまわない。
【0026】
界面活性剤水溶液中の界面活性剤の濃度は特に制限はないが、0.1〜20重量%が好ましい。一般に、濃度が高くなるほど、上記の浸透時間は短くなり、粉体廃棄物に対する湿潤化能力は向上する。従って、濃度が上記範囲未満であると、粉体廃棄物に対する湿潤化能力を得られにくくなる。逆に、濃度が上記範囲を超えると、界面活性剤水溶液のコストが増大し、また、界面活性剤水溶液の粘性が増加して粉体廃棄物に対する浸透性が悪化することがある。
【0027】
本発明において、界面活性剤の種類は、界面活性剤水溶液の濡れ性試験における浸透時間が上記の条件を満足すれば特に限定はないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム等のアニオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン等の両性イオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン系界面活性剤等を用いることが出来る。
【0028】
本発明では、粉体廃棄物に対する界面活性剤水溶液の噴射方法は、粉体廃棄物が貯留されている容器の種類に応じて適宜選択することが好ましい。
【0029】
粉体廃棄物が収められている容器がフレキシブルコンテナである場合、図1に示すように、粉体廃棄物1を収納したフレキシブルコンテナ10を例えばフォークリフト6等で吊り下げて受入設備5の上方に移動させる。このとき、フレキシブルコンテナ10の上側投入口を開け、噴射ノズル20をフレキシブルコンテナ10内に挿入し、上側投入口を閉じた状態で、フレキシブルコンテナ10内の粉体廃棄物1に対して噴射ノズル20を用いて界面活性剤水溶液3を噴射する。噴射ノズル20は略柱形状を有し、図2に示すように、界面活性剤水溶液を噴出する開口21が、その先端面(底面)には形成されておらず、先端面近傍の外周側面にのみ複数個形成されている。この噴射ノズル20を図3に示すようにフレキシブルコンテナ10内に上側から挿入して、ホース22を介して界面活性剤水溶液3を噴射ノズル20に圧送する。界面活性剤水溶液3は、粉体廃棄物1の上方より、フレキシブルコンテナ10の内壁に向かって噴射される。
【0030】
界面活性剤水溶液3がフレキシブルコンテナ10の内壁に向かって噴射されることで、粉体廃棄物1は、フレキシブルコンテナ10の内壁に接触している外周部分(図3の斜線を施した部分)1aから中心部分に向かって徐々に湿潤化される。これにより、粉体廃棄物1を効率良く湿潤化することができる。また、粉体廃棄物1の外周部分1aを湿潤化することにより、仮に中心部分1bに未湿潤化の粉体が残っていたとしても、これを外周部分1aの湿潤化された粉体が包み込むので、フレキシブルコンテナ10から受入設備5に粉体廃棄物1を投入する際に粉体廃棄物の飛散を大幅に防ぐことができ、粉塵爆発を防止することができる。
【0031】
上記のようにしてフレキシブルコンテナ10内にて界面活性剤水溶液3を所定量噴射後、刃物でフレキシブルコンテナ10の底部を切り裂き、湿潤化した粉体廃棄物1を受入設備5に落下させ投入する。
【0032】
界面活性剤水溶液3の噴射量は粉体廃棄物1の質及び粒径等により異なるが、粉体廃棄物1の重量に対し5〜50重量%が好ましい。5重量%未満では粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、また50重量%を超えると湿潤化された粉体廃棄物1が泥状になりフレキシブルコンテナ10に付着しこれを汚染するため好ましくなく、同時に不経済である。
【0033】
フレキシブルコンテナ10内の粉体廃棄物1の組成が例えば上部と下部とで多少相違することなどの理由によって、上記の濡れ性試験で適性と判断した界面活性剤水溶液3を用いても粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、粉体廃棄物1の飛散を完全に防止できない場合がある。このような場合には、図1に示すように、吊り下げられたフレキシブルコンテナ10と受入設備5との間の空間に設置した噴霧ノズル25から、フレキシブルコンテナ10から受入設備5に向かって落下する粉体廃棄物に向かって界面活性剤水溶液4を霧状に噴霧することが好ましい。これにより、湿潤化されていないために飛散した粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧が捕捉するので、粉体廃棄物の飛散を防止できる。落下中の粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧で水平面内において周囲から包囲できるように、噴霧ノズル25の設置位置及び個数などを設定することが好ましい。
【0034】
噴霧ノズル25からの界面活性剤水溶液4の噴霧はフレキシブルコンテナ10から粉体廃棄物が落下している時間中は継続して行うことが好ましい。界面活性剤水溶液4の時間当たりの噴霧量は0.5kg/分〜5kg/分が好ましい。0.5kg/分未満では粉体廃棄物の飛散を防ぐことが困難になることがあり、また、5kg/分を超えても粉体飛散防止効果はほとんど変化せず、不経済である。
【0035】
粉体廃棄物が収められている容器がドラム缶である場合、図4に示すように、粉体廃棄物1が収められたドラム缶30の天板を外し、図3の場合と同様に、図2に示した噴射ノズル20をドラム缶30内に上側から挿入し、プラスチックシート31等でドラム缶30の上側開口及び噴射ノズル20を覆いながら、ホース22を介して界面活性剤水溶液3を噴射ノズル20に圧送する。界面活性剤水溶液3は、粉体廃棄物1の上方より、ドラム缶30の内壁に向かって噴射される。これにより、図3の場合と同様に、粉体廃棄物1は、ドラム缶30の内壁に接触している外周部分(図4の斜線を施した部分)1aから中心部分1bに向かって徐々に湿潤化される。
【0036】
噴射後、プラスチックシート31及び噴射ノズル20を取り除き、図5に示すように、ドラム缶30を回転式フォークリフト7を用いて保持し、受入設備5の上方にてドラム缶30を転倒させて、ドラム缶30内の粉体廃棄物1を受入設備5に落下させ投入する。ドラム缶30を搬送及び転倒させる手段は、回転式フォークリフト7に限定されず、例えばドラム転倒機を用いても良い。
【0037】
粉体廃棄物1がフレキシブルコンテナに収められている場合と同様に、界面活性剤水溶液3の噴射量は粉体廃棄物1の質及び粒径等により異なるが、粉体廃棄物1の重量に対し5〜50重量%が好ましい。5重量%未満では粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、また50重量%を超えると湿潤化された粉体廃棄物1が泥状になりドラム缶30に付着しこれを汚染するため好ましくなく、同時に不経済である。
【0038】
粉体廃棄物1がフレキシブルコンテナに収められている場合と同様に、上記の濡れ性試験で適性と判断した界面活性剤水溶液3を用いても粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、粉体廃棄物1の飛散を完全に防止できない場合がある。このような場合には、図5に示すように、転倒したドラム缶30と受入設備5との間の空間に設置した噴霧ノズル25から、落下する粉体廃棄物に向かって界面活性剤水溶液4を霧状に噴霧することが好ましい。これにより、湿潤化されていないために飛散した粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧が捕捉するので、粉体廃棄物の飛散を防止できる。落下中の粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧で水平面内において周囲から包囲できるように、噴霧ノズル25の設置位置及び個数などを設定することが好ましい。
【0039】
噴霧ノズル25からの界面活性剤水溶液4の噴霧はドラム缶30から粉体廃棄物が落下している時間中は継続して行うことが好ましい。界面活性剤水溶液4の時間当たりの噴霧量は0.5kg/分〜5kg/分が好ましい。0.5kg/分未満では粉体廃棄物の飛散を防ぐことが困難になることがあり、また、5kg/分を超えても粉体飛散防止効果はほとんど変化せず、不経済である。
【0040】
粉体廃棄物が収められている容器がバルク車の貯蔵タンクである場合、貯蔵タンク内にて粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射することは困難である。そこで、図6に示すように、バルク車40の貯蔵タンク41から粉体廃棄物を排出する排出管42と受入設備5との間に、内壁面に界面活性剤水溶液を噴出する噴射ノズルを備えた配管45を設置する。配管45の噴射ノズルから界面活性剤水溶液を噴射しながら、バルク車40の貯蔵タンク41内の粉体廃棄物を空気圧送又はスクリューフィーダーなどの方法により排出する。これにより、粉体廃棄物は、配管45内を通過する際に界面活性剤水溶液によって湿潤化される。
【0041】
噴射ノズルが設置された配管45の内径は、バルク車40の排出管42の内径とほぼ同じであることが好ましい。配管45の内径が排出管42の内径に比べて極端に小さいと、配管45内の粉体廃棄物の移送速度が速くなり、粉体廃棄物を十分に湿潤化させることが難しくなる。逆に、配管45の内径が排出管42の内径に比べて極端に大きいと、湿潤化された粉体廃棄物が配管45内に滞留し配管45を閉塞させる恐れが生じる。
【0042】
配管45の長さは、界面活性剤水溶液の粉体廃棄物に対する濡れ性によって適宜設定されるが、2m〜10mが好ましい。2m未満では粉体廃棄物の排出速度によっては粉体廃棄物を十分に湿潤化させることができない場合がある。また、10mを超えると湿潤化の効率はほとんど変らず、また、湿潤化した粉体廃棄物が配管45を閉塞させる可能性が増大する。
【0043】
配管45の内壁面に設けられる界面活性剤を噴射する噴射ノズルの数は一つでも構わないが、複数個であることが好ましい。複数個の噴射ノズルを設けることにより粉体廃棄物と界面活性剤水溶液との接触の機会が増えるので、粉体廃棄物を効率的に湿潤化させることができる。複数個の噴射ノズルを設置する場合、図7に示すように配管45の内壁面に螺旋状に複数個の噴射ノズル46を配置することが好ましい。これにより、配管45内を通過する粉体廃棄物をむらなく湿潤化させることができる。図6及び図7では図示を省略しているが、配管45には界面活性剤水溶液を噴射ノズル46に圧送するためのホースが接続されている。
【0044】
粉体廃棄物1がフレキシブルコンテナ及びドラム缶に収められている場合と同様に、界面活性剤水溶液の噴射量は粉体廃棄物1の質及び粒径等により異なるが、配管45内を通過する粉体廃棄物1の重量に対し5〜50重量%が好ましい。5重量%未満では粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、また50重量%を超えると湿潤化された粉体廃棄物1が泥状になり配管45の内壁面に付着し配管45が閉塞するため好ましくない。配管45内を通過する粉体廃棄物1の速度に応じて粉体廃棄物1に対する界面活性剤水溶液の比率が上記の範囲になるように、界面活性剤水溶液の噴射量を調節することが好ましい。
【0045】
粉体廃棄物1がフレキシブルコンテナ及びドラム缶に収められている場合と同様に、上記の濡れ性試験で適性と判断した界面活性剤水溶液を用いても粉体廃棄物1を十分に湿潤化できず、粉体廃棄物1の飛散を完全に防止できない場合がある。このような場合には、図7に示すように、排出管出口43と受入設備5との間の空間に設置した噴霧ノズル25から、落下する粉体廃棄物に向かって界面活性剤水溶液4を霧状に噴霧することが好ましい。これにより、湿潤化されていないために飛散した粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧が捕捉するので、粉体廃棄物の飛散を防止できる。落下中の粉体廃棄物を界面活性剤水溶液4の霧で水平面内において周囲から包囲できるように、噴霧ノズル25の設置位置及び個数などを設定することが好ましい。
【0046】
噴霧ノズル25からの界面活性剤水溶液4の噴霧は排出管出口43から粉体廃棄物が落下している時間中は継続して行うことが好ましい。界面活性剤水溶液4の時間当たりの噴霧量は0.5kg/分〜5kg/分が好ましい。0.5kg/分未満では粉体廃棄物の飛散を防ぐことが困難になることがあり、また、5kg/分を超えても粉体飛散防止効果はほとんど変化せず、不経済である。
【0047】
以上のように、粉体廃棄物に対する濡れ性が良好な界面活性剤水溶液を、粉体廃棄物を貯留する容器に応じた噴射方法で粉体廃棄物に噴射する。湿潤化された粉体廃棄物は、所定の処理手順に従ってそのまま埋め立てられたり、焼却されたり、又は他の廃棄物と混合されて燃料等として再資源化されたりする。本発明により湿潤化されて受入設備に投入された粉体廃棄物は、次に行われる処理(例えば再資源化工程)において粉塵を発生させたり粉塵爆発を起こしたりすることは無い。
【0048】
粉体廃棄物の再資源化の方法は、特に制限はないが、例えばセメント焼成用補助燃料の原料としてリサイクルすることができる。この場合、例えば特許文献6に記載されている方法により、セメント焼成用補助燃料に可逆的チキソトロピー性を付与することが好ましい。即ち、粉体廃棄物を含む複数の廃棄物を混合し、これらの廃棄物に含まれる水と油をエマルジョン化し、発熱量及び塩素含有量を調整してセメント焼成用補助燃料を製造する際に、セメント焼成用補助燃料に可逆的チキソトロピー性を付与する。
【0049】
セメント焼成用補助燃料に可逆的チキソトロピー性を付与することにより、貯留中などの静止状態では極端に粘度が高くなるため廃棄物に含まれる固形分の沈降を防ぐことができ、配管輸送、噴霧燃焼時などの流動時には粘度が低くなるため配管輸送、噴霧燃焼が容易にできるようになる。
【0050】
可逆的チキソトロピー性の有無およびその度合いは、回転粘度計を用いてローターの回転数を6回転/分及び60回転/分のそれぞれに設定して粘度を測定し、その値の比により判断する。60回転/分での粘度が6回転/分での粘度の1/10以下の値を示す組成物は良好なチキソトロピー性を有していると言える。
【0051】
複数の廃棄物を混合しセメント焼成用補助燃料を製造する際に、10μm以下の粒径を有する粉体を混合することによりセメント焼成用補助燃料に可逆的チキソトロピー性を与えることが出来る。本発明により湿潤化した10μm以下の粒径を有する粉体廃棄物を他の廃棄物と混合することにより可逆的チキソトロピー性を有する良好なセメント焼成用補助燃料を製造することが出来る。
【実施例】
【0052】
以下に例を示し本発明を具体的に説明する。
【0053】
(実施例1)
濡れ性試験として、ラウリル硫酸ナトリウム(花王(株)社製エマール2FG)の1%水溶液15gを容量200cm3のガラス製ビーカーに入れ、次いで廃トナー30gを投入しビーカーを軽く振って廃トナー表面を平らにした後、8時間静置したところ、ラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液は全て廃トナーに浸透した。
【0054】
300kgの廃トナーを収容したポリエチレン製内袋入りフレキシブルコンテナの上側投入口を開け、フレキシブルコンテナ内に図2に示す噴射ノズル20を挿入し、上側投入口を紐で縛って閉塞した後、図1に示すようにフォークリフト6でフレキシブルコンテナ10を、その底部が粉体受入槽(受入設備)5の上面から約1mの高さになるように吊り上げ、噴射ノズル20の開口21からラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液30kgを約1分間で噴射した。
【0055】
噴射の後、セラミックナイフでフレキシブルコンテナ10の底部を切り裂き、湿潤化した廃トナーを30m3の容量を持つ攪拌装置の付いた粉体受入槽5に落下させ投入した。投入の際、フレキシブルコンテナ10と粉体受入槽5との間に、3つの噴霧ノズル25を設け、落下する廃トナーに向かって各噴霧ノズル25からラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液を1kg/分の割合で噴霧し、少量発生した廃トナーの粉塵を捕捉した。
【0056】
廃トナーをラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液で湿潤化し、落下の際に少量発生した廃トナー粉塵をラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液を噴霧して捕捉することにより、粉塵発生を防止することが出来、周辺機器が汚染されることは無く、また当然粉塵爆発は起こらなかった。
【0057】
粉体受入槽5には既に廃酢酸及び廃水酸化ナトリウム水溶液が合計20×103kg、及びフッ化カルシウム汚泥をフィルタープレスにより脱水した脱水汚泥が約10×103kgが投入されており、廃トナー投入中に攪拌を継続することでスラリー状の組成物となっていた。ラウリル硫酸ナトリウムの1%水溶液で湿潤化された300kgの廃トナーは、投入終了後約5秒で既に投入されていた組成物と混じりあった。
【0058】
以上の操作を10回行い、合計3×103kgの廃トナーをフレキシブルコンテナ10から粉体受入槽5に落下投入した。
【0059】
3×103kgの廃トナーと、廃酢酸及び廃水酸化ナトリウム水溶液合計20×103kgと、脱水汚泥10×103kgとからなる混合物は均一なスラリー状となった。
【0060】
得られたスラリー5×103kgを容量15m3の2軸パドルミキサーに投入し、更に4×103kgの廃油を投入して20分間攪拌して得た組成物の発熱量及び塩素含有量を測定したところ、発熱量は4100kcal/kgであり、塩素含有量は520ppmであった。
【0061】
芝浦システム(株)製単一筒型回転粘度計、形式VS−Aを用いて上記スラリーの粘度を測定したところ、6回転/分では7,800mPa・s、60回転/分では750mPa・sであり十分なチキソトロピー性を示した。
【0062】
上記組成物をセメント焼成用仮焼炉で燃料として使用したところ、良好に燃焼し、生成したセメントの性状に支障は無かった。
【0063】
(比較例1)
濡れ性試験として、地下水15gを容量200cm3ガラス製ビーカーに入れ、次いで廃トナー30gを投入しビーカーを軽く振って廃トナー表面を平らにした後、24時間静置したところ、水は殆ど廃トナーに浸透しなかった。
【0064】
300kgの廃トナーを収容したポリエチレン製内袋入りフレキシブルコンテナに粉塵爆発防止の為、5本のアース線を取り付け、上側投入口を開け、フレキシブルコンテナ内に図2に示す噴射ノズル20を挿入し、上側投入口を紐を縛って閉塞した後、図1に示すようにフォークリフト6でフレキシブルコンテナ10を、その底部が粉体受入槽(受入設備)5の上面から約1mの高さになるように吊り上げ、噴射ノズル20の開口21から地下水30kgを約1分間で噴射した。
【0065】
噴射の後、セラミックナイフでフレキシブルコンテナ10の底部を切り裂き、廃トナーを30m3の容量を持つ攪拌装置の付いた粉体受入槽5に落下させ投入したところ、廃トナーは殆ど湿潤化されていないため、大量の粉塵が発生し、高さ約5mの天井付近まで舞い上がり、周辺機器に降りかかり、作業環境は極端に悪化した。投入の際、フレキシブルコンテナ10と粉体受入槽5との間に、3つの噴霧ノズル25を設け、落下する廃トナーに向かって各噴霧ノズル25から地下水を1kg/分の割合で噴霧したが、発生した粉塵を捕捉することは殆ど出来なかった。
【0066】
(実施例2)
濡れ性試験として、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(花王(株)製レオドールTW)の5%水溶液15gを容量200cm3ガラス製ビーカーに入れ、次いでEP灰30gを投入しビーカーを軽く振ってEP灰表面を平らにした後、5時間静置したところ、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの5%水溶液は全てEP灰に浸透した。
【0067】
図6に示すように、10×103kgのEP灰を積み込んだスクリュー式排出装置を持つバルク車40を管理型埋立処分場に設置し、その内径150mmの排出管42に、内径150mm、長さ5mの配管45を接続した。配管45の内壁面には螺旋状に10個の界面活性水溶液の噴射ノズル46が設けられていた。排出管出口43をバケット容量1m3のバケットローダーのバケット(受入設備)5上に設置し、各噴射ノズル46からポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの5%水溶液を0.02×103kg/分の割合で噴射しながら、0.15×103kg/分の割合でEP灰を排出しバケット5内に投入した。
【0068】
排出管出口43から排出されたEP灰は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの5%水溶液で良く湿潤化されており、バケットローダーのバケット5に落下する際に粉塵の発生は起こらなかった。
【0069】
バケットローダーに投入されたポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの5%水溶液で良く湿潤化されたEP灰は埋立処分場所に投入され、ローラーで転圧されたが、粉塵の発生は起こらず良く締め固めが出来た。
【0070】
(実施例3)
濡れ性試験として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製エマルゲン420)の3%水溶液15gを容量200cm3ガラス製ビーカーに入れ、次いで廃粉体塗料30gを投入しビーカーを軽く振って廃粉体塗料表面を平らにした後、17時間静置したところ、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液は全て廃粉体塗料に浸透した。
【0071】
図5に示すように、70kgの廃粉体塗料が入ったドラム缶30を固形廃棄物受入ピット(受入設備)5の上方に回転式フォークリフト7で保持し、ドラム缶30の天板を外し、ドラム缶30内に上側からドラム缶30の中央に図2に示す噴射ノズル20を挿入し、ドラム缶30の上側開口をポリエチレンシート31で覆い、噴射ノズル20の開口21からポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液14kgを約1分間で噴射した。
【0072】
噴射の後、噴射ノズル20及びポリエチレンシート31を取り去り、回転式フォークリフト7を用いてドラム缶30を180度転倒し、湿潤化した廃粉体塗料を固形廃棄物受入ピット5に落下させ投入した。投入の際、ドラム缶30と受入ピット5との間に、3つの噴霧ノズル25を設け、落下する廃粉体塗料に向かって各噴霧ノズル25からポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液を1kg/分の割合で噴霧し、少量発生した廃粉体塗料の粉塵を捕捉した。
【0073】
廃粉体塗料をポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液で湿潤し、落下の際に少量発生した廃粉体塗料粉塵をポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液を噴霧して捕捉することにより、粉塵発生を防止することが出来、周辺機器が汚染されることは無く、また当然粉塵爆発は起こらなかった。
【0074】
ポリオキシエチレンラウリルエーテルの3%水溶液で湿潤化された廃粉体塗料は、固形廃棄物受入ピット5内で、既に投入されていた木屑、紙くず、廃プラスチックと混合された。これらの混合物は、自動投入装置を用いて焼却炉に投入され焼却されたが、他の廃棄物との混合工程及び焼却炉への投入工程において粉塵の発生は起こらなかった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の利用分野は特に制限はなく、廃トナー、EP灰、廃粉体塗料等の粉体廃棄物の処理に広範囲に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、粉体廃棄物がフレキシブルコンテナに収められている場合に、粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射する方法を示した図である。
【図2】図2は、界面活性剤水溶液を噴射するための噴射ノズルを示した側面図である。
【図3】図3は、フレキシブルコンテナに収められた粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射している状態を示した断面図である。
【図4】図4は、ドラム缶に収められた粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射している状態を示した断面図である。
【図5】図5は、ドラム缶に収められた粉体廃棄物を受入設備に投入する様子を示した側面図である。
【図6】図6は、バルク車の貯蔵タンクに収められた粉体廃棄物を受入設備に投入する様子を示した側面図である。
【図7】図7は、バルク車の排出管に接続される、界面活性剤水溶液を噴射する噴射ノズルを備えた配管を示した側面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 粉体廃棄物
1a 粉体廃棄物の外周部分
1b 粉体廃棄物の中心部分
3,4 界面活性剤水溶液
5 受入設備
6 フォークリフト
7 回転式フォークリフト
10 フレキシブルコンテナ
20 噴射ノズル
21 開口
22 ホース
25 噴霧ノズル
30 ドラム缶
31 プラスチックシート
40 バルク車
41 バルク車の貯蔵タンク
42 排出管
43 排出管出口
45 配管
46 噴射ノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射して前記粉体廃棄物を湿潤化し、次いで、湿潤化された前記粉体廃棄物を受入設備に投入することを特徴とする粉体廃棄物の処理方法。
【請求項2】
前記粉体廃棄物に対する前記界面活性剤水溶液の浸透時間が24時間未満である請求項1に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項3】
容器内に貯留された前記粉体廃棄物の上方より前記容器の内壁に向かって前記界面活性剤水溶液を噴射する請求項1又は2に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項4】
前記界面活性剤水溶液を噴出する開口が外周側面にのみ形成された噴射ノズルを用いて前記界面活性剤水溶液を噴射する請求項3に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項5】
容器内に貯留された前記粉体廃棄物を配管を介して排出する際に、前記配管の内壁面に設けられた噴射ノズルから前記配管中を移動する前記粉体廃棄物に前記界面活性剤水溶液を噴射する請求項1又は2に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項6】
前記噴射ノズルが前記配管の内壁面に螺旋状に複数個配置されている請求項5に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項7】
前記粉体廃棄物を前記受入設備内に落下させて投入する際に、落下中の前記粉体廃棄物に向かって前記界面活性剤水溶液を噴霧する請求項1〜6のいずれかに記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項8】
前記粉体廃棄物が廃トナー、EP灰、又は廃粉体塗料である請求項1〜7のいずれかに記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項9】
前記容器がフレキシブルコンテナである請求項3に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項10】
前記粉体廃棄物をセメント焼成用補助燃料の原料としてリサイクルする請求項1〜9のいずれかに記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項1】
粉体廃棄物に界面活性剤水溶液を噴射して前記粉体廃棄物を湿潤化し、次いで、湿潤化された前記粉体廃棄物を受入設備に投入することを特徴とする粉体廃棄物の処理方法。
【請求項2】
前記粉体廃棄物に対する前記界面活性剤水溶液の浸透時間が24時間未満である請求項1に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項3】
容器内に貯留された前記粉体廃棄物の上方より前記容器の内壁に向かって前記界面活性剤水溶液を噴射する請求項1又は2に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項4】
前記界面活性剤水溶液を噴出する開口が外周側面にのみ形成された噴射ノズルを用いて前記界面活性剤水溶液を噴射する請求項3に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項5】
容器内に貯留された前記粉体廃棄物を配管を介して排出する際に、前記配管の内壁面に設けられた噴射ノズルから前記配管中を移動する前記粉体廃棄物に前記界面活性剤水溶液を噴射する請求項1又は2に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項6】
前記噴射ノズルが前記配管の内壁面に螺旋状に複数個配置されている請求項5に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項7】
前記粉体廃棄物を前記受入設備内に落下させて投入する際に、落下中の前記粉体廃棄物に向かって前記界面活性剤水溶液を噴霧する請求項1〜6のいずれかに記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項8】
前記粉体廃棄物が廃トナー、EP灰、又は廃粉体塗料である請求項1〜7のいずれかに記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項9】
前記容器がフレキシブルコンテナである請求項3に記載の粉体廃棄物の処理方法。
【請求項10】
前記粉体廃棄物をセメント焼成用補助燃料の原料としてリサイクルする請求項1〜9のいずれかに記載の粉体廃棄物の処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2008−155167(P2008−155167A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349225(P2006−349225)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(599023107)近畿環境興産株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(599023107)近畿環境興産株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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