説明

粉体皮膜形成方法及び装置

【構成】皮膜形成媒体及び粉体等が収納された加振状態の螺旋管路6に、粘着層が形成された部品Wを供給し、該部品に粉体皮膜を形成するようにした粉体皮膜形成方法に関するものである。
【効果】バッチ処理で粉体皮膜を形成するものではなく、連続的に粉体皮膜を形成することができるので、皮膜が形成された部品の生産性が向上するとともに、粉体を適宜供給できるようにしたので、粉体の消費に起因する、部品に形成される粉体皮膜の厚さ或いは品質のばらつきを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の産業分野で使用される各種部品或いは物品の表面に粉体を付着させて皮膜を形成する粉体皮膜形成方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、各種部品或いは物品(以下、単に、「部品」という。)の表面に粉体を付着させて皮膜を形成する方法及び装置としては、電荷を持つ粉体が懸濁された液体に部品を浸漬し、外部電源により部品に電圧を印加することにより、電荷を持った粉体が部品に引きつけられ、部品を粉体で覆い、その後、粉体で覆われた部品を加熱し、粉体を溶融して部品の表面に皮膜を形成する、所謂、電着塗装方法及び装置、或いは、電荷を持つ粉体を飛散させた空間に、電圧が印加された部品を置くことにより、粉体を部品に引きつけて部品に粉体皮膜を形成し、その後、粉体皮膜が形成された部品を加熱し、粉体を溶融して部品の表面に皮膜を形成する、所謂、静電塗装方法及び装置、更には、粉体を適当な樹脂媒体とともにスプレーにより部品に吹き付け皮膜を形成した後、樹脂を硬化させて皮膜を形成する、所謂、スプレイ塗装方法及び装置等の種々の粉体皮膜形成方法及び装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本出願人に係る平成3年特許願第224782号等において、本出願人は、部品の表面に粉体を付着させて皮膜を形成する粉体皮膜形成方法及び装置等を提案し、上述したような従来の粉体皮膜形成装置が有する課題、例えば、部品と形成された皮膜との結合力が弱いために発生する皮膜の剥離、部品の腐食等の問題及び部品が小物の場合の作業性の悪化等の従来の粉体皮膜形成方法及び装置等が有する課題を解決した。
【0004】上記の粉体皮膜形成方法を実施する装置は、一例として図6に示されているように、後述する加振装置V上に配置された容器Cに、表面に未硬化樹脂等の粘着層が形成された部品W、後述する粉体及び皮膜形成媒体等の混合体Tを入れ、加振装置Vにより容器Cに振動を与えて、部品Wの表面に粉体皮膜を形成するものである。
【0005】上記の容器Cは、図6に示されているように、上部に開口部c1を有する碗状に形成されており、また、容器Cの底部c2の中央部を上方に膨出させることにより、開口部c1付近に達する柱状部c3が突設されている。
【0006】Fは、加振装置Vの機台であり、機台Fには、コイルスプリングf1,f2を介して振動板f3が配置されており、振動板f3上に突設された垂直軸f4の上端部に容器Cの柱状部c3が取着されている。また、振動板f3の下面にはモーターf5が取着されており、モーターf5の出力軸f6には重錘f7が偏心して取着されている。従って、モーターf5を回転させることにより、偏心した重錘f7が回転されるので、振動板f3上に取着された垂直軸f4を介して容器Cが加振されることになる。
【0007】上述した粉体皮膜形成方法及び装置においては、表面に粘着層が形成された部品に直接に或いは皮膜形成媒体を介して付着された粉体は、皮膜形成媒体により叩かれて、粘着層に圧接或いは圧入され強固に付着するとともに、皮膜形成媒体により叩かれることにより、粉体で覆われた粘着層が粉体の表面に押し出され、更に、押し出された粘着層の上に,皮膜形成媒体に付着している粉体が,皮膜形成媒体が部品に衝突することにより部品の粘着層に移行し部品への粉体の付着が進行する。そして、部品が皮膜形成媒体により叩かれても粘着層が粉体の表面に押し出されて来なくなったところで、実質的な粉体の付着工程、即ち、粉体皮膜形成が終了することになる。
【0008】ところで、上述した粉体皮膜形成方法及び装置は、表面に粘着層が形成された部品を所定数、粉体及び皮膜形成媒体等が収容されている容器に投入後、粉体皮膜形成処理を施し、その後、皮膜が形成された部品を取り出すという、所謂、バッチ処理で粉体皮膜を形成するものであるために、生産性が悪いという問題がある。
【0009】また、バッチ処理で粉体皮膜を形成するものであるために、上述した粉体皮膜形成工程の前後に必要となる種々の工程、例えば、部品の洗浄工程、部品の表面への粘着層形成工程等の粉体皮膜形成工程の前に行われる工程或いは粉体皮膜形成処理容器からの部品の搬出工程、粉体皮膜が形成された部品の熱処理工程等の粉体皮膜形成工程の後に行われる工程等を、粉体皮膜形成工程と、一貫した連続生産ラインとして連結することができず、従って、生産性が悪く、粉体皮膜が形成された部品の製造コストが上昇するという問題がある。
【0010】更に、バッチ処理では、粉体皮膜形成の能率を向上させるために、容器中に、一度に多くの粘着層が形成された部品を投入する必要があるが、粘着層が形成された部品の投入時或いはその後の皮膜形成中に、部品同士がくっついて、くっついた部分に粉体皮膜が形成されなかったり、部品同士の衝突により部品が破損したりする問題がある。また、リング状の部品に粉体皮膜を形成するような場合に、バッチ処理では、皮膜形成媒体がリング状部品の内部に滞留しやすく、従って、粉体皮膜の厚さが不均一になりやすい問題がある。
【0011】本発明の目的は、上述した粉体皮膜形成方法及び装置が有する課題を解決するとともに、一貫した連続的な粉体皮膜形成処理が可能な生産性の優れた粉体皮膜形成方法及び装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するために、粉体皮膜形成方法において、皮膜形成媒体、粉体が収納された加振状態の螺旋管路に、粘着層が形成された部品を供給し、該部品に粉体皮膜を形成するようにしたもの、及び、粉体皮膜形成装置を皮膜形成媒体、粉体が収納された螺旋管路、該螺旋管路を振動させる加振手段及び粉体を螺旋管路に供給する粉体供給手段により構成したものである。
【0013】以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら本実施例に限定されるものではない。なお、本発明の実施例について説明する前に、上述した粘着層、皮膜形成媒体及び粉体等について概説する。
【0014】粉体を付着するために、部品の表面に形成される粘着層は、未硬化状態の樹脂やその他の液状或いは半液状物質等により形成することができるが、未硬化状態のエポキシ、フェノール等の樹脂、各種モノマー等を使用することが好ましい。これらの粘着層を形成する物質は、加熱により硬化する方が好ましいが、必ずしも硬化しなくてもよいし、加熱により蒸発してしまう物質であってもよい。また、部品或いは部品の表面層が樹脂の場合には、樹脂の表面を溶媒で溶かし粘着層を形成することもできる。
【0015】部品の表面に形成される粘着層は、部品、粉体及び後述する皮膜形成媒体とともに粘着層を形成する物質に同時に振動処理を施すことにより形成することができるが、予め、部品の表面に粘着層を形成しておくこともできる。予め、部品の表面に粘着層を形成した場合には、振動処理は、粘着層が被覆された部品、粉体及び皮膜形成媒体に施すことになる。また、粘着層の厚さは、形成する皮膜の厚さ、粉体或いは皮膜形成媒体の材質等により適宜設定する。
【0016】皮膜形成媒体は、部品の表面の粘着層に付着した粉体を打撃し、粉体を粘着層に圧入或いは押圧し、より強固に粉体を粘着層に付着させる機能を有し、また、粘着層に付着した粉体を打撃することにより、粉体の下の粘着層を構成する物質を粉体の表面に押し出し、更に、押し出された粘着層を構成する物質に粉体を付着させ、多層にしかも高密度に粉体を部品の表面に付着させる機能を有し、更には、粉体が付着している皮膜形成媒体が部品に衝突することにより、皮膜形成媒体に付着している粉体が部品に移されという、一種の転写的な作業が行われ、粉体の部品の表面への強力な付着が促進されるという機能を有するものである。
【0017】皮膜形成媒体に付着している粉体が部品に移されるという、一種の転写的な作業による部品の表面への粉体の付着は、非常に多くの皮膜形成媒体が万遍なく部品の表面に衝突するので、部品の表面に均一な粉体の付着層が形成されることになり、従って、部品に均一な皮膜を形成することができる。
【0018】皮膜形成媒体は、鉄、炭素鋼、その他合金鋼、銅及び銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金、その他各種金属、合金製或いはAl2 3 ,SiO2 ,TiO2 ,ZrO2 ,SiC等のセラミックス製、ガラス、更には、硬質プラスチック等を用いることができる。また、粉体皮膜成形の際に充分な打撃力が加えられるのであれば、硬質のゴムも使用することができる。これら皮膜形成媒体のサイズ、材質等は部品の形状及びサイズ、使用する粉体の材質等に応じて適宜選択することができる。更に、複数のサイズ及び材質の皮膜形成媒体を混合して使用することもできるし、また、皮膜形成媒体に表面処理、表面皮膜を施して使用することもできる。更には、複数の上記材料によって構成された複合皮膜形成媒体を用いてもよい。
【0019】皮膜形成媒体は、球状、楕円形、立方体、三角柱、円柱、円錐、三角錐、四角錐、菱面体、不定型体、その他各種形状のものを使用することができ、これら形状の皮膜形成媒体を単独で、或いは、適宜混合して使用することもできる。
【0020】粉体としては、各種金属、合金、セラミックス、また、樹脂、プラスチックス等の種々の材質から形成される粉体及びこれら粉体を混合して使用することができる。
【0021】また、粉体で被覆された部品に加熱処理を施して粉体の一部を溶融或いは軟化させることも可能であり、このように粉体で被覆された部品に加熱処理を施して粉体の一部を溶融或いは軟化させる手段として、粉体を、所定の温度に加熱した際に溶融しない粉体(以下、「非溶融粉体」ともいう。)と該所定の温度による加熱により溶融する粉体(以下、「溶融粉体」ともいう。)との混合により構成し、粉体で被覆された部品の加熱処理によって、溶融粉体の一部或いは全部を、溶融或いは軟化させる。
【0022】溶融粉体としては、エポキシ、アクリル、ポリエステル等の樹脂粉体、低融点の金属又は無機粉体等を使用することができ、また、非溶融粉体の材質としては、アルミニウム、銅、銀、スズ、亜鉛またはこれらの合金等種々の金属或いはTiO2 、ベンガラ等の無機粉体を使用することができる。
【0023】また、非溶融粉体として、皮膜の膜厚を均一化する効果がある偏平な粉体を使用することが好ましい。上述したような金属等を用いて、偏平粉体を成形することができるが、偏平粉体としては、マイカやBN等のように、へき開により偏平になる物質を使用することもできる。
【0024】なお、粉体には、必要に応じて、カーボンブラック、ミクロンサイズの合成シリカ、テフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末等の粉体が凝集することを防止するブロック化防止材を混入することができる。従って、本発明の説明において、単に、粉体と称していても、粉体にこのようなブロック化防止材が含有されている場合も、或いは、必要に応じて、着色剤等が含有されている場合もある。
【0025】次に、一部断面を含む粉体皮膜形成装置の斜視図である図1を用いて、本発明の実施例について説明する。
【0026】1は、粉体皮膜形成装置の基台であり、また、2は、有底の外筒であり、基台1と外筒2とは、適当数のコイルスプリング3を介して連結されている。4は、加振モーターであり、加振モーター4は、加振モーター4の中央部付近から放射状に略水平状に延びる上下2段の適当数の水平フレーム4a、4bを介して外筒2に取着されている。加振モーター4から垂直方向に突出している加振モーター4の上下の出力軸には、加振体5、5’が取着されている。
【0027】6は、外筒2と加振モーター4との間の空間部に配設された螺旋状に適当数巻回された螺旋管路本体であり、螺旋管路本体6は、図示されていない公知の適当な管体固着手段により、外筒2に取着されている。
【0028】螺旋管路本体6の最上部の螺旋管路6aから上向きに略直線状に延びる排出管路6bの端部開口6b’は、粉体皮膜が形成された部品W、皮膜形成媒体及び粉体の出口を形成し、端部開口6b’の下方には、上述した皮膜形成媒体或いは粉体は通過することができるが、部品Wは通過することができない程度の大きさの網み目を有する、皮膜形成媒体及び粉体から部品Wを選別する選別手段を構成する網状ベルトコンベヤー7が配設されている。網状ベルトコンベヤー7は、粉体皮膜形成装置の基台1以外の図示されていない適当なフレームに取着されている。
【0029】なお、網状ベルトコンベヤー7には、皮膜形成媒体及び粉体から粉体皮膜が形成された部品Wを選別するために、適当な振動を与えることが好ましいが、この場合には、網状ベルトコンベヤー7を、略垂直状の側壁を有する網状ベルトコンベヤー7に形成するか或いは網状ベルトコンベヤー7の移動方向に沿って、網状ベルトコンベヤー7の両側に側壁を立設することにより、振動により部品Wが網状ベルトコンベヤー7から落下しないように構成することが好ましい。
【0030】6cは、螺旋管路本体6の最下部の螺旋管路6dから略水平な水平管路6eを経て斜め上方に延びる粉体供給管路であり、粉体供給管路6cの上端部開口6c’は、粉体の投入口を形成する。上端部開口6c’から下がった所定位置にはメッシュ8が張られており、メッシュ8の上部には粉体と適当量の鋼製等の小球(例えば、直径1〜5mm)が載置されている。メッシュ8の目の大きさは、粉体が通過できるように、即ち、粉体の粒径より大きく、また、小球が通過できないように、即ち、小球の直径より小さくし、下記に示すように、粉体の供給速度の調整を考慮して選択される。
【0031】粉体供給管路6cの振動によって小球が、メッシュ8上で飛び跳ねることによりメッシュ8を叩き、メッシュ8上に堆積されている粉体をメッシュ8の目を通して落下させる。即ち、メッシュ8上に載置され飛び跳ねている小球が、一種の簡単な粉体自動供給装置の機能を果たすことになり、粉体が連続的に、また、定量的に落下する。このように、粉体が連続的に、また、定量的に落下し供給されることにより、粉体の供給が著しく不均一な場合に生じる、部品Wに形成される粉体皮膜の厚さ或いは品質のばらつきを防止することができる。粉体の流動性が良く、粉体の落下が連続的に行われる場合には、このようなメッシュ8は、省略することもできるが、このようなメッシュ8を設けることにより、粉体中に含まれる異物を除去することもできる。
【0032】6fは、粉体供給管路6cの途中に、水平線に対して上向きに傾斜するように連設された枝管路であり、枝管路6fの途中には、粉体皮膜が形成された部品W、皮膜形成媒体及び粉体の出口である排出管路6bの端部開口6b’に、網状ベルトコンベヤー7を挟んで対峙する開口部9a’を有する略垂直状の回収管路9aが連設されており、また、枝管路6fの端部には、粉体皮膜が形成されていない部品Wの投入口10a’を有する部品供給管路10aが連設されている。
【0033】以下に、上述したような構成を有する粉体皮膜形成装置の動作について説明する。上述した螺旋管路本体6には、皮膜形成媒体及び粉体が充填されており、螺旋管路本体6、枝管路6f等は、上述した加振モーター4を駆動し、加振モーター4の上下の出力軸に取着されている加振体5、5’を回転させることにより、振動されている。
【0034】このような皮膜形成媒体及び粉体が充填され、振動状態にある螺旋管路本体6等に、部品供給管路10aの投入口10a’から、表面に粘着層が形成された部品Wを投入する。投入された部品Wは、枝管路6f及び粉体供給管路6cを経て下降し、更に、水平管路6eを経て螺旋管路本体6の最下部の螺旋管路6dに達し、その後、螺旋管路本体6に沿って上昇する。その後、部品Wは、螺旋管路本体6の最上部の螺旋管路6aから上向きに略直線状に延びる排出管路6bの端部開口6b’から、皮膜形成媒体及び粉体とともに、網状ベルトコンベヤー7に排出されることになるが、表面に粘着層が形成された部品Wには、枝管路6f、粉体供給管路6c等を含め、主として、螺旋管路本体6に沿って移送される間に、図6を用いて説明した粉体皮膜形成原理に基づいて粉体皮膜が形成される。
【0035】粉体皮膜が形成された部品W、皮膜形成媒体及び粉体は、排出管路6bの端部開口6b’から排出されるが、網状ベルトコンベヤー7の網み目を通過することができない粉体皮膜が形成された部品Wは、網状ベルトコンベヤー7により、皮膜形成媒体及び粉体から選別されて網状ベルトコンベヤー7上に載置され、次いで、網状ベルトコンベヤー7により熱処理工程等の適当な後続処理工程に移送され、また、網状ベルトコンベヤー7の網み目を通過した皮膜形成媒体及び粉体は、回収管路9aの開口部9a’に入り、螺旋管路本体6に戻される。
【0036】上述した部品供給管路10aの投入口10a’の上方には、図示されていないベルトコンベヤー等の適当な搬送装置を配設することにより、自動的に部品Wを粉体皮膜形成装置に供給することができる。従って、粉体皮膜が形成されていない部品Wの粉体皮膜形成装置への供給作業及び網状ベルトコンベヤー7により選別された粉体皮膜が形成された部品Wの網状ベルトコンベヤー7による搬出作業を、共に、自動化することができる。
【0037】以上のように、本発明においては、バッチ処理で粉体皮膜を形成するものではなく、連続的に粉体皮膜を形成することができるので、皮膜が形成された部品Wの生産性が向上する。
【0038】また、連続的に粉体皮膜を形成することができるので、粉体皮膜形成処理工程の前後に必要となる種々の工程を、粉体皮膜形成装置に連結することができるので、一貫した粉体皮膜形成工程を構成することができ、従って、生産性の更なる向上が可能となり、粉体皮膜が形成された部品Wの製造コストを低減することができる。
【0039】更に、粉体皮膜形成装置は、粉体の投入口である上端部開口6c’、部品供給管路10a等を除いて開口部分が少ないので、粉体が、加振されている粉体皮膜形成装置から空気中に飛散し、公害問題等を惹起する等の問題がない。
【0040】更にまた、部品Wを連続的に投入することができるので、バッチ処理の際の一度に多くの部品Wを投入する場合に生じる、部品同士の接触による部品Wのくっつき或いは部品Wの破損等の問題も解消できる。
【0041】次に、図1と同様の一部断面を含む粉体皮膜形成装置の斜視図である図2を用いて、粉体皮膜形成装置の別の実施例について説明する。なお、図2に示されている粉体皮膜形成装置は、図1に示されている粉体皮膜形成装置とは、加振モーター4の取着手段が異なるのみであるので、加振モーター4の取着手段について説明し、他の部分の説明は省略する。
【0042】図2に示されているように、加振モーター4は、外筒2の底部2’の下面に配設されており、加振モーター4の出力軸4’には、図1と同様に、加振体5が取着されている。そして、外筒2の底部2’と粉体皮膜形成装置の基台1の間に、適当数のコイルスプリング3が配設されている。
【0043】このような構成を有する粉体皮膜形成装置は、加振モーター4が外筒2の底部2’に配設されているので、図1に示されている加振モーター4が配設されている螺旋管路本体6の中央部が空くので、螺旋管路本体6の水平管路6eの上部を解放して開口部を設け、この部分から部品Wや粉体を供給するように構成することもできる。
【0044】次に、図1と同様の一部断面を含む粉体皮膜形成装置の斜視図である図3を用いて、粉体皮膜形成装置の更に別の実施例について説明する。なお、図3に示されている粉体皮膜形成装置は、図1に示されている粉体皮膜形成装置とは、螺旋管路本体6の最下部の螺旋管路6dから略水平な水平管路6eを経て略垂直状に上方に延びる粉体供給管路6cの構成が異なるのみであるので、粉体供給管路6cの構成以外の他の部分の説明は省略する。
【0045】螺旋管路本体6の最下部の螺旋管路6dから略水平な水平管路6eを経て略垂直状に上方に延びる粉体供給管路6cに代えて、本実施例においては、水平管路6eから螺旋状に上方に延びる粉体供給螺旋管路6gが配設されている。図1に示されている粉体供給管路6cと同様に、粉体供給螺旋管路6gの途中には枝管路6fが連設されている。
【0046】このように、粉体供給螺旋管路6gを螺旋状に形成することにより、部品供給管路10aから枝管路6fを経て粉体供給螺旋管路6gに入る部品Wが略垂直に落下することがないので、落下による部品Wの損傷を防止することができる。
【0047】次に、図1と同様の一部断面を含む粉体皮膜形成装置の斜視図である図4を用いて、粉体皮膜形成装置の更にまた別の実施例について説明する。図4に示されている粉体皮膜形成装置は、図3に示されている粉体皮膜形成装置の水平管路6eに代えて、上方が開口された皿状の広場11を形成し、広場11に、螺旋管路本体6の最下部の螺旋管路6dの端部開口6d’及び粉体供給螺旋管路6gの下端部開口6g’を連結したものである。従って、例えば、粉体供給螺旋管路6gの枝管路6fを経て供給される部品Wは、粉体供給螺旋管路6gの下端部開口6g’から、一旦、広場11に出て、その後、螺旋管路6dの端部開口6d’に入り、螺旋管路本体6に沿って上昇することになる。
【0048】このような広場11を配設した場合には、粉体供給螺旋管路6g、枝管路6f、回収管路9a及び部品供給管路10a等を省略し、広場11に、直に、部品W或いは粉体を供給するように構成することができる。
【0049】図5は、図1〜図4に示されている網状ベルトコンベヤー7による部品Wの選別手段、回収管路9aによる皮膜形成媒体と粉体の回収手段及び部品供給管路10aによる部品Wの供給手段の別の実施例を示す斜視図である。
【0050】粉体皮膜が形成された部品W、皮膜形成媒体及び粉体は、排出管路6bの端部開口6b’から、皮膜形成媒体及び粉体は通すが、粉体皮膜が形成された部品Wは通さない多数の透孔が穿設された底部を有する一端が開放された箱状の選別部材12上に排出される。選別部材12を通過した皮膜形成媒体及び粉体は、選別部材12の下方に配設された枝管路6fに連設されている回収箱13に入り、その後、枝管路6f及び粉体供給管路6c等を経て螺旋管路本体6に戻される。一方、選別部材12により選別された粉体皮膜が形成された部品Wは、機枠14に配設されたベルトコンベヤー15上に移載され、搬送されて適当な収納箱16に収容される。
【0051】17、17’は、機枠14の適当な位置に立設された支持枠であり、支持枠17、17’間には、ベルトコンベヤー15を上方に持ち上げるローラー18が回転可能に支持されている。
【0052】選別部材12上に排出された皮膜形成媒体及び粉体の殆どは、選別部材12に穿設された透孔から回収箱13に落下するが、選別部材12上に排出された一部の皮膜形成媒体及び粉体がベルトコンベヤー15に移載されても、ベルトコンベヤー15は上方に持ち上げられ、選別部材12側に向かう下り坂を形成しているので、ベルトコンベヤー15に移載された皮膜形成媒体及び粉体は、ベルトコンベヤー15の下り坂に沿って選別部材12上に戻されるか、或いは、ベルトコンベヤー15と選別部材12間に設けられた粉体皮膜が形成された部品Wを通さない程度の間隙から、回収箱13に戻される。なお、19、19’は、機枠14の選別部材12側に配設された遮蔽板であり、ベルトコンベヤー15からの粉体皮膜が形成された部品Wの落下を防止するとともに、ベルトコンベヤー15に移載された皮膜形成媒体及び粉体の落下をも防止するものである。
【0053】20は、回収箱13に連設された部品供給箱であり、部品供給箱20に投入された部品Wは、回収箱13側に移動し、次いで、枝管路6f及び粉体供給管路6c等を経て螺旋管路本体6に搬送される。
【0054】上述した図5に示されている部品Wの選別手段、皮膜形成媒体と粉体の回収手段及び部品供給手段等は、上述した図1〜図4に示されている網状ベルトコンベヤー7による部品Wの選別手段、回収管路9aによる皮膜形成媒体と粉体の回収手段及び部品供給管路10aによる部品Wの供給手段に代えて使用することができるものである。
【0055】なお、上述した図1〜図5に示された粉体皮膜形成装置においては、粉体を供給するための上端部開口6c’を有する粉体供給管路6c或いは粉体供給螺旋管路6gが配設されているが、このような粉体供給管路6c或いは粉体供給螺旋管路6gを省略し、枝管路6fを、直に、例えば、水平管路6e或いは広場11に連設し、回収管路9aの開口部9a’、部品供給管路10aの投入口10a’、回収箱13或いは部品供給箱20から粉体を供給するように構成することもできる。
【0056】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0057】バッチ処理で粉体皮膜を形成するものではなく、連続的に粉体皮膜を形成することができるので、皮膜が形成された部品の生産性が向上する。
【0058】粉体を適宜供給できるようにしたので、粉体の消費に起因する、部品に形成される粉体皮膜の厚さ或いは品質のばらつきを防止することができる。
【0059】連続的に部品に粉体皮膜を形成することができるので、粉体皮膜形成工程の前後に必要となる種々の工程を本発明の粉体皮膜形成装置に連結することができるので、連続した生産ラインとして粉体皮膜形成工程を構成することができ、従って、生産性の更なる向上が可能となり、粉体皮膜が形成された部品の製造コストを低減することができる。
【0060】粉体の投入口である上端部開口、部品供給管路等を除いて開口部分が少ないので、粉体が、加振されている粉体皮膜形成装置から空気中に飛散し、公害問題等を惹起することが防止できる。
【0061】部品を連続的に投入することができるので、バッチ処理の際の一度に多くの部品を投入する場合に生じる、部品同士の接触による部品のくっつき或いは部品の破損等の問題も解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は一部断面を含む本発明の粉体皮膜形成装置の斜視図である。
【図2】図2は図1と同様の一部断面を含む粉体皮膜形成装置の別の実施例を示す斜視図である。
【図3】図3は図1と同様の一部断面を含む粉体皮膜形成装置の更に別の実施例を示す斜視図である。
【図4】図4は図1と同様の一部断面を含む粉体皮膜形成装置の更にまた別の実施例を示す斜視図である。
【図5】図5は部品選別手段、粉体及び皮膜形成媒体の回収手段等の別の実施例を示す斜視図である。
【図6】図6はバッチ処理による粉体皮膜形成装置の一部断面を含む側面図である。
【符号の説明】
4・・・・・・加振モーター
5・・・・・・加振体
6・・・・・・螺旋管路本体
6b・・・・・・排出管路
6c・・・・・・粉体供給管路
6g・・・・・・粉体供給螺旋管路
7・・・・・・網状ベルトコンベヤー
9a・・・・・・回収管路
10a・・・・・・部品投入管路
11・・・・・・広場
13・・・・・・回収箱
W・・・・・・部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】皮膜形成媒体、粉体が収納された加振状態の螺旋管路に、粘着層が形成された部品を供給し、該部品に粉体皮膜を形成するようにしたことを特徴とする粉体皮膜形成方法。
【請求項2】皮膜形成媒体、粉体が収納された螺旋管路、該螺旋管路を振動させる加振手段及び粉体を螺旋管路に供給する粉体供給手段とを有することを特徴とする粉体皮膜形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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