説明

粉化物を含む排ガスの浄化筒

【課題】 半導体製造工程等から排出される粉化物を含む排ガスの浄化筒において、排ガスから有害成分を除去して浄化するとともに、粉化物を浄化筒内部で捕捉し、かつ短期間で圧力損失の問題を起こさない浄化筒を提供する。
【解決手段】 排ガスの導入口、浄化剤の充填部、粉化物捕捉具、及び浄化されたガスの排出口を備えた粉化物を含む排ガスの浄化筒であって、粉化物捕捉具が、外周縁が浄化筒の内壁面に密着し孔を有する円盤、及び該円盤の孔の縁部に上端部が密着するように収納した通気性の凹形状の容器を有し、該凹形状の容器のガス流路上流側の表面に粉化物捕捉材が設けられてなる粉化物を含む排ガスの浄化筒とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉化物を含む排ガスの浄化筒に関する。さらに詳細には、半導体製造工程等から排出される粉化物を含む排ガスを、容易に浄化することが可能で、かつ粉化物についても浄化筒内で捕捉可能とした排ガスの浄化筒に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工業においては各種のガスが使用されており、水素化物ガスとしては、アルシン、ホスフィン、シラン、ジボラン、セレン化水素等が多量に使用されている。これらのガスは毒性を有するため、半導体製造工程等で使用された後、これらを含む排ガスは大気中に放出するに先立って浄化する必要がある。また、半導体製造工程から排出されるホスフィンを含む排ガス中には分解生成物である固体粒子状のリンが、シランを含む排ガス中には二酸化珪素が、セレン化水素を含む排ガス中にはセレンが多量に含まれるため、これらの排ガス処理にあたっては固体粒子であるリン、二酸化珪素あるいはセレンを除去し、かつ浄化筒内における圧力損失の上昇を抑えるように考慮しなければならない。また、粉化物の中には、大気中に放出できない環境や人体に悪影響を及ぼすものも存在するため、確実に除去する必要がある。
【0003】
従来より、粉化物を含む排ガスを、乾式処理法を利用した浄化筒で処理する場合は、浄化筒内にフィルタを設置する等の対策が行なわれているが、粉化物が多い場合は圧力損失が短期間で大きくなるという問題があり、例えば特許文献1に記載されているような浄化筒が開発されている。この浄化筒は、浄化剤の充填部より上部で導入口より下部の位置に水平板がその外周縁が浄化筒の内壁面に密着するように設けられ、導入口から導入される有害ガスを該水平板の下部に流通させるための流通管が上方向から該水平板の中心部に貫通して設けられており、浄化筒の内壁面、該水平板の上面、及び該流通管の外側面により形成される環状形の空間が、有害ガスに含まれる粉化物の溜り部とされる浄化筒である。
【特許文献1】特開2002−66232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された浄化筒は、粉化物を自然落下させて捕捉する方法であり、浄化筒内で効率よく粉化物を捕捉できなかった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、半導体製造工程等から排出される粉化物を含む排ガスの浄化筒において、排ガスから有害成分を除去して浄化するとともに、粉化物を浄化筒内部で捕捉し、かつ浄化筒内における圧力損失の上昇の問題を起こさない浄化筒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、乾式処理法を利用した浄化筒において、外周縁が浄化筒の内壁面に密着し孔を有する円盤、及び該円盤の孔の縁部に上端部が密着するように収納した通気性の凹形状の容器を有し、該凹形状の容器のガス流路上流側の表面に粉化物捕捉材が設けられてなる粉化物捕捉具を、排ガス流路のいずれかの箇所に設けることにより、排ガスから有害成分を除去して浄化するとともに、効率よく粉化物を浄化筒内部で捕捉できることを見出し、本発明の排ガスの浄化筒に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、排ガスの導入口、浄化剤の充填部、粉化物捕捉具、及び浄化されたガスの排出口を備えた粉化物を含む排ガスの浄化筒であって、粉化物捕捉具が、外周縁が浄化筒の内壁面に密着し孔を有する円盤、及び該円盤の孔の縁部に上端部が密着するように収納した通気性の凹形状の容器を有し、該凹形状の容器のガス流路上流側の表面に粉化物捕捉材が設けられてなるものであることを特徴とする粉化物を含む排ガスの浄化筒である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粉化物を含む排ガスの浄化筒により、半導体製造工程等から排出される排ガスから、有害成分を除去して浄化するとともに、効率よく粉化物を浄化筒内部で捕捉することができる。その結果、浄化筒内にフィルタを設置して粉化物を除去する浄化筒の欠点であった、短時間で圧力損失が大きくなるという問題の発生が防止できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、半導体製造工程等から排出される粉化物を含む排ガスの浄化筒に適用される。
本発明における浄化対象ガスである排ガスとしては、粉化物を含む排ガスであれば特に制限されることがない。例えば、窒素、水素、アルゴン、ヘリウム等のベースガス中に、ホスフィンと固体粒子状のリンを含む排ガス、シラン、ジシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン等のシラン系ガスと固体粒子状の二酸化珪素を含む排ガス、セレン化水素と固体粒子状のセレンを含む排ガスのほか、前記ベースガス中に、アルシンと固体粒子状の砒素を含む排ガス、アンモニアと固体粒子状の塩化アンモニウムを含む排ガス等を例示することができる。
【0009】
以下、本発明の粉化物を含む排ガスの浄化筒について、図1〜図5に基づいて詳細に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。
尚、図1は、本発明の排ガスの浄化筒の一例を示す鉛直方向の構成図である。図2、図3は、本発明に使用される粉化物捕捉具の一例を示す鉛直方向の構成図である。また、図4、図5は、本発明に使用される粉化物捕捉具の一例を示す斜視図である。
【0010】
本発明の粉化物を含む排ガスの浄化筒は、図1に示すように、排ガスの導入口1、浄化剤の充填部2、粉化物捕捉具3、及び浄化されたガスの排出口4を備えた浄化筒であって、粉化物捕捉具3が、図2に示すように、外周縁5が浄化筒の内壁面5’(図1に記載)に密着し孔6を有する円盤7、及び円盤7の孔6の縁部8に上部端8’が密着するように収納した通気性の凹形状の容器9を有し、凹形状の容器9のガス流路上流側の表面に粉化物捕捉材10が設けられてなる浄化筒である。
【0011】
要するに本発明の浄化筒は、排ガスの導入口1からガスの排出口4までのガス流路のいずれかの箇所に、孔6を有する円盤7と、粉化物捕捉材10を表面に有し前記の孔6に隙間ない状態で収納された通気性の凹形状の容器9からなる粉化物捕捉具3が、浄化筒の内壁面と隙間なく設置された浄化筒である。図1の浄化筒は、粉化物捕捉具3が浄化剤の充填部2より下流側に設けられているが、粉化物捕捉具3は充填部2より上流側に設けることもできる。尚、本発明の浄化筒においては、通常は浄化剤の充填部2の下部に目皿11が設けられる。
【0012】
本発明の浄化筒において、円盤7の孔は1個であっても複数であってもよく、円盤の中心部、円盤の周辺部、またはこれらの両方の箇所に設けることができる。円盤7の外径は、実質的に浄化筒の内径と同等であり、浄化筒に設置したときに外周縁5が実質的に浄化筒の内壁面5’に密着し、排ガスが基盤5の外側を通過できない形態とされる。また、基盤5の厚みは、通常は1〜20mm程度である。
円盤7は通気性であっても非通気性であってもよく、また図3に示すように、円盤7のガス流路上流側の表面に粉化物捕捉材10を設けることができる。しかし、ガス通過面積を大きくするために、円盤7は通気性であることが好ましい。
【0013】
本発明の浄化筒において、通気性の凹形状の容器9は、円盤7の孔の箇所において排ガスが通過できない形態で、円盤7の孔と同数個設けられる。容器9の外形は、図4、図5においては円柱であるが、これに限定されることなく、角柱、凸の方向を下向きにした円錐台、角錐台、円錐、角錐、半球、またはこれらに類似する形状とすることができる。容器9の壁面における通気部の面積は、通常は壁面全体の30%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは75%以上とされる。容器9の厚みは、通常は1〜20mm程度であり、ガス流路上流側の表面に、厚さ1〜20mm程度の粉化物捕捉材10が設けられる。粉化物捕捉材10は、通常は容器の内壁面の全面が被覆されるように設けられる。
【0014】
本発明の浄化筒に使用される円盤7及び通気性の凹形状の容器9の材質としては、排ガスに対する耐腐食性を有し、粉化物捕捉材を支持することができるものであれば特に制限されることはなく、例えば、炭素鋼、マンガン鋼、クロム鋼、モリブデン鋼、ステンレス鋼等の金属材料のほか、セラミック材料、プラスチック材料等を使用することができる。但し、通気部は、通気性を確保するために、例えば、多孔質の金属、セラミック等、多数の通気孔がある形状とする必要がある。通気孔の大きさは、最小の通気孔であっても1mm以下の径を有する球体が通過し、最大の通気孔であっても5mm以上の径を有する球体が通過しない程度の大きさが好ましい。
【0015】
また、本発明の浄化筒に使用される粉化物捕捉材10の材質としては、排ガスに含まれる0.1mm以上の径を有する球体粉化物を容易に捕捉することができるものであれば特に制限されることはなく、例えば、ガラス繊維材、プラスチック繊維材、金属繊維材、多孔質材等を使用することができる。
尚、本発明の浄化筒に使用される円盤について、浄化筒の内壁の断面の形状が円形でない場合は、適宜その形状に一致した代替盤を用いることができる。例えば、浄化筒の内壁の断面の形状が正方形である場合、円盤の替わりに正方形の盤を使用することができる。このような使用についても本発明の実施に含まれるものである。
【0016】
以上のような浄化筒においては、効率よく粉化物を粉化物捕捉具に捕捉するために、粉化物捕捉具におけるガス通気部(ガス通過部)の総面積は、通常は浄化筒の断面積(内径に相当する断面積)に対して、通常は2〜10倍の面積、好ましくは2.5〜5倍の面積となるように、凹形状の容器9の径、高さ、個数等が設定される。粉化物捕捉具におけるガス通気部の面積を浄化筒の断面積の2倍未満とした場合は、容器内の粉化物堆積部の容積が早く減少して粉化物の堆積が早まることにより、ガス通過部の面積が急激に減少し圧力損失上昇の要因となる。また、ガス通気部の面積を浄化筒の断面積の10倍を超えるようにした場合は、特に問題は発生しないが、浄化筒内部の寸法によって制限されるため、径及び高さは浄化筒の大きさに依存する。
【0017】
本発明の浄化筒を使用する際は、半導体製造工程等の排ガス排出口、後工程のガス導入口、ブロワー等と配管で結合された後、半導体製造工程等から排ガスを供給することにより、排ガスの浄化及び粉化物の捕捉除去が行なわれる。本発明の浄化筒に供給される排ガスの量は、通常はガスの空筒線速度が0.1〜100cm/secとなるように設定される。排ガスに含まれる粉化物は、主に通気性の凹形状の容器9内部に堆積し、浄化剤が破過するかまたは粉化物の堆積により圧力損失が設定以上に大きくなったときに、排ガス処理ラインが未使用の浄化筒のラインと切替える等の処置が行なわれる。
【実施例】
【0018】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。
【0019】
[実施例1]
(粉化物捕捉具の製作)
多数の孔(直径5mm)を有する厚さ2mmのSUS316L製の板を用いて、外径50mm、高さ65mmの凹状の筒に加工し、この筒を多数の孔(直径5mm)を有し直径110mmで中心部に直径50mmの孔を有する厚さ2mmのSUS316L製の円盤に垂直にして取付けた。さらに円盤の上面及び凹状の筒の内部に厚さ10mmのガラス繊維材を重ね合せて、図3に示すような粉化物捕捉具を製作した。
【0020】
(浄化筒の製作)
内径110mm、高さ1000mmのSUS316L製の浄化筒に、浄化剤として、二酸化マンガン、酸化銅を主成分とする担体(日本パイオニクス(株)製、直径1.5mm、長さ3〜10mmの押し出し成型品)100重量部に対して、水酸化カリウムを30重量部担持させた浄化剤を調製して、充填長が500mmとなるように浄化筒に充填した。また、浄化剤の充填部の下部に、図1のように前記の粉化物捕捉具を設置した。尚、粉化物の捕集率を測定するために、浄化筒の下流側に粉化物を確実に捕捉するためのフィルタを設置した。
【0021】
(粉化物の捕集率測定試験)
乾燥窒素中にSiOを1.0mg/L、SiHを1000ppm含む排ガスを、浄化剤の充填部における空筒線速度が5cm/secとなるように浄化筒の導入口から供給し、2時間後に浄化筒の下流側に設置したフィルタに付着した粉化物の量を測定した。その結果から、粉化物捕捉具により捕捉された粉化物の捕集率は、99.9%以上であることがわかった。尚、捕集率測定試験中に、浄化剤の充填部の出口ガスからSiHは検出されなかった。
【0022】
(浄化筒の圧力損失測定試験)
前記と同様にして、乾燥窒素中にSiOを1.0mg/L、SiHを1000ppm含む排ガスを、浄化剤の充填部における空筒線速度が5cm/secとなるように浄化筒の導入口から供給し、2時間後、4時間後、6時間後における浄化筒の圧力損失を測定した。その結果を表1に示す。尚、圧力損失測定試験中に、浄化剤の充填部の出口ガスからSiHは検出されなかった。
【0023】
[実施例2〜4]
実施例1における粉化物の捕集率測定試験において、排ガスに含まれるSiOの含有量を各々2.0mg/L、3.0mg/L、4.0mg/Lに変えたほかは実施例1と同様にして粉化物の捕集率測定試験、及び浄化筒の圧力損失測定試験を行なった。その結果、粉化物捕捉具により捕捉された粉化物の捕集率は、いずれも99.9%以上であった。また、2時間後、4時間後、6時間後における浄化筒の圧力損失の結果を表1に示す。尚、いずれの場合においても、試験中に浄化剤の充填部の出口ガスからSiHは検出されなかった。
【0024】
[比較例1]
実施例1における粉化物捕捉具の製作において、凹状の筒の替わりに平面状のフィルタ(実施例1と同様の材質の円盤(孔なし)の上面に実施例1と同様のガラス繊維材を重ね合せたもの)を用いたほかは実施例1と同様にして、比較例用の粉化物捕捉具を製作した。また、実施例1における浄化筒の製作において、前記の比較例用の粉化物捕捉具を用いたほかは実施例1と同様にして浄化筒を製作した。
この浄化筒を用いたほかは実施例1と同様にして浄化筒の圧力損失測定試験を行なった。2時間後、4時間後、6時間後における浄化筒の圧力損失の結果を表1に示す。尚、いずれの場合においても、圧力損失測定試験中に、浄化剤の充填部の出口ガスからSiHは検出されなかった。
【0025】
[比較例2〜4]
比較例1における粉化物の捕集率測定試験において、排ガスに含まれるSiOの含有量を各々2.0mg/L、3.0mg/L、4.0mg/Lに変えたほかは比較例1と同様にして浄化筒の圧力損失測定試験を行なった。その結果を表1に示す。尚、圧力損失測定試験中に、浄化剤の充填部の出口ガスからSiHは検出されなかった。
【0026】
[実施例5]
実施例1で用いたものと同様の浄化筒の前段に、セレン化水素を分解して粉末状のセレンを発生させるための石英管を設置した。この石英管は、内径50mm、長さ300mmであり、石英管の外側には石英管内部を加熱するためのヒーターが設けられている。
実施例1と同様に、浄化筒に浄化剤及び粉化物捕捉具を設置した後、浄化剤の充填部における空筒線速度が10cm/secとなるように、石英管の導入口から乾燥窒素を導入するとともに石英管内部の温度が300℃となるように加熱した。石英管内部の温度が安定した後、この乾燥窒素にセレン化水素を3000ppmとなるように含ませて、実施例1と同様にして圧力損失測定試験を行ない、セレン化水素の分解で生成した粉末状のセレンが、浄化筒の下流側に設置したフィルタに付着した量を測定した。
【0027】
次に、粉化物捕捉具を設置しないで前記と同様の処理を行ない、粉末状のセレンが浄化筒の下流側に設置したフィルタに付着した量を測定した。これらの結果から、粉化物捕捉具により捕捉された粉化物の捕集率は、99.9%以上であることが推定された。また、実施例1の圧力損失測定試験と同様にして、2時間後、4時間後、6時間後における浄化筒の圧力損失を測定した。その結果を表2に示す。尚、試験中に浄化剤の充填部の出口ガスからセレン化水素は検出されなかった。
【0028】
[実施例6]
実施例5における粉化物の捕集率測定試験において、セレン化水素の濃度を6000ppmに変えたほかは実施例5と同様にして捕集率測定試験を行なった。その結果、粉化物捕捉具により捕捉された粉化物の捕集率は、99.9%以上であることが推定された。また、実施例5の圧力損失測定試験と同様にして、2時間後、4時間後、6時間後における浄化筒の圧力損失を測定した。その結果を表2に示す。尚、試験中に浄化剤の充填部の出口ガスからセレン化水素は検出されなかった。
【0029】
[比較例5]
実施例5における浄化筒の圧力損失測定試験において、比較例1と同様の粉化物捕捉具を用いたほかは実施例5と同様にして粉化物の圧力損失測定試験を行なった。2時間後、4時間後、6時間後における浄化筒の圧力損失の結果を表1に示す。尚、圧力損失測定試験中に浄化剤の充填部の出口ガスからセレン化水素は検出されなかった。
【0030】
[比較例6]
実施例6における浄化筒の圧力損失測定試験において、比較例1と同様の粉化物捕捉具を用いたほかは実施例6と同様にして粉化物の圧力損失測定試験を行なった。2時間後、4時間後、6時間後における浄化筒の圧力損失の結果を表1に示す。尚、圧力損失測定試験中に浄化剤の充填部の出口ガスからセレン化水素は検出されなかった。
【0031】
[実施例7]
実施例1における粉化物捕捉具の製作において、外径30mm、高さ65mmの凹状の筒を4個用いたほかは実施例1と同様にして、図5に示すような粉化物捕捉具を製作した。また、実施例1における浄化筒の製作において、前記の粉化物捕捉具を用いたほかは実施例1と同様にして浄化筒を製作した。
この浄化筒を用いたほかは実施例1と同様にして粉化物の捕集率測定試験を行なった。その結果、粉化物捕捉具により捕捉された粉化物の捕集率は、99.9%以上であった。尚、いずれの場合においても、捕集率測定試験中に、浄化剤の充填部の出口ガスからSiHは検出されなかった。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
以上の実施例により、本発明の粉化物捕捉具を用いた排ガスの浄化筒により、半導体製造工程等から排出される排ガスから、効率よくかつ急激な圧力損失の上昇がなく粉化物を浄化筒内部で捕捉できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の排ガスの浄化筒の一例を示す鉛直方向の構成図
【図2】本発明に使用される粉化物捕捉具の一例を示す鉛直方向の構成図
【図3】本発明に使用される図2以外の粉化物捕捉具の一例を示す鉛直方向の構成図
【図4】本発明に使用される粉化物捕捉具の一例を示す斜視図
【図5】本発明に使用される図4以外の粉化物捕捉具の一例を示す斜視図
【符号の説明】
【0036】
1 排ガスの導入口
2 浄化剤の充填部
3 粉化物捕捉具
4 ガスの排出口
5 円盤の外周縁
5’浄化筒の内壁面
6 円盤の孔
7 円盤
8 円盤の孔の縁部
8’凹形状の容器の上端部
9 凹形状の容器
10 粉化物捕捉材
11 目皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスの導入口、浄化剤の充填部、粉化物捕捉具、及び浄化されたガスの排出口を備えた粉化物を含む排ガスの浄化筒であって、粉化物捕捉具が、外周縁が浄化筒の内壁面に密着し孔を有する円盤、及び該円盤の孔の縁部に上端部が密着するように収納した通気性の凹形状の容器を有し、該凹形状の容器のガス流路上流側の表面に粉化物捕捉材が設けられてなるものであることを特徴とする粉化物を含む排ガスの浄化筒。
【請求項2】
円盤の孔が、円盤の中心部及び/または円盤の周辺部に設けられる請求項1に記載の粉化物を含む排ガスの浄化筒。
【請求項3】
凹形状の容器の外形が、円柱、角柱、円錐台、角錐台、円錐、角錐、または半球である請求項1に記載の粉化物を含む排ガスの浄化筒。
【請求項4】
凹形状の容器の表面のほか、円盤のガス流路上流側の表面に粉化物捕捉材が設けられる請求項1に記載の粉化物を含む排ガスの浄化筒。
【請求項5】
粉化物捕捉具のガス通気部の総面積が、浄化筒の断面積に対して、2〜10倍の面積である請求項1に記載の粉化物を含む排ガスの浄化筒。
【請求項6】
粉化物捕捉材が、ガラス繊維材、プラスチック繊維材、金属繊維材、または多孔質材である請求項1に記載の粉化物を含む排ガスの浄化筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−103173(P2013−103173A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248785(P2011−248785)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000229601)日本パイオニクス株式会社 (96)
【Fターム(参考)】