説明

粉末圧延体製造装置及び粉末供給装置

【課題】粉末圧延体製造工程中に粉末に混入した異物を除去することで、粉末圧延による製品の歩留りの低下を抑制する粉末圧延体製造装置及び粉末供給装置を提供する。
【解決手段】ロウ材粉末2を供給する粉末供給装置30Aと、上記粉末供給装置30Aから供給されたロウ材粉末2を圧延する圧延ローラ4A、4Bとを備えたロウ材シート製造装置Dであって、上記粉末供給装置30Aと上記圧延ローラ4Aとの間に、上記圧延ローラ4A、4Bに供給するロウ材粉末2に含まれる異物を除去する異物除去装置10を有することで、ロウ材粉末2を圧延する圧延ローラ4A、4Bへロウ材粉末2を供給する直前の段階で、上記異物除去装置10によってロウ材粉末2に混入した異物を除去させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末圧延体製造装置及び粉末供給装置であって、特にロウ付け性を有する粉末と板状の基材とを圧延し、シート状にした粉末圧延体の製造装置及び、粉末を供給する粉末供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末圧延体の一つであるロウ材シートは、例えば、ステンレスの基材と、ロウ、ニッケル、クロム及びシリコンの粉末を混合した混合粉末とを一対に対峙して設置された圧延ローラで圧着させ、圧着により数十ミクロンの粉体層を形成させたものをさらに焼成することで形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の粉末圧延体製造に関する問題として、原料となる粉末が凝集してしまうと粗大な粉末となり、該粗大な粉末が圧延ローラに巻き込まれると、粉末圧延体の厚みが不均一になることや、該粗大な粉末が混合工程で振動を受けることで一箇所に集中してしまう偏析が生じ、粉末圧延体をうまく構成できず、製品の歩留まりを低下させる問題があった。
【0004】
上記問題を解決する手段として、粉末圧延体製造工程前に、予め、粉末を篩にかけることによって上記粗大な粉末を除去する解決手段が行われている。
また、例えば、上記問題を解決する手段として、上記圧延ローラ上に設けられる粉末供給装置に、特許文献2に記載の粉末供給装置を用いることが考えられる。
【特許文献1】特開2004−25251号公報
【特許文献2】特開2004−277047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、粉末圧延体を製造する工程中に、例えば、粉末に空気中を浮遊している異物等が混入してしまうと、該異物が粉末と共に圧延ローラ上に供給され、異物を含んだ粉末圧延体が作製されるという製品の歩留まりを低下させる問題があった。
【0006】
また、上記ロウ材シートの製造装置を例に挙げると、上記異物が、圧延ローラ上であって、一対の圧延ローラの対峙部の上流に設けられる粉末供給量を調節するローラ等に噛みこまれ、その噛みこんだ部分の粉末の供給を妨げてしまうことで、粉末が供給されない部分が筋状となってロウ材シートに形成されることがある。
【0007】
上述の粉末圧延体製造工程前に篩をかける手段では、粉末圧延体製造工程に入る以前の異物の混入は防げるものの、粉末圧延体を製造する工程中に混入した異物には対処できない。
【0008】
また、上記特許文献2に記載の供給装置を用いる手段では、凝集した粉末等を粉末供給管と、篩とを摺動させ、均一な粉末にし、迅速に圧延ローラ上に供給させることができるものの、その構成上異物を除去することはできない。したがって、上記特許文献2に記載の供給装置を用いても上述した、粉末に混入した異物が引き起こす製品の歩留まりを低下させる問題を解決することはできない。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、粉末圧延による製品の歩留りの低下を抑制することが可能な粉末圧延体製造装置及び粉末供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では、粉末を供給する粉末供給装置と、上記粉末供給装置から供給された粉末を圧延する圧延ローラとを備えた粉末圧延体製造装置であって、上記粉末供給装置と上記圧延ローラとの間と、上記粉末供給装置との少なくともいずれか一方に、上記圧延ローラに供給する粉末に含まれる異物を除去する異物除去装置を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、粉末を圧延する圧延ローラへ粉末を供給する前の段階又は直前の段階で、異物除去装置によって粉末に混入した異物を除去させることができる。
【0011】
また、本発明では、上記異物除去装置は、篩を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、微細な粉末と、粗大な異物とに篩によって分離させることができる。
【0012】
また、本発明では、上記異物除去装置は、上記篩を振動させる振動付与装置を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、振動付与装置により篩を振動させることで、迅速に、微細な粉末と、粗大な異物とに分離させることができる。
【0013】
また、本発明では、上記異物除去装置に導入される粉末の量を制限する制限部材を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、異物を除去する異物除去装置の処理能力に適した粉末量を異物除去装置に導入させることができる。
【0014】
また、本発明では、圧延ローラに向けて粉末を供給する粉末供給装置であって、上記圧延ローラに供給する粉末に含まれる異物を除去する異物除去装置を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、粉末を圧延する圧延ローラへ粉末を供給する前の段階で、粉末供給装置に設けられた異物除去装置によって粉末に混入した異物を除去させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粉末を供給する粉末供給装置と、上記粉末供給装置から供給された粉末を圧延する圧延ローラとを備えた粉末圧延体製造装置であって、上記粉末供給装置と上記圧延ローラとの間と、上記粉末供給装置との少なくともいずれか一方に、上記圧延ローラに供給する粉末に含まれる異物を除去する異物除去装置を有するという構成を採用する。そのため、粉末を圧延する圧延ローラへ粉末を供給する前の段階又は直前の段階で、異物除去装置によって粉末に混入した異物を除去させることができる。つまり、製造工程中に混入した異物が粉末と共に圧延ローラ上に供給される事態を抑制することが可能となる。
したがって、本発明によれば、粉末圧延による製品の歩留りの低下を抑制することができる効果がある。
【0016】
本発明によれば、圧延ローラに向けて粉末を供給する粉末供給装置であって、上記圧延ローラに供給する粉末に含まれる異物を除去する異物除去装置を有するという構成を採用する。そのため、粉末を圧延する圧延ローラへ粉末を供給する前の段階で、粉末供給装置に設けられた異物除去装置によって粉末に混入した異物を除去させることができる。つまり、製造工程中に混入した異物が粉末と共に圧延ローラ上に供給される事態を抑制することが可能となる。
したがって、本発明によれば、粉末圧延による製品の歩留りの低下を抑制することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、本発明の粉末圧延体製造装置を粉末圧延体の一つであるロウ材シートの製造装置に適応した場合の例について説明する。また、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるロウ材シート製造装置(粉末圧延体製造装置)Dの概略構成図である。
ロウ材シート製造装置Dは、ロウ材組成を有するロウ材粉末(粉末)2を貯蓄すると共に、ロウ材粉末2を後述する圧延ローラ4Aの周面に向けて供給する粉末供給装置30Aと、供給されたロウ材粉末2に混入している異物を除去する異物除去装置10と、異物除去装置10により異物が除去されたロウ材粉末2と金属板(基材)21とを圧延する圧延ローラ4A、4Bと、圧延加工されたロウ材粉末2及び金属板21を加熱処理する加熱炉6と、加熱処理の後に形成されるロウ材シート1を巻き取る回収ローラ8とを有する。
【0019】
ロウ材粉末2は、ロウ材組成を有する粉末から構成される。ロウ材粉末2の構成粉末は、金属板21の構成成分により選択される。ロウ材粉末2は、例えば、金属板21がステンレスで構成されるならば、基材となる金属板21より融点の低いニッケルロウやリン銅ロウ等の粉末を選択するのが好ましい。
本実施形態では、ロウ材粉末2は、例えば、ロウ(BNi−5)粉末、ニッケル粉末、クロム粉末及びシリコン粉末の混合粉末から構成される。
【0020】
粉末供給装置30Aは、ロウ材粉末2を貯蓄するホッパ3Aと、ホッパ3Aに貯蓄されたロウ材粉末2を圧延ローラ4Aの周面に向けて供給する供給配管5Aとを有する構成となっている。
【0021】
ホッパ3Aは、ロウ材粉末2を貯蓄し、断面形状が下方に向かうに従って漸次縮径する中空構造を有し、供給配管5Aを介して圧延ローラ4Aの周面に向けてロウ材粉末2を供給させる構成となっている。
【0022】
供給配管5Aは、一端がホッパ3Aの下部と接続され、他端5A1が圧延ローラ4Aの周面に向けて設置されており、他端5A1から排出されたロウ材粉末2が圧延ローラ4Aの周面に供給されるように構成されている。
なお、供給配管5Aの他端5A1は、圧延ローラ4Aの幅と略同一の幅を有しており、圧延ローラ4Aの幅方向に亘って均一に、ロウ材粉末2を供給可能な構成となっている。
【0023】
したがって、粉末供給装置30Aは、上記構成により、ロウ材粉末2を貯蓄すると共に、ロウ材粉末2を圧延ローラ4Aの幅と略同一の幅に亘って均一に圧延ローラ4Aの周面に向けて供給させることができる。
【0024】
異物除去装置10は、粉末供給装置30Aと、圧延ローラ4Aとの間に配置される。
異物除去装置10は、粉末供給装置30Aから圧延ローラ4A周面に向けて供給されたロウ材粉末2に混入する異物を除去するスクリーン(篩)11と、スクリーン11を振動させる振動付与装置12とを有する構成となっている。
【0025】
スクリーン11は、供給配管5Aの他端5A1から圧延ローラ4Aの周面に向けて供給されるロウ材粉末2の流路上であって、該流路に直交する形で配置される。
スクリーン11は、供給配管5Aの他端5A1から圧延ローラ4Aの略同一の幅に亘って均一に供給されるロウ材粉末2の略全てを導入することが可能な大きさのものを用いるのが好ましい。したがって、少なくとも圧延ローラ4Aの幅より大きな幅を有する篩を用いるのが好ましい。
スクリーン11は、ステンレスワイヤ等で網目状に形成されており、例えば、当該網目の一目およそ50マイクロメートルで形成された値を閾値として、その網目を通過する微粉のロウ材粉末2と、網目を通過できずに篩上に残留する異物とに分離させる構成となっている。
なお、スクリーン11の網目の大きさは、粉末圧延に用いる粉末の大きさに合わせて適宜選択するのが好ましい。また、スクリーン11を効率よく振動させるために、スクリーン11の下部にタッピングゴム及びタッピング受けを設ける構成であっても良い。
【0026】
振動付与装置12は、スクリーン11と接続し、振動付与装置12内部に設けられた振動発生部材、例えば、モーターや、超音波振動発生装置等を駆動させることで、スクリーン11に振動を伝動させる構成となっている。
この場合、例えば、振動付与装置12がモーターを採用するのであれば、モーターの回転軸に不均衝重鐘となる偏心回転部材を設けて、該偏心回転部材を回転させることで振動を発生させることとなる。
また、振動付与装置12は、スクリーン11の目詰まりを防止するために超音波振動を用いる構成であっても良い。
【0027】
したがって、異物除去装置10は、上記構成により、粉末供給装置30Aから圧延ローラ4A周面に向けて供給されたロウ材粉末2の略全てをスクリーン11上に導入することができ、振動付与装置12からスクリーン11に振動を加えることによって、ロウ材粉末2と、異物とを効率的に分離させる構成となっている。
【0028】
圧延ローラ4A、4Bは、一対となっており、異物除去装置10の下方に設けられる。また、圧延ローラ4A、4Bは、互いの周面が所定の間隔で平行対峙するように配置される。そして、圧延ローラ4A、4Bは、不図示の回転駆動機構により回転駆動することによって、圧延ローラ4A、4Bの間に挿入される部材を圧延する構成となっている。
【0029】
加熱炉6は、圧延ローラ4A、4Bの下方に設置される。そして、加熱炉6は、圧延ローラ4A、4Bにより圧延され、送出されたロウ材粉末2及び金属板21を加熱炉6内へプーリ9を介して挿入することによって加熱処理する構成となっている。
【0030】
回収ローラ8は、不図示の回転駆動機構により回転駆動可能に担持される。そして、回収ローラ8は、加熱炉6による加熱処理の工程を経て得たロウ材シート1を巻き取る構成となっている。
【0031】
続いて、ロウ材シート製造装置Dの動作をロウ材シート製造工程におけるロウ材粉末2の流れに沿って説明する。
ロウ材粉末2を構成する各構成粉末(例えば、ロウ(BNi−5)粉末、ニッケル粉末、クロム粉末及びシリコン粉末)は、各構成粉末毎におよそ50マイクロメートルの網目の篩にかけられ、凝集した粗粉及び、ロウ材シート製造工程に移る以前に混入した異物が排除される。
上記粗粉及び異物を排除された各構成粉末は、所望の重量比で計量され、ミキサー等によって混合、攪拌されることによって、各構成粉末がある重量比で均一に混ざり合ったロウ材粉末2となる。
そして、ロウ材粉末2は、ノズル等を介して、ロウ材シート製造装置Dに搬送される。
【0032】
ロウ材シート製造装置Dは、ロウ材シート製造装置Dに搬送されたロウ材粉末2を、粉末供給装置30Aのホッパ3A内に導入する。粉末供給装置30Aは、ホッパ3A内に導入され、貯蓄されたロウ材粉末2を、ホッパ3A下部に接続された供給配管5Aに供給することで、当該供給配管5Aの他端5A1を介して圧延ローラ4Aの周面に向けて、圧延ローラ4Aの幅方向に亘り連続的に供給する。
【0033】
異物除去装置10は、圧延ローラ4Aの周面に向けて連続的に供給されるロウ材粉末2をスクリーン11上に導入し、スクリーン11に振動付与装置12から振動を加えることによって、スクリーン11を通過するロウ材粉末2と、スクリーン11上に残留する異物とに分離することで、圧延ローラ4A,4Bによる圧延処理の直前で、ロウ材シート製造工程中に混入した異物を除去する。
ところで、ロウ材粉末2は、予め、およそ50マイクロメートル以下に調整された構成粉末の混合粉末である。したがって、ロウ材シート製造工程前に篩にかけた網目と同じ大きさの網目で形成されたスクリーン11上に残留した物は、ロウ材シート製造工程中に混入した異物とみなすことができる。
ロウ材シート製造工程中に混入した異物には、例えば、空気中に浮遊する埃、塵、人間の髪の毛や、ロウ材シート製造工程中に用いられる装置からの剥離物等がある。
異物除去装置10によって、異物を除去されたロウ材粉末2は、スクリーン11の下方の圧延ローラ4Aの周面に、圧延ローラ4Aの幅に亘って供給される。
【0034】
圧延ローラ4A、4Bは、所定の距離で回転駆動することによって、圧延ローラ4A,4B間に供給されたロウ材粉末2と、圧延ローラ4A、4Bの間に上方から下方へ挿通されて搬送されるシート状の金属板21とを圧延する。当該圧延によって、ロウ材粉末2は、金属板21に固着されることとなる。
ロウ材粉末2が固着した金属板21は、圧延ローラ4A、4Bの下方に位置する加熱炉6にプーリ9を介して挿入される。
【0035】
加熱炉6は、ロウ材粉末2が固着した金属板21をロウ材粉末2の融点以下の温度まで加熱する。この結果、ロウ材粉末2が焼結して層となり、金属版21の表面にしっかりと固着されることによって、ロウ付け性を有するクラッド層22が形成される。
【0036】
上記工程により製造された、金属板21及びクラッド層22から成るロウ材シート1は、回収ローラ8の回転駆動により巻き取られることによって回収されることとなる。なお、加熱炉6によって焼成されたロウ材シート1は、必要に応じて冷却されてから回収ローラ8によって回収されても良い。
【0037】
このように回収されたロウ材シート1は、金属板21の片面に全面に亘ってロウ付け性を有するクラッド層22が形成される。なお、当該クラッド層22は、ロウ材粉末2を構成する構成粉末の構成比率を適宜調整することで、ロウ材シート1の用途に適した機能を備えさせることができる。
【0038】
したがって、上述の本実施形態によれば、ロウ材粉末2を供給する粉末供給装置30Aと、上記粉末供給装置30Aから供給されたロウ材粉末2を圧延する圧延ローラ4A、4Bとを備えたロウ材シート製造装置Dであって、上記粉末供給装置30Aと上記圧延ローラ4Aとの間に、上記圧延ローラ4A、4Bに供給するロウ材粉末2に含まれる異物を除去する異物除去装置10を有することで、ロウ材粉末2を圧延する圧延ローラ4A、4Bへロウ材粉末2を供給する直前の段階で、異物除去装置10によってロウ材粉末2に混入した異物を除去させることができる。つまり、ロウ材シート1の製造工程中に混入した異物がロウ材粉末2と共に圧延ローラ4A、4B間に供給される事態を抑制することが可能となる。
したがって、本実施形態によれば、ロウ材粉末2に異物が混入することによる、粉末圧延の製品の歩留りの低下を抑制することができる効果がある。
【0039】
また、本実施形態は、上記異物除去装置10は、スクリーン11を有することで、微細なロウ材粉末2と、粗大な異物とにスクリーン11によって分離させることができる。
【0040】
また、本実施形態は、上記異物除去装置10は、上記スクリーン11を振動させる振動付与装置12を有することで、振動付与装置12によりスクリーン11を振動させ、迅速に、微細なロウ材粉末2と、粗大な異物とに分離させることができる。
【0041】
(第2実施形態)
本発明は、図2に示すように、異物除去装置10に導入されるロウ材粉末2の量を制限するオリフィス(制限部材)13を有するという構成を採用することができる。
オリフィス13は、供給配管5Aの他端5A1と、スクリーン11との間に配置される。オリフィス13は、供給配管5Aからロウ材粉末2の供給を受けるために、上部が圧延ローラ4Aの略同一の幅に亘って開口する。また、下部にロウ材粉末2の粉末量を調整する小径のスリット13aが複数、圧延ローラ4Aの略同一の幅に亘って設けられている。
したがって、オリフィス13は、供給配管5Aからのロウ材粉末2の供給を受け、複数の小径のスリット13を介することで、ロウ材粉末2の粉末量を調整し、スクリーン11へ圧延ローラ4Aの略同一の幅に亘ってロウ材粉末2を供給する構成となっている。
このような構成を採用することによって、異物を除去する異物除去装置10の異物除去処理能力に適した粉末量を異物除去装置10に導入させることができる効果がある。
【0042】
(第3実施形態)
また、本発明は、圧延ローラ4Aに向けてロウ材粉末2を供給する粉末供給装置30Aであって、上記圧延ローラ4A,4Bに供給するロウ材粉末2に含まれる異物を除去する異物除去装置10を有するという構成を採用することができる。
上記構成では、異物除去装置10は、例えば、図3に示すように、粉末供給装置30Aの供給配管5Aに配置される。異物除去装置10を構成するスクリーン11は、供給配管5A内であって、他端5A1の近傍に配置され、供給配管5Aの側壁を介して振動付与装置12の振動を受ける構成となっている。
また、スクリーン11の前に、供給配管5A内にオリフィス13を嵌合させることで、ロウ材粉末2の粉末量を調整することができる。
このような構成を採用することによって、粉末を圧延する圧延ローラ4A、4Bへ粉末を供給する前の段階で、粉末供給装置30Aに設けられた異物除去装置10によって粉末に混入した異物を除去させることができる。つまり、製造工程中に混入した異物が粉末と共に圧延ローラ上に供給されるのを抑制することが可能となる。
したがって、本発明によれば、粉末圧延による製品の歩留りの低下を抑制することができる効果がある。
【0043】
(第4実施形態)
また、本発明における粉末供給装置30Aは、図4に示すような構成であってもよい。
以下、第4実施形態における粉末供給装置30Aについて説明するが、上記実施形態と構成を同じくする部材の説明は割愛する。
【0044】
粉末供給装置30Aは、ロウ材粉末2を貯蓄する第1ホッパ3A1と、第1ホッパ3A1からロウ材粉末2を搬送するスクリューフィーダ40と、スクリューフィーダ40によって搬送されたロウ材粉末2に混入している異物を除去する異物除去装置10と、異物除去装置10によって異物が除去されたロウ材粉末2を貯蓄する第2ホッパ3A2と、第2ホッパ3A2に貯蓄されたロウ材粉末2を圧延ローラ4Aの周面に向けて搬送して供給するベルトフィーダ50とを有する構成となっている。
なお、各部材は互いに連結され、外部からの異物の混入を防止する構成となっている。
【0045】
スクリューフィーダ40は、第1ホッパ3A1の下部と接続され、モーター41の回転軸に設けられたスクリューを回転させることによって、ロウ材粉末2を異物除去装置10へ搬送する。スクリューフィーダ40は、モーター41の回転駆動を制御することによって、ロウ材粉末2の搬送量を調整することができ、上記第2及び第3実施形態におけるオリフィス13と同様に、異物除去装置10の異物除去処理能力に適した粉末量を異物除去装置10に導入させることができる効果がある。
【0046】
異物除去装置10は、スクリーン11及び振動付与装置12の他に、ロウ材粉末2から除去した異物を収容する異物収容部14を有する構成となっている。
異物収容部14は、スクリーン11が設けられた略同一の高さの位置に接続され、スクリーン11上に残留する異物を例えば、吸引ノズル等で吸引し、内部に設けられた中空空間に異物を収容する構成となっている。異物収容部14を設けることによって、異物がスクリーン11上に残留することによる目詰まりの発生を抑制することができ、作業効率を向上させる効果がある。
【0047】
ベルトフィーダ50は、第2ホッパ3A2の下方に設けられ、不図示の回転駆動機構と接続されて回転駆動することで、第2ホッパ3A2の下部から供給される、異物が除去されたロウ材粉末2を搬送する構成となっている。また、ベルトフィーダ50は、搬送先が、圧延ローラ4Aの上方に位置しており、ロウ材粉末2を圧延ローラ4Aの周面上に供給する構成となっている。さらに、ベルトフィーダ50の周囲には、ロウ材粉末2の搬送中に、空気中に存在する異物がロウ材粉末2に混入することを防止するカバー51が設けられている。
なお、ベルトフィーダ50は、圧延ローラ4Aの幅と略同一の幅を有しており、圧延ローラ4Aの幅方向に亘って均一に、ロウ材粉末2を供給可能な構成となっている。
【0048】
以上のような構成を採用することによって、粉末供給装置30Aは、異物除去装置10によって、ロウ材粉末2に含まれる異物を除去した後に、ロウ材粉末2に更に異物が混入することを抑制することができる。したがって、粉末圧延の製品の歩留りの低下をより抑制することができる効果がある。
【0049】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態では、異物除去装置10が振動付与装置12を有する構成として説明したが、本発明は、必ずしも振動付与装置12を有する構成に限定されない。
【0051】
また、本発明は、必ずしもスクリーン11を有する構成に限定されない。例えば、スクリーン11の代わりにネットや網等、又は、気流式分級装置等を用いて、気流によりロウ材粉末2と、異物とを分級することで分離させる構成であっても良い。
【0052】
また、上記実施形態において、ロウ材シート製造装置Dは、ロウ材シート1のクラッド層22を金属板21の片面の全面に亘って形成させると説明した。しかしながら、本発明のロウ材シート製造装置Dは、金属板21の両面の全面に亘ってクラッド層22を形成させることも可能である。この場合、ロウ材シート製造装置Dは、粉末供給装置30Aと同一の構成の粉末供給装置30Bを逆側に設けて、例えば、図1に示す粉末供給装置30Bを稼動させ、圧延ローラ4Bの周面にロウ材粉末2を供給することで、金属板21の両面にクラッド層22を形成させることができる。
この場合、粉末供給装置30Bと、圧延ローラ4Bとの間、又は、粉末供給装置30Bに上述した異物除去装置10を用いるのが好ましい。
また、上記実施形態のロウ材シート製造装置Dにおいて、圧延ローラ4A上に供給されたロウ材粉末2の厚み(供給量)を調節する機構を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態におけるロウ材シート製造装置の構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態における異物除去装置及びオリフィスの構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態における異物除去装置を有する粉末供給装置の概略構成図である。
【図4】本発明の第4実施形態における異物除去装置を有する粉末供給装置の構成図である。
【符号の説明】
【0054】
2…ロウ材粉末(粉末)、4A,4B…圧延ローラ、10…異物除去装置、11…スクリーン(篩)、12…振動付与装置、13…オリフィス(制限部材)、30A,30B…粉末供給装置、D…ロウ材シート製造装置(粉末圧延体製造装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を供給する粉末供給装置と、前記粉末供給装置から供給された粉末を圧延する圧延ローラとを備えた粉末圧延体製造装置であって、
前記粉末供給装置と前記圧延ローラとの間と、前記粉末供給装置との少なくともいずれか一方に、前記圧延ローラに供給する粉末に含まれる異物を除去する異物除去装置を有することを特徴とする粉末圧延体製造装置。
【請求項2】
前記異物除去装置は、篩を有することを特徴とする請求項1に記載の粉末圧延体製造装置。
【請求項3】
前記異物除去装置は、前記篩を振動させる振動付与装置を有することを特徴とする請求項2に記載の粉末圧延体製造装置。
【請求項4】
前記異物除去装置に導入される粉末の量を制限する制限部材を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉末圧延体製造装置。
【請求項5】
圧延ローラに向けて粉末を供給する粉末供給装置であって、
前記圧延ローラに供給する粉末に含まれる異物を除去する異物除去装置を有することを特徴とする粉末供給装置。
【請求項6】
前記異物除去装置は、篩を有することを特徴とする請求項5に記載の粉末供給装置。
【請求項7】
前記異物除去装置は、前記篩を振動させる振動付与装置を有することを特徴とする請求項6に記載の粉末供給装置。
【請求項8】
前記異物除去装置に導入される粉末の量を制限する制限部材を有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の粉末供給装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−90346(P2009−90346A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264460(P2007−264460)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】