説明

粉末洗剤用ビルダー顆粒

【課題】冷水での分散性に非常に優れる、粉末洗剤用ビルダー顆粒及びそれを含有する洗剤組成物を提供すること。
【解決手段】水和結晶を有する及び/又は形成し得る炭酸塩(A成分)、水和結晶を有する及び/又は形成し得る硫酸塩(B成分)、並びに粘土鉱物(C成分)を含んでなる粉末洗剤用ビルダー顆粒であって、(A成分+B成分)と(C成分)の重量比((A+B)/C)が0.9/1〜7.0/1であり(ただし、A成分及びB成分は無水換算である)、且つ(A成分)と(B成分)の無水換算の重量比(A/B)が0.2/1〜0.3/1である、粉末洗剤用ビルダー顆粒;並びに当該粉末洗剤用ビルダー顆粒を含む粉末洗剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温での溶解性に非常に優れた粉末洗剤用ビルダー顆粒及び当該粉末洗剤用ビルダー顆粒を含有する粉末洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉末洗剤組成物の製造方法としては、特許文献1及び2記載のように、洗剤の洗浄力強化や環境への負荷低減のため、炭酸ナトリウムや硫酸ナトリウム等の水溶性無機塩を噴霧乾燥するのではなく、無機塩を他の洗剤粒子にブレンドする製造方法や後添加する製造方法が提案されている。しかし、これら水溶性無機塩は水と接触をすると水和結晶を形成する場合があり、特に5℃以下の冷水に接触した場合、溶解・融着しペースト化したのち、水和結晶の強固なネットワークが形成されて、水に分散しにくくなる。そこで特許文献3及び4記載のように、水溶性無機塩を他成分と造粒する方法や、あらかじめ水和物を形成させる等の処方により、低温での粉末洗剤の分散性を改善する試みがなされている。例えば特許文献4には炭酸塩/硫酸塩のモル比が1〜10であって、かつ水の含有量が3〜15質量%である洗剤用ビルダー粒子が開示されているが、分散性改善効果はまだ不十分である。また、特許文献5のように、さらに水不溶性のビルダー(ゼオライト)を添加して無機塩同士の凝集を防止する手法が試みられているが、無機塩粒子表面の被覆が不十分であると、低温での分散性が悪化することもあり、更なる改善が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−210956号公報
【特許文献2】特表平7−509267号公報
【特許文献3】特開2003−193091号公報
【特許文献4】特開2004−238529号公報
【特許文献5】特開2005−47790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の課題は、冷水での分散性に非常に優れる、粉末洗剤用ビルダー顆粒及びそれを含有する洗剤組成物を提供することにある。
【0005】
そこで本発明者らは、粉末洗剤用ビルダー顆粒の種々の要素について検討した結果、低温分散性低下の一要因が水溶性無機塩〔即ち、水和結晶を有する及び/又は形成し得る炭酸塩(A成分)及び水和結晶を有する及び/又は形成し得る硫酸塩(B成分)〕が低温水中で溶解合一し、合一した無機塩の表面に水和結晶の皮膜が形成されることであると推定した。そして本発明者らは、A成分とB成分とを特定の割合で含有させることにより、水和結晶の皮膜形成を抑制できると考えた。さらに検討をすすめた結果、水に不溶であって水中分散性の高い粘土鉱物(C成分)をさらに配合することによって、低温の水中でのA成分とB成分との合一を防ぎかつ低温の水中での再分散性を向上できることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 水和結晶を有する及び/又は形成し得る炭酸塩(A成分)、水和結晶を有する及び/又は形成し得る硫酸塩(B成分)、並びに粘土鉱物(C成分)を含んでなる粉末洗剤用ビルダー顆粒であって、(A成分+B成分)と(C成分)の重量比((A+B)/C)が0.9/1〜7.0/1であり(ただし、A成分及びB成分は無水換算である)、且つ(A成分)と(B成分)の無水換算の重量比(A/B)が0.2/1〜0.3/1である、粉末洗剤用ビルダー顆粒;並びに
〔2〕 前記〔1〕に記載の粉末洗剤用ビルダー顆粒を含む粉末洗剤組成物、に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒及びそれを含有する洗剤組成物は、冷水での分散性に非常に優れるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、A成分とB成分とを特定の割合で均一混合した粉体のペースト強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<粉末洗剤用ビルダー顆粒>
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒は、水和結晶を有する及び/又は形成し得る炭酸塩(A成分)、水和結晶を有する及び/又は形成し得る硫酸塩(B成分)、並びに粘土鉱物(C成分)を含有するものである。
【0010】
炭酸塩(A成分)及び硫酸塩(B成分)には、現に水和結晶を有している水溶性無機塩だけではなく、吸湿した場合又は水と接触した場合に水和結晶を形成し得る水溶性無機塩が含まれる。本明細書において、水溶性無機塩の「水溶性」とは、20℃の水への溶解度が5g/100g以上であることを意味する。具体的には、化学便覧基礎編I(改訂3版)(日本化学会編、丸善株式会社発行)に記載の無機塩のうち、かかる溶解度を示すものが挙げられる。
【0011】
好ましい炭酸塩(成分A)としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウムやそれらの水和物が挙げられる。これらのうち、洗剤ビルダーとして一般的である、炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム10水塩、炭酸ナトリウム7水塩、炭酸ナトリウム1水塩、セスキ炭酸ナトリウム等がより好ましい。これらの成分については、単独で用いてもよく、又は二種以上を併用してもよい。
【0012】
好ましい硫酸塩(成分B)としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムやそれらの水和物が挙げられる。これらのうち、洗剤ビルダーとして多用されている、硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム10水塩等がより好ましい。これらの成分については、単独で用いてもよく、又は二種以上を併用してもよい。
【0013】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒中の炭酸塩(A成分)や硫酸塩(B成分)は、特定の割合で混合して原料として用いる。本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒に、A成分及び/又はB成分を水和物として存在させる場合、原料に無機塩の水和物を用いてもよいし、無機塩の無水物を原料に用い、顆粒を製造する過程で水と反応させて水和物を生成させてもよい。A成分又はB成分は、顆粒中に無水物として存在してもよく、水和物として存在してもよい。
【0014】
A成分及びB成分の平均粒径は、低温分散性を良好にする観点から、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、顆粒を製造する観点と顆粒の溶解性を良好にする観点から1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、200μm以下がさらに好ましい。別に規定のない限り、A成分及びB成分の平均粒径は重量平均粒径である。
【0015】
粉末洗剤用ビルダー顆粒中の炭酸塩(A成分)と硫酸塩(B成分)の無水換算での重量比(A/B)は、低温分散性の観点から、0.2/1〜0.3/1であり、0.22/1〜0.28/1が好ましく、0.24/1〜0.26/1がより好ましい。この範囲内の重量比であれば、水溶性無機塩が5℃以下の冷水に接触してもペースト化しにくいため、これらを配合している粉末洗剤の低温分散性が良好となる。
【0016】
粉末洗剤用ビルダー顆粒中の水和結晶を有する及び/又は形成し得る無機塩(A成分+B成分)の含有量は、洗浄性能の観点から、粉末洗剤用ビルダー顆粒の50重量%以上が好ましく、65重量%以上がより好ましい。また、低温分散性を良好にする観点から、85重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましい。ここで、当該成分の含有量は無水換算である。
【0017】
粘土鉱物(C成分)としては、タルク、パイロフィライト、スメクタイト(サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等)、バーミキュライト、雲母(金雲母、黒雲母、チンワルド雲母、白雲母、パラゴナイト、セラドナイト、膨潤性雲母、海緑石等)、緑泥石(クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、ペナンタイト、スドーアイト、ドンバサイト等)、脆雲母(クリントナイト、マーガライト等)、スーライト、蛇紋石鉱物(アンチゴライト、リザーダイト、クリソタイル、アメサイト、クロンステダイト、バーチェリン、グリーナライト、ガーニエライト等)、カオリン鉱物(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト等)等が挙げられる。中でも、本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒の水中での分散性を向上させる観点から、タルク、スメクタイト、膨潤性雲母、バーミキュライト、クリソタイル、カオリン鉱物等が好ましく、スメクタイトがより好ましく、モンモリロナイトが更に好ましい。モンモリロナイトとしては、ベントナイトが好適に使用できる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。かかるC成分は、その機能を発揮する限り、水分を含んでいてもよく、C成分が含む水分の量は粉末洗剤用ビルダー顆粒中の水分の量に含まれない。
【0018】
即ち、ベントナイトは、下記式(I):
[MgaAlb(Si254(OH)4X-・MeX+ (I)
(式中、a、b及びxは、それぞれ0<a≦6、0<b≦4、x=12−(2a+3b)であり、MeX+は、Na、K、Li、Ca、Mg及びNH4から選ばれる少なくとも1種の金属又はアンモニウムの電荷平衡カチオンである。MeX+は、同形のイオン置換の結果として導入され、同形イオン置換度はベントナイトの膨潤における重要な因子である層電荷の大きさを決定する。)で表されるものであり、式(I)で表される粘土鉱物がC成分全体の好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上であるものをいう。式(I)で表される化合物は、例えば、中心8面体層の2個のAl3+イオンを3個のMg2+イオンで置換してもよいし、部分的に1個のMg2+イオンを1個のAl3+イオンで置換し、構造中に過剰の負電荷が残留していてもよい。負電荷の過剰残留は、4面体層のSi4+イオンをAl3+イオンで置換する場合にも生じ得る。
【0019】
また、溶解性の観点から、前記カチオンのうち、アルカリ金属イオン(Naイオン、Kイオン、Liイオンの合計)とアルカリ土類金属イオン(Caイオン、Mgイオンの合計)とのモル比〔(Naイオン+Kイオン+Liイオン)/(Caイオン+Mgイオン)〕として、1.0/1以上が好ましく、1.5/1以上がより好ましく、2.0/1以上がさらに好ましい。アルカリ金属イオンの比率が高い粘土鉱物を得るには、天然品であれば産地を選択すればよいし、粘土造粒物を製造する場合は、アルカリ金属塩を添加して調製することが可能であり、合成品であれば公知の方法により任意に調製が可能である。
【0020】
粘土鉱物の粒径は、粉末原料混合時の分散性の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上である。また、水への分散性と造粒の観点から、50m以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。かかる粘土鉱物の粒径の測定方法は、Mie散乱理論を利用したレーザー散乱法、例えばLA−920(堀場製作所(株)製)により測定することができる。
【0021】
粉末洗剤用ビルダー顆粒中のA成分、B成分及びC成分の関係としては、粉末洗剤用ビルダー顆粒の低温分散性の観点から、(A成分+B成分)と(C成分)の重量比((A+B)/C)として0.9/1〜7.0/1であり(ただし、A成分及びB成分は無水換算である)、0.9/1〜4.5/1が好ましい。この範囲内の重量比であれば、水溶性無機塩が5℃以下の冷水に接触してもペースト化しにくいため、粉末洗剤用ビルダー顆粒の低温分散性が良好となる。なお、上記の重量比に関して、C成分が水分を含む場合、C成分の重量はその水分を含めた重量とし、C成分が含む水分の量は粉末洗剤用ビルダー顆粒中の水分の量に含まれない。
【0022】
粉末洗剤用ビルダー顆粒中のC成分の含有量は、低温分散性の観点から、15重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。また、洗浄性能の観点から、50重量%以下が好ましく、35重量%以下がより好ましい。C成分をさらに配合することによって、A成分とB成分の粒子間に介在する形で顆粒中にC成分が存在する状態となったことが考えられ、その結果、粉末洗剤用ビルダー顆粒及び粉末洗剤組成物の低温分散性が向上するものと考えられる。なお、上記の含有量に関して、C成分が水分を含む場合、C成分の重量はその水分を含めた重量とし、C成分が含む水分の量は粉末洗剤用ビルダー顆粒中の水分の量に含まれない。
【0023】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒には、顆粒強度を高める目的で、低温分散性を阻害しない範囲でバインダーを任意に加えても良い。バインダーとしては公知の親水性バインダーを用いることができる。親水性バインダーとしては、澱粉、デキストリン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、カゼイン、カゼインナトリウム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、リグニンスルホン酸カルシウム、カルボキシメチルスターチ(CMS)、ヒドロキシエチルスターチ、リン酸エステルナトリウム、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニールアルコール(PVA)、ポリビニルメチルエーテル(PVM)、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が例示される。そのうち、顆粒強度向上と分散性を両立させる観点から、ポリアクリル酸ナトリウム、水ガラス、ポリエチレングリコールを用いることが好ましい。これらの成分については、単独で用いてもよく、又は二種以上を併用してもよい。
【0024】
バインダーの量としては、所定の効果を発揮できる量であれば特に限定されないが、例えば、本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒の3.0〜15.0重量%の範囲が好ましい。
【0025】
バインダーは水溶液として添加することが好ましい。バインダー水溶液の好ましい濃度は、噴霧等のハンドリングの観点から1〜50重量%が好ましく、20〜40重量%がさらに好ましい。また、バインダー水溶液の粘度は1〜800cps程度が好ましい。粘度の測定は、B型粘度計(25℃)によって行われる。
【0026】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒の平均粒径は、流動性の観点から、実施例に記載の測定方法で200μm以上が好ましく、250μm以上がより好ましく、300μm以上がさらに好ましい。また、溶解性の観点から、1000μm以下が好ましく、800μm以下がより好ましく、600μm以下がさらに好ましい。
【0027】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒の嵩密度は、洗剤のコンパクト性の観点から、実施例に記載の測定方法で500g/L以上が好ましく、650g/L以上がより好ましく、800g/L以上がさらに好ましい。また、溶解性の観点から、1500g/L以下が好ましく、1300g/L以下がより好ましく、1200g/L以下がさらに好ましい。
【0028】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒中の水分減少率は、造粒性の観点からより低いことが好ましい。具体的には、顆粒を200℃に加熱した際の水分減少率として、実施例に記載の測定法で測定した場合、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。なお、本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒の水分減少率を調節するために、必要に応じて当該顆粒を乾燥させてもよく、又は吸湿させてもよい。
【0029】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒の低温分散性は、実施例に記載の測定方法で、5℃、5分でIとIIが良好と判定する評価基準で評価される。
【0030】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒の用途は、特に限定されるわけではないが、衣料用洗剤、食器用洗剤、住居用洗剤、自動車用洗剤、身体用洗剤、歯ミガキ、金属用洗剤への添加剤として利用することができ、特に衣料用洗剤に用いることが好ましい。
【0031】
<粉末洗剤用ビルダー顆粒の製造方法>
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒の製造方法としては、攪拌造粒法が好ましい。A成分、B成分及びC成分の重量比を本発明において特定された所定の範囲内とする限り、噴霧乾燥造粒法でも同様の効果を示す粉末洗剤用ビルダー顆粒を製造することができる。
【0032】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒の攪拌造粒法による製造に用いる攪拌造粒機としては、公知の造粒装置が用いられる。例えば深江パウテック株式会社のハイスピードミキサー、ハイフレックスグラル、ヘンシェルミキサー、株式会社パウレック製のバーチカルグラニュレーター、太平洋機工株式会社製のアペックスグラニュレーター、プロシェアミキサー、株式会社徳寿工作所製のジュリアミキサー、株式会社マツボー製のレディゲミキサー、日本アイリッヒ株式会社製のアイリッヒミキサー、不二パウダル株式会社製のマルメライザー、ペレッターダブル、株式会社ダルトン製のツインドームグラン、ファインディスクペレッター、フロイント産業株式会社製のローラーコンパクター、ターボ工業株式会社製のローラーコンパクター、新東工業株式会社製のブリケッタ、ホソカワミクロン株式会社製のブリケッティングマシン等が挙げられる。これらのうち、粉末洗剤用ビルダー顆粒の溶解性を維持する観点から、ハイスピードミキサー、レディゲミキサー、アイリッヒミキサーが好ましく、アイリッヒミキサーがより好ましい。
【0033】
上記製造法により、本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒が得られる。より具体的な製造方法としては、例えば次の方法が挙げられる。
工程1:A成分、B成分及びC成分を混合させる工程、並びに
工程2:工程1で得られた混合物に水(D成分)を添加して造粒する工程、を含む製造方法。
【0034】
工程1では、A成分、B成分及びC成分を混合させる。工程1での混合温度は特に限定されないが、例えば10〜60℃の範囲が好ましい。さらに、工程1での混合時間は特に限定されないが、例えば1〜10分間の範囲が好ましい。さらに工程1においては、各成分の配合量を次のように特定して混合することが、得られる粉末洗剤用ビルダー顆粒及び粉末洗剤組成物の低温分散性を向上させる観点から、好ましい。(A成分+B成分)と(C成分)の重量比((A+B)/C)を0.9/1〜7.0/1とし(ただし、A成分及びB成分は無水換算である)、且つ(A成分)と(B成分)の無水換算での重量比(A/B)を0.2/1〜0.3/1として混合することがより好ましい。なお、これらの重量比の数値範囲は、<粉末洗剤用ビルダー顆粒>の説明における重量比の数値範囲と同じである。
【0035】
工程2では、工程1で得られた混合物に水(D成分)を添加して造粒する。D成分の添加量としては、造粒に支障を来たさない限り特に限定されないが、例えば、粉末洗剤用ビルダー顆粒の2.0〜10.0重量%が好ましく、3.0〜9.0重量%がより好ましい。D成分の添加形態としては、D成分単独で混合物に添加してもよく、その他の成分の水溶液(例えばバインダー水溶液)として添加してもよい。工程2での混合温度は特に限定されないが、例えば10〜60℃の範囲が好ましい。さらに、工程2での混合時間は特に限定されないが、例えば1〜10分間の範囲が好ましい。
【0036】
工程1及び工程2で用いることができる混合装置としては、上記の攪拌造粒機が好ましい装置として挙げられる。工程1及び工程2で用いられる攪拌造粒機は同一のものであっても、異なっていてもよい。作業効率の観点から、同一の装置で工程1及び工程2を続けて実施することが好ましい。このような工程1及び工程2を実施することによって、本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒を得ることができる。
【0037】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒のブロッキングを抑制する観点から、得られた粉末洗剤用ビルダー顆粒に対してゼオライト等で表面改質を行うことが好ましい。ゼオライトの配合量は、ブロッキング性の観点から、粉末洗剤用ビルダー顆粒100重量部に対して0.5重量部以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、顆粒の流動性の観点から、10重量部以下が好ましく、6重量部以下がより好ましい。顆粒を表面改質するための方法としては、公知の方法を利用することができる。
【0038】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒は、噴霧乾燥法によって製造することもできる。かかる方法としては、先ず、ポンプでの送液が可能な、各成分を含む非硬化性のスラリーを調製する。各成分の添加方法、順序についても状況に応じて適宜選択することができる。スラリーには必要に応じてその他の成分を含むことができる。スラリーを調製する方法としては、例えば、最初に水の全て又は殆ど全てと各成分とを混合槽に加えて混合し、好ましくは水温が操作温度にほぼ到達した後に、他の成分を逐次又は同時に添加する方法が挙げられる。スラリー中に全成分を添加した後に、好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上混合して均質なスラリーを得る。
【0039】
スラリー中のA成分、B成分及びC成分の含有量としては、(A成分+B成分)と(C成分)の重量比((A+B)/C)が0.9/1〜7.0/1であって(ただし、A成分及びB成分は無水換算である)、且つ(A成分)と(B成分)の無水換算での重量比(A/B)が0.2/1〜0.3/1であることを満たすことが好ましい。なお、これらの重量比の数値範囲は、<粉末洗剤用ビルダー顆粒>の説明における重量比の数値範囲と同じである。
【0040】
上記のスラリーを噴霧乾燥して本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒を製造する。乾燥条件の制御については、噴霧された液滴を速く乾燥させる条件、即ち噴霧した直後の液滴周辺の温度を100℃以上とすることが望ましい。但し、乾燥液滴の燃焼防止の観点から、送風温度は、好ましくは400℃以下、より好ましくは350℃以下、更に好ましくは325℃以下、中でも好ましくは300℃以下、より好ましくは275℃以下に制御することが望ましい。
【0041】
噴霧乾燥して得られた粉末洗剤用ビルダー顆粒についても、上記と同様にゼオライト等で表面改質を行ってもよい。
【0042】
<粉末洗剤組成物>
本発明の粉末洗剤組成物は、本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒を含有してなるものである。本発明の洗剤組成物は、本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒以外に、通常、衣料用洗剤等に配合される界面活性剤、ビルダー、酵素、漂白剤、再汚染防止剤、柔軟剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、香料等が配合されたものである。
【0043】
粉末洗剤組成物中の粉末洗剤用ビルダー顆粒の含有量は、洗剤組成物の低温分散性を改善させる観点から、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。また、洗浄性能の観点から、70重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましい。また、粉末洗剤用ビルダー顆粒以外の成分の含有量としては、30〜95重量%が好ましく、40〜90重量%がより好ましい。
【0044】
<粉末洗剤組成物の製造方法>
本発明の粉末洗剤組成物は、予め粉末洗剤用ビルダー顆粒を調製し、洗剤に混合することで調製することができる。本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒を洗剤と混合し、粉末洗剤組成物を調製するために使用する混合機としては、本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒と洗剤顆粒とを均一に混合することができるものであれば種類を問わないが、例えば、水平円筒型、V型等の混合機、攪拌造粒機又は転動造粒機を用いることができる。
【実施例】
【0045】
各成分及び本発明のビルダー顆粒、洗剤組成物等を、別に規定のない限り、以下の方法に従って評価した。
【0046】
1.粉末洗剤用ビルダー顆粒の平均粒径
目開き125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの9段の篩と受け皿とを準備した。受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ね、最上部の2000μmの篩の上から100gの表1の粉末洗剤用ビルダー顆粒を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機(HEIKO製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、5分間振動させた。次いで、それぞれの篩及び受け皿上に残留した顆粒の重量を測定し、各篩上の顆粒の重量割合(%)を算出した。受け皿から順に目開きの小さな篩上の顆粒の重量割合を積算していき、合計が50%となる粒径を平均粒径とした。
【0047】
2.嵩密度
表1の粉末洗剤用ビルダー顆粒及び表2の洗剤の嵩密度は、JIS K 3362(みかけ密度)により測定した。
【0048】
3.水分減少率(水分量)
表1の粉末洗剤用ビルダー顆粒2.5〜3.0gを赤外線水分計(ケット科学研究所製FD-240)により200℃に加熱し、重量が30秒間一定になるまでのトータルの重量減少率を水分減少率とした。
【0049】
4.低温分散性
松下電器産業製社洗濯機「愛妻号NA−F42Y1」のパルセータの6分割された扇状の窪みの1つの外周の近くに表1の粉末洗剤用ビルダー顆粒、表2の洗剤、又は表2の洗剤及び表1の粉末洗剤用ビルダー顆粒を含む洗剤組成物の17.5gを集合状態で置き、これを崩さずに衣料1.5kgを洗濯槽に投入した。粉末洗剤用ビルダー顆粒等に直接水が当らないように10L/minの流量で5℃の水道水21Lを注水し、注水終了後に静置した。注水開始から5分後、弱水流(手洗いモード)で攪拌を開始し、3分間攪拌した後に排水し、衣料及び洗濯槽に残留する粉末洗剤用ビルダー顆粒等の状態を下記の評価基準によって目視判定した。なお、本評価における洗濯機の攪拌力は標準よりも極めて弱く、5℃、5分でI〜IIを良好と判定する評価基準とした。また、下記の「凝集物」とは、粉末洗剤用ビルダー顆粒等が凝集した直径3mm以上の塊をいう。
【0050】
〔評価基準〕
I:凝集物がない。
II:凝集物が殆どない(直径3mm程度の塊が1〜5個認められる)。
III:凝集物が少量残留している(直径6mm程度の塊が認められ、直径3〜10mmの塊が10個以下認められる)。
IV:凝集物が多量に残留している(直径6mmを越える塊が多数認められる)。
【0051】
以下の実施例等で用いた原料を、次に示す。
・ソーダ灰:平均粒径213μmの粒状ソーダ灰(セントラル硝子製)
・芒硝:平均粒径154μmの粒状芒硝(江蘇省南風化工製)
・ベントナイト:平均粒径10.9μm、含水率8.82重量%のベントナイト(浙江省華特実業集団製)
・ポリアクリル酸ソーダ:(花王(株)社製、分子量1万、40重量%水溶液の粘度(B型粘度計(25℃)):350cps)
【0052】
実施例1
アイリッヒミキサー(アイリッヒ製R02-VAC)に、ソーダ灰を15重量部、芒硝を60重量部、ベントナイトを18.8重量部添加し、ローター回転数1420rpm、パン回転数45rpmで1分間混合した。次に40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を6.3重量部、1分間で添加した。その後、造粒を行うため、同条件で10分間攪拌し、粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0053】
実施例2
アイリッヒミキサー(アイリッヒ製R02-VAC)に、ソーダ灰を8.5重量部、芒硝を34重量部、ベントナイトを44重量部添加し、ローター回転数1420rpm、パン回転数45rpmで1分間混合した。次に40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液13.5重量部を1分間で添加した。その後、造粒を行うため、同条件で10分間攪拌し、粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0054】
実施例3
40重量%ポリアクリル酸水溶液の代わりに水を用い、さらに原料の配合割合を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様の手法で粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0055】
実施例4
アイリッヒミキサー(アイリッヒ製R02-VAC)に、ソーダ灰を16重量部、芒硝を65重量部、ベントナイトを12重量部添加し、ローター回転数1420rpm、パン回転数45rpmで1分間混合した。次に40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液7重量部を1分間で添加した。その後、造粒を行うため、同条件で10分間攪拌し、粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0056】
実施例5
実施例1で得られた粉末洗剤用ビルダー顆粒を水分減少率が表1に示される値になるまで、90℃の流動層乾燥機(大河原製作所製スリットフロー)でさらに乾燥(3分間)させた。水分減少率は前記の通り水分計で測定したが、本実施例では、90℃の流動層乾燥機に水分量が約5重量%の顆粒を仕込んで、適当な時間にサンプリングして、水分計で水分減少率をチェックするという手法で所望の水分減少率の顆粒が得られる乾燥時間を決定し、その乾燥時間で実施例1の粉末洗剤用ビルダー顆粒を乾燥して得られた粉末洗剤用ビルダー顆粒を本実施例の粉末洗剤用ビルダー顆粒とした。以下、実施例6及び比較例9〜11における乾燥操作も同様に行った。
【0057】
実施例6
実施例2で得られた粉末洗剤用ビルダー顆粒を、水分減少率が表1に示される値になるまでさらに乾燥させた。
【0058】
実施例7
アイリッヒミキサー(アイリッヒ製R02-VAC)に、ソーダ灰を12.5重量部、芒硝を62.5重量部、ベントナイトを18.7重量部添加し、ローター回転数1420rpm、パン回転数45rpmで1分間混合した。次に40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液6.3重量部を1分間で添加した。その後、造粒を行うため、同条件で10分間攪拌し、粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0059】
実施例8
アイリッヒミキサー(アイリッヒ製R02-VAC)に、ソーダ灰を17重量部、芒硝を58重量部、ベントナイトを18.7重量部添加し、ローター回転数1420rpm、パン回転数45rpmで1分間混合した。次に40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液6.3重量部を1分間で添加した。その後、造粒を行うため、同条件で10分間攪拌し、粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0060】
比較例1
ソーダ灰を74重量部、ベントナイトを18重量部、40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を8重量部とした以外は実施例1と同様の手法で粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0061】
比較例2
ソーダ灰を59重量部、芒硝を15重量部、ベントナイトを19重量部、40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を7重量部とした以外は実施例1と同様の手法で粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0062】
比較例3
ソーダ灰を37重量部、芒硝を37重量部、ベントナイトを19重量部、40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を7重量部とした以外は実施例1と同様の手法で粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0063】
比較例4
芒硝を75重量部、ベントナイトを19重量部、40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を6重量部とした以外は実施例1と同様の手法で粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0064】
比較例5
ソーダ灰を11重量部、芒硝を63重量部、ベントナイトを19重量部、40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を7重量部とした以外は実施例1と同様の手法で粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0065】
比較例6
ソーダ灰を18重量部、芒硝を56重量部、ベントナイトを19重量部、40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を7重量部とした以外は実施例1と同様の手法で粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0066】
比較例7
ソーダ灰19重量部、芒硝76重量部、40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を5重量部とした以外は実施例1と同様の手法で粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0067】
比較例8
ソーダ灰46重量部、芒硝46重量部、40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を8重量部とした以外は実施例1と同様の手法で粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。
【0068】
比較例9
ソーダ灰を16重量部、芒硝を68重量部、ベントナイトを8重量部、40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を8重量部とした以外は実施例1と同様の手法で粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。得られた粉末洗剤用ビルダー顆粒を水分減少率が表1に示される値になるまで乾燥させた。
【0069】
比較例10
比較例3で得られた粉末洗剤用ビルダー顆粒を水分減少率が表1に示される値になるまでさらに乾燥させた。
【0070】
比較例11
ソーダ灰を20重量部、芒硝を68重量部、ベントナイトを5重量部、40重量%ポリアクリル酸ソーダ水溶液を7重量部とした以外は実施例1と同様の手法で粉末洗剤用ビルダー顆粒を得た。得られた粉末洗剤用ビルダー顆粒を水分減少率が表1に示される値になるまで、さらに乾燥させた。
【0071】
試験例1
上記の実施例及び比較例における全ての粉末洗剤用ビルダー顆粒に対して、5℃、5分での低温分散性を試験した。その結果を表1に示す。さらに、粉末洗剤用ビルダー顆粒の原料の配合割合、当該顆粒の物性等も表1に示す。なお、表1のA/B及び(A+B)/Cの表記については、分母を省略して記載した。
【0072】
その結果、実施例1〜8の粉末洗剤用ビルダー顆粒は、比較例1〜11のものに比べて、5℃、5分で良好な低温分散性を示すことが分かった。さらに詳細に検討してみれば、(A+B)/Cの値が0.9/1〜4.5/1の範囲内の例(実施例1〜3、5及び6)は、当該範囲を外れる例(実施例4)よりも、低温分散性がさらに良好であることが分かった。さらに、実施例7及び8と比較例5及び6とを比較したところ、A/Bの値が0.2/1〜0.3/1の範囲内の例では、低温分散性が良好であることが分かった。さらに、A/Bの値が0.24/1〜0.26/1の範囲内の例(実施例1〜3、5及び6)は、当該範囲を外れる例(実施例7及び8)よりも、低温分散性がさらに良好であることが分かった。
【0073】
【表1】

【0074】
試験例2
表2に示す組成の洗剤70重量部に、実施例5、6及び比較例11で得られた粉末洗剤用ビルダー顆粒30重量部を混合した。洗剤のみの低温分散性と粉末洗剤用ビルダー顆粒を混合したものの低温分散性を表3に示す。なお、表2中の洗剤1〜3は、公知の噴霧乾燥法によって製造された顆粒状の洗剤であった。
【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
表3に示されるように、洗剤及び5℃、5分で良好な低温分散性を示した粉末洗剤用ビルダー顆粒を含む洗剤組成物は、洗剤のみや洗剤及び5℃、5分で良好な低温分散性を示さなかった粉末洗剤用ビルダー顆粒を含む洗剤組成物と比較して、良好な低温分散性を示すことが分かった。
【0078】
試験例3
A成分とB成分との配合比率を変えて、ペースト強度を測定した。これより、A/B=0.24/1〜0.26/1がもっとも低いペースト強度を示し、水和結晶の皮膜形成を最も抑制できる事がわかる。
【0079】
なお、ペースト強度は次のようにして測定した。
先ず、内径5.5cm、高さ1.5cmの底の一部を開口される事ができる円筒状のセルに、A成分とB成分とを特定の割合で均一混合した粉体を20g入れ、表面を平らにした。次に、縦17.5cm、横22.5cm、高さ4.5cmのバットを用意し、そのバットに3℃のイオン交換水を1L注いだ。これにセルをゆっくり入れ、セルを2分間水中内で静置した。2分後、セルを取り出し、セル底の一部を開口し、開口した部分の粉体層の硬さをFUDOHレオメーター(株式会社レオテック社製:D型)にてペースト強度として測定した。D型レオメーターでの測定可能なペースト強度は2000gfであり、それ以上は一律に2500gfと表記した。測定結果を表4と図1に示す。
【0080】
【表4】

【0081】
このように、表4及び図1より、A成分とB成分の無水換算での重量比(A/B)が特定の値、具体的には0.2/1〜0.3/1の範囲とすることにより、ペースト強度の顕著な低下が認められた。さらに言えば重量比が0.24/1〜0.26/1の時に、最も低いペースト強度を示す事が認められた。このように、A成分とB成分との重量比を特定の範囲に限定することによって、ペースト強度の顕著な低下が認められたことから、A成分とB成分とをかかる重量比とすることにより、粉末洗剤用ビルダー顆粒や当該顆粒を含む粉末洗剤組成物の低温での分散性が向上することが支持される。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の粉末洗剤用ビルダー顆粒は、衣料用洗剤、食器用洗剤、住居用洗剤、自動車用洗剤、身体用洗剤、歯ミガキ、金属用洗剤への添加剤として利用することができる。さらに本発明の粉末洗剤組成物は、衣料用洗剤、食器用洗剤、住居用洗剤、自動車用洗剤、身体用洗剤、歯ミガキ、金属用洗剤として利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水和結晶を有する及び/又は形成し得る炭酸塩(A成分)、水和結晶を有する及び/又は形成し得る硫酸塩(B成分)、並びに粘土鉱物(C成分)を含んでなる粉末洗剤用ビルダー顆粒であって、(A成分+B成分)と(C成分)の重量比((A+B)/C)が0.9/1〜7.0/1であり(ただし、A成分及びB成分は無水換算である)、且つ(A成分)と(B成分)の無水換算の重量比(A/B)が0.2/1〜0.3/1である、粉末洗剤用ビルダー顆粒。
【請求項2】
工程1:A成分、B成分及びC成分を混合させる工程、並びに
工程2:工程1で得られた混合物に水(D成分)を添加して造粒する工程、
を含む製造方法によって得られ得る、請求項1に記載の粉末洗剤用ビルダー顆粒。
【請求項3】
工程1が、A成分、B成分及びC成分を混合させる工程であって、(A成分+B成分)と(C成分)の重量比((A+B)/C)を0.9/1〜7.0/1とし(ただし、A成分及びB成分は無水換算である)、且つ(A成分)と(B成分)の無水換算での重量比(A/B)を0.2/1〜0.3/1として混合する工程である、請求項2に記載の粉末洗剤用ビルダー顆粒。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末洗剤用ビルダー顆粒を含む粉末洗剤組成物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−248433(P2010−248433A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101805(P2009−101805)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】