説明

粉末混合方法および粉末混合器

【課題】粉末活性炭が水上に浮いてしまうことを抑制し、好適に粉末活性炭を水に混合する。
【解決手段】第1の水流(W1)を混合容器(1)の上部内壁(1a)に沿って旋回しながら落下させ、旋回する第1の水流(W1)の上に粉末活性炭(P)を落下させ、上部内壁(1a)に沿って旋回しながら粉末活性炭(P)を搬送する第1の水流(W1)の上に被せるように第2の水流(W2)を合流させ、合流した水流を混合容器(1)の下部内壁(1b)に沿って旋回させながら落下させて混合する。
【効果】第1の水流と第2の水流の間に粉末活性炭が挟まれ、粉末活性炭が水上に浮いてしまうことを抑制できる。第1の水流と粉末活性炭と第2の水流とが旋回することにより混合されるから、好適に粉末活性炭を水に混合することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末混合方法および粉末混合器に関し、さらに詳しくは、粉末が水上に浮いてしまうことを抑制し、好適に粉末を水に混合することが出来る粉末混合方法および粉末混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流水上に粉末活性炭を落下させながら、落下する粉末活性炭に向けて斜め上から下向きに水を噴射して、粉末活性炭と水とを混合する混合器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−155334号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の混合器では、水上に粉末活性炭を落下させただけでは粉末活性炭が水上に浮いてしまうため、落下する粉末活性炭に向けて水を噴射することにより噴射水で粉末活性炭を押さえ込んでいる。
しかし、粉末活性炭が上から連続して落下してくるため、噴射水で粉末活性炭を完全に押さえ込むことが出来ず、一部の粉末活性炭が水上に浮いてしまう問題点があった。
そこで、本発明の目的は、粉末が水上に浮いてしまうことを抑制し、好適に粉末を水に混合することが出来る粉末混合方法および粉末混合器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、第1の水流を混合容器の上部内壁に沿って旋回しながら落下させる第1のステップと、前記旋回する第1の水流に対して上方から粉末を落下させる第2のステップと、前記上部内壁に沿って旋回しながら前記粉末を搬送する前記第1の水流に対して上方から第2の水流を被せるように合流させる第3のステップと、前記合流した水流を前記混合容器の下部内壁に沿って旋回させながら落下させる第4のステップとを有することを特徴とする粉末混合方法を提供する。
上記第1の観点による粉末混合方法では、第1の水流上に粉末(粉末活性炭や消石灰など)を落下させた後、その上に第2の水流を被せ、第1の水流と第2の水流の間に粉末が挟まれるため、粉末が水上に浮いてしまうことを抑制できる。そして、第1の水流と粉末と第2の水流とが旋回することにより混合されるから、好適に粉末を水に混合することが出来る。
【0005】
第2の観点では、本発明は、水平断面円形の内壁を有する混合容器と、前記混合容器の上部内壁に沿って旋回しながら落下するように前記上部内壁に向けて第1の水流を噴射する第1の給水ノズルと、前記旋回する第1の水流に対して上方から粉末を落下させる粉末注入管と、前記上部内壁に沿って旋回しながら前記粉末を搬送する前記第1の水流に対して上方から第2の水流を被せるように合流させる第2の給水ノズルと、前記合流した水流が旋回しながら落下する前記混合容器の下部内壁とを具備したことを特徴とする粉末混合器を提供する。
上記第2の観点による粉末混合器では、前記第1の観点による粉末混合方法を好適に実施できる。
【0006】
第3の観点では、本発明は、前記第2の観点による粉末混合器において、前記上部内壁が円筒状であり、前記下部内壁は前記上部内壁よりも内径が小さい円筒状であり、それらの中間部は漏斗状になっていることを特徴とする粉末混合器を提供する。
上記第3の観点による粉末混合器では、混合容器の上部で第1の水流と粉末と第2の水流の旋回流を作り、その旋回流を混合容器の下部へ向けて半径を絞り込むことで周速度を高速化し、全体を好適に混合することが出来る。また、構造的に製造し易い。
【0007】
第4の観点では、本発明は、前記第2の観点による粉末混合器において、前記上部内壁から前記下部内壁まで内径が徐々に小さくなる漏斗状であることを特徴とする粉末混合器を提供する。
上記第4の観点による粉末混合器では、混合容器の上部で第1の水流と粉末と第2の水流の旋回流を作り、その旋回流を混合容器の下部へ向けて半径を絞り込むことで周速度を高速化し、全体を好適に混合することが出来る。また、内壁に粉末が付着・堆積し難い。
【0008】
第5の観点では、本発明は、前記第2の観点による粉末混合器において、前記上部内壁が下方へ向けて内径が徐々に小さくなる漏斗状であり且つ前記下部内壁は円筒状であることを特徴とする粉末混合器を提供する。
上記第5の観点による粉末混合器では、混合容器の上部で第1の水流と粉末と第2の水流の旋回流を作り、その旋回流を混合容器の下部へ向けて半径を絞り込むことで周速度を高速化し、全体を好適に混合することが出来る。また、構造的に製造しやすい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粉末混合器によれば、粉末が水上に浮いてしまうことを抑制し、好適に粉末を水に混合することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係る粉末活性炭混合器100の縦断面図である。また、図2は、同上面図である。
この粉末活性炭混合器100は、上部内壁1aが円筒状であり且つ下部内壁1bは上部内壁1aよりも内径が小さい円筒状であり且つそれらの中間部1cは漏斗状になっている混合容器1と、混合容器1の上部内壁1aに沿って旋回しながら落下するように上部内壁1aに向けて第1の水流(図3のW1)を噴射する第1の給水ノズル2と、旋回する第1の水流(図3のW1)に対して上方から粉末活性炭(図3のP)を落下させる粉末活性炭注入管3と、上部内壁1aに沿って旋回しながら粉末活性炭Pを搬送する第1の水流(図3のW1)に対して上方から第2の水流(図3のW2)を合流させる第2の給水ノズル4とを具備している。
【0012】
図3および図4に示すように、第1の給水ノズル2から上部内壁1aに向けて第1の水流W1を噴射すると、第1の水流W1は上部内壁1aに沿って旋回しながら落下する。その旋回しながら落下する第1の水流W1上に粉末活性炭注入管3から粉末活性炭Pを落下させると、第1の水流W1が粉末活性炭Pを乗せて上部内壁1aに沿って旋回しながら落下する。
図5に示すように、第2の給水ノズル4から上部内壁1aに向けて第2の水流W2を噴射すると、粉末活性炭Pを乗せて旋回しながら落下する第1の水流W1上の粉末活性炭Pの上に第2の水流W2が被さり(そうなるように配置してある)、第1の水流W1と第2の水流W2の間に粉末活性炭Pが挟まれる。
そして、第1の水流W1と粉末活性炭Pと第2の水流W2とが中間部1cや下部内壁1bに沿って高速周速度で旋回することにより、好適に粉末活性炭Pを水に混合することが出来る。
【0013】
なお、粉末活性炭混合器100は浄水施設における着水井の上方に設置されており、粉末活性炭Pと水の混合流は着水井の注入点に放出される。
【0014】
実施例1の粉末活性炭混合器100によれば、粉末活性炭Pが水上に浮いてしまうことを抑制し、好適に粉末活性炭Pを水に混合することが出来る。また、製造し易い構造の混合容器1になっている。
【実施例2】
【0015】
図6は、実施例2に係る粉末活性炭混合器200の縦断面図である。また、図7は、同上面図である。
この粉末活性炭混合器200では、上部内壁1aから下部内壁1bまで内径が徐々に小さくなる漏斗状の混合容器1を用いている。他の構成は実施例1と同様である。
【0016】
実施例2の粉末活性炭混合器200によれば、粉末活性炭Pが水上に浮いてしまうことを抑制し、好適に粉末活性炭Pを水に混合することが出来る。また、粉末活性炭Pが付着・堆積し難い構造の混合容器1になっている。
【実施例3】
【0017】
図8は、実施例3に係る粉末活性炭混合器300の縦断面図である。また、図9は、同上面図である。
この粉末活性炭混合器300では、上部内壁1aは下方へ向けて内径が徐々に小さくなる漏斗状になっており且つ下部内壁1bは円筒状になっている混合容器1を用いている。他の構成は実施例1と同様である。
【0018】
実施例3の粉末活性炭混合器300によれば、粉末活性炭Pが水上に浮いてしまうことを抑制し、好適に粉末活性炭Pを水に混合することが出来る。また、構造的に製造しやすい。
【実施例4】
【0019】
第2の水流を被せた旋回流にさらに第3の水流を被せる第3の給水ノズルを設けてもよい。
同様に、さらに水流を被せる第4の給水ノズル等を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の粉末混合器は、例えば浄水施設で粉末活性炭や消石灰を水に混合するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1に係る粉末活性炭混合器を示す縦断面図である。
【図2】実施例1に係る粉末活性炭混合器を示す上面図である。
【図3】実施例1に係る第1の水流と粉末活性炭と第2の水流とを示す説明図である。
【図4】実施例1に係る第1の水流と粉末活性炭とを示す説明図である。
【図5】実施例1に係る第1の水流と粉末活性炭と第2の水流とを示す説明図である。
【図6】実施例2に係る粉末活性炭混合器を示す縦断面図である。
【図7】実施例2に係る粉末活性炭混合器を示す上面図である。
【図8】実施例3に係る粉末活性炭混合器を示す縦断面図である。
【図9】実施例3に係る粉末活性炭混合器を示す上面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 混合容器
1a 上部内壁
1b 下部内壁
1c 中間部
2 第1の給水ノズル
3 粉末活性炭注入管
4 第2の給水ノズル
100,200 粉末活性炭混合器
P 粉末活性炭
W1 第1の水流
W2 第2の水流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の水流を混合容器の上部内壁に沿って旋回しながら落下させる第1のステップと、前記旋回する第1の水流に対して上方から粉末を落下させる第2のステップと、前記上部内壁に沿って旋回しながら前記粉末を搬送する前記第1の水流に対して上方から第2の水流を被せるように合流させる第3のステップと、前記合流した水流を前記混合容器の下部内壁に沿って旋回させながら落下させる第4のステップとを有することを特徴とする粉末混合方法。
【請求項2】
水平断面円形の内壁を有する混合容器と、前記混合容器の上部内壁に沿って旋回しながら落下するように前記上部内壁に向けて第1の水流を噴射する第1の給水ノズルと、前記旋回する第1の水流に対して上方から粉末を落下させる粉末注入管と、前記上部内壁に沿って旋回しながら前記粉末を搬送する前記第1の水流に対して上方から第2の水流を被せるように合流させる第2の給水ノズルと、前記合流した水流が旋回しながら落下する前記混合容器の下部内壁とを具備したことを特徴とする粉末混合器。
【請求項3】
請求項2に記載の粉末混合器において、前記上部内壁が円筒状であり、前記下部内壁は前記上部内壁よりも内径が小さい円筒状であり、それらの中間部は漏斗状になっていることを特徴とする粉末混合器。
【請求項4】
請求項2に記載の粉末混合器において、前記上部内壁から前記下部内壁まで内径が徐々に小さくなる漏斗状であることを特徴とする粉末混合器。
【請求項5】
請求項2に記載の粉末混合器において、前記上部内壁が下方へ向けて内径が徐々に小さくなる漏斗状であり且つ前記下部内壁は円筒状であることを特徴とする粉末混合器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−119600(P2008−119600A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306435(P2006−306435)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000193508)水道機工株式会社 (50)
【Fターム(参考)】