説明

粉末状内容物の投入装置

【課題】粉末状内容物の溶解槽への投入時における粉末の飛散を抑制し、装置内部の衛生を向上させることができるとともに、飛散した粉末が外部へ漏れて周囲の作業環境が悪化してしまうのを防止することができる粉末状内容物の投入装置を提供する。
【解決手段】開封されて吐出口Haが形成された袋体H内の粉末状内容物を溶解槽11内に投入するための粉末状内容物の投入装置において、袋体Hを保持しつつ上下を反転させ、吐出口Haを下方に向かせる反転手段(保持部8及び反転部7)と、該反転手段にて反転された袋体Hの吐出口Haからの粉末状内容物の投入量を抑制する押圧手段9bとを具備したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封されて吐出口が形成された袋体内の粉末状内容物を溶解槽内に投入するための粉末状内容物の投入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院等で腎不全患者の治療に使用される透析液(バイカーボネイト透析液)は、一般に、各種電解質、ブドウ糖、PH調製剤等の重炭酸ソーダ以外の複数成分から成るA剤と、重炭酸ソーダを含むB剤との2種類の薬剤(透析用薬剤)に水を混合して調整されるものが挙げられる。近年、運搬性向上の観点から、これらA剤及びB剤を粉末化(顆粒状も含む)したもの(以下、透析用粉末薬剤という。)を透析前に溶解してそれぞれの濃厚液(透析用原液という)を作製し、これらを混合して所定濃度の透析液を調製するものが主流となっている。各透析用原液を得るには、透析用粉末薬剤を溶解するための溶解装置が用いられている。
【0003】
ところで、容器に透析用粉末薬剤(粉末状内容物)を収容しておき、透析用原液の作製時、当該袋体の一部を切除して開封するとともに、溶解装置の溶解槽に投入する粉末状内容物の投入装置が従来より提案されている(例えば特許文献1参照)。かかる従来の粉末状内容物の投入装置は、開封した容器を保持手段にて保持させた後、吐出口(開封箇所)が下方へ向くまで傾斜させ、その下方に配設された溶解槽内に透析用粉末薬剤を投入するよう構成されていた。
【特許文献1】特開2001−355975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の粉末状内容物の投入装置においては、単に容器を傾斜させて吐出口を下方に向かせることにより、当該容器内の透析用粉末薬剤を溶解槽に投入しているため、透析用粉末薬剤が勢いよく落下して、多くの粉末が飛散してしまうという不具合があった。従って、飛散した粉末が装置内の種々構成要素に付着してしまって衛生上好ましくないという問題や装置外部に漏れた場合、周囲の作業環境が悪化してしまうという問題がある。
【0005】
一方、上記従来のものにおいても、外気侵入防止のためのエアーカーテンやエアフィルタを具備しているため、飛散した粉末が装置外部に漏れてしまうのをある程度抑制できると考えられるものの、粉末の飛散自体を抑制することができないことから、上記問題を解決するには不十分であった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、粉末状内容物の溶解槽への投入時における粉末の飛散を抑制し、装置内部の衛生を向上させることができるとともに、飛散した粉末が外部へ漏れて周囲の作業環境が悪化してしまうのを防止することができる粉末状内容物の投入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、開封されて吐出口が形成された袋体内の粉末状内容物を溶解槽内に投入するための粉末状内容物の投入装置において、前記袋体を保持しつつ上下を反転させ、前記吐出口を下方に向かせる反転手段と、該反転手段にて反転された袋体の吐出口からの粉末状内容物の投入量を抑制する抑制手段とを具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の粉末状内容物の投入装置において、前記抑制手段は、前記反転手段に配設されて前記袋体と共に反転することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の粉末状内容物の投入装置において、前記抑制手段は、袋体における吐出口近傍を押圧することにより当該吐出口からの吐出量を抑制する押圧手段から成ることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の粉末状内容物の投入装置において、前記抑制手段は、上下反転した袋体の吐出口を塞いだ位置と離間した位置との間で揺動する受け部を具備するとともに、当該受け部にて吐出された粉末状内容物を受け、前記溶解槽への投入量を抑制することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の粉末状内容物の投入装置において、前記溶解槽は、シャワー状に液体を噴出して前記袋体の吐出口より下方で水膜を形成し得る噴出手段を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、抑制手段により袋体の吐出口からの粉末状内容物の投入量を抑制することができるので、粉末状内容物の溶解槽への投入時における粉末の飛散を抑制し、装置内部の衛生を向上させることができるとともに、飛散した粉末が外部へ漏れて周囲の作業環境が悪化してしまうのを防止することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、抑制手段が反転手段に配設されて袋体と共に反転するので、当該袋体が反転する過程において粉末状内容物の投入量の抑制動作を行わせることができ、粉末状内容物のスムーズで且つ素早い投入を行わせることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、抑制手段は、袋体における吐出口近傍を押圧することにより当該吐出口からの吐出量を抑制する押圧手段から成るので、粉末状内容物の投入量を確実に減少させることができ、粉末の飛散を抑制できるとともに、袋体や粉末状内容物の種類に応じて押圧を調整することにより適切な吐出量とすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、抑制手段は、上下反転した袋体の吐出口を塞いだ位置と離間した位置との間で揺動する受け部を具備するとともに、当該受け部にて吐出された粉末状内容物を受け、溶解槽への投入量を抑制するので、例えば吐出口に樹脂等から成るスパウトが形成された袋体であっても、確実に粉末の飛散を抑制することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、溶解槽は、シャワー状に液体を噴出して袋体の吐出口より下方で水膜を形成し得る噴出手段を具備したので、粉末状内容物の溶解槽への投入時における粉末の飛散を更に確実に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る粉末状内容物の投入装置は、開封されて吐出口が形成された袋体内の粉末状内容物を溶解槽内に投入するためのものであり、図1に示すように、袋体搬送装置1で送り出された袋体を順次受け取って、開封後、内容物を溶解装置3に投入し得るよう構成されている。ここで、袋体は、可撓性の袋状部材(軟質のビニール材等)の内部に透析用薬剤(粉末状及び液体状のもの含む)を所定量収容して密封したものとされる。尚、同図においてはA剤或いはB剤の何れかの透析用薬剤における各種装置を示しており、他の透析用薬剤についても同様な装置が必要である。
【0018】
袋体搬送装置1は、図2に示すように、パレット状の複数の載置手段4と、取出位置Aに配設されたプッシャ等から成る取出手段6とから主に構成されている。載置手段4は、各袋体Hを載置し得るとともに上流側から順次取出位置Aまで移動し得るものであり、各々の下部が環状に懸架されたチェーン5により連結され、搬送経路に沿って移動し得るよう構成されている。
【0019】
即ち、不図示のモータ等を駆動させてチェーン5を回動させると、載置手段4が搬送方向に沿って移動するので、上流側で開封前の袋体Hを載置手段4に載置させれば、取出位置Aまで搬送されるのである。各載置手段4には、袋体Hを載置面上に保持する立壁部4aが形成されている。尚、チェーン5に代えて各載置手段4を連結して移動させ得るベルト等としてもよい。
【0020】
取出手段6は、図示しない駆動源により搬送方向に対して略垂直方向に移動することにより、取出位置Aにある載置手段4上の袋体Hを搬送経路から外れた位置Bまで移動させ得るものである。このような袋体搬送装置1によれば、開封前の袋体Hを粉末状内容物の投入装置2まで送り出すことができ、複数の袋体Hの収容、袋体Hの順次送り出し、粉末状内容物の投入といった一連の動作を自動的に行わせることができる。尚、上記の如き取出手段6に代えて、他の手段(持ち上げて移載するもの等)としてもよい。
【0021】
ここで、粉末状内容物の投入装置2は、図3及び図4に示すように、上記袋体搬送装置1から受け取った袋体Hを保持する保持部8と、該保持部8に連結された反転部7と、押圧手段9b及び該押圧手段9bを駆動する駆動源9aを有した抑制手段9と、袋体Hの上部を切除して開封する刃具10とから主に構成されており、袋体H内部に収容された粉末状内容物(透析用薬剤)を溶解装置3の溶解槽11(図6参照)に投入するためのものである。尚、保持部8と反転部7とは本発明の反転手段を構成している。
【0022】
保持部8に保持された袋体Hは、図3の状態で上部が刃具10にて切除され、粉末状内容物を吐出し得る吐出口Ha(図5参照)が形成されるようになっている。反転部7は、モータMの駆動により回転軸Lを中心に保持部8と共に回転し得るもので、かかる回転動作により袋体Hの上下を反転させ、吐出口Haを水平方向より下方に向かせ得るよう構成されている。
【0023】
押圧手段9bは、図5に示すように、駆動源9aの駆動で袋体Hに対して進退するロッド9cの先端に形成されたもので、当該袋体Hにおける吐出口Ha近傍(吐出口Haより所定寸法下方の位置)を押圧することにより当該吐出口Haからの吐出量を抑制し得るよう構成されている。即ち、押圧手段9bで吐出口Ha近傍を押圧した状態でモータMを駆動させ、図6に示すように、袋体Hを上下反転させれば、粉末状内容物が溶解槽11に勢いよく吐出されてしまうのを回避し、適切な吐出量とすることができるのである。
【0024】
溶解装置3は、図6に示すように、内部にフロートスイッチf1が配設されるとともに水供給源(不図示)と連結された溶解槽11と、該溶解槽11より下方に配設されるとともに、内部にフロートスイッチf2が配設された貯槽14とから主に構成されている。溶解槽11と貯槽14とは配管L2を介して連結されており、配管L2の途中には、電磁弁Vが接続されている。
【0025】
更に、溶解槽11の底面からは、当該溶解槽11の上部(少なくともフロートスイッチf1より上方の位置)まで延びる配管L1が形成されており、当該配管L1の途中にはポンプ12が配設されている。そして、ポンプ12を駆動させると、溶解槽11内の水(溶解過程の液体含む)が配管L1を介して当該溶解槽11の上部まで汲み上げられ、そこから吐出することにより循環し得るよう構成されている。
【0026】
然るに、配管L1における溶解槽11上部との接続位置には、当該配管L1にて循環する液体をシャワー状に噴出して袋体Hの吐出口Haより下方で水膜を形成し得るノズル13(噴出手段)が配設されている。即ち、ノズル13がシャワー状に液体を噴出することにより、溶解槽11の液面と吐出口Haとの間に所謂ウォーターカーテン(水膜)を形成し、袋体Hから吐出される粉末状内容物がウォーターカーテンを通過して落下するよう構成されているのである。
【0027】
しかして、溶解槽11内の水(溶解過程の液体含む)は、ウォーターカーテン(水膜)を形成しつつ配管L1を介して循環し、略均一濃度に溶解されて透析用原液となるとともに、電磁弁Vを開くことにより、調製された透析用原液が下方の貯槽14に落下して収容されることとなる。その後、排出ラインL3を介して逐次透析装置側へ排出されることとなる。尚、溶解槽11内に撹拌手段(不図示)を具備させ、当該撹拌手段によって溶解を促進するよう構成するのが好ましい。
【0028】
次に、上記粉末状内容物の投入装置2及び溶解装置3における作用について説明する。
袋体搬送装置1から順次送り出された開封前の袋体Hは、保持部8にて保持されつつ、その上部が刃具10で切除されて吐出口Haが形成される。そして、駆動源9aを駆動し、押圧手段9bで吐出口Ha近傍を押圧し、その状態でモータMを駆動させる。これにより、保持部8と共に反転部7が回転するので、当該保持部8にて保持された袋体Hの上下が反転され、吐出口Haが下方に向くこととなる。
【0029】
一方、溶解槽11内に水供給源から溶解用の水を供給し、フロートスイッチf1の検出により所定量の水(1つの袋体H内に収容された透析用薬剤を溶解すべき容量の水)を収容しておく。このとき、電磁弁Vは閉じた状態とされている。そして、ポンプ12を駆動させると、溶解槽11内の水は、配管L1を介してフロートスイッチf1より上部へ汲み上げられ、ノズル13から噴出されるとともに、当該噴出によりウォーターカーテン(水膜)を形成する。
【0030】
よって、吐出口Haから吐出される粉末状内容物は、押圧手段9bにて吐出口Ha近傍が押圧されて当該吐出口Haが狭くなっていることから、粉末状内容物が溶解槽11に勢いよく吐出されてしまうのを回避し、適切な吐出量とすることができるとともに、ウォーターカーテン(水膜)を通過する過程で落下速度が更に抑えられることとなる。従って、粉末状内容物の溶解槽11への投入時における粉末の飛散を更に確実に抑制することができる。尚、粉末状内容物の投入過程で、駆動源9aを駆動させて押圧手段9bを袋体Hから徐々に後退させることにより、投入開始時は粉末状内容物の投入量を抑制し、且つ、投入終了間際では投入量を抑制しない構成としてもよい。
【0031】
その後、袋体H内の粉末状内容物が全て溶解槽11に投入され、水と溶解して略均一な濃度の透析用原液となった時点でポンプ12を停止させる。これにより、溶解槽11内には、所定の濃度に調製された透析用原液が収容されることとなるので、電磁弁Vを開いて貯槽14側に当該透析用原液を落下して収容させることができる。尚、袋体H内の粉末状内容物が全て溶解槽11に投入された時点で、モータMを再び駆動させて反転部7及び保持部8を初期状態(反転前の状態)に戻した後、押圧手段9bによる押圧を解除し、図示しない取り出し手段によって空の袋体Hが保持部8から取り出されることとなる。そして、袋体搬送装置1にて次に送られる開封前の袋体Hが保持部8に保持され、上記と同様の作用がなされることとなる。
【0032】
上記実施形態によれば、抑制手段としての押圧手段9bが袋体Hの吐出口Ha近傍を押圧して粉末状内容物の投入量を抑制することができるので、粉末状内容物の溶解槽11への投入時における粉末の飛散を抑制し、装置内部の衛生を向上させることができるとともに、飛散した粉末が外部へ漏れて周囲の作業環境が悪化してしまうのを防止することができる。
【0033】
また、抑制手段は、袋体Hにおける吐出口Ha近傍を押圧することにより当該吐出口Haからの吐出量を抑制する押圧手段9bから成るので、粉末状内容物の投入量を確実に減少させることができ、粉末の飛散を抑制できるとともに、袋体Hや粉末状内容物の種類に応じて押圧を調整することにより適切な吐出量とすることができる。更に、抑制手段(押圧手段9b及び駆動源9a)が反転部7に配設されて袋体Hと共に反転するので、当該袋体Hが反転する過程において粉末状内容物の投入量の抑制動作を行わせることができ、粉末状内容物のスムーズで且つ素早い投入を行わせることができる。
【0034】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る粉末状内容物の投入装置は、第1の実施形態と同様、開封されて吐出口が形成された袋体内の粉末状内容物を溶解槽内に投入するためのものであり、図7に示すように、袋体Hを保持する保持部及び該保持部と連結されつつ回転軸Lを中心に回転可能な反転部から成る反転手段15と、抑制手段としての受け部16bとから主に構成されている。尚、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0035】
ここで、本実施形態で適用される袋体H’は、図8に示すように、自立可能とされた可撓性の袋状部材(軟質のビニール材等)に内容物吐出用の吐出口H’a(スパウト)が形成されたものから成る。袋体H’は、その袋状部材内部に内容物として粉末状の透析用薬剤(粉末状内容物)が所定量収容されており、その上部に固着された吐出口H’aから当該内容物を吐出可能とされているのである。
【0036】
かかる吐出口H’a(スパウト)は、比較的硬質な樹脂成形品等から成るものであり、その上部開口には、内容物が溢れないようフィルムH’bが貼着されているため、袋体H’内部が密封状態となっている。然るに、本実施形態に係る粉末状内容物の投入装置には、フィルムH’bを切除して開封するための刃具(不図示)が形成されている。
【0037】
反転手段15には、回転軸16aが設けられており、かかる回転軸16aを中心として受け部16bが揺動可能とされている。即ち、図7に示すように、受け部16bは、反転手段15にて上下反転された袋体H’の吐出口H’aを塞いだ位置(実線で示した位置)と離間した位置(二点鎖線で示した位置)との間で揺動し、塞いだ位置にあるとき吐出口H’aを覆うことにより吐出された粉末状内容物を受け、溶解槽11への投入量を抑制し得るよう構成されているのである。
【0038】
尚、受け部16bと吐出口H’aとの間にはクリアランスsが形成され、当該吐出口H’aが完全には塞がれないよう構成されているが、かかるクリアランスsは極めて微小寸法であるため、投入される粉末状内容物の投入量は抑制されることとなる。また、粉末状内容物の投入が終了に近づいて落下する粉末状内容物の量が少なくなった際、揺動軸16aを中心に受け部16bを徐々に揺動させるよう構成するのが好ましい。勿論、受け部16bを吐出口H’aに当接させて完全に塞いでしまった後、揺動軸16aを中心に徐々に揺動させるよう構成してもよい。
【0039】
従って、第1の実施形態の如く、溶解槽11内に所定量の水(1つの袋体H’内に収容された透析用薬剤を溶解すべき容量の水)を収容させておき、袋体H’から粉末状内容物を投入することにより、粉末状内容物(透析用薬剤)がノズル13にて形成されるウォーターカーテン(水膜)を通過した後、水と混合することとなる。しかして、溶解槽11内の水(溶解過程の液体含む)は、ウォーターカーテン(水膜)を形成しつつ配管L1を介して循環し、略均一濃度に溶解されて透析用原液となるとともに、電磁弁Vを開くことにより、調製された透析用原液が下方の貯槽14に落下して収容されることとなる。その後、排出ラインL3を介して逐次透析装置側へ排出されることとなる。
【0040】
本実施形態によれば、抑制手段が上下反転した袋体H’の吐出口H’aを塞いだ位置と離間した位置との間で揺動する受け部16bを具備するとともに、当該受け部16bにて吐出された粉末状内容物を受け、溶解槽11への投入量を抑制するので、図8に示すような樹脂等から成るスパウトが形成された袋体H’であっても、確実に粉末の飛散を抑制することができる。
【0041】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば袋体を保持しつつ上下を反転させる反転手段と、吐出口からの粉末状内容物の投入量を抑制する抑制手段とが別体とされたものであってもよい。また、袋体は、可撓性を有して粉末状内容物を収容し得るものであれば如何なる形態(形状及び材質等)のものであってもよい。
【0042】
更に、本実施形態においては、袋体搬送装置1がチェーンやベルトにて複数の載置手段を移動させ取出位置まで搬送するものであるが、これに代えて例えばベルトコンベアや回転テーブル等他の汎用的な搬送装置としてもよい。袋体搬送装置1による袋体の収容が不要な場合は、作業者が直接保持手段に袋体を保持させるよう構成してもよい。袋体に収容される内容物は、本実施形態の如き透析用薬剤に代えて、他の粉末状内容物であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
袋体を保持しつつ上下を反転させ、吐出口を下方に向かせる反転手段と、該反転手段にて反転された袋体の吐出口からの粉末状内容物の投入量を抑制する抑制手段とを具備した粉末状内容物の投入装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態(第1及び第2の実施形態共通)に係る粉末状内容物の投入装置、袋体搬送装置及びそれに適用される溶解装置を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態に適用された袋体搬送装置を示すための(a)平面図(b)正面図
【図3】第1の実施形態に係る粉末状内容物の投入装置を示す正面模式図
【図4】同粉末状内容物の投入装置を示す上面模式図
【図5】同粉末状内容物の投入装置(押圧手段にて押圧した状態)を示す正面模式図
【図6】同粉末状内容物の投入装置(反転手段にて袋体を反転させた状態)及び溶解装置を示す全体模式図
【図7】第2の実施形態に係る粉末状内容物の投入装置(反転手段にて袋体を反転させた状態)及び溶解装置を示す全体模式図
【図8】同粉末状内容物の投入装置で適用される袋体を示す(a)上面図(b)正面図
【符号の説明】
【0045】
1 袋体搬送装置
2 粉体内容物の投入装置
3 溶解装置
4 載置手段
5 チェーン
6 取出手段
7 反転部(反転手段)
8 保持部(反転手段)
9 抑制手段
9a 駆動源
9b 押圧手段
10 刃具
11 溶解槽
12 ポンプ
13 ノズル(噴出手段)
14 貯槽
15 反転手段
16 抑制手段
16b 受け部
H、H’ 袋体
Ha、H’a 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開封されて吐出口が形成された袋体内の粉末状内容物を溶解槽内に投入するための粉末状内容物の投入装置において、
前記袋体を保持しつつ上下を反転させ、前記吐出口を下方に向かせる反転手段と、
該反転手段にて反転された袋体の吐出口からの粉末状内容物の投入量を抑制する抑制手段と、
を具備したことを特徴とする粉末状内容物の投入装置。
【請求項2】
前記抑制手段は、前記反転手段に配設されて前記袋体と共に反転することを特徴とする請求項1記載の粉末状内容物の投入装置。
【請求項3】
前記抑制手段は、袋体における吐出口近傍を押圧することにより当該吐出口からの吐出量を抑制する押圧手段から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の粉末状内容物の投入装置。
【請求項4】
前記抑制手段は、上下反転した袋体の吐出口を塞いだ位置と離間した位置との間で揺動する受け部を具備するとともに、当該受け部にて吐出された粉末状内容物を受け、前記溶解槽への投入量を抑制することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の粉末状内容物の投入装置。
【請求項5】
前記溶解槽は、シャワー状に液体を噴出して前記袋体の吐出口より下方で水膜を形成し得る噴出手段を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の粉末状内容物の投入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−18373(P2008−18373A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193891(P2006−193891)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】