説明

粉砕機

【課題】 光ファイバを粒径の均一な粉末にすることができる粉砕機を提供する。
【解決手段】 粉砕槽1と、ロータ2とを備え、前記粉砕槽1は、円板状の底面11と、該底面11の周囲に立設された側壁12と、前記底面11に形成された排出孔13とを有し、前記ロータ2は、略円柱形状であり、前記底面11上を転動するものであって、外周面には円周方向に沿った三角波形状の凹凸部21が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを粉砕して粉末状にする粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速通信網の発達に伴って光ファイバケーブルの使用量が増加しており、今後は耐用年数を経た廃光ファイバケーブルも増加する見通しである。そこで、廃光ファイバケーブルを資源として有効にリサイクルすることが求められている。
【0003】
光ファイバケーブルには種々の構造のものがあるが、一例として、図3にスロット型光ファイバケーブルの断面図を示す。このケーブルは、断面円形で樹脂製のスロット101を有し、スロット101の中心には鋼線からなるテンションメンバ102が通っている。スロット101の外周面には溝103が形成され、この溝103に光ファイバFの束が収容されている。そしてスロット101の外周には不織布104が巻かれ、さらにその外周は樹脂製のシース105で被覆されている。
【0004】
リサイクルに際しては、ケーブルを素材ごとに分離・分別する必要がある。各素材のなかでも、とくに光ファイバは純度の高いガラスからなり価値が高く、たとえば特許文献1において、ケーブルから光ファイバを回収する方法が提案されている。また、回収した光ファイバのリサイクル方法については、たとえば特許文献2において、光ファイバからシリコンを製造する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−182863号公報
【特許文献2】特開2009−84094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ケーブルから回収した光ファイバを再資源化する場合、粉末状にすると利用しやすく、たとえば特許文献2においては、乳鉢で光ファイバを粉砕している。しかし、光ファイバがごく少量であれば乳鉢で処理することも可能であるが、大量の光ファイバを処理するには、粉砕機による機械処理が必要である。ところが、光ファイバを従来の一般的な粉砕機(たとえば、回転するロータの重みで原料を粉砕するフレットミルなど)で粉砕しようとすると、熱により塊状となってしまい、粒径の均一な粉末にすることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、光ファイバを粒径の均一な粉末にすることができる粉砕機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粉砕槽と、ロータとを備え、前記粉砕槽は、円板状の底面と、該底面の周囲に立設された側壁と、前記底面に形成された排出孔とを有し、前記ロータは、略円柱形状であり、前記底面上を転動するものであって、外周面には円周方向に沿った三角波形状の凹凸部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロータの外周面に凹凸部が形成されているから、ロータと粉砕槽の底面との接触面積が小さい。よって、摩擦が小さいため温度が上昇しにくく、また放熱しやすいので、光ファイバが熱により塊状となることを防ぐことができる。さらに、三角波形状の凹凸部のエッジにより光ファイバが寸断され、粒径の均一な粉末になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は本発明の粉砕機の平面図、(b)は側面図。
【図2】(a)はロータの中心軸断面図、(b)は正面図。
【図3】スロット型光ファイバケーブルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の粉砕機の具体的な構成について、各図面に基づいて説明する。この粉砕機は、図1に示すように、粉砕槽1と、ロータ2とを備える。粉砕槽1は、円盤状の底面11と、底面11の周囲に立設した側壁12とを有する有底円筒形状であり、底面11の周縁部の一箇所には排出孔13が形成されている。排出孔13の下側には筒状の排出路14が取り付けられており、その下方に回収箱(図示省略)を設置して、排出される光ファイバを回収する。また、粉砕槽1の上部には蓋15が取り付けられており、開口部を塞いでいる(図1(a)は蓋15を取り外した状態である)。蓋15には、粉砕槽1内に光ファイバを投入するための、漏斗形の投入口16が設けられている。そして、底面11の中心を主軸3が上下に貫通しており、主軸3の上端には略立方体形状の基部4が取り付けられている。さらに、基部4の各側面(四面)には、ロータ2が取り付けられている。ロータ2は、図2(a)に示すように、基部4に固定され基部4の側面から水平方向に延びるロータ軸22と、略円筒形状でロータ軸22にベアリング23を介して外挿されたロータ外殻24からなり、ロータ外殻24はロータ軸22に対して回転自在であって、粉砕槽1の底面11に接地している。各ロータ外殻24の外周面(接地面)には、凹凸部21が形成されている。凹凸部21は、図2(b)に示すように、ロータ外殻24の円周方向に沿った三角波形状をしている。また、粉砕槽1は略立方体形状に組んだ枠体5の上に載置されており、枠体5にはモータ6およびギアボックス7が取り付けられていて、モータ6の回転軸がギアボックス7を介して主軸3と接続されている。さらに、主軸3はギアボックス7の下方まで延びており、その下端にはバネ受部8が取り付けられている。バネ受部8は、主軸3の下端面に固定された内側部材81と、内側部材81の外周に取り付けられた外側部材82からなり、外側部材82は内側部材81に対して、垂直方向に固定されかつ垂直軸周りに回転自在である。そして、ギアボックス7と外側部材82との間に、主軸3に外挿してバネ9が取り付けられている。バネ9は外側部材82を下向きに付勢するので、主軸3にも下向きの付勢力が働き、ロータ2が粉砕槽1の底面11に押さえつけられる。なお、枠体5の下部にはキャスター51が取り付けられており、粉砕機は移動自在となっている。
【0012】
このように構成した粉砕機は、モータを駆動することで主軸が回転し、それに伴って各ロータが底面上を円周方向に転動する。そしてこの粉砕機に光ファイバを投入すると、ロータが光ファイバを粉砕し、粉末状になって排出孔から排出される。この際、ロータの転動面に凹凸部が形成されているから、ロータと粉砕槽の底面との接触面積が小さい。よって、摩擦が小さいため温度が上昇しにくく、また放熱しやすいので、光ファイバが熱により塊状となることを防ぐことができる。さらに、三角波形状の凹凸部のエッジにより光ファイバが寸断され、粒径の均一な粉末になる。
【0013】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、ロータの数は四本に限られず、基部に対して点対称に二本設けたものであってもよいし、さらに増減させたものであってもよい。また、ロータを粉砕槽の底面に対して押さえつける機構としては、バネの弾性力を利用するもののほか、油圧や空気圧を利用するものであってもよい。さらに、主軸を回転させる機構はどのようなものであってもよく、たとえばモータの回転軸を主軸と同軸上に設けて、回転軸と主軸を直結してもよい。
【符号の説明】
【0014】
1 粉砕槽
2 ロータ
11 底面
12 側壁
13 排出孔
21 凹凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕槽(1)と、ロータ(2)とを備え、
前記粉砕槽(1)は、円板状の底面(11)と、該底面(11)の周囲に立設された側壁(12)と、前記底面(11)に形成された排出孔(13)とを有し、
前記ロータ(2)は、略円柱形状であり、前記底面(11)上を転動するものであって、外周面には円周方向に沿った三角波形状の凹凸部(21)が形成されていることを特徴とする粉砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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