説明

粉粒体供給システム

【課題】成形機に供給される粉粒体の乾燥状態に起因する物性を一定に保つことができる、粉粒体供給システムを提供する。
【解決手段】この粉粒体供給システム1によれば、乾燥ホッパ3で乾燥された粉粒体は、輸送ライン51を介して供給ホッパ4に輸送される。また、供給ホッパ4には、循環ライン55の輸送方向上流側の端部が接続されている。そして、循環ライン55の輸送方向下流側の端部は、材料供給ライン19に接続されている。これにより、供給ホッパ4に貯留された粉粒体は、循環ライン55を介して乾燥ホッパ3側に輸送される。したがって、乾燥ホッパ3から供給ホッパ4への輸送中および供給ホッパ4での貯留中に、粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化した場合であっても、循環ライン55の輸送により、乾燥ホッパ3でその粉粒体を再び乾燥することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂ペレットなどの粉粒体を、成形機に供給するための粉粒体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック成形などでは、原料となる樹脂ペレットなどの粉粒体材料を、ヒータが設けられた加熱乾燥室を通過させて乾燥させ、乾燥された粉粒体材料を成形機(射出成形機)に供給するための粉粒体供給システムが知られている。
【0003】
このような粉粒体供給システムでは、粉粒体材料は、タンクから気力輸送により加熱乾燥室に送られる。そして、加熱乾燥室に投入された粉粒体材料は、加熱乾燥室に設けられたヒータによって加熱および乾燥された後、気力輸送によりフィーダユニットに搬送される。そして、一時的に貯留された後、所定量の粉粒体材料が成形機に供給される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2004/061383パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の提案に係る粉粒体供給システムでは、粉粒体材料が加熱乾燥室で加熱および乾燥されてから成形機に供給されるまでの間に、粉粒体材料が空気に曝されることにより、粉粒体材料の乾燥状態に起因する物性が過度に変化するおそれがある。
【0006】
たとえば、粉粒体材料が自然冷却された場合には、粉粒体材料の温度が、成形機における成形に適した温度範囲から外れるおそれがある。また、粉粒体材料が空気中の水分を吸着した場合には、その水分を含んだ粉粒体材料が成形機で成形されたときに、製品の品質(色相など)が低下するおそれがある。
【0007】
さらに、メンテナンス時や、トラブルによって成形機の運転が長時間にわたって停止した場合には、粉粒体材料がフィーダユニットに貯留される時間、すなわち、粉粒体材料が空気に曝される時間が長くなるので、上記したような粉粒体材料の乾燥状態に起因する物性の変化が顕著になる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、成形機に供給される粉粒体の乾燥状態に起因する物性を一定に保つことができる、粉粒体供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、粉粒体を成形機に供給するための粉粒体供給システムであって、粉粒体を輸送する第1輸送部と、前記第1輸送部に対して粉粒体の輸送方向上流側に設けられ、粉粒体を乾燥させるための乾燥装置と、前記第1輸送部に対して前記輸送方向下流側に設けられ、粉粒体を一時的に貯留する一時貯留部と、一端が前記一時貯留部に接続され、他端が前記乾燥装置または前記輸送方向における前記乾燥装置の上流側に接続され、粉粒体を前記一時貯留部側から前記乾燥装置側へ輸送する第2輸送部とを備えることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、乾燥装置で乾燥された粉粒体は、第1輸送部を介して一時貯留部に輸送される。そして、一時貯留部に一時的に貯留された後、一時貯留部から成形機へと供給される。
【0011】
また、一時貯留部には、第2輸送部の一端が接続されている。そして、第2輸送部の他端は、乾燥装置または輸送方向における乾燥装置の上流側に接続されている。これにより、一時貯留部に貯留された粉粒体は、第2輸送部を介して乾燥装置側に輸送される。したがって、乾燥装置から一時貯留部への輸送中および一時貯留部での貯留中に、粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化した場合であっても、第2輸送部の輸送により、乾燥装置でその粉粒体を再び乾燥することができる。その結果、成形機に供給される粉粒体の乾燥状態に起因する物性を一定に保つことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記一時貯留部に貯留された粉粒体の物性を検知するセンサ部を備えることを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、一時貯留部に貯留された粉粒体の物性は、センサ部によって検知される。そのため、粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化したことをセンサ部が検知したときには、粉粒体を第2輸送部を介して乾燥装置側へ輸送することができる。これにより、粉粒体が乾燥装置で再度乾燥されるので、粉粒体の乾燥状態に起因する物性を一定に保つことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記センサ部は、前記一時貯留部に設けられており、前記輸送方向における前記一時貯留部の下流側端部には、前記一時貯留部に貯留された粉粒体を前記成形機へ供給するための供給口が設けられ、前記第2輸送部の一端は、前記一時貯留部において、前記センサ部の前記輸送方向下流側に接続されていることを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、第2輸送部の一端は、一時貯留部において、センサ部の輸送方向下流側に接続されている。これにより、粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化したことをセンサ部が検知したときには、供給口よりも上流側でその粉粒体を乾燥装置側へ輸送することができる。よって、乾燥状態に起因する物性が過度に変化した粉粒体が、供給口を介して成形機へ供給されることを確実に防止することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記第2輸送部を介して前記一時貯留部側から前記乾燥装置側へ輸送するための輸送手段をさらに備え、前記輸送手段は、所定の時間間隔で動作することを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、輸送手段が動作することにより、一時貯留部側から乾燥装置側へ粉粒体を輸送することができる。また、輸送手段は、所定の時間間隔で動作する。これにより、一時貯留部に貯留された粉粒体は、定期的に第2輸送部を介して乾燥装置側へ輸送される。よって、粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化するのを画一的に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上述べたように、請求項1に記載の発明によれば、乾燥装置から一時貯留部への輸送中および一時貯留部での貯留中に、粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化した場合であっても、第2輸送部の輸送により、乾燥装置でその粉粒体を再び乾燥することができる。その結果、成形機に供給される粉粒体の乾燥状態に起因する物性を一定に保つことができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化したことをセンサ部が検知したときには、粉粒体を乾燥装置で再度乾燥することができるので、粉粒体の乾燥状態に起因する物性を一定に保つことができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、乾燥状態に起因する物性が過度に変化した粉粒体が、供給口を介して成形機へ供給されることを確実に防止することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、一時貯留部に貯留された粉粒体は、定期的に第2輸送部を介して乾燥装置側へ輸送される。よって、粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化するのを画一的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に係る粉粒体供給システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示す粉粒体供給システムの供給側貯留ホッパと循環ラインとの接続部分を説明するための模式図である。
【図3】図3は、供給側貯留ホッパと循環ラインとの接続部分の第1変形例を説明するための模式図である。
【図4】図4は、供給側貯留ホッパと循環ラインとの接続部分の第2変形例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明に係る粉粒体供給システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【0024】
図1に示すように、粉粒体供給システム1は、樹脂材料からなる粉粒体(ペレット)が貯留されているタンク(図示せず)から供給される粉粒体を乾燥して、乾燥された粉粒体を成形機2へ供給する。なお、この実施形態では、成形機2の処理能力(単位時間当たりに溶融成形される粉粒体の質量)は、例えば、0.1〜100kg/時である。
【0025】
粉粒体供給システム1は、タンク(図示せず)から成形機2への粉粒体の供給方向において、上流側に設けられる乾燥ホッパ3(乾燥装置の一例)と、乾燥ホッパ3の下流側に設けられる供給ホッパ4(一時貯留部の一例)と、乾燥ホッパ3および供給ホッパ4へ粉粒体を気力輸送する気力輸送部5(輸送手段の一例)とを備えている。
【0026】
乾燥ホッパ3は、成形機2とは別に設置される大型の加熱乾燥機であり、タンク(図示せず)から気力輸送される粉粒体を乾燥する。乾燥ホッパ3は、粉粒体を貯留する乾燥側貯留部11と、乾燥側貯留部11へ熱風を供給する熱風供給部12とを備えている。
【0027】
乾燥側貯留部11は、乾燥側貯留ホッパ13および乾燥側ローダホッパ14を備えている。
【0028】
乾燥側貯留ホッパ13は、上下方向に延び、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。また、乾燥側貯留ホッパ13の容積は、成形機2の処理能力を基準に設定され、例えば、0.6〜500Lである。
【0029】
また、乾燥側貯留ホッパ13の上端部には、粉粒体が投入される投入口15が設けられている。また、乾燥側貯留ホッパ13の下端部には、乾燥側貯留ホッパ13から粉粒体を排出する排出口16が設けられている。排出口16には、図示しない開閉弁が設けられている。なお、開閉弁は、図示しない電子処理部に電気的に接続されている。そして、電子処理部の制御により、開閉弁が開放されると、排出口16から粉粒体が排出される。
【0030】
乾燥側ローダホッパ14は、乾燥側貯留ホッパ13よりも小型のホッパであり、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。また、乾燥側ローダホッパ14は、下端部において、乾燥側貯留ホッパ13の投入口15に連通されるように、乾燥側貯留ホッパ13の上端部に接続されている。また、乾燥側ローダホッパ14には、投入口15を開閉可能な図示しないダンパが設けられている。なお、乾燥側ローダホッパ14の上壁内側には、吸引ライン61(後述)の吸引方向上流側の端部を囲むようにパンチングメタルプレート17が設けられている。パンチングメタルプレート17には、粉粒体の通過を規制するとともに空気の通過を許容する穴が、複数、貫通形成されている。
【0031】
さらに、乾燥側ローダホッパ14の側壁には、粉粒体が流入される流入口18が設けられている。
【0032】
熱風供給部12は、熱風供給ライン21、乾燥ブロワ22および還流ライン23を備えている。
【0033】
熱風供給ライン21は、乾燥ブロワ22からの気流を加熱して乾燥側貯留ホッパ13へ供給する配管であり、その供給方向上流側の端部が、乾燥ブロワ22に接続されており、その供給方向下流側が、乾燥側貯留ホッパ13の側壁を貫通して乾燥側貯留ホッパ13内に配置されている。熱風供給ライン21の供給方向下流側の端部は、乾燥側貯留ホッパ13の下端部近傍に配置され、乾燥側貯留ホッパ13内に熱風を吹き込むために下方に向けて開放されるノズル27を備えている。
【0034】
また、熱風供給ライン21の途中には、乾燥側貯留ホッパ13の外側において、乾燥ブロワ22からの気流を加熱するヒータ24が設けられている。
【0035】
乾燥ブロワ22は、還流ライン23内を吸引しながら、熱風供給ライン21内へ送風して、還流ライン23から乾燥ブロワ22を介して乾燥側貯留ホッパ13内へ向かう気流を発生させる。
【0036】
還流ライン23は、乾燥側貯留ホッパ13内の空気を乾燥ブロワ22に吸気させる配管であり、その吸気方向上流側の端部が、乾燥側貯留ホッパ13に接続され、その吸気方向下流側の端部が、乾燥ブロワ22に接続されている。また、還流ライン23の途中には、粉塵などを捕集するフィルタ25と、還流ライン23を大気開放させる開放弁26とが設けられている。
【0037】
供給ホッパ4は、成形機2上に設置される小型の一時貯留タンクであり、乾燥ホッパ3からの粉粒体を成形機2に供給される直前において一時的に貯留する。
【0038】
供給ホッパ4は、供給側貯留ホッパ41および供給側ローダホッパ42を備えている。
【0039】
供給側貯留ホッパ41は、略円筒形状の上側部分41aと、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分41bと、下側部分の下端から下方へ延びる円筒状部41cとが連続するように形成されている。また、供給側貯留ホッパ41は、乾燥側貯留ホッパ13よりも小容積に形成されている。供給側貯留ホッパ41の容積は、成形機2の処理能力を基準に設定され、例えば、乾燥側貯留ホッパ13の容積に対して10〜30%であり、具体的には、0.2〜30Lである。
【0040】
供給側貯留ホッパ41の上側部分41aには、その上端部に、粉粒体が投入される投入口43が設けられている。
【0041】
供給側貯留ホッパ41の下側部分41bには、その下端部近傍に、供給側貯留ホッパ41内に貯留された粉粒体の物性(例えば、温度または水分の含有量)を検知するための物性センサ52(センサ部の一例)が設けられている。物性センサ52は、図示しない電子処理部に電気的に接続されている。
【0042】
供給側貯留ホッパ41の円筒状部41cには、その上下方向途中部に、開閉部材53が設けられている。開閉部材53は、図示しない電子処理部に電気的に接続されている。そして、円筒状部41cの下端部には、供給側貯留ホッパ41から粉粒体を排出する供給口44が設けられている。電子処理部の制御によって開閉部材53が開放されると、供給側貯留ホッパ41の内外が供給口44を介して連通し、供給側貯留ホッパ41から粉粒体が排出される。
【0043】
そして、円筒状部41cにおける開閉部材53よりも上側、かつ、下側部分41bに設けられた物性センサ52よりも下側の側壁には、粉粒体を乾燥ホッパ3側へ排出するための接続口54が設けられている。
【0044】
供給側ローダホッパ42は、供給側貯留ホッパ41よりも小型のホッパであり、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。また、供給側ローダホッパ42は、下端部において、供給側貯留ホッパ41の投入口43に連通されるように、供給側貯留ホッパ41の上端部に接続されている。なお、供給側ローダホッパ42の上壁内側には、吸引ライン61(後述)の吸引方向上流側の端部を囲むようにパンチングメタルプレート45が設けられている。パンチングメタルプレート45には、粉粒体の通過を規制するとともに空気の通過を許容する穴が、複数、貫通形成されている。
【0045】
気力輸送部5は、材料供給ライン19、輸送ライン51(第1輸送部の一例)、循環ライン55(第2輸送部の一例)、吸引ライン61および輸送ブロワ62を備えている。
【0046】
材料供給ライン19は、タンク(図示せず)から乾燥ホッパ3へ粉粒体を供給するための配管である。材料供給ライン19の供給方向上流側の端部は、タンク(図示せず)に接続されている。また、材料供給ライン19の供給方向下流側の端部は、乾燥側ローダホッパ14の側壁に設けられた流入口18に接続されている。
【0047】
輸送ライン51は、乾燥ホッパ3から供給ホッパ4へ粉粒体を輸送するための配管である。輸送ライン51の輸送方向上流側の端部は、乾燥側貯留ホッパ13の排出口16に接続されている。また、輸送ライン51の輸送方向下流側の端部は、供給側ローダホッパ42の側壁に接続されている。
【0048】
循環ライン55は、供給ホッパ4から乾燥ホッパ3へ粉粒体を輸送するための配管である。循環ライン55の輸送方向上流側の端部は、供給側貯留ホッパ41の円筒状部41cに設けられた接続口54に接続されている。
【0049】
図2は、図1に示す粉粒体供給システムの供給側貯留ホッパと循環ラインとの接続部分を説明するための模式図である。
【0050】
図2に示すように、循環ライン55は、供給側貯留ホッパ41に近づくにつれて斜め下方に傾斜しており、その輸送方向上流側は、供給側貯留ホッパ41の円筒状部41cの側壁に形成された接続口54を介して、供給側貯留ホッパ41内に配置されている。
【0051】
そして、循環ライン55の輸送方向上流側の端部は、円筒状部41cの下端部近傍に配置され、粉粒体を吸引するために下方に向けて開放される吸引口70を備えている。
【0052】
また、循環ライン55の輸送方向下流側の端部は、第1切替弁31を介して、材料供給ライン19の途中部に接続されている。
【0053】
なお、第1切替弁31は、図示しない電子処理部に電気的に接続されており、電子処理部の制御によって、タンク側の材料供給ライン19および乾燥側ローダホッパ14側の材料供給ライン19を連通させて循環ライン55を閉鎖する第1位置と、循環ライン55および乾燥側ローダホッパ14側の材料供給ライン19を連通させてタンク側の材料供給ライン19を閉鎖する第2位置とに選択的に切り替えられる。
【0054】
吸引ライン61は、輸送ブロワ62が乾燥側ローダホッパ14または供給側ローダホッパ42内の空気を吸引するための配管である。吸引ライン61の吸引方向下流側の端部は、粉塵などを捕集するフィルタ64を介して輸送ブロワ62に接続されている。また、吸引ライン61は、その途中で第2切替弁65を介して2つに分岐されており、一方の吸引方向上流側の端部が、乾燥側ローダホッパ14の上壁に接続されており、他方の吸引方向上流側の端部が、供給側ローダホッパ42の上壁に接続されている。
【0055】
なお、第2切替弁65は、図示しない電子処理部に電気的に接続されており、電子処理部の制御によって、乾燥側ローダホッパ14側および輸送ブロワ62側の吸引ライン61を開放して供給側ローダホッパ42側の吸引ライン61を閉鎖する第1位置と、供給側ローダホッパ42側および輸送ブロワ62側の吸引ライン61を開放して乾燥側ローダホッパ14側の吸引ライン61を閉鎖する第2位置とに選択的に切り替えられる。
【0056】
輸送ブロワ62は、吸引ライン61を介して、乾燥側ローダホッパ14または供給側ローダホッパ42内を吸引し、タンク(図示せず)から乾燥側ローダホッパ14へ向かう気流、乾燥側貯留ホッパ13から輸送ライン51を介して供給側ローダホッパ42へ向かう気流、または、供給側貯留ホッパ41から循環ライン55および材料供給ライン19を介して乾燥側ローダホッパ14へ向かう気流を発生させる。
【0057】
次いで、粉粒体供給システム1を用いた粉粒体の乾燥方法について説明する。なお、この粉粒体供給システム1では、粉粒体に含有される水分量を、例えば、200ppm(目標値)以下まで低下させてから、成形機2へ供給する。
【0058】
粉粒体を乾燥するには、まず、切替弁31を第1位置、第2切替弁65を第1位置にそれぞれ切り替えてから輸送ブロワ62を作動させる。このとき、乾燥側ローダホッパ14の投入口15は、ダンパ(図示せず)により閉鎖されている。
【0059】
すると、タンク(図示せず)から乾燥側ローダホッパ14へ向かう気流により、タンク(図示せず)から乾燥側ローダホッパ14へ粉粒体が輸送される。乾燥側ローダホッパ14内に所定量の粉粒体が貯留されると、投入口15を閉鎖しているダンパ(図示せず)が開放され、乾燥側ローダホッパ14内の粉粒体が、投入口15を介して乾燥側貯留ホッパ13へ投入される。その後、ダンパ(図示せず)により、投入口15が再度閉鎖され、タンク(図示せず)から乾燥側ローダホッパ14に向けて、粉粒体が再び輸送される。
【0060】
これらの動作が繰り返されることにより、乾燥側貯留ホッパ13には、所定量(例えば、50kg)の粉粒体が貯留される。
【0061】
このとき、乾燥側貯留ホッパ13に貯留された粉粒体に含有される水分量は、例えば、2000ppmである。
【0062】
次いで、粉粒体を乾燥するには、熱風供給部12において、開放弁26を閉鎖して乾燥ブロワ22を作動させる。なお、適宜、開放弁26を大気開放側に切り替えることにより、熱風供給部12に外気を取り込むこともできる。
【0063】
すると、乾燥ブロワ22により発生された気流は、ヒータ24によって、例えば、120℃に加熱された後、ノズル27から乾燥側貯留ホッパ13内へ吹き込まれる。なお、乾燥側貯留ホッパ13内へ吹き込まれた気流は、乾燥側貯留ホッパ13内の粉粒体を加熱して乾燥させた後、乾燥側貯留ホッパ13の上端部から還流ライン23を介して、再度、乾燥ブロワ22に吸引される。
【0064】
そして、粉粒体を乾燥するには、乾燥側貯留ホッパ13において、例えば、1〜24時間、粉粒体を乾燥させる。
【0065】
これにより、粉粒体に含有される水分量が、目標値以下、例えば、100〜150ppmとなる。
【0066】
次いで、乾燥された粉粒体が供給ホッパ4に輸送される。
【0067】
粉粒体を供給ホッパ4に輸送するには、第2切替弁65を第2位置に切り替えてから輸送ブロワ62を作動させ、乾燥側貯留ホッパ13の排出口16を開放する。なお、供給側貯留ホッパ41の供給口44は、閉鎖されている。
【0068】
すると、乾燥側貯留ホッパ13から輸送ライン51を介して供給側ローダホッパ42へ向かう気流により、乾燥側貯留ホッパ13で乾燥された粉粒体が、供給側ローダホッパ42へ輸送される。供給側ローダホッパ42へ輸送された粉粒体は、供給側貯留ホッパ41へ投入される。
【0069】
これにより、供給側貯留ホッパ41には、乾燥側貯留ホッパ13に貯留された粉粒体の量よりも少量に設定される所定量、例えば、10〜15kgの粉粒体が貯留される。
【0070】
そして、供給側貯留ホッパ41に所定量の粉粒体が貯留された後、乾燥側貯留ホッパ13の排出口16は、閉鎖される。
【0071】
供給側貯留ホッパ41内に一時貯留された粉粒体の物性(例えば、温度または水分含有量)は、供給側貯留ホッパ41内に設けられた物性センサ52により検知される。物性センサ52により検知された粉粒体の物性データは、図示しない電子処理部へと送信され、電子処理部において、予め設定された閾値と比較される。
【0072】
なお、閾値を超えた値が不良となるか、閾値以下の値が不良となるかは、検知される物性データによって異なる。例えば、物性データが粉粒体の温度である場合、閾値以下の値が不良となる。また、物性データが水分の含有量である場合、閾値を超えた値が不良となる。
【0073】
なお、物性データが粉粒体の温度である場合、電子処理部において設定される閾値は、例えば、80℃である。
【0074】
また、物性データが粉粒体の水分の含有量である場合、電子処理部において設定される閾値は、例えば、200ppmである。
【0075】
そして、粉粒体の物性データと閾値とが比較された結果、粉粒体の物性データが良好であると判定された場合には、供給側貯留ホッパ41に設けられた開閉部材53が開放される。これにより、供給側貯留ホッパ41内の乾燥された粉粒体は、供給口44を介して、自重により落下して成形機2へ供給され、成形機2において、溶融、成形される。
【0076】
一方、粉粒体の物性データと閾値とが比較された結果、粉粒体の物性データが不良であると判定された場合には、供給側貯留ホッパ41内の粉粒体が乾燥ホッパ3側に気力輸送される。
【0077】
供給側貯留ホッパ41から乾燥ホッパ3側へ粉粒体を気力輸送するには、第1切替弁31を第2位置に、第2切替弁65を第1位置にそれぞれ切り替えてから、輸送ブロワ62を作動させる。なお、乾燥側貯留ホッパ13の排出口16、および供給側貯留ホッパ41の供給口44は、閉鎖されている。
【0078】
すると、供給側貯留ホッパ41から循環ライン55および材料供給ライン19を介して乾燥側ローダホッパ14へ向かう気流により、供給側貯留ホッパ41内の粉粒体が、乾燥側ローダホッパ14へ輸送される。乾燥側ローダホッパ14へ輸送された粉粒体は、乾燥側貯留ホッパ13へ投入される。詳しくは、供給側貯留ホッパ41内の粉粒体は、吸引口70(図2参照)を介して、循環ライン55内に吸引される。そして、循環ライン55内をその吸引方向に沿って輸送され、第1切替弁31を介して、材料供給ライン19における乾燥側ローダホッパ14側へ導入される。その後、流入口18を介して乾燥側ローダホッパ14内に流入され、パンチングメタルプレート17によって気流と分離された後、自重により投入口15を介して乾燥側貯留ホッパ13内に投入される。
【0079】
これにより、供給側貯留ホッパ41内の粉粒体を、乾燥ホッパ3側へと輸送することができる。そして、乾燥側貯留ホッパ13に輸送された粉粒体は、上記した乾燥手順により、再度乾燥されて、供給ホッパ4へと輸送される。
【0080】
この粉粒体供給システム1によれば、乾燥ホッパ3で乾燥された粉粒体は、輸送ライン51を介して供給ホッパ4に輸送される。そして、供給ホッパ4に一時的に貯留された後、供給ホッパ4から成形機2へと供給される。
【0081】
また、供給ホッパ4には、循環ライン55の輸送方向上流側の端部が接続されている。そして、循環ライン55の輸送方向下流側の端部は、材料供給ライン19に接続されている。これにより、供給ホッパ4に貯留された粉粒体は、循環ライン55を介して乾燥ホッパ3側に輸送される。したがって、乾燥ホッパ3から供給ホッパ4への輸送中および供給ホッパ4での貯留中に、粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化した場合であっても、循環ライン55の輸送により、乾燥ホッパ3でその粉粒体を再び乾燥することができる。その結果、成形機2に供給される粉粒体の乾燥状態に起因する物性を一定に保つことができる。
【0082】
また、供給ホッパ4に貯留された粉粒体の物性は、物性センサ52によって検知される。粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化したことを物性センサ52が検知したときには、粉粒体が循環ライン55を介して乾燥ホッパ3側へ輸送される。これにより、粉粒体が乾燥ホッパ3で再度乾燥されるので、粉粒体の乾燥状態に起因する物性を一定に保つことができる。
【0083】
また、循環ライン55の輸送方向上流側の端部は、供給ホッパ4において、物性センサ52の下側に接続されている。これにより、粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化したことを物性センサ52が検知したときには、供給口44よりも上流側でその粉粒体を乾燥ホッパ3側へ輸送することができる。よって、乾燥状態に起因する物性が過度に変化した粉粒体が、供給口44を介して成形機2へ供給されることを確実に防止することができる。
【0084】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0085】
例えば、供給側貯留ホッパ41と循環ライン55との接続部分の構造は、種々の設計変更が可能である。以下に、その変形例を例示する。
【0086】
図3は、供給側貯留ホッパと循環ラインとの接続部分の第1変形例を説明するための模式図である。
【0087】
図3に示すように、循環ライン55の輸送方向上流側は、供給側貯留ホッパ41の下側部分41bの側壁から平面視における供給側貯留ホッパ41の中央に向けて延びる水平部55aと、供給側貯留ホッパ41の中央において、水平部55aから下方に向けて延びる鉛直部55bとを有する側面視L字状をなしている。
【0088】
そして、循環ライン55の輸送方向上流側の端部は、供給側貯留ホッパ41の円筒状部41cの下端部近傍に配置され、供給側貯留ホッパ14内の粉粒体を吸引するために下方に向けて開放される吸引口70を備えている。
【0089】
このような供給側貯留ホッパ41と循環ライン55との接続部分の構造が採用されても、図1および図2に示す粉粒体供給システム1と同様の効果を奏することができる。
【0090】
図4は、供給側貯留ホッパと循環ラインとの接続部分の第2変形例を説明するための模式図である。
【0091】
図4に示すように、供給側貯留ホッパ41の円筒状部41cには、その上下方向途中部に、三方弁71が設けられている。三方弁71は、図示しない電子処理部に電気的に接続され、電子処理部の制御により、供給側貯留ホッパ41の内部空間側と接続口54とを連通させて、供給側貯留ホッパ41の開閉部材53側を閉鎖する第1位置と、供給側貯留ホッパ41の内部空間側と供給側貯留ホッパ41の開閉部材53側を連通させて、接続口54を閉鎖する第2位置とに選択的に切り替えられる。
【0092】
また、循環ライン55の輸送方向上流側の端部は、接続口54に接続されている。
【0093】
このような構成によれば、例えば、物性センサ52により検出された粉粒体の物性が不良と判定された場合には、三方弁71を第1位置に切り替えることにより、供給側貯留ホッパ41から循環ライン55を介して、乾燥ホッパ3側に粉粒体を輸送することができる。
【0094】
一方、物性センサ52により検出された粉粒体の物性が良好と判定された場合には、三方弁71を第2位置に切り替えることにより、供給側貯留ホッパ41内の粉粒体を成形機2に供給することができる。
【0095】
また、図1に示す粉粒体供給システム1では、一時貯留部の一例として供給ホッパ4を例示したが、一時貯留部は、例えば、単なる筒状の配管であってもよい。
【0096】
このような構成では、配管の側壁に循環ライン55の輸送方向上流側の端部が接続されるとともに、配管における粉粒体の輸送方向において、循環ライン55との接続部分よりも上流側に物性センサ52を設けることにより、図1に示す粉粒体供給システム1と同様の効果を奏することができる。
【0097】
また、上記の説明では、循環ライン55の輸送方向下流側の端部は、第1切替弁31を介して材料供給ライン19に接続されているが、循環ライン55の輸送方向下流側の端部は、乾燥ホッパ3、または粉粒体供給システム1における粉粒体の搬送方向において、乾燥ホッパ3よりも上流側に接続されていればよく、例えば、乾燥側貯留ホッパ13、乾燥側ローダホッパ14などに直接的に接続されていてもよい。
【0098】
このような構成であっても、図1に示す粉粒体供給システム1と同様の効果を奏することができる。
【0099】
また、図1に示す粉粒体供給システム1では、供給側貯留ホッパ41内の粉粒体の物性が不良であると判定された場合に、循環ライン55を介して乾燥ホッパ3側へ粉粒体を輸送したが、粉粒体の物性と関係なく、供給側貯留ホッパ41内の粉粒体が定期的に乾燥ホッパ3側に輸送されるようにしてもよい。
【0100】
すなわち、乾燥ホッパ3から供給ホッパ4への粉粒体の供給と、供給ホッパ4から乾燥ホッパ3への粉粒体の輸送とを、所定の時間間隔で交互に実行する。
【0101】
これにより、粉粒体の乾燥状態に起因する物性が過度に変化するのを画一的に防止することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 粉粒体供給システム
2 成形機
3 乾燥ホッパ(乾燥装置の一例)
4 供給ホッパ(一時貯留部の一例)
5 気力輸送部(輸送手段の一例)
44 供給口
51 輸送ライン(第1輸送部の一例)
52 物性センサ(センサ部の一例)
55 循環ライン(第2輸送部の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を成形機に供給するための粉粒体供給システムであって、
粉粒体を輸送する第1輸送部と、
前記第1輸送部に対して粉粒体の輸送方向上流側に設けられ、粉粒体を乾燥させるための乾燥装置と、
前記第1輸送部に対して前記輸送方向下流側に設けられ、粉粒体を一時的に貯留する一時貯留部と、
一端が前記一時貯留部に接続され、他端が前記乾燥装置または前記輸送方向における前記乾燥装置の上流側に接続され、粉粒体を前記一時貯留部側から前記乾燥装置側へ輸送する第2輸送部とを備えることを特徴とする、粉粒体供給システム。
【請求項2】
前記一時貯留部に貯留された粉粒体の物性を検知するセンサ部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の粉粒体供給システム。
【請求項3】
前記センサ部は、前記一時貯留部に設けられており、
前記輸送方向における前記一時貯留部の下流側端部には、前記一時貯留部に貯留された粉粒体を前記成形機へ供給するための供給口が設けられ、
前記第2輸送部の一端は、前記一時貯留部において、前記センサ部の前記輸送方向下流側に接続されていることを特徴とする、請求項2に記載の粉粒体供給システム。
【請求項4】
前記第2輸送部を介して前記一時貯留部側から前記乾燥装置側へ輸送するための輸送手段をさらに備え、
前記輸送手段は、所定の時間間隔で動作することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉粒体供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−240246(P2012−240246A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110291(P2011−110291)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】