粉粒体供給装置
【課題】点播の状態での粉粒体供給を行なうことができ、かつ鉄コーティング処理が行われた種籾の如き粉粒体の場合でも粉粒体の損傷を回避しやすい粉粒体供給装置を得る。
【解決手段】受け入れ部57から下降移動する繰出し凹部58に閉じ作用するガイド体53を設けてある。ガイド体53は、繰出し凹部58が粉粒体を排出する排出部61を繰出し回転体52の下方に現出している。ガイド体53のガイド面は、弾性変形自在である。隣り合う一対の繰出し凹部58,58の一方の繰出し回転体回転方向での中心と、他方の繰出し回転体回転方向での中心とが、設定凹部配列角を隔てて並んでいる。ガイド面の始端と繰出し回転体52の回転軸芯Pを通る直線と、ガイド面の終端と繰出し回転体52の回転軸芯Pを通る直線とが、設定ガイド角で交差している。設定凹部配列角が設定ガイド角以上で、かつ180度以下である。
【解決手段】受け入れ部57から下降移動する繰出し凹部58に閉じ作用するガイド体53を設けてある。ガイド体53は、繰出し凹部58が粉粒体を排出する排出部61を繰出し回転体52の下方に現出している。ガイド体53のガイド面は、弾性変形自在である。隣り合う一対の繰出し凹部58,58の一方の繰出し回転体回転方向での中心と、他方の繰出し回転体回転方向での中心とが、設定凹部配列角を隔てて並んでいる。ガイド面の始端と繰出し回転体52の回転軸芯Pを通る直線と、ガイド面の終端と繰出し回転体52の回転軸芯Pを通る直線とが、設定ガイド角で交差している。設定凹部配列角が設定ガイド角以上で、かつ180度以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクから粉粒体を繰出し機構によって設定量ずつ間欠的に繰出し、前記繰出し機構によって繰出された粉粒体を自然落下によって圃場に供給し、前記繰出し機構を、周面に複数の繰出し凹部が周方向に並べて形成された駆動回転自在な繰出し回転体を備えて構成してある粉粒体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した粉粒体供給装置では、繰出し回転体の上方に繰出し凹部が粉粒体を受け入れる受け入れ部を設け、繰出し回転体の回転によって繰出し凹部が受け入れ部を通って上下に回動移動し、繰出し凹部が受け入れ部に位置すると、繰出し凹部に粉粒体が流入し、繰出し凹部が受け入れ部から下降移動すると、繰出し凹部から粉粒体が流出することにより、繰出し機構がタンクから粉粒体を設定量ずつ間欠的に繰出すように構成される。
【0003】
この種の粉粒体供給装置において、繰出し凹部が受け入れ部から下降移動していくに伴って繰出し凹部の開口が上向きから水平向きに、水平向きから下向きに順次に変化していくのであり、繰出し凹部の開口が水平向きに近い向きになることに起因して繰出し凹部から粉粒体が流出し始めることになる場合、繰出し凹部が受け入れ部から下降移動した距離が短いうちから粉粒体が少しずつ流出し始めて、繰出し凹部が受け入れた粉粒体の全量を排出するのに比較的時間が掛かる状態となり、圃場に落下供給された粉粒体は、粉粒体供給装置の移動方向に比較的長く分散した状態、いわゆる条播や条播に近い状態で供給されることになる。
【0004】
従来、たとえば特許文献1に示される粉粒体供給装置があった。特許文献1に示されたものにあっては、図5に示されるように、繰出し回転体の周面に沿って位置するガイドプレートを備えている。ガイドプレートは、受け入れ部から所定距離を下降移動するまでの繰出し凹部に対して閉じ作用し、受け入れ部から所定距離を越えて下降移動した繰出し凹部に対して閉じ作用を解除する。
【0005】
特許文献1に記載された技術を適用すれば、圃場に落下供給された粉粒体が、粉粒体供給装置の移動方向での比較的狭い範囲に纏まって供給される状態、いわゆる点播の状態で粉粒体を圃場に供給させることが可能となる。
【0006】
すなわち、ガイドプレートの繰出し回転体の周面に対面するガイド面の繰出し回転体周方向での長さを適切に設定すれば、繰出し回転体の下方に繰出し凹部のための排出部を受け入れ部から所定距離だけ離れた状態で現出させ、受け入れ部から下降移動する繰出し凹部が排出部に到達するまでは、繰出し凹部の開口が水平向きに近い向きや水平向きになっても、繰出し凹部がガイドプレートによって閉じられていて繰出し凹部から粉粒体が流出せず、受け入れ部から下降移動した繰出し凹部が排出部に到達すれば、繰出し凹部の開口が下向きになるとともにガイドプレートによる繰出し凹部の閉じが解除され、繰出し凹部から粉粒体が比較的一時に流出して落下するようにできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−49312号公報(段落〔0013〕、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
圃場に供給する粉粒体として、鉄粉によるコーティング処理が行われた種籾(以下、鉄コーティング籾と称する。)を採用されることがある。鉄コーティング籾は、鳥のついばみを受けないことから、圃場に供給した後の覆土を省略できるなど有利に供給することができる。ところが、上記した従来のガイドに関する技術を適用したものの場合、鉄コーティング籾の供給が行なわれると、繰出し凹部に入った鉄コーティング籾の詰まり具合や姿勢などに起因して、鉄コーティング籾の一部分が繰出し凹部から外部にはみ出た状態になると、鉄コーティング籾にガイドプレートとの接触によるコーティングの剥離が発生することがあった。
【0009】
本発明の目的は、点播の状態での粉粒体供給を行なうことができるのみならず、鉄コーティング処理が行われた種籾の如き粉粒体の場合でもコーティング剥離などのトラブルを回避しやすい粉粒体供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本第1発明は、タンクから粉粒体を繰出し機構によって設定量ずつ間欠的に繰出し、前記繰出し機構によって繰出された粉粒体を自然落下によって圃場に供給し、前記繰出し機構を、周面に複数の繰出し凹部が周方向に並べて形成された駆動回転自在な繰出し回転体を備えて構成してある粉粒体供給装置において、
前記繰出し回転体の上方に前記繰出し凹部が粉粒体を受け入れるように設けた受け入れ部から下降移動する前記繰出し凹部に閉じ作用するように前記繰出し回転体の周面に沿って位置するガイド体を設け、
前記ガイド体を、前記繰出し回転体の下方において前記繰出し凹部に対する閉じ作用を解除して、前記繰出し凹部が粉粒体を排出する排出部を前記繰出し回転体の下方に現出するように構成し、
前記ガイド体の前記繰出し回転体の周面に対面するガイド面を、前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在に構成し、
前記繰出し回転体の前記複数の繰出し凹部における隣り合う一対の繰出し凹部の一方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心と、他方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心とが、繰出し回転体回転方向に設定凹部配列角を隔てて並ぶように前記複数の繰出し凹部を配置し、
前記ガイド体における前記ガイド面の始端と前記繰出し回転体の回転軸芯を通る直線と、前記ガイド面の終端と前記繰出し回転体の回転軸芯を通る直線とが、設定ガイド角で交差するように前記ガイド面の繰出し回転体回転方向での長さを設定し、
前記繰出し回転体における前記設定凹部配列角を前記ガイド体における前記設定ガイド角以上で180度以下の大きさの角度に設定してある。
【0011】
本第1発明の構成によると、ガイド体のガイド面の繰出し回転体周方向での長さを適切な長さに設定することにより、繰出し回転体の下方に排出部を受け入れ部から適切な距離で離れて位置する状態で現出させ、繰出し凹部が受け入れ部から下降移動して繰出し凹部の開口が水平向きに近い向きや水平向きになっても、繰出し凹部が排出部に到達するまでは、繰出し凹部がガイド体のガイド面によって閉じられていて繰出し凹部から粉粒体が流出せず、受け入れ部から下降移動した繰出し凹部が排出部に到達することにより、繰出し凹部の開口が下向きになるとともにガイド体のガイド面による繰出し凹部の閉じが解除され、繰出し凹部から粉粒体が比較的一時に流出して落下するようにできる。
【0012】
鉄コーティング籾の如き種子の供給が行なわれる場合など、繰出し凹部から一部分が外部にはみ出た粉粒体が発生するなどにより、粉粒体とガイド体のガイド面の比較的強い当接が発生しても、ガイド面を繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在に構成してあることにより、ガイド面が変形して粉粒体とガイド面の強い摩擦が緩和されるようにできる。
【0013】
本第1発明の構成によると、受け入れ部から排出部に向けて下降移動する繰出し凹部に繰出し凹部から一部がはみ出た粉粒体が存在しても、はみ出し粉粒体の影響により、はみ出し粉粒体が存在する繰出し凹部より先行して下降移動する繰出し凹部から粉粒体が出てしまうことを回避しやすい。
【0014】
つまり、先行の繰出し凹部の開口の全体も後続の繰出し凹部の開口の全体もガイド面によって閉じられる状態で先行の繰出し凹部と後続の繰出し凹部が共にガイド面に対向する事態が発生する場合、後続の繰出し凹部に繰出し凹部から一部がはみ出た粉粒体が存在し、はみ出し粉粒体のためにガイド体の始端側において発生したガイド面の変形の影響によってガイド体の終端側においてもガイド面の変形が発生することがあると、そしてガイド体の終端側におけるガイド面の変形が大きくなることがあると、先行の繰出し凹部とガイド面の隙間が大になって先行の繰出し凹部から粉粒体が出てしまうことがある。
【0015】
本第1発明の構成によると、隣り合う一対の繰出し凹部の一方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心と、他方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心とが、繰出し回転体回転方向に設定凹部配列角を隔てて並ぶように複数の繰出し凹部を配置し、ガイド体におけるガイド面の始端と繰出し回転体の回転軸芯を通る直線と、ガイド面の終端と繰出し回転体の回転軸芯を通る直線とが、設定ガイド角で交差するようにガイド面の繰出し回転体回転方向での長さを設定し、繰出し回転体における設定凹部配列角をガイド体における設定ガイド角以上で180度以下の大きさの角度に設定してあるから、先行の繰出し凹部と後続の繰出し凹部が共にガイド面に対向しても、後続の繰出し凹部の開口のうちの繰出し凹部移動方向上手側での一部がガイド面から外れている状態を現出でき、かつ後続の繰出し凹部の開口の全体がガイド面に対向したときには、先行の繰出し凹部の開口の全体がガイド面から既に外れている状態を現出できる。すなわち、先行の繰出し凹部の開口の全体がガイド面に対向している間、後続の繰出し凹部がガイド面にまだ対向していない状態、あるいは後続の繰出し凹部がガイド面に対向しても、後続の繰出し凹部の開口の全体がまだガイド面に対向しておらず、後続の繰出し凹部の開口のうちの繰出し凹部移動方向上手側での一部がガイド面から外れている状態を現出できる。
【0016】
先行の繰出し凹部の開口の全体がガイド面に対向していても、後続の繰出し凹部の開口の全体がガイド面にまだ対向していないと、後続の繰出し凹部にはみ出し粉粒体が存在しても、はみ出し粉粒体がガイド面に当接しなくてガイド体の始端側におけるガイド面の変形が発生せず、ガイド体の終端側においても後続の繰出し凹部におけるはみ出し粉粒体に起因したガイド面の変形が発生せず、先行の繰出し凹部とガイド面の間に大きな隙間が発生しない。
【0017】
先行の繰出し凹部と後続の繰出し凹部が共にガイド面に対向しても、後続の繰出し凹部の開口のうちの繰出し凹部移動方向上手側での一部がガイド面から外れておれば、後続の繰出し凹部にはみ出し粉粒体が存在しても、はみ出し粉粒体がガイド体の端部との当接によって繰出し凹部の内部のうちの繰出し凹部移動方向上手側に寄せ操作されてガイド面に当接しにくくなり、ガイド体の始端側におけるはみ出し粉粒体に起因したガイド面の変形が発生しにくくなってガイド体の終端側におけるガイド面の変形も発生しにくくなり、先行の繰出し凹部とガイド面の間に大きな隙間が発生しない。
【0018】
後続の繰出し凹部の開口の全体がガイド面に対向しても、先行の繰出し凹部の開口の全体がガイド面から既に外れていると、後続の繰出し凹部にはみ出し粉粒体が存在してガイド体の始端側におけるいガイド面に変形が発生し、この変形がガイド体の終端側に影響してガイド体の終端側におけるガイド面に変形が発生しても、この変形は、先行の繰出し凹部に影響しない。
【0019】
従って、受け入れ部から下降移動した繰出し凹部による粉粒体の排出を受け入れ部から比較的離れた排出部で比較的一時に行わせて、粉粒体を点播精度のよい点播の状態で圃場に供給することができ、さらに、鉄コーティング籾の如き粉粒体の供給を行なう場合でも、粉粒体とガイド面の強い摩擦の発生を回避してコーティング剥離の如き粉粒体損傷が生じにくい状態で粉粒体を供給することができる。しかも、後続の繰出し凹部にはみ出し粉粒体が発生しても、はみ出し粉粒体の影響によって先行の繰出し凹部から粉粒体が出てしまうことを回避しやすく、この面からも点播精度がよい点播の状態で粉粒体を供給することができる。
【0020】
本第2発明は、前記繰出し機構の機体側に固定されるベース材と、前記ガイド面を形成するとともに前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在な膜体と、前記膜体を受け止め支持するように前記膜体と前記ベース材の間に介在するとともに前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在なクッション材とを備えて、前記ガイド体を構成してある。
【0021】
本第2発明の構成によると、鉄コーティング籾の如き種子の供給が行なわれる場合など、繰出し凹部から一部分がはみ出た粉粒体が発生するなどにより、粉粒体とガイド体のガイド面の比較的強い当接が発生しても、ガイド面を弾性変形自在な膜体によって形成してあり、膜体を弾性変形自在なクッション材によって支持させてあることにより、膜体及びクッション材が変形して粉粒体とガイド面の強い摩擦が効果的に緩和されるようにできる。
【0022】
粉粒体とガイド面の当接によるガイド体側の変形を容易にさせる特性をクッション材に備えさせる結果、クッション材が耐摩耗性の低いものになっても、ガイド面に高い耐摩耗性を膜体によって備えさせて、ガイド面が早期に摩滅することを防止しながら、ガイド体の粉粒体との当接による弾性変形を容易に発生させることができる。
【0023】
従って、受け入れ部から下降移動した繰出し凹部からの粉粒体の排出を受け入れ部から比較的離れた排出部で比較的一時に行わせて、粉粒体を精度のよい点播の状態で圃場に供給することができ、さらに、鉄コーティング籾の如き粉粒体の供給を行なう場合でも、粉粒体とガイド面の強い摩擦の発生を膜体及びクッション材の弾性変形によって回避してコーティング剥離の如き粉粒体の損傷が生じにくい状態で粉粒体を供給することができる。
【0024】
本第3発明では、前記ガイド体が脱着自在に支持されている。
【0025】
本第3発明の構成によると、ガイド体を取り外すことにより、繰出し回転体の周面付近を開放することができる。
【0026】
従って、繰出し回転体を清掃や点検するなどの作業を行うに当り、繰出し回転体を繰出し機構に装着したままにしても、繰出し回転体の周面付近を開放して楽にかつ能率よく行うことができる。
【0027】
本第4発明では、前記繰出し回転体の駆動速度を変更する供給変速機構を設けてある。
【0028】
本第4発明の構成によると、繰出し回転体の駆動速度を供給変更機構によって低速側に変更することによって点播の間隔を所定間隔に調整したり、繰出し回転体の駆動速度を供給変更機構によって高速側に変更することによって点播の間隔を小間隔側に調整したりすることができる。
【0029】
従って、点播の間隔を所定間隔に調整して点播精度がよい点播の状態で粉粒体を供給させたり、点播の間隔を小間隔側に調整して条播の如き状態で粉粒体を供給させたりすることができる。
【0030】
本第5発明では、前記繰出し機構の複数個を前記繰出し回転体の回転軸芯に沿う方向に並べて設け、前記供給変速機構の出力が前記複数個の繰出し機構の前記繰出し回転体に伝達されるように構成するとともに前記供給変速機構を前記複数個の繰出し機構のうちの前記回転軸芯に沿う方向での最も端に位置する最端の繰出し機構に対して前記複数個の繰出し機構のうちの前記最端の繰出し機構を除く他の繰出し機構が位置する側とは反対側に配置してある。
【0031】
本第5発明の構成によると、供給変速機構を繰出し機構に極力寄せてコンパクトに設けても、供給変速機構に対して繰出し機構が位置する側とは反対側から繰出し機構による障害を受けないで供給変速機構を操作することができる。
【0032】
従って、供給変速機構を繰出し機構に極力寄せたコンパクトな状態を得ることができるものでありながら、繰出し機構による障害を受けないで供給変速機構を楽にかつ容易に操作して点播の間隔調整を能率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】水田作業車の全体を示す側面図である。
【図2】粉粒体供給装置を示す後面図である。
【図3】粉粒体供給装置を示す側面図である。
【図4】粉粒体供給装置の一部を示す後面図である。
【図5】供給変速機構が低速状態に切り換えられた状態での伝動装置を示す線図である。
【図6】供給変速機構が高速状態に切り換えられた状態での伝動装置を示す線図である。
【図7】繰出し機構を示す縦断側面図である。
【図8】繰出し機構を示す縦断後面図である。
【図9】摺り切りブラシ、カバー、粉粒体ガイド及びガイド体が作用解除状態に切り換え操作された状態での繰出し機構を示す縦断側面図である。
【図10】ガイド体の長さ、繰出し凹部の配置及びガイド体の作用を示す説明図である。
【図11】(a)は、別の実施形態を備えた繰出し機構示す縦断側面図、(b)は、別の実施形態の繰出し機構のガイド体が取り外された状態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態に係る粉粒体供給装置20が装備された水田作業車の全体を示す側面図である。この図に示すように、水田作業車は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前車輪1,1と左右一対の駆動自在な後車輪2,2とによって自走する自走車と、この自走車の車体フレーム3の後部にリンク機構4を介して連結された粉粒体供給装置20と、この粉粒体供給装置20の機体フレーム21に支柱31を介して取り付けられた薬剤散布装置30と、自走車の車体後部に位置する肥料タンク41が装備された施肥装置40とを備えて構成してある。
【0036】
自走車は、車体フレーム3の前部に設けたエンジン5を備え、このエンジン5が出力する駆動力を車体前部に位置するミッションケース6に入力し、このミッションケース6に入力した駆動力をミッションケース6の内部に位置する走行ミッションから前輪駆動ケース7に伝達して左右一対の前車輪1,1を駆動し、ミッションケース6に入力したエンジン5からの駆動力を前記走行ミッションから回転軸8を介して車体後部に位置する後輪駆動ケース9に伝達して左右一対の後車輪2,2を駆動する。自走車は、車体後部に設けた運転座席10aを有した運転部10を備え、この運転部10に搭乗して運転するように乗用型になっている。自走車は、前記ミッションケース6に入力したエンジン5からの駆動力を、ミッションケース6の内部に位置する作業ミッションから車体フレーム3の下方に位置する回転軸11と、この回転軸11の後端部から車体後方向きに延出した回転軸12とを介して粉粒体供給装置20の入力ケース81に伝達する。
【0037】
リンク機構4は、車体フレーム3とリンク機構4のロワーリンク4aの後端側とに連結された油圧シリンダ13を備え、この油圧シリンダ13によって車体フレーム3に対して上下に揺動操作されることにより、粉粒体供給装置20を、粉粒体供給装置20の下部に車体横方向に並んで位置する4つの接地フロート23が圃場に接地した下降作業位置と、各接地フロート23が圃場から上昇した上昇非作業位置とに昇降操作する。
【0038】
水田作業車は、粉粒体供給装置20を下降作業位置に下降させて自走車を走行させると、粉粒体供給装置20により、稲用の種子であって、鉄コーティング処理が行われた種籾aを圃場に6条で供給する播種作業を行い、施肥装置40により、各条の種籾aに対する肥料供給を行なう施肥作業を行ない、薬剤散布装置30により雑草防止の薬剤を圃場に散布する薬剤散布作業を行なう。
【0039】
粉粒体供給装置20について説明する。
図2は、粉粒体供給装置20を示す後面図である。図3は、粉粒体供給装置20を示す側面図である。図4は、粉粒体供給装置20の一部を示す後面図である。これらの図及び図1に示すように、粉粒体供給装置20は、前記リンク機構4に連結された前記機体フレーム21、及び機体フレーム21の下部に取付けられた前記4つの接地フロート23を備える他、機体フレーム21の後部の上方に車体横方向に一列に並んで位置する左右一対の粉粒体用のタンク24,24(以下、粉粒体タンク24と称する。)と、機体フレーム21の後部に取付けられた6つの繰出し機構50とを備えて構成してある。
【0040】
左右一対の粉粒体タンク24は、タンク本体24aと、タンク本体24aの上端部に位置する開口を開閉するようタンク本体24aに揺動開閉自在に支持された蓋体24bとを備えて構成してある。
【0041】
6つの繰出し機構50は、左右一対の粉粒体タンク24,24それぞれのタンク本体24aの下部に3個の繰出し機構50が連結された状態で、かつ6個の繰出し機構50が車体横方向に一列に並んだ状態で機体フレーム21に支持されている。
【0042】
粉粒体供給装置20は、左側の粉粒体タンク24に貯留された種籾aを左側の3つの繰出し機構50によって粉粒体タンク24から設定量ずつ間欠的に繰出し、右側の粉粒体タンク24に貯留された種籾を右側の3つの繰出し機構50によって粉粒体タンク24から設定量ずつ間欠的に繰出し、各繰出し機構50が繰出した種籾aを接地フロート23によって整地された圃場に落下させることにより、圃場に6条の種籾aの供給を行い、各条において、繰出し機構50が間欠的に落下供給する設定量の種籾aが粉粒体供給装置20の移動方向すなわち自走車の移動方向での狭い範囲に纏まって圃場に落下するように点播の状態で供給する。
【0043】
図1,2,5に示すように、粉粒体供給装置20は、車体左側の2つの接地フロート23,23の間及び車体右側の2つの接地フロート23,23の間に1つずつ位置する配置で機体フレーム21の下部に取付けられた左右一対の溝切り体25,25を備えており、自走車の左側の後車輪2が通過した後の圃場に左側の溝切り体25によって排水溝を形成していき、自走車の右側の後車輪2が通過した後の圃場に右側の溝切り体25によって排水溝を形成していき、播種作業後の圃場に残留する泥水を排水溝に流入させて、播種作業後の圃場における水抜きを行なう。
【0044】
施肥装置40について説明する。
図1,2,3に示すように、施肥装置40は、前記肥料タンク41を備える他、この肥料タンク41の下部に連設された肥料繰出し機構42、この肥料繰出し機構42の肥料排出部に送風管43を介して接続された電動ブロワ44を備えて構成してある。肥料繰出し機構42は、車体横方向に並んだ6つの肥料排出口を備えている。肥料繰出し機構42の各肥料排出口は、粉粒体供給装置20の下部に車体横方向に並んで位置する6つの作溝施肥器45(図2参照)のうちの対応する一つに肥料供給ホース46を介して接続されている。肥料繰出し機構42は、走行トランスミッションからの駆動力を後輪駆動ケース9に伝達する伝動系統から取り出した駆動力によって駆動される。
【0045】
施肥装置40は、肥料タンク41に貯留された粒状の肥料を肥料繰出し機構42によって肥料タンク41から各肥料排出口に繰出し、各肥料排出口に繰出した肥料を電動ブロワ44によって供給される搬送風によって肥料供給ホース46に供給する。各肥料供給ホース46は、供給された肥料を電動ブロワ44からの搬送風によって対応する作溝施肥器45に供給する。各作溝施肥器45は、粉粒体供給装置20によって供給された種籾aの近くで圃場に溝を形成し、形成した溝に肥料供給ホース46からの肥料を供給する。したがって、施肥装置40は、粉粒体供給装置20が6条の播種作業を行なうに伴い、圃場に供給された各条の種籾aの横側近くに肥料を供給していく。
【0046】
薬剤散布装置30は、前記支柱31の上端部に散布機ケース32が連結された電動散布機33と、電動散布機33の上部に取付けられた薬剤タンク34とを備えて構成してあり、薬剤タンク34に貯留された薬剤を電動散布機33によって薬剤タンク34から取り出して圃場に散布する。
【0047】
粉粒体供給装置20の繰出し機構50について説明する。粉粒体供給装置20の6つの繰出し機構50は、同じ構成を備えている。
【0048】
図7は、繰出し機構50を示す縦断側面図である。図8は、繰出し機構50を示す縦断後面図である。これらの図及び図2,3,4に示すように、繰出し機構50は、粉粒体タンク24のタンク本体24aの下部に設けられたホッパー部24cに上端部が連結された繰出しケース51と、この繰出しケース51の内部に車体横向きの回転軸芯Pまわりに駆動回転自在に設けた繰出し回転体52と、繰出しケース51の内部に繰出し回転体52の車体後方側に配置して設けたガイド体53と、繰出しケース51の内部のガイド体53の上端側の近くにブラシホルダ54aを介して取り付けた摺り切りブラシ54と、ブラシホルダ54aに基端側が固定されたカバー55と、繰出しケース51の下端部に上端部が連結された播種筒56とを備えて構成してある。
【0049】
繰出しケース51は、前壁51a、後壁51b及び左右一対の横壁51c、51cを備えて構成されており、車体上下向きの筒形になっている。繰出しケース51は、前壁51aの外面側に設けられた連結部51dにおいて機体フレーム21の車体横向きの支持バー部21aに連結ボルト21bによって脱着自在に連結されている。繰出しケース51は、前壁51aの内面側及び左右一対の横壁51c、51cの内面側にわたって一体成形された供給ガイド片51eと、摺り切りブラシ54のブラシ本体54bとよって繰出し回転体52の上方に繰出し回転体52のための受け入れ部57を形成している。この受け入れ部57は、粉粒体タンク24の底部に設けられた供給孔24dを介して粉粒体タンク24から流下した種籾aを繰出し回転体52の上側に滞留させ、受け入れ部57に位置した繰出し回転体52の繰出し凹部58に種籾aを自然流下によって流入させることにより、繰出し凹部58の種籾aの受け入れを行なわせる。
【0050】
繰出し回転体52は、繰出しケース51の左右一対の横壁51c,51cが備える支持部51fに回転支持された車体横向きの六角軸で成る回転支軸59に一体回転自在に支持されており、この回転支軸59によって回転支軸59が備える車体横向きの回転軸芯Pまわりに回転方向F(図7参照)に回転駆動される。繰出し回転体52は、繰出し回転体52の周面52sに繰出し回転体52の周方向に並べて設けられた4つの前記繰出し凹部58を備えている。
【0051】
図7に示すように、前記ガイド体53は、摺り切りブラシ54の毛植え部54cに基部が固定されたステンレス板で成るベース材53aと、このベース材53aの内面側に一方の側面が接着されたクッション材53bと、このクッション材53bのベース材53aが連結している側とは反対側の側面に接着された膜体53cとを備えて構成してある。
【0052】
図7,10に示すように、ベース材53aの基部が摺り切りブラシ54の毛植え部54cに固定されている。これにより、ベース材53aは、毛植え部54c、ブラシホルダ54a、ブラシホルダ54aを繰出しケース51に連結している支軸54dを介して、繰出し機構50の機体としての繰出しケース51に固定されている。クッション材53bは、繰出し回転体52の半径方向に弾性変形するようにスポンジによって構成してある。膜体53cは、繰出し回転体52の周面52sに対面するガイド面53dを形成している。ガイド体53のガイド面53dは、摺り切りブラシ54が位置する側の端部に位置する始端Sから、摺り切りブラシ54が位置する側とは反対側の端部に位置する終端Eまでの範囲において、繰出し回転体62の繰出し凹部58に対して閉じ作用して、繰出し凹部58から種籾aがこぼれ出ることを防止する。ガイド体53のガイド面53dの始端Sは、膜体53cの表面のうち、カバー55の繰出し回転体62が位置する側の端部に連設されている粉粒体ガイド60から外れて繰出し回転体52の周面52sに対する対向を開始する箇所である。ガイド体53のガイド面53dの終端Eは、膜体53cの表面のうち、繰出し回転体52の周面52sに対する対向を終える箇所である。膜体53cは、繰出し回転体52の半径方向に弾性変形するように、かつ鉄コーティング処理が行われた種籾aに対してクッション材53bよりも高い耐摩耗性及びクッション材53bよりも低い摩擦抵抗を発揮するようにシート状に成形された超高分子樹脂材によって構成してある。
【0053】
ガイド体53の繰出し凹部58に対する閉じ作用を終える終端Eは、繰出し回転体52の下方であって、繰出し回転体52の回転軸芯Pを通る鉛直線Hと繰出し回転体52の回転軸芯Pを通る水平線Lとの間の箇所に位置させてあり、ガイド体53は、ガイド面53dの終端Eから外れた箇所に、繰出し回転体52のための排出部61を現出している。この排出部61は、受け入れ部57から下降移動した繰出し凹部58が排出部61に到達すると、ガイド面53dの繰出し凹部58に対する閉じ作用が解除されることにより、繰出し凹部58から種籾aを排出させる。
【0054】
播種筒56は、排出部61から落下した種籾aに風が当たることを防止し、排出部61から落下した種籾を圃場の泥土面の設定供給箇所に精度よく位置合わせして落下させ、かつ1つの繰出し凹部58から排出された設定量の種籾aを車体前後方向及び車体横方向に分散しないように纏まった状態で設定供給箇所に落下させる。
【0055】
したがって、粉粒体供給装置20の各繰出し機構50は、回転支軸59が回転駆動されることにより、繰出し回転体52が回転支軸59によって回転方向Fに駆動され、粉粒体タンク24に貯留されている種籾aを繰出し回転体52の繰出し凹部58によって設定量ずつ間欠的に排出部61に繰出し、繰り出した設定量の種籾aを排出部61から自然落下させて圃場の泥土面に供給する。
【0056】
すなわち、繰出し回転体52が駆動されると、各繰出し凹部58は、回転方向Fに回転移動して受け入れ部57及び排出部61を通って上下に移動する。繰出し凹部58が排出部61から上昇移動して受け入れ部57に至ると、繰出し凹部58の開口が上向きになり、粉粒体タンク24から受け入れ部57に流下して滞留している種籾aが繰出し凹部58に自然流下によって流入することにより、繰出し凹部58は、種籾aを受け入れて収容する。種籾aを収容した繰出し凹部58は、受け入れ部57から下降移動して摺り切りブラシ54のブラシ本体54bに至る。摺り切りブラシ54のブラシ本体54bに至った繰出し凹部58は、摺り切りブラシ54のブラシ本体54bによる摺り切り作用を受け、繰出し凹部58に収容している種籾aの量が繰出し凹部58の容量によって決まる設定量あるいはほぼ設定量になるように量調整される。摺り切りブラシ54のブラシ本体54bを通過した繰出し凹部58は、ガイド体53のガイド面53dが位置する箇所を通る。ガイド面53dを通る繰出し凹部58は、繰出し凹部58の開口がガイド面53dによって閉じられており、繰出し凹部58の開口が水平向きや水平向きに近い下向きになっても、収容している種籾aを流出させないで下降移動する。このとき、繰出し凹部58から外部に一部分がはみ出た種籾aがあっても、繰出し凹部58からはみ出た種籾aとガイド面53dの当接によってガイド面53d(膜体53c)およびクッション材53bが繰出し回転体52の周面52sから離れる側に弾性変形し、ガイド体53は、種籾aとガイド面53dの摩擦を緩和させて種籾aの鉄コーティングの剥離を防止する。ガイド体53のガイド面53dを通過した繰出し凹部58は、排出部61に至る。繰出し凹部58が排出部61に至ると、繰出し凹部58の開口が下向きになるとともにガイド体53のガイド面53dが繰出し凹部58に対する閉じ作用を解除していて繰出し凹部58から種籾aが自然に流出することにより、繰出し凹部58は、収容してきた種籾aを排出部61で排出して圃場の泥土面に自然落下によって落下させる。このとき、播種筒56は、排出部61から落下した種籾aに風が当たることを防止し、排出部61から落下した種籾aを圃場の泥土面の設定供給箇所に精度よく位置合わせした状態で、かつ狭い範囲に纏まって落下するように分散させないで落下させる。種籾aの排出を終えた繰出し凹部58は、排出部61から受け入れ部57に向けて上昇移動する。
【0057】
図10に示すように、繰出し回転体52に設けた前記4つの繰出し凹部58が繰出し回転体52の周方向に並ぶ配列は、4つの繰出し凹部58における隣合う一対の繰出し凹部58,58の一方の繰出し凹部58の繰出し回転体回転方向での中心と、他方の繰出し凹部58の繰出し回転体回転方向での中心とが繰出し回転体回転方向Fに設定凹部配列角Aを隔てて並ぶ配列に設定してある。
【0058】
図10に示すように、ガイド体53に設けたガイド面53dの前記始端Sから前記終端Eまでの長さを、前記始端Sと繰出し回転体52の回転軸芯Pとを通る直線L1と、前記終端Eと繰出し回転体52の回転軸芯Pとを通る直線L2とが設定ガイド角Bで交差する長さに設定してある。繰出し回転体52における前記設定凹部配列角Aを、ガイド体53における前記設定ガイド角Bよりも少し大きく、かつ180度よりも小さい大きさの角度に設定してある。
【0059】
したがって、受け入れ部57から排出部61に向けて下降移動する繰出し凹部58に繰出し凹部58から一部がはみ出た種籾aが存在しても、はみ出し種籾aの影響により、はみ出し種籾aが存在する繰出し凹部58より先行して下降移動する繰出し凹部58から種籾aが出てしまうことを回避しやすい。
【0060】
つまり、図10(a)に示すように、先行の繰出し凹部58と後続の繰出し凹部58とが共にガイド面53dに対向しても、先行の繰出し凹部58の開口のうちの繰出し凹部移動方向下手側での一部、及び後続の繰出し凹部58の開口の繰出し凹部移動方向上手側での一部がガイド面53dから外れた状態となる。図10(b)に示すように、後続の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dに対向したとき、先行の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dから既に外れた状態となる。すなわち、後続の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dによって閉じられるのは、先行の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dから外れた後である。
【0061】
先行の繰出し凹部58と後続の繰出し凹部58が共にガイド面53dに対向しても、後続の繰出し凹部58の開口のうちの繰出し凹部移動方向上手側での一部がガイド面53dから外れておれば、後続の繰出し凹部58に繰出し凹部58から一部がはみ出でた種籾aが存在しても、はみ出し種籾aがガイド体53の始端側の端部との当接によって繰出し凹部58の内部のうちの繰出し凹部移動方向上手側に寄せ操作されてガイド面53dに当接しにくくなり、ガイド体53の始端側におけるはみ出し種籾aに起因したガイド面53d(膜体53c)及びクッション材53bの変形が発生しにくくなってこの変形の影響によるガイド体53の終端側におけるガイド面53d(膜体53c)及びクッション材53bの変形も発生しにくくなり、先行の繰出し凹部58とガイド面53dの間に大きな隙間が発生しなくて先行の繰出し凹部58から種籾aが出にくい。
【0062】
後続の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dに対向しても、先行の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dから既に外れていると、後続の繰出し凹部58にはみ出し種籾aが存在してガイド体53の始端側においてガイド面53dに変形が発生し、この変形がガイド体53の終端側に影響してガイド体53の終端側におけるガイド面53dに変形が発生しても、この変形は、先行の繰出し凹部58に影響しない。
【0063】
図7に示すように、カバー55は、ガイド体53と摺り切りブラシ54の間に位置した状態でブラシホルダ54aに支持されており、ガイド体53のクッション材53bの摺り切りブラシ54が位置する側の端部を覆っている。従って、カバー55は、摺り切りブラシ54のブラシ本体54bの毛の間に種籾aが入り込んでも、この種籾aを摺り切りブラシ54に対向しているカバー55の作用面で受け止めて種籾aがクッション材53bに入り込むことを防止する。カバー55は、板状に成形された超高分子樹脂材によって構成してあり、鉄コーティング処理が行われた種籾aに対する耐磨耗性を備えている。
【0064】
図10に示すように、カバー55の繰出し回転体52が位置する側の端部に、粉粒体ガイド60を連設してある。粉粒体ガイド60は、カバー55の端部から繰出し回転体52が位置する側に向かって延出するとともに粉粒体ガイド60の延出端側が繰出し回転体52の周面52sとガイド体53の膜体53cの端部との間に入り込んだ形状を備えて構成されている。したがって、粉粒体ガイド60は、カバー55によって受け止められてカバー55の籾受け面に沿って流下する種籾aを繰出し回転体52とガイド体53のガイド面53dの間に排出するように案内する。粉粒体カイド60は、カバー55に一体成形されていて、超高分子樹脂材によって構成されており、鉄コーティング処理が行われた種籾aに対する耐磨耗性を備えている
【0065】
図7に示すように、繰出し機構50は、繰出しケース51の外部に設けた切り換えレバー70を備えている。切り換えレバー70は、ブラシホルダ54aを繰出しケース51に連結している支軸54dの端部に一体回転自在に連結されており、支軸54dの軸芯まわりにレバーガイド71に沿わせて揺動操作されることにより、支軸54dを回転操作して摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53を一体に作用状態と作用解除状態とに切り換え操作する。
【0066】
図7は、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53が作用状態に切り換え操作された状態を示している。この図に示すように、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53は、切り換えレバー70が支軸54dの軸芯まわり下降操作されて作業位置Wになると、一挙に作用状態になる。すなわち、摺り切りブラシ54は、ブラシ本体54bの毛先が繰出し回転体52の周面52sに沿って位置した取り付け姿勢となり、ブラシ本体54bによって繰出し凹部58に摺り切り作用するよう作用状態になる。ガイド体53は、ガイド面53dが繰出し回転体52の周面52sに沿って位置した取り付け姿勢となり、ガイド面53dによって繰出し凹部58に閉じ作用するよう作用状態になる。カバー55及び粉粒体ガイド60は、カバー55が作用状態の摺り切りブラシ54と作用状態のガイド体53の端部との間に位置するとともに粉粒体ガイド60の延出端部が繰出し回転体52の周面52sとガイド体53の膜体53cの間に入り込んだ取付け姿勢となり、カバー55がクッション材53bの摺り切りブラシ54が位置する側の端部を覆うよう作用状態になり、粉粒体ガイド60が繰出し回転体52とガイド体53の間に位置するよう作用状態になる。この場合、切り換えレバー70がレバーガイド71に設けられた第1の位置決め凹部に係入されることにより、切り換えレバー70は、第1の位置決め凹部によって作業位置Wに保持されて、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53を作用状態に固定する。
【0067】
図9は、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53が作用解除状態に切り換え操作された状態での繰出し機構50を示す縦断側面図である。この図に示すように、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53は、切り換えレバー70が支軸54dの軸芯まわり上昇操作されて排出位置Dになると、一挙に作用解除状態になる。すなわち、摺り切りブラシ54は、ブラシ本体54bが繰出し回転体52の周面52sから離間して繰出し回転体52の外周側を開放した取り付け姿勢となり、カバー55及び粉粒体ガイド60は、繰出し回転体52の周面52sから離間して繰出し回転体52の外周側を開放した取付け姿勢となり、ガイド体53は、ガイド面53dが繰出し回転体52の周面52sから離間して取繰出し回転体52の外周側を開放した取り付け姿勢となる。
【0068】
したがって、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53は、作用解除状態に切り換えられると、繰出し回転体52の外周側に繰出し回転体52の周面52sに沿った排出通路72を形成する。排出通路72は、受け入れ部57と排出部61を連通させ、粉粒体タンク24及び受け入れ部57の残った種籾aを排出部61に流下させ、排出部61から地上に取り出すことを可能にする。この場合、切り換えレバー70がレバーガイド71に設けられた第2の位置決め凹部に係入されることにより、切り換えレバー70は、第2の位置決め凹部によって排出位置Dに保持されて摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53を作用状態に固定する。
【0069】
図2,3,5,7に示すように、粉粒体供給装置20に設けられた6つの繰出し機構50は、繰出し回転体52の回転軸芯Pに沿う方向であって、車体横方向に一列に並ぶ状態で配置されており、粉粒体供給装置20は、各繰出し機構50の繰出しケース51の車体前方側を各繰出し機構50の繰出し回転体52の回転支軸59に沿って車体横方向に通っている一本の伝動軸84を有した伝動装置80を備え、この伝動装置80によってエンジン5からの駆動力を各繰出し機構50の回転支軸59に伝達して各繰出し機構50の繰出し回転体52を駆動する。
【0070】
図2,3,5に示すように、前記伝動装置80は、前記伝動軸84を備える他、粉粒体供給装置20の車体横方向での中央部に設けた入力ケース81と、粉粒体供給装置20の横端部に設けた供給変速機構90と、入力ケース81の前端側と供給変速機構90のギヤケース91の前端側にわたって設けた車体横向きの回転軸82と、前記伝動軸84と各繰出し機構50の回転支軸59にわたって設けたオン・オフ機構85とを備えて構成してある。
【0071】
入力ケース81は、前記回転軸12の駆動力を入力軸81aによって入力し、入力した駆動力を出力ギヤ81bから前記回転軸82に出力する。
【0072】
各繰出し機構50の回転支軸59に装着されたオン・オフ機構85は、伝動軸84に一体回転及び摺動操作自在に設けたクラッチ体88が、伝動軸84に相対回転自在に支持された伝動ギヤ87に設けたクラッチ爪に係合操作されることにより、オン状態に切り換わり、クラッチ体88が伝動ギヤ87のクッチ爪から離脱操作されることにより、オフ状態に切り換わる。
【0073】
各オン・オフ機構85は、オン状態に切り換えられると、伝動軸84の駆動力を回転支軸59に一体回転自在に設けられた繰出し駆動ギヤ86にクラッチ体88及び伝動ギヤ87を介して伝達して、繰出し回転体52を駆動し、オフ状態に切り換えられると、クラッチ体88と伝動ギヤ87の相対回転を可能にして繰出し駆動ギヤ86に対する伝動を絶って、繰出し回転体52を停止させる。
【0074】
図5に示すように、供給変速機構90は、ギヤケース91を備える他、このギヤケース91に収容される第1の伝動ギヤ92及び第2の伝動ギヤ93を備えて構成してある。
【0075】
第1の伝動ギヤ92及び第2の伝動ギヤ93は、回転軸82と伝動軸84とに付け替え自在に構成されるとともに、第1の伝動ギヤ92の外径は、第2の伝動ギヤ93の外径よりも大に設定されており、供給変速機構90は、第1の伝動ギヤ92及び第2の伝動ギヤ93が回転軸82と伝動軸84とに付け替えられることにより、高速状態と低速状態とに切り換わる。
【0076】
図6は、供給変速機構90が高速状態に切り換えられた状態での伝動装置80を示す線図である。この図に示すように、供給変速機構90は、第1の伝動ギヤ92が回転軸82に取付けられ、第2の伝動ギヤ93が伝動軸84に取付けられることにより、高速状態に切り換わり、回転軸82の駆動力を第1の伝動ギヤ92と第2の伝動ギヤ93とによって増速して伝動軸84に出力し、6つのオン・オフ機構85がオン状態に切り換えられることにより、増速後の駆動力を6つの繰出し機構50の繰出し回転体52に伝達する。
【0077】
図5は、供給変速機構90が低速状態に切り換えられた状態での伝動装置80を示す線図である。この図に示すように、供給変速機構90は、第1の伝動ギヤ92が伝動軸84に取付けられ、第2の伝動ギヤ93が回転軸82に取付けられることにより、低速状態に切り換わり、回転軸82の駆動力を第2の伝動ギヤ93と第1の伝動ギヤ92とによって減速して伝動軸84に出力し、6つのオン・オフ機構85がオン状態に切り換えられることにより、減速後の駆動力を6つの繰出し機構50の繰出し回転体52に伝達する。
【0078】
したがって、伝動装置80は、供給変速機構90が低速状態に切り換えられることにより、入力軸81aによって入力ケース81の入力した駆動力を供給変速機構90によって低速の駆動力に変速して伝動軸84に伝達し、6つの繰出し機構50のうちのオン・オフ機構85がオン状態に切り換えられている繰出し機構50の繰出し回転体52を低速回転で駆動し、オン・オフ機構85がオン状態に切り換えられている繰出し機構50に点播の状態で種籾aを圃場に供給させる。
【0079】
伝動装置80は、供給変速機構90が高速状態に切り換え操作されることにより、入力軸81aによって入力ケース81に入力した駆動力を供給変速機構90によって高速の駆動力に変速して伝動軸84に伝達し、6つの繰出し機構50のうちのオン・オフ機構85がオン状態に切り換えられている繰出し機構50の繰出し回転体52を高速回転で駆動し、オン・オフ機構85がオン状態に切り換えられている繰出し機構50に点播の間隔が小間隔の状態で種籾を圃場に供給させる。
【0080】
供給変速機構90は、6つの繰出し機構50のうちの繰出し回転体52の回転軸芯Pに沿う方向での最も端に位置する最端の繰出し機構50に対して6つの繰出し機構50のうちの最端の繰出し機構50を除く他の繰出し機構50が位置する側とは反対側に配置してある。
【0081】
したがって、供給変速機構90の変速操作を行なう場合、ギヤケース91の分割ケースを開いた状態にして第1の伝動ギヤ92及び第2の伝動ギヤ93を回転軸82及び伝動軸84に付け替える作業を粉粒体供給装置20の横外側から容易にかつ能率よく行なうことができる。
【0082】
図8に示すように、繰出し機構50の繰出し回転体52は、前記4つの繰出し凹部58が設けられた繰出し回転体本体52aと、4つの繰出し凹部58に各別に係入する4つの容量調整バー58aが設けられた容量調整体52bとを備えて構成してある。容量調整体52bの内周側に設けてある操作ネジ部が、回転支軸59に相対回転自在に外嵌した調整筒軸65の外周側に設けた送りネジ部65aに係合しており、容量調整体52bは、調整筒軸65が回転操作されることにより、送りネジ部65aによる送り作用によって繰出し回転体本体52aに対して移動操作されて各容量調整バー58aを繰出し凹部58に対して摺動させ、各容量調整バー58aの繰出し凹部58に対する入り込み長さを変更して繰出し凹部58の容量を変更する。繰出し回転体52が粉粒体タンク24から種籾aを設定量ずつ繰り出すその設定量は、繰出し凹部58の容量によって設定される。
【0083】
図5,8に示すように、各繰出し機構50の調整筒軸65は、この調節筒軸65の端部に一体回転自在に設けられた調整ギヤ66を有したキヤ機構を介して、車体横向きの一本の調整操作軸67に連動されている。つまり、調整操作軸67の端部に設けられた調整ハンドル68によって調整操作軸67が回転操作されることにより、6つの繰出し機構50における繰出し回転体52の各繰出し凹部58による種籾aの繰出し量が一挙に変化する。
【0084】
図7,8に示すように、播種筒56は、播種筒56が繰出しケース51に装着された状態において、播種筒56の左右の横壁体56aが鉛直姿勢の壁体になり、播種筒56の前壁体56b及び後壁体56cが下端側ほど上端側よりも播種筒56の外側に位置した傾斜姿勢の傾斜壁体になる筒構造を備えて構成してある。
【0085】
播種筒56の前壁体56bは、繰出し回転体52から落下した種籾aが繰出し回転体52の回転によって付与された動慣性によって繰出し回転体52から車体前方向きに落下することがあっても、下端側ほど車体前方側に位置した前壁体56bの傾斜姿勢により、種籾aに触れないで種籾aを落下させる。
【0086】
播種筒56は、播種筒56の上端部の左右側に設けられた連結突起56dと、繰出しケース51の下端部の左右側に設けられたフック51gとによって繰出しケース51に脱着自在に取付けられる。後壁体56cは、播種筒56が前後向きを逆にして繰出しケース51に取付けられた場合、下端側ほど車体前方側に位置した前壁体となり、種籾aに触れないで種籾aを落下させる。
【0087】
図3に示すように、粉粒体供給装置20の前端部に回転検出センサ100を設けてある。回転検出センサ100は、入力ケース81を回転検出センサ100のための支持部材に利用するように入力ケース81の前端側に支持させてある。回転検出センサ100は、入力ケース81の入力軸81aの回転状態を検出し、検出結果を自走車の運転部10に設けられた表示装置101(図1参照)に出力する。表示装置101は、回転検出センサ100からの情報を基に、粉粒体供給装置20における繰出し機構50の駆動が開始されたこと、及び粉粒体供給装置20における繰出し機構50が停止されたことを表示する。
【0088】
回転検出センサ100は、入力軸81aを検出対象の部材として粉粒体供給装置20に設けられている。したがって、粉粒体供給装置20の機体フレーム21とリンク機構4とにわたって設けられた連結機構が連結解除状態に切り換え操作されることによって粉粒体供給装置20が自走車から取り外され、入力軸81aと回転軸12とにわたって設けられたクラッチ機構102(図3,5参照)によって入力軸81aが回転軸12から切り離された場合、回転検出センサ100を粉粒体供給装置20に取り付けたままにできて、回転検出センサ100を取り外す手間が不要となる。回転検出センサ100は、6つの繰出し機構50を各別に駆動状態と停止状態に切り換える少数条クラッチよりも伝動方向上手側において回転を検出することにより、6つの繰出し機構50のうちの一部の繰出し機構50が停止されたことの影響を受けないで検出作動する。
【0089】
図11(a)は、別の実施形態を備えた繰出し機構50を示す断面図である。この図に示すように、別の実施構造を備えた繰出し機構50では、ガイド体53、カバー50、粉粒体ガイド60及び摺り切りブラシ54を繰出しケース51に支軸54dを介して脱着自在に支持された状態で備えている。
【0090】
図11(b)は、ガイド体53、カバー50、粉粒体ガイド60及び摺り切りブラシ54が取り外された状態での繰出し機構50を示す縦断側面図である。この図に示すように、支軸54を摺り切りブラシ54の毛植え部54cから抜き外して繰出しケース51から取り外したガイド体53、カバー50、粉粒体ガイド60及び摺り切りブラシ54を繰出しケース51に設けられたメンテナンス開口104を介して繰出しケース51から取り出すことにより、繰出し回転体50の周辺を開放でき、繰出し回転体50の外周側に受け入れ部57と排出部61とを連通させた排出通路72を現出させて、粉粒体タンク24及び受け入れ部57に残留した種籾aを排出通路72から取り出すことができ、あるいは、繰出し回転体50をメンテナンス開口104から点検や清掃することができる。メンテナンス開口104は、脱着自在な蓋体103によって開閉するようになっている。
【0091】
〔別の実施形態〕
(1)クッション材53bとしは、スポンジの他、軟質のゴムやスプリングなどを採用して実施してもよい。
【0092】
(2)膜体53cとしては、クッション材とは別に作製してクッション材に取付けられたものの他、クッション材に対するコーティング処理によってクッション材に取付けられたものを採用して実施してもよい。
【0093】
(3)ガイド体53、カバー55、粉粒体ガイド60及び摺り切りブラシ54を一挙に脱着する構成に換え、ガイド体53、カバー55、粉粒体ガイド60及び摺り切りブラシ54を各別に脱着する構成を採用して実施してもよい。
【0094】
(4)繰出し回転体52における設定凹部配列角Aをガイド体53における設定ガイド角Bと等しい大きさの角度に設定しても実施してもよい。この場合も、本発明の目的を達成することができる。
【0095】
(5)上記した実施形態では、繰出し回転体52に4つの繰出し凹部58を設けていることにより、繰出し回転体52における設定凹部配列角Aの上限を180度よりも小さい角度に設定している。繰出し回転体52に2つの繰出し凹部58を設けて実施する場合、繰出し回転体52における設定凹部配列角Aの上限を180度に設定して実施することにより、本発明の目的を達成することができる。
【0096】
(6)鉄コーティング処理が行われた種籾aは、カルパコーティング処理が行われた種籾、及び鉄コーティング処理やカルパコーティング処理が行われていない種籾よりも比重が大であり、また鳥に啄ばまれない特性を備えている。従って、鉄コーティング処理が行われた種籾aを供給対象の種子として構成した粉粒体供給装置の場合、供給間隔の面、及び種子の泥土面での纏まりの面においてより点播精度がよい点播の状態での種子供給を行うことができて有利であり、かつ圃場に供給された種籾を埋める必要がなくて有利である。しかし、カルパコーティング処理が行われた種籾やコーティング処理が行われていない種籾を供給対象物として構成して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
(1)6つの繰出し機構50を備えて、6条の種子供給を行なう粉粒体供給装置20の他、8つの繰出し機構50を備えて、8条の種子供給を行なう粉粒体供給装置など、種子供給の可能な条数が6条以外の粉粒体供給装置にも本発明は利用できる。
【0098】
(2)種籾を供給対象物とした粉粒体供給装置の他、種籾以外の各種の種子及び粉粒状の肥料や薬剤を供給対象物とした粉粒体供給装置にも本発明は利用できる。
【符号の説明】
【0099】
24 タンク
50 繰出し機構
52 繰出し回転体
52s 繰出し回転体の周面
53 ガイド体
53a ベース材
53b クッション材
53c 膜体
53d ガイド面
61 排出部
57 受け入れ部
58 繰出し凹部
90 供給変速機構
A 設定凹部配列角
B 設定ガイド角
E 作用面の終端
L1 ガイド面の始端と繰出し回転体の回転軸芯を通る直線
L2 ガイド面の終端と繰出し回転体の回転軸芯を通る直線
P 繰出し回転体の回転軸芯
S 作用面の始端
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクから粉粒体を繰出し機構によって設定量ずつ間欠的に繰出し、前記繰出し機構によって繰出された粉粒体を自然落下によって圃場に供給し、前記繰出し機構を、周面に複数の繰出し凹部が周方向に並べて形成された駆動回転自在な繰出し回転体を備えて構成してある粉粒体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した粉粒体供給装置では、繰出し回転体の上方に繰出し凹部が粉粒体を受け入れる受け入れ部を設け、繰出し回転体の回転によって繰出し凹部が受け入れ部を通って上下に回動移動し、繰出し凹部が受け入れ部に位置すると、繰出し凹部に粉粒体が流入し、繰出し凹部が受け入れ部から下降移動すると、繰出し凹部から粉粒体が流出することにより、繰出し機構がタンクから粉粒体を設定量ずつ間欠的に繰出すように構成される。
【0003】
この種の粉粒体供給装置において、繰出し凹部が受け入れ部から下降移動していくに伴って繰出し凹部の開口が上向きから水平向きに、水平向きから下向きに順次に変化していくのであり、繰出し凹部の開口が水平向きに近い向きになることに起因して繰出し凹部から粉粒体が流出し始めることになる場合、繰出し凹部が受け入れ部から下降移動した距離が短いうちから粉粒体が少しずつ流出し始めて、繰出し凹部が受け入れた粉粒体の全量を排出するのに比較的時間が掛かる状態となり、圃場に落下供給された粉粒体は、粉粒体供給装置の移動方向に比較的長く分散した状態、いわゆる条播や条播に近い状態で供給されることになる。
【0004】
従来、たとえば特許文献1に示される粉粒体供給装置があった。特許文献1に示されたものにあっては、図5に示されるように、繰出し回転体の周面に沿って位置するガイドプレートを備えている。ガイドプレートは、受け入れ部から所定距離を下降移動するまでの繰出し凹部に対して閉じ作用し、受け入れ部から所定距離を越えて下降移動した繰出し凹部に対して閉じ作用を解除する。
【0005】
特許文献1に記載された技術を適用すれば、圃場に落下供給された粉粒体が、粉粒体供給装置の移動方向での比較的狭い範囲に纏まって供給される状態、いわゆる点播の状態で粉粒体を圃場に供給させることが可能となる。
【0006】
すなわち、ガイドプレートの繰出し回転体の周面に対面するガイド面の繰出し回転体周方向での長さを適切に設定すれば、繰出し回転体の下方に繰出し凹部のための排出部を受け入れ部から所定距離だけ離れた状態で現出させ、受け入れ部から下降移動する繰出し凹部が排出部に到達するまでは、繰出し凹部の開口が水平向きに近い向きや水平向きになっても、繰出し凹部がガイドプレートによって閉じられていて繰出し凹部から粉粒体が流出せず、受け入れ部から下降移動した繰出し凹部が排出部に到達すれば、繰出し凹部の開口が下向きになるとともにガイドプレートによる繰出し凹部の閉じが解除され、繰出し凹部から粉粒体が比較的一時に流出して落下するようにできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−49312号公報(段落〔0013〕、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
圃場に供給する粉粒体として、鉄粉によるコーティング処理が行われた種籾(以下、鉄コーティング籾と称する。)を採用されることがある。鉄コーティング籾は、鳥のついばみを受けないことから、圃場に供給した後の覆土を省略できるなど有利に供給することができる。ところが、上記した従来のガイドに関する技術を適用したものの場合、鉄コーティング籾の供給が行なわれると、繰出し凹部に入った鉄コーティング籾の詰まり具合や姿勢などに起因して、鉄コーティング籾の一部分が繰出し凹部から外部にはみ出た状態になると、鉄コーティング籾にガイドプレートとの接触によるコーティングの剥離が発生することがあった。
【0009】
本発明の目的は、点播の状態での粉粒体供給を行なうことができるのみならず、鉄コーティング処理が行われた種籾の如き粉粒体の場合でもコーティング剥離などのトラブルを回避しやすい粉粒体供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本第1発明は、タンクから粉粒体を繰出し機構によって設定量ずつ間欠的に繰出し、前記繰出し機構によって繰出された粉粒体を自然落下によって圃場に供給し、前記繰出し機構を、周面に複数の繰出し凹部が周方向に並べて形成された駆動回転自在な繰出し回転体を備えて構成してある粉粒体供給装置において、
前記繰出し回転体の上方に前記繰出し凹部が粉粒体を受け入れるように設けた受け入れ部から下降移動する前記繰出し凹部に閉じ作用するように前記繰出し回転体の周面に沿って位置するガイド体を設け、
前記ガイド体を、前記繰出し回転体の下方において前記繰出し凹部に対する閉じ作用を解除して、前記繰出し凹部が粉粒体を排出する排出部を前記繰出し回転体の下方に現出するように構成し、
前記ガイド体の前記繰出し回転体の周面に対面するガイド面を、前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在に構成し、
前記繰出し回転体の前記複数の繰出し凹部における隣り合う一対の繰出し凹部の一方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心と、他方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心とが、繰出し回転体回転方向に設定凹部配列角を隔てて並ぶように前記複数の繰出し凹部を配置し、
前記ガイド体における前記ガイド面の始端と前記繰出し回転体の回転軸芯を通る直線と、前記ガイド面の終端と前記繰出し回転体の回転軸芯を通る直線とが、設定ガイド角で交差するように前記ガイド面の繰出し回転体回転方向での長さを設定し、
前記繰出し回転体における前記設定凹部配列角を前記ガイド体における前記設定ガイド角以上で180度以下の大きさの角度に設定してある。
【0011】
本第1発明の構成によると、ガイド体のガイド面の繰出し回転体周方向での長さを適切な長さに設定することにより、繰出し回転体の下方に排出部を受け入れ部から適切な距離で離れて位置する状態で現出させ、繰出し凹部が受け入れ部から下降移動して繰出し凹部の開口が水平向きに近い向きや水平向きになっても、繰出し凹部が排出部に到達するまでは、繰出し凹部がガイド体のガイド面によって閉じられていて繰出し凹部から粉粒体が流出せず、受け入れ部から下降移動した繰出し凹部が排出部に到達することにより、繰出し凹部の開口が下向きになるとともにガイド体のガイド面による繰出し凹部の閉じが解除され、繰出し凹部から粉粒体が比較的一時に流出して落下するようにできる。
【0012】
鉄コーティング籾の如き種子の供給が行なわれる場合など、繰出し凹部から一部分が外部にはみ出た粉粒体が発生するなどにより、粉粒体とガイド体のガイド面の比較的強い当接が発生しても、ガイド面を繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在に構成してあることにより、ガイド面が変形して粉粒体とガイド面の強い摩擦が緩和されるようにできる。
【0013】
本第1発明の構成によると、受け入れ部から排出部に向けて下降移動する繰出し凹部に繰出し凹部から一部がはみ出た粉粒体が存在しても、はみ出し粉粒体の影響により、はみ出し粉粒体が存在する繰出し凹部より先行して下降移動する繰出し凹部から粉粒体が出てしまうことを回避しやすい。
【0014】
つまり、先行の繰出し凹部の開口の全体も後続の繰出し凹部の開口の全体もガイド面によって閉じられる状態で先行の繰出し凹部と後続の繰出し凹部が共にガイド面に対向する事態が発生する場合、後続の繰出し凹部に繰出し凹部から一部がはみ出た粉粒体が存在し、はみ出し粉粒体のためにガイド体の始端側において発生したガイド面の変形の影響によってガイド体の終端側においてもガイド面の変形が発生することがあると、そしてガイド体の終端側におけるガイド面の変形が大きくなることがあると、先行の繰出し凹部とガイド面の隙間が大になって先行の繰出し凹部から粉粒体が出てしまうことがある。
【0015】
本第1発明の構成によると、隣り合う一対の繰出し凹部の一方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心と、他方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心とが、繰出し回転体回転方向に設定凹部配列角を隔てて並ぶように複数の繰出し凹部を配置し、ガイド体におけるガイド面の始端と繰出し回転体の回転軸芯を通る直線と、ガイド面の終端と繰出し回転体の回転軸芯を通る直線とが、設定ガイド角で交差するようにガイド面の繰出し回転体回転方向での長さを設定し、繰出し回転体における設定凹部配列角をガイド体における設定ガイド角以上で180度以下の大きさの角度に設定してあるから、先行の繰出し凹部と後続の繰出し凹部が共にガイド面に対向しても、後続の繰出し凹部の開口のうちの繰出し凹部移動方向上手側での一部がガイド面から外れている状態を現出でき、かつ後続の繰出し凹部の開口の全体がガイド面に対向したときには、先行の繰出し凹部の開口の全体がガイド面から既に外れている状態を現出できる。すなわち、先行の繰出し凹部の開口の全体がガイド面に対向している間、後続の繰出し凹部がガイド面にまだ対向していない状態、あるいは後続の繰出し凹部がガイド面に対向しても、後続の繰出し凹部の開口の全体がまだガイド面に対向しておらず、後続の繰出し凹部の開口のうちの繰出し凹部移動方向上手側での一部がガイド面から外れている状態を現出できる。
【0016】
先行の繰出し凹部の開口の全体がガイド面に対向していても、後続の繰出し凹部の開口の全体がガイド面にまだ対向していないと、後続の繰出し凹部にはみ出し粉粒体が存在しても、はみ出し粉粒体がガイド面に当接しなくてガイド体の始端側におけるガイド面の変形が発生せず、ガイド体の終端側においても後続の繰出し凹部におけるはみ出し粉粒体に起因したガイド面の変形が発生せず、先行の繰出し凹部とガイド面の間に大きな隙間が発生しない。
【0017】
先行の繰出し凹部と後続の繰出し凹部が共にガイド面に対向しても、後続の繰出し凹部の開口のうちの繰出し凹部移動方向上手側での一部がガイド面から外れておれば、後続の繰出し凹部にはみ出し粉粒体が存在しても、はみ出し粉粒体がガイド体の端部との当接によって繰出し凹部の内部のうちの繰出し凹部移動方向上手側に寄せ操作されてガイド面に当接しにくくなり、ガイド体の始端側におけるはみ出し粉粒体に起因したガイド面の変形が発生しにくくなってガイド体の終端側におけるガイド面の変形も発生しにくくなり、先行の繰出し凹部とガイド面の間に大きな隙間が発生しない。
【0018】
後続の繰出し凹部の開口の全体がガイド面に対向しても、先行の繰出し凹部の開口の全体がガイド面から既に外れていると、後続の繰出し凹部にはみ出し粉粒体が存在してガイド体の始端側におけるいガイド面に変形が発生し、この変形がガイド体の終端側に影響してガイド体の終端側におけるガイド面に変形が発生しても、この変形は、先行の繰出し凹部に影響しない。
【0019】
従って、受け入れ部から下降移動した繰出し凹部による粉粒体の排出を受け入れ部から比較的離れた排出部で比較的一時に行わせて、粉粒体を点播精度のよい点播の状態で圃場に供給することができ、さらに、鉄コーティング籾の如き粉粒体の供給を行なう場合でも、粉粒体とガイド面の強い摩擦の発生を回避してコーティング剥離の如き粉粒体損傷が生じにくい状態で粉粒体を供給することができる。しかも、後続の繰出し凹部にはみ出し粉粒体が発生しても、はみ出し粉粒体の影響によって先行の繰出し凹部から粉粒体が出てしまうことを回避しやすく、この面からも点播精度がよい点播の状態で粉粒体を供給することができる。
【0020】
本第2発明は、前記繰出し機構の機体側に固定されるベース材と、前記ガイド面を形成するとともに前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在な膜体と、前記膜体を受け止め支持するように前記膜体と前記ベース材の間に介在するとともに前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在なクッション材とを備えて、前記ガイド体を構成してある。
【0021】
本第2発明の構成によると、鉄コーティング籾の如き種子の供給が行なわれる場合など、繰出し凹部から一部分がはみ出た粉粒体が発生するなどにより、粉粒体とガイド体のガイド面の比較的強い当接が発生しても、ガイド面を弾性変形自在な膜体によって形成してあり、膜体を弾性変形自在なクッション材によって支持させてあることにより、膜体及びクッション材が変形して粉粒体とガイド面の強い摩擦が効果的に緩和されるようにできる。
【0022】
粉粒体とガイド面の当接によるガイド体側の変形を容易にさせる特性をクッション材に備えさせる結果、クッション材が耐摩耗性の低いものになっても、ガイド面に高い耐摩耗性を膜体によって備えさせて、ガイド面が早期に摩滅することを防止しながら、ガイド体の粉粒体との当接による弾性変形を容易に発生させることができる。
【0023】
従って、受け入れ部から下降移動した繰出し凹部からの粉粒体の排出を受け入れ部から比較的離れた排出部で比較的一時に行わせて、粉粒体を精度のよい点播の状態で圃場に供給することができ、さらに、鉄コーティング籾の如き粉粒体の供給を行なう場合でも、粉粒体とガイド面の強い摩擦の発生を膜体及びクッション材の弾性変形によって回避してコーティング剥離の如き粉粒体の損傷が生じにくい状態で粉粒体を供給することができる。
【0024】
本第3発明では、前記ガイド体が脱着自在に支持されている。
【0025】
本第3発明の構成によると、ガイド体を取り外すことにより、繰出し回転体の周面付近を開放することができる。
【0026】
従って、繰出し回転体を清掃や点検するなどの作業を行うに当り、繰出し回転体を繰出し機構に装着したままにしても、繰出し回転体の周面付近を開放して楽にかつ能率よく行うことができる。
【0027】
本第4発明では、前記繰出し回転体の駆動速度を変更する供給変速機構を設けてある。
【0028】
本第4発明の構成によると、繰出し回転体の駆動速度を供給変更機構によって低速側に変更することによって点播の間隔を所定間隔に調整したり、繰出し回転体の駆動速度を供給変更機構によって高速側に変更することによって点播の間隔を小間隔側に調整したりすることができる。
【0029】
従って、点播の間隔を所定間隔に調整して点播精度がよい点播の状態で粉粒体を供給させたり、点播の間隔を小間隔側に調整して条播の如き状態で粉粒体を供給させたりすることができる。
【0030】
本第5発明では、前記繰出し機構の複数個を前記繰出し回転体の回転軸芯に沿う方向に並べて設け、前記供給変速機構の出力が前記複数個の繰出し機構の前記繰出し回転体に伝達されるように構成するとともに前記供給変速機構を前記複数個の繰出し機構のうちの前記回転軸芯に沿う方向での最も端に位置する最端の繰出し機構に対して前記複数個の繰出し機構のうちの前記最端の繰出し機構を除く他の繰出し機構が位置する側とは反対側に配置してある。
【0031】
本第5発明の構成によると、供給変速機構を繰出し機構に極力寄せてコンパクトに設けても、供給変速機構に対して繰出し機構が位置する側とは反対側から繰出し機構による障害を受けないで供給変速機構を操作することができる。
【0032】
従って、供給変速機構を繰出し機構に極力寄せたコンパクトな状態を得ることができるものでありながら、繰出し機構による障害を受けないで供給変速機構を楽にかつ容易に操作して点播の間隔調整を能率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】水田作業車の全体を示す側面図である。
【図2】粉粒体供給装置を示す後面図である。
【図3】粉粒体供給装置を示す側面図である。
【図4】粉粒体供給装置の一部を示す後面図である。
【図5】供給変速機構が低速状態に切り換えられた状態での伝動装置を示す線図である。
【図6】供給変速機構が高速状態に切り換えられた状態での伝動装置を示す線図である。
【図7】繰出し機構を示す縦断側面図である。
【図8】繰出し機構を示す縦断後面図である。
【図9】摺り切りブラシ、カバー、粉粒体ガイド及びガイド体が作用解除状態に切り換え操作された状態での繰出し機構を示す縦断側面図である。
【図10】ガイド体の長さ、繰出し凹部の配置及びガイド体の作用を示す説明図である。
【図11】(a)は、別の実施形態を備えた繰出し機構示す縦断側面図、(b)は、別の実施形態の繰出し機構のガイド体が取り外された状態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態に係る粉粒体供給装置20が装備された水田作業車の全体を示す側面図である。この図に示すように、水田作業車は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前車輪1,1と左右一対の駆動自在な後車輪2,2とによって自走する自走車と、この自走車の車体フレーム3の後部にリンク機構4を介して連結された粉粒体供給装置20と、この粉粒体供給装置20の機体フレーム21に支柱31を介して取り付けられた薬剤散布装置30と、自走車の車体後部に位置する肥料タンク41が装備された施肥装置40とを備えて構成してある。
【0036】
自走車は、車体フレーム3の前部に設けたエンジン5を備え、このエンジン5が出力する駆動力を車体前部に位置するミッションケース6に入力し、このミッションケース6に入力した駆動力をミッションケース6の内部に位置する走行ミッションから前輪駆動ケース7に伝達して左右一対の前車輪1,1を駆動し、ミッションケース6に入力したエンジン5からの駆動力を前記走行ミッションから回転軸8を介して車体後部に位置する後輪駆動ケース9に伝達して左右一対の後車輪2,2を駆動する。自走車は、車体後部に設けた運転座席10aを有した運転部10を備え、この運転部10に搭乗して運転するように乗用型になっている。自走車は、前記ミッションケース6に入力したエンジン5からの駆動力を、ミッションケース6の内部に位置する作業ミッションから車体フレーム3の下方に位置する回転軸11と、この回転軸11の後端部から車体後方向きに延出した回転軸12とを介して粉粒体供給装置20の入力ケース81に伝達する。
【0037】
リンク機構4は、車体フレーム3とリンク機構4のロワーリンク4aの後端側とに連結された油圧シリンダ13を備え、この油圧シリンダ13によって車体フレーム3に対して上下に揺動操作されることにより、粉粒体供給装置20を、粉粒体供給装置20の下部に車体横方向に並んで位置する4つの接地フロート23が圃場に接地した下降作業位置と、各接地フロート23が圃場から上昇した上昇非作業位置とに昇降操作する。
【0038】
水田作業車は、粉粒体供給装置20を下降作業位置に下降させて自走車を走行させると、粉粒体供給装置20により、稲用の種子であって、鉄コーティング処理が行われた種籾aを圃場に6条で供給する播種作業を行い、施肥装置40により、各条の種籾aに対する肥料供給を行なう施肥作業を行ない、薬剤散布装置30により雑草防止の薬剤を圃場に散布する薬剤散布作業を行なう。
【0039】
粉粒体供給装置20について説明する。
図2は、粉粒体供給装置20を示す後面図である。図3は、粉粒体供給装置20を示す側面図である。図4は、粉粒体供給装置20の一部を示す後面図である。これらの図及び図1に示すように、粉粒体供給装置20は、前記リンク機構4に連結された前記機体フレーム21、及び機体フレーム21の下部に取付けられた前記4つの接地フロート23を備える他、機体フレーム21の後部の上方に車体横方向に一列に並んで位置する左右一対の粉粒体用のタンク24,24(以下、粉粒体タンク24と称する。)と、機体フレーム21の後部に取付けられた6つの繰出し機構50とを備えて構成してある。
【0040】
左右一対の粉粒体タンク24は、タンク本体24aと、タンク本体24aの上端部に位置する開口を開閉するようタンク本体24aに揺動開閉自在に支持された蓋体24bとを備えて構成してある。
【0041】
6つの繰出し機構50は、左右一対の粉粒体タンク24,24それぞれのタンク本体24aの下部に3個の繰出し機構50が連結された状態で、かつ6個の繰出し機構50が車体横方向に一列に並んだ状態で機体フレーム21に支持されている。
【0042】
粉粒体供給装置20は、左側の粉粒体タンク24に貯留された種籾aを左側の3つの繰出し機構50によって粉粒体タンク24から設定量ずつ間欠的に繰出し、右側の粉粒体タンク24に貯留された種籾を右側の3つの繰出し機構50によって粉粒体タンク24から設定量ずつ間欠的に繰出し、各繰出し機構50が繰出した種籾aを接地フロート23によって整地された圃場に落下させることにより、圃場に6条の種籾aの供給を行い、各条において、繰出し機構50が間欠的に落下供給する設定量の種籾aが粉粒体供給装置20の移動方向すなわち自走車の移動方向での狭い範囲に纏まって圃場に落下するように点播の状態で供給する。
【0043】
図1,2,5に示すように、粉粒体供給装置20は、車体左側の2つの接地フロート23,23の間及び車体右側の2つの接地フロート23,23の間に1つずつ位置する配置で機体フレーム21の下部に取付けられた左右一対の溝切り体25,25を備えており、自走車の左側の後車輪2が通過した後の圃場に左側の溝切り体25によって排水溝を形成していき、自走車の右側の後車輪2が通過した後の圃場に右側の溝切り体25によって排水溝を形成していき、播種作業後の圃場に残留する泥水を排水溝に流入させて、播種作業後の圃場における水抜きを行なう。
【0044】
施肥装置40について説明する。
図1,2,3に示すように、施肥装置40は、前記肥料タンク41を備える他、この肥料タンク41の下部に連設された肥料繰出し機構42、この肥料繰出し機構42の肥料排出部に送風管43を介して接続された電動ブロワ44を備えて構成してある。肥料繰出し機構42は、車体横方向に並んだ6つの肥料排出口を備えている。肥料繰出し機構42の各肥料排出口は、粉粒体供給装置20の下部に車体横方向に並んで位置する6つの作溝施肥器45(図2参照)のうちの対応する一つに肥料供給ホース46を介して接続されている。肥料繰出し機構42は、走行トランスミッションからの駆動力を後輪駆動ケース9に伝達する伝動系統から取り出した駆動力によって駆動される。
【0045】
施肥装置40は、肥料タンク41に貯留された粒状の肥料を肥料繰出し機構42によって肥料タンク41から各肥料排出口に繰出し、各肥料排出口に繰出した肥料を電動ブロワ44によって供給される搬送風によって肥料供給ホース46に供給する。各肥料供給ホース46は、供給された肥料を電動ブロワ44からの搬送風によって対応する作溝施肥器45に供給する。各作溝施肥器45は、粉粒体供給装置20によって供給された種籾aの近くで圃場に溝を形成し、形成した溝に肥料供給ホース46からの肥料を供給する。したがって、施肥装置40は、粉粒体供給装置20が6条の播種作業を行なうに伴い、圃場に供給された各条の種籾aの横側近くに肥料を供給していく。
【0046】
薬剤散布装置30は、前記支柱31の上端部に散布機ケース32が連結された電動散布機33と、電動散布機33の上部に取付けられた薬剤タンク34とを備えて構成してあり、薬剤タンク34に貯留された薬剤を電動散布機33によって薬剤タンク34から取り出して圃場に散布する。
【0047】
粉粒体供給装置20の繰出し機構50について説明する。粉粒体供給装置20の6つの繰出し機構50は、同じ構成を備えている。
【0048】
図7は、繰出し機構50を示す縦断側面図である。図8は、繰出し機構50を示す縦断後面図である。これらの図及び図2,3,4に示すように、繰出し機構50は、粉粒体タンク24のタンク本体24aの下部に設けられたホッパー部24cに上端部が連結された繰出しケース51と、この繰出しケース51の内部に車体横向きの回転軸芯Pまわりに駆動回転自在に設けた繰出し回転体52と、繰出しケース51の内部に繰出し回転体52の車体後方側に配置して設けたガイド体53と、繰出しケース51の内部のガイド体53の上端側の近くにブラシホルダ54aを介して取り付けた摺り切りブラシ54と、ブラシホルダ54aに基端側が固定されたカバー55と、繰出しケース51の下端部に上端部が連結された播種筒56とを備えて構成してある。
【0049】
繰出しケース51は、前壁51a、後壁51b及び左右一対の横壁51c、51cを備えて構成されており、車体上下向きの筒形になっている。繰出しケース51は、前壁51aの外面側に設けられた連結部51dにおいて機体フレーム21の車体横向きの支持バー部21aに連結ボルト21bによって脱着自在に連結されている。繰出しケース51は、前壁51aの内面側及び左右一対の横壁51c、51cの内面側にわたって一体成形された供給ガイド片51eと、摺り切りブラシ54のブラシ本体54bとよって繰出し回転体52の上方に繰出し回転体52のための受け入れ部57を形成している。この受け入れ部57は、粉粒体タンク24の底部に設けられた供給孔24dを介して粉粒体タンク24から流下した種籾aを繰出し回転体52の上側に滞留させ、受け入れ部57に位置した繰出し回転体52の繰出し凹部58に種籾aを自然流下によって流入させることにより、繰出し凹部58の種籾aの受け入れを行なわせる。
【0050】
繰出し回転体52は、繰出しケース51の左右一対の横壁51c,51cが備える支持部51fに回転支持された車体横向きの六角軸で成る回転支軸59に一体回転自在に支持されており、この回転支軸59によって回転支軸59が備える車体横向きの回転軸芯Pまわりに回転方向F(図7参照)に回転駆動される。繰出し回転体52は、繰出し回転体52の周面52sに繰出し回転体52の周方向に並べて設けられた4つの前記繰出し凹部58を備えている。
【0051】
図7に示すように、前記ガイド体53は、摺り切りブラシ54の毛植え部54cに基部が固定されたステンレス板で成るベース材53aと、このベース材53aの内面側に一方の側面が接着されたクッション材53bと、このクッション材53bのベース材53aが連結している側とは反対側の側面に接着された膜体53cとを備えて構成してある。
【0052】
図7,10に示すように、ベース材53aの基部が摺り切りブラシ54の毛植え部54cに固定されている。これにより、ベース材53aは、毛植え部54c、ブラシホルダ54a、ブラシホルダ54aを繰出しケース51に連結している支軸54dを介して、繰出し機構50の機体としての繰出しケース51に固定されている。クッション材53bは、繰出し回転体52の半径方向に弾性変形するようにスポンジによって構成してある。膜体53cは、繰出し回転体52の周面52sに対面するガイド面53dを形成している。ガイド体53のガイド面53dは、摺り切りブラシ54が位置する側の端部に位置する始端Sから、摺り切りブラシ54が位置する側とは反対側の端部に位置する終端Eまでの範囲において、繰出し回転体62の繰出し凹部58に対して閉じ作用して、繰出し凹部58から種籾aがこぼれ出ることを防止する。ガイド体53のガイド面53dの始端Sは、膜体53cの表面のうち、カバー55の繰出し回転体62が位置する側の端部に連設されている粉粒体ガイド60から外れて繰出し回転体52の周面52sに対する対向を開始する箇所である。ガイド体53のガイド面53dの終端Eは、膜体53cの表面のうち、繰出し回転体52の周面52sに対する対向を終える箇所である。膜体53cは、繰出し回転体52の半径方向に弾性変形するように、かつ鉄コーティング処理が行われた種籾aに対してクッション材53bよりも高い耐摩耗性及びクッション材53bよりも低い摩擦抵抗を発揮するようにシート状に成形された超高分子樹脂材によって構成してある。
【0053】
ガイド体53の繰出し凹部58に対する閉じ作用を終える終端Eは、繰出し回転体52の下方であって、繰出し回転体52の回転軸芯Pを通る鉛直線Hと繰出し回転体52の回転軸芯Pを通る水平線Lとの間の箇所に位置させてあり、ガイド体53は、ガイド面53dの終端Eから外れた箇所に、繰出し回転体52のための排出部61を現出している。この排出部61は、受け入れ部57から下降移動した繰出し凹部58が排出部61に到達すると、ガイド面53dの繰出し凹部58に対する閉じ作用が解除されることにより、繰出し凹部58から種籾aを排出させる。
【0054】
播種筒56は、排出部61から落下した種籾aに風が当たることを防止し、排出部61から落下した種籾を圃場の泥土面の設定供給箇所に精度よく位置合わせして落下させ、かつ1つの繰出し凹部58から排出された設定量の種籾aを車体前後方向及び車体横方向に分散しないように纏まった状態で設定供給箇所に落下させる。
【0055】
したがって、粉粒体供給装置20の各繰出し機構50は、回転支軸59が回転駆動されることにより、繰出し回転体52が回転支軸59によって回転方向Fに駆動され、粉粒体タンク24に貯留されている種籾aを繰出し回転体52の繰出し凹部58によって設定量ずつ間欠的に排出部61に繰出し、繰り出した設定量の種籾aを排出部61から自然落下させて圃場の泥土面に供給する。
【0056】
すなわち、繰出し回転体52が駆動されると、各繰出し凹部58は、回転方向Fに回転移動して受け入れ部57及び排出部61を通って上下に移動する。繰出し凹部58が排出部61から上昇移動して受け入れ部57に至ると、繰出し凹部58の開口が上向きになり、粉粒体タンク24から受け入れ部57に流下して滞留している種籾aが繰出し凹部58に自然流下によって流入することにより、繰出し凹部58は、種籾aを受け入れて収容する。種籾aを収容した繰出し凹部58は、受け入れ部57から下降移動して摺り切りブラシ54のブラシ本体54bに至る。摺り切りブラシ54のブラシ本体54bに至った繰出し凹部58は、摺り切りブラシ54のブラシ本体54bによる摺り切り作用を受け、繰出し凹部58に収容している種籾aの量が繰出し凹部58の容量によって決まる設定量あるいはほぼ設定量になるように量調整される。摺り切りブラシ54のブラシ本体54bを通過した繰出し凹部58は、ガイド体53のガイド面53dが位置する箇所を通る。ガイド面53dを通る繰出し凹部58は、繰出し凹部58の開口がガイド面53dによって閉じられており、繰出し凹部58の開口が水平向きや水平向きに近い下向きになっても、収容している種籾aを流出させないで下降移動する。このとき、繰出し凹部58から外部に一部分がはみ出た種籾aがあっても、繰出し凹部58からはみ出た種籾aとガイド面53dの当接によってガイド面53d(膜体53c)およびクッション材53bが繰出し回転体52の周面52sから離れる側に弾性変形し、ガイド体53は、種籾aとガイド面53dの摩擦を緩和させて種籾aの鉄コーティングの剥離を防止する。ガイド体53のガイド面53dを通過した繰出し凹部58は、排出部61に至る。繰出し凹部58が排出部61に至ると、繰出し凹部58の開口が下向きになるとともにガイド体53のガイド面53dが繰出し凹部58に対する閉じ作用を解除していて繰出し凹部58から種籾aが自然に流出することにより、繰出し凹部58は、収容してきた種籾aを排出部61で排出して圃場の泥土面に自然落下によって落下させる。このとき、播種筒56は、排出部61から落下した種籾aに風が当たることを防止し、排出部61から落下した種籾aを圃場の泥土面の設定供給箇所に精度よく位置合わせした状態で、かつ狭い範囲に纏まって落下するように分散させないで落下させる。種籾aの排出を終えた繰出し凹部58は、排出部61から受け入れ部57に向けて上昇移動する。
【0057】
図10に示すように、繰出し回転体52に設けた前記4つの繰出し凹部58が繰出し回転体52の周方向に並ぶ配列は、4つの繰出し凹部58における隣合う一対の繰出し凹部58,58の一方の繰出し凹部58の繰出し回転体回転方向での中心と、他方の繰出し凹部58の繰出し回転体回転方向での中心とが繰出し回転体回転方向Fに設定凹部配列角Aを隔てて並ぶ配列に設定してある。
【0058】
図10に示すように、ガイド体53に設けたガイド面53dの前記始端Sから前記終端Eまでの長さを、前記始端Sと繰出し回転体52の回転軸芯Pとを通る直線L1と、前記終端Eと繰出し回転体52の回転軸芯Pとを通る直線L2とが設定ガイド角Bで交差する長さに設定してある。繰出し回転体52における前記設定凹部配列角Aを、ガイド体53における前記設定ガイド角Bよりも少し大きく、かつ180度よりも小さい大きさの角度に設定してある。
【0059】
したがって、受け入れ部57から排出部61に向けて下降移動する繰出し凹部58に繰出し凹部58から一部がはみ出た種籾aが存在しても、はみ出し種籾aの影響により、はみ出し種籾aが存在する繰出し凹部58より先行して下降移動する繰出し凹部58から種籾aが出てしまうことを回避しやすい。
【0060】
つまり、図10(a)に示すように、先行の繰出し凹部58と後続の繰出し凹部58とが共にガイド面53dに対向しても、先行の繰出し凹部58の開口のうちの繰出し凹部移動方向下手側での一部、及び後続の繰出し凹部58の開口の繰出し凹部移動方向上手側での一部がガイド面53dから外れた状態となる。図10(b)に示すように、後続の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dに対向したとき、先行の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dから既に外れた状態となる。すなわち、後続の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dによって閉じられるのは、先行の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dから外れた後である。
【0061】
先行の繰出し凹部58と後続の繰出し凹部58が共にガイド面53dに対向しても、後続の繰出し凹部58の開口のうちの繰出し凹部移動方向上手側での一部がガイド面53dから外れておれば、後続の繰出し凹部58に繰出し凹部58から一部がはみ出でた種籾aが存在しても、はみ出し種籾aがガイド体53の始端側の端部との当接によって繰出し凹部58の内部のうちの繰出し凹部移動方向上手側に寄せ操作されてガイド面53dに当接しにくくなり、ガイド体53の始端側におけるはみ出し種籾aに起因したガイド面53d(膜体53c)及びクッション材53bの変形が発生しにくくなってこの変形の影響によるガイド体53の終端側におけるガイド面53d(膜体53c)及びクッション材53bの変形も発生しにくくなり、先行の繰出し凹部58とガイド面53dの間に大きな隙間が発生しなくて先行の繰出し凹部58から種籾aが出にくい。
【0062】
後続の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dに対向しても、先行の繰出し凹部58の開口の全体がガイド面53dから既に外れていると、後続の繰出し凹部58にはみ出し種籾aが存在してガイド体53の始端側においてガイド面53dに変形が発生し、この変形がガイド体53の終端側に影響してガイド体53の終端側におけるガイド面53dに変形が発生しても、この変形は、先行の繰出し凹部58に影響しない。
【0063】
図7に示すように、カバー55は、ガイド体53と摺り切りブラシ54の間に位置した状態でブラシホルダ54aに支持されており、ガイド体53のクッション材53bの摺り切りブラシ54が位置する側の端部を覆っている。従って、カバー55は、摺り切りブラシ54のブラシ本体54bの毛の間に種籾aが入り込んでも、この種籾aを摺り切りブラシ54に対向しているカバー55の作用面で受け止めて種籾aがクッション材53bに入り込むことを防止する。カバー55は、板状に成形された超高分子樹脂材によって構成してあり、鉄コーティング処理が行われた種籾aに対する耐磨耗性を備えている。
【0064】
図10に示すように、カバー55の繰出し回転体52が位置する側の端部に、粉粒体ガイド60を連設してある。粉粒体ガイド60は、カバー55の端部から繰出し回転体52が位置する側に向かって延出するとともに粉粒体ガイド60の延出端側が繰出し回転体52の周面52sとガイド体53の膜体53cの端部との間に入り込んだ形状を備えて構成されている。したがって、粉粒体ガイド60は、カバー55によって受け止められてカバー55の籾受け面に沿って流下する種籾aを繰出し回転体52とガイド体53のガイド面53dの間に排出するように案内する。粉粒体カイド60は、カバー55に一体成形されていて、超高分子樹脂材によって構成されており、鉄コーティング処理が行われた種籾aに対する耐磨耗性を備えている
【0065】
図7に示すように、繰出し機構50は、繰出しケース51の外部に設けた切り換えレバー70を備えている。切り換えレバー70は、ブラシホルダ54aを繰出しケース51に連結している支軸54dの端部に一体回転自在に連結されており、支軸54dの軸芯まわりにレバーガイド71に沿わせて揺動操作されることにより、支軸54dを回転操作して摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53を一体に作用状態と作用解除状態とに切り換え操作する。
【0066】
図7は、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53が作用状態に切り換え操作された状態を示している。この図に示すように、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53は、切り換えレバー70が支軸54dの軸芯まわり下降操作されて作業位置Wになると、一挙に作用状態になる。すなわち、摺り切りブラシ54は、ブラシ本体54bの毛先が繰出し回転体52の周面52sに沿って位置した取り付け姿勢となり、ブラシ本体54bによって繰出し凹部58に摺り切り作用するよう作用状態になる。ガイド体53は、ガイド面53dが繰出し回転体52の周面52sに沿って位置した取り付け姿勢となり、ガイド面53dによって繰出し凹部58に閉じ作用するよう作用状態になる。カバー55及び粉粒体ガイド60は、カバー55が作用状態の摺り切りブラシ54と作用状態のガイド体53の端部との間に位置するとともに粉粒体ガイド60の延出端部が繰出し回転体52の周面52sとガイド体53の膜体53cの間に入り込んだ取付け姿勢となり、カバー55がクッション材53bの摺り切りブラシ54が位置する側の端部を覆うよう作用状態になり、粉粒体ガイド60が繰出し回転体52とガイド体53の間に位置するよう作用状態になる。この場合、切り換えレバー70がレバーガイド71に設けられた第1の位置決め凹部に係入されることにより、切り換えレバー70は、第1の位置決め凹部によって作業位置Wに保持されて、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53を作用状態に固定する。
【0067】
図9は、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53が作用解除状態に切り換え操作された状態での繰出し機構50を示す縦断側面図である。この図に示すように、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53は、切り換えレバー70が支軸54dの軸芯まわり上昇操作されて排出位置Dになると、一挙に作用解除状態になる。すなわち、摺り切りブラシ54は、ブラシ本体54bが繰出し回転体52の周面52sから離間して繰出し回転体52の外周側を開放した取り付け姿勢となり、カバー55及び粉粒体ガイド60は、繰出し回転体52の周面52sから離間して繰出し回転体52の外周側を開放した取付け姿勢となり、ガイド体53は、ガイド面53dが繰出し回転体52の周面52sから離間して取繰出し回転体52の外周側を開放した取り付け姿勢となる。
【0068】
したがって、摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53は、作用解除状態に切り換えられると、繰出し回転体52の外周側に繰出し回転体52の周面52sに沿った排出通路72を形成する。排出通路72は、受け入れ部57と排出部61を連通させ、粉粒体タンク24及び受け入れ部57の残った種籾aを排出部61に流下させ、排出部61から地上に取り出すことを可能にする。この場合、切り換えレバー70がレバーガイド71に設けられた第2の位置決め凹部に係入されることにより、切り換えレバー70は、第2の位置決め凹部によって排出位置Dに保持されて摺り切りブラシ54、カバー55、粉粒体ガイド60及びガイド体53を作用状態に固定する。
【0069】
図2,3,5,7に示すように、粉粒体供給装置20に設けられた6つの繰出し機構50は、繰出し回転体52の回転軸芯Pに沿う方向であって、車体横方向に一列に並ぶ状態で配置されており、粉粒体供給装置20は、各繰出し機構50の繰出しケース51の車体前方側を各繰出し機構50の繰出し回転体52の回転支軸59に沿って車体横方向に通っている一本の伝動軸84を有した伝動装置80を備え、この伝動装置80によってエンジン5からの駆動力を各繰出し機構50の回転支軸59に伝達して各繰出し機構50の繰出し回転体52を駆動する。
【0070】
図2,3,5に示すように、前記伝動装置80は、前記伝動軸84を備える他、粉粒体供給装置20の車体横方向での中央部に設けた入力ケース81と、粉粒体供給装置20の横端部に設けた供給変速機構90と、入力ケース81の前端側と供給変速機構90のギヤケース91の前端側にわたって設けた車体横向きの回転軸82と、前記伝動軸84と各繰出し機構50の回転支軸59にわたって設けたオン・オフ機構85とを備えて構成してある。
【0071】
入力ケース81は、前記回転軸12の駆動力を入力軸81aによって入力し、入力した駆動力を出力ギヤ81bから前記回転軸82に出力する。
【0072】
各繰出し機構50の回転支軸59に装着されたオン・オフ機構85は、伝動軸84に一体回転及び摺動操作自在に設けたクラッチ体88が、伝動軸84に相対回転自在に支持された伝動ギヤ87に設けたクラッチ爪に係合操作されることにより、オン状態に切り換わり、クラッチ体88が伝動ギヤ87のクッチ爪から離脱操作されることにより、オフ状態に切り換わる。
【0073】
各オン・オフ機構85は、オン状態に切り換えられると、伝動軸84の駆動力を回転支軸59に一体回転自在に設けられた繰出し駆動ギヤ86にクラッチ体88及び伝動ギヤ87を介して伝達して、繰出し回転体52を駆動し、オフ状態に切り換えられると、クラッチ体88と伝動ギヤ87の相対回転を可能にして繰出し駆動ギヤ86に対する伝動を絶って、繰出し回転体52を停止させる。
【0074】
図5に示すように、供給変速機構90は、ギヤケース91を備える他、このギヤケース91に収容される第1の伝動ギヤ92及び第2の伝動ギヤ93を備えて構成してある。
【0075】
第1の伝動ギヤ92及び第2の伝動ギヤ93は、回転軸82と伝動軸84とに付け替え自在に構成されるとともに、第1の伝動ギヤ92の外径は、第2の伝動ギヤ93の外径よりも大に設定されており、供給変速機構90は、第1の伝動ギヤ92及び第2の伝動ギヤ93が回転軸82と伝動軸84とに付け替えられることにより、高速状態と低速状態とに切り換わる。
【0076】
図6は、供給変速機構90が高速状態に切り換えられた状態での伝動装置80を示す線図である。この図に示すように、供給変速機構90は、第1の伝動ギヤ92が回転軸82に取付けられ、第2の伝動ギヤ93が伝動軸84に取付けられることにより、高速状態に切り換わり、回転軸82の駆動力を第1の伝動ギヤ92と第2の伝動ギヤ93とによって増速して伝動軸84に出力し、6つのオン・オフ機構85がオン状態に切り換えられることにより、増速後の駆動力を6つの繰出し機構50の繰出し回転体52に伝達する。
【0077】
図5は、供給変速機構90が低速状態に切り換えられた状態での伝動装置80を示す線図である。この図に示すように、供給変速機構90は、第1の伝動ギヤ92が伝動軸84に取付けられ、第2の伝動ギヤ93が回転軸82に取付けられることにより、低速状態に切り換わり、回転軸82の駆動力を第2の伝動ギヤ93と第1の伝動ギヤ92とによって減速して伝動軸84に出力し、6つのオン・オフ機構85がオン状態に切り換えられることにより、減速後の駆動力を6つの繰出し機構50の繰出し回転体52に伝達する。
【0078】
したがって、伝動装置80は、供給変速機構90が低速状態に切り換えられることにより、入力軸81aによって入力ケース81の入力した駆動力を供給変速機構90によって低速の駆動力に変速して伝動軸84に伝達し、6つの繰出し機構50のうちのオン・オフ機構85がオン状態に切り換えられている繰出し機構50の繰出し回転体52を低速回転で駆動し、オン・オフ機構85がオン状態に切り換えられている繰出し機構50に点播の状態で種籾aを圃場に供給させる。
【0079】
伝動装置80は、供給変速機構90が高速状態に切り換え操作されることにより、入力軸81aによって入力ケース81に入力した駆動力を供給変速機構90によって高速の駆動力に変速して伝動軸84に伝達し、6つの繰出し機構50のうちのオン・オフ機構85がオン状態に切り換えられている繰出し機構50の繰出し回転体52を高速回転で駆動し、オン・オフ機構85がオン状態に切り換えられている繰出し機構50に点播の間隔が小間隔の状態で種籾を圃場に供給させる。
【0080】
供給変速機構90は、6つの繰出し機構50のうちの繰出し回転体52の回転軸芯Pに沿う方向での最も端に位置する最端の繰出し機構50に対して6つの繰出し機構50のうちの最端の繰出し機構50を除く他の繰出し機構50が位置する側とは反対側に配置してある。
【0081】
したがって、供給変速機構90の変速操作を行なう場合、ギヤケース91の分割ケースを開いた状態にして第1の伝動ギヤ92及び第2の伝動ギヤ93を回転軸82及び伝動軸84に付け替える作業を粉粒体供給装置20の横外側から容易にかつ能率よく行なうことができる。
【0082】
図8に示すように、繰出し機構50の繰出し回転体52は、前記4つの繰出し凹部58が設けられた繰出し回転体本体52aと、4つの繰出し凹部58に各別に係入する4つの容量調整バー58aが設けられた容量調整体52bとを備えて構成してある。容量調整体52bの内周側に設けてある操作ネジ部が、回転支軸59に相対回転自在に外嵌した調整筒軸65の外周側に設けた送りネジ部65aに係合しており、容量調整体52bは、調整筒軸65が回転操作されることにより、送りネジ部65aによる送り作用によって繰出し回転体本体52aに対して移動操作されて各容量調整バー58aを繰出し凹部58に対して摺動させ、各容量調整バー58aの繰出し凹部58に対する入り込み長さを変更して繰出し凹部58の容量を変更する。繰出し回転体52が粉粒体タンク24から種籾aを設定量ずつ繰り出すその設定量は、繰出し凹部58の容量によって設定される。
【0083】
図5,8に示すように、各繰出し機構50の調整筒軸65は、この調節筒軸65の端部に一体回転自在に設けられた調整ギヤ66を有したキヤ機構を介して、車体横向きの一本の調整操作軸67に連動されている。つまり、調整操作軸67の端部に設けられた調整ハンドル68によって調整操作軸67が回転操作されることにより、6つの繰出し機構50における繰出し回転体52の各繰出し凹部58による種籾aの繰出し量が一挙に変化する。
【0084】
図7,8に示すように、播種筒56は、播種筒56が繰出しケース51に装着された状態において、播種筒56の左右の横壁体56aが鉛直姿勢の壁体になり、播種筒56の前壁体56b及び後壁体56cが下端側ほど上端側よりも播種筒56の外側に位置した傾斜姿勢の傾斜壁体になる筒構造を備えて構成してある。
【0085】
播種筒56の前壁体56bは、繰出し回転体52から落下した種籾aが繰出し回転体52の回転によって付与された動慣性によって繰出し回転体52から車体前方向きに落下することがあっても、下端側ほど車体前方側に位置した前壁体56bの傾斜姿勢により、種籾aに触れないで種籾aを落下させる。
【0086】
播種筒56は、播種筒56の上端部の左右側に設けられた連結突起56dと、繰出しケース51の下端部の左右側に設けられたフック51gとによって繰出しケース51に脱着自在に取付けられる。後壁体56cは、播種筒56が前後向きを逆にして繰出しケース51に取付けられた場合、下端側ほど車体前方側に位置した前壁体となり、種籾aに触れないで種籾aを落下させる。
【0087】
図3に示すように、粉粒体供給装置20の前端部に回転検出センサ100を設けてある。回転検出センサ100は、入力ケース81を回転検出センサ100のための支持部材に利用するように入力ケース81の前端側に支持させてある。回転検出センサ100は、入力ケース81の入力軸81aの回転状態を検出し、検出結果を自走車の運転部10に設けられた表示装置101(図1参照)に出力する。表示装置101は、回転検出センサ100からの情報を基に、粉粒体供給装置20における繰出し機構50の駆動が開始されたこと、及び粉粒体供給装置20における繰出し機構50が停止されたことを表示する。
【0088】
回転検出センサ100は、入力軸81aを検出対象の部材として粉粒体供給装置20に設けられている。したがって、粉粒体供給装置20の機体フレーム21とリンク機構4とにわたって設けられた連結機構が連結解除状態に切り換え操作されることによって粉粒体供給装置20が自走車から取り外され、入力軸81aと回転軸12とにわたって設けられたクラッチ機構102(図3,5参照)によって入力軸81aが回転軸12から切り離された場合、回転検出センサ100を粉粒体供給装置20に取り付けたままにできて、回転検出センサ100を取り外す手間が不要となる。回転検出センサ100は、6つの繰出し機構50を各別に駆動状態と停止状態に切り換える少数条クラッチよりも伝動方向上手側において回転を検出することにより、6つの繰出し機構50のうちの一部の繰出し機構50が停止されたことの影響を受けないで検出作動する。
【0089】
図11(a)は、別の実施形態を備えた繰出し機構50を示す断面図である。この図に示すように、別の実施構造を備えた繰出し機構50では、ガイド体53、カバー50、粉粒体ガイド60及び摺り切りブラシ54を繰出しケース51に支軸54dを介して脱着自在に支持された状態で備えている。
【0090】
図11(b)は、ガイド体53、カバー50、粉粒体ガイド60及び摺り切りブラシ54が取り外された状態での繰出し機構50を示す縦断側面図である。この図に示すように、支軸54を摺り切りブラシ54の毛植え部54cから抜き外して繰出しケース51から取り外したガイド体53、カバー50、粉粒体ガイド60及び摺り切りブラシ54を繰出しケース51に設けられたメンテナンス開口104を介して繰出しケース51から取り出すことにより、繰出し回転体50の周辺を開放でき、繰出し回転体50の外周側に受け入れ部57と排出部61とを連通させた排出通路72を現出させて、粉粒体タンク24及び受け入れ部57に残留した種籾aを排出通路72から取り出すことができ、あるいは、繰出し回転体50をメンテナンス開口104から点検や清掃することができる。メンテナンス開口104は、脱着自在な蓋体103によって開閉するようになっている。
【0091】
〔別の実施形態〕
(1)クッション材53bとしは、スポンジの他、軟質のゴムやスプリングなどを採用して実施してもよい。
【0092】
(2)膜体53cとしては、クッション材とは別に作製してクッション材に取付けられたものの他、クッション材に対するコーティング処理によってクッション材に取付けられたものを採用して実施してもよい。
【0093】
(3)ガイド体53、カバー55、粉粒体ガイド60及び摺り切りブラシ54を一挙に脱着する構成に換え、ガイド体53、カバー55、粉粒体ガイド60及び摺り切りブラシ54を各別に脱着する構成を採用して実施してもよい。
【0094】
(4)繰出し回転体52における設定凹部配列角Aをガイド体53における設定ガイド角Bと等しい大きさの角度に設定しても実施してもよい。この場合も、本発明の目的を達成することができる。
【0095】
(5)上記した実施形態では、繰出し回転体52に4つの繰出し凹部58を設けていることにより、繰出し回転体52における設定凹部配列角Aの上限を180度よりも小さい角度に設定している。繰出し回転体52に2つの繰出し凹部58を設けて実施する場合、繰出し回転体52における設定凹部配列角Aの上限を180度に設定して実施することにより、本発明の目的を達成することができる。
【0096】
(6)鉄コーティング処理が行われた種籾aは、カルパコーティング処理が行われた種籾、及び鉄コーティング処理やカルパコーティング処理が行われていない種籾よりも比重が大であり、また鳥に啄ばまれない特性を備えている。従って、鉄コーティング処理が行われた種籾aを供給対象の種子として構成した粉粒体供給装置の場合、供給間隔の面、及び種子の泥土面での纏まりの面においてより点播精度がよい点播の状態での種子供給を行うことができて有利であり、かつ圃場に供給された種籾を埋める必要がなくて有利である。しかし、カルパコーティング処理が行われた種籾やコーティング処理が行われていない種籾を供給対象物として構成して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
(1)6つの繰出し機構50を備えて、6条の種子供給を行なう粉粒体供給装置20の他、8つの繰出し機構50を備えて、8条の種子供給を行なう粉粒体供給装置など、種子供給の可能な条数が6条以外の粉粒体供給装置にも本発明は利用できる。
【0098】
(2)種籾を供給対象物とした粉粒体供給装置の他、種籾以外の各種の種子及び粉粒状の肥料や薬剤を供給対象物とした粉粒体供給装置にも本発明は利用できる。
【符号の説明】
【0099】
24 タンク
50 繰出し機構
52 繰出し回転体
52s 繰出し回転体の周面
53 ガイド体
53a ベース材
53b クッション材
53c 膜体
53d ガイド面
61 排出部
57 受け入れ部
58 繰出し凹部
90 供給変速機構
A 設定凹部配列角
B 設定ガイド角
E 作用面の終端
L1 ガイド面の始端と繰出し回転体の回転軸芯を通る直線
L2 ガイド面の終端と繰出し回転体の回転軸芯を通る直線
P 繰出し回転体の回転軸芯
S 作用面の始端
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクから粉粒体を繰出し機構によって設定量ずつ間欠的に繰出し、前記繰出し機構によって繰出された粉粒体を自然落下によって圃場に供給し、前記繰出し機構を、周面に複数の繰出し凹部が周方向に並べて形成された駆動回転自在な繰出し回転体を備えて構成してある粉粒体供給装置であって、
前記繰出し回転体の上方に前記繰出し凹部が粉粒体を受け入れるように設けた受け入れ部から下降移動する前記繰出し凹部に閉じ作用するように前記繰出し回転体の周面に沿って位置するガイド体を設け、
前記ガイド体を、前記繰出し回転体の下方において前記繰出し凹部に対する閉じ作用を解除して、前記繰出し凹部が粉粒体を排出する排出部を前記繰出し回転体の下方に現出するように構成し、
前記ガイド体の前記繰出し回転体の周面に対面するガイド面を、前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在に構成し、
前記繰出し回転体の前記複数の繰出し凹部における隣り合う一対の繰出し凹部の一方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心と、他方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心とが、繰出し回転体回転方向に設定凹部配列角を隔てて並ぶように前記複数の繰出し凹部を配置し、
前記ガイド体における前記ガイド面の始端と前記繰出し回転体の回転軸芯を通る直線と、前記ガイド面の終端と前記繰出し回転体の回転軸芯を通る直線とが、設定ガイド角で交差するように前記ガイド面の繰出し回転体回転方向での長さを設定し、
前記繰出し回転体における前記設定凹部配列角を前記ガイド体における前記設定ガイド角以上で180度以下の大きさの角度に設定してある粉粒体供給装置。
【請求項2】
前記繰出し機構の機体側に固定されるベース材と、前記ガイド面を形成するとともに前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在な膜体と、前記膜体を受け止め支持するように前記膜体と前記ベース材の間に介在するとともに前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在なクッション材とを備えて、前記ガイド体を構成してある請求項1記載の粉粒体供給装置。
【請求項3】
前記ガイド体が脱着自在に支持されている請求項1又は2記載の粉粒体供給装置。
【請求項4】
前記繰出し回転体の駆動速度を変更する供給変速機構を設けてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項5】
前記繰出し機構の複数個を前記繰出し回転体の回転軸芯に沿う方向に並べて設け、前記供給変速機構の出力が前記複数個の繰出し機構の前記繰出し回転体に伝達されるように構成するとともに前記供給変速機構を前記複数個の繰出し機構のうちの前記回転軸芯に沿う方向での最も端に位置する最端の繰出し機構に対して前記複数個の繰出し機構のうちの前記最端の繰出し機構を除く他の繰出し機構が位置する側とは反対側に配置してある請求項4記載の粉粒体供給装置。
【請求項1】
タンクから粉粒体を繰出し機構によって設定量ずつ間欠的に繰出し、前記繰出し機構によって繰出された粉粒体を自然落下によって圃場に供給し、前記繰出し機構を、周面に複数の繰出し凹部が周方向に並べて形成された駆動回転自在な繰出し回転体を備えて構成してある粉粒体供給装置であって、
前記繰出し回転体の上方に前記繰出し凹部が粉粒体を受け入れるように設けた受け入れ部から下降移動する前記繰出し凹部に閉じ作用するように前記繰出し回転体の周面に沿って位置するガイド体を設け、
前記ガイド体を、前記繰出し回転体の下方において前記繰出し凹部に対する閉じ作用を解除して、前記繰出し凹部が粉粒体を排出する排出部を前記繰出し回転体の下方に現出するように構成し、
前記ガイド体の前記繰出し回転体の周面に対面するガイド面を、前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在に構成し、
前記繰出し回転体の前記複数の繰出し凹部における隣り合う一対の繰出し凹部の一方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心と、他方の繰出し凹部の繰出し回転体回転方向での中心とが、繰出し回転体回転方向に設定凹部配列角を隔てて並ぶように前記複数の繰出し凹部を配置し、
前記ガイド体における前記ガイド面の始端と前記繰出し回転体の回転軸芯を通る直線と、前記ガイド面の終端と前記繰出し回転体の回転軸芯を通る直線とが、設定ガイド角で交差するように前記ガイド面の繰出し回転体回転方向での長さを設定し、
前記繰出し回転体における前記設定凹部配列角を前記ガイド体における前記設定ガイド角以上で180度以下の大きさの角度に設定してある粉粒体供給装置。
【請求項2】
前記繰出し機構の機体側に固定されるベース材と、前記ガイド面を形成するとともに前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在な膜体と、前記膜体を受け止め支持するように前記膜体と前記ベース材の間に介在するとともに前記繰出し回転体の半径方向に弾性変形自在なクッション材とを備えて、前記ガイド体を構成してある請求項1記載の粉粒体供給装置。
【請求項3】
前記ガイド体が脱着自在に支持されている請求項1又は2記載の粉粒体供給装置。
【請求項4】
前記繰出し回転体の駆動速度を変更する供給変速機構を設けてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉粒体供給装置。
【請求項5】
前記繰出し機構の複数個を前記繰出し回転体の回転軸芯に沿う方向に並べて設け、前記供給変速機構の出力が前記複数個の繰出し機構の前記繰出し回転体に伝達されるように構成するとともに前記供給変速機構を前記複数個の繰出し機構のうちの前記回転軸芯に沿う方向での最も端に位置する最端の繰出し機構に対して前記複数個の繰出し機構のうちの前記最端の繰出し機構を除く他の繰出し機構が位置する側とは反対側に配置してある請求項4記載の粉粒体供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−142874(P2011−142874A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7109(P2010−7109)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(599118768)株式会社斎藤農機製作所 (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(599118768)株式会社斎藤農機製作所 (47)
【Fターム(参考)】
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