説明

粉粒体散布装置

【課題】操作簡単に散布調節を行なえながら変形や破損を回避しやすい粉粒体散布装置を提供する。
【解決手段】散布ガイドケースを、放出回転体81の外周側に位置して粉粒体の散布口側とは反対側への飛散を規制する縦壁部58B、及び放出回転体81の上方に位置して粉粒体の上方への飛散を規制する天井壁部58Aを有したガイドケース主体58と、粉粒体の放出方向を調整するようにガイドケース主体58に対して水平角変更自在に設けた放出調整体60とを備えて構成してある。ガイドケース主体58に対する放出調整体60の枢支手段100を、弾性的に係合及び離脱し合い、かつ相対回転自在に係合し合う枢支部102と外嵌部104とをガイドケース主体58と放出調整体60とに各別に設けて構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散布ガイドケースの内部に供給された粉粒体が、前記散布ガイドケースの内部で縦軸芯まわりに回転駆動される放出回転体によって跳ね飛ばされて、前記散布ガイドケースによって案内されて前記散布ガイドケースの散布口から飛散されるように構成した粉粒体散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された農薬散布装置があった。特許文献1に記載された農薬散布装置では、収納部からパイプを通じて供給される農薬を噴出するノズル部、及びこのノズル部を収容する防水ケースに設けられた散布口が備えられ、この散布口の両側に、噴出口から噴出する農薬の散布幅及び散布方向を規制する整流板が支持され、整流板は散布口側に傾倒可能に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−151559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した粉粒体散布装置において、散布ガイドケースを、放出回転体の上方に位置して粉粒体の上方への飛散を規制する天井壁部を有したガイドケース主体と、粉粒体の放出方向を調整するようにガイドケース主体に対して水平角変更自在に設けた放出調整体とを備えて構成することにより、放出調整体の水平角変更を行なうだけで操作簡単に、放出調整体による案内を受けて飛散する粉粒体の飛散方向が変化し、粉粒体の散布ガイドケース横方向での散布方向を変更できるなど、散布調節を行なえるものとなる。
この場合、放出調整体の水平角変更を行う際、放出調整体の揺動方向とは異なる不適切な方向の操作力が付与されるなど、放出調整体に無理な操作力が掛かることがあると、ガイドケース主体に対する放出調整体の枢支手段に変形や破損が発生する場合がある。その枢支手段に変形や破損が発生せずとも、ガイドケース主体に無理な操作力が伝わって天井壁部に変形や破損が発生する場合がある。また、作業機に装備された粉粒体散布装置にあっては、作業機の旋回時に放出調整体が畦に接触するなど、放出調整体に外力が作用することがあっても、同様である。
【0005】
本発明の目的は、操作簡単に散布調節を行なえるものでありながら、放出調整体などの変形や破損を回避しやすい粉粒体散布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、散布ガイドケースの内部に供給された粉粒体が、前記散布ガイドケースの内部で縦軸芯まわりに回転駆動される放出回転体によって跳ね飛ばされて、前記散布ガイドケースによって案内されて前記散布ガイドケースの散布口から飛散されるように構成した粉粒体散布装置において、
前記散布ガイドケースを、前記放出回転体の外周側に位置して粉粒体の前記散布口側とは反対側への飛散を規制する縦壁部、及び前記放出回転体の上方に位置して粉粒体の上方への飛散を規制する天井壁部を有したガイドケース主体と、粉粒体の放出方向を調整するように前記ガイドケース主体に対して水平角変更自在に設けた放出調整体とを備えて構成し、
前記ガイドケース主体に対する前記放出調整体の枢支手段を、弾性的に係合及び離脱し合い、かつ相対回転自在に係合し合う枢支部と外嵌部とを前記ガイドケース主体と前記放出調整体とに各別に設けて構成してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、放出調整体の水平角変更を行なうことにより、放出回転体によって飛散されて放出調整体による飛散方向の調整を受けて飛散する粉粒体の飛散方向が変化する。
【0008】
本第1発明の構成によると、放出調整体の角度変更操作が不適切に行なわれるとか、放出調整体が畦に当たるなどにより、放出調整体に本来の揺動方向とは異なる方向の操作力や外力が加わった場合、無理な操作力や外力によって枢支部と外嵌部が弾性的に係合状態から離脱状態に切り換わり、枢支部及び外嵌部が変形や破損することなく放出調整体がガイドケース主体から外れるようにできる。放出調整体が外れた場合、適切に装着操作すれば、その装着操作力によって枢支部と外嵌部とが弾性的に係合し合い、放出調整体を所定の組み付け状態に戻すことができる。
【0009】
従って、放出調整体の水平角変更を行なうだけで操作簡単に粉粒体の飛散向きを変更するよう散布調節を行なうことができるものでありながら、無理な操作力や外力が掛かっても、放出調整体が外れるだけでガイドケース主体や放出調整体の変形や破損を回避でき、放出調整体を所定の組み付け状態に戻して散布作業を行なうことができる。
【0010】
本第2発明は、前記枢支部として枢支軸を設け、前記外嵌部に前記枢支軸に沿うスリットを備えて、前記外嵌部が前記枢支軸に対して径方向から係脱するように構成してある。
【0011】
本第2発明の構成によると、放出調整体の装着状態では、枢支軸に対する外嵌部の外嵌によって放出調整体をガタ付きにくいように安定的に枢支させることができる。外嵌部にスリットを備えるだけの簡単な構造によって、無理な操作力や外力による放出調整体の離脱を可能にできる。
【0012】
従って、放出調整体を安定的に枢支させて放出調整体による粉粒体の案内を適確に行わせることができるものでありながら、放出調整体及びガイドケース主体の変形や破損防止を安価に行なえる。
【0013】
本第3発明は、前記外嵌部のまわりに配置して前記ガイドケース主体側に設けられた固定シール壁と前記外嵌部のまわりに配置して前記放出調整体側に設けられた可動シール壁とを備え、前記ガイドケース主体に対する前記放出調整体の揺動範囲内において前記固定シール壁と前記可動シール壁とが常に重なり合うよう構成してある。
【0014】
外嵌部と枢支部との弾性的な係合及び離脱を可能にした場合、外嵌部の弾性変形を許容するスペースを外嵌部の周りに確保する必要がある。本第3発明の構成によると、前記スペースの確保のために外嵌部の周りに発生するガイドケース主体と放出調整体との隙間を固定シール壁と可動シール壁によって閉じることができる。
【0015】
従って、外嵌部と枢支部との弾性的な離脱によって放出調整体及びガイドケース主体の変形や破損を回避するものを、放出調整体とガイドケース主体との隙間から粉粒体が漏れ出しにくい高品質の状態で得ることができる。
【0016】
本第4発明は、前記ガイドケース主体に対して前記放出調整体を複数の設定取付け角に位置決めするよう互いに係合離脱可能な位置決め凹部と位置決め凸部とを前記ガイドケース主体と前記放出調整体とに各別に設けてある。
【0017】
本第4発明の構成によると、放出調整体の角度変更を行って放出調整体が設定取付け角になれば、位置決め凹部と位置決め凸部とが係合してこの係合によって放出調整体の位置決めが行なわれる。
【0018】
従って、放出調整体の角度変更操作を行なうだけで操作簡単に、放出調整体が設定取付け角に自ずと位置決めされて放出調節体による粉粒体の放出方向の調節を安定的に行なわせることができる。
【0019】
本第5発明は、前記位置決め凸部を前記放出調整体に形成し、前記位置決め凹部を前記天井壁部の内面に形成してある。
【0020】
本第5発明の構成によると、位置決め凹部が天井壁部の内面に下向きで位置することになり、粉粒体が位置決め凹部に入り込んでも自ずと落下して位置決め凹部に粉粒体が滞留し難い。
【0021】
従って、位置決め凹部に粉粒体が入り込んだままになって位置決め凹部と位置決め凸部が係合しなくなることが少なく、放出調整体の位置決めを的確に行なわせることができる。
【0022】
本第6発明は、前記放出調整体の前記散布ガイドケース内外方向での厚さを前記縦壁部の前記散布ガイドケース内外方向での厚さより大にしてある。
【0023】
本第6発明の構成によると、放出調整体の散布ガイドケース内外方向での厚さが大であることにより、放出調整体に無理な操作力や外力が加わっても放出調整体が屈折しない強度を放出調整体に備えさせ、放出調整体に無理な操作力や外力が加わった場合、その操作力や外力が枢支手段に適確に伝わって枢支部と外嵌部の弾性的な離脱を適確に発生させることができる。
【0024】
従って、無理な操作力や外力が加わった場合の放出調整体の離脱によるガイドケース主体及び放出調整体の変形や破損防止を適確に行なわせることができる。
【0025】
本第7発明は、前記放出調整体を、この放出調整体の前記散布ガイドケース内外方向での内側面を形成する内側壁板と、前記放出調整体の前記散布ガイドケース内外方向での外側面を形成する外側壁板と、前記放出調整体の案内面方向での複数箇所で前記内側壁板と前記外側壁板とを間隔を隔てて連結する連結体とを備えて構成してある。
【0026】
本第7発明の構成によると、放出調整体の内側壁板と外側壁板の間に空洞部が形成され、この空洞部によって放出調整体の重量増加を防止しながら、放出調整体の散布ガイドケース内外方向での厚さを大にできる。また、外側壁板と内側壁板を形成することで、粉粒体散布装置を雨天時に使用される場合、放出調整体の外側壁板に付着した雨水が内側壁板に回り込むことがない。
【0027】
従って、放出調整体に加わった無理な操作力や外力を枢支手段に適確に伝達させて放出調整体の離脱を適確に行なわせることができるものを、放出調整体を軽量化しながら得ることができる。また、内側壁板に雨水が回り込んで粉粒体が雨水と混ざり放出調整体の内壁に付着や蓄積することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】乗用型田植機の全体を示す側面図である。
【図2】乗用型田植機の全体を示す平面図である。
【図3】粉粒体散布装置を示す背面図である。
【図4】粉粒体散布装置の取り付け部の分解状態を示す斜視図である。
【図5】粉粒体散布装置の縦断側面図である。
【図6】粉粒体散布装置の底面図である。
【図7】粉粒体散布装置を示す側面図である。
【図8】繰出し機構を示す縦断側面図である。
【図9】繰出し機構を示す横断平面図である。
【図10】繰出し機構を示す縦断正面図である。
【図11】繰出し機構の分解状態での斜視図である。
【図12】繰出し機構の一部を示す背面図である。
【図13】枢支手段及び放出調整体を示す斜視図である。
【図14】放出調整体の基端部を示す斜視図である。
【図15】放出調整体の枢支手段を示す横断平面図である。
【図16】別の実施構造を備えた放出回転体の取付け構造を示す縦断側面図である。
【図17】別の実施構造を備えた枢支手段を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づいて、本発明に係る粉粒体散布装置が装備された乗用型田植機について説明する。
図1は、乗用型田植機の全体を示す側面図である。図2は、乗用型田植機の全体を示す平面図である。これらの図に示すように、乗用型田植機は、操向操作自在な左右一対の前輪1及び駆動自在な左右一対の後輪2を備えた走行機体3の前部側に、エンジン4及びミッションケース5を備え、走行機体3の中央部にステアリングハンドル6等を装備した操縦部7と運転座席8とを備えて構成され、又、走行機体3の左右両側に予備苗のせ台9が配設されている。走行機体3の後方には、リフトシリンダ10の操作によりリンク機構11を介して昇降操作自在に苗植付装置12が連結され、その苗植付装置12の後方に、粉粒体としての例えば除草剤等の薬剤を散布する粉粒体散布装置13が備えられている。図2に示すように、苗植付装置12は4条植型式に構成されている。ミッションケース5には、変速レバー16を操作することにより変速操作される静油圧式の無段変速装置(図示せず)が備えられている。
【0030】
図1,2に示すように、苗植付装置12は、1個のフィードケース14に連結された機体左右方向に延びる支持フレーム(図示せず)に、2個の伝動ケース15が後向きに片持ち状に連結されている。伝動ケース15の後部の左右両側部に植付アーム18がクランク機構17により上下に揺動自在に支持され、植付アーム18に植付爪22が備えられており、苗植付装置12の下部には接地フロート19が支持されている。
又、苗植付装置12には、苗のせ台20が左右に一定ストロークで往復横送り駆動自在に備えられており、苗のせ台20がストロークエンドに達する毎に、載置された苗を所定量だけ下方に送るベルト式の縦送り装置21が苗のせ台20に備えられている。
【0031】
そして、フィードケース14に伝達される動力が伝動ケース15に伝達されて、植付アーム18が駆動される一方、フィードケース14に伝達される動力により苗のせ台20が往復横送り駆動されて、苗のせ台20の下部から上下に揺動運動する植付アーム18が、その先端部に備えられた植付爪22により1株ずつ苗を取り出して田面に植え付けるのであり、苗のせ台20が往復横送りのストロークエンドに達すると、フィードケース14に伝達される動力により縦送り装置21が駆動されて、苗のせ台20に載置された苗が下方に送られる構成となっている。
【0032】
粉粒体散布装置13について説明する。
図3は、粉粒体散布装置13を示す背面図である。図1〜図3に示すように、左右両側の伝動ケース15に夫々固定されて架設された支持フレーム23Aの中間部から支持部材23Bを固定立設してあり、この支持部材23Bの上部に、苗植付け状態において田面から設定距離上方に位置する状態で粉粒体散布装置13が支持される構成となっている。そして、図3及び図5に示すように、粉粒体散布装置13は、薬剤を貯留する貯留部としての貯留ホッパー24と、その貯留ホッパー24の下部に位置して貯留ホッパー24から薬剤を繰り出す繰出し機構25と、繰り出されて案内通路26(図5参照)を通して落下供給される薬剤を散布する散布機構27と、繰出し機構25の作動を制御するための電気制御ユニット28とを備えて構成されている。
【0033】
図5に示す接続具78Aは、電源側の接続具78Bが接続されることにより、電気配線77を電気制御ユニット28などに接続するものである。
【0034】
繰出し機構25について説明する。
繰出し機構25は、ケーシング29に収納される構成となっており、このケーシング29は、合成樹脂材からなり、散布機構27を構成する散布ガイドケース90の内部に薬剤を落下供給する案内通路26を構成する筒部30が一体形成されている。図3,図5,図6に示すように、ケーシング29は、左右両側の分割ケーシング部分29a,29bを合わせ面W同士で接続する左右2つ割り構造となっている。
【0035】
図5,8に示すように、繰出し機構25は、薬剤の通過用開口31が形成された金属製の開口形成板32と、通過用開口31を閉塞する閉状態と薬剤の通過用開口31を開放する開状態とにわたりスライド移動自在な樹脂製のシャッター部材33と、そのシャッター部材33を閉状態と開状態とに切り換えるアクチュエータとしてのソレノイド34とを備えて構成されている。
【0036】
図8,9,10に示すように、開口形成板32とシャッター部材33とが上下に重なる状態で設けられ、シャッター部材33が開口形成板32に形成された通過用開口31を閉じると閉状態となり、薬剤の落下供給が停止され、シャッター部材33が通過用開口31を開放する位置までスライドすると、通過用開口31が開放されて開状態となり、この開状態では、通過用開口31を通して薬剤が下方に落下供給される構成となっている。
この構成では、通過用開口31の下方側では、シャッター部材33だけが存在しており、シャッター部材33の下方には他の部材が存在しないので、薬剤が詰まり難い構成となっている。
【0037】
図11に示すように、開口形成板32には、通過用開口31が形成される水平面部分32aの開口側端部に下方に向けて屈曲する下向き屈曲片32bが形成され、それと反対のソレノイド34側端部には上方に向けて屈曲する上向き屈曲片32cが形成されている。又、水平面部分32aの開口側端部とソレノイド34側端部との中間部における幅方向両側部夫々に、シャッター部材33が下方に離間するのを防止するために、シャッター部材33を上下から囲うように略コ字状に屈曲する保持部32dが形成されている。つまり、開口形成板32は、1枚のプレートを屈曲させることにより、下向き屈曲片32b、上向き屈曲片32c、及び、保持部32dが形成されている。
【0038】
この開口形成板32は、下向き屈曲片32bがケーシング29の筒部30の内側に形成された係止凹部35に係合して、シャッター部材33がソレノイド34に近接する方向にスライド移動することによって連なって移動することが規制され、且つ、上向き屈曲片32cがケーシング29の筒部30の外側の端縁部36に係合して、シャッター部材33がソレノイド34から離間する方向にスライド移動することによって連なって移動することが規制される構成となっている。
【0039】
図11に示すように、通過用開口31は、ソレノイド34によるシャッター部材33の移動方向に沿う方向での開口幅L1が移動方向と直交する方向での開口幅L2よりも小になるように横長の長方形状に形成され、開口面積を充分大きくしながらも、ソレノイド34によるシャッター部材33の移動操作量を短くすることができるようにしている。
【0040】
シャッター部材33は、帯板状に形成されて、ソレノイド34の操作ロッド37に対して連結ピン38で枢支連結される構成となっており、開口形成板32の下側に接する状態で備えられ、保持部32dによって開口形成板32から上下に離間することを阻止する構成となっている。又、図8,9に示すように、シャッター部材33の開口遮蔽箇所33Aよりもソレノイド34側に寄った箇所に、開口形成板32とシャッター部材33との間に嵌まり込む薬剤を下方に落下させるために上下方向に貫通する掻き出し孔39が形成されている。
【0041】
図5に示すように、ケーシング29における筒部30の横一側箇所には、ソレノイド34を収納するための収納空間としてのソレノイド収納室40が形成されており、反対側箇所には、散布機構27における電動モータ41を収納するための収納空間としてのモータ収納室42が形成されている。ソレノイド収納室40側の筒部30の側壁には、シャッター部材33と開口形成板32とを挿通するためのスリット孔43が形成されている。
図8に示すように、このスリット孔43の上側には、開口形成板32とシャッター部材33とを水平姿勢で保持するための幅広案内部44が形成されており、この幅広案内部44の上面には、通過用開口31に向かうほど下方に傾斜する傾斜面45が全幅にわたって形成されている。又、スリット孔43の上側における幅方向両側部には、開口形成板32の浮き上がりを防止する両側ガイド部46が形成されている。
【0042】
スリット孔43の下部側には、幅方向両側部にシャッター部材33を受止め支持する下側ガイド部47が形成されるとともに、シャッター部材33を開状態に切り換えたときに、掻き出し孔39の下方から排出される薬剤を散布機構27に案内できるように幅広の排出用空間48が形成されている(図8参照)。
【0043】
シャッター部材33と開口形成板32とを挿通するためのスリット孔43が形成される箇所に対して、通路幅方向の反対側に寄せた状態で通過用開口31が形成されており、又、案内通路26は、平面視で横断面形状が略四角形状に形成されるが、排出用空間48の下方側には、出口54側に向かうほど径方向に沿う方向での案内通路26の幅が順次幅狭になるように傾斜面56が形成されて順次幅を狭くしてあり、その幅狭の箇所は通過用開口31を通過した薬剤がそのまま抵抗になることなく直線状に落下するように構成されている。このようにして、繰り出された薬剤が流動抵抗の少ない状態で良好に散布機構27に向けて案内供給できるようにしている。
【0044】
図8に示すように、シャッター部材33は、ソレノイド34に備えられるコイルバネ49が座金50を介して連結ピン38に作用することにより閉位置(通過用開口31を閉じる位置)に移動付勢され、ソレノイド34に通電することによりコイルバネ49の付勢力に抗して引き操作することにより開位置(通過用開口31を開放する位置)に移動操作することができるように構成されている。
【0045】
散布機構27について説明する。
図5,6に示すように、散布機構27は、ケーシング29の後端側の下部に位置する散布ガイドケース90と、この散布ガイドケース90の前端側の内部に縦軸芯Yまわりに回転自在に設けた放出回転体81と、この放出回転体81の支軸80に出力軸53が連結された電動モータ41とを備えて構成されている。
【0046】
散布機構27は、放出回転体81を縦軸芯Yまわりに回転方向A(図6参照)に電動モータ41によって駆動し、繰出し機構25によって貯留ホッパー24から繰り出され、案内通路26から散布ガイドケース90の前端側の内部に供給された薬剤を、放出回転体81によって跳ね飛ばして散布ガイドケース90によって機体後方向きに案内し、散布ガイドケース90の後端部に位置する散布口91から機体後方側に飛散させる。
【0047】
放出回転体81について説明する。
放出回転体81の支軸80が電動モータ41の出力軸53を圧入したジョイント53aに外嵌装着されており、支軸80とジョイント53aにわたってビスbiを装着して支軸80をジョイント53aを介して出力軸53に固定している。ジョイント53aの外周形状は小判形になっており、放出回転体81は、出力軸53と一体回転する構成となっている。
【0048】
放出回転体81は、支軸80の下端部に一体形成された受止め体51と、この受止め体51の受止め面51Aに立設された拡散用羽根体52とを備えて構成されており、案内通路26から供給された薬剤を受止め体51の受止め面51Aによって受け止め、受止め面51Aで受止め体51の外周側に移動した薬剤を拡散用羽根体52によって跳ね飛ばす。
【0049】
受止め体51及び拡散用羽根体52は合成樹脂材にて一体形成される構成となっており、受止め体51には、電動モータ41の出力軸53に外嵌する支軸80も一体形成されている。
【0050】
受止め体51は縦軸芯Yまわりで回転する状態で板面が横向き姿勢となるように設けられた円板形状になっており、拡散用羽根体52が、周方向に沿って分散配置される状態で且つ受止め体51における回転軸芯Yから径方向外方側に寄った状態で放射状に複数備えられている。従って、受止め体51における回転軸芯Yを含むその周囲の領域は、周方向全域にわたって拡散用羽根体52が存在しない羽根無し領域Qとして形成されている。
【0051】
具体的には、拡散用羽根体52は、周方向に沿って約60度ずつ等間隔をあけて分散配置される状態で6個備えられており、各拡散用羽根体52は、受止め体51の半径の約半分の距離に相当する横幅を有し、且つ、横幅の略半分の距離に相当する高さを有する状態で、受止め体51の径方向外方側に寄った位置に立設される構成となっている。
【0052】
図5に示すように、拡散用羽根体52の径方向での内端縁は径方向外方側ほど高くなる傾斜縁52Aに形成されている。拡散用羽根体52の上端縁は水平に形成され、拡散用羽根体52の上下高さが受止め体51の受止め面51Aの傾斜の分、径方向外方側ほど低くなるように形成されている。
【0053】
図5に示すように、円板形状の受止め体51は中央部が下向きに突出する形状となっており、受止め体51の上部側の位置する受止め面51Aが回転軸芯Y側ほど下方に位置する中凹み状の傾斜面に形成されている。このように構成することで薬剤を周方向に均す機能をより発揮させ易いようにしている。
【0054】
散布ガイドケース90について説明する。
図5,6,12に示すように、散布ガイドケース90は、放出回転体81の上方に位置する平板状の天井壁部58A、及び放出回転体81の機体前方側部位での外周側に放出回転体81における受止め体51の外周縁に沿って位置する円弧形状の縦壁部58Bを有したガイドケース主体58と、天井壁部58Aの下方の両横側に縦壁部58Bに対して散布口側に偏倚させて設けた左右一対の放出調整体60,60とを備えて構成されている。天井壁部58A及び縦壁部58Bは、合成樹脂材にてケーシング29に一体形成されている。縦壁部58Bは、ケーシング29に一体成形される状態で設けられ、放出回転体81における受止め体51の外周縁の近傍に、周方向に沿って約半周にわたり受止め体51の外周部を覆うように、所定の上下幅を有する状態で且つ外周縁に沿うように平面視で半円弧状に形成されている。縦壁部58Bは、両端側での外面側に縦壁部周方向に並べて設けられた複数の補強リブ58Cを備えている。各補強リブ58Cは、縦壁部58Bの全高にわたって位置するように形成されている。
【0055】
散布ガイドケース90は、放出回転体81によって跳ね飛ばされた薬剤の散布口側とは反対側への飛散を縦壁部58Bによって規制し、放出回転体81によって跳ね飛ばされた薬剤の上方への飛散を天井壁部58Aによって規制し、放出回転体81によって跳ね飛ばされた薬剤を天井壁部58A及び左右一対の放出調整体60,60によって散布口91に向かって飛散するように案内することにより、放出回転体81からの薬剤を散布口91から機体後方側に飛散させる。
【0056】
図6,7に示すように、左右一対の放出調整体60,60は、ガイドケース主体58における縦壁部58Aの端部と放出調整体60の基部とに亘って設けた上下一対の枢支手段100,100を介して縦壁部58Bの端部に枢支されており、放出調整体60の基部に位置する機体上下向きの揺動軸芯Zまわりに揺動開閉操作自在に支持されている。
【0057】
図6に示す左側の放出調整体60は、最も開き側の設定取付け角で取り付けられた状態での放出調整体60を示し、図6に示す右側の放出調整体60は、最も閉じ側の設定取付け角で取り付けられた状態での放出調整体60を示している。この図に示すように、左右一対の放出調整体60,60は、揺動軸芯Zまわりに開き側や閉じ側に揺動調節されることにより、放出調整体60の水平角が変化し、放出回転体81からの薬剤が放出調整体60の案内面61で案内されて飛散する方向を水平方向に変化するよう調整する。
【0058】
図6,12,13に示すように、左右一対の放出調整体60,60は、放出調整体60の上端部から内向きに延出された天板部62を備えており、開き側に揺動調節された場合、放出調整体60の遊端側が天井壁部58Aから横外側に突出して放出調整体60と天井壁部58Aとの間に隙間が発生することになっても、この隙間を天板部62によって閉じて隙間からの薬剤の漏れ出しを防止する。
【0059】
図12,13,15に示すように、左右一対の放出調整体60,60は、散布ガイドケース内外方向での内側面としての案内面61を形成する内側壁板63と、散布ガイドケース内外方向での外側面を形成する外側壁板64と、内側壁板63と外側壁板64との間に位置する複数の連結体65とを備えて構成してある。複数の連結体65は、放出調整体60の案内面方向であって、薬剤流動方向での複数箇所に分散して位置して、内側壁板63と外側壁板64とを間隔を隔てて連結している。各連結体65は、縦向きに位置する平板形状となるように形成されている。これにより、左右一対の放出調整体60,60は、内側壁板63と外側壁板64の間の連結体65で区画された複数箇所に空洞部66を備えた中空の構造体であり、かつ放出調整体60の散布ガイドケース内外方向での厚さT1がガイドケース主体58Cにおける縦壁部58Bの散布ガイドケース内外方向での厚さT2より大である構造体となり、軽量でありながら折れ曲がりにくい強度を備える。放出調整体60は、内側壁板63、外側壁板64、連結体65及び天板部62が合成樹脂材にて一体形成された構成となっている。図12に示すように、放出調整体60が内側壁板63と外側壁板64を備えていることにより、外側壁板64の外面側に付着した雨水aが内側壁板63の内面側に回り込まず、散布ガイドケース内の粉粒体bが雨水と混ざらない。雨水aが連結体65の下端に伝わらないように、連結体65の下端を外側壁板64の下端より高い配置高さに配置してある。
【0060】
左右一対の放出調整体60,60それぞれとガイドケース主体58とに亘って位置決め手段110を設けてある。
【0061】
図6,12,13に示すように、左右一対の放出調整体60,60それぞれに対応する位置決め手段110は、放出調整体60における天板部62の上面側の一箇所に設けた位置決め凸部111と、ガイドケース主体58における天井壁部58Aの内面側に位置決め凸部111の移動軌跡に沿って並ぶ配置で設けた複数の位置決め凹部112とを備えて構成してある。位置決め凹部112は、天井壁部58Aの内面に設けてあることによって下向きに開口した状態となっている。これにより、拡散用羽根体52によって水平方向に打ち出される薬剤が入り込み難い構造にしてある。また、薬剤が入り込んでも、入り込んだ薬剤を落下によって排出する。各位置決め凹部112は、天板部62に設けた貫通孔で構成してある。
【0062】
位置決め手段110は、放出調整体60が複数の設定取付け角それぞれに調節されると、調節された設定取付け角に対応する位置決め凹部112に位置決め凸部111が係入して位置決め凹部112と位置決め凸部111とが係合し、この係合によって放出調整体60を調節された設定取付け角に位置決めする。
【0063】
位置決め手段110は、放出調整体60が設定取付け角から移動される場合、位置決め凹部112と位置決め凸部111の間に発生するカム作用によって天板部62が放出調整体60に連結している基端側を揺動支点として弾性変形することにより、位置決め凸部111を位置決め凹部112から離脱させて放出調整体60の移動を可能にする。
【0064】
図6,13,14,15に示すように、ガイドケース主体58に対する放出調整体60の上下一対の枢支手段100,100それぞれは、ガイドケース主体58における縦壁部58Bから放出調整体60に向けて突設された支持部101と、この支持部101に設けた枢支部102と、放出調整体60の基部に形成された連結部103に設けた外嵌部104とを備えて構成してある。
【0065】
支持部101は、上側の枢支手段100の支持部101と下側の枢支手段100の支持部101とに共用の支持部となる構成になっている。枢支部102は、支持部101に機体上下方向に貫通する状態で設けた1本の枢支軸105の支持部101から突出している部位で構成してあり、縦向きの枢支軸の構成になっている。上側の枢支手段100における枢支部102は、支持部101から上向きに突出する枢支軸の構成となり、下側の枢支手段100における枢支部102は、支持部101から下向きに突出する枢支軸の構成となっている。
【0066】
外嵌部104は、枢支部102に対して枢支軸105の軸芯で成る揺動軸芯Zまわりに相対回転自在に外嵌するよう構成してある。外嵌部104に、スリット106を枢支部102に対して放出調整体60が位置する側とは反対側に配置して形成してある。スリット106は、枢支部102の長手方向(揺動軸芯Z)に沿った直線状となるように形成してある。外嵌部104の揺動軸芯Zに沿う方向視での形状がC字形状となっている。外嵌部104は、弾性を備えるように合成樹脂材で形成してある。放出調整体60は、連結部103及び外嵌部104を合成樹脂材で一体形成されて備えている。
【0067】
つまり、上下一対の枢支手段100,100それぞれは、放出調整体60が次の如く脱着される構成になっている。
【0068】
すなわち、外嵌部104のスリット106を枢支部102に合致させた状態で外嵌部104を枢支部102に押し付ける操作力を放出調整体60に付与することにより、外嵌部104が押し付け操作力のために拡径側に弾性変形してスリット106の横幅が拡がり、拡がったスリット106を介して外嵌部104が枢支部102に嵌っていき、外嵌部104が枢支部102に対する所定の外嵌状態になると、外嵌部104が縮径してスリット106の横幅が元の大きさの横幅に戻って放出調整体60が所定の組み付け状態となり、放出調整体60は、枢支部102に対する外嵌部104の回動によって、揺動軸芯Zまわりに揺動開閉する。
【0069】
所定の組み付け状態にある放出調整体60に揺動方向と異なる方向の操作力あるいは外力が付与された場合、また、放出調整体60が位置決め凹部112から外れて開き側の限界に位置した状態にある時、その放出調整体60にさらに外側に開く方向に力が付与された場合、外嵌部104がその操作力や外力のために拡径側に弾性変形してスリット106の横幅が拡がり、拡がったスリット106を介して外嵌部104が枢支部102から離脱し、放出調整体60が縦壁部58Bから外れる。
【0070】
図6,13に示すように、上下一対の枢支手段100,100それぞれに対応させたシール手段115を、ガイドケース主体58における縦壁部58Bと放出調整体60とに亘って設けてある。
【0071】
図6,13,14,15に示すように、上下一対の枢支手段100,100それぞれに対応するシール手段115は、ガイドケース主体58における縦壁部58Bの端部に外嵌部104のまわりに位置する配置で設けた固定シール壁116と、放出調整体60における連結部103に外嵌部104のまわりに位置する配置で設けた可動シール壁117とを備えて構成してある。
【0072】
固定シール壁116に、シール壁面116aを外嵌部104に向かわせて形成してある。シール壁面116aは、放出調整体60の揺動軸芯Zと同芯状の円弧形状の湾曲面となるように形成してある。ガイドケース主体58は、縦壁部58B及び固定シール壁116を合成樹脂材で一定形成されて備えている。
【0073】
可動シール壁117は、放出調整体60の連結部103から固定シール壁116に向かって延出している。可動シール壁117は、外嵌部104の拡径変形を許容するスペースSを外嵌部104の外側に確保するように外嵌部104に対して所定間隔離れた箇所に位置している。可動シール壁117は、放出調整体60の揺動軸芯Zと同芯状の円弧形状の湾曲壁となるように形成してある。可動シール壁117の外面側に放出調整体60の揺動軸芯Zと同芯状の円弧形状の湾曲面となったシール壁面117aを形成してある。放出調整体60は、連結部103、外嵌部104及び可動シール壁117を合成樹脂材で一体形成されて備えている。
【0074】
上下一対の枢支手段100,100それぞれに対応するシール手段115は、外嵌部104の拡径変形を許容するスペースを外嵌部104のまわりに確保することによって発生する縦壁部58Bと放出調整体60の連結部103と間の隙間から薬剤が漏れ出ないようにその隙間を閉じる。
【0075】
つまり、図15(a)は、放出調整体60が最も閉じ側の設定取り付け角に調節された状態における位置関係での固定シール壁116及び可動シール壁117を示している。図15(b)は、放出調整体60が最も開き側の設定取り付け角に調節された状態における位置関係での固定シール壁116及び可動シール壁117を示している。これらの図に示すように、固定シール壁116と可動シール壁117とは、ガイドケース主体58に対する放出調整体60の揺動範囲内において散布ガイドケース内外方向に重なり合う位置関係にあり、放出調整体60が複数の設定取付け角のいずれに調節された場合でも、固定シール壁116と可動シール壁117の重なり合いによって縦壁部58Bと放出調整体60の連結部103との隙間を閉じる。固定シール壁116と可動シール壁117は、固定シール壁116のシール壁面116aと可動シール壁117のシール壁面117aとが近接し合う状態で重なり合い、薬剤の漏れ出しを精度よく防止する。
【0076】
図6,13,14,15に示すように、放出調整体60の連結部103の外側にカバー109を放出調整体60の上下方向での全長にわたって設けてある。このカバー109は、上下一対の枢支手段100,100それぞれの支持部101、枢支部102及び外嵌部104の外側を覆い、上下一対の枢支手段100,100に対する泥土の入り込みを軽減する。カバー109は、合成樹脂材で放出調整体60に一体形成されている。
【0077】
図7に示すように、ケーシング29の横側面に、散布量調節器68、ロータリスイッチRS及び計量スイッチ74が備えられた操作パネル73を設けてある。
ロータリスイッチRSは、3位置に切り換え自在であり、中央の「切」位置に操作すると、電源入切スイッチ(図示せず)が切り状態となり、「A」位置及び「B」位置に操作すると、電源入切スイッチが入り状態となり且つ「A」位置又は「B」位置の違いにより繰出し機構25による薬剤繰出し量の調節操作状態が互いに異なるものに切り換わる構成となっている。
【0078】
ロータリスイッチRSが「A」位置に操作されると、散布量調節器68の操作位置が最小調節位置から最大調節位置に変化するに伴って、ソレノイド34を開状態に切り換える開作動用の設定時間(薬剤の繰出し量に相当)が漸次増大する形態で変化する調節操作状態であって且つ散布量調節器68の操作位置が同じであるときの開作動時間が少ない状態となる第1調節操作状態が設定される。
【0079】
ロータリスイッチRSが「B」位置に操作されると、散布量調節器68の操作位置が最小調節位置から最大調節位置に変化するに伴って開作動時間が漸次増大する形態で変化する調節操作状態であって且つ散布量調節器68の操作位置が同じであるときの開作動時間が第1調節操作状態よりも大となる第2調節操作状態が設定される。
【0080】
計量スイッチ74が設定時間(数秒間)以上連続して押し操作(長押し)されると、計量用モードに切り換わる。計量用モードに切り換わると、放出回転体51が計量用回転数で回転するように電動モータ41を駆動制御するとともに、設定回数だけソレノイド34の開作動(計量用繰出し作動)を繰り返し実行する。このような動作が計量用動作に対応する。
【0081】
計量用動作について説明を加えると、圃場の単位面積(例えば、10a)当たりに所定量の薬剤を散布すると設定しているような場合には、この所定量の薬剤を繰り出すのに必要とされる予め設定される設定回数だけ繰出し機構25を開状態に切り換える。そして、そのとき、散布機構27の外周を囲うように予め用意した回収容器(図示せず)により放出される薬剤を回収して、薬剤の量を計測することになる。
【0082】
図4は、粉粒体散布装置13の取付け構造の分解状態での斜視図である。この図及び図5に示すように、ケーシング29に側面視L字形に折り曲げた支持ブラケット89がネジ止め状態で固定され、一方、支持部材23Bの前面側にバックル機構87が備えられている。
【0083】
支持部材23Bには、その縦面部88Aの上部に支持ブラケット89の下端縁89Aを受止め支持する下側受止め部88Bが形成されるとともに、縦面部88Aの上端部には、支持ブラケット89に形成された係合孔89Bが嵌まり合い係合して受止め支持する上側受止め部88Cが形成され、支持部材23Bの縦面部88Aと支持ブラケット89の縦面部89Cとが接当した状態で、各受止め部88B,88Cにて支持ブラケット89を受止めている状態で、バックル機構87を支持ブラケット89に形成された係止部89Dに係合させた状態で位置保持自在並びに取り外し自在に支持する構成となっている。支持ブラケット89の係止部89Dは、支持部材23Bに形成された貫通孔88Dに入り込んでバックル機構87に連結される。
その結果、作業終了後に走行機体3や苗植付装置12等を水洗いするような場合に、バックル機構87を外すことで薬剤散布装置13全体を取り外しておくことができる。
【0084】
〔別実施例〕
図16は、別の実施構造を備えた放出回転体81の取付け構造を示す縦断側面図である。この図に示すように、別の実施構造を備えた取付け構造では、電動モータ41の出力軸53が放出回転体81の支軸80を全長にわたって貫通し、出力軸53の基端部に設けられた回り止めピン120が支軸80に設けられた切欠き部80aに係入して放出回転体81の出力軸53に対する回り止め、及び出力軸53に対する放出回転体81の出力軸芯方向での位置決めを行い、出力軸53の放出回転体81から突出する端部に装着された抜止めストッパ121によって放出回転体81の抜け止めを行なう構成になっている。
【0085】
抜止めストッパ121は、ネジ孔121aを備え、出力軸53に形成されたネジ部53aにネジ孔121aによって脱着自在に装着するよう構成してある。
【0086】
抜止めストッパ121のネジ孔121a及び出力軸53のネジ部53aのネジ仕様は、次のネジ仕様になっている。すなわち、抜止めストッパ121が放出回転体81の駆動回転の回転方向A(図6参照)と同じ回転方向に出力軸53に対して回転操作されることにより、抜止めストッパ121が出力軸53に対して締め込み側に螺進して放出回転体81の取り付けを行ない、抜止めストッパ121が放出回転体81の駆動回転の回転方向Aとは逆の回転方向に出力軸53に対して回転操作されることにより、抜止めストッパ121が出力軸53に対して緩み側に螺進して放出回転体81の取り外しを行うというネジ仕様になっている。
【0087】
これにより、抜止めストッパ121を回転操作するだけで操作簡単に放出回転体81を脱着できるものでありながら、放出回転体81の駆動回転に起因する抜止めストッパ121の緩み発生を回避しながら散布機構27を駆動することができる。
【0088】
図17は、別の実施構造を備えた放出調整体60のための枢支手段100を示す縦断側面図である。この図に示すように、別の実施構造を備えた枢支手段100では、縦壁部58Bに形成された支持部101に球体で成る枢支部102を設け、放出調整体60に形成された連結部103に凹入穴104aを有した外嵌部104を設けて構成してある。
【0089】
枢支部102は、支持部101に設けた支持孔107に組み込まれたスプリング108により、外嵌部104の凹入穴104aに係入するよう突出側に付勢されている。枢支部102は、抜止めリング109によって支持孔107から抜け出ないように支持されている。
【0090】
つまり、この枢支手段100では、放出調整体60に所定の取付け操作力が付与されると、外嵌部104が取付け操作力のために凹入穴104aのまわりの部位で枢支部102を支持孔107に押し込み操作してスプリング108を弾性変形させながら支持部101に対して移動し、外嵌部104が所定の取付け位置まで移動すると、凹入穴104aと枢支部102とが合致し、枢支部102がスプリング108の弾性復元力によって凹入穴104aに入り込んで枢支部102と外嵌部104とが係合し、放出調整体60は、所定の組み付け状態になり、球体の中心を通る揺動軸芯Zまわりに揺動する。
【0091】
この枢支手段100では、放出調整体60に揺動方向と異なる方向の操作力あるいは外力が作用すると、外嵌部104がその操作力や外力により、凹入穴104aの内壁面でカム作用を発揮し、枢支部102を支持孔107に押し込み操作してスプリング108を弾性変形させながら支持部101の外側に移動し、外嵌部104が枢支部102から離脱して放出調整体60が縦壁部58Bから外れる。
【0092】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、枢支部102をガイドケース主体58の縦壁部58Bに設け、外嵌部104を放出調整体60に設けた例を示したが、枢支部102を放出調整体60に設け、外嵌部104を縦壁部58Bや天井壁部58Aなどガイドケース主体58側に設ける構成を採用してもよい。
【0093】
(2)上記した実施形態では、外嵌部104を放出調整体60に一体形成した例を示したが、外嵌部104を放出調整体60とは別部材に形成して放出調整体60に取り付ける構成を採用してもよい。
【0094】
(3)上記した実施形態では、位置決め手段110として、位置決め凹部112を天井壁部58Aに設け、位置決め凸部111を放出調整体60に設けた例を示したが、位置決め凹部112を放出調整体60に設け、位置決め凸部111を天井壁部58Aなど、ガイドケース主体58側に設ける構成を採用してもよい。
【0095】
(4)上記した実施形態では、位置決め凹部112を天井壁部58Aに設けた貫通孔で構成した例を示したが、天井壁部58Aの内面側において下向きに開口し、天井壁部58Aの外面側に開口しないように非貫通形に構成して実施してもよい。
【0096】
(5)上記した実施形態では、放出調整体60を中空構造に構成した例を示した、空洞部を有しない中実構造に構成して実施してもよい。
【0097】
(6)上記した実施形態では、可動シール壁117を外嵌部104の内側に設けた例を示したが、外嵌部104の外側に設ける構成、あるいは、外嵌部104の内側と外側の両方に設ける構成を採用してもよい。
【0098】
(7)上記した実施形態では、粉粒体として薬剤を散布するものを示したが、薬剤に限らず、肥料や種子等、他の粉粒体を散布するものでもよい。又、上記した実施形態では、粉粒体散布装置13が乗用型田植機の後部に装着されるものを示したが、このような構成に代えて、圃場を歩行しながら歩行型田植機を操縦する作業者の背中に背負う状態で散布作業を行う形態の粉粒体散布装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、粉粒体を設定量ずつ繰り出して拡散放出させるように構成された粉粒体散布装置に適用できる。
【符号の説明】
【0100】
58B 縦壁部
58A 天井壁部
58 ガイドケース主体
60 放出調整体
63 内側壁板
64 外側壁板
65 連結体
81 放出回転体
90 散布ガイドケース
91 散布口
100 枢支手段
102 枢支部
104 外嵌部
106 スリット
111 位置決め凸部
112 位置決め凹部
116 固定シール壁
117 可動シール壁
T1 放出調整体の厚さ
T2 縦壁部の厚さ
Y 縦軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
散布ガイドケースの内部に供給された粉粒体が、前記散布ガイドケースの内部で縦軸芯まわりに回転駆動される放出回転体によって跳ね飛ばされて、前記散布ガイドケースによって案内されて前記散布ガイドケースの散布口から飛散されるように構成した粉粒体散布装置であって、
前記散布ガイドケースを、前記放出回転体の外周側に位置して粉粒体の前記散布口側とは反対側への飛散を規制する縦壁部、及び前記放出回転体の上方に位置して粉粒体の上方への飛散を規制する天井壁部を有したガイドケース主体と、粉粒体の放出方向を調整するように前記ガイドケース主体に対して水平角変更自在に設けた放出調整体とを備えて構成し、
前記ガイドケース主体に対する前記放出調整体の枢支手段を、弾性的に係合及び離脱し合い、かつ相対回転自在に係合し合う枢支部と外嵌部とを前記ガイドケース主体と前記放出調整体とに各別に設けて構成してある粉粒体散布装置。
【請求項2】
前記枢支部として枢支軸を設け、
前記外嵌部に前記枢支軸に沿うスリットを備えて、前記外嵌部が前記枢支軸に対して径方向から係脱するように構成してある請求項1記載の粉粒体散布装置。
【請求項3】
前記外嵌部のまわりに配置して前記ガイドケース主体側に設けられた固定シール壁と前記外嵌部のまわりに配置して前記放出調整体側に設けられた可動シール壁とを備え、
前記ガイドケース主体に対する前記放出調整体の揺動範囲内において前記固定シール壁と前記可動シール壁とが常に重なり合うよう構成してある請求項1又は2記載の粉粒体散布装置。
【請求項4】
前記ガイドケース主体に対して前記放出調整体を複数の設定取付け角に位置決めするよう互いに係合離脱可能な位置決め凹部と位置決め凸部とを前記ガイドケース主体と前記放出調整体とに各別に設けてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉粒体散布装置。
【請求項5】
前記位置決め凸部を前記放出調整体に形成し、前記位置決め凹部を前記天井壁部の内面に形成してある請求項4記載の粉粒体散布装置。
【請求項6】
前記放出調整体の前記散布ガイドケース内外方向での厚さを前記縦壁部の前記散布ガイドケース内外方向での厚さより大にしてある請求項1〜5のいずれか一項に記載の粉粒体散布装置。
【請求項7】
前記放出調整体を、この放出調整体の前記散布ガイドケース内外方向での内側面を形成する内側壁板と、前記放出調整体の前記散布ガイドケース内外方向での外側面を形成する外側壁板と、前記放出調整体の案内面方向での複数箇所で前記内側壁板と前記外側壁板とを間隔を隔てて連結する連結体とを備えて構成してある請求項6記載の粉粒体散布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−72(P2013−72A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135538(P2011−135538)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(592070649)パナソニック デバイスSUNX竜野株式会社 (61)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】