説明

粒入り飲料およびその製造法

【課題】各種の飲料製品にそれぞれ好適な柔らかい、舌先でも容易に潰れる粒状を浮遊させて、新規に好適な食味食感を付与し、飲料製品の旨味向上に資する。
【解決手段】(イ)微粉砕グルコマンナン(100メッシュ通過)、多糖類およびグルコマンナンの凝固剤の3者の粉体混合物に水(もしくは水に加えてベース飲料)を加えて作成したグルコマンナンの水和ゲルを攪拌してこれに微小な気泡を導入し、次いで、これを適宜の形状およびサイズの粒となるように熱水中に投入し、加熱して得られたことを特徴とする気泡入りグルコマンナンの軟性不可逆的ゲルの粒、並びに、(ロ)このような気泡入りグルコマンナンの軟性不可逆的ゲルの粒がベース飲料中に浮遊せしめられていることを特徴とする粒入り飲料、及び(ハ)このような飲料であってベース飲料にグルコマンナンの水和ゲルが加えられて加熱されたもの、並びに、(ニ)(ロ)および(ハ)の粒入り飲料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粉砕グルコマンナン(100メッシュ通過)の2段活用(微小気泡を導入した粒とベース飲料への濃厚感付与)により、第一に、グルコマンナンの軟性不可逆ゲルの粒がこれに気泡が導入されてベース飲料中に浮遊する効果の発揮され得る、微粉砕グルコマンナンの水和ゲル(水和糊)を活用した粒入り飲料に関し、第二に、このような粒入り飲料であって、ベース飲料に微粉砕グルコマンナンの水和ゲルを加えて加熱することにより濃厚感を増強したものにも関する。
【背景技術】
【0002】
飲料に関しては、例えば、調味飲料、野菜ジュース、果実ジュース、果実ミックスジュースと野菜の飲料、果汁入り飲料など夫々の名称を以て市販されている。いずれも、嗜好飲料で、大別すると果実飲料(JAS規定の範囲がある)、清涼飲料(食品衛生法では清涼飲料水として、果実飲料も含める)、乳清飲料(乳等が省令で分類定義づけられている)等がある。
【0003】
また、トマト等、野菜を原料とした飲料、豆乳関連の飲料、その他、特に栄養、健康を強調して各種の原料を配合した飲料がある。このうち、JASではトマト、野菜関連の飲料はトマト加工品、豆乳関連飲料は豆乳、調製豆乳、豆乳飲料として分類、定義づけられている。また、嗜好飲料としては、コーヒー、ココア関連飲料、茶、酒精飲料等が含まれ、嗜好を満足させる点に重点が置かれている。
【0004】
清涼飲料は、ドリンクとも呼称され、食品成分表では、嗜好飲料とその他の飲料とに分類され、その他の飲料には、甘酒、ココア、コーヒー、昆布茶、炭酸飲料、麦茶などがあり、その分類、定義は商品の開発、流行がはげしいために、名称と内容が混乱し、一致しないことがあり、国際的にも食品規格の設置がまたれる部門である。
【0005】
本発明の粒入り飲料に関して言うベース飲料とは、気泡入りグルコマンナンの軟性不可逆的ゲルを加えて本発明の粒入り飲料を作成されるべき飲料を指称し、これには如上の飲料類が全て包含される。
【0006】
近時、嗜好飲料として、一部に、みかんの房を薄皮(内果皮)を分離してみかんジュースに加えた瓶入りや、缶入り製品が市販されたが、桃や葡萄等その他の果実製品と同様に、飲料とは別製品の瓶詰めや缶詰め製品である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前項記載のように、従来、調味調整済の飲料は、色調を整え、甘味や酸味を調整し、缶詰や瓶詰、樹脂製の箱詰、紙製の箱詰め(裏側に水分吸収がない銀色片が接着)等の製品が一般的である。このように、従来の飲料は殆どが調味調整済の飲料であるのに替わり、微粉砕グルコマンナン(以下、「微砕マンナン」と略称することがある)の水和糊を2段活用することにより、適宜にベース飲料におけるその主原料使用目的の効果を整え、各種の飲料に、調味以外の旨味効果をも新規に付加する方法が、正に本発明が解決しようとする課題である。
【0008】
すなわち、2段活用の第1目には、水和溶解した微砕マンナンに、微小の気泡が残留する粒状の軟性不可逆的ゲル(例えば、径3mm〜5mm程度)が、飲用中でも舌先で抵抗なく潰れる態様で、製品の飲料中に浮遊して散在する。なお、この不可逆的ゲルの作成に際し、水とともにベース飲料をも使用する場合は、ベース飲料の旨味効果を合わせ持つ粒が飲料中に浮遊して散在することになる。
【0009】
第2目には、微砕マンナンの希薄溶液をベース飲料に加えて加熱することにより原ベース飲料よりも旨味濃度が強く感じられるという効果を付与する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前項記載の目的を達成すべく鋭意研究の結果、微砕マンナンの2段活用によって各種の飲料に別段の旨味効果(ベース飲料に対する新食感の付与とベース飲料への濃厚感の付与)を発現せしめ得ることを見出し、このような知見に基いて本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、(イ)微粉砕グルコマンナン(100メッシュ通過)、多糖類およびグルコマンナンの凝固剤の3者の粉体混合物に水(もしくは水に加えてベース飲料)を加えて作成したグルコマンナンの水和ゲルを攪拌してこれに微小な気泡を導入し、次いで、これを適宜の形状およびサイズの粒となるように熱水中に投入し、加熱して得られたことを特徴とする気泡入りグルコマンナンの軟性不可逆的ゲルの粒、並びに、(ロ)このような気泡入りグルコマンナンの軟性不可逆的ゲルの粒がベース飲料中に浮遊せしめられていることを特徴とする粒入り飲料、及び(ハ)このような飲料であってベース飲料にグルコマンナンの水和ゲルが加えられて加熱されたもの、並びに、(ニ)(ロ)および(ハ)の粒入り飲料の製造方法に関する。
【0012】
換言すれば、各種の(ベース)飲料に、調味が同調適合する柔らかい粒状物(微小気泡入りグルコマンナンの軟性不可逆的ゲルの粒)を適当量配合してこれが液中に浮遊する状態とすることを特徴とする新食感の粒入り飲料、及びそのような粒入り飲料であって、ベース飲料に微粉砕グルコマンナンの水和ゲルを加えてベース飲料に濃厚感を付与したもの、並びにそれらの製造法に関する。
【0013】
付言するに、従来の各種飲料は、適宜調味済の又は未調味の搾汁(果汁)を美味調整し、適宜飲料に適合するようにした製品として市販されてきた。また、柑橘類では一房毎に分離し、その飲料には噛むことによる味わいの特殊効果も加わり、この粒入り飲料は、新たに美味い飲料として新規製品を提供したが、房の分離に特別の処理剤(内容不明)を使用するため、その飲用には添加物への抵抗が伴い、以後、その製品は市販に至っていない。
【0014】
これに対し、本発明者は、従来の各種飲料とは原材料に特段の区別なく、適宜、所望による果実や野菜などの味付きの粒状物が飲料に分散して浮遊する粒入り飲料、このような粒入り飲料であってベース飲料の濃厚感が増強したもの、及びそれらの製造法を完成したのである。
【0015】
本発明は、飲用に際し、当該飲料を打ち振って攪拌して均一状態とする必要のない粒入り飲料及びその製造法に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の果実や野菜などの味付き粒入り飲料は、微砕マンナンの水和糊を2段活用することにより、各種の(ベース)飲料に新規の旨味効果(新食感と濃厚感)を発現せしめるに至ったものである。
【0017】
従来の各種飲料は、製品名毎の風味や調味、時には香味を付し、すなわち、例えば、ミカンジュースの製品名を付したものは、ミカンの風味や調味、時にはミカンの香味を付して、ドリンクとして市場に提供されて相当する市場が構成され、今日では各種の調味済飲料として、その市場は一層拡大している。
【0018】
然しながら、通常、冷たい飲料としながらも、その容器には、品名の果実が最高に熟した絵柄(カラー写真)で強調されて製品価値を競うが、実は各種調整済の味付け飲料であり、製品の名称や美麗な絵柄が競われるが、飲料の味風味は、特殊製品を除いては、従来の同じ製品名のものとはさほどの区別は感じられない。
【0019】
かかる実状に鑑み、所望により、飲料名(例えば、ミカンジュース)となっている名目原料(例えば、ミカン)の旨味効果向上に、例えば、微砕マンナンの軟性不可逆的ゲルの粒の作成に際し、水に加えて名目原料の果汁を10〜20%、微砕マンナンの水和溶解の終了時に添加攪拌(約20秒)して風味効果の向上を図った。
【0020】
また、当該飲料の旨味効果実現に、ベース飲料に加える微砕マンナンの溶液調製に際し、例えば、名目原料の果汁を前記同様に10〜20%加えて水和溶液を調製する。
【0021】
なお、当該水和ゲル液は、作成後であれば、その分割使用は適宜自在である。後掲<実施例2>ならびに<実施例4>および<実施例6>参照。
【0022】
今日、我が国のドリンク等飲料市場は旧態依然の類似製品を競いながら、食品添加物はもとより、製品内容(特に原料構成)は理解して知れば知る程、継続して飲用することに危惧を実感する現状に立ち至っている。
【0023】
町々に相接して設けられた飲料類の、自動販売機の数が異常に無感動の実態を呈しているが、実に危惧感さえ覚える。ただ飲用するだけの、着色着香で、甘味や酸味が容器の絵柄に、鮮やかな呼びかけが競われている。この様な実態が年毎に増幅するが、当該飲料の効果的実態の進展は実現に至らず永年、改革進展の足がかりもない。
【0024】
このとき、本発明が、飲料中に同種同系統の旨味効果を、舌先でも容易に潰れる軟性の粒状物に含ませて、当該製品の特殊性を旨味効果として適宜に発現する飲料を発明し、完成した結果、従来の永年変わらぬ味付け飲料水から、一挙に昇華した新製品への道標ともなった。
【0025】
すなわち、飲料であっても、サイズが例えば径3mm〜5mm程度の、上に記載の粒状物が旨味効果を発現する新製品を完成した。
【0026】
今後、各種飲料が味付きまたは不味付きの粒状物を浮遊させることにより、向上した旨さを提供する飲料へと改革改善が実現するヒント、足がかりとなることを願う次第である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の実施態様は、グルコマンナン水和物を軟性不可逆的ゲルの粒状物としてベース飲料に加えて該ベース飲料内に浮かせることによりこれに新食感を付与する場合(この場合にも、濃厚感が若干付与される)、及びこれに加えてベース飲料にグルコマンナンの水和ゲルを加えてこれに濃厚感を付与する場合に大別される。
【0028】
以下、先ず、気泡入りグルコマンナンの軟性不可逆的ゲルの粒の作成法を説明する。
【0029】
微砕マンナン(100メッシュ通過)、多糖類(例えば、特許第3023837号明細書[0015]に開示のデキストリンなど)およびグルコマンナンの凝固剤(例えば、水酸化カルシウム)の3者を粉体混合し、この混合物に水を加えてマンナンの水和ゲルを作成する。後掲<実施例1>および<実施例2>参照。
【0030】
マンナンの粒度を100メッシュ通過とする理由は、マンナンの水和溶解が僅か10分程度で終了、共用原料との混和が容易(粉体)、共用原料との水和溶解が同調、特有のマンナン臭が水和攪拌時に気化消失、などによる。
【0031】
この場合のマンナンのゲル化には、マンナン特有のネトが喪失し、マンナンの溶解に伴い水和物の比重が微妙に変わり、微妙な舌ざわり効果を伴う。
【0032】
また、多糖類を併用する理由は、微砕マンナンに水を加えたときに微砕マンナンがママコとなることが防止されることに加えて、マンナンの不可逆的ゲルに気泡が内包されて液中に浮遊するためにも必要である。多糖類を使用せずに作成されたマンナンの軟性不可逆的ゲルは、気泡を内包することがなく、ベース飲料に加えたときに液底に沈んでしまう。
【0033】
グルコマンナンの凝固剤は、言うまでもなく、マンナンのゲル化に必要である。
【0034】
微砕マンナン、多糖類および凝固剤の3者は、予め粉体混合してから水を加えてマンナンの水和ゲルを作成する。例えば、微砕マンナンと多糖類に水を加えてから凝固剤を加えたのでは、得られる水和ゲルから嫌忌臭が抜けず、食用には供せられないからである。
【0035】
上記3者の混合割合は、水の使用量によるが、要するに、後に得られるグルコマンナンの軟性不可逆的ゲルが適宜のサイズおよび形状の粒として加えられたベース飲料が飲用中
でも舌先で抵抗なく潰れる程度の軟性である。このような軟性は、例えば、微砕マンナン1重量部当り多糖類0.5〜1重量部、そして凝固剤約0.03重量部とすることにより、かつ、微砕マンナンと多糖類とを併せた1重量に対し、水を130〜170重量部使用することによって得ることができる。水の量が少なすぎると硬さが増加し過ぎ、一方、多すぎると使用効果を失するために、ともに好ましくない。
【0036】
このようにして得られたマンナンの水和ゲルは、例えば、適宜なサイズと形状になるように熱水中に投入して加熱することによりマンナンの軟性不可逆的ゲルの粒として完成する。
【0037】
この不可逆的ゲルの粒サイズは、例えば、約3mm〜5mmとするのが、誤飲を予防するなどの安全性の見地からは好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0038】
マンナンの軟性不可逆的ゲルの粒の作成時に水とともにベース飲料を使用すると、得られる軟性不可逆的ゲルの粒にベース飲料の調味が付与され、軟性不可逆的ゲルの粒の存在による旨味効果が一味の食感とともに格別の新飲料効果となり好ましい。
【0039】
マンナンの軟性不可逆的ゲルの粒をベース飲料に加えることにより、ベース飲料に新たな食感が付与されるのである。
【0040】
マンナンの軟性不可逆的ゲルの粒をベース飲料に加えるとともに、ベース飲料に微砕マンナンの水和ゲルを加えることによりベース飲料に濃厚感を付与または増強することができる。
【0041】
この場合も、微砕マンナン(100メッシュ通過)、多糖類および凝固剤を予め粉体混合してから水を加えてマンナンの水和ゲルとするが、マンナン、多糖類、凝固剤及び水の使用割合は、当該飲料の喉ごし旨味の見地から定められ、例えば、微砕マンナン1重量部当り多糖類0.5〜1重量部、そして凝固剤約0.03重量部、かつ、微砕マンナンと多糖類とを併せた1重量部当り水を140〜200重量部とすることによって得られる。
【0042】
なお、ベース飲料に添加される微砕マンナンの水和ゲルは、ベース飲料に添加前にまたは添加後に加熱する。加熱をしないと、当該飲料にネト感が伴い飲味不良となって飲用に耐えないからである。
【実施例】
【0043】
以下、実施例をもって本発明をさらに詳細に解説する。
【0044】
<実施例1>
・粉体混合物の作成
100メッシュ通過の微砕マンナン30g、デキストリン15g、および凝固剤のCa(OH)を0.9gの合計45.9gを1kg容ボールに取り、これを約1分間、家庭用フードミキサーを使用して攪拌混合し、均質の粉体混合物とした。
【0045】
<実施例2>
・水和糊の作成
上記粉体混合物から10gをステンレス製5L容ボールに計取し、これに水(22℃)、1,500gを電動式泡立て器(ハンドミキサー)により攪拌しながら注加し、更にミキサーで攪拌10分して、微砕マンナンの水和ゲル(水和糊)、1,510gを収得した。この水和糊は目視できないような微小の気泡を内包していた(<実施例3>参照)。
【0046】
<実施例3>
・飲料中に浮遊させる粒状物(径3mm〜5mm)の作成
100メッシュ通過の微砕マンナン10g、デキストリン5g、およびCa(OH)0.3gの計15.3gを混合した粉体混合物に、水2,400g(22℃)を加えて攪拌した。この攪拌は、ハンドミキサーによった。攪拌時には、特にミキサーの回転枠を70%程、空気中に出し入れして空気の導入を図った。これにより、攪拌開始4〜5分後から、被攪拌物の微砕マンナンの水和糊の粘度発現に伴いこの水和糊内に微小の気泡が導入された。
【0047】
この気泡は、目視では分らない程の微小さであるが、水和糊の一部をとって水中に投入して加熱したものは水中に浮かぶことからそのように言うことができる。
【0048】
気泡を導入した該水和糊は、粒径相当のサイズ(約4mm)の孔をもつ目皿から押し出し、粒径相当の長さにカットして、これを熱水中に投入して加熱した。加熱後ザルですくい取り、自然放冷した。その結果、粒状の不可逆的軟性ゲルの粒が完成し、該軟性ゲルは微小気泡を内包し、飲料中に浮遊した。更に、該水和糊には、旨味効果から使用目的の汁液(ベース飲料)を少量添加すると効果的であった。
【0049】
<実施例4>
・トマト新飲料の作成
水洗い後、茎部を除去したトマト5個(全量380g)を、夫々1/4にカットしフードミキサーで20秒間(中3回、回転を止めて粉砕物の飛び散りを中心部にかき寄せながら)粉砕した。
【0050】
次いで、粉砕物を薄布上に取り出して搾汁し、窄汁220gを収得した。残余の実皮部には再度該搾汁220gを混合し、上記同様に粉砕して380gの均質な粉砕物とした。
【0051】
この粉砕物380gから200g分取し、これに微砕マンナン10g、デキストリン5gおよびCa(OH)0.3gの粉体混合物に水2,400gを加えて作成したマンナン水和糊を加えた。さらに、実施例2に記載の微砕マンナンの水和糊100gを分け取り、これを<実施例3>におけると同様に処理して不可逆的軟性ゲルの粒としたものを加えた。その後、全体を緩やかに攪拌しながら加熱した。このように加熱しても、不可逆的軟性ゲルの粒から気泡の抜けることはなかった。
【0052】
トマト飲料に旨味の濃く付加した調製であり、正に新規製造法と共に、トマトを食べる初の飲料食品が完成した。因みに、マンナンの不可逆的軟性ゲルの粒が浮遊しているだけでも、新しい食感と共に濃厚感も付与されるのである。
【0053】
更には、世界の健康野菜であるトマトの美味い、且つ有効な食用方法が、ノンカロリーの地下茎植物グルコマンナン活用から新発明に至ったことは真に有意有用である。
【0054】
<実施例5>
・パインアップル新飲料の作成
パインアップルの缶詰製品が、我が国では美味しい汁液に、輪切した実の部分が浸り、古くから市販され、親しまれてきた。缶詰の絵柄は年毎に、印刷技術に伴い美麗に向上したが、中身の製品は今も尚、輪切りのままで変わらない。
【0055】
パインアップルの缶詰製品から、新製品に改良した。以下はその製造法である。すなわち、a.缶詰パインアップルから5枚の円形を取り出し、各8等分に切分け170gを得た。b.次にフードミキサーで170gを、前記の[課題を解決するための手段]に記載の第1目及び第2目によって、以下に記載する製品を収得した。
【0056】
第1目には、水和溶解した微砕マンナンの水和糊に微小気泡を導入して加熱した粒状成型物を調製した(舌先でも抵抗なく潰れ且つ、製品中に浮遊する)。
第2目には、微砕マンナンの溶液調製による濃度を有効活用した結果、缶詰の汁液濃度が調整され、第1目と第2目の活用によってパインアップル飲料の新製品が完成した。
【0057】
このようにして得られた微砕マンナン溶液の以後の使用は、5〜7℃域の保冷では約10日間であり、分割使用にも支障なく使用可能であった。
【0058】
<実施例6>
・粒入り低カロリー豆乳
豆乳製品は健康志向の高まりから、各種多様な飲用目的で市場を賑わしている。豆乳は古くから豆腐製造の中間製品として馴染み深いが、今なお時代的対応の改革は、豆腐同様に音沙汰無しの時、低カロリー化した豆乳活用の新製品が微砕マンナンとの共用から実現した。
【0059】
該粒入り低カロリー豆乳の試作には近隣の豆腐屋から、毎早朝に製造する豆腐の前段品である豆乳を200g譲り受け、これを使用して粒入り低カロリー豆乳を調製した。
【0060】
すなわち、<実施例1>におけると同様にして作成した粉体混合物10gに水(22℃)1,500gを加えて作成した微砕マンナンの水和糊から200gをアルミ製片手鍋に分取し、これに豆乳10gを加えて計210gとし、これを攪拌して均一状態とし、次いで弱火に掛けて掻き回しながら加熱(約10分)して気泡導入をした。円筒(径100mm×260mm)の底部に目皿(穴3mm径)を敷き底蓋を締め、これに4〜50℃程度に冷却した片手鍋の内容物を投入して、約1時間放置後、円筒の底蓋を取り除き、押し出し盤で熱水中に、目皿の径と同じ長さで切断して投入し、20分間ゆっくり攪拌しながら加熱して粒状の凝固物220gを収得した。
【0061】
この物は舌先でも潰れ、然も微小な気泡を内有する粒で、豆乳に加えるとその中に浮遊して、旨味効果を向上する重要不可欠な役割を有している。
【産業上の利用可能性】
【0062】
近時の飲料は、実に多種多用なドリンク名で、特に自動販売機では、その設置多数にも異常性を実感するが、その飲料が嫌みの無い、更に後味にも、何等の抵抗も感じない飲料に爽やかさが通過する清涼感を求めるが、今一つ抵抗感無しには至らない。
【0063】
かかる最たる原因には、消費者が内憂する原料構成に一因あるが、量産する現業には届かない。その一例は香料である。次いで、原料の濃縮還元に隠れる不安が、自動販売機を横目に素通りする原因ともなっている。
【0064】
かかる事実認識から、本発明の低カロリー、粒入り飲料が完成した。
【0065】
今後、清涼飲料は、必然的に新規開発の新時代へ踏み込むに至っている。すなわち、清涼飲料が同じ調味の、舌先でも潰れる粒が浮遊して、旨味の酷を呈する特殊新飲料が、美味しさを競う事による真の開発が市民権を得る新時代である。
【0066】
本発明が、時代変遷に対応して、ノンカロリーの、地下茎植物であるグルコマンナンの微粉砕物に、即水和溶解の食物繊維デキストリンとグルコマンナンの凝固剤を粉体混合した結果、水使用の倍率が、当該原料の150重量倍にも及ぶ水和攪拌が僅か10分で膨潤無用の溶液が完成した。
【0067】
久しく新規開発品が出現しない飲料の、取り残された現状に鑑み、飲料に舌先でも容易に潰れる同系の粒状に調味を施して、浮遊させる美味しさが、本発明に基づく新規飲料製品の足がかりともなる事を願う次第である。
【0068】
本発明の新技術は、産業上の利用可能性に於て、極めて有意有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉砕グルコマンナン(100メッシュ通過)、多糖類およびグルコマンナンの凝固剤の3者の粉体混合物に水を加えて作成したグルコマンナンの水和ゲルを攪拌してこれに微小な気泡を導入し、次いで、適宜の形状及びサイズの粒となるように熱水に投入し、加熱して得られたことを特徴とする気泡入りグルコマンナンの軟性不可逆的ゲルの粒。
【請求項2】
請求項1記載の気泡入りグルコマンナンの軟性不可逆的ゲルの粒がベース飲料中に浮遊せしめられていることを特徴とする粒入り飲料。
【請求項3】
請求項1記載の気泡入りグルコマンナンの軟性不可逆的ゲルの粒をベース飲料に加えて該ベース飲料中に浮遊せしめることを特徴とする請求項2記載の粒入り飲料の製造方法。
【請求項4】
さらに、微粉砕グルコマンナン(100メッシュ通過)、多糖類およびグルコマンナンの凝固剤の3者の粉体混合物に水を加えて作成したグルコマンナンの水和ゲルをベース飲料に加え加熱して作成することを特徴とする請求項3記載の粒入り飲料の製造方法。

【公開番号】特開2008−212089(P2008−212089A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56127(P2007−56127)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000200585)
【Fターム(参考)】