説明

粒子を特徴づける方法

集塊または大きい粒子の最小限の濃度を有する均質なサイズの粒子を含む混合物は、例えば、化学的機械的研磨スラリー、食品エマルジョン、医薬製品、塗料、およびプリントトナーの製造および使用におけるなど様々な製造工程において望ましい。本明細書において開示される方法は、そのような集塊および大きい粒子に対するそのような混合物をスクリーニングする正確かつ効率的な方法をこれらの産業に提供する。方法は、概して電解質内に混合物の懸濁液を調整することを含み、ここで、懸濁液は、電解質の1単位当り小さい粒子の指定の濃度を含む。方法は、調整された懸濁液およびその中にある複数の粒子をCoulter原理に従って粒子を特徴づけることが可能なデバイスのアパーチャを通過させて、粒子についてのデータを取得することをさらに含む。なおもさらに、方法は、得られたデータから大きい粒子の粒子サイズ分布を引き出すことを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
2009年4月24日に出願された米国仮出願第61/172,491号の利益が、35 U.S.C.§119(e)のもとで本明細書によって主張され、上記米国仮出願の開示は参照することにより本明細書に援用される。
【0002】
(背景)
(開示の分野)
本開示は、概して、Coulter原理に従って粒子を特徴づける方法に関し、より具体的には、大部分が一様なサイズである、より小さい粒子の混合物間に存在する大きい粒子を特徴づける方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の簡単な説明)
同じサイズの粒子の懸濁液は多くの産業において有用である。同じサイズの粒子が好ましくはサイズおよび重さの点において均質である場合、これらの液体はしばしば大きな利益をもたらす。例えば、化学的機械的平坦化は、伝統的にガラス研磨に用いられる、液体の流れの用途であり、今日一般的に半導体の製造に用いられる。化学的機械的平坦化(CMP)の用途は、シリコンウェーハを磨くためにスラリーを用い、半導体素子の製作のために一様なスクラッチフリーの表面を提供する。これらのスラリーは、しばしば、中央施設において作製され、混合され、次いで分配ラインを通って伝えられ、表面を磨くのに適した装置に分配される。これらのスラリーは、概して多分散系コロイド性粒子またはヒュームド研磨粒子から成る。重要なことであるが、これらのスラリーは、サイズが最大0.2マイクロメートル(μm)の非常に細かい粒子を含む。より大きいサイズの粒子(例えば、1μm以上)が、研磨のためにスラリーが分配されるプロセス時点においてしばしばスラリーに存在する。これらのより大きい粒子は、剪断、塊状過程の結果として、またはスラリー内の異物の存在により形成され得る。研磨中に存在する塊状スラリー粒子は、望ましくなく、異なる研磨圧力による深い刻み目または非一様の研磨による例えばスクラッチなど、ウェーハにおける多くの欠陥を引き起こし得る。塊状粒子の存在は、スラリーがウェーハに送達される前に集塊を除去するために、細かい粒子を注意深くひき割り、スラリー配分のスラリー上流を連続して混合し、適切な電解質平衡を維持し、分配点においてフィルタを用いることによって、最小限にされ得る。
【0004】
集塊の特定の最小限の濃縮を有する均質なサイズの粒子の望ましさは、確かにCMP用途に限定されない。それどころか、この望ましさは様々な他の用途に及ぶ。例えば、薬品工業において、集塊および異なるサイズの粒子は、活性物質の正確かつ再生可能な服用量を含まなければならない薬品調合において望ましくない。これらの粒子は蛋白質を含み得、蛋白質は溶液内にある場合塊状になる傾向があり得る。塊状化は、たんぱく質の活性および安定性に影響し得、従って、薬品工業は、蛋白質の溶液が塊状蛋白質およびこれらの塊状蛋白質の濃縮を含むかどうかを知る必要がある。さらに、これらの調合が消費者の使用のために行われる場合、消費者に対する魅力がより大きな関心となり、このことは、調合が一様で美学的に魅力的で再生可能な品質を有することが必要であり得ることを意味する。集塊の特定の最小限の濃縮を有する均質なサイズの粒子が高く評価される別の実施例は、レーザプリンタおよび写真複写機械において用いられるトナー組成の製造においてである。集塊の相当な濃縮または大きい粒子を有するトナー製品は、印刷物に欠陥を引き起こし得、プリンタおよび写真複写機械をも損傷し得る。CMPスラリーの場合のように、薬品およびトナー製品の製造に関連する技術は、ひき割りおよび混合の手順を改善し、フィルタを用いることによって大きい粒子を最小限にするニーズに対処するよう試みてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、大部分が一様なサイズの細かい(より小さい)粒子から構成される溶液において大きい粒子を特徴づけるニーズに対処する試みにもかかわらず、当該技術において非効率のままである。そしてそれらの非効率さが、(例えば、半導体製造および薬品製造などの)製造工程に望ましくない方法で影響し得る。従って、大部分が一様なサイズの細かい(より小さい)粒子から構成される懸濁液において大きい粒子をより効率的に検出し、特徴づけるニーズが依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
本明細書において開示されるものは、小さい粒子によってより高く濃縮させられた粒子の混合物間に存在する大きい粒子を特徴づける方法である。方法は、概して電解質内に混合物の懸濁液を調整することを含む。方法は、調整された懸濁液およびその中にある複数の粒子をCoulter原理に従って粒子を特徴づけることが可能なデバイスのアパーチャを通過させて、粒子についてのデータを取得することをさらに含む。なおもさらに、方法は、得られたデータから粒子サイズ分布を引き出すことを含む。懸濁液は、アパーチャ容積当り少なくとも1つの小さい粒子を含む。大きい粒子は、小さい粒子の平均直径より少なくとも5倍大きい平均直径を有する。アパーチャは、(i)小さい粒子の平均直径より少なくとも50倍大きく、(ii)大きい粒子の平均直径より約1.2倍〜大きい粒子の平均直径より約50倍未満大きい直径を有する。
【0007】
方法は、Coulter原理に従って粒子を特徴づけることが可能なデバイスを有利に用いる。従って、開示された方法を行うために、現在市販されているものを越えるいかなる特別な装置も必要ではない。さらに開示される方法は特に有用である。なぜなら、本方法は、複雑で面倒な希釈および特徴づけられる試料においてまれにしか起らない粒子から収集される乏しいデータに起因する不正確な報告など、従来の方法に伴う問題を回避するかまたは減少させる粒子特徴づけ方法を提供するからである。開示される方法によって、例えば、化学的機械的研磨スラリー、食品エマルジョン、塗料、医薬品、ならびにプリンタおよび写真複写機のトナーなど様々な組成に存在する大きい粒子をより効率的に検出しかつ特徴づけることが今や可能である。
【0008】
本発明の更なる特徴は、図面、実施例、および添付の特許請求の範囲と共に解されると、以下の詳細な説明の検討から当業者に明らかとなり得る。
【0009】
本開示のより完全な理解のために、以下の詳細な説明および添付の図面に参照がなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、Coulter装置の概略図であり、Coulter装置は、検出器およびアパーチャを含む。
【図1A】図1Aは、アパーチャの分解組立図である。
【図2】図2〜図8は、実施例において説明される試料に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を例示するグラフである。
【図3】図2〜図8は、実施例において説明される試料に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を例示するグラフである。
【図4】図2〜図8は、実施例において説明される試料に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を例示するグラフである。
【図5】図2〜図8は、実施例において説明される試料に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を例示するグラフである。
【図6】図2〜図8は、実施例において説明される試料に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を例示するグラフである。
【図7】図2〜図8は、実施例において説明される試料に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を例示するグラフである。
【図8】図2〜図8は、実施例において説明される試料に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示される方法は様々な形式での実施形態が可能であるが、本開示が例示であることが意図され、本明細書において説明され例示される特定の実施形態に本発明を限定することは意図されないという理解によって、本発明の特定の実施形態が図面に例示され(そして以下に説明され)る。
【0012】
(詳細な説明)
上記の背景の考察は、大部分が一様なサイズの細かい(より小さい)粒子から構成される懸濁液に存在し得る大きい粒子を特徴づけるという、様々な技術における重要性を識別する。大きい粒子は、塊状過程もしくは重合によって形成され得るか、または不備もしくは不完全なひき割り方法もしくは形成方法に起因する残された粒子であり得る。粒子は、非生物または生物であり得る。非生物学的粒子は、例えば、化学的機械的平坦化において用いられる研磨材と、金属粒子と、ラテックス粒子と、シリカ粒子とを含み得る。生物学的粒子は、例えば、細胞と、蛋白質と、でんぷん粒と、他の生物学的ポリマーの集合体とを含み得る。本明細書に開示される方法は、小さい粒子によってより高く濃縮させられた粒子の混合物間に存在する大きい粒子を正確にかつ効率的に検出し特徴づける能力を有する技術を提供する。方法は、Coulter原理に従って粒子を特徴づけることが可能なデバイスを用いる。実際に、Coulter原理に従って粒子を特徴づけることが可能な従来の装置は、開示される方法を実行するために用いられ得る。しかしながら、そのような装置およびCoulter原理の従来の適用は、当該技術におけるニーズに対処するのに必ずしも適していない。
【0013】
従来の用途において、装置は、小さいアパーチャを通って電解質溶液内に浮遊する複数の粒子を一回に1つの粒子を引く。アパーチャは、2つの電極の間に位置を定められ、電流は、それらの2つの電極の間を流れ、センシングゾーンを作る。粒子がアパーチャ(またはセンシングゾーン)を通過すると、粒子はそれ自体の電解質の体積を変位させ、直ちに2つの電極間のインピーダンスを変更する。このインピーダンスの突然の変化は、測定され、デジタルで処理され得る瞬時信号を生成する。従来の用途において、大きい粒子および小さい粒子の混合物を特徴付ける場合、小さい粒子または大きい粒子のいずれかがアパーチャを通過するときバックグランドから識別可能である信号を生成するアパーチャ直径が選択される。信号は、それを生成する粒子の体積に関係しており、その結果、浮遊している粒子の数のサイズ分布、体積および表面積は、そのようなデータの分析から得られ得る。さらに、既知の体積の粒子浮遊がアパーチャを通って引かれる場合、浮遊している粒子の濃縮が得られ得る。そのような特徴づけに要する時間は、典型的には約3分であり、望ましくない粒子の沈殿および集合の理由から約30分に制限される。これらの時間制約の理由から従来の適用は制限を有し、それらの制限は対処されないままであると誤った特徴づけおよび統計的サンプリング誤差を導き得る。
【0014】
一つのそのような誤った特徴づけはコインシデンス効果と呼ばれ、コインシデンス効果はいくつかの粒子が同時にアパーチャを通過するとき発生する。同じ瞬間にアパーチャ内の複数の粒子によって生成されるインピーダンスの変化の大きさは、結果として、計算された粒子サイズ分布における誤差をもたらし、試料内に実際に存在する粒子より大きい粒子があるように見せる。粒子の濃度が増加すると、複数の粒子が同時にアパーチャを通過する確率が急に増加する。コインシデンス効果および付随する誤った特徴づけは、概して、一度に1つのみの粒子がアパーチャを通過するように電解質内の粒子の濃度を十分に減らすことによって回避される。開始試料の濃度に従ってそしてこの誤差を回避するために、例えば最大5,000〜100,000倍以上の希釈はまれではない。
【0015】
しかしながら、希釈は、結果として統計的サンプリング誤差をもたらし得る。例えば、小さい粒子の高い濃度および大きい粒子の低い濃度を含む試料において、希釈は、結果として比較的乏しい大きい粒子をカウントする際に実質的なサンプリング誤差をもたらし得る。これらの誤差は、結果として大きい粒子の過大報告または過少報告のいずれをもたらし得る。サンプリング誤差の理由により、大きい粒子が過大サンプリングされ、大きい粒子の報告された濃度が実際の濃度よりはるかに高い場合、過大報告が生じる。同様に、大きい粒子が過少サンプリングされ、大きい粒子の報告された濃度が実際の濃度よりはるかに低い場合、過少報告が生じる。この過大報告および過少報告の問題は、希釈係数が増加するにつれ増幅される。より大きい体積の非常に希釈された試料は、同じ器具において順次にまたは複数の器具において平行してのいずれかで、希釈された試料に対して複数の試験を行うことによって特徴づけられ得る。しかしながら、そのようなアプローチは、ラン対ラン変動および器具対器具変動の形態で実験誤差の追加の源泉を必然的に導く。
【0016】
上記に説明されたCoulter原理の従来の適用は、例えばCMPスラリーにおける大きい粒子の存在を検出するのにあまり適していない。そのようなスラリーは、典型的には、1ミリリットルの液体当り何十億の一様のサイズの小さい粒子を含む。そのような高い濃度において、これらの粒子は、いくつかの粒子が同時にアパーチャを通過する場合に生じると知られているコインシデンス効果を必然的に伴う。上記に注意されたように、コインシデンス効果は、概して、一度に1つのみの粒子がアパーチャを通過する点まで粒子の濃度を減らすことによって(すなわち、試料を希釈することによって)回避される。しかしながら、そのような希釈は、上記に説明されたサンプリング誤差を導き得る。より重要なことであるが、例えば、特徴づけを試みられる溶液がその意図した目的のために用いられることが必要であり(例えば、CMP適用におけるスラリーとして)、品質管理分析のためだけに破壊されるべきではない場合、そのような希釈は全く好ましくない場合がある。さらに、甚だしい希釈は、大きい体積に関連する長い特徴づけ時間のために望ましくない沈殿または集合に導き得る。
【0017】
CMPスラリーの特徴づけに加えて、開示される方法は、蛋白質を含む溶液を特徴づける際に有用であり得る。溶液内の蛋白質は、塊状となる傾向があり得る。従って、蛋白質溶液は、比較的まれな大きい蛋白質塊状と、非塊状の(より小さい)蛋白質の比較的高い濃度とを含み得る。
【0018】
本明細書において開示される方法は、小さい粒子とより高く濃縮させられた粒子の混合物間に存在する大きい粒子を迅速に特徴づける能力を有する技術を提供する。方法は、Coulter原理に従って粒子を特徴づけることが可能なデバイスを用いるが、望ましくはさらに、コインシデンス効果を回避し、Coulter原理の従来の適用に従いしばしば必要な甚だしい希釈を回避する。より具体的には、開示される方法は、概して電解質の混合物の懸濁液を作製することを含む。方法は、Coulter原理に従って粒子を特徴づけることが可能なデバイスのアパーチャに、作製された懸濁液およびそこにある複数の粒子を通過させて、粒子についてのデータを入手することをさらに含む。なおもさらに、方法は、得られたデータから大きい粒子の粒子サイズ分布を引き出すことを含む。
【0019】
懸濁液は、アパーチャ容積当り少なくとも1つの小さい粒子を含む。好ましくは、懸濁液は、アパーチャ容積当り少なくとも30の小さい粒子、そしてさらにより好ましくはアパーチャ容積当り少なくとも400の粒子、そしてなおもより好ましくはアパーチャ容積当り少なくとも3100の粒子を含む。
【0020】
大きい粒子は、小さい粒子の平均直径より少なくとも5倍大きい平均直径を有する。あるいは、大きい粒子は、小さい粒子の平均直径より少なくとも10倍、20倍、または50倍大きい平均直径を有し得る。
【0021】
アパーチャの直径は、大きい粒子が有効測定範囲内であり、小さい粒子が有効測定範囲外であるように選択される。アパーチャは、(i)小さい粒子の平均直径より少なくとも50倍大きい平均直径を有し、(ii)大きい粒子の平均直径より約1.2倍〜大きい粒子の平均直径より約50倍未満大きい直径を有する。あるいは、アパーチャは、大きい粒子の平均直径より約5倍〜約40倍、約10倍〜約30倍、または約15倍〜約25倍である直径を有する。
【0022】
開示される方法はまた、好ましくは、小さい粒子とより高く濃縮させられた粒子の混合物間に存在する異なるサイズの大きい粒子を特徴づける能力を有する技術を提供する。具体的には、大きい粒子は、大きい粒子の第1の堆積と、第2の堆積とを含み得、そのような堆積の各々は、安定した平均サイズを有する粒子によって規定される。例えば、一実施形態に従って、大きい粒子の第1の堆積は、小さい粒子の平均直径より少なくとも5倍大きい平均直径を有し得、大きい粒子の第2の堆積は、大きい粒子の第1の堆積の平均直径より少なくとも2.5倍大きい平均直径を有し得る。代替の実施形態において、大きい粒子の第2の堆積の平均直径は、大きい粒子の第1の堆積の平均直径より少なくとも5倍大きい。別の代替の実施形態において、大きい粒子の第2の堆積の平均直径は、大きい粒子の第1の堆積の平均直径より少なくとも10倍大きい。大きい粒子の更なる堆積は、存在し得、開示される方法に従って特徴づけが可能であり得る。方法は、一様なサイズの小さい粒子とより高く濃縮した混合物に存在し得る異なるサイズの大きい粒子の存在を特徴づけるほど十分に柔軟性がある。
【0023】
開示される方法の実施形態に従って、例えば化学的機械的研磨スラリーに存在する大きい粒子をより正確にかつ効率的に検出し、特徴づけることが可能である。そのような特徴づけによって、半導体製造業者は、スラリーがウェーハを磨くために用いられる前にスラリーから大きい粒子を除去するのに必要な対策を取り得るか、または全く異なるスラリーを用いることを考慮し得る。従って、半導体製造業者は、スラリーがウェーハをひっかき得る可能性を回避することを改善するか、またはさもなければ非一様の方法でウェーハを磨くことが可能である。さらに、開示される方法は、従来の装置で実行され得る。なおもさらに、製造業者は、装置を利用するために面倒な希釈技術を用いる必要がない。同様に開示される方法は、例えば、食品エマルジョン、医薬品、塗料、ならびにプリンタおよび写真複写機のトナーの製造などにおける、大きい粒子の最小限の濃度が望ましい様々な他の組成に存在する大きい粒子をより正確にかつ効率的に検出し、特徴づけることを可能にする。
【0024】
開示される方法は、小さい粒子の濃度に比較して試料内に微量の大きい粒子が存在する場合、または換言すると、小さい粒子とより高く濃縮した粒子の混合物間に大きい粒子が存在する場合、開示される方法の最大の利点を達成する。従って、小さい粒子の濃度は、好ましくはより大きい粒子の濃度の少なくとも10倍である。より好ましくは、小さい粒子の濃度は、より大きい粒子の濃度の少なくとも1,000倍である。さらにより好ましくは、小さい粒子の濃度は、より大きい粒子の濃度の少なくとも100,000倍である。
【0025】
本明細書において用いられる場合、粒子を規定するために用いられる形容詞「大きい」および「小さい」ならびにこれらの変形は、類似のサイズの粒子の堆積の直径を参照する。従って、混合物が0.1マイクロメートル(μm)の直径を有する粒子を含むように設計され、意図される場合、そのような粒子は「小さい」粒子として考えられ得、一方、0.5μm以上の直径を有する同じ混合物内の粒子は「大きい」粒子として考えられる。
【0026】
各粒子およびあらゆる粒子の実際の直径を正確に指定することは、困難であるか、非現実的であるか、またはさもなければ不要であり得る。しかしながら、開示される方法の目的のために、そのような精度で粒子を規定することは必要ではない。従って、本明細書において用いる場合、用語「平均直径」は、大きいまたは小さいと分類し得るかまたはさもなければ大きい粒子および小さい粒子の下位堆積に分類し得る粒子の平均直径を規定するように意図される。そのような正確な測定が既知であるか、可能であるか、または現実的であり、そして粒子がそのような精度で分類され得る場合、そのような粒子の「平均」直径は、もちろん実際の直径とよりきっちりと一致し得る。
【0027】
図1を参照すると、小さい粒子および大きい粒子を含む試料は、適切な電解質内に浮遊され得、試料溶液30を取得し得る。ISO 13319:Determination of particle size distributions−Electrical sensing zone methods、Annex A.2,2000((Materials and recommended electolyte solutions))を参照されたい。電流が電極間に流れて、アパーチャ10によって規定されるセンシングゾーンを作る。試料溶液30は、アパーチャ10を通過する。アパーチャ10を通過する試料溶液30内の粒子は、電解質の対応する体積を変位させ、電極20間のインピーダンスを直ちに変化させる。検出器40は、インピーダンスのこの過渡変化を測定し、この過渡変化は、コンピュータ50によって有用なデータに変換され得るパルスとして記録される。
【0028】
アパーチャは、例えば約20μm〜約2000μmの範囲などの直径の範囲内において使用可能である。開示される方法に従って、アパーチャは、試料溶液内の小さい粒子がアパーチャの有効測定範囲外にあるように選択される。驚くべきことに、小さい粒子がアパーチャの有効測定範囲外にある場合、小さい粒子は、大きい粒子の正確な特徴づけを妨げない。アパーチャの有効測定範囲は、概してアパーチャ直径の約2%〜約80%である。従って、例えば、50μmの直径を有するアパーチャに対する有効測定範囲は、1μm(50の2%)〜40μm(50の80%)である。典型的な有効測定範囲は、例えば、下記の表1に詳述される。典型的なアパーチャ容積はまた、例えば、下記の表に詳述される。
【0029】
【表1】

アパーチャは、大きい粒子によって妨害されやすいので、開示される方法の好ましい実施形態は、アパーチャ直径の約2%〜約60%である有効測定範囲の使用を含む。
【0030】
しかしながら、Coulter原理の従来の適用は、小さい粒子および大きい粒子の両方を測定することが可能であるアパーチャ直径を選択するように教示する。なぜなら、そのような適用は、典型的には、混合物内の粒子のすべてを正確にカウントするかさもなければ特徴づけるために用いられるからである。しかしながら、本方法の場合、小さい粒子に関係するデータは必ずしも適切ではなく、従って、アパーチャ直径はCoulter原理の従来の適用に従って最もよく選択されない。
【0031】
開示される方法の利益は、前述の表を参照して以下の仮説の比較から明らかである。試料が1.5μmの平均直径を有する小さい粒子と、20μmの平均直径を有する微量の大きい粒子とを含むと仮定されたい。Coulter原理の従来の適用および従来の装置に従って、試料は、どちらかのサイズの粒子の1つのみがアパーチャ内に一度に存在する程度まで希釈され、50μmの直径を有するアパーチャは、装置が大きい粒子および小さい粒子の両方を検出するように選択される。従来の適用と比べて、開示される方法によって100μmの直径を有するアパーチャが選択され得る。なぜなら、アパーチャは、小さい粒子ではなく、大きい粒子を効果的に測定するからである。さらに、試料は、従来の適用によって必要とされるよりも実質的に少ない希釈(あったとしても)を必要とし、より少ない時間で統計的に有効な数の大きい粒子の特徴づけを可能にする。開示される方法は、Coulter原理の従来の適用に従って必要とされる試料の希釈を約10倍〜約100倍の係数で減少させ得るか、または希釈を全く排除し得る。
【0032】
アパーチャの容積は、アパーチャの寸法に基づいて計算され得る。アパーチャは概して円筒形の形状であるが、但し他の形状は可能である。概して、円筒形アパーチャに関して、アパーチャの深さは直径と共に変化する。従って、より小さい直径を有するアパーチャはより小さい深さを有し、より大きい直径を有するアパーチャはより大きい深さを有する。
【0033】
開示される方法を用いて、驚くべきことに、小さい粒子および大きい粒子を含む試料において通常許容可能である粒子濃度より高い粒子濃度で大きい粒子が正確に特徴づけられ得ることが見出された。具体的には、本明細書において開示される方法は、アパーチャ内に小さい粒子が存在する場合において大きい粒子の特徴づけを可能にする。
【0034】
更なる実施形態に従って、小さい粒子の直径より大きい有効測定範囲を有するアパーチャの選択に加えて、測定閾値電流などの検出閾値は検出器具において定められ得る。検出閾値は、小さい粒子によって生成される器具応答が検出閾値より下に減少しその後大きい粒子の特徴づけを妨げないように、選択され得る。
【0035】
開示される方法は、オプションで、小さい粒子および電解質のみを含む懸濁液のバックグラウンド測定を得ることを含み得る。このバックグランド測定は、試料溶液測定から引かれて、大きい粒子測定を取得し得る。
【0036】
本開示される方法は、粒子を特徴づけるためにCoulter原理を用い、なおも、複雑で面倒な希釈および結果としてのサンプリング誤差により特徴づけられる粒子の過大検出および過少検出など、Coulter原理の従来の適用に伴う問題を回避するかまたは減少させる。驚くべきことに、開示される方法に従って、アパーチャ内におけるいくつかの小さい粒子の存在は、大きい粒子の正確な特徴づけを妨げない。
【実施例】
【0037】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されるが、本発明の範囲を限定することは意図されない。実施例1は、概して、本開示される方法が小さい直径の粒子のより高い濃度を含む溶液に存在する大きい直径の粒子を特徴づけることが可能であることを実証する。実施例2は、概して、開示される方法が、大部分のより小さい粒子を含む懸濁液に存在する大きい粒子を特徴づけ得るのみならず、同時に、大部分のより小さい粒子を含む懸濁液に存在する異なるサイズの大きい粒子を特徴づけ得ることを実証する。実施例3は、統計的サンプリング誤差−分散−および同じ試料の複数のラン間の結果の相違が希釈を減少させることによって減少され得ることを実証する。
【0038】
(実施例1)
この実施例は、本開示される方法が小さい直径の粒子でより高く濃縮させられた懸濁液に存在する大きい直径の粒子を特徴づけることが可能であることを実証する。
【0039】
4つの試料溶液であって、各々が電解質(Beckman Coulter,Fullerton,CAから市販されているISOTON(登録商標)II Diluent)に浮遊する大きいサイズの粒子および小さいサイズの粒子を含む、試料溶液を調整し、次いで本開示される方法の実施形態に従って分析した。各試料溶液は、0.1μmの直径を有する小さいポリスチレンラテックス(PSL)粒子の同じ濃度、すなわち電解質1mL当り4.5×1010個の小さい粒子の濃度を含む。4つの試料の各々は、1.2μmの直径を有する大きいPSL粒子の異なる濃度を含む。従って、各試料における小さい粒子の直径に対する大きい粒子の直径の比率は12である。
【0040】
第1の試料溶液はまた、電解質1mL当り15,000個の大きい粒子を含む。従って、この試料は、大きい(1.2μm)粒子より300万倍高い、小さい(0.1μm)粒子の濃度を有する。
【0041】
第2の試料溶液はまた、電解質1mL当り60,000個の大きい粒子を含む。従って、この試料は、大きい(1.2μm)粒子より75万倍高い、小さい(0.1μm)粒子の濃度を有する。
【0042】
第3の試料溶液はまた、電解質1mL当り150,000個の大きい粒子を含む。従って、この試料は、大きい(1.2μm)粒子より30万倍高い、小さい(0.1μm)粒子の濃度を有する。
【0043】
第4の試料溶液はまた、電解質1mL当り300,000個の大きい粒子を含む。従って、この試料は、大きい(1.2μm)粒子より15万倍高い、小さい(0.1μm)粒子の濃度を有する。
【0044】
4つの試料の各々を、Beckman Coulter MultisizerTM 3Coulter Counter(登録商標)デバイス(Beckman Coulter,Fullerton,CAから市販されている)において分析した。デバイスは、9pLのアパーチャ容積で20μmの直径を有するアパーチャを用いた。1mL当り4.5×1010個の小さい粒子によって、これらの実験のための懸濁液は、アパーチャ容積当り約400個の小さい粒子を含む。測定閾値電流を400マイクロアンペア(μA)に設定し、ゲインを8に設定した。試料に対するランタイムは、約70秒である。
【0045】
デバイスは、各試料に存在する粒子を特徴づけた。図2は、第1の試料溶液に存在する粒子(電解質1mL当り15,000個の大きい粒子)の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を提示する。図2に示されるように、用いられた方法は、大きいサイズの存在を特徴づけた。具体的には、小さい粒子(0.1μm)の最大300万倍高い濃度の存在にもかかわらず、大きい粒子(1.2μm)に関連するピーク高さは、大きい粒子濃度に比例する。
【0046】
図3は、(電解質1mL当り60,000個の大きい粒子を含む)第2の試料溶液に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を提示する。図3に示されるように、用いられた方法は、大きい粒子の存在を特徴づけた。具体的には、小さい粒子(0.1μm)の最大75万倍高い濃度の存在にもかかわらず、大きい粒子(1.2μm)に関連するピーク高さは、大きい粒子濃度に比例する。
【0047】
図4は、(電解質1mL当り150,000個の大きい粒子を含む)第3の試料溶液に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を提示する。図4に示されるように、用いられた方法は、大きい粒子の存在を特徴づけた。具体的には、小さい粒子(0.1μm)の最大30万倍高い濃度の存在にもかかわらず、大きい粒子(1.2μm)に関連するピーク高さは、大きい粒子濃度に比例する。
【0048】
図5は、(電解質1mL当り300,000個の大きい粒子を含む)第4の試料溶液に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を提示する。図5に示されるように、用いられた方法は、大きい粒子の存在を特徴づけた。具体的には、小さい粒子(0.1μm)の最大15万倍高い濃度の存在にもかかわらず、大きい粒子(1.2μm)に関連するピーク高さは、大きい粒子濃度に比例する。
【0049】
測定中にアパーチャを通過する試料の体積は測定条件から既知であるので、粒子サイズ分布は、希釈係数と組み合せて、試料内の大きい粒子の濃度の計算を可能にする。従って、この実施例は、用いられた方法が大部分−例えば、300,000倍〜3,000,000倍より高い濃度−のより小さい粒子を含む懸濁液に存在する大きい粒子をわずか約70秒で特徴づけ得ることを実証する。
【0050】
(実施例2)
この実施例は、開示される方法が、大部分のより小さい粒子を含む懸濁液に存在する大きい粒子を特徴づけ得るのみならず、同時に、大部分のより小さい粒子を含む懸濁液に存在する異なるサイズの大きい粒子を特徴づけ得ることを実証する。
【0051】
2つの試料溶液であって、各々が電解質(ISOTON(登録商標)II Diluent)に浮遊する大きいサイズ粒子および小さいサイズ粒子を含む、試料溶液を調整し、次いで本開示される方法の実施形態に従って分析した。各試料溶液は、0.1μmの直径を有する小さいPSL粒子の同じ濃度、すなわち電解質1mL当り4.5×1010個の小さい粒子の濃度を含む。
【0052】
第1の試料溶液はまた電解質1mL当り1000個の粒子を含み、粒子は2μmの直径を有する。従って、小さい粒子(0.1μm)の直径に対する大きい粒子(2μm)の直径の比率は20である。さらに、溶液は、大きい粒子(2μm)より4500万倍多い小さい粒子(0.1μm)を含む。
【0053】
第2の試料溶液はまた同様に電解質1mL当り1000個の粒子を含み、粒子は2μmの直径を有する(そして従って、小さい粒子(0.1μm)の直径に対するこの粒子(2μm)の直径の比率は同様に20である)。しかしながら、第2の試料溶液は、700PSLの粒子をさらに含み、粒子の各々は5μmの直径を有する(小さい粒子(0.1μm)の直径に対するこの粒子(5μm)の直径の比率は50である)。第1の試料溶液と同様に、この第2の試料溶液は、2μmサイズ粒子より4500万倍多い小さい粒子を含む。さらに、この第2の試料溶液は、5μmサイズ粒子より6400万倍超多い小さい粒子を含む。
【0054】
2つの試料溶液は、アパーチャの直径が50μmでありアパーチャ容積が69pLであることを除いて、上記の実施例1に説明される方法と同じ方法で分析された。1mL当り4.5×1010個の小さい粒子によって、これらの実験のための懸濁液は、アパーチャ容積当り約3100個の小さい粒子を含む。測定閾値電流を800μAに設定し、ゲインを8に設定した。試料に対するランタイムは、約102秒である。
【0055】
図6は、(電解質1mL当り1,000個の2μmサイズ粒子を含む)第1の試料溶液に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を提示する。図6に示されるように、用いた方法は、2μmサイズ粒子の存在を特徴づけた。具体的には、小さい粒子(0.1μm)の最大4500万倍高い濃度の存在にもかかわらず、2μmサイズ粒子に関連するピーク高さは、2μmサイズ粒子濃度に比例する。
【0056】
図7は、(電解質1mL当り1,000個の2μmサイズ粒子を含み、電解質1mL当り700個の5μmサイズ粒子を含む)第2の試料溶液に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を提示する。図7に示されるように、用いられた方法は、2μmサイズ粒子および5μmサイズ粒子の両方の存在を特徴づけた。具体的には、2μmサイズ粒子に対して小さい粒子(0.1μm)の最大4500万倍高い濃度および5μmサイズ粒子に対して小さい粒子(0.1μm)の最大6400万倍超高い濃度の存在にもかかわらず、2μmサイズ粒子および5μmサイズ粒子に関連するピーク高さは、各々のサイズ粒子濃度に比例する。
【0057】
測定中にアパーチャを通過する試料の体積は測定条件から既知であるので、粒子サイズ分布は、希釈係数と組み合せて、試料内の異なるサイズの大きい粒子の濃度の計算を可能にする。従って、この実施例は、用いられた方法が、大部分−例えば、4,500万倍より高い濃度−のより小さい粒子を含む懸濁液に存在する大きい粒子を特徴づけ得るのみならず、同時に、大部分より小さい粒子(0.1μmサイズ粒子)を含む懸濁液に存在する異なるサイズの大きい粒子(2μmサイズ粒子および5μmサイズ粒子)を特徴づけ得ることを実証する。
【0058】
(実施例3)
電解質(ISOTON(登録商標)II Diluent)に浮遊する大きいサイズ粒子および小さいサイズの粒子を含む試料溶液を調整し、次いで粒子をカウントする従来の方法に従って分析した。具体的には、試料溶液は、0.1μmの直径を有する小さいPSL粒子の次に述べる濃度、すなわち電解質1mL当り4.5×1010個の小さい粒子の濃度を含む。その溶液はまた、5μmの直径を有する微量(1mL当り約1100の粒子)の大きいPSL粒子を含む。従って、この試料は、大きい(5μm)粒子より4000万倍高い、小さい(0.1μm)粒子の濃度を有する。
【0059】
アパーチャの直径が50μmでありアパーチャ容積が69pLであることを除いて、上記の実施例1に説明される方法と同じ方法で試料溶液を2回分析した。1mL当り4.5×1010個の小さい粒子によって、懸濁液は、アパーチャ容積当り約3100個の小さい粒子を含む。測定閾値電流は800μAに設定された。試料に対するランタイムは約206秒である。
【0060】
図8は、同じ試料溶液の各分析に存在する粒子の粒子サイズ分布(すなわち、粒子サイズの関数としての粒子の数)を提示し、図において第1の分析は「ラン1」として識別され、第2は「ラン2」として識別される。得られたデータに基づいて、2.5%の分散で、「ラン1」は5μmサイズ粒子を1996カウントし、一方、「ラン2」はそのような粒子を2067カウントした。
【0061】
試料は、その後100倍希釈されて、希釈された試料内において粒子カウントの精度を試験した。1mL当り4.5×10個の小さい粒子によって、この希釈に対する懸濁液は、アパーチャ容積当り約31個の小さい粒子を含む。希釈された試料を、希釈されない試料に関して説明される方法と同じ方法で2回分析した。
【0062】
図8は、同じ希釈された試料溶液の各分析に存在する粒子の粒子サイズ分布を提示し、第1の分析は「希釈された100倍ラン1」として識別され、第2は「希釈された100倍ラン2」として識別される。得られたデータに基づいて、15%の分散で、「希釈された100倍ラン1」は5μmサイズ粒子を29カウントし、一方、「希釈された100倍ラン2」はそのような粒子を36カウントした。
【0063】
この実施例において得られたデータは、統計的サンプリング誤差−分散−および同じ試料の複数のラン間の結果の相違が希釈を減少させることによって減少され得ることを実証する。この例において、(ラン間における再現性の減少によって示されるような)サンプリング誤差は、100倍希釈に対して6の係数だけ増加させられた。従って、この種類のサンプリング誤差は、従来の方法のもとで必要とされるような更なる希釈と共に増加する。
【0064】
前述の実施例は、小さい粒子によってより高く濃縮させられた溶液に存在する大きい粒子を特徴づける効果的な方法を実証する。方法は、従来の粒子特徴づけ方法によって必要とされる甚だしい希釈をすることなく、正確な粒子特徴づけを達成する。方法はまた、誤差なしかまたは希釈に関連する誤差が減少して粒子が特徴づけられることを確実にする。
【0065】
前述の説明は、理解の明快さのみのために与えられ、本発明の範囲内の修正は当業者に明らかであり得るように、その説明からいかなる不要な限定も理解されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小さい粒子によってより高く濃縮させられた粒子の混合物間に存在する大きい粒子を特徴づける方法であって、該方法は、
(a)電解質内で該混合物の懸濁液を調整することと、
(b)該調整された懸濁液および該懸濁液中の複数の該粒子をCoulter原理に従って粒子を特徴づけることが可能なデバイスのアパーチャを通過させて、該粒子についてのデータを取得することと、
(c)該取得されたデータから粒子サイズ分布を引き出すことであって、該懸濁液はアパーチャ容積当り少なくとも1つの小さい粒子を含み、該大きい粒子は、該小さい粒子の平均直径より少なくとも5倍大きい平均直径を有し、該アパーチャは、(i)該小さい粒子の平均直径より少なくとも50倍大きく、(ii)該大きい粒子の平均直径より約1.2倍〜該大きい粒子の平均直径より約50倍未満大きい直径を有する、ことと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記懸濁液は、アパーチャ容積当り少なくとも30個の小さい粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記懸濁液は、アパーチャ容積当り少なくとも400個の小さい粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記懸濁液は、アパーチャ容積当り少なくとも3100個の小さい粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記大きい粒子は、前記小さい粒子の平均直径より少なくとも10倍大きい平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記大きい粒子は、前記小さい粒子の平均直径より少なくとも20倍大きい平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記大きい粒子は、前記小さい粒子の平均直径より少なくとも50倍大きい平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アパーチャは、前記大きい粒子の平均直径より約5倍〜約40倍大きい直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アパーチャは、前記大きい粒子の平均直径より約10倍〜約30倍大きい直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アパーチャは、前記大きい粒子の平均直径より約15倍〜約25倍大きい直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記大きい粒子は、大きい粒子の第1の堆積と、第2の堆積とを含み、大きい粒子の該第1の堆積は、前記小さい粒子の平均直径より少なくとも5倍大きい平均直径を有し、該大きい粒子の該第2の堆積は、大きい粒子の該第1の堆積の平均直径より少なくとも2.5倍大きい平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記大きい粒子の前記第2の堆積の平均直径は、大きい粒子の前記第1の堆積の平均直径より少なくとも5倍大きい、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記大きい粒子の前記第2の堆積の平均直径は、大きい粒子の前記第1の堆積の平均直径より少なくとも10倍大きい、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
小さい粒子の濃度は、大きい粒子の濃度より少なくとも10倍大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
小さい粒子の濃度は、大きい粒子の濃度より少なくとも1,000倍大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
小さい粒子の濃度は、大きい粒子の濃度より少なくとも100,000倍大きい、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−524908(P2012−524908A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507427(P2012−507427)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/032224
【国際公開番号】WO2010/124202
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)