説明

粒子ベースの経口投与用製薬剤形の製造方法

(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)この粒子を、(i)増量剤(糖など)と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤(ワックス状または液状の界面活性剤など)とを溶媒に溶解させ、賦形剤溶液を形成し、(ii)賦形剤溶液から溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、(c)一次混合物を微粉砕して、製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む微粉砕済み製薬剤形混合物を形成する工程と、(d)微粉砕済み製薬剤形混合物を加工して、固形経口投薬形態または経口投与用の液状懸濁液にする工程と、を含む、製剤の経口投薬形態を生成するための方法が得られる。この方法では、湿潤性または分散性が改善された剤形が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には微小粒子などの粒子を含む製剤組成物の分野におけるものであり、特に、経口投与用の微粒子混合物剤形の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
治療薬および診断薬を含む微小粒子は、このような薬剤のヒトまたは動物への制御送達を亢進するのに有用であることが知られている。これらの用途では、これらの薬剤を効果的に送達するためにサイズとサイズ範囲とが極めて厳密な微小粒子が必要である。多くの製剤が、1種または複数種の特定の投薬形態で用いられる乾燥粉末状で生成される。
【0003】
治療用微小粒子の経口投薬形態では、溶解とその後の治療薬(錠剤、カプセルまたは懸濁液など)の生体への利用性を実現するために、口腔(口腔内崩壊錠など)または消化管で微小粒子を生体内で分散させる必要がある。微小粒子、特に疎水性製剤からなる微小粒子は、水性媒質での分散性が悪いことが多い。これは、微小粒子剤形の性能および/または再現性を望ましくない形で変化させる。分散性は、微小粒子の製造に用いられる材料および方法、微小粒子の表面(すなわち、化学的および物理的)特性、懸濁用媒質またはビヒクルの温度、経口投薬形態の場合に微小粒子が曝露される湿度および圧密力などの多岐にわたる要因に左右される。したがって、十分に分散している微小粒子剤形を生成する方法を提供できれば有用であろう。このような方法は単純かつ設備および事業費を最小限に抑え、ならびに製剤の分解を回避する条件で動作するものでなければならない。
【0004】
微小粒子剤形に特定の望ましい特性を与えたり、または微小粒子剤形の加工性を高めたりする目的で、微小粒子および製剤に賦形剤を加えることも多い。たとえば、賦形剤を用いることで、微小粒子の投与を容易にし、貯蔵時または再構成時の微小粒子の集塊を最小限に抑え、活性剤の適切な放出または保持を容易にし、および/または製品の貯蔵寿命を延ばすことが可能である。これらの賦形剤の代表的なタイプは、浸透圧性薬剤、増量剤、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、薬学的に許容される担体、希釈剤、バインダー、崩壊剤、流動促進剤および潤滑剤を含む。これらの賦形剤と微小粒子とを組み合わせる工程によって、均一な混合物が得られる点も重要である。ただし、これらの賦形剤を微小粒子と組み合わせると、製造およびスケールアップを困難にする可能性がある。よって、このような微小粒子製薬剤形を、特に商業規模で製造するのは些細なことではない。
【0005】
さらに、望ましい賦形剤材料によっては、微粉砕または製剤微小粒子との混合が困難なものがある。たとえば、液状、ワックス状、非結晶性または非脆砕性であることが特徴の賦形剤は、薬剤含有粒子とは均一に混合されにくい、および/または微粉砕によって処理されにくい。このような材料を従来の手法で乾燥混合しても、製薬剤形に必要な成分の均一かつ均質な混合物が得られるとは限らない。たとえば乾燥粉末剤形は、バッチ間または同一バッチ内での組成のばらつきの影響を受けやすいものであってはならない。より正確に言えば、製薬剤形の生成工程は、均一かつ正確な投薬形態の得られるものでなければならない。混合または微粉砕が容易ではない賦形剤を用いて乾燥粉末剤形でこのような均一性を実現するのは困難な場合がある。したがって、微小粒子と難混合性賦形剤との均一な混合の製造方法を提供するのが望ましい。このような方法は、望ましくは効率的かつ商業規模の生成に適合可能なものである。
【0006】
したがって、含量均一性が高く、経口投与時に十分に分散される混合済み粒子または微小粒子製薬剤形および固形経口投薬形態を生成するための改良された方法を提供するのが望ましい。また、湿潤性の改善された、薬剤、特に難水溶性薬剤の固体経口投薬形態を提供するのが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
経口投与用の製薬粒子混合物剤形を製造するための方法を提供する。一実施形態では、この方法は、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)この粒子を、(i)増量剤および少なくとも1種の非脆砕性賦形剤を溶媒に溶解させて賦形剤溶液を形成し、(ii)賦形剤溶液から溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、(c)一次混合物を微粉砕して、製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む微粉砕済み製薬剤形混合物を形成する工程と、(d)微粉砕済み製薬剤形混合物を加工して固形経口投薬形態または経口投与用の液状懸濁液にする工程と、を含む。好ましい実施形態では、微粉砕済み製薬剤形混合物が、錠剤、カプセルと、口腔内崩壊ウエハ、およびスプリンクルパケットから選択される固形経口投薬形態に加工される。一実施形態では、微粉砕工程はジェットミリングを含む。さまざまな実施形態において、溶媒を除去する工程には、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥またはフリーズドライを含み得る。一実施形態では、前処理済み賦形剤粒子を微粉砕してから工程(a)の粒子と混合する。
【0008】
工程(a)の粒子は微小粒子であってもよい。さまざまな実施形態において、増量剤は、少なくとも1種の糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含む。増量剤の例としては、ラクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、エリスリトールおよびこれらの組み合わせを含む。非脆砕性賦形剤は、液状、ワックス状または非結晶性の化合物であってもよい。好ましい実施形態では、非脆砕性賦形剤はワックス状または液状の界面活性剤などの界面活性剤を含む。可能な界面活性剤の例として、ドクセートナトリウムまたはポリソルベートを含む。一実施形態では、製剤の水に対する25℃での溶解性が10mg/mL未満である。さまざまな実施形態において、微粉砕済み製薬剤形混合物中の製剤の微小粒子またはナノ粒子の体積平均直径は100μm未満である。たとえば、体積平均直径が20μm未満、好ましくは10μm未満であってもよい。
【0009】
特定の実施形態では、この方法は、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)この粒子を、(i)少なくとも1種の糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含む増量剤と少なくとも1種の非脆砕性界面活性剤とを溶媒に溶解させて賦形剤溶液を形成し、(ii)賦形剤溶液から溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、(c)一次混合物をジェットミリングして、製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む微粉砕済み製剤処方混合物を形成する工程と、(d)微粉砕済み製剤処方混合物を加工して固形経口投薬形態または経口投与用の液状懸濁液にする工程と、を含む。
【0010】
別の実施形態では、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)製剤を含む粒子を賦形剤の粒子と混合して、第1の混合物を形成する工程と、(c)第1の混合物を微粉砕して製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む第2の混合物を形成する工程と、(d)第2の混合物を顆粒化して顆粒化微粉砕混合物を形成する工程と、(e)顆粒化微粉砕混合物を経口投薬形態に加工する工程と、を含む、製剤の固形経口投薬形態を製造するための方法が得られる。一実施形態において、微粉砕する工程はジェットミリングを含む。さまざまな実施形態において、顆粒化微粉砕混合物が、錠剤と、カプセルと、口腔内崩壊ウエハと、スプリンクルパケットからなる群から選択される固形経口投薬形態に加工される。工程(e)には、顆粒化微粉砕混合物を少なくとも1種の糖および少なくとも1種の崩壊剤と混合して、第3の混合物を形成した後、この第3の混合物を錠剤化して口腔内崩壊ウエハを形成することを含み得る。別の実施形態では、顆粒化微粉砕混合物を加工して、経口投与用の液状懸濁液にしてもよい。一実施形態では、製剤の水に対する25℃での溶解性が10mg/mL未満である。一実施形態では、工程(a)の粒子が微小粒子である。
【0011】
別の態様では、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)製剤の粒子を少なくとも1種の賦形剤の粒子と混合して、第1の混合を形成する工程と、(c)第1の混合物を微粉砕して微小粒子を含む微粉砕混合物を形成する工程と、(d)微粉砕混合物を加工して固形経口投薬形態にする工程と、を含み、固形経口投薬形態の再構成後の微小粒子のサイズが、微粉砕混合前処理における微小粒子のサイズの300%以下、好ましくは150%以下である、固形経口投薬形態の製剤を製造するための方法が得られる。一実施形態では、工程(d)が、微粉砕混合物を、錠剤および口腔内崩壊ウエハから選択される単位投薬形態に圧密する。一実施形態では、工程(c)の微粉砕はジェットミリングを含む。一実施形態では、製剤の水に対する溶解性が25℃で10mg/mL未満である。一実施形態では、微粉砕混合物における製剤の微小粒子の体積平均直径が100μm未満である。たとえば、体積平均直径は10μm未満であってもよい。
【0012】
別の態様では、経口投与用の製薬混合物剤形を製造するための乾燥粉末工程で非脆砕性賦形剤を利用するための方法が得られる。一実施形態では、この方法は、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)この粒子を、(i)増量剤と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤とを溶媒に溶解させ、賦形剤溶液を形成し、(ii)賦形剤溶液から溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、(c)一次混合物を微粉砕して、製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む微粉砕済み製薬剤形混合物を形成する工程と、を含む。一例では、微粉砕はジェットミリングを含む。さまざまな実施形態において、溶媒を除去する工程は、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥またはフリーズドライを含む。好ましい実施形態では、増量剤が、少なくとも1種の糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含む。非脆砕性賦形剤は、液状、ワックス状または非結晶性の化合物であってもよい。一実施形態では、製剤の水に対する25℃での溶解性が10mg/mL未満である。微粉砕済み製薬剤形混合物中の製剤の微小粒子またはナノ粒子の体積平均直径は10μmであってもよい。
【0013】
別の態様では、上述した方法で生成される製薬剤形が得られ、一実施形態では、(i)製剤を含む微小粒子と(ii)賦形剤粒子と、少なくとも1種の糖の粒子と、少なくとも1種の崩壊剤の粒子との微粉砕混合物の顆粒化によって形成される顆粒の混合物を含む口腔内崩壊ウエハの製薬剤形であって、混合物が、錠剤またはウエハの形態に圧縮されたものである。別の実施形態では、微粉砕混合物が加工されて固形経口投薬形態となり、固形経口投薬形態の再構成後の微小粒子のサイズが、微粉砕混合前処理における微小粒子のサイズの300%以下、好ましくは200%以下である、混合済み製剤の微小粒子および少なくとも1種の賦形剤の粒子との微粉砕混合物を含む、固形経口投薬形態の製剤が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
製剤粒子と賦形剤粒子との極めて均一な混合物を含む経口投薬形態の製薬剤形を生成するための改良された処理方法が開発されている。製剤の粒子を賦形剤と混合した後、得られた混合物を微粉砕する順序の工程によって、こうした工程の組み合わせなくして調製された混合物に比して、よりよい剤形の分散性または湿潤性を得られることが判明している。また、有用ではあるが微粉砕が困難な特定の賦形剤材料であっても、それ自体にまず、液状、ワックス状、そうでなければ非脆砕性の賦形剤を、乾燥粉末状での混合および微粉砕に適した乾燥粉末状に変換する「前処理」の処置を施せば、上記の工程に利用できることも有益な発見である。混合後に微粉砕することで、乾燥粉末混合では、乾燥状態での製剤粒子と製剤粒子との接触が有利に減少するため、一層容易または一層速やかに湿潤可能および分散可能な混合物が得られることが見いだされている。混合物を後から微粉砕することで、製剤を含む粒子が粉末混合物(マトリックス)中のマンニトールなどの賦形剤粒子と均質な接触をし、水と接触して速やかに湿潤する。よって、製剤を含む離散粒子の量が増加した懸濁液が生成される。
【0015】
(混合粉末または得られる懸濁液中に)ポリマーおよび界面活性剤のような他の賦形剤が存在することで、分散された製剤を含む粒子に対する補助安定力(立体および静電相互作用)が得られる。また、賦形剤粒子と製剤を含む粒子との混合物の微粉砕時に、賦形剤粒子のサイズが小さくなる可能性がある。このような賦形剤粒子の粒度低下は、賦形剤粒子の一層速やかな溶解につながる可能性がある。よって、口腔またはGI管内における投薬形態からの薬剤粒子の再構成が、理論的には改善される。
【0016】
本願明細書で使用する場合、「分散性」という用語は、液体内での粉末の懸濁性(微小粒子の量または用量など)を含む。このため、「改善された分散性」という用語は、液体内での粉末微小粒子の粒子間干渉の低減を示す。また、本願明細書にて加工するような微小粒子をさらに処方して、崩壊特性が改善された固形経口投薬形態にすることも可能である。本願明細書で使用する場合、「改善された崩壊特性」とは、剤形崩壊時間の改善および/または固形経口投薬形態の崩壊による懸濁液の分散性の改善を示す。剤形崩壊時間については、崩壊のUSP法を用いて、あるいは、錠剤断片が1mm以下になったときに崩壊が完全であるとみなされる水性媒質中での錠剤崩壊までの時間の目視評価を用いて評価することが可能である。分散性改善の評価については、懸濁粒子濃度の上昇、凝集体の濃度またはサイズの低下を調べる方法を用いて行うことが可能である。これらの方法としては、懸濁液の濁度の目視評価、濁度計または可視分光光度計を用いる直接濁度分析、懸濁粒子濃度および/または凝集粒子濃度を評価するための光学顕微鏡法、懸濁液中の粒子濃度または粒度のコールターカウンター分析もしくは懸濁液中の粒度の光散乱分析がある。体積平均に基づいて、濁度の上昇、懸濁粒子濃度の上昇、凝集粒子の減少または懸濁液中の粒度の低下が生じたら、分散性が改善されたことになる。また、接触角測定を利用して、粉末の湿潤性の増加量として分散性の改善を検定することも可能である。
【0017】
本願明細書中で説明するようにして生成される製薬剤形は、患者(すなわち、上記の製剤を必要とするヒトまたは動物)に投与して有効量の治療薬、診断薬または予防薬を送達させることを意図したものである。
【0018】
本願明細書で使用する場合、「含む(comprise)」「含む(comprising)」「含む(include)」および「含む(including)」という表現は、正反対のことが明示的に示されていない限り、オープンで非限定的な表現を意図したものである。
【0019】
方法
一実施形態では、製剤の経口投薬形態を生成するための方法が、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)この粒子を、(i)増量剤と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤とを溶媒に溶解させ、賦形剤溶液を形成し、(ii)賦形剤溶液から溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、(c)一次混合物を微粉砕して、製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む微粉砕済み製薬剤形混合物を形成する工程と、(d)微粉砕済み製薬剤形混合物を加工して固形経口投薬形態または経口投与用の液状懸濁液にする工程と、を含む(図1および図3を参照のこと)。さらに広義の形態では、この方法は、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)この粒子を、(i)増量剤と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤とを溶媒に溶解させ、賦形剤溶液を形成し、(ii)賦形剤溶液から溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、(c)一次混合物を微粉砕して、製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む微粉砕済み製薬剤形混合物を形成する工程と、を含む、粒子ベースの製薬剤形を製造するためのものとして認められる。
【0020】
別の実施形態では、製剤の経口投薬形態を製造するための方法は、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)製剤を含む粒子を賦形剤の粒子と混合して、第1の混合物を形成する工程と、(c)第1の混合物を微粉砕して製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む第2の混合を形成する工程と、(d)第2の混合物を顆粒化して顆粒化微粉砕混合物を形成する工程と、(e)顆粒化微粉砕混合物を加工して経口投薬形態にする工程と、を含む(図2を参照のこと)。特定の一実施形態では、工程(e)は、顆粒化微粉砕混合物と少なくとも1種の糖および少なくとも1種の崩壊剤とを混合して、第3の混合物を形成し、この第3の混合物を錠剤化して口腔内崩壊ウエハを形成するサブ工程を含む。一実施形態では、ジェットミリングと顆粒化との組み合わせが、口腔内崩壊錠(特に難水溶性薬剤の場合)を生成するにあたって特に好都合であると考えられている。このような工程の組み合わせによって生成される口腔内崩壊錠は、優れた湿潤性を示し、再構成性が良い上、崩壊時間が望ましい状態であることが観察されている。別の例では、顆粒化微粉砕混合物を加工して、錠剤、カプセルまたはスプリンクルパケットにする。さらに別の例では、顆粒化微粉砕混合物を加工して経口投与用の液状懸濁液にする。
【0021】
別の実施形態では、製剤の固形経口投薬形態を製造するための方法が得られる。好ましい実施形態では、この方法は、(a)製剤を含む粒子を提供する工程と、(b)製剤の粒子を少なくとも1種の賦形剤の粒子と混合して、第1の混合物を形成する工程と、(c)第1の混合を微粉砕して微小粒子を含む微粉砕混合物を形成する工程と、(d)微粉砕混合物を加工して固形経口投薬形態にする工程と、を含み、固形経口投薬形態の再構成後の微小粒子のサイズが、微粉砕混合物前処理における微小粒子のサイズの300%以下、好ましくは200%以下、より好ましくは150%以下である。特定の一実施形態では、工程(d)が、微粉砕混合物を圧密して、錠剤および口腔内崩壊ウエハから選択される単位剤形にすることを含む。
【0022】
本願明細書中で説明する工程は主に、バッチ法、連続法またはセミバッチ法を用いて実施可能なものである。これらの本願明細書にて説明する工程は任意に、混合済み剤形の成分(製剤粒子、賦形剤粒子など)の一部または全部を一緒に混合する前に別途微粉砕することをさらに含むものであってもよい。好ましい実施形態では、賦形剤および製剤は乾燥粉末状である。
【0023】
粒子の生成
当業者であれば、本願明細書に記載の方法および剤形に有用な粒子を生成するための多くの方法を想定することが可能であり、どのようにして粒子を形成または提供するのかを説明している後述の例は、本願明細書にて説明および特許請求の範囲に記載の方法および剤形を何ら限定することを意図したものではない。本願明細書に記載の方法および剤形にて使用され、またはこれに含まれる製剤を含む粒子は、当該技術分野において周知のさまざまな手法で製造可能である。好適な手法としては、溶媒沈殿、結晶化、噴霧乾燥、溶融押出、圧縮成形、流動床乾燥、溶媒抽出、ホットメルト封止、転相封止(phase inversion encapsulation)および溶媒蒸発をあげることができる。
【0024】
たとえば、結晶化によって微小粒子を生成してもよい。結晶化方法としては、製剤の飽和溶液の蒸発時における結晶形成、高温にした製剤の飽和溶液の冷却、製剤溶液への貧溶媒の添加(沈殿晶析(drowning)または溶媒沈殿)、加圧、製剤の飽和溶液への結晶などの核生成剤の添加、接触晶析(製剤溶液とブレードなどの別の品との接触によって核生成を開始)があげられる。
【0025】
粒子、好ましくは微小粒子を形成するもうひとつの方法に、噴霧乾燥によるものがある。たとえば、ストローブ(Straub)らに付与された米国特許第5,853,698号明細書、バーンスタイン(Bernstein)らに付与された同第5,611,344号明細書、ストローブ(Straub)らに付与された同第6,395,300号明細書、チッカリング(Chickering)IIIらに付与された同第6,223,455号明細書を参照のこと。本願明細書で定義する場合、製剤および/またはシェル材料を含有する溶液を「噴霧乾燥」させる工程は、溶液を噴霧して細かいミストを形成し、高温の担体ガスと直接接触させて乾燥させる工程を示す。当該技術分野において周知の噴霧乾燥設備を利用して、製剤および/またはシェル材料を含む溶液を乾燥用のチャンバ内に噴霧し、チャンバ内で乾燥させた後、チャンバの流出口でサイクロンを介して回収する。好適な噴霧装置の型の代表例としては、超音波、圧送、空気噴霧および回転円板があげられる。温度については、使用する溶媒または材料に応じて変化させてもよい。流入ポートおよび流出ポートの温度を制御して、所望の生成物を生成することが可能である。製剤および/またはシェル材料の微粒子のサイズは、製剤および/またはシェル材料の溶液の噴霧に用いるノズル、ノズル圧、溶液および噴霧流量、使用する製剤および/またはシェル材料、製剤および/またはシェル材料の濃度、溶媒の種類、噴霧温度(流入口温度と流出口温度の両方)、ポリマーなどのシェル材料または他のマトリックス材料の分子量に応じたものである。
【0026】
粒子を生成する別の方法に、マシオウィッツ(Mathiowitz)ら、J.Scanning Microscopy、4:329(1990年)、ベック(Beck)ら、ファーティリティ・アンド・ステリリティ(Fertil.Steril、31:545(1979年)、ベニータ(Benita)ら、J.Pharm.Sci.、73:1721(1984年)に記載されているような溶媒蒸発を用いるものがある。さらに別の例では、マシオウィッツ(Mathiowitz)ら、Reactive Polymers、6:275(1987年)に記載されているようなホットメルトマイクロエンカプシュレーションを利用してもよい。もうひとつの例では、マシオウィッツ(Mathiowitz)に付与された米国特許第6,143,211号明細書に記載されているような転相封止を利用してもよい。この方法を用いると、転相が起こり、一般に平均粒度10nmから10μmの離散的な粒子が自然に形成される。
【0027】
さらにもうひとつの手法では、揮発性有機溶媒にシェル材料を入れた溶液中に固体製剤または液体製剤を分散または溶解させ、この混合物を有機油中で攪拌して懸濁させ、エマルジョンを形成する溶媒除去法を利用することができる。しかしながら、溶媒蒸発とは異なり、この方法では融点が高く分子量の異なるポリマーなどのシェル材料から微小粒子を生成することが可能である。この手法で生成した粒子の外部形態は使用するシェル材料の種類に極めて大きく左右される。
【0028】
もうひとつの手法では、押出法を利用して、シェル材料(ポリホスファゼンまたはポリメチルメタクリレートなどのゲルタイプのポリマー)を水溶液に溶解させ、この材料を微小液滴形成装置から押し出して、逆に荷電したイオンまたはポリ電解質溶液がゆっくりと攪拌された硬化浴に落ちる微小液滴を生成することでシェル材料の微小粒子を生成することができる。
【0029】
賦形剤の前処理
液状、ワックス状、または非脆砕性の賦形剤を、混合および微粉砕に適した乾燥粉末状に変えることが必要であるか望ましい場合、これらの微粉砕が困難かつ混合が困難な賦形剤材料を「前処理」する。好ましい実施形態では、本願明細書に記載の方法および剤形で使用またはこれに含まれる前処理済み賦形剤は、(i)増量剤と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤とを溶媒に溶解させ、賦形剤溶液を形成した後、(ii)賦形剤溶液から溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成して調製される(図4を参照のこと)。増量剤および少なくとも1種の非脆砕性賦形剤を溶媒に溶解させるには、これらの3種類の成分を適量ずつ任意の順序で混合し、十分に混合された溶液を形成するだけでよい。この工程には、当該技術分野において周知の多岐にわたる好適な溶媒除去方法を利用できる。一実施形態では、溶媒を除去する工程が噴霧乾燥を含む。もうひとつの実施形態では、溶媒を除去する工程が、凍結乾燥、真空乾燥またはフリーズドライを含む。乾燥粉末状の前処理済み賦形剤を、製剤を含む粒子と混合する前に任意に微粉砕してもよい。
【0030】
製剤の粒子を1種または複数種の前処理済み賦形剤と混合可能であり、任意に、前処理を施していない1種または複数種の賦形剤と組み合わせることも想定の範囲内である。製剤粒子を前処理済み賦形剤と混合するのは、前処理を施していない賦形剤との混合前であっても後であってもよい。賦形剤のうちの1種または複数種に対して、製剤微小粒子と組み合わせる前に粉砕されてもよい。
【0031】
混合および微粉砕
製剤の粒子を、1つまたは複数の工程で1種または複数種の他の賦形剤微粒子材料と混合し、続いて、このようにして得られる混合を微粉砕する。固形−固形製薬混合の含量均一性は非常に重要である。比較研究から、混合物(薬剤プラス賦形剤)を微粉砕することで、微粉砕した後に混合または微粉砕なしで混合して得られる剤形よりも湿潤性および/または分散性が改善された乾燥粉末製薬剤形を得ることが可能であることが分かる。すなわち、最終的な経口投薬形態の性能には、2つの工程の順番が重要である。好ましい実施形態では、製剤微小粒子を該当する1種または複数種の賦形剤と混合し、このようにして得られる混合をジェットミル処理して微小粒子と賦形剤との均一な混合物を得る。
【0032】
1.混合
当業者であれば、本願明細書に記載の方法および剤形における粒子ならびにそのための粒子を混合する多くの方法を想定可能であり、粒子がどのように混合されるかについて説明している後述の例は、本願明細書にて説明し、特許請求の範囲に記載の方法および剤形を何ら限定することを目的としたものではない。混合については、連続法、バッチ法またはセミバッチ法の1種または複数種の工程で実施可能である。たとえば、2種類以上の賦形剤を用いる場合、製剤微小粒子と混合する前またはこれと同時に混合可能である。
【0033】
混合については、基本的に、混合の均一性を達成するのに効果的な1種または複数種の他の材料(賦形剤など)と微小粒子とを組み合わせるのに適した手法または装置を用いてでも実施可能である。混合工程を行うには、さまざまなブレンダーを用いることができる。好適なブレンダーの代表例として、V型ブレンダー、傾斜コーンブレンダー、キューブブレンダー、ビンブレンダー、静的連続ブレンダー、動的連続ブレンダー、軌道(orbital)スクリューブレンダー、プラネタリーブレンダー、フォーバーグ(Forberg)ブレンダー、横型ダブルアームブレンダー、横型高強度ミキサー、縦型高強度ミキサー、攪拌羽根ミキサー、ツインコーンミキサー、ドラムミキサーおよびタンブルブレンダーを含む。ブレンダーは、好ましくは、医薬品に必要な衛生面が厳密に管理された様式のものである。
【0034】
バッチ操作にはタンブルブレンダーがしばしば好まれる。一実施形態では、好適な容器内にて2種類以上の成分(乾燥成分と少量の液体成分の両方を含み得る)を無菌状態で組み合わせて混合を達成する。タンブルブレンダーの一例に、米国ニュージャージー州クリフトン(Clifton,NJ)のグレン・ミルズ・インコーポレイテッド(Glen Mills Inc.)から販売され、スイスのバーゼル州、マシーネンファブリック(Maschinenfabrik)のウィリー(Willy) A.バッハオーフェン(Bachofen) AGが製造しているターブラー(TURBULA)(商標)がある。
【0035】
連続操作または半連続操作のために、ブレンダーには任意に、1種または複数種の乾燥粉末成分を制御しながらブレンダーに導入するためのロータリーフィーダー、スクリューコンベアまたは他のフィーダー機構を備え付けていてもよい。
【0036】
2.微粉砕
微粉砕工程を利用して、混合済み粒子を破砕および/または脱塊し、所望の粒度およびサイズ分布を達成するとともに、混合物内粒子の分配性を高める。当業者であれば、本願明細書に記載の方法および剤形の粒子または混合を微粉砕するための多くの方法を想定することが可能であり、どのようにしてこのような粒子または混合物を微粉砕できるのかを説明している後述の例は、本願明細書にて説明し、特許請求の範囲に記載の方法および剤形を何ら限定することを目的としたものではない。当該技術分野において周知の多岐にわたる微粉砕工程および設備を利用できる。例として、ハンマーミル、ボールミル、ローラミル、ディスクグラインダなどがある。好ましくは、乾燥粉砕工程を利用する。
【0037】
好ましい手法では、微粉砕はジェットミリングを含む。ジェットミリングについては、たとえば、チッカリング(Chickering)IIIらに付与された米国特許第6,962,006号明細書に記載されている。本願明細書で使用する場合、「ジェットミル」および「ジェットミリング」という用語は、内部の空気分級機の有無を問わず、スパイラルジェットミル、ループジェットミルおよび流動床式ジェットミルを含む、いずれかの型の流体エネルギーインパクトミルの使用を含み、および参照する。一実施形態では、微粉砕後の個々の微小粒子のサイズおよび形態が体積平均サイズの減少で少なくとも15%、数平均サイズの減少で75%以下になるようにジェットミリング工程条件を選択する。一実施形態では、粒子をフィーダー経由でジェットミルに供給し、好ましくは乾燥窒素である好適な気体を用いて、ミルで微小粒子を供給および研磨する。研磨および供給時のガス圧を、材料の特性に応じて調節することが可能である。微小粒子のスループットは、ミルのサイズと容量とに左右される。微粉砕後の微小粒子については、濾過、より好ましくはサイクロンによって捕集可能である。
【0038】
経口投薬形態への加工
微粉砕済み乾燥粉末混合物を、当該技術分野において周知の少なくとも1種の経口投薬形態に変換する。当業者であれば、本願明細書に記載の方法および剤形における粒子混合物を加工するための多くの方法を想定することが可能であり、どのようにして経口投薬形態を生成できるのかを説明している後述の例は、本願明細書にて説明し、特許請求の範囲に記載の方法および剤形を何ら限定することを想定したものではない。さまざまな実施形態において、粒子の微粉砕混合物を加工して、粉末またはペレット充填カプセル、フィルム、従来の錠剤、修飾送達錠剤または標的送達錠剤、口腔内崩壊ウエハまたはウエハまたは「スプリンクルパケット」(患者が摂取する直前に食品にかけるか飲料に入れるのに適した包装粉末形態。各パケットが一般に単位用量である)にする。別の実施形態では、微粉砕済み製薬剤形混合物を加工して、経口投与用の液状懸濁液にしてもよい。
【0039】
本願明細書で使用する場合、「口腔内崩壊ウエハ」という用語は、舌の上に乗せたときに、口腔内の唾液または少量の水と一緒になって、口腔内で、通常は数秒程度で速やかに崩壊する口腔内崩壊錠(ODT)、ウエハ、フィルムまたは他の固形調製物を示し、および含む。この方法の好ましい実施形態では、微粉砕混合物を、好適な増量剤、崩壊剤および他の賦形剤と組み合わせ、口腔内崩壊ウエハを形成する。これらの他の賦形剤の例として、放出調節ポリマー、ワックス、着色剤、甘味料、着香料、矯味薬またはこれらの組み合わせがあげられる。一実施形態では、(i)製剤を含む微小粒子と(ii)賦形剤粒子との微粉砕と、少なくとも1種の糖の粒子と、少なくとも1種の崩壊剤の粒子との混合物の顆粒化によって形成される顆粒の混合物を含み、この混合物が錠剤またはウエハの形態に圧縮された口腔内崩壊錠の製薬剤形を提供する。
【0040】
一実施形態では、標準的な錠剤化の方法を用いて微粉砕混合物を加工して錠剤にする。錠剤は、好適な賦形剤の有無を問わず製剤を含む固形製薬剤形であり、圧縮または成形法によって調製される。圧縮錠剤は、錠剤プレスを用いて、希釈剤、バインダー、崩壊剤、潤滑剤および流動促進剤などの賦形剤との組み合わせで粉末または顆粒から調製される。放出調節ポリマー、ワックス、着色剤、甘味料、着香料またはこれらの組み合わせなどの、他の賦形剤も添加可能である。
【0041】
錠剤またはカプセルに、ポリマーまたは糖フィルムまたは腸内放出または徐放性ポリマーコーティングをさらに被覆することも可能である。また、即効または放出調節用に、すでに調製した錠剤に別の粉末または顆粒を圧縮すれば、層状の錠剤を調製することも可能である。
【0042】
適当な液体に分散させた粉末の湿式顆粒化法、乾式顆粒化法、溶融押出または噴霧乾燥を用いて、乾燥粉末微粉砕混合物を加工して顆粒にすることが可能である。球形化設備を利用すれば、顆粒をカプセルに充填し、錠剤に加工し、あるいは、さらにペレットに加工することが可能である。ペレットについては、カプセルに直接充填してもよいし、圧縮して錠剤にしてもよい。
【0043】
好ましい実施形態では、固形経口投薬形態に加工された、少なくとも1種の賦形剤の粒子と混合された製剤の微小粒子の微粉砕混合物を含む製剤の固形経口投薬形態であって、固形経口投薬形態の再構成後の微小粒子のサイズが、微粉砕混合前処理における微小粒子のサイズの300%以下、好ましくは200%以下、より好ましくは150%以下である経口投薬形態が得られる。
【0044】
微粉砕混合物に対し、最終的に経口投薬形態とする前に上記以外の処理を任意に施してもよい。このような処理の代表例として、残留溶媒をさらに除去するための凍結乾燥または真空乾燥、材料をアニールするための温度調節、特定の粒子画分を回収または除去する(すなわち、サイズ分布を最適化する)ための分粒、顆粒化および球形化があげられる。
【0045】
粒子と剤形成分
本願明細書にて説明するようにして生成される経口剤形は、粒子の混合物を含む。この混合物は一般に、(1)製剤を含み、任意にシェル材料を含み得る微小粒子またはナノ粒子と、(2)少なくとも1種、一般には2種以上の賦形剤材料の粒子と、を含む。
【0046】
粒子
本願明細書に記載の方法において開始材料として提供される、製剤を含む粒子は、多岐にわたるサイズおよび組成で提供可能なものである。本願明細書で使用する場合、「粒子」という用語は、微小粒子およびナノ粒子ならびに、これよりも大きな粒子(寸法の最も長い部分で最大5mmなど)を含む。好ましい実施形態では、粒子は微小粒子である。本願明細書で使用する場合、「微小粒子」という用語は、特に明記しない限りミクロスフェアおよびマイクロカプセルならびに微小粒子を包含し、サイズが1から1000ミクロンの粒子を示す。本願明細書で使用する場合、「ナノ粒子」はサイズが1から1000nmの粒子である。さまざまな実施形態において、微粉砕済み製薬剤形混合物における製剤の微小粒子またはナノ粒子は体積平均直径が100μm未満、好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm未満である。消化管への送達のための経口投与用では、舌の上で溶解させ、口腔内に適用するために、経口投薬形態を形成している粒子は、数平均直径が0.5μmから5mmであればよい。一実施形態では、微粉砕済み製薬剤形混合物の粒子は、体積平均直径が約1から50μmである。別の実施形態では、微粉砕済み製薬剤形混合物の粒子は体積平均直径が2から10μmである。
【0047】
微小粒子は、形状が球状であってもなくてもよい。微小粒子は、ロッド様、球状、針状(幅と厚さとが同程度の細長い針のような粒子)、円柱状(幅と厚さが針状粒子よりも大きい、長くて薄い粒子)、フレーク状(長さと幅とが同程度の薄くて平らな粒子)、板状(長さと幅とが同程度であるがフレークよりも厚い平らな粒子)、ラス(長くて細い刃のような粒子)、エカント(長さ、幅、厚さが同程度の粒子であり、立方体形と球状の両方を含む)、薄板状(積層板)または円盤状であってもよい。「マイクロカプセル」は、外側のシェルが他の材料(本例では製剤)である、コアを囲んでいる微小粒子として定義される。コアは、気体、液体、ゲル、固形またはこれらの組み合わせであってもよい。「ミクロスフェア」は、固体の球であってもよいし、多孔性で、マトリクス材料またはシェルに設けられた孔または空隙で形成されたスポンジのような構造またはハニカム構造を含むものであってもよく、あるいは、マトリクス材料またはシェルに設けられた多数の離散的な空隙を含み得る。
【0048】
一実施形態では、粒子は全体が製剤から形成される。もうひとつの実施形態では、粒子は、製剤のコアがシェルの中に封入されたものである。さらにもうひとつの実施形態では、製剤がシェルまたはマトリックス中にちりばめられている。なおさらにもうひとつの実施形態では、製剤はシェルまたはマトリックスを含む材料中に均一に混合される。
【0049】
粒子に関して「サイズ」または「直径」という用語は、特に明記しない限り、数平均粒度を示す。数平均粒度を説明するのに用いることが可能な(なおかつコールターカウンターに用いられる方法の代表例である)式の一例を以下に示す。
【数1】

【0050】
式中、n=特定の直径(d)あたりの粒子数である。
【0051】
本願明細書で使用する場合、「体積平均直径」とは、体積で重み付けした直径平均である。コールターカウンターに用いられる方法の代表例である、体積平均直径を説明するのに用いることが可能な式の一例を以下に示す。
【数2】

【0052】
式中、nは特定の直径(d)あたりの粒子数を示す。
【0053】
レーザ回折粒子分析法に用いられる式の代表例である、体積平均を説明するのに用いることが可能な式のもうひとつの例を以下に示す。
【数3】

【0054】
式中、dは直径を示す。
【0055】
コールターカウンター法を利用する場合、生データを(数学的に体積分布に変換可能な)数ベースの分布に直接換算する。レーザ回折法を利用する場合、生データを(数学的に数の分布に変換可能な)体積分布に直接換算する。
【0056】
非球状粒子の場合、データを球状粒子から得られたものであるかのように扱うことで、生データを粒度分布に換算してコールターカウンターまたはレーザ回折法を用いて粒子を分析することが可能である。顕微鏡法を利用して非球状粒子の粒度を検定するのであれば、粒子体積(V)を以下のようにして求め、最も長い軸を利用して直径(d)を表すことが可能である。
【数4】

【0057】
式中、rは粒子の半径(0.5d)であり、数平均と体積平均がコールターカウンターに用いられる同じ式で計算される。
【0058】
粒度分析に関しては、コールターカウンター、光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡、透過電子顕微鏡、レーザ回折法、光散乱法または飛行時間法で実施可能である。コールターカウンター法について述べる場合、粉末を電解質中に分散させ、得られる懸濁液を、50μm開口の管を取り付けたコールターマルチサイザーIIで分析する。レーザ回折法を用いる場合、粉末を水性媒質に分散させ、試験対象となる材料に合わせて屈折率値を適宜選択したコールターLS230を用いて分析する。
【0059】
懸濁液の肉眼で見える凝集体を調べる目視評価、顕微鏡でしか見えない凝集体の濃度を調べる光学顕微鏡法、コールターカウンター分析または懸濁液における粒度を分析する光散乱法によって、凝集体の分析を行うことができる。体積平均に基づく懸濁液における粒度の減少から、凝集体濃度が低下したことが分かる。
【0060】
1.製剤
この製剤は、治療薬、診断薬または予防薬である。これは原薬(API)であってもよいし、本願明細書では広義に「薬剤」または「活性剤」と呼ぶこともある。製剤は、非晶質状態で存在してもよいし、結晶状態またはこれらの混合物の状態で存在してもよい。製剤を、蛍光標識、放射性標識などの検出可能な標識または酵素的またはクロマトグラフィ用検出剤で標識してもよい。
【0061】
水溶解度が低い、たとえば製剤の水に対する25℃での溶解性が10mg/mL未満であるような製剤の場合に、本願明細書に記載の方法を有利に利用することが可能である。
【0062】
この方法は、経口投与に適した多種多様な治療薬、診断薬および予防薬に適用可能である。好適な薬剤の代表例として、鎮痛剤/解熱剤(アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプレノルフィン、塩酸プロポキシフェン、ナプシル酸プロポキシフェン、メペリジン塩酸塩、ヒドロモルホン塩酸塩、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、酒石酸水素ジヒドロコデイン、ペンタゾシン、酒石酸水素ヒドロコドン、レボルファノール、ジフルニサル、サリチル酸トロラミン、塩酸ナルブフィン、メフェナム酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタルビタール、クエン酸フェニルトロキサミンおよびメプロバメートなど)、抗喘息薬、抗生剤(ネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリンおよびシプロフロキサシンなど)、抗うつ剤(ネフォパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、イミプラミン、パモ酸イミプラミン、イソカルボキサジド、トリミプラミンおよびプロトリプチリンなど)、抗糖尿病薬(ビグアニドおよびスルホニル尿素誘導体など)、抗真菌薬(グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコニゾール(itraconizole)、ヴィルコナゾール(virconazole)、アムホテリシンB、ナイスタチンおよびカンジシジンなど)、降圧薬(プロパノロール、プロパフェノン、オキシプレノロール、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、パルギリン塩酸塩、デセルピジン、ジアゾキシド、一硫酸グアネチジン、ミノキシジル、レシナミン、ニトロプルシドナトリウム、インド蛇木、アルセルオキシロン(alseroxylon)およびフェントラミンなど)、抗炎症薬((非ステロイド系)セレコキシブ、ロフェコキシブ、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラミフェナゾン、ピロキシカム、(ステロイド系)コルチゾン、デキサメタゾン、フルアザコルト、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンおよびプレドニゾンなど)、抗新生物薬(シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、フルオロウラシル、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル−CCNU、シスプラチン、エトポシド、カンプトセシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、ドセタキセルおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、タモキシフェンおよびピポスルファンなど)、抗不安薬(ロラゼパム、ブスピロン、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、ジアゼパム、パモ酸ヒドロキシジン、塩酸ヒドロキシジン、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノンおよびダントロレンなど)、免疫抑制薬(シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビンおよびFK506(タクロリムス)、シロリムスなど)、抗偏頭痛薬(エルゴタミン、プロパノロールおよびジクロラールフェナゾンなど)、鎮静剤/睡眠薬(ペントバルビタール、ペントバルビタールおよびセコバルビタールなどのバルビツレート;および塩酸フルラゼパムおよびトリアゾラムなどのベンゾジアザピンなど)、抗狭心症薬(β−アドレナリンブロッカー;ニフェジピンおよびジルチアゼムなどのカルシウムチャネルブロッカー;およびニトログリセリンおよび四硝酸エリスリチルなどのニトレートなど)、抗精神病薬(ハロペリドール、コハク酸ロキサピン、塩酸ロキサピン、チオリダジン、塩酸チオリダジン、チオチキセン、フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、トリフルオペラジン、クエン酸リチウム、プロクロルペラジン、アリピプラゾールおよびリスペルジオン(risperdione)など)、抗躁薬(炭酸リチウムなど)、抗不整脈薬(トシル酸ブレチリウム、エスモロール、ベラパミル、アミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジギトキシン、メキシレチン、リン酸ジソピラミド、プロカインアミド、硫酸キニジン、キニジングルコン酸、酢酸フレカイニド、トカイニドおよびリドカインなど)、抗関節炎薬(フェニルブタゾン、スリンダク、ペニシラミン、サルサラート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナム酸、金チオリンゴ酸ナトリウム、ケトプロフェン、オーラノフィン、アウロチオグルコースおよびトルメチンナトリウムなど)、抗痛風薬(コルヒチンおよびアロプリノールなど)、抗凝血薬(ヘパリン、低分子量ヘパリン、デシルジン、ヘパリンナトリウムおよびワルファリンナトリウムなど)、血栓溶解剤(ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼおよびアルテプラーゼなど)、抗線維素溶解薬(アミノカプロン酸など)、血液レオロジー薬(hemorheologic agent)(ペントキシフィリンなど)、抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなど)、抗痙攣薬(バルプロ酸、ジバルプロエクスナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビトール(phenobarbitol)、カルバマゼピン、アモバルビタールナトリウム、メトスクシミド、メタルビタール、メホバルビタール、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビトール(secobarbitol)ナトリウム、クロラゼプ酸二カリウム、オクスカルバゼピンおよびトリメタジオンなど)、抗パーキンソン病薬(エトスクシミドなど)、抗ヒスタミン薬/かゆみ止め薬(ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、マレイン酸ブロムフェニラミン、塩酸シプロヘプタジン、テルフェナジン、フマル酸クレマスチン、アザタジン、トリペレナミン、マレイン酸デクスクロルフェニラミン、メトジラジンなど)、カルシウム調節に有用な薬剤(カルシトニンおよび副甲状腺ホルモンなど)、抗菌薬(硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、パルミチン酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、メトロニダゾール、メトロニダゾール塩酸塩、硫酸ゲンタマイシン、塩酸リンコマイシン、硫酸トブラマイシン、塩酸バンコマイシン、硫酸ポリミキシンB、コリスチンナトリウム、クラリスロマイシンおよび硫酸コリスチンなど)、抗ウィルス薬(インターフェロン、ジドブジン、塩酸アマンタジン、リバビリンおよびアシクロビルなど)、抗菌剤(セフタジジムなどのセファロスポリン;ペニシリン;エリスロマイシン;および塩酸テトラサイクリン、ドキシサイクリン水和物および塩酸ミノサイクリン、アジスロマイシン、クラリスロマイシンなどのテトラサイクリンなど)、抗感染薬(GM−CSFなど)、気管支拡張剤(塩酸エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、硫酸テルブタリン、イソエタリン、メシル酸イソエタリン、塩酸イソエタリン、硫酸アルブテロール、アルブテロール、メシル酸ビトルテロール、塩酸イソプロテレノール、硫酸テルブタリン、酒石酸水素エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、エピネフリンおよび酒石酸水素エピネフリンなどの交感神経刺激薬;臭化イプラトロピウムなどの抗コリン薬;アミノフィリン、ジフィリン、硫酸メタプロテレノールおよびアミノフィリンなどのキサンチン;クロモリンナトリウムなどの肥満細胞安定剤;サルブタモール;臭化イプラトロピウム;ケトチフェン;サルメテロール;キシナホ酸塩;硫酸テルブタリン:テオフィリン;ネドクロミルナトリウム;硫酸メタプロテレノール;アルブテロールなど)、コルチコステロイド(ジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)、ジプロピオン酸ベクロメタゾン一水和物;ブデゾニド、トリアムシノロン;フルニソリド;プロピオン酸フルチカゾン;モメタゾンなど)、ステロイド系化合物およびホルモン(ダナゾール、テストステロンシピオネート、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、テストステロンエナタート(enathate)、メチルテストステロン、フルオキシメステロンおよびテストステロンシピオネートなどのアンドロゲン;エストラジオール、エストロピペートおよび結合型エストロゲンなどのエストロゲン;酢酸メトキシプロゲステロンおよび酢酸ノルエチンドロンなどのプロゲスチン;トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサアセトニド、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシピオネート、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、テブト酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウムおよびコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムなどのコルチコステロイド;およびレボチロキシンナトリウムなどの甲状腺ホルモンなど)、血糖降下薬(ヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリン、グリブリド、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミドおよびトラザミドなど)、抗高脂血症薬(クロフィブラート、デキストロチロキシンナトリウム、プロブコール、プラバスチチン、アトルバスタチン、ロバスタチンおよびナイアシンなど)、タンパク質(DNase、アルギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼおよびリパーゼなど)、核酸(治療上有用なあらゆるタンパク質(本願明細書に記載のあらゆるタンパク質を含む)をコードする、センス核酸またはアンチセンス核酸など)、赤血球生成促進に有用な薬剤(エリスロポエチンなど)、抗潰瘍/逆流防止剤(ファモチジン、シメチジンおよび塩酸ラニチジンなど)、制嘔吐剤/鎮吐剤(塩酸メクリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリナート、塩酸プロメタジン、チエチルペラジンおよびスコポラミンなど)、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)、およびミトタン、ハロニトロソ尿素、アントラサイクリンおよびエリプチシンなどの他の薬剤、ならびにこれらの薬剤の代替塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態および水和物などを含む。これらのクラスならびに他のクラスの有用な薬剤についての説明と、各クラス内に含まれる種の一覧を、マーチンダーレ(Martindale)、「The Extra Pharmacopoeia」、第30版(The Pharmaceutical Press、ロンドン、1993年)に見ることが可能である。
【0063】
本願明細書に記載の方法および剤形において有用な薬剤の例として、セフトリアキソン、ケトコナゾール、セフタジジム、オキサプロジン、アルブテロール、バラシクロビル、ウロフォリトロピン、ファムシクロビル、フルタミド、エナラプリル、メトフォルミン(mefformin)、イトラコナゾール、ブスピロン、ガバペンチン、ホシノプリル、トラマドール、アカルボース、ロラゼパム、フォリトロピン、グリピジド、オメプラゾール、フルオキセチン、リシノプリル、トラマドール、レボフロキサシン、ザフィルルカスト、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポエチン、顆粒球刺激因子、ニザチジン、ブプロピオン、ペリンドプリル、エルブミン、アデノシン、アレンドロネート、アルプロスタジル、ベナゼプリル、ベタキソロール、硫酸ブレオマイシン、デキスフェンフルラミン、ジルチアゼム、フェンタニル、フレカイニド、ゲムシタビン、酢酸グラチラマー、グラニセトロン、ラミブジン、マンガフォジピル三ナトリウム、メサラミン、フマル酸メトプロロール、メトロニダゾール、ミグリトール、モエキシプリル、モンテルカスト、酢酸オクトレオチド、オロパタジン、パリカルシトール、ソマトロピン、コハク酸スマトリプタン、タクリン、ベラパミル、ナブメトン、トロバフロキサシン、ドラセトロン、ジドブジン、フィナステリド、トブラマイシン、イスラジピン、トルカポン、エノキサパリン、フルコナゾール、ランソプラゾール、テルビナフィン、パミドロネート、ジダノシン、ジクロフェナク、シサプリド、ベンラファキシン、トログリタゾン、フルバスタチン、ロサルタン、イミグルセラーゼ、ドネペジル、オランザピン、バルサルタン、フェキソフェナジン、カルシトニンおよび臭化イプラトロピウムを含む。これらの薬剤は一般に、水溶性であるとされている。
【0064】
考え得る薬剤の他の例としては、アルブテロール、アダパレン、メシル酸ドキサゾシン、フロン酸モメタゾン、ウルソジオール、アムホテリシン、マレイン酸エナラプリル、フェロジピン、塩酸ネファゾドン、バルルビシン、アルベンダゾール、結合型エストロゲン、酢酸メドロキシプロゲステロン、塩酸ニカルジピン、酒石酸ゾルピデム、ベシル酸アムロジピン、エチニルエストラジオール、オメプラゾール、ルビテカン、ベシル酸アムロジピン/塩酸ベナゼプリル、エトドラク、塩酸パロキセチン、パクリタキセル、アトバクォン、フェロジピン、ポドフィロクス、パリカルシトール、ジプロピオン酸ベタメタゾン、フェンタニル、二塩酸プラミペキソール、ビタミンDおよび関連の誘導体、フィナステリド、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、シレキセチル、フルコナゾール、リトナビル、ブスルファン、カルバマゼピン、フルマゼニル、リスペリドン、カルベマゼピン(carbemazepine)、カルビドパ、レボドパ、ガンシクロビル、サキナビル、アンプレナビル、カルボプラチン、グリブリド、塩酸セルトラリン、ロフェコキシブカルベジロール、プロピオン酸ハロベタソール、クエン酸シルデナフィル、セレコキシブ、クロルタリドン、イミキモド、シンバスタチン、シタロプラム、シプロフロキサシン、塩酸イリノテカン、スパルフロキサシン、エファビレンツ、シサプリド一水和物、ランソプラゾール、塩酸タムスロシン、モファフィニル、クラリスロマイシン、レトロゾール、塩酸テルビナフィン、マレイン酸ロシグリタゾン、ジクロフェナクナトリウム、塩酸ロメフロキサシン、塩酸チロフィバン、テルミサルタン、ジアゼパム、ロラタジン、クエン酸トレミフェン、サリドマイド、ジノプロストン、塩酸メフロキン、トランドラプリル、ドセタキセル、塩酸ミトキサントロン、トレチノイン、エトドラク、酢酸トリアムシノロン、エストラジオール、ウルソジオール、メシル酸ネルフィナビル、インジナビル、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、オキサプロジン、フルタミド、ファモチジン、ニフェジピン、プレドニゾン、セフロキシム、ロラゼパム、ジゴキシン、ロバスタチン、グリセオフルビン、ナプロキセン、イブプロフェン、イソトレチノイン、クエン酸タモキシフェン、ニモジピン、アミオダロンおよびアルプラゾラムを含む。
【0065】
一実施形態では、本願明細書に記載の方法および剤形に用いられる製剤は、疎水性化合物、特に疎水性治療薬である。このような疎水性薬剤の例として、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パクリタキセル、ドセタキセル、アシクロビル、アルプラゾラム、アミオダロン、アモキシシリン、アナグレリド、バクトリム、バイアキシン、ブデゾニド、ブルスルファン、カルバマゼピン、セフタジジム、セフプロジル、シプロフロキシン、クラリスロマイシン、クロザピン、シクロスポリン、ジアゼパム、エストラジオール、エトドラク、ファムシクロビル、フェノフィブラート、フェキソフェナジン、ゲムシタビン、ガンシクロビル、イトラコナゾール、ラモトリギン、ロラチジン、ロラゼパム、メロキシカム、メサラミン、ミノサイクリン、モダフィニル、ナブメトン、メシル酸ネルフィナビル、オランザピン、オクスカルバゼピン、フェニトイン、プロポフォール、リトナビル、SN−38、スルファメタキサゾール、スルファサラジン、タクロリムス、チアガビン、チザニジン、トリメトプリム、ベイリウム、バルサルタン、ボリコナゾール、ザフィルルカスト、ジレウトンおよびジプラシドンが含まれる。
【0066】
別の実施形態では、本願明細書に記載の方法および剤形に用いられる製剤が、画像診断用の造影剤であってもよい。たとえば、診断薬が、陽電子放出型断層撮影法(PET)、コンピュータ支援断層撮影法(CAT)、シングルフォトンエミッションCT、X線、蛍光透視法、磁気共鳴映像法(MRI)または超音波映像法に有用な造影剤(imaging agent)であってもよい。これらの薬剤が内包された微小粒子は、当該技術分野において利用できる標準的な手法と商業的に入手可能な設備とを用いて検出可能なものである。MRI造影剤として用いられる好適な材料の例として、可溶性の鉄化合物(グルコン酸第一鉄、クエン酸第二鉄アンモニウム)およびガドリニウム−ジエチレントリアミン五酢酸(Gd−DTPA)があげられる。別の例では、粒子を含有する診断薬が経口投与用のバリウムを含む。
【0067】
2.シェル材料
製剤を含む粒子は、シェル材料をも含むものであってもよい。シェル材料には、たとえば、選択する特定の経口投薬形態および所望の放出動態に応じて、水溶性または水不溶性、分解可能または非分解可能、腐食性または非腐食性、天然または合成のものが可能である。シェル材料のタイプの代表例として、ポリマー、アミノ酸、糖、タンパク質、炭水化物および脂質があげられる。ポリマー系シェル材料には、分解可能または非分解可能、腐食性または非腐食性、天然または合成のものが可能である。経口投与には非腐食性ポリマーを利用してもよい。一般に、合成および分解の再現性が高いため、合成ポリマーのほうが好ましいことがあるが、天然ポリマーも利用できる。ポリマーについては、貯蔵寿命、送達が望まれる部位(消化管など)まで安定的に分布させるのに必要な時間、分解率、機械的特性、ポリマーのガラス転移点をはじめとする多岐にわたる性能要因に基づいて選択すればよい。
【0068】
合成ポリマーの代表例として、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)およびポリ(乳酸−co−グリコール酸)などのポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコライド)、ポリ(ラクチド−co−グリコライド)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリアルキレン、ポリ(エチレングリコール)などのポリアルキレングリコール、ポリ(エチレンオキシド)などのポリアルキレンオキシド、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリ(塩化ビニル)などのポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリスチレン、ポリウレタンおよびこれらのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシエチルセルロース、三酢酸セルロースおよびセルローススルフェートナトリウム塩などの誘導体化セルロース(本願明細書では、「合成セルロース」と総称)、エステル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)およびポリ(オクタデシルアクリレート)(本願明細書では、「ポリアクリル酸」と総称)を含むアクリル酸、メタクリル酸のポリマーまたはコポリマーまたはその誘導体、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)およびポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、これらのコポリマーおよび混合物があげられる。本願明細書で使用する場合、「誘導体」には、置換、たとえばアルキル、アルキレンなどの化学基の付加、水酸化、酸化および当業者が日常的に行っている他の修飾を有するポリマーが含まれる。
【0069】
好ましい生分解性ポリマーの例としては、乳酸およびグリコール酸などのヒドロキシ酸のポリマーならびに、PEG、ポリ酸無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)とのコポリマー、これらの混合物およびコポリマーを含む。好ましい非生分解性ポリマーの例としては、エチレンビニルアセテート、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、これらのコポリマーおよび混合物を含む。
【0070】
好ましい天然ポリマーの例としては、アルブミンおよびプロラミンなどのタンパク質(たとえばゼイン)、アルギン酸塩、セルロースおよびポリヒドロキシアルカノエートなどの多糖類(たとえばポリヒドロキシブチレート)があげられる。生成時に、ポリエチレングリコール(PEG)と共重合させたポリラクチド−co−グリコライドなどのポリマーを利用してマトリックスの生体内安定性を調節することが可能である。PEGは、外面に露出させると、PEGが親水性であり、RES(細網内皮系)認識を遮蔽することが実証されているため、これらの材料が脈管内投与後に循環する時間を長くできる場合がある。
【0071】
粘膜面(消化管内、口内など)を標的とする使用において、生体接着性ポリマーは特有の利点となり得る。これらの例として、ポリ酸無水物、ポリアクリル酸、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)およびポリ(オクタデシルアクリレート)を含む。
【0072】
シェルに利用できる代表的なアミノ酸には、天然に発生するアミノ酸と非天然に発生するアミノ酸の両方が含まれる。アミノ酸は、疎水性であっても親水性であってもよく、Dアミノ酸、Lアミノ酸またはラセミ混合物であり得る。使用可能なアミノ酸としては、グリシン、アルギニン、ヒスチジン、トレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸塩、プロリン、システイン、メチオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、リジン、アラニンおよびグルタミンがあげられる。このアミノ酸を、増量剤として利用してもよいし、非晶質状態の薬剤用の結晶化防止剤として利用してもよく、あるいは、結晶状態の薬剤用の結晶成長インヒビターまたは湿潤剤として利用してもよい。ロイシン、イソロイシン、アラニン、グリシン、バリン、プロリン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンなどの疎水性アミノ酸は、結晶化防止剤または結晶成長阻害剤として有効なことのほうが多い。また、アミノ酸は、溶解性、溶解率または濡れ性などのシェルの製薬特性に影響を与えるのに利用可能なpH依存性をシェルに持たせるよう機能することが可能である。
【0073】
シェル材料は、賦形剤材料と同一であっても異なっていてもよい。
【0074】
賦形剤、増量剤
薬剤粒子を、1種または複数種の賦形剤粒子と混合する。「賦形剤」という用語は、製剤の取り扱い性、安定性、湿潤性、放出動態および/または経口投与を容易にすることを意図した、剤形の非活性成分を示す。賦形剤は、当該技術分野において周知の薬学的に許容される担体または増量剤であってもよい。賦形剤には、シェル材料、タンパク質、アミノ酸、糖または他の炭水化物、デンプン、脂質またはこれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、賦形剤は、微小粒子状である。一実施形態では、賦形剤微小粒子は体積平均サイズが約5〜500μmであり得る。
【0075】
一実施形態では、本願明細書に記載の方法および剤形の賦形剤は前処理済み賦形剤である。前処理済み賦形剤とは、最初は乾燥粉末状で容易に取り扱うことができず、乾燥粉末での処理に適した形態に変換された賦形剤である。好ましい前処理工程については上述してある。好ましい実施形態では、前処理済み賦形剤の少なくとも1種の賦形剤は、液状、ワックス状、非結晶性化合物または他の非脆砕性化合物を含む。好ましい実施形態では、非脆砕性賦形剤は、ワックス状または液状の界面活性剤などの界面活性剤を含む。「液状」とは、材料が周囲温度および圧力条件(15〜25℃および大気圧など)で液体であることを意味する。このような界面活性剤の例として、ドクセートナトリウム(DSS)およびポリソルベート(トゥイーン(Tween))があげられる。好ましい実施形態では、界面活性剤はトゥイーン(Tween)または他の親水性界面活性剤である。前処理済み賦形剤はさらに、少なくとも1種の増量剤を含む。好ましい実施形態では、増量剤は、少なくとも1種の糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含む。好適な増量剤の例として、ラクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、エリスリトールおよびこれらの組み合わせがあげられる。
【0076】
本願明細書に記載された方法の特定の一実施形態では、マンニトールおよびトゥイーン(TWEEN)(商標)80を、水の存在下で混合した後、噴霧乾燥または凍結乾燥によって水を除去し、マンニトールおよびトゥイーン(TWEEN)(商標)80の前処理済み賦形剤を得る。次に、この前処理済みマンニトール−トゥイーン(TWEEN)(商標)80混合物を、APIであるまたはこれを含む微小粒子と混合する。
【0077】
別の特定の実施形態では、マンニトールとDSSとを水の存在下で混合した後、噴霧乾燥または凍結乾燥によって水を除去し、マンニトールおよびDSSの前処理済み賦形剤を得る。次に、この前処理済みマンニトール/DSS混合を、APIであるまたはこれを含む微小粒子と混合する。
【0078】
賦形剤に利用できる代表的なアミノ酸には、天然に発生するアミノ酸と非天然に発生するアミノ酸の両方が含まれる。アミノ酸は、疎水性であっても親水性であってもよく、Dアミノ酸、Lアミノ酸またはラセミ混合物であり得る。使用可能なアミノ酸としては、グリシン、アルギニン、ヒスチジン、トレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸塩、プロリン、システイン、メチオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、リジン、アラニンおよびグルタミンがあげられる。このアミノ酸を、増量剤として利用してもよいし、結晶状態の薬剤用の湿潤剤または結晶成長阻害剤として利用してもよい。ロイシン、イソロイシン、アラニン、グリシン、バリン、プロリン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンなどの疎水性アミノ酸は、結晶成長阻害剤として有効なことのほうが多い。また、アミノ酸は、溶解性、溶解率または濡れ性などのマトリックスの製薬特性に影響を与えるのに利用可能なpH依存性をマトリックスに持たせるよう機能することが可能である。
【0079】
賦形剤の例としては、界面活性剤、分散剤、浸透圧性薬剤、バインダー、崩壊剤、流動促進剤、希釈剤、着色剤、着香料、甘味料および潤滑剤があげられる。例として、デソキシコール酸ナトリウム;ドデシル硫酸ナトリウム;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、たとえば、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート(トゥイーン(TWEEN)(商標)20)、ポリオキシエチレン4ソルビタンモノラウレート(トゥイーン(TWEEN)(商標)21)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート(トゥイーン(TWEEN)(商標)40)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート(トゥイーン(TWEEN)(商標)80);ポリオキシエチレンアルキルエーテル、たとえば、ポリオキシエチレン4ラウリルエーテル(BRIJ(商標)30)、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル(BRIJ(商標)35)、ポリオキシエチレン10オレイルエーテル(BRIJ(商標)97);ポリオキシエチレングリコールエステル、たとえば、ポロキシ(poloxy)エチレン8ステアレート(MYRJ(商標)45)、ポロキシエチレン40ステアレート(MYRJ(商標)52);チロキサポール;スパン(Span)およびこれらの混合物を含む。バインダーの例として、デンプン、ゼラチン、糖、ガム、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、ワックスおよびポリビニルピロリドンを含む。崩壊剤(超崩壊剤を含む)の例として、デンプン、クレー、セルロース、クロスカルメロース、クロスポビドンおよびナトリウムデンプングリコレートが含まれる。流動促進剤の例として、コロイド状二酸化ケイ素およびタルクを含む。希釈剤の例として、ニリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプンおよび粉糖を含む。潤滑剤の例として、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、硬化植物油およびポリエチレングリコールを含む。
【0080】
以下の非限定的な実施例を参照すれば、本発明についてさらに理解することが可能である。
【実施例】
【0081】
実施例では、以下の材料を用いた。マンニトール(特に明記しない限り、ニュージャージー州ニューブランズウィック(New Brunswick)のスペクトラム・ケミカルズ(Spectrum Chemicals)社)、トゥイーン(TWEEN)(商標)80(ニュージャージー州ニューブランズウィック(New Brunswick)のスペクトラム・ケミカルズ(Spectrum Chemicals)社)、DSS(ドクセートナトリウム、ニュージャージー州ウェストパターソン(West Paterson)のサイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)社)、フェノフィブラート(カナダのオンタリオ州のオンバイオ(Onbio)社)、セレコキシブ(カナダのオンタリオ州のオンバイオ(Onbio)社)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム、スペクトラム・ケミカルズ(Spectrum Chemicals)社、ニュージャージー州ニューブランズウィック(New Brunswick))プラスドン(Plasdone)S630(ニュージャージー州ウェイン(Wayne)のISPテクノロジーズ・インコーポレイテッド(Technologies Inc.))、ヒプロメロース(HPMC、ファーマコート(Pharmacoat)606、日本の東京にある信越化学工業株式会社)、キシリトール(キシリソルブ(Xylisorb)700、アイオワ州キオカク(Keokuk)のロケット・アメリカ・インコーポレイテッド(Roquette America Inc.))およびクロスポビドン(ポリプラスドンXL、ニュージャージー州ウェインのISPテクノロジーズ・インコーポレイテッド(Technologies Inc.))。以下、トゥイーン(TWEEN)(商標)80を「トゥイーン(Tween)80」と呼ぶ。
【0082】
ターブラー(TURBULA)(商標)反転(inversion)ミキサー(型番:T2F)を混合に利用した。微粉砕には、ホソカワ製アルピネ・エアロプレックス(Alpine Aeroplex)スパイラルジェットミル(型番:50AS)または流体エネルギーアルジェット(Aljet)ジェットミルを利用し、乾燥窒素ガスをインジェクターガスおよび研磨用ガスとして用いた。研究では、乾燥粉末を手作業でジェットミルに供給したため、粉末供給量は一定ではなかった。粉末の供給は手作業であったが、供給量を計算で求めたところ、すべての研究で約1から5g/分であった。供給量は、総バッチ時間に対する1つのバッチで処理される材料の総量の比である。特に明記しない限りジェットミル処理後の試料の粒度測定は、開口50μmのコールターマルチサイザーIIを用いて実施したものである。
【0083】
実施例1:PLGA微小粒子と、Tween80およびマンニトールを含む前処理済み賦形剤粒子混合物とのジェットミリング
賦形剤を前処理して乾燥粉末状にする第1の工程と、粒子(製剤の粒子を示す)を前処理済み賦形剤の粒子と組み合わせる第2の工程という2つの工程で混合を実施した。第1の工程では、マンニトールおよびトゥイーン(Tween)80を液状で混合し、トゥイーン(Tween)80、マンニトールおよび水から、Tween80/マンニトールビヒクル500mLを調製した。ビヒクルを冷凍した後、真空乾燥を施し、マンニトールと一緒に均一に分散されたTween80からなる粉末を得た。第2の工程、ポリ(ラクチド−co−グリコライド)(50:50)(「PLGA」)では、微小粒子(製剤粒子を示す)をマンニトール/トゥイーン(Tween)80混合と組み合わせ、タンブラーミキサー内で混合して混合済みの乾燥粉末を得た。PLGA微小粒子はXn=2.83ミクロンおよびXv=8.07ミクロンとした。続いて、この混合済み乾燥粉末を、手作業でホソカワ製ジェットミルに供給し、3通りの動作条件で動作させた。このようにして得られる微粉砕混合試料の粒度を分析した。比較のため、対照試料(混合済みであるがジェットミル処理なし)も同様に分析した。コールターマルチサイザーIIでの結果を表1に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
これらの結果から、微粉砕混合物剤形で得られる分散性(体積平均(Xv)で検定したものであり、Xvが小さければ小さいほど凝集体が少ないことになる)に対する利点が明らかになる。
【0086】
実施例2:微小粒子分散性改善のためのセレコキシブ/賦形剤混合物のジェットミリング
マンニトール(89.3g、アイオワ州キオカク(Keokuk)のロケット・アメリカ・インコーポレイテッド(Roquette America Inc.)から得られるペアリトール(Pearlitol)100SD)、ラウリル硫酸ナトリウム(3.46g)、セレコキシブ(149.0g)およびヒプロメロース−606(9.35g)をステンレスコウセイノジャーに入れた。このジャーを96min−1で90分間ターブラー(TURBULA)(商標)ミキサーにセットして、混合済み乾燥粉末を得た。この混合済み乾燥粉末を流体エネルギーアルジェット(Aljet)ジェットミル(インジェクターガス圧8.0バール、研磨用ガス圧4.0バール)に手作業で供給し、十分に分散している微小粒子を生成した。
【0087】
未処理のセレコキシブ、混合済みセレコキシブ、ジェットミル処理した混合済みセレコキシブを、0.01Nの塩酸中で再構成後に目視検査と光学顕微鏡法(血球計のスライド上で実施)で分析した。図5A、図5Bおよび図5Cに、それぞれ増量セレコキシブの粒子、混合済み粉末、ジェットミル処理した混合済み粉末を示す。懸濁液の品質を表2にあげておく。
【0088】
【表2】

【0089】
得られる微細懸濁液に肉眼で見える粒子が少ししか含まれないことから分かるように、混合済みセレコキシブ粒子をジェットミル処理すると、分散性の改善された粉末が得られた。この懸濁液は、未処理のセレコキシブ粉末や混合済みセレコキシブ粉末の懸濁液よりも良いものであった。懸濁液の光学顕微鏡画像では、他の2つの粒子試料と比較して、混合とジェットミリングのどちらの後でも懸濁粒子の数が増え、なお一層均一のサイズになったことから分かるように、個々の粒子の分散性が変化しただけで、個々の粒子形態の有意な変化は何ら認められない。
【0090】
実施例3:フェノフィブラートおよび前処理済み賦形剤を含む微粉砕混合物の顆粒化および錠剤化
前処理済み賦形剤を生成するために、マンニトール(267.7g、ペアリトール(Pearlitol)100SD)とDSS(32.16g)とを2264gの水に入れた溶液を調製した。この溶液を冷凍し、凍結乾燥させて、得られた粉末を850μmのシーブで選別後、フェノフィブラート粒子と混合した。
【0091】
3通りの異なる工程のうちの1つによって乾燥粉末混合物剤形を調製した。この混合物は、10:10:1.2:2.0の比で、フェノフィブラート、マンニトール、DSS、プラスドン(Plasdone)S630を含み、マンニトールおよびDSSは上述した前処理済み賦形剤の形とした。総混合量は150gであった。3通りの工程は、(1:API混合)フェノフィブラートと賦形剤粒子とを微粉砕せずに混合、(2:JM APIの混合)フェノフィブラート粒子を別途微粉砕した後、微粉砕粒子を賦形剤粒子と混合、または(3:JM API混合)フェノフィブラートと賦形剤粒子とを混合した後、得られた混合物を微粉砕する。混合物処理の場合、材料をステンレス鋼製のジャーに入れた。このジャーを96min−1で30分間ターブラー(TURBULA)(商標)ミキサーにセットして、混合済み乾燥粉末を得た。ジェットミリングの場合、流体エネルギーアルジェット(Aljet)ジェットミル(インジェクターガス圧8.0バール、研磨用ガス圧4.0バール)に材料を手作業で供給した。
【0092】
このようにして得られる材料を0.01Nの塩酸中で再構成し、コールターLS230レーザ回折粒度アナライザを用いて粒度を分析した。粒度を3通りの工程について比較し、結果を以下の表3に示す。
【0093】
ベクターMFL.01流動床プロセッサを用いてJM API混合を顆粒化した。DI水をジェットミル処理した混合粉末の流動床に上から噴霧して、顆粒を形成した。用いた加工条件は以下に示す:1g/分から2g/分の範囲の液体供給量、流動床工程ガスを80LPMから130LPMの範囲の速度で供給し、ノズル噴霧圧速度10.1psi、流入口温度50℃から65℃の範囲、流出口温度20℃から35℃の範囲。
【0094】
次に、自動カーバー(Carver)ペレット プレス(14mm標準凹形工具、約1000〜1100lbs圧)を用いて粉末(約530mg)を圧密し、コールターLS230での粒度分析用の成形体(compact)を生成した。
【0095】
この粉末(2.1g)を、鋼製のジャーの中でキシリトール(2.1g)およびクロスポビドン(0.7g)と混合した。このジャーを96min−1で10分間ターブラー(TURBULA)(商標)ミキサーにセットして、混合済み乾燥粉末を得た。次に、上記で得られる混合(錠剤1個あたり約1082mg)を、自動カーバー(Carver)ペレットプレス(14mm標準凹形工具、約900〜1300lbs圧)で錠剤化し、口腔内崩壊錠を生成した。これらの錠剤の崩壊を、グローブファーマ(GlobePharma)から得たエレクトロラブ(Electrolab)−崩壊テスター(800mL脱イオン水中、37℃)を用いて分析した。
【0096】
以下の表3に、混合、顆粒、コンパクトおよび口腔内崩壊錠の崩壊時間についてコールターLS230を用いての光散乱分析で得られた粒度データを示す(ここで、「Xv」は体積平均、「%<90」は体積の90%がそのサイズ未満になるサイズ、「δ」は標準偏差である)。
【0097】
【表3】

【0098】
これらの結果から、加工方法が懸濁液の品質に影響することが分かる。これらの結果から、他の方法で生成した剤形対剤形(to formulations to the formulations)に比して、微粉砕混合物剤形で得られる分散性(体積平均(Xv)で検定したものであり、Xvが小さければ小さいほど凝集体が少ないことになる)に対する利点が明らかになる。また、上記の結果は、JM API混合の顆粒から速やかに崩壊する錠剤を形成可能であるということも示している。
【0099】
図11A、図11Bおよび図11Cは、異なって処理した増量粉末の走査型電子顕微鏡法(SEM)画像であり、図11D、図11Eおよび図11Fは、異なって処理した増量粉末の塩素(フェノフィブラートにのみ存在)を分析したエネルギー分散型X線分光法(EDS)画像である。図11G、図11Hおよび図11Jは、異なって処理した増量粉末のナトリウム(DSSにのみ存在)を分析したEDS画像である。これらの画像から、使用する工程と処理の順序が、乾燥粉末状態の賦形剤粒子の中におけるフェノフィブラート粒子分布の均一性に影響することが分かる。図11A、図11Dおよび図11Gは、自然のままで何ら処理を施してないAPI粒子(広い粒度範囲)が粉末混合物に不均一に分布したAPI/賦形剤混合(ジェットミリングなしで生成)を示している。賦形剤との混合前にフェノフィブラートのジェットミリングを実施すると、図11B、図11Eおよび図11Hに示されるように、フェノフィブラートの多いエリア(小さな塩素含有粒子のクラスターとして確認可能)と賦形剤の多いエリア(大きめの粒子)とが観察された。ジェットミリングの前に混合すると、図11C、図11Fおよび11Jから明らかなように、フェノフィブラートは賦形剤粒子の中に一層均一に分散された。
【0100】
実施例4:セレコキシブのジェットミル処理した混合物と非前処理または前処理済み賦形剤粒子との比較
セレコキシブ、マンニトール(ペアリトール(Pearlitol)100SD)、Tween80(スペクトル)およびプラスドン(Plasdone)−C15を10:10:1:1の比で含有する2種類の混合物を生成した。試料1については、セレコキシブ、マンニトール、トゥイーン(Tween)80およびプラスドン(Plasdone)−C15の混合を直接に(すなわち、賦形剤の前処理なしで)ジェットミリングして生成した。試料2については、セレコキシブおよび前処理済みマンニトール/Tween80/プラスドン(Plasdone)−C15の混合物をジェットミリングして生成した。マンニトールおよびトゥイーン(Tween)80については、水に溶解(749gの水に85.2gのマンニトールおよび8.54gのTween80)させた後、冷凍と凍結乾燥とによって、10:1の比で前処理済みであった。各剤形を、ターブラー(TURBULA)(商標)ミキサーで混合し、混合済み乾燥粉末を生成した。続いて、得られた乾燥粉末混合物を、流体エネルギーアルジェット(Aljet)ジェットミルに手作業で供給し、微粉砕時の処理のしやすさについて観察を行った。これらの観察結果を表4に示す。
【0101】
【表4】

【0102】
前処理済み賦形剤を用いて生成した材料は、非前処理賦形剤を用いて生成した材料よりも微粉砕が容易であった。
【0103】
試料1および2で得られた微粉砕混合物を水で再構成し、顕微鏡検査によって調べた。非凍結乾燥マンニトール/Tween80を含む剤形に凝集体が観察された。しかしながら、凍結乾燥マンニトール/Tween80/PVPを含む材料では大きな凝集体は見えなかったことから、Tween80賦形剤を前処理することで、図6A〜図6B(試料1)および図7A〜図7B(試料2)に示すように、分散が改善される。
【0104】
実施例5:再構成後のセレコキシブ混合物剤形と前処理済みマンニトール、プラスドン(Plasdone)−C15およびTween80との微小粒子分散性の比較
3通りの異なる工程のうちの1つによって乾燥粉末混合物剤形を調製した後、水に入れて再構成した。この乾燥粉末混合物は、5:10:1:1の比で、セレコキシブ、マンニトール(ペアリトール(Pearlitol) 100SD)、プラスドン(Plasdone)−C15およびTween80からなるものであった。マンニトールおよびTween80については、水に溶解(104mLの水に18gのマンニトールと1.8gのTween80)させた後、冷凍して−80℃で凍結乾燥させて前処理済み賦形剤粒子を得ることで、10:1の比で前処理済みであった。比較した3通りの工程では、(1)セレコキシブと前処理済み賦形剤粒子とを微粉砕なしで混合し、(2)セレコキシブ粒子を別に微粉砕した後、微粉砕粒子を前処理済み賦形剤と混合、または(3)セレコキシブと前処理済み賦形剤粒子とを混合した後、得られた混合物を微粉砕することであった。このようにして得られる混合物を、振盪しながら水に入れて再構成し、LS230(ベックマン・コールター(Beckman Coulter)、カリフォルニア州フラートン(Fullerton))を用いて光散乱で分析した。3通りの工程各々での粒子のサイズを比較した。サイズの比較結果を、懸濁液品質についての目視評価結果と一緒に表5に示す。図8A〜図8Bは、賦形剤粒子とセレコキシブ粒子との混合物から再構成後のセレコキシブの顕微鏡検査の結果を示す(工程1)。図9A〜図9Bは、賦形剤粒子と微粉砕セレコキシブ粒子との混合物から再構成後のセレコキシブの顕微鏡検査の結果を示す(工程2)。図10A〜図10Bは、賦形剤粒子とセレコキシブ粒子とのジェットミル処理した混合物からの再構成後のセレコキシブの顕微鏡検査の結果を示す(工程3)。
【0105】
【表5】

【0106】
これらの結果から、加工方法が得られる懸濁液の品質に影響することが明らかに分かる。また、上記の結果から、他の方法で生成される剤形に比して微粉砕混合物剤形のほうが利点があることも分かる。
【0107】
得られる微細懸濁液に肉眼で見える粒子が少ししか含まれないことから分かるように、混合済みセレコキシブ粒子をジェットミリングすることで、分散性の改善された粉末が得られた。この懸濁液は、未処理のセレコキシブ微小粒子や混合済みセレコキシブ微小粒子の懸濁液よりも良いものであった。
【0108】
懸濁液の光学顕微鏡画像(図8〜図10)から、他の2つの微小粒子試料と比較して、混合物とジェットミリングのどちらの後でも懸濁される微小粒子の数が増え、なお一層均一になったことから分かるように、個々の粒子の分散性が変化しただけで、個々の粒子形態の有意な変化は何ら認められないことが分かる。
【0109】
実施例6:再構成後のセレコキシブ混合物剤形と非前処理マンニトール、HPMC、SDSとの粒度比較
3通りの異なる工程のうちの1つによって乾燥粉末混合物剤形を調製した。この混合は、セレコキシブ、マンニトール、HPMCおよびSDSを10:6:0.63:0.35の比で含んでいた。3通りの工程は、(1)セレコキシブと賦形剤粒子とを微粉砕なしで混合し、(2)セレコキシブ粒子を別に微粉砕した後、この微粉砕粒子を賦形剤粒子と混合するか、(3)セレコキシブと賦形剤粒子とを混合した後、このようにして得られる混合を微粉砕することであった。このようにして得られる混合を0.01Nの塩酸中で再構成し、コールターLS230を用いて粒度を分析した。3通りの工程について粒度を比較し、結果を以下の表6に示す。
【0110】
【表6】

【0111】
これらの結果から、加工方法が懸濁液の品質に影響することが分かる。また、上記の結果から、他の方法で生成した剤形に比して微粉砕混合物剤形のほうが利点が得られることも分かる。
【0112】
実施例7:セレコキシブと非前処理賦形剤とを含む微粉砕混合物の顆粒化および錠剤化
3通りの異なる工程のうちの1つによって乾燥粉末混合物剤形を調製した。この混合は、10:6:0.63:0.35の比で、セレコキシブ、マンニトール(ペアリトール(Pearlitol)100SD)、ヒプロメロース−606およびラウリル硫酸ナトリウムを含むものであった。3通りの工程は、(1:API混合)セレコキシブと賦形剤粒子とを微粉砕なしで混合、(2:JM APIの混合)セレコキシブ粒子を別に微粉砕した後、この微粉砕粒子を賦形剤粒子と混合するか、(3:JM API混合)セレコキシブと賦形剤粒子とを混合した後、得られた混合物を微粉砕することであった。混合処理のために、材料をステンレス鋼製のジャーに入れた。総混合量は、APIと賦形剤粒子との混合の場合で250g、ジェットミル処理したAPIと賦形剤粒子との混合の場合で150gであった。このジャーを96min−1で60分間ターブラー(TURBULA)(商標)ミキサーにセットして、混合済み乾燥粉末を得た。ジェットミリングの場合、流体エネルギーアルジェット(Aljet)ジェットミル(インジェクターガス圧8.0バール、研磨用ガス圧4.0バール)に材料を手作業で供給した。
【0113】
ベクターMFL.01流動床プロセッサを用いてJM API混合物を顆粒化した。DI水をジェットミル処理した混合粉末の流動床に上から噴霧して、顆粒を形成した。用いた加工条件は以下に示す:2.2g/分から3.2g/分の範囲の液体供給量、流動床工程ガスを80LPMから130LPMの範囲の速度で供給し、ノズル噴霧圧は10psi、流入口温度は55℃から70℃の範囲、流出口温度は19℃から25℃の範囲。
【0114】
自動カーバー(Carver)ペレットプレス(14mm標準凹形工具、約1000〜1100lbs圧)を用いて粉末(約500mg)を圧密し、コールターLS230で粒度分析用の成形体を生成した。
【0115】
この粉末(1.5g)を、鋼製のジャーの中でキシリトール(1g)およびクロスポビドン(0.5g)と混合した。このジャーを96min−1で10分間ターブラー(TURBULA)(商標)ミキサーにセットして、混合済み乾燥粉末を得た。次に、上記で得られる混合物(錠剤1個あたり約678mg)を自動カーバー(Carver)ペレットプレス(14mm標準凹形工具、約600〜1200lbs圧)で錠剤化し、口腔内崩壊錠を生成した。これらの錠剤の崩壊を、グローブファーマ(GlobePharma)から得たエレクトロラブ(Electrolab)−崩壊テスター(800mL脱イオン水中、37℃)を用いて分析した。
【0116】
以下の表7に、顆粒、コンパクトおよび口腔内崩壊錠の崩壊時間について粒度データを示す(ここで、「Xv」は体積平均、「%<90」は体積の90%がそのサイズ未満になるサイズ、「δ」は標準偏差である)。
【0117】
【表7】

【0118】
これらの結果から、加工方法が懸濁液の品質に影響することが分かる。これらの結果から、他の方法で生成した剤形対剤形(to formulations to the formulations)に比して、微粉砕混合物剤形で得られる分散性(体積平均(Xv)で検定したものであり、Xvが小さければ小さいほど凝集体が少ないことになる)に対する利点が明らかになる。また、上記の結果は、JM API混合物の顆粒から速やかに崩壊する錠剤を形成可能であるということも示している。
【0119】
本願明細書に引用した文献ならびに、そこに引用されている資料を、参照によって明確に援用する。上述した詳細な説明から、当業者には本願明細書に記載の方法および装置の修正および改変が自明であろう。このような修正および改変は、添付の特許請求の範囲内に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本願明細書に記載したような薬剤と前処理済み賦形剤との微粉砕済み乾燥粉末混合物を含む製薬剤形の経口投薬形態を生成するための工程の一実施形態の工程図である。
【図2】本願明細書に記載したような薬剤と賦形剤との微粉砕および顆粒化乾燥粉末混合物を含む製薬剤形の経口投薬形態を生成するための工程の一実施形態の工程図である。
【図3】本願明細書に記載したような薬剤含有微小粒子と賦形剤粒子とのジェットミル済み乾燥粉末混合物を含む製薬剤形の錠剤または口腔内崩壊ウエハ形を生成するための工程の一実施形態の工程図である。
【図4】非脆砕性賦形剤を前処理して乾燥粉末状にするための工程の一実施形態の工程図である。
【図5】図5Aは、混合前に撮った微小粒子の光学顕微鏡画像であり、図5Bは、混合後に撮った微小粒子の光学顕微鏡画像であり及び図5Cは、混合後でジェットミリングが続く際に撮った微小粒子の光学顕微鏡画像である。
【図6】図6A及び図6Bは、セレコキシブと非前処理賦形剤とのジェットミル処理した混合物から再構成したセレコキシブ粒子の光学顕微鏡画像である。
【図7】図7A及び図7Bは、セレコキシブと前処理済み賦形剤とのジェットミル処理した混合物から再構成したセレコキシブ粒子の光学顕微鏡画像である。
【図8】図8A及び図8Bは、賦形剤粒子とセレコキシブ粒子との混合物から再構成したセレコキシブの光学顕微鏡画像である。
【図9】図9A及び図9Bは、賦形剤粒子と微粉砕済みセレコキシブ粒子との混合物から再構成したセレコキシブの光学顕微鏡画像である。
【図10】図10A及び図10Bは、賦形剤粒子とセレコキシブ粒子とのジェットミル処理した混合物から再構成したセレコキシブの光学顕微鏡画像である。
【図11】図11A〜図11Cは、本願明細書にて説明する異なる工程で生成した乾燥粉末製薬剤形混合物の走査型電子顕微鏡法(SEM)画像であり、図11D〜図11Jは、塩素またはナトリウムを分析した、本願明細書にて説明する異なる工程で生成した乾燥粉末製薬剤形混合物のエネルギー分散型X線分光法(EDS)画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤の経口投薬形態を生成するための方法であって、
a)製剤を含む粒子を提供する工程と、
b)前記粒子を、i)増量剤と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤とを溶媒に溶解させ、賦形剤溶液を形成し、ii)前記賦形剤溶液から前記溶媒を除去して前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前記前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、
c)前記一次混合物を微粉砕して、前記製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む微粉砕済み製剤処方混合物を形成する工程と、
d)前記微粉砕済み製薬剤形混合物を加工して、固形経口投薬形態または経口投与用の液状懸濁液にする工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記微粉砕済み製剤処方混合物が、錠剤、カプセル、口腔内崩壊ウエハ(orally−disintegrating wafer)およびスプリンクルパケット(sprinkle packet)からなる群から選択される固形経口投薬形態に加工される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前処理済み賦形剤粒子が、工程(a)の前記粒子と混合する前に微粉砕される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
製剤の経口投薬形態を生成するための方法であって、
a)製剤を含む粒子を提供する工程と、
b)製剤を含む前記粒子を賦形剤の粒子と混合して、第1の混合物を形成する工程と、
c)前記第1の混合物を微粉砕して、前記製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む第2の混合物を形成する工程と、
d)前記第2の混合物を顆粒化して顆粒化微粉砕混合物を形成する工程と、
e)前記顆粒化微粉砕混合物を加工して経口投薬形態にする工程と、
を含む方法。
【請求項5】
前記顆粒化微粉砕混合物が、錠剤、カプセル、口腔内崩壊ウエハ、およびスプリンクルパケットからなる群から選択される固形経口投薬形態に加工される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程e)の前記顆粒化微粉砕混合物が、経口投与用の液状懸濁液に加工される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
工程e)が、
前記顆粒化微粉砕混合物を少なくとも1種の糖および少なくとも1種の崩壊剤と混合して、第3の混合を形成する工程と、
前記第3の混合物を錠剤化して口腔内崩壊ウエハを形成する工程と、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
製剤の固形経口投薬形態を生成するための方法であって、
a)製剤を含む粒子を提供する工程と、
b)製剤の前記粒子を少なくとも1種の賦形剤の粒子と混合して、第1の混合物を形成する工程と、
c)前記第1の混合物を微粉砕して、微小粒子を含む微粉砕混合物を形成する工程と、
d)前記微粉砕混合物を加工して、固形経口投薬形態にする工程と、
を含み、
前記固形経口投薬形態の再構成後の前記微小粒子のサイズが、前記微粉砕混合前処理における前記微小粒子のサイズの300%以下である方法。
【請求項9】
前記固形経口投薬形態の再構成後の前記微小粒子のサイズが、前記微粉砕混合前処理における前記微小粒子のサイズの150%以下である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程d)が、前記微粉砕混合物を、錠剤および口腔内崩壊ウエハからなる群から選択される単位投薬形態に圧密することを含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記微粉砕混合物中の製剤の前記微小粒子の体積平均直径が100μm未満である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記微粉砕混合物中の製剤の前記微小粒子の体積平均直径が10μm未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
製薬剤形を生成するための方法であって、
a)製剤を含む粒子を提供する工程と、
b)前記粒子を、i)増量剤と少なくとも1種の非脆砕性賦形剤とを溶媒に溶解させ、賦形剤溶液を形成し、ii)前記賦形剤溶液から前記溶媒を除去して前記前処理済み賦形剤を乾燥粉末状で形成することによって調製される前処理済み賦形剤の粒子と混合して、一次混合物を形成する工程と、
c)前記一次混合物を微粉砕して、前記製剤の微小粒子またはナノ粒子を含む微粉砕済み製剤処方混合物を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項14】
前記増量剤が、少なくとも1種の糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含む、請求項1または13に記載の方法。
【請求項15】
前記増量剤が、ラクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、エリスリトールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記非脆砕性賦形剤が、液状、ワックス状または非結晶性の化合物を含む、請求項1または13に記載の方法。
【請求項17】
前記非脆砕性賦形剤が界面活性剤を含む、請求項1または13に記載の方法。
【請求項18】
前記界面活性剤がワックス状または液状の界面活性剤を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記界面活性剤が、ドクセートナトリウムまたはポリソルベートを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記溶媒を除去する前記工程が噴霧乾燥を含む、請求項1または13に記載の方法。
【請求項21】
前記溶媒を除去する前記工程が、凍結乾燥、真空乾燥またはフリーズドライを含む、請求項1または13に記載の方法。
【請求項22】
前記微粉砕済み製剤処方混合物中の製剤の前記微小粒子またはナノ粒子の体積平均直径が100μm未満である、請求項1または13に記載の方法。
【請求項23】
前記微粉砕済み製剤処方混合物中の製剤の前記微小粒子またはナノ粒子の体積平均直径が20μmである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記微粉砕済み製剤処方混合物中の製剤の前記微小粒子またはナノ粒子の体積平均直径が10μmである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
工程a)の前記粒子が微小粒子である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
工程c)の前記微粉砕がジェットミリングを含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記増量剤が、少なくとも1種の糖、糖アルコール、デンプン、アミノ酸またはこれらの組み合わせを含み、前記非脆砕性賦形剤が界面活性剤を含む、請求項1または11に記載の方法。
【請求項28】
前記製剤の水に対する溶解性が25℃で10mg/mLである、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法によって生成される、製剤の経口投薬形態。
【請求項30】
固形経口投薬形態に加工された製剤が混合された微小粒子と少なくとも1種の賦形剤の粒子との微粉砕混合物であって、前記固形経口投薬形態の再構成後の前記微小粒子のサイズが、微粉砕混合前処理における前記微小粒子のサイズの300%以下である、製剤の固形経口投薬形態。
【請求項31】
前記固形経口投薬形態の再構成後の前記微小粒子のサイズが、微粉砕混合前処理における前記微小粒子の前記サイズの200%以下である、請求項30に記載の固形経口投薬形態。
【請求項32】
口腔内崩壊錠である、請求項30に記載の固形経口投薬形態。
【請求項33】
(i)製剤を含む微小粒子と(ii)賦形剤粒子との微粉砕混合物の顆粒化によって形成される顆粒と、少なくとも1種の糖の粒子と、少なくとも1種の崩壊剤の粒子と、の混合物を含み、前記混合物が錠剤またはウエハの形態に圧縮されたものである、口腔内崩壊錠。
【請求項34】
前記錠剤の再構成後の前記微小粒子のサイズが、微粉砕混合前処理における前記微小粒子のサイズの300%以下である、請求項33に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項35】
前記製剤の水に対する25℃での溶解性が10mg/mL未満である、請求項30に記載の固形経口投薬形態または請求項33に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項36】
前記賦形剤粒子が親水性界面活性剤を含む、請求項30に記載の固形経口投薬形態または請求項33に記載の口腔内崩壊錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−519970(P2009−519970A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545971(P2008−545971)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/062073
【国際公開番号】WO2007/070843
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(505113768)アキュスフィア, インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】