説明

粒子供給装置および吸収性物品用シート部材製造装置

【課題】粒子供給装置において、シリンダ部の各貫通孔から所望の量の粒子を容易に供給する。
【解決手段】吸収シート製造装置では、周方向に配列された複数の貫通孔212を有する略円筒状のシリンダ部21が設けられ、シリンダ部21が回転することにより、シリンダ部21の内部の粒子収容空間217から貫通孔212に、高吸収性樹脂の粒子が充填される。そして、シリンダ部21の下部の粒子供給領域210において、隔離部25によりシリンダ部21の内側面215が覆われて、粒子が充填された貫通孔212が粒子収容空間217から隔離された状態で、当該貫通孔212から粒子の吐出が行われる。このように、各貫通孔212に充填された粒子のみを吐出することにより、各貫通孔212から所望の量の粒子を容易に供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート部材上に吸収材料または消臭材料の粒子を供給する粒子供給装置、および、当該粒子供給装置を備える吸収性物品用シート部材製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつの内側に取り付けられて使用される軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品では、2枚の不織布等のシート部材の間に、高吸収性樹脂の粒子を挟んで固定した吸収シートが利用されている。
【0003】
特許文献1は、使い捨て吸収性物品に用いられるシート状吸水体の製造装置等に関するものである。当該製造装置では、周方向に断続的に配列された複数の凹溝が外側面に形成された仮受けロール、仮受けロールの下方において基材シートを保持して搬送する受け渡しロール、仮受けロールの上方に配置されて上記複数の凹溝に高吸水性樹脂粒子を供給するボックス、および、当該ボックスから受け渡しロールに至るまでの間の仮受けロールの外側面に対向して複数の凹溝に供給された高吸水性樹脂粒子を保持するための円弧状ガイド部材が設けられる。仮受けロールの複数の凹溝に保持された高吸水性樹脂粒子は、仮受けロールの回転により下方に移動し、ホットメルト接着剤が塗布された基材シート上に供給される。そして、基材シート上の高吸水性樹脂粒子を挟んで被覆シートが基材シートに接合されることにより、シート状吸水体が形成される。
【0004】
特許文献2の装置では、円筒状の中央部、および、中央部の両側に配置された円錐台状のインレット部を有する遠心ロールが、不織布ウェブの上方に設けられる。遠心ロールの周囲には、開口部が形成されたスクリーン印刷ロール、および、スクリーン印刷ロールの不織布ウェブと対向する部位以外の部位を覆うベルトが設けられる。遠心ロール内に供給された吸収性ゲル材料顆粒は、遠心力により中央部に集められて中央部から外側に放出され、スクリーン印刷ロールの開口部を介して不織布ウェブ上に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−59579号公報
【特許文献2】特表2008−508036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2の装置では、遠心ロールの内側面に沿って中央部に移動した吸収性ゲル材料顆粒が、遠心力によりそのまま中央部から外側へと移動する。したがって、遠心ロールの中央部に当該顆粒を貯留することができず、中央部から外側に放出される顆粒の量が、あるタイミングにおいて予定されている量よりも多いと、次のタイミングにおいて放出される顆粒の量が不足してしまう。当該装置において、顆粒の放出量を均一に保つためには、遠心ロールに対する単位時間当たりの顆粒の供給量や遠心ロールの回転速度等を高精度に制御する必要がある。しかしながら、このような制御を行った場合であっても、顆粒の粒径のばらつきによる放出量の変動等により、遠心ロールからの顆粒の放出量を均一に保つことは容易ではない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、粒子供給装置において、シリンダ部の各貫通孔から所望の量の粒子を容易に供給することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、シート部材上に吸収材料または消臭材料の粒子を供給する粒子供給装置であって、水平方向を向く回転軸を中心とする略円筒状の部材であり、内部空間の一部が吸収材料または消臭材料の粒子を収容する粒子収容空間であり、周方向に配列された複数の貫通孔を有し、前記回転軸を中心として回転することにより、前記複数の貫通孔のうち前記粒子収容空間内の粒子に対向する貫通孔に粒子が充填され、下部に設けられた粒子供給領域において、前記貫通孔に充填された粒子を外側へと吐出するシリンダ部と、前記粒子供給領域の下方にて、シート部材を前記シリンダ部の外側面の移動方向と同方向に搬送するシート搬送部と、前記粒子供給領域から前記シリンダ部の回転方向とは反対方向へと広がって前記シリンダ部の前記外側面の一部を覆い、粒子が充填された前記貫通孔の外側を塞ぐ第1カバー部と、前記シリンダ部の内側面の一部を覆い、前記粒子供給領域において前記粒子収容空間と貫通孔とを隔離する隔離部とを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粒子供給装置であって、前記隔離部が、前記粒子供給領域の前記回転方向の後端部において、前記シリンダ部の貫通孔にエアを導くエア供給路を有する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の粒子供給装置であって、前記エア供給路に、強制的にエアを供給するエア供給部をさらに備える。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の粒子供給装置であって、前記シリンダ部の軸方向の一方の端部から前記粒子収容空間へと粒子を補充する粒子補充部をさらに備える。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の粒子供給装置であって、前記シリンダ部が、軸方向において前記複数の貫通孔に隣接するとともに周方向に延びる補助貫通孔を有し、前記粒子供給装置が、前記シリンダ部の上方にて吸収材料または消臭材料の粒子を収容し、前記シリンダ部の前記外側面に対向する粒子補充口から、前記複数の貫通孔および前記補助貫通孔を介して前記粒子収容空間に粒子を補充する粒子補充部をさらに備え、前記補助貫通孔が、前記粒子補充口以外の領域において前記シリンダ部の前記外側面側から覆われる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の粒子供給装置であって、前記粒子補充口の前記回転方向の後側に隣接して配置され、前記複数の貫通孔のうち前記粒子補充口の後縁にて前記粒子補充口に対向する貫通孔と外部空間とを連通させる連通部をさらに備える。
【0014】
請求項7に記載の発明は、吸収性物品用シート部材製造装置であって、請求項1ないし6のいずれかに記載の粒子供給装置と、他のシート部材を搬送するもう1つのシート搬送部と、前記粒子供給装置により粒子が供給された前記シート部材上に前記他のシート部材を重ねて接合するシート接合部とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、シリンダ部の各貫通孔から所望の量の粒子を容易に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る吸収シート製造装置を示す図である。
【図2】シリンダ部近傍の断面図である。
【図3】シリンダ部の正面図である。
【図4】第1シート搬送ローラの断面図である。
【図5】第2シート搬送ローラの断面図である。
【図6】シリンダ部近傍を示す図である。
【図7】接合ローラの断面図である。
【図8】吸収シートの平面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置のシリンダ部近傍を示す図である。
【図10】シリンダ部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る吸収シート製造装置1を示す図である。吸収シート製造装置1は、吸収性物品用シート部材製造装置の1つであり、高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))等の高吸収性樹脂の粒子を不織布等のシート部材に挟んで吸収シートを製造する。吸収シートは、使い捨ておむつや軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品に利用される吸収性物品用シート部材である。
【0018】
吸収シート製造装置1は、水平方向を向く回転軸R1を中心とする略円筒状の部材であるシリンダ部21、回転軸R1が向く方向(以下、「軸方向」という。)に平行な第1中心軸J1を中心とする略円柱状の第1シート搬送ローラ31、軸方向に平行な第2中心軸J2を中心とする略円柱状の第2シート搬送ローラ41、および、軸方向に平行な第3中心軸J3を中心とする略円柱状の接合ローラ51を備える。第1中心軸J1は、回転軸R1の鉛直下方に位置する。吸収シート製造装置1は、また、軸方向に平行な中心軸を中心とする略円柱状の複数の補助ローラ32,42、並びに、接着剤(本実施の形態では、ホットメルト接着剤)を塗布する第1塗布部61および第2塗布部62を備える。
【0019】
シリンダ部21、第2シート搬送ローラ41、接合ローラ51および補助ローラ42は、図1中における反時計回りに回転し、第1シート搬送ローラ31および補助ローラ32は、図1中における時計回りに回転する。シリンダ部21の回転は、シリンダ部21に周方向に巻回されたベルトを駆動することにより行われる。第1シート搬送ローラ31は、不織布等にて形成される連続シートである第1シート部材91を、シリンダ部21の最下部近傍へと搬送するシート搬送部である。第1塗布部61は、複数の補助ローラ32の上方に配置され、第1シート部材91上に接着剤を塗布する。
【0020】
第2シート搬送ローラ41は、不織布等にて形成される連続シートである第2シート部材92を、シリンダ部21の最下部近傍へと搬送するシート搬送部である。第2塗布部62は、複数の補助ローラ42の上方に配置され、第2シート部材92上に接着剤を塗布する。シリンダ部21は、その最下部近傍において、第1シート部材91上に高吸収性樹脂の粒子(以下、単に「粒子」という。)を供給する。接合ローラ51は、第1シート搬送ローラ31の側方に設けられ、第1シート搬送ローラ31との間に第1シート部材91と第2シート部材92とを重ねて挟むことにより、両シート部材を接合するシート接合部である。
【0021】
シリンダ部21の上方には、筒状の排気部24が設けられ、排気部24の上部開口は不織布等により形成された袋状のフィルタ241により覆われる。シリンダ部21の周囲には、シリンダ部21の外側面211の一部を覆う第1カバー部221、および、外側面211の他の一部を覆う第2カバー部222が設けられる。第1カバー部221は、シリンダ部21の最下部近傍からシリンダ部21の回転方向とは反対方向へと(すなわち、回転方向の後側であり、図1中では、時計回りに)広がって排気部24まで設けられ、シリンダ部21の左側において外側面211を覆う。第2カバー部222は、シリンダ部21の右端部近傍からシリンダ部21の回転方向へと(すなわち、反時計回りに)広がって排気部24まで設けられ、シリンダ部21の右側において外側面211を覆う。シリンダ部21の外側面211のうち、第1カバー部221の下端と第2カバー部222の下端との間の領域、すなわち、シリンダ部21の下側において第1カバー部221および第2カバー部222から露出している領域は、後述する粒子供給領域210である。第1カバー部221は粒子供給領域210から時計回りに広がり、第2カバー部222は粒子供給領域210から反時計回りに広がる。
【0022】
図2は、シリンダ部21近傍を拡大して示す断面図である。図2では、回転軸R1に垂直な断面を示すとともに断面よりも手前側の構成も併せて描いている。図3は、シリンダ部21の外側面211を示す図であり、回転軸R1に垂直な方向に沿ってシリンダ部21の外側面211を見た様子を示している。図3では、第1カバー部221および第2カバー部222の図示を省略している。
【0023】
図2および図3に示すように、シリンダ部21は、側壁214を貫通する複数の貫通孔212を有する。複数の貫通孔212は、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、回転軸R1を中心とする周方向に等間隔にて配列される。軸方向の同じ位置にて周方向に並ぶ複数の貫通孔212を貫通孔列213と呼ぶと、シリンダ部21では、図3に示すように、3個の貫通孔列213が設けられる。本実施の形態では、各貫通孔212の形状は略矩形であるが、貫通孔212は様々な形状(例えば、略円形)であってよい。シリンダ部21には、1個、2個または4個以上の貫通孔列213が設けられてもよい。各貫通孔列213では、複数の貫通孔212は、必ずしも等間隔に配置される必要はない。
【0024】
図2に示すように、シリンダ部21の内部空間には、シリンダ部21の側壁214の内側面215の一部を覆う隔離部25が設けられる。隔離部25は、内部空間の図2中の右側に設けられ、シリンダ部21の最下部近傍から最上部近傍にかけて内側面215の右側の部位を覆う。隔離部25の外面(すなわち、シリンダ部21の内側面215に対向する面)は、第1カバー部221の下端部、粒子供給領域210の全体、および、第2カバー部222の全体と対向する。また、隔離部25の内面の上部は、重力方向に略平行であり、内面の下部は、図2中における左斜め下に向かって傾斜している。換言すれば、隔離部25の内面の下部は、重力方向の下側に向かいつつ第1カバー部221の下部に直線状に近づく。なお、隔離部25の内面の下部は、下向きまたは上向きに凸状の曲面であってもよい。
【0025】
シリンダ部21の内部空間のうち隔離部25が設けられない部位は、高吸収性樹脂の粒子を収容する粒子収容空間217となっている。図2では、粒子に密な平行斜線を付す。上述のように、隔離部25の内面の下部は、下側に向かいつつ第1カバー部221の下部に近づくため、粒子収容空間217内の粒子は、隔離部25の内面に沿ってシリンダ部21の内側面215に向かって移動する。隔離部25は、シリンダ部21の内側面215の軸方向のおよそ全幅に亘って設けられ、隔離部25により内側面215が覆われる領域において、粒子収容空間217と貫通孔212とは隔離される。したがって、粒子供給領域210においても、粒子収容空間217と貫通孔212とが隔離される。
【0026】
図2および図3に示すように、吸収シート製造装置1は、シリンダ部21の図3中における右側に設けられる粒子補充部23を備える。粒子補充部23は、内部にスクリューを有するスクリューフィーダであり、シリンダ部21の軸方向の一方の端部(図3中における右側の端部)から、シリンダ部21の粒子収容空間217へと粒子を補充する。粒子収容空間217には、受光式や超音波式、あるいは、接触式のレベルセンサ233が設けられており、粒子収容空間217内の粒子が一定量以下となった際に粒子の補充が行われる。図2に示す粒子収容空間217へと粒子の補充が行われる際には、粒子収容空間217内の空気が、主に排気部24を介して排気される。なお、シリンダ部21から排気部24に粒子が飛び出したとしても、フィルタ241により、粒子が吸収シート製造装置1の外部へと飛び出すことが防止される。
【0027】
吸収シート製造装置1では、シリンダ部21が回転軸R1を中心として高速に回転し、粒子収容空間217内の粒子が、シリンダ部21の複数の貫通孔212のうち粒子収容空間217内の粒子に対向する貫通孔212に充填される。粒子が充填された貫通孔212が、シリンダ部21の下部に設けられた粒子供給領域210に到達するまでの間、当該貫通孔212の外側は、第1カバー部221により塞がれる(すなわち、貫通孔212が外側面211側から覆われる)。また、各貫通孔212内の粒子は、貫通孔212が隔離部25と対向する位置まで移動することにより、粒子収容空間217内の粒子から隔離される。そして、各貫通孔212が、シリンダ部21の最下部近傍における第1カバー部221のエッジ、すなわち、シリンダ部21の回転方向における第1カバー部221の前側のエッジを越えて粒子供給領域210を通過する際に、貫通孔212に充填された粒子がシリンダ部21の外側へと吐出される。
【0028】
具体的には、粒子の吐出は、貫通孔212が第1カバー部221の上記エッジを越えた瞬間に開始される。以下の説明では、上記エッジの位置を「吐出開始位置A1」という。吐出開始位置A1は、シリンダ部21の最下部よりもシリンダ部21の回転方向の後側(上流側)にて、シリンダ部21の最下部近傍に位置する。既述のように、シリンダ部21は高速に回転しており、複数の貫通孔212のそれぞれから、吐出開始位置A1における外側面211の接線におよそ沿って粒子が吐出される。
【0029】
隔離部25には、吐出開始位置A1よりもシリンダ部21の回転方向の前側、かつ、吐出開始位置A1の近傍(すなわち、粒子供給領域210の上記回転方向の後端部)において、吐出開始位置A1と重なる貫通孔212にエアを導くエア供給路218を有する。エア供給路218は、シリンダ部21の軸方向に延び、図3に示すように、配管218aを介してエア供給部219に接続される。エア供給部219は、エア供給路218に強制的にエアを供給する。
【0030】
粒子が吐出された後の各貫通孔212は、図2に示すように、隔離部25により内側が塞がれて粒子収容空間217から隔離された状態で粒子供給領域210を通過する。続いて、隔離部25および第2カバー部222により内側および外側を塞がれた状態でシリンダ部21の上部へと移動する。そして、排気部24と対向する位置において、各貫通孔212の内側および外側が開放され、貫通孔212が粒子収容空間217および排気部24に連通する。
【0031】
図4は、第1シート搬送ローラ31の断面図であり、図1中のシリンダ部21の回転軸R1および第1シート搬送ローラ31の第1中心軸J1を含む面にて切断した断面を示す。第1シート搬送ローラ31は、第1中心軸J1を中心とする略円筒面である外側面311を有し、外側面311上には軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、第1中心軸J1を中心とする周方向に沿う環状溝312が形成される。複数の環状溝312は、シリンダ部21における複数の貫通孔列213と軸方向に関して同じ位置に配置される。
【0032】
第1シート部材91は、複数の補助ローラ32(図1参照)を介して第1シート搬送ローラ31へと導かれる。このとき、第1塗布部61により、第1シート部材91のうち複数の環状溝312と重なる複数の帯状領域(または線状領域)に接着剤が塗布される。当該複数の帯状領域(以下、「接着剤塗布領域」という。)は、シリンダ部21の複数の貫通孔列213および複数の環状溝312と軸方向に関して同位置となる。第1シート部材91は、第1シート搬送ローラ31により、粒子供給領域210の吐出開始位置A1(図2参照)の下方にて、シリンダ部21の外側面211の移動方向と同方向(すなわち、図1中における右向き)に搬送される。そして、シリンダ部21から、第1シート部材91の複数の接着剤塗布領域に向けて粒子が吐出され、第1シート部材91上に保持される。
【0033】
第1シート搬送ローラ31では、外側面311の直径が比較的大きく、かつ、第1シート部材91が一定の張力にて外側面311に沿って引っ張られることにより、第1シート部材91において環状溝312に対応する部位911が、環状溝312の底部に向かって窪んだ形状となる。換言すると、第1シート部材91において環状溝312に対応する溝部911が形成される。上述のように、第1シート搬送ローラ31の環状溝312は、軸方向に関して複数の貫通孔列213と同位置であるため、各貫通孔212から吐出される多くの粒子が溝部911へと向かい、溝部911内に収容される。このとき、粒子が溝部911内にて跳ねたとしても、溝部911の側壁により粒子が溝部911外へと散乱することが抑制される。また、第1シート部材91では、溝部911に上述の接着剤塗布領域が位置しているため、粒子が溝部911内にて捕捉されやすくなる。
【0034】
図5は、第2シート搬送ローラ41の断面図であり、図1中の第2シート搬送ローラ41の第2中心軸J2を含む面にて切断した断面を示す。第2シート搬送ローラ41は、第2中心軸J2を中心とする略円筒面である外側面411を有し、外側面411上には軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、第2中心軸J2を中心とする周方向に沿う環状溝412が形成される。複数の環状溝412は、シリンダ部21における複数の貫通孔列213、および、第1シート搬送ローラ31における複数の環状溝312と軸方向に関して同じ位置に配置される。
【0035】
第2シート部材92は、複数の補助ローラ42(図1参照)を介して第2シート搬送ローラ41へと導かれる。このとき、第2塗布部62により、第2シート部材92のうち複数の環状溝412と重なる複数の帯状(または線状)の接着剤塗布領域に接着剤が塗布される。接着剤塗布領域は、シリンダ部21の複数の貫通孔列213、および、第1シート搬送ローラ31における複数の環状溝312と軸方向に関して同位置となる。シリンダ部21の各貫通孔212から吐出される粒子の一部は、第1シート部材91の溝部911(図4参照)内にて跳ねて第2シート搬送ローラ41へと向かい、他の一部の粒子は、シリンダ部21の貫通孔212から直接第2シート搬送ローラ41へと向かう。
【0036】
上述のように、第2シート搬送ローラ41の複数の環状溝412は、軸方向に関して複数の貫通孔列213および複数の環状溝312と同位置であるため、第2シート搬送ローラ41へと向かう粒子は、第2シート部材92の環状溝412上の部位(すなわち、裏面が何れの部材にも当接していない部位)に衝突して衝撃が吸収され、第1シート部材91の溝部911内に収容される。第2シート部材92は、図6に示すように、第2シート搬送ローラ41の外側面411に沿って搬送され、シリンダ部21の最下部の下方を通過した第1シート部材91上に第2シート部材92が重ねられる。
【0037】
図7は、接合ローラ51の断面図であり、図1中の接合ローラ51の第3中心軸J3を含む面にて切断した断面を示す。接合ローラ51は、第3中心軸J3を中心とする円筒面である外側面511を有し、外側面511は平坦な面である。図6に示すように、互いに重ねられた第1シート部材91および第2シート部材92は、第1シート搬送ローラ31の外側面311と、接合ローラ51の外側面511との間に挟まれる。第1シート搬送ローラ31および接合ローラ51の双方(一方のみであってもよい。)にはヒータが設けられており、第1シート部材91および第2シート部材92では、第1シート搬送ローラ31の外側面311における環状溝312(図4参照)の両側の凸部と当接する領域が熱融着して、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合される。
【0038】
これにより、図8に示すように、それぞれに高吸収性樹脂の粒子が散布された帯状(または線状)の複数の粒子存在領域951と、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合されるとともに実質的に粒子が存在しない帯状(または線状)の複数の粒子非存在領域952とが幅方向に交互に配列される吸収シート95が形成される。換言すれば、吸収シート95では、複数の粒子存在領域951がストライプ状に設けられる。図8では、粒子存在領域951に平行斜線を付す。
【0039】
以上に説明したように、吸収シート製造装置1では、周方向に配列された複数の貫通孔212を有する略円筒状のシリンダ部21が設けられ、回転するシリンダ部21の内部の粒子収容空間217から貫通孔212に、高吸収性樹脂の粒子が充填される。そして、粒子供給領域210において、隔離部25によりシリンダ部21の内側面215が覆われ、粒子が充填された貫通孔212が粒子収容空間217から隔離された状態で(すなわち、粒子収容空間217に連通していない状態で)、当該貫通孔212から粒子の吐出が行われる。このように、各貫通孔212に充填された粒子のみを吐出することにより、各貫通孔212から所望の量の粒子を容易に供給することができる。また、各貫通孔212に充填される粒子の量はおよそ均一であるため、複数の貫通孔212からの粒子の吐出量を均一とすることができる。
【0040】
吸収シート製造装置1では、粒子供給領域210の回転方向の後端部にエア供給路218が設けられ、吐出開始位置A1を通過して粒子供給領域210へと移動する貫通孔212にエアが導かれる。これにより、当該貫通孔212に充填された粒子が、貫通孔212から容易に離脱する。その結果、貫通孔212からの粒子の吐出が円滑に行われる。また、エア供給部219からエア供給路218に強制的にエアが供給されることにより、貫通孔212からの粒子の吐出がさらに円滑に行われる。
【0041】
上述のように、粒子収容空間217への粒子の供給は、シリンダ部21の軸方向の一方の端部から粒子補充部23により行われる。これにより、シリンダ部21の回転に影響されることなく、粒子収容空間217への粒子の補充を容易に行うことができる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置について説明する。図9は、第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置のシリンダ部21a近傍を示す図であり、上述の図2に対応する。図10は、シリンダ部21aの外側面211を示す図であり、上述の図3に対応する。図10では、図の理解を容易にするために、第1カバー部221を二点鎖線にて描いている。第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置では、図9に示すように、粒子補充部23(図2および図3参照)に代えて、シリンダ部21aの上方に粒子補充部23aが設けられ、粒子補充部23aの図9中の右側に連通部26が設けられる。また、図10に示すように、シリンダ部21aの3個の貫通孔列213の両側に複数の補助貫通孔212aが設けられる。その他の構成は、図1に示す吸収シート製造装置1とほぼ同様であり、対応する構成に同符号を付す。
【0043】
図10に示すように、シリンダ部21aでは、3個の貫通孔列213の軸方向の両側においてこれらの貫通孔列213に隣接する2個の補助貫通孔列213aが設けられる。各補助貫通孔列213aは、それぞれが回転軸R1を中心とする周方向に延びる3個の補助貫通孔212aを有し、当該3個の補助貫通孔212aは周方向に等間隔にて配列される。本実施の形態では、各補助貫通孔212aは、周方向に連続して配列される8個の貫通孔212に隣接する。補助貫通孔212aは、第1カバー部221および第2カバー部222(図9参照)により、シリンダ部21aの外側面211側から覆われる。補助貫通孔212aは、また、第1カバー部221の下端と第2カバー部222の下端との間(すなわち、粒子供給領域210)において、3個の貫通孔列213の両側にて第1カバー部221と第2カバー部222とを接続する第3カバー部223により、外側面211側から覆われる。換言すれば、補助貫通孔212aは、後述する粒子補充口232以外の領域において、シリンダ部21aの外側面211側から覆われる。
【0044】
図9に示すように、粒子補充部23aは、シリンダ部21aの上方にて高吸収性樹脂の粒子を収容する粒子タンク231を備える。粒子タンク231は重力方向に略平行に延びており、粒子タンク231の下端には、シリンダ部21aの外側面211に対向する粒子補充口232が設けられる。第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置では、粒子補充部23aの粒子タンク231内の粒子が、重力により、シリンダ部21aの複数の貫通孔212および複数の補助貫通孔212a(図10参照)を介して粒子収容空間217へと落下することにより、粒子収容空間217に粒子が補充される。粒子タンク231には、レベルセンサ233が設けられており、粒子タンク231内の粒子が一定量以下となった際に、粒子タンク231に粒子が補充される。
【0045】
連通部26は、粒子補充口232の図9中における右側(すなわち、シリンダ部21aの回転方向の後側)に隣接するとともに、シリンダ部21aの軸方向において、3個の貫通孔列213および2個の補助貫通孔列213aが配列される範囲のおよそ全幅に亘って設けられる。連通部26は、シリンダ部21aの複数の貫通孔212、および、複数の補助貫通孔212aのうち、粒子補充口232の後縁(すなわち、シリンダ部21aの回転方向の後側の端縁)にて粒子補充口232に対向する貫通孔212および補助貫通孔212aと外部空間とを連通させる。
【0046】
第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置では、上述の吸収シート製造装置1と同様に、シリンダ部21aが高速に回転し、シリンダ部21aの内部の粒子収容空間217から貫通孔212に、高吸収性樹脂の粒子が充填される。そして、粒子供給領域210において、粒子が充填された貫通孔212が隔離部25により粒子収容空間217から隔離された状態で、当該貫通孔212から粒子の吐出が行われる。これにより、各貫通孔212から所望の量の粒子を容易に供給することができる。また、複数の貫通孔212からの粒子の吐出量を均一とすることができる。
【0047】
第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置では、シリンダ部21aの上方にて粒子を収容する粒子補充部23aが設けられ、粒子補充部23aからシリンダ部21aの粒子収容空間217に粒子が充填される。粒子補充部23aでは、粒子タンク231内に多量の粒子を収容することが可能であるため、粒子収容空間217への安定した粒子の補充を容易に実現することができる。また、シリンダ部21aに補助貫通孔212aが設けられることにより、粒子補充部23aから粒子収容空間217への粒子の補充を迅速に行うことができる。なお、シリンダ部21aの補助貫通孔212aは、上述のように、粒子補充口232以外の領域において、シリンダ部21aの外側面211側から覆われるため、補助貫通孔212aから第1シート部材91(図1参照)等に対して粒子が吐出されることはない。
【0048】
吸収シート製造装置では、上述のように、粒子補充口232の後縁にて粒子補充口232に対向する貫通孔212および補助貫通孔212aと外部空間とを連通させる連通部26が設けられる。これにより、粒子補充部23aから粒子収容空間217へと粒子が補充される際に、連通部26に対向する貫通孔212および補助貫通孔212aを介して、粒子収容空間217内のエアが外部空間へと容易に放出される。その結果、粒子収容空間217への粒子の補充が、より容易に行われる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0050】
例えば、第1の実施の形態に係る吸収シート製造装置1では、粒子補充部23として、スクリューフィーダに代えて、圧縮空気により材料の搬送を行うエアフィーダが利用されてもよい。また、吐出開始位置A1において、貫通孔212からの粒子の吐出が円滑に行われるのであれば、エア供給路218に対するエア供給部219からのエアの供給は行われなくてもよく、エア供給路218が省略されてもよい。
【0051】
第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置のシリンダ部21aでは、粒子収容空間217に対して粒子を十分に供給できるのであれば、複数の貫通孔列213の軸方向の一方側のみに、複数または1つの補助貫通孔212aが設けられてもよい。なお、シリンダ部21,21aでは、1つの貫通孔列213のみが設けられてもよい。
【0052】
上記実施の形態では、粒子存在領域951がストライプ状に設けられる吸収シート95の製造について説明したが、シリンダ部21,21aの回転速度を小さくすることにより、あるいは、シリンダ部21,21aにおける複数の貫通孔212の周方向の間隔を大きくすることにより、ドット状の粒子存在領域を有する吸収シートが形成されてもよい。
【0053】
上述のシリンダ部21,21a、第1シート搬送ローラ31、第1カバー部221および隔離部25は、シート部材上に高吸収性樹脂の粒子を供給する粒子供給装置として、吸収シート製造装置以外の様々な装置に組み込まれてもよい。例えば、上面にパルプ繊維等が供給されたシート部材が第1シート搬送ローラ31により搬送され、シリンダ部21,21aにより、当該パルプ繊維上から高吸収性樹脂の粒子が供給されてもよい。この場合、所望の量の粒子を均等にパルプ繊維に混入することができる。
【0054】
上記粒子供給装置では、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カチオン性モノマーの架橋体、または、ポリアミノ酸の架橋体等の吸収材料の粒子が供給される。また、粒子供給装置は、活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオライト、イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ等の消臭材料の粒子をシート部材上に供給する装置として利用されてもよい。この場合、当該粒子供給装置を備える吸収性物品用シート部材製造装置では、使い捨ておむつや軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品に利用される吸収性物品用シート部材である消臭シートが製造される。
【0055】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0056】
1 吸収シート製造装置
21,21a シリンダ部
23,23a 粒子補充部
25 隔離部
26 連通部
31 第1シート搬送ローラ
91 第1シート部材
95 吸収シート
210 粒子供給領域
211 外側面
212 貫通孔
212a 補助貫通孔
215 内側面
217 粒子収容空間
218 エア供給路
219 エア供給部
221 第1カバー部
232 粒子補充口
311 外側面
R1 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート部材上に吸収材料または消臭材料の粒子を供給する粒子供給装置であって、
水平方向を向く回転軸を中心とする略円筒状の部材であり、内部空間の一部が吸収材料または消臭材料の粒子を収容する粒子収容空間であり、周方向に配列された複数の貫通孔を有し、前記回転軸を中心として回転することにより、前記複数の貫通孔のうち前記粒子収容空間内の粒子に対向する貫通孔に粒子が充填され、下部に設けられた粒子供給領域において、前記貫通孔に充填された粒子を外側へと吐出するシリンダ部と、
前記粒子供給領域の下方にて、シート部材を前記シリンダ部の外側面の移動方向と同方向に搬送するシート搬送部と、
前記粒子供給領域から前記シリンダ部の回転方向とは反対方向へと広がって前記シリンダ部の前記外側面の一部を覆い、粒子が充填された前記貫通孔の外側を塞ぐ第1カバー部と、
前記シリンダ部の内側面の一部を覆い、前記粒子供給領域において前記粒子収容空間と貫通孔とを隔離する隔離部と、
を備えることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粒子供給装置であって、
前記隔離部が、前記粒子供給領域の前記回転方向の後端部において、前記シリンダ部の貫通孔にエアを導くエア供給路を有することを特徴とする粒子供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の粒子供給装置であって、
前記エア供給路に、強制的にエアを供給するエア供給部をさらに備えることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の粒子供給装置であって、
前記シリンダ部の軸方向の一方の端部から前記粒子収容空間へと粒子を補充する粒子補充部をさらに備えることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の粒子供給装置であって、
前記シリンダ部が、軸方向において前記複数の貫通孔に隣接するとともに周方向に延びる補助貫通孔を有し、
前記粒子供給装置が、前記シリンダ部の上方にて吸収材料または消臭材料の粒子を収容し、前記シリンダ部の前記外側面に対向する粒子補充口から、前記複数の貫通孔および前記補助貫通孔を介して前記粒子収容空間に粒子を補充する粒子補充部をさらに備え、
前記補助貫通孔が、前記粒子補充口以外の領域において前記シリンダ部の前記外側面側から覆われることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の粒子供給装置であって、
前記粒子補充口の前記回転方向の後側に隣接して配置され、前記複数の貫通孔のうち前記粒子補充口の後縁にて前記粒子補充口に対向する貫通孔と外部空間とを連通させる連通部をさらに備えることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項7】
吸収性物品用シート部材製造装置であって、
請求項1ないし6のいずれかに記載の粒子供給装置と、
他のシート部材を搬送するもう1つのシート搬送部と、
前記粒子供給装置により粒子が供給された前記シート部材上に前記他のシート部材を重ねて接合するシート接合部と、
を備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−17566(P2013−17566A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151581(P2011−151581)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】