説明

粒子含有ガス流から粒子を分離する方法

粒子含有ガス流に遠心分離工程を行うことにより前記粒子含有ガス流から粒子を分離する方法であって、前記粒子含有ガス流をガスに富んだ流れと粒子に富んだ流れとに分離し、前記粒子に富んだ流れに第2の分離工程を行う前に前記粒子に富んだ流れを600〜800℃の範囲の温度から200〜450℃の範囲の温度に冷却し、前記粒子に富んだ流れから粒子を分離する、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子含有ガス流から粒子を分離する方法に関する。また、本発明はガス-粒子混合物から粒子を効率的に分離できるサイクロン分離器を備えたシステムにも関するものである。多くのプロセスにおいて存在する粒子含有ガス流から粒子を分離する必要がある。このようなプロセスの一つは、例えば流動接触分解(FCC)プロセスである。
【背景技術】
【0002】
炭化水素供給原料が触媒により分解される流動接触分解(FCC)プロセスとその関連プラントは当該技術において周知である。FCCプロセスでは、高い沸点範囲の予熱された炭化水素供給原料を、ライザー内で高温のクラッキング触媒と接触させる。供給原料はガス、LPG、ガソリン、及び循環油などのより低い沸点生成物に分解される。さらに、コークスと不揮発性の生成物が触媒上に沈積して廃触媒となる。ライザーから分離器に入り、反応生成物から廃触媒が分離される。次の工程で、廃触媒に蒸気でストリッピングを行って不揮発性の炭化水素生成物を触媒から取り除く。ストリッピングされた触媒は再生器に送ってコークスと残りの炭化水素物質を燃焼させると共に、分解反応に必要な温度まで触媒を加熱する。その後、再生された高温の触媒をライザー反応器ゾーンに戻す。
【0003】
一般にFCC再生器は第1段サイクロンと第2段サイクロンを備える。通常、これらは再生器容器の中に取り付けられる。これらのシステムでは、第1段サイクロンの出口ダクトは第2段サイクロンの入口ダクトに直接連結される。一例が、「Fluid Catalytic Cracking: Technology and Operation」,Joseph W. Wilson,PennWell Publishing company,1997,ISBN 0−87814−710−1,183−185頁に与えられている。サイクロン分離工程により、ガスに富んだ上層流と固体に富んだ下層流とを生じる。下層流の固体は再生器容器に戻される。
【0004】
通常、これらの分離器の上層流はガス収集室に集められ、これを再生器煙道ガスという。再生器煙道ガスは細かい触媒粒子をまだ含んでいる。環境の観点から、このガスを処理せず排出することは望ましくない。したがって、触媒微粒子を再生器煙道ガスから分離するために第3段分離器(TSS)が長年利用されてきた。これにはいくつかの構成を採用し得る。最も広く用いられている構成はシェル分離器であり、これは煙道ガス中の触媒粒子からターボエキスパンダを保護するためにShell社により開発されたものである。この分離器は、多数の渦巻き管分離器を含んだ容器から成る。これらの渦巻き管分離器は小型軸流サイクロンである。この分離器管に入る煙道ガスが旋回羽根を通ることで、ガス流に旋回運動が与えられる。その結果得られる力により触媒粒子が管壁に押しやられてガス流から分離される。これらの渦巻き管分離器は、例えば「Fluid Catalytic Cracking: Technology and Operation」,Joseph W. Wilson,PennWell Publishing company,1997,ISBN 0−87814−710−1,168−170頁に記載されている。分離された粒子は管の底部を通って落ちていき、分離器容器の円錐状底部に集められる。分離された粒子は少量の煙道ガスと共に容器から排出される。この粒子に富んだ流れはTSS下層流ともいう。次に、このTSS下層流は下層流分離器又はいわゆる第4段分離器(FSS)に送られる。TSS上層流は煙突に送られる。
【0005】
TSSは触媒微粒子を再生器煙道ガスから取り除くための効率的な装置として使用されてきたが、煙突への放出はFSSでの触媒減少によっても大きく影響される。FSSでは、例えばいわゆる第4段サイクロンにより粒子が分離される。分離の結果、ガス上層流が煙突に送られ、粒子は一般に廃棄物として取り出される。
【0006】
ガスサイクロンにおける粒子分離の基本的なメカニズムは、円運動による遠心力で粒子が壁に引っ張られ、壁のところでの境界層が分離された粒子をダスト出口に運ぶというものである。小さい粒子の場合、遠心力が粒子の抵抗力よりも小さくなり得るので、これらの粒子の分離が難しくなる場合がある。しかしながら、サイクロンがこのように小さい粒子の分離に適していない場合でさえ、これらの小さい粒子が粗フラクション中にしばしば見いだされる。研究により、いくつかの小粒子がより大きな集合体又は団塊を形成し得、この集合体又は団塊においては粒子が相互に連結した安定した形になっていることが分かった。集合体における小粒子は、粒子間の力、例えばファン・デル・ワールス力、静電気力及び毛管力により接着する(例えば「Gas Cyclones and Swirl Tubes: principles, design and operation」,A.C. Hoffmann and L.E. Stein,Springer,2002,ISBN 3−540−43326−0及びS.Obermair他,Powder Technology 156(2005)34−42を参照)。このような小さい粒子の分離を最適化するため、それらが別の分離器に送られる際に元の分離器からの団塊を保持することが望ましい。このことは、TSS下層流をFSSに輸送する際に当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、分離効率が改善されることで固体含有量が少ない煙道ガスが得られる方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
粒子含有ガス流がまず遠心分離工程に通され、その結果得られた粒子に富む流れが冷却されるとき、形成された団塊は分解せず、分離がより効率的になることが分かった。したがって、本発明は、粒子含有ガス流に遠心分離工程を行うことにより前記粒子含有ガス流から粒子を分離する方法であって、前記粒子含有ガス流をガスに富んだ流れと粒子に富んだ流れとに分離し、前記粒子に富んだ流れに第2の分離工程を行う前に前記粒子に富んだ流れを600〜800℃の範囲の温度から200〜450℃の範囲の温度に冷却し、前記粒子に富んだ流れから粒子を分離する、前記方法を提供する。
【0009】
出願人は、遠心分離工程において形成された粒子からなる団塊はそれらが冷却される際にもそのまま残るので、全体として分離が改善され、よって固体含有量の少ない煙道ガスが得られることを見いだした。遠心分離工程とは、円運動による遠心力で粒子を分離器の壁に引っ張り、壁のところでの境界層が分離された粒子をダスト出口に運ぶことによる分離工程を意味する。通常、このような分離工程はサイクロン分離器において行われる。これらのサイクロン分離器は螺旋状の入口、軸方向の入口又はスパイラル状の入口を有し得る。軸方向の入口を有するサイクロン分離器の場合、これらの分離器は渦巻き管分離器とも称される。団塊がそのまま残るだけでなく、遠心分離工程から第2の分離工程に進む際に冷却が集積を促進させ得る。温度が600〜800℃の範囲の温度から200〜450℃の範囲の温度に下がることにより、ガス密度が約2倍増加して密度のより高い流れを生じ得る。出願人は、流れにおいて密度がより高くなると、互いにより近くを粒子が移動し、触媒微粒子が互いの接着性を増す傾向を有するので、より多くの団塊を生じることを見いだした。
【0010】
冷却は当業者により知られている任意の方法にて、例えばパイプに沿って送られる空気による冷却、水による冷却、又は熱交換器を利用することにより行うことができる。好ましくは、延長パイプに沿って送られた空気による冷却が冷却に用いられる。より好ましくは、空気による冷却用のパイプとしてフィン付き配管が用いられる。フィン付き配管は熱損失のための表面積がかなり増えるので好ましい。このようにして、冷却の確実性が高められ、必要な導管の長さをさらに短縮し得る。
【0011】
第2の分離工程は好ましくは遠心分離工程である。この遠心分離工程で必要とされるサイクロンは、一般に遠心分離工程で用いられるものよりも十分に小さい。
【0012】
本方法がFCCプロセスにおいて適用される場合、形成される団塊の直径は好ましくは3μm以上で50μm以下である。他の状況では、最大で100μmまでの団塊を形成し得る。団塊を形成する粒子自体はそれらより十分に小さい。一般に粒子自体は0.1〜15μm、より好ましくは0.1〜5μm、いっそう好ましくは0.1〜2μmである。第2の分離工程に入る粒子に富んだ流れは、好ましくは3000〜10000mg/Nmの範囲の粒子、より好ましくは5000〜8000mg/Nmの範囲の粒子を含む。
【0013】
出願人は、途切れない流れにおいて団塊をサイクロン分離工程から第2の分離工程に輸送することにより、形成された団塊がそのまま残るならば、分離がさらに改善されることを見いだした。よって、好ましくは、粒子に富んだ下層流は滑らかな導管を通して第2の分離工程に送られる。滑らかな導管とは、実質的に障害物がなく、団塊及び粒子が実質的に衝撃力を受けることなく流れるような導管を意味する。衝撃力は形成されていた団塊を壊し、塊になっていた固体が再び混ざっていく。導管における盲板付きT字ベンド(急な90°ベンドであり、垂直かつ閉じた緩衝用のパイプ延長部を有する)、バルブ及びノズルが、衝撃力を有する構成要素の例である。
【0014】
本発明の方法では、粒子含有ガス流から粒子を分離し、固体含有量が少ない煙道ガスを得る。好ましくは、第2の分離工程から出てくるガス流は多くて500mg/Nmの粒子を含む。煙突への流れには、ガスに富んだ流れと、第2の分離工程から来るガス流とが混合される。好ましくは、煙突への混合流は多くて50mg/Nmの粒子を含む。
【0015】
上述した分離プロセスは、小さい粒子をガス−固体の流れから分離する必要のあるどんな分野でも適用できる。本分離プロセスは例えば石炭ガス化や発電のための石炭燃焼において適用できる。好ましくは、上述した分離プロセスは、流動接触分解(FCC)プロセスにおいて用いられる。好ましくは、粒子含有ガス流は、再生器から送られるガス流であり、このガス流が流動接触分解の触媒微粒子を含有する。よって、この場合の粒子は、流動接触分解プロセスにおいて形成された触媒微粒子である。微粒子は好ましくは0.1〜15μmの範囲、より好ましくは0.1〜5μmの範囲、いっそう好ましくは0.1〜2μmの範囲にある。
【0016】
さらに本発明は、粒子含有ガス流を受け入れるための入口と、ガスに富んだ流れ用のガス出口と、粒子に富んだ流れ用の固体出口とを有するサイクロン分離器、及び前記サイクロン分離器から前記粒子に富んだ流れを受け入れるための入口を有する第2の分離器を備えるシステムであって、前記第2の分離器の前記入口と前記サイクロン分離器の前記固体出口との間に冷却装置を有する導管が存在する前記システムを提供する。
【0017】
冷却装置は、ガスを冷却でき当業者に公知の任意の装置とすることができる。このような冷却装置の例は、様々な種類の熱交換器、延長された導管又はフィン付き配管を有する導管である。好ましくは、冷却装置は延長導管であり、この延長導管が周囲温度にさらされる。周囲温度とは外気の温度を意味する。この温度はシステムの場所に依存し、60℃〜−50℃の範囲で変わり得る。延長導管とは、サイクロン分離器と第2の分離器との間の通常よりも長い導管を意味する。この長さは、本システムが使用されるプラントの実際のレイアウトにおけるサイクロン分離器と第2の分離器の距離に依存する。導管の最小長さは、周囲温度と風の条件を考慮して伝熱計算を行うことにより決められる。延長導管の長さは、好ましくは少なくとも30m、より好ましくは少なくとも40m、いっそう好ましくは少なくとも50mである。
【0018】
冷却表面を増す別の方法は、フィン付きパイプを導管として使用することである。フィンが周囲温度との熱交換のために余分の表面を与える。当業者なら分かるであろうが、多くの選択肢、例えば熱交換器のようなシステムが利用できる。
【0019】
サイクロン分離器と第2の分離器との間の導管はベンドを有してもよい。これらのベンドが存在する場合、ベンドの中心縦軸の湾曲半径は好ましくは導管の直径の少なくとも3倍、さらに好ましくは導管の直径の少なくとも5倍である。好ましくは、導管は螺旋状の形状を有する。
【0020】
温度の低下の別の利点は、より小さいガス体積流量が得られることである。ガス体積流量がより小さいので、より小さい設備を使用できる。加えて、一定の固体流量にてガス体積流量がより小さくなるので、ダスト濃度がより高くなる。ダスト濃度が高くなればなるほど、サイクロン分離器の効率も高くなる。第2の分離器へのダスト濃度がより大きくなると、第2の分離器においてごく小さな粒子が大きな粒子間に捕捉される可能性がより高くなる。それゆえ、通常はサイクロンにより捕らえられない非常に小さい粒子が、ダスト濃度が十分に高い場合には分離される。
【0021】
分離器間で粒子を輸送するよう構成された導管は、粒子に衝撃力を与える要素を実質的に有さないのが好ましい。衝撃力により形成されていた団塊が壊され、塊をなしていた固体が再び混ざってしまう。導管における盲板付きT字ベンドは、衝撃力を有する構成要素の一例である。バルブやノズルも、分離器間の導管において衝撃力を生じさせる障害物を形成し得る。好ましくは、導管はバルブやノズルを実質的に有さない。粒子に富んだ流れ中に存在するガスの量を制御するのに用いられるノズルは、一般に臨界流ノズル(CFN)と称される。適切には、粒子含有ガス流中に存在するガスの総量の2重量%〜10重量%の範囲、より適切には2重量%〜5重量%の範囲が、粒子に富んだ流れ中に存在し、残りがガスに富んだ流れ中に存在するように、ノズルが調節される。好ましくは、流れを乱さないようにして形成された団塊がそのまま残るようにするため、臨界流ノズル(CFN)は第2の分離器の下流に配置される。加えて、第2の分離器がサイクロンの場合、CFNをサイクロンの下流に配置することにより、導管に比べてダスト容量がより小さくなるので、サイクロンをより小さくでき、CFN上での侵食を小さくできる。
【0022】
上述したシステムは、小さな粒子をガス−固体の流れから分離する必要のあるどんな分野においても適用できる。このシステムは、例えば石炭ガス化や発電のための石炭燃焼において適用できる。好ましくは、上述したシステムは、流動接触分解(FCC)プラントにおいて再生器のすぐ後で使用されて、再生器煙道ガスを受け入れる。
【0023】
上述したシステムが流動接触分解(FCC)プラントにおいて再生器のすぐ後で使用される場合、サイクロン分離器は好ましくは第3段分離器であり、第2の分離器は好ましくは第4段分離器である。好ましくは、第3段分離器は、多数の渦巻き管分離器を含んだ容器である。これらの渦巻き管分離器は小型の軸流サイクロンである。分離器管に入る煙道ガスが旋回羽根を通過することで、ガス流に旋回運動が与えられる。出願人は、渦巻き管分離器の旋回羽根のところで集積が既に始まっていること、及びTSS容器の底部出口への自由な流れを有し、そこからFSSへの途切れない流れを有することにより、集積が乱されないまま存続することを見いだした。このような第3段渦巻き管分離器の例がEP−A−360360に記載されている。サイクロン分離器は好ましくは渦スタビライザーを備える。渦スタビライザーは渦スタビライザー板と渦ファインダー棒を備え得る。このような渦スタビライザーの例がEP−A−360360に与えられている。渦スタビライザーを設けることにより、分離効率とサイクロンでの圧力低下とが改善される。渦スタビライザーにより、渦が常にサイクロンの中心に集められるので、分離効率が改善する。また、渦スタビライザーにより、渦がサイクロンの底部まで延びてディップレグ(dipleg)に入らないことが保証される。このことが生じると、分離された微粒子がサイクロンの底部にて再飛散し、分離効率を低下させ得る。渦巻き管分離器はまた、渦拡張ピンを備えてもよいし、渦スタビライザーと渦拡張ピンとの組み合わせを備えてもよい。渦拡張ピンはWO−A−2004009244にさらに詳細に記載されている。渦拡張ピンの技術を有するTSSの重要な特徴は、ガス下層流を現在の>3重量%から<2重量%に制限できることであり、これは実際には少なくとも1.5倍の削減を意味する。ダスト含有量は、量は同じであり、濃度に対する同じ倍率で増加する。出願人は、互いにより近くを粒子が移動し、より大きい粒子の伴流ゾーンにおいてより小さい粒子がより良好に分離されるので、増加した濃度がサイクロン分離に有利に働くことを見いだした。さらに、出願人は、より近くを粒子が移動するとき、渦拡張ピンの使用により更に多くの団塊が形成されることを見いだした。
【0024】
第4段分離器(FSS)は好ましくはサイクロン分離器である。一般にこのサイクロンはTSSよりも十分に小さい。サイクロン分離器は好ましくは渦スタビライザーを備え、より好ましくは渦ピン付きの渦スタビライザーを備え、この渦ピンはより好ましくは拡張され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】流動接触分解の煙道ガスの浄化システムの概略図を示し、本発明によるシステムの好ましい実施態様が統合されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
再生器(1)において流動接触分解の触媒が再生される。この再生工程で生成した煙道ガスは複数段サイクロン(2)を介し導管(3)によってTSS(4)に送られる。煙道ガスは、環境規制によりガスから分離する必要がある触媒微粒子を含む。TSS(4)は渦巻き管分離器(5)を備える。ガスに富んだ流れは、導管(6)を通って煙突(13)に送られる。粒子に富んだ流れは、冷却装置(7)を介してFSS(8)に送られる。FSS(8)において、まだ存在しているガスから粒子が更に分離される。粒子は微粒子ホッパー(9)内に集められ、廃棄導管(10)を介して取り除かれる。FSSを出て行くガスは、導管を通してCFN(11)に送られる。ガスに富んだ流れとFSS(8)からのガス流とは混合され導管(12)を通って煙突(13)に送られる。
【0027】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0028】
第2の分離工程後の分離効率に対する集積の効果を計算するために、FCCプラントでの実際の測定からデータを収集した。FCCプラントの再生器から送られる煙道ガス中に存在する粒子(接触分解の触媒微粒子)の粒子分布を測定し、分離を計算するモデルへの入力として使用した。
【0029】
計算は図1に示される構成に基づいて行った。この構成には、TSS(d50が1.8μmのShell社製TSSである)とFSSと該FSSの上層流中のCFNとが含まれる。(「d50」なる表現は、サイクロンにより捕らえられる可能性が50%の塵粒の直径(単位μm)を意味する。)TSSに入る粒子含有ガス流中の粒子の測定総量は220mg/Nmである。TSSに入るガスのうち3%が粒子に富んだ流れになり、該ガスのうち97%がガスに富んだ流れになるように、CFNを調節した。TSS出口にてガスに富んだ流れにおける粒子の量を測定すると35mg/Nmであった。TSSから送られる粒子に富んだ流れは、6600mg/Nmの粒子濃度を有する。FSSサイクロンの典型的な切点(d50)は4μmである。
【0030】
比較例(冷却なし)
TSSの出口は700℃に設定される。粒子に富んだ流れがFSSサイクロンに入るとき冷却が行われない場合、FSS出口での煙突への放出を計算すると646mg/Nmである。TSS及びFSSについて煙突への総放出は、35mg/Nmの97%(TSSから)と646mg/Nmの3%との合計であり、53.3mg/Nmである。
【0031】
実施例1(冷却)
本発明による方法を適用することにより、TSSからFSSへの導管が700℃から400℃に冷却される。これにより、FSS出口における煙突への放出を計算すると486mg/Nmとなる。これは24.8%の削減である。TSS及びFSSについて煙突への総放出は、35mg/Nmの97%(TSSから)と486mg/Nmの3%との合計であり、48.5mg/Nmである。
【0032】
よって、団塊の形成と安定化の結果、及び低温での改善されたFSSサイクロン効率の結果としてFSSサイクロンの分離効率が大幅に改善された。この改善の重要性は、煙突への放出がかなり削減されることである。冷却により、煙突への放出は臨界値である50mg/Nm未満となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】EP−A−360360
【特許文献2】WO−A−2004009244
【非特許文献】
【0034】
【非特許文献1】「Fluid Catalytic Cracking: Technology and Operation」,Joseph W. Wilson,PennWell Publishing company,1997,ISBN 0−87814−710−1,183−185頁
【非特許文献2】「Fluid Catalytic Cracking: Technology and Operation」,Joseph W. Wilson,PennWell Publishing company,1997,ISBN 0−87814−710−1,168−170頁
【非特許文献3】「Gas Cyclones and Swirl Tubes: principles, design and operation」,A.C. Hoffmann and L.E. Stein,Springer,2002,ISBN 3−540−43326−0
【非特許文献4】S.Obermair他,Powder Technology 156(2005)34−42
【符号の説明】
【0035】
1 再生器
2 サイクロン
3 導管
4 第3段分離器(TSS)
5 渦巻き管分離器
6 導管
7 冷却装置
8 第4段分離器(FSS)
9 微粒子ホッパー
10 廃棄導管
11 臨界流ノズル(CFN)
12 導管
13 煙突

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子含有ガス流に遠心分離工程を行うことにより前記粒子含有ガス流から粒子を分離する方法であって、前記粒子含有ガス流をガスに富んだ流れと粒子に富んだ流れとに分離し、前記粒子に富んだ流れに第2の分離工程を行う前に前記粒子に富んだ流れを600〜800℃の範囲の温度から200〜450℃の範囲の温度に冷却し、前記粒子に富んだ流れから粒子を分離する、前記方法。
【請求項2】
前記第2の分離工程が遠心分離工程である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒子含有ガス流が3000〜10000mg/Nmの範囲の粒子を含有し、好ましくは5000〜8000mg/Nmの範囲の粒子を含有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子に富んだ流れを滑らかな導管を通して第2の分離工程に送る請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子含有ガス流が再生器から送られるガス流であり、前記ガス流が流動接触分解の触媒微粒子を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
粒子含有ガス流を受け入れるための入口と、ガスに富んだ流れ用のガス出口と、粒子に富んだ流れ用の固体出口とを有するサイクロン分離器、及び前記サイクロン分離器から前記粒子に富んだ流れを受け入れるための入口を有する第2の分離器を備えるシステムであって、前記第2の分離器の前記入口と前記サイクロン分離器の前記固体出口との間に冷却装置を有する導管が存在する前記システム。
【請求項7】
前記冷却装置がフィン付き配管からなる導管である請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記導管が、衝撃力を前記粒子に実質的に加えずに前記粒子を輸送するよう構成される請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記導管にバルブ又はノズルが実質的にない請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記導管が螺旋形状を有する請求項6〜9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記導管が、前記導管の直径の5倍以上の半径をもつベンドを有する請求項6〜10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の分離器がサイクロン分離器である請求項6〜11のいずれか一項に記載のシステム。

【図1】
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【公表番号】特表2010−501033(P2010−501033A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524195(P2009−524195)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058505
【国際公開番号】WO2008/020051
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】