説明

粒子含有固体表面材料

固体表面材料の前駆体である液体組成物は、液状の重合可能な成分および2つの異なる固体粒子の分布を含むことを特徴とし、ポリカルボン酸または塩が加えられ、粒子の沈降を遅延または防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所のカウンタートップや壁面に用いられているような固体表面材料に関する。
【背景技術】
【0002】
固体表面材料はポリマー中に包埋されている固体粒子を通常含有する。そのような固体粒子は、難燃性などの特性を付与するために、あるいは単に審美的な配慮から用いられている。
【0003】
ビューザーら(Buser et al.)の米国特許公報(特許文献1)には、人工御影石の調製物、より詳細にはアクリルポリマーおよび特定された分布、形状および光学特性を有する小粒子と大粒子との特定の組み合せから調製された人工御影石が開示されている。
【0004】
ミンゲッティ(Minghetti)の米国特許公報(特許文献2)には、熱成形前も熱成形後も均一な色分布を有するポリメチルメタクリルシート調製物が開示されている。
【0005】
アトキンソン(Atkinson)の米国特許公報(特許文献3)には、ハロゲン化カルボン酸とアミンと場合によっては脂肪酸との反応生成物を含む組成物を用いた、改良された分散性を付与し且つ殺菌性を呈する顔料のための表面処理が開示されている。
【0006】
粒子濃度が高い固体表面液体配合物に対して、液体配合物が固化する前の粒子沈降を遅延または防止する必要性がある。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,085,245号明細書
【特許文献2】米国特許第6,177,499号明細書
【特許文献3】米国公開特許第2002/0129742号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液状の重合可能な成分および固体粒子を含む、固体表面材料の前駆体である液状成形組成物であって、該粒子が、
(a)1ミクロン〜300ミクロンの範囲の分布を有する第1の粒子、および
(b)0.1mm〜12mmの範囲の分布を有する第2の粒子、
を含み、該成形組成物が、少なくとも2つのカルボン酸基を有し、および1モル当り300グラム〜5,000グラムの範囲内の分子量を有するポリカルボン酸またはその塩をさらに含有することを特徴とする組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、液体コーティング組成物から形成された結果として得られる固体表面材料にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いられる場合、固体表面材料は、その通常の意味で用いられており、立体的な材料(例えば機能性と魅力的な外観との両方が必要である台所のカウンタートップ、シンクおよび壁装の建築業界において特に有用である材料)を表す。
【0011】
(液状の重合可能な成分)
固体表面材料の液体前駆体の必須成分は液状の重合可能な成分である。
【0012】
「液体」とは、物質が室温で流体であることを意味する。液状の重合可能な物質は、以下の(a)少なくとも1種の単官能性単量体反応性物質;(b)少なくとも1種の多官能性単量体反応性物質;および(c)少なくとも1種のオリゴマー反応性物質の1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0013】
単官能性単量体反応性物質:「単官能性単量体反応性物質」は、ラジカル重合反応に関与することができる、つまりポリマー鎖の中に組み込まれることができる1つの不飽和ユニットを有している化合物を意味する。好適な単官能性単量体反応性物質としては、例えば、1つのアクリル基を有している単量体、1つのビニル基を有している単量体、1つのアリル基を有している単量体、置換ブタジエン、またはこれらの組み合せを挙げることができる。
【0014】
単官能性単量体反応性物質の好ましいタイプはアクリル酸またはメタクリル酸のエステルである。このエステルは一般に1〜20個の炭素原子を有しているアルコールから誘導される。このアルコールは、脂肪族、脂環式または芳香族であってもよい。エステルはまた、これらに限定するものではないが、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロなどの基で置換されていてもよい。代表的な(メタ)アクリレートエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキソ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シロキサン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アクリル酸、メタクリル酸も用いることができる。最も好ましいのは、メチルメタアクリレートおよびそのコポリマーである。
【0015】
1つの「ビニル基」を含んでいる単官能性単量体物質の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、および酢酸ビニルが挙げられる。
【0016】
多官能性単量体反応性物質:「多官能性単量体反応性物質」は、ラジカル重合反応に関与することができる、つまり2つ以上のポリマー鎖の中に組み込まれることができる複数の不飽和ユニットを有している単量体化合物を意味する。得られる構造体の性質から、そのような反応は「架橋」と呼ばれ、この場合2つ以上のポリマー鎖がこの多官能性単量体反応性物質によってつながれる。そのようなものとして、多官能性単量体反応性物質はしばしば「架橋剤」とも呼ばれる。
【0017】
この反応性基は液状の重合可能な物質と共重合する基であればよく、例えば重合可能なエチレン性不飽和基であってもよい。反応性基はまた重合後、液状の重合可能な物質の側鎖または残基と反応する基であってもよく、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基またはエポキシ基であってもよい。多官能反応性物質が反応すると液状の重合可能な物質と架橋網目構造を形成する。
【0018】
好ましい架橋剤の類は、ポリオールの(メタ)アクリレートエステルである。いくつかの代表的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。その他の好適な架橋剤のタイプとしては、ジビニル化合物(例えばジビニルエーテル)、アリル(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレートおよびポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0019】
オリゴマー反応性物質:「オリゴマー反応性物質」は、ラジカル重合反応に関与することができる、つまりポリマー物質の中に取り込まれる1つまたは複数の反応性ユニット(例えばエチレン性不飽和)を有しているオリゴマー低分子量鎖を意味する。オリゴマー反応性物質としては、上述した(a)および/または(b)の単量体全てのオリゴマー;ウレタンオリゴマーの(メタ)アクリル官能化によってまたはオリゴマーイソシアネートと(メタ)アクリル残基のin situ反応によって形成されるウレタン(メタ)アクリレート;(メタ)アクリレート官能化不飽和ポリエステルオリゴマーおよび樹脂;エポキシ(メタ)アクリレート(例えばビスフェノールAエポキシ樹脂のモノ(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート);およびこれらの組み合せを挙げることができる。好ましくは、オリゴマー反応性物質は、硬化過程の間に、重合された物質の中に組み込まれて鋳造物品を作りあげる。別の反応性基としては、ビニル、アリルなどであってもよい。反応性基は、ポリマー主鎖へのペンダントであってもよいし、あるいはポリマー主鎖中にあってもよい。
【0020】
2つ以上の反応性基を有するオリゴマー反応性物質はまた架橋剤としても機能することができることは理解されるところである。
【0021】
液状の重合可能な部分を作りあげている反応性物質の選択については、ある程度、最終鋳造物品の所望特性によって決まるものであることは理解されると思われる。例えば、親水性の充填材または基材への接着が望ましい場合は、酸もしくはヒドロキシル基をもつアクリル物質を用いることができる。柔軟性に対しては、低いガラス転移温度(T)の(メタ)アクリレート(例えばブチルアクリレート)を用いることができる。熱安定性に対しては、アクリレートをメタアクリレートとの組み合せで用いるのが好ましい。硬度の向上には、高T(メタ)アクリレート官能化オリゴマーを用いるのが好ましい。
【0022】
(ポリマー成分)
本発明の成形組成物は場合によっては少なくとも1種の非架橋樹脂ポリマーを含んでいる。本発明の非架橋樹脂ポリマーは、反応性、非反応性、またはこれらの組み合せであってもよい。非架橋樹脂ポリマーは、そのポリマーが成形組成物中の他の成分と物理的に会合するか、または化学的に反応する場合「反応性」である。
【0023】
本明細書で使用される用語「非架橋」は、成形材料に導入される前の出発物質として鎖間に結合のない鎖をもつ、線状、分枝状、ブロック状、またはこれらの組み合せであるポリマーを意味する。この非架橋ポリマーは、液状の重合可能な物質に可溶であってもよいし、または不溶であってもよい。非架橋ポリマーは液状の重合可能な物質に可溶であるのが好ましい。液状の重合可能な物質に溶解された可溶非架橋ポリマーの組み合せは一般に「シロップ」と呼ばれる。好適なポリマーとしては、これらに限定するものではないが、液状の重合可能な物質として上で掲載した単量体またはオリゴマーのいずれからも作られたホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0024】
非架橋ポリマー部分の使用は主に成形組成物のレオロジー改変剤としてであり、液状の重合可能な部分に可溶な場合は特にそうである。加えて、非架橋ポリマー部分はまた最終鋳造物品の性能および/または審美性に寄与することもでき、且つ必要とされる液状の重合可能な部分の量を減らすこともできる。
【0025】
(ポリカルボン酸または塩)
本発明において固体粒子の沈降を遅延または防止するための必須成分は、少なくとも2つのカルボン酸基を有し、および1モル当り300グラム〜5,000グラムの範囲内の分子量を有するポリカルボン酸またはその塩である。好ましい範囲は1モル当り300グラム〜1000グラムである。
【0026】
そのようなポリカルボン酸または塩の市販されている例としては、これらに限定するものではないが、BYK(登録商標)−P 104、BYK(登録商標)−P 104S、BYK(登録商標)−P105(コネチカット州ウォーリングフォードにあるBYK ケミー USA インコーポレイテッド(BYK Chemie USA Incorporated,Wallingford,Conn.)から入手可能)、バーマウェット・アンチフロート S(Bermawet Antifloat S)(フロリダ州エルファーズにあるベルゲン・マテリアルズ・コーポレーション(Bergen Materials Corp.,Elfers,Florida)から入手可能)、エフカ(Efka)5065およびエフカ(Efka)5061(オハイオ州ストウにあるエフカ・アディティブス USA(EFKA Additives USA,Stow,Ohio)から入手可能)が挙げられる。解説すると、BYK(登録商標)P−104は低分子量不飽和ポリカルボン酸ポリマーの溶液であり;BYK(登録商標)−104Sはポリシロキサンポリマーを含む溶液であり、BYK(登録商標)−P−105はBYK(登録商標)−P−104の溶媒の入っていないタイプである。エフカ(Efka)5065は適合性のある有機変性されたポリシロキサンを含む高分子量不飽和カルボン酸であり、エフカ(Efka)5071は高分子量カルボン酸のアルキロールアンモニウム塩である。
【0027】
理論に縛られるものではないが、ポリカルボン酸または塩は、剪断下で容易に壊される三次元網目構造を作ることによって粒子が凝集するのを抑制しているものと考えられる。この網目構造は低剪断速度粘度を増大させその結果粒子がゆっくりと沈降するものと考えられる。したがって、液体配合物の固化が起こる時間内では、粒子沈降はほとんど認められないか、または全く認められない。
【0028】
ポリカルボン酸または塩が存在していることは必須であるが、そのような酸または塩の量は広い範囲内で変わり得る。酸または塩の量に影響を及ぼし得る1つの変数としては、固体表面材料の形成に必要とされる時間が挙げられるであろう。硬化時間が短い場合は、最小限の沈降が起こるので、少ない酸または塩が必要である。その他の変数としては、固体粒子の大きさ、重量および濃度が挙げられる。出発液体配合物中の重たい粒子はポリカルボン酸または塩の高い濃度を必要とすると考えられる。しかしながら、当業者なら、酸または塩を用いるという知識を基にして最適量を容易に決定することができる。液状の重合可能な成分のカルボン酸または塩の典型的な濃度は0.1〜1.0重量パーセント、より好ましくは0.125重量パーセントの範囲である。
【0029】
(粒子)
本発明では、粒子は2つの異なる径分布で存在している。本発明の粒子沈降を遅延または減少する効果は、ただ1つの粒子径分布が存在している場合は所望の程度には起こらないと考えられる。
【0030】
第1の粒子径分布は1ミクロン〜300ミクロン、より好ましくは1〜100ミクロン、そして最も好ましくは10〜50ミクロンの範囲である。
【0031】
第2の粒子径分布は0.1mm〜12mm、より好ましくは0.1〜5mm、そして最も好ましくは3〜5ミクロンの範囲である。
【0032】
第1の粒子径分布と第2の粒子径分布の濃度は広い範囲内で変わり得る。解説すると、第1の粒子径分布は、全組成物の体積を基準にして10〜70重量パーセントの量で、より好ましくは30〜65重量パーセントの量で、そして最も好ましくは40〜60重量パーセントの量で存在していてもよい。解説すると、第2の粒子径分布は、全組成物の重量を基準にして1〜50重量パーセントの量で、より好ましくは3〜40重量パーセントの量で、そして最も好ましくは5〜30重量パーセントの量で存在していてもよい。液状の重合可能な成分は十分な量で存在していて全ての粒子に対してバインダーとして作用するものであることは理解されるところである。
【0033】
加えて、基準となる粒子径分布の範囲の外側に在る粒子が存在し得ること、かつ典型的には存在しているものであることも理解されるところである。
【0034】
第1の小さい方の粒子の組成物は、解説すると、鉱物充填材を含んでいる。いくつかの代表的な鉱物フィラーとしては、アルミナ、アルミナ三水和物(ATH)、アルミナ一水和物、バイエル(Bayer)水和物、砂やガラスなどのシリカ、ガラス球、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、およびセラミック粒子が挙げられる。ATH、アルミナ一水和物、水酸化マグネシウム、および炭酸カルシウムには難燃性があることが知られている。
【0035】
第2の大きい方の粒子は、典型的には、審美的な理由から、すなわち仕上がり物品に満足のいく表面外観を付与するために加えられる。解説すると、粒子は着色されていてもよいし、または着色されていなくてもよいし、不透明であってもよいし、半透明であってもよいし、あるいは透明であってもよい。用いることができる典型的な鉱物粒子は、か焼タルク、磁鉄鉱、菱鉄鉱、チタン鉄鉱、針鉄鉱、方鉛鉱、グラファイト、無煙炭および歴青炭、黄銅鉱、黄鉄鉱、赤鉄鉱、褐鉄鉱;輝石類(例えば輝石);角閃石類(例えば角閃石、黒雲母、閃亜鉛鉱、鋭錐石、鋼玉石(corunbum)、ダイアモンド、カーボランダム、硬石膏、チョーク、ディウライト(diurite)、ルチル、砂岩、頁岩、スレート、スパライト(sparite)、蛭石、天然黒鉛、泥炭、および玄武岩である。その他の有用な材料は、レンガ小片、木炭、コンクリート、石膏、磁器、のこ屑、貝殻、スラグ、木材などである。よく用いられる、当業界で「クランチーズ(crunchies)」として知られる巨視的な装飾用の粒子は、各種の充填および無充填の、顔料または染料着色した、不溶性または架橋したポリマー・チップ(例えばABS樹脂、セルロース・エステル、セルロースエーテル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、エチレンコポリマー、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアクリル酸、ポリジエン、ポリエステル、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエステルなど)である。その他の有用な巨視的な半透明および透明の装飾用の粒子は、天然または合成の鉱物または物質、例えば、瑪瑙、アラバスター、アルバイト、カルサイト、玉髄、チャート、長石、火打石石英(flint quartz)、ガラス、孔雀石、大理石、マイカ、黒曜石、オパール、石英、珪岩、ロックジプサム(rock gypsum)、砂、シリカ、トラバーチン、ウォラストナイトなど;布、天然または合成繊維;および金属断片である。
【0036】
第1および第2の粒子径分布の先の説明において、同じ粒子成分を第1の粒子と第2の粒子の両方に用いることができることは理解されるところである。しかしながら、通常は粒子の組成は異なるものである。解説すると、小さい粒子を加える理由は、大きい粒子は表面の審美性のために存在しながら、全体組成に難燃性を加えることであろう。
【0037】
前にも述べたように、開示された分布の外側にある粒子が存在していることが期待されるかも知れないし、かつ通常はそう期待されることは理解されるところである。
【0038】
(他の成分)
液状成形組成物は、典型的には、硬化剤、顔料およびその他の添加剤などのさらなる成分を含んでいるものである。
【0039】
硬化剤は、活性化されるとラジカルを発生し、これがこのあと所望の重合反応を開始させる。本発明では、アクリル重合可能な部分を硬化させるのに、化学的に活性化される熱開始か、純粋に温度誘導の熱開始を用いることができる。いずれの硬化系も当技術分野では周知である。実施例の実施形態では、化学的に活性化される熱開始硬化が用いられている。
【0040】
酸化鉄、硫化亜鉛、酸化亜鉛や二酸化チタンなどの顔料は、固体表面用途において、所望の色と審美性を達成するために日常的に利用される。これらは、その特定の系のニーズに応じて、液体分散物またはペーストの形態で、あるいはそのままの粉砕された固形物として加えられる。
【0041】
成形組成物には、物理的性能を向上させるために、加工性を改良するために、または見た目の審美性を調節するために、その他の構成要素が入れられている。そのような添加剤の例としては、充填材と重合部分との間の接着を強くするための接着促進剤の添加が挙げられる。耐衝撃性改良剤、例えばメチルメタアクリレートとスチレンとブタジエンとのグラフトコポリマー、ブチルアクリレートとメチルメタアクリレートとのコポリマーなどのエラストマー性ポリマー、あるいはその他のよく知られている耐衝撃性改良剤を加えて耐衝撃強度を改良することもできる。臭素化有機物などの難燃性添加剤を組み込むこともできる。その他の難燃剤としては炭素繊維やアラミド繊維が挙げられる。
【実施例】
【0042】
以下の実施例では、パーセントおよび部は、特に断らない限り、全て重量によるものである。
【0043】
各実施例では、以下の表に掲載されている成分を用いた。全てのパーセント表示は、特に断らない限り、重量によるものである。
【0044】
【表1】

【0045】
アルミニウム三水和物の粒子径は1〜100ミクロンの範囲であった。
【0046】
白色チップの粒子径は0.1〜5mmの範囲であった。
【0047】
(実施例1(対照))
表に掲載されている成分を反応ケトルに加え、減圧下にて高速分散ブレードで4分間混合した。得られた混合物を1リットルの目盛り付きシリンダーの中に注いだ。熱伝対をこの混合物中に入れ、その目盛り付きシリンダーを60℃の水浴の中に沈めた。反応温度を反応が完結するまで監視した(約1時間)。冷却してサンプルを目盛り付きシリンダーから難なく取り出し、縦方向にカットして粒子の沈降を観察した。ほとんど全て、すなわち個々の粒子の95%超が、得られた物品の縦断面のおよそ三分の一の部分に集中していた。個々の粒子の5%未満が縦方向断面の残りの三分の二の部分にランダムに存在していた。
【0048】
(実施例2)
表に掲載されている成分をByk(登録商標)−P105(n−ブチルメタアクリレート中70重量%の低分子量カルボン酸ポリマー)5gと一緒に反応ケトルに加え、減圧下にて高速分散ブレードで4分間混合した。得られた混合物を1リットルの目盛り付きシリンダーの中に注いだ。熱伝対をこの混合物中に入れ、その目盛り付きシリンダーを60℃の水浴の中に沈めた。反応温度を反応が完結するまで監視した(約1時間)。冷却してサンプルを目盛り付きシリンダーから難なく取り出し、縦方向にカットして粒子の沈降が起こったかどうかを観察した。縦方向の断面には、均一性があり、多く見ても、沈降が起こっていたのは少量であった。
【0049】
(実施例3)
表に掲載されている成分をEfka(登録商標)5071(カルボン酸のアルキロールアンモニウム塩51〜55%)5gと一緒に反応ケトルに加え、減圧下にて高速分散ブレードで4分間混合した。得られた混合物を1リットルの目盛り付きシリンダーの中に注いだ。熱伝対をこの混合物中に入れ、その目盛り付きシリンダーを60℃の水浴の中に沈めた。反応温度を反応が完結するまで監視した(約1時間)。冷却してサンプルを目盛り付きシリンダーから難なく取り出し、縦方向にカットして粒子の沈降が起こったかどうかを観察した。縦方向の断面には、均一性があり、多く見ても、沈降が起こっていたのは少量であった。
【0050】
(実施例4)
表に掲載されている成分をEfka(登録商標)5065(アルキルベンゼン/ジイソブチルケトン中有機変性されたポリシロキサンと組み合わせた不飽和カルボン酸50〜54%)5gと一緒に反応ケトルに加え、減圧下にて高速分散ブレードで4分間混合した。得られた混合物を1リットルの目盛り付きシリンダーの中に注いだ。熱伝対をこの混合物中に入れ、その目盛り付きシリンダーを60℃の水浴の中に沈めた。反応温度を反応が完結するまで監視した(約1時間)。冷却してサンプルを目盛り付きシリンダーから難なく取り出し、縦方向にカットして粒子の沈降が起こったかどうかを観察した。縦方向の断面には、均一性があり、多く見ても、沈降が起こっていたのは少量であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体表面材料の前駆体である液状成形組成物であって、液状の重合可能な成分、少なくとも2つのカルボン酸基を有し、および1モル当り300グラム〜50,000グラムの範囲内の分子量を有するポリカルボン酸またはその塩、および固体粒子を含み、該粒子が、
(a)1ミクロン〜300ミクロンの範囲の分布を有する第1の粒子、および
(b)0.1mm〜12mmの範囲の分布を有する第2の粒子、
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記分子量が1モル当り300グラム〜1000グラムの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
酸または塩の濃度が、液状の重合可能な成分の0.1〜1.0重量パーセントの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
第1の粒子が1〜100ミクロンの範囲であり、第2の粒子が3〜5mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アクリル酸またはメタクリル酸のエステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
非架橋ポリマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
第1の粒子が1〜100ミクロンの範囲であり、第2の粒子が0.1〜5mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の全重量を基準にして、第1の粒子が10〜70重量パーセントの量で存在しており、第2の粒子が1〜50重量パーセントの量で存在していることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
第1の粒子が30〜65重量パーセントの量で存在しており、第2の粒子が3〜40重量パーセントの量で存在していることを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の液体コーティング組成物から形成された固体組成物。

【公表番号】特表2007−530736(P2007−530736A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505048(P2007−505048)
【出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/009281
【国際公開番号】WO2005/095504
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】