説明

粒子担持高分子繊維及び押出方法

高分子繊維の押出し方法及びシステムに付随する粒子担持高分子繊維が開示される。粒子担持高分子繊維は、その内部に複数の粒子が分配される高分子結合剤を含む繊維体を有する。粒子の中には完全に高分子結合剤中に封入されているものもあれば、繊維体の外側表面上に部分的に曝露されるように埋め込まれているものがあってよい。繊維に使用されるポリマーは高分子量からなってよく、封入される粒子は繊維の外側表面に向かって優先的に分配されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出し加工に伴う粒子担持高分子繊維及びその製造装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の繊維形成方法及び装置は、通常、高分子材料をオリフィスから押出すことを含む。典型的な繊維押出し法の速度、圧力及び温度は、経済的条件と高分子材料の物理特性との間の妥協を表す。例えば、高分子材料の分子量は、融解粘度及び高分子材料性能の両方に直接関係している。残念ながら、高分子材料性能の改善は、通常、分子量の増大と、それに対応する比較的高い融解粘度とに関係している。融解粘度が高まることで、典型的には、繊維の形成において、より時間がかかり、かつより採算の合わない方法となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
より高い分子量のポリマーの高融解粘度に対処するために、従来のプロセスは、高分子材料の融解粘度を低下させようとして、比較的高温での加工に依存することがある。しかしながら、プロセス温度は通常、高温における高分子材料の分解により制限され得る。プロセス温度の増大と併せて、プロセス速度を改善するために、プロセス圧力、即ちポリマーが押出される圧力も増大され得る。しかしながら、プロセス圧力は繊維の押出しに使用される装置によって制限され得る。結果として、従来のプロセスにおける加工速度は、通常、上述した因子によって制約される。
【0004】
上述した問題を考慮すると、繊維製造のための溶融ポリマーの押出しにおける従来の手法は、高分子材料の分子量を低下させて、経済的に実行可能な加工速度を達成することである。分子量の低下は、それに対応して、押出された高分子繊維の材料特性の妥協をもたらす。
【0005】
従来の押出し繊維の材料特性における妥協について少なくとも部分的に対処するために、繊維強度は、繊維の高分子材料を配向させることによって改善され得る。配向は、繊維が押出しダイを出た後に繊維を引っ張る、又は伸長することによって付与される。結果として、繊維として使用される高分子材料は、通常、高分子材料がダイを出る半溶融状態においてかなりの引張応力保持能力がなければならない(そうでなければ、繊維は引っ張られたときに、ただ破断するだけである)。このような特性は、従来、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリアミドなどの半結晶性ポリマーにおいて得ることができる。従って、従来の繊維押出し法は、ほんの限られた数の高分子材料により実施することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、高分子繊維の押出し方法及びシステムと共に粒子担持高分子繊維を提供する。
【0007】
粒子担持高分子繊維は、その内部に複数の粒子が分配される高分子結合剤を含む繊維体を有する。粒子の中には完全に高分子結合剤中に封入されているものもあれば、繊維体の外側表面上に部分的に曝露されているものがあってよい。
【0008】
本発明の粒子担持繊維の潜在的な利点の中には、高分子繊維体は、比較的低いメルトフローインデックス又は比較的高い融解粘度(及び本明細書で議論されるように、それに対応する高分子量)を有するポリマーによって形成され得るということが含まれている。結果として、本発明の方法においてこのようなポリマーを使用して製造される繊維に関する潜在的な利点は、粒子担持繊維においても得られる可能性がある。
【0009】
本発明のその他の潜在的な利点は、好ましくは、粒子密度(即ち繊維体の単位体積当たりの粒子数)が繊維の外側表面に近い位置でより高くなるように繊維体内に粒子が分配されることである。(例えば、粒子がより少ない中央芯を提供することで)繊維内で粒子をこのように分配することは、繊維強度を増加させるのに有利であり得る。
【0010】
この粒子の分配プロファイルは、粒子が繊維の外側表面の近くに封入されるか、繊維の外側表面上に部分的に曝露されるのが望ましい状況においても有利であり得る。これは、高分子結合剤の一部として曝露される更なる粒子が使用中に除去される(例えば、研磨材物品などに使用される繊維において起こり得る)のが有益である状況で特に当てはまる。
【0011】
本発明の溶融押出された繊維に見られる粒子の分配におけるその他の潜在的な利点は、粒子が繊維の外側表面に近い位置で優先的に分配されるため、繊維の外側表面に近い位置で選択された粒子密度を提供するために必要な粒子量を削減し得ることである。
【0012】
繊維を製造するのに使用される押出し法は、ダイオリフィスを通る際に潤滑剤が好ましくはポリマー溶融ストリームを包み込むように、ポリマー溶融ストリームとは別に押出しダイのそれぞれのオリフィスに潤滑剤を送達することを含むのが好ましいであろう。高分子繊維押出し法において、ポリマー溶融ストリームとは別に供給される潤滑剤の使用は、多数の潜在的な利点を提供することができる。
【0013】
例えば、別に供給される潤滑剤の使用は、引っ張ることをしなくても、配向した高分子繊維を提供することができる。即ち、いくつかの実施形態では、配向した高分子繊維を得るために、繊維がダイを出た後に繊維を引っ張る又は伸長する必要がないであろう。高分子繊維が押出し後に引っ張られなければ、ダイを出た後の半溶融状態においてあまり引張応力保持能力を示す必要はない。代わりに、本発明の潤滑式押出し方法は、場合によっては、高分子材料が好ましくはダイを出る前に配向され得るように、ダイの中を移動する際に高分子材料に配向を付与することができる。
【0014】
配向を付与するために引っ張る又は伸長する必要性を、低減又はなくすことの1つの潜在的な利点は、高分子繊維を押出すための高分子材料の候補が著しく拡大され、他の方法では押出し繊維として使用されないかもしれない高分子材料も含むことが可能なことである。また、提唱される方法によって、異相ポリマーも押出して配向繊維にすることができる。「鞘/芯」又は「海島型」又は「パイ(pie)」又は「中空パイ(hollow pie)」などの複合繊維構造もこの方法に適合する。
【0015】
本発明の方法の潜在的な利点としては、例えば、比較的低い圧力で多数の高分子繊維を同時に押出し可能なことが挙げられる。比較的低い圧力は、装置及び加工費の点でコスト削減をもたらし得る。
【0016】
本発明の目的では、「繊維」(及びその変形)という用語は、その幅に対して本質的に連続的な長さ、例えばその幅の少なくとも1000倍の長さを有する細長い糸のような構造又はフィラメントを意味する。本発明の繊維の幅は、5ミリメートル以下、好ましくは2ミリメートル以下、更により好ましくは1ミリメートル以下の最大寸法に制限されるのが好ましいであろう。
【0017】
本発明の繊維は、1成分繊維、2成分又はコンジュゲート繊維(便宜上、「2成分」という用語は、2つの成分からなる繊維に加えて2つを超える成分からなる繊維を意味するために使用されることが多い)、及び2成分繊維の繊維セクション、即ち2成分繊維の断面の一部を占め、及び2成分繊維の長さ全体に及ぶセクションであり得る。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態のその他の潜在的な利点は、低メルトフローインデックス(MFI)を有するポリマーを押出し可能なことに見出すことができる。従来の高分子繊維押出し法では、押出しポリマーのMFIは、約35以上である。本発明の方法を用いると、高分子繊維の押出しは、MFIが30以下、ある場合には10以下、他の場合には1以下、及び更に他の場合には0.1以下であるポリマーを用いて達成することができる。本発明以前は、繊維を形成するために、このような高分子量(低MFI)のポリマーの押出し加工は、通常、溶媒を用いてポリマーを溶解させ、それによりそれらの粘度を低下させて実施された。このような方法は、高分子量のポリマーを溶解し、次に溶媒を除去する(廃棄又は再利用を含む)ことに困難をもたらした。本発明と関連して使用される可能性のある低メルトフローインデックスのポリマーの例としては、ミシガン州ワイアンドット(Wyandotte)のBASFコーポレーション(BASF Corporation)から入手可能なルラン(LURAN)S757(ASA、8.0 MFI)、テキサス州ヒューストン(Houston)のハンツマンポリマーズ(Huntsman Polymers)から入手可能なP4G2Z−026(PP、1.0 MFI)、オハイオ州エイボンレイク(Avon Lake)のポリワンコーポレーション(PolyOne Corporation)から入手可能なFR PE 152(HDPE、0.1 MFI)、テキサス州ヒューストン(Houston)のエクソンモービルケミカル(ExxonMobil Chemical)から入手可能な7960.13(HDPE、0.06 MFI)、及びテキサス州ヒューストン(Houston)のエクソンモービルケミカル(ExxonMobil Chemical)社から入手可能なエンゲージ(ENGAGE)8100(ULDPE、1.0 MFI)が挙げられる。
【0019】
本発明のいくつかの方法のその他の潜在的な利点には、達成可能な比較的高い質量流量が含まれ得る。例えば、本発明の方法を用いて、10グラム/分以上、ある場合には100グラム/分以上、その他の場合には400グラム/分以上の速度で高分子材料を押出して繊維にすることが可能であろう。これらの質量流量は、0.2平方ミリメートル(mm)以下の面積を有するオリフィスを通って達成され得る。
【0020】
本発明のいくつかの方法の更にもう1つの潜在的な利点には、例えば、強度を高める、あるいは他の有利な機械特性や光学特性などを提供することができる分子レベルの配向を含む高分子繊維を押出し可能であることが含まれ得る。高分子繊維がアモルファスポリマーで構成される場合、アモルファス高分子繊維は、任意で、剛性又は規則性のアモルファスポリマー相又は配向されたアモルファスポリマー相の部分(即ち、繊維内の分子鎖が、繊維軸にほぼ沿って様々な程度で位置合わせされている部分)を含むと特徴付けることができる。
【0021】
配向高分子繊維は既知であるが、配向は、従来、繊維がダイオリフィスを出るときに繊維を引っ張る、又は伸びることによって達成される。しかしながら、多くのポリマーは、溶融又は半溶融状態での押出しの直後に、破断することなく引っ張られるのに十分な機械強度を持たないので、押出し後に引っ張ることができない。しかしながら、本発明の方法では、高分子材料はオリフィスを出る前にダイの中で配向され得るので、配向を達成するために高分子繊維を伸ばす必要性をなくすことができる。結果として、商業的に実現可能なプロセスにおいて、従来は押出し及び伸びることができなかったポリマーを用いて配向繊維を押出すことができる。
【0022】
本発明のいくつかの方法では、潤滑剤、ダイ、又は潤滑剤及びダイの両方の温度を制御して、配向がダイの外側での弛緩のために損失されない、あるいは大きく減少されないように、高分子材料を急冷するのが好ましいことがある。ある場合には、少なくとも部分的には、例えば蒸発により、高分子材料を急冷するその能力に基づいて、潤滑剤を選択することができる。
【0023】
1つの態様において、本発明は、高分子結合剤及び該高分子結合剤内に封入される複数個の粒子を含む繊維体を有する粒子担持高分子繊維を提供し、前記高分子結合剤が、本質的に1つ以上のポリマーからなり、前記封入される粒子は封入される粒子の密集を構成し、前記封入される粒子の密度が、前記繊維の外部表面に近い位置でより高い。
【0024】
その他の態様において、本発明は1つ以上のポリマーを含む繊維体であって、前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに10以下のメルトフローインデックスを有する繊維体と、繊維体内に封入される第1の複数個の粒子及び前記繊維体の外側表面に埋め込まれた第2の複数個の粒子であって、前記封入される第1の複数個の粒子が封入される粒子の密集を構成し、前記第1の複数個の粒子の封入される粒子の密度が、繊維の外側表面に近い位置で最も高い、粒子と、を含む粒子担持高分子繊維と、を提供する。
【0025】
別の態様では、本発明は、複数個の粒子をポリマー溶融ストリームに取り込む工程と、内部に複数個の粒子が取り込まれたポリマー溶融ストリームをダイ内に位置するオリフィスに通過させる工程であって、前記オリフィスが、入口、出口、及び入口から出口まで伸びる内面を含み、前記オリフィスが、半双曲線状に収束するオリフィスを構成し、前記ポリマー溶融ストリームが、入口でオリフィスに入り、出口でオリフィスから出る工程と、潤滑剤を前記ポリマー溶融ストリームとは別に前記オリフィスに供給する工程であって、前記潤滑剤が、オリフィスの入口で導入される工程と、前記ポリマー溶融ストリーム及び該ポリマー溶融ストリーム内に封入される複数個の粒子を含む粒子担持高分子繊維を捕集する工程であって、前記封入される粒子が、前記繊維内に封入される粒子の密集を構成し、前記封入される粒子の密度が、前記繊維の外側表面に近い位置でより高い工程と、を含む、粒子担持高分子繊維の製造方法を提供する。
【0026】
別の態様では、本発明は、ダイ内に位置するオリフィスにポリマー溶融ストリームを通過させる工程であって、前記オリフィスが、入口、出口、及び入口から出口まで伸びる内面を含み、前記オリフィスが、半双曲線状に収束するオリフィスを構成し、前記ポリマー溶融ストリームが、入口でオリフィスに入り、出口でオリフィスから出る工程と、潤滑剤を前記ポリマー溶融ストリームとは別に前記オリフィスに供給する工程であって、前記潤滑剤が、オリフィスの入口で導入される工程と、前記ポリマー溶融ストリームがオリフィスの出口を出た後に、前記ポリマー溶融ストリームを含む繊維を捕集する工程と、を含む高分子繊維の製造方法を提供し得る。
【0027】
別の態様では、本発明は、ダイのオリフィスにポリマー溶融ストリームを通過させる工程であって、前記オリフィスが、入口、出口、及び入口から出口まで伸びる内面を含み、前記オリフィスが、半双曲線状に収束するオリフィスを構成し、前記ポリマー溶融ストリームが、入口でオリフィスに入り、出口でオリフィスから出て、前記ポリマー溶融ストリームが、バルクポリマーを含み、前記バルクポリマーがポリマー溶融ストリームの大部分であり、前記バルクポリマーが、ASTM D1238でポリマーについて指定された条件で測定したときに1以下のメルトフローインデックスを有するポリマーから本質的になる工程と、ポリマー溶融ストリームとは別に潤滑剤を前記オリフィスに供給する工程と、ポリマー溶融ストリームがオリフィスの出口を出た後、バルクポリマーを含む繊維を捕集する工程と、を含む、高分子繊維の製造方法を提供してよい。
【0028】
本発明の方法、システム、及び物品の様々な実施形態のこれら及びその他の特徴及び利点は、本発明の様々な例示的実施形態に関連して以下に説明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の例示的実施形態の以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付図面の図が参照され、本発明が実施され得る特定の実施形態が実例として示されている。その他の実施形態が利用されてもよいこと、及び本発明の範囲から逸脱することなく構造的変更がなされてもよいことを理解されたい。
【0030】
上述したように、本発明は、潤滑式流動押出し法によって高分子繊維を製造するための方法及びシステムを提供する。本発明は、好ましくは、このようなシステム及び方法を使用して製造され得る粒子担持高分子繊維も提供する。
【0031】
図1は、本発明による1つの代表的な粒子担持繊維2の理想的な断面図である。繊維2には、その長さに沿って伸びる長手方向軸線3が形成されている。繊維2は、1つ以上のポリマー(本明細書中で高分子結合剤と呼ばれることもある)から形成される本体4を含む。本体4は長手方向軸線3の長さに沿って伸び、外側表面5を含む。図1で描かれる繊維体4は、一般的に円形の断面形状(長手方向軸線線3に対し横方向をとる)を有し、本発明の繊維は、例えば楕円形、三角形、矩形、六角形、不規則な形などの任意の好適な断面形状をとってよい。
【0032】
繊維体4を形成するのに使用される1つ以上のポリマーは、本発明に記載されるように任意の組成を有してよい。例えば、好ましくは、繊維体4の1つ以上のポリマーは、30以下、10以下、1以下、又は0.1以下などのメルトフローインデックス(MFI)を有してよく、好ましくは、1つ以上のポリマーは半結晶性ポリマー(例えば、ナイロン)などであってよい。
【0033】
また図1に関連して、封入される(ここで、「封入される」とは繊維体4を形成するポリマー内に粒子が完全に含有されることを意味する)粒子6が描かれている。高分子体4内に封入される粒子6に加えて、繊維2は、粒子の一部分が繊維体4の外側表面5上に曝露されるように、繊維体4を形成するポリマーに埋め込まれるのみ(又は部分的に封入される)の粒子7も含んでよい。
【0034】
本体4内に封入される粒子6の中では、封入される粒子の密度が繊維2の外側表面5に近い位置でより高くなるように、封入される粒子6が繊維内に分配されるのが好ましいであろう。本明細書で使用する場合、「封入される粒子の密度」は、繊維の単位体積当たりの封入される粒子の数を指す。いくつかの実施形態において、繊維の体積の最も外側の20%内に封入される粒子の密度は、繊維の体積の最も内側の20%内の粒子の密度の2倍以上であるのが好ましいであろう。あるいは、封入される粒子の50%以上が繊維の最も外側の20%内に位置するのが好ましいであろう。その他の代替案において、封入される粒子の90%が、繊維の体積の最も外側の10%内に位置するのが好ましいことがある。
【0035】
粒子6(及び外側表面5上に曝露される粒子7)は、高分子体4と容易に混合しないか、又は容易に融解しない材料で形成されるのが好ましいであろう。粒子6及び7は、非高分子材料で形成されるのが好ましいことがある(しかし、粒子6及び7が、周囲の繊維体4から分離し、区別される形状を保持するほどにそれらの融解加工温度(本明細書で定義される)が十分高い場合、いくつかの粒子は本発明に関連して使用され得ることを理解すべきである)。本発明の粒子担持繊維に使用され得るいくつかの潜在的に好適な非高分子粒子の例としては、例えば、金属、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム)、セラミックス、ガラス、無機物などが挙げられる。
【0036】
場合によっては、本発明の繊維に付加される粒子は、例えば、再帰反射体などのような光学機能性を含んでよい。本発明と関連する粒子として使用され得るいくつかの潜在的に好適な光学要素の例は、例えば、米国特許第4,367,919号(トン(Tung)他);同5,774,265号(マサース(Mathers)他);同5,835,271号(スタンプ(Stump)他);同5,853,851号(モリス(Morris))などに記載され得る。
【0037】
本発明の粒子担持繊維に関連して使用される粒子は、それらの寸法に基づいて特徴付けられる可能性があってよい。例えば、繊維の形成又は押出しを阻害しないほどに(それによって繊維が形成されるプロセスである場合)、粒子は十分に小さいのが好ましいであろう。場合によっては、粒子は、1ミリメートル以下、500マイクロメートル以下、250マイクロメートル以下、100マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、又は10マイクロメートル以下の最大寸法を有するのが好ましいであろう。本明細書で使用する場合、粒子の「最大寸法」は、粒子を粒径以上の開口部を備えるスクリーン又はふるいに通過させるようにしてスクリーニング又はふるい分けによって決定される。例えば、100マイクロメートル以下の最大寸法を有する粒子は、直径100マイクロメートルの開口部を備えるスクリーン又はふるいを通過するであろう。本発明の粒子担持高分子繊維に関連して粒径を特徴付けるその他の方法において、最大寸法は繊維直径の関数として記載されてよい。例えば、本発明の粒子担持繊維における粒子の最大寸法は、繊維直径の10%以下、繊維直径の30%以下、又は繊維直径の50%以下であるのが好ましいであろう。
【0038】
本発明の粒子担持繊維は、1つ以上のオリフィスを有するダイからのポリマー溶融ストリームを押出すことを含む方法によって製造されるのが好ましいであろう。繊維の本体内に封入されるであろう粒子は、好ましくは、ダイに供給されるときにポリマー溶融ストリーム内に取り込まれる。
【0039】
潤滑剤は、好ましくは、潤滑剤がダイを通過するときに結果的にポリマー溶融ストリームの外側表面のまわりに優先的に位置するようにして、ポリマー溶融ストリームとは別にダイに供給される。潤滑剤は別のポリマーでもよいし、あるいは、例えば鉱油などの別の材料でもよい。潤滑剤の粘度は、潤滑されるポリマーの粘度よりも本質的に低い(潤滑されるポリマーが押出される条件で)のが好ましいであろう。いくつかの典型的なダイ及びそこから押出すことができる繊維は、以下に記載される。
【0040】
本発明の方法及びシステムにおいて潤滑剤を用いることの1つの潜在的な利点は、従来の高分子繊維押出し法に対して、繊維を製造可能なプロセスウィンドウを広くできることである。図2は、この潜在的な利点を説明するための無次元のグラフを描いている。ポリマー溶融ストリームの流量はx軸に沿って右側に移動すると増大し、潤滑剤の流量はy軸に沿って上方に移動すると増大する。破線(x軸の最も近くに描かれる)と、実線(破線の上方にある)との間の領域は、ポリマー溶融ストリーム及び潤滑剤の流量が互いに関して定常状態に保持され得る領域を示す。定常状態の流れの特徴は、好ましくは、ポリマー溶融ストリームと潤滑剤との両方について定常の圧力である。更に、定常状態の流れは、好ましくは、潤滑剤及び/又はポリマー溶融ストリームについて比較的低い圧力で生じ得る。
【0041】
実線よりも上の領域(実線の破線とは反対側)は、過剰の潤滑剤が、ダイを通るポリマー溶融ストリームの流れを脈動させ得る領域を示す。ある場合には、脈動は、ポリマー溶融ストリームの流れを遮断し、及びダイから出る繊維を中断又は終了させるのに十分強い。
【0042】
破線よりも下の領域(即ち、破線とx軸の間)は、潤滑剤の流れが失速又はゼロになる条件を示す。このような状況では、ポリマー溶融ストリームの流れはもはや潤滑されず、ポリマー溶融ストリーム及び潤滑剤の圧力は、通常、急速に上昇する。例えば、ポリマー溶融ストリームの圧力は、このような条件では数秒のうちに、200psi(1.3×10Pa)から2400psi(1.4×10Pa)に上昇し得る。この領域は、ポリマーの質量流量が主に高い操作圧力により制限される慣用の非潤滑繊維形成ダイの従来の操作ウィンドウと考えられるであろう。
【0043】
図2に示される広いプロセスウィンドウは、オリフィスが結果的にポリマーの本質的に純粋な伸長流動をもたらすように収束するダイを用いて提供されるのが好ましいであろう。そうするために、ダイオリフィスは、本明細書において説明されるように、その長さに沿って(即ち、第1のポリマーが流動する方向)半双曲線状に収束するプロファイルを有することが好ましいであろう。
【0044】
本発明の少なくともいくつかの実施形態の潜在的な利点の中には、通常は高分子繊維に押出されない高分子材料の高分子繊維を製造できることがある。メルトフローインデックスは、ポリマーの融解粘度に関する共通の業界用語である。米国材料試験協会(ASTM)は、試験方法(ASTM D1238)を含む。この試験方法は、特定のポリマーのタイプを測定するために使用すべき負荷及び温度を指定する。本明細書で使用する場合、メルトフローインデックス値は、所与のポリマータイプに対してASTM D1238で指定される条件において得られるはずである。メルトインデックス試験の一般的な原理は、上部のプランジャと、シリンダの底部に位置する小さいキャピラリ又はオリフィスとを有するシリンダ中で、試験すべきポリマーを加熱することを含む。熱的に平衡になると、所定の重量がプランジャにかけられ、押出物は捕集され、所定時間秤量される。より高いメルトインデックス値は、通常、より高い流量及びより低い粘度に関連し、その両方とも、より低い分子量を示し得る。反対に低いメルトインデックス値は、通常、より低い流量及びより高い粘度に関連し、その両方とも、より高い分子量のポリマーを示し得る。
【0045】
従来の高分子繊維押出し法では、押出ポリマーのMFIは、約35以上である。本発明の方法を用いると、押出し高分子繊維を形成するために使用されるポリマー溶融ストリームは1つ以上のポリマーを含むことができ、1つ以上のポリマーの全てが、30以下、ある場合には10以下、他の場合には1以下、及び更に他の場合には0.1以下のMFIを示す。いくつかの実施形態では、ポリマー溶融ストリームは、好ましくは30以下、ある場合には10以下、他の場合には1以下、及び更に他の場合には0.1以下のMFIを示す1つのポリマーから本質的になり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、ポリマー溶融ストリームは、ポリマー溶融ストリームの体積の少なくとも大部分を形成するバルクポリマーを含むと特徴付けることができる。ある場合には、バルクポリマーは、ポリマー溶融ストリームの体積の60%以上を形成するのが好ましいこともあるし、あるいは他の場合には、バルクポリマーは、ポリマー溶融ストリームの体積の75%以上を形成するのが好ましいこともある。これらの場合、体積は、ポリマー溶融ストリームがダイのオリフィスに供給されるときに決定される。
【0047】
バルクポリマーは、好ましくは、30以下、ある場合には10以下、他の場合には1以下、及び更に他の場合には0.1以下のMFIを示し得る。バルクポリマーを含むと特徴付けられる実施形態では、ポリマー溶融ストリームは、バルクポリマーに加えて1つ以上の第2のポリマーを含むことができる。様々な実施形態において、第2のポリマーは、好ましくは、30以下、ある場合には10以下、他の場合には1以下、及び更に他の場合には0.1以下のMFIを示し得る。
【0048】
低MFIポリマーであり、本発明に関連して繊維に押出すことができるポリマーのいくつかの例としては、例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、エチレン−プロピレン−ジエン−モノマー(EPDM)ゴム、高分子量ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS、AES、ポリイミド、ノルボルネン、Z/N及びメタロセンコポリマー(EAA、EMAA、EMMAなど)、ポリフェニレンスルフィド、アイオノマー、ポリエステル、ポリアミド、並びに誘導体(例えば、PPS、PPO PPE)が挙げられる。
【0049】
本発明に適合し得る低MFIポリマーの他の例は、慣用の「ガラス状」ポリマーである。本明細書中で使用される「ガラス状」という用語は、材料の密度、レオロジー、光学、及び誘電性の変化の特徴があるガラス転移温度(T)を示す密度のランダムなモルホロジーについての慣用の使用と同じである。ガラス状ポリマーの例としてはポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本発明に適合し得る低MFIポリマーの更に他の例は、慣用の「ゴム状」ポリマーである。「ゴム状」という用語は、慣用の命名において使用されるものと同じであり、著しい絡み合い形成をして、長い緩和時間を有する材料をもたらすのに十分な分子量を有するランダムな高分子材料である。「ゴム状」ポリマーの例としては、ポリウレタン、超低密度ポリエチレン、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)などのスチレン系ブロックコポリマー、ポリイソプレン、ポリブタジエン、EPDMゴム、及びこれらの類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
典型的にはMFIによって特徴付けられないポリマーについては、融解粘度において代替案を見出し得る。MFIは分子量に反比例する一方、典型的に、融解粘度は、選択されたポリマーの分子量の増加に伴って増加する。融解粘度によってより典型的に特徴付けられ得るポリマーの例としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン)などが挙げられる。本明細書で使用する場合、所定のポリマーにおける融解粘度は、ポリマーがダイオリフィスの入口に供給される際の温度で測定される。融解粘度によって特徴付けられるポリマーについては、本発明と関連して使用されるポリマーの融解粘度は、約100パスカル秒(Pa・s)以上であることが好ましいであろう。本発明は、200パスカル秒以上、300パスカル秒以上、又は400パスカル秒以上の融解粘度を有するポリマーを使用して繊維を溶融押出しするのにも使用され得る。
【0052】
また本発明を使用して、アモルファスポリマーを押出して繊維にすることも可能である。本明細書で使用する場合、「アモルファスポリマー」は、ASTM D3418に従って示差走査熱量計において加熱されるときに、通常は明確な融点又は一次転移の欠如によって示される結晶度を少ししか持たないか、全く持たないポリマーである。
【0053】
更に他の実施形態では、本発明の潜在的な利点は、ポリマー溶融ストリーム及び潤滑剤として多相ポリマーを用いて高分子繊維を押出可能なことに見出すことができる。多相ポリマーとは、例えば独自の別々の領域に融合する異なる種で構成される有機高分子を意味し得る。領域のそれぞれは、ガラス転移温度(Tg)、重量密度、光学密度などのそれ自体の明確な特性を有する。多相ポリマーのこのような特性の1つは、多相ポリマー中で個別の高分子相が温度に対して異なるレオロジー応答を示すというものである。より具体的には、押出し加工温度でのそれらの融解粘度が明確に異なることが可能である。いくつかの多相ポリマーの例は、例えば、米国特許第4,444,841号(ウィーラー(Wheeler))、米国特許第4,202,948号(ピースコー(Peascoe))、及び米国特許第5,306,548号(ザブロキ(Zabrocki)他)に開示され得る。
【0054】
本明細書で使用する場合、「多相」とは、非混和性モノマーのコポリマーを含む高分子の配列を指す。存在するコポリマーが非相溶性であるために、材料の同じ塊の中に明確に異なる相又は「ドメイン」が存在し得る。本発明に係る多相高分子繊維の押出しに使用するのに好適であり得る熱可塑性ポリマーの例としては、以下の種類からの材料が挙げられるが、これらに限定されない:ポリエーテル、ポリエステル又はポリアミドの多相ポリマー;配向されたシンジオタクチックポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルの混合物でグラフト化されたエチレン−プロピレン−非共役ジエン三元コポリマー(アクリロニトリルEPDMスチレン又は「AES」としても知られている)を含むエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(「EPDM」)のポリマー;「ASA」又はアクリレート−スチレン−アクリロニトリルコポリマーとして知られる、スチレン及びアクリロニトリル又はそれらの誘導体(例えば、α−メチルスチレン及びメタクリロニトリル)でグラフト化された架橋アクリレートゴム基材(例えば、ブチルアクリレート)を含むもの、及び、「ABS」又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーとして知られる、ブタジエン及びブタジエンのコポリマー及びスチレン又はアクリロニトリル又はそれらの誘導体(例えば、α−メチルスチレン及びメタクリロニトリル)でグラフト化されたスチレン又はアクリロニトリルのコポリマー、並びに典型的には「ABS」ポリマーとも呼ばれる抽出可能なスチレン−アクリロニトリルコポリマー(即ち、非グラフトコポリマー)の基材を含むもののようなグラフトゴム組成物を含むスチレン−アクリロニトリル(「SAN」)コポリマー;並びにこれらの組み合わせ又は混合物。本明細書で使用する場合、「コポリマー」という用語は、ターポリマーやテトラポリマーなども含むと理解されるべきである。
【0055】
多相高分子繊維の押出しにおいて使用され得るポリマーのいくつかの例は、上記でAES、ASA、及びABSと称される多相コポリマー樹脂(即ち、多相スチレン系熱可塑性コポリマー)、並びにこれらの組み合わせ又は混合物のスチレン系の種類に見出すことができる。このようなポリマーは、米国特許第4,444,841号(ウィーラー(Wheeler)米国特許第4,202,948号(ピースコー(Peascoe))、及び米国特許第5,306,548号(ザブロキ(Zabrocki)他)において開示される。混合物は、各層が異なる樹脂である多相繊維の形態でもよいし、次に押出されて単一の繊維になるポリマーの物理的な混合物でもよい。例えば、ASA及び/又はAES樹脂は、ABS上に共押出することができる。
【0056】
異なる相は加工に対して非常に異なるレオロジー応答を有するので、多相ポリマー系は、繊維加工における大きな課題を提供し得る。例えば、結果は、多相ポリマーの引張応答の悪さであり得る。異なる相の異なるレオロジー応答は、押出繊維の伸び又は引っ張りを含む従来の繊維形成工程中の伸び応答に広い変化を起こし得る。多くの場合、多数のポリマー相の存在は、伸び工程の引張応力に耐えるためには不十分な結合力を示し、繊維を破断又は破裂させる。
【0057】
本発明において、多相ポリマーの押出に関連し得る独自の課題は、繊維の形成中に材料がどのようにして配向されるかに基づいて対処することができる。本発明と関連して、多相ポリマー材料は、ポリマー材料を配向させるためにダイオリフィスを通って圧迫又は「押圧」される(引っ張り又は伸びとは対照的に)のが好ましいかもしれない。結果として、本発明は、破砕の可能性を本質的に低減することができる。
【0058】
本発明に係る方法において使用することができるいくつかの多相ポリマーは、多相AES及びASA樹脂、並びにこれらの組み合わせ又は混合物である。市販のAES及びASA樹脂、又はこれらの組み合わせには、例えば、ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)からの商品名ローベル(ROVEL)、及びドイツ連邦共和国、ルートビヒスハーフェン(Ludwigshafen)のBASF社(BASF Aktiengesellschaft)からのローラン(LORAN)S757及び797、コネチカット州スプリングフィールド(Springfield)のバイエルプラスチックス社(Bayer Plastics)のセントレックス(CENTREX)833及び401、ニューヨーク州セルカーク(Selkirk)のゼネラル・エレクトリック(General Electric)からのジーロイ(GELOY)、日本国東京の日立化成工業社(Hitachi Chemical Company)からのビタックス(VITAX)が挙げられる。いくつかの市販のAES及び/又はASA材料はABSが混合されていると考えられる。市販のSAN樹脂は、ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカルから商品名タイリル(TYRIL)で入手可能なものを含む。市販のABS樹脂は、マサチューセッツ州ピッツフィールドのゼネラル・エレクトリック(General Electric)からサイオラク(CYOLAC)GPX3800などの商品名サイオラク(CYOLAC)で入手可能なものを含む。
【0059】
多相高分子繊維は、1つ以上の上記で挙げた材料と、1つ以上の他の熱可塑性ポリマーとの混合物から調製することもできる。上述で列記した可縮材料と混合することが可能な熱可塑性ポリマーの例としては、二軸延伸ポリエーテルと、二軸延伸ポリエステルと、二軸延伸ポリアミドと、ポリ(メチルメタクリレート)などのアクリルポリマーと、ポリカーボネートと、ポリイミドと、酢酸セルロース、セルロース(酢酸−コ−酪酸)、硝酸セルロースなどのセルロース誘導体と、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステルと、ポリ(クロロフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフッ化物)などのフルオロポリマーと、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(アミノカプロン酸)、ポリ(ヘキサメチレンジアミン−コアジピン酸)、ポリ(アミド−コ−イミド)、及びポリ(エステル−コ−イミド)などのポリアミドと、ポリエーテルケトンと、ポリ(エーテルイミド)と、ポリ(メチルペンテン)などのポリオレフィンと、脂肪族及び芳香族ポリウレタンと、ポリ(フェニレンエーテル)と、ポリ(硫化フェニレン)と、アタクチックポリ(スチレン)と、キャストシンジオタクチックポリスチレン(cast syndiotactic polystyrene)と、ポリスルホンと、シリコーンポリアミド及びシリコーンポリカーボネートなどのシリコーン変性ポリマー(即ち低重量%(10重量%未満)のシリコーンを含有するポリマー)と、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール(E.I. duPont de Nemours)から商品名サルリン(SURLYN)−8920及びサルリン(SURLYN)−9910の下に入手できるナトリウム又は亜鉛イオン含有ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)などのイオノマーエチレンコポリマーと、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)及びポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−マレイン酸)、及びポリ(エチレン−コ−フマル酸)などの酸官能性ポリエチレンコポリマーと、ペルフルオロポリ(エチレンテレフタレート)などのフッ素変性ポリマーと、ポリイミドとアクリルとのポリマーブレンド、そしてポリ(メチルメタクリレート)とフルオロポリマーとの混合物などの上記のポリマーの混合物の部類からの材料が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0060】
本発明に関連して使用されるポリマー組成物はその他の成分を含むことができ、例えば、UV安定剤、ニューヨーク州アーズリー(Ardsley)のチバ−ガイギー社(Ciba-Geigy)から商品名イルガノックス(IRGANOX)で入手可能なものなどの酸化防止剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、ニュージャージー州ホボケン(Hoboken)のヘンケル社(Henkel)から商品名ロキシル(LOXIL)G−715又はロキシル(LOXIL)G−40、又はノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)のヘキスト・セラニーズ社(Hoechst Celanese)からワックス(WAX)Eで入手可能な脂肪酸エステルなどの離型剤、顔料及び染料などの着色剤も、ポリマー組成物中に取り込むことができる。着色剤の例としては、デラウェア州ウィルミントンのデュポン・ドゥ・ヌムール(DuPont de Nemours)から商品名R960で入手可能なルチルTiO顔料、酸化鉄顔料、カーボンブラック、硫化カドミウム、及び銅フタロシアニンが挙げられる。多くの場合、上記で特定したポリマーは、これらの添加剤の1つ以上、特に顔料及び安定剤を含んで市販されている。通常、このような添加剤は、所望の特性を付与する量で使用される。好ましくは、添加剤は、ポリマー組成物の総重量を基準として約0.02〜20重量%、より好ましくは約0.2〜10重量%の量で使用される。
【0061】
本発明の少なくともいくつかの実施形態のもう1つの潜在的な利点は、ポリマー溶融ストリームを比較的低い温度で押出可能なことである。例えば、半結晶性ポリマーの場合、ダイのそれぞれのオリフィスの入口から押込まれるときのポリマー溶融ストリームの平均温度が、ポリマー溶融ストリームの溶融加工温度を10℃以下の範囲で上回るときに、ポリマー溶融ストリームを押出すことが可能であり得る。いくつかの実施形態では、ポリマー溶融ストリームがオリフィスの出口から出る前に、ポリマー溶融ストリームの平均温度は、好ましくは、ポリマー溶融ストリームの溶融加工温度であるか、あるいはそれよりも低い。そうするために、ダイの温度をポリマー溶融ストリームの溶融加工温度以下の温度に制御することが好ましいであろう。
【0062】
理論により束縛されることは望まないが、本発明は、押出中にポリマーを加工するために潤滑剤特性の優性に依存し、ポリマー粘度は、応力(圧力及び温度)応答における比較的小さい因子になり得ると理論付けられる。更に、潤滑剤の存在は、ダイ内でのポリマーの「急冷(quenching)」(例えば、結晶又はガラスの「ガラス化(vitrification)」形成)を可能にし得る。ダイ内急冷の潜在的な利点は、例えば、押出物の配向の保持及び寸法精度を含むことができる。
【0063】
本明細書で使用する場合、ポリマー溶融ストリームの「溶融加工温度」は、ポリマー溶融ストリームがダイのオリフィスを1秒以下の時間内に通過できる最低温度である。ある場合には、溶融加工温度は、ポリマー溶融ストリームがアモルファスであればガラス転移温度又はそれよりわずかに高い温度でよいし、あるいはポリマー溶融ストリームが結晶性又は半結晶性であれば融解温度又はそれよりわずかに高い温度でよい。ポリマー溶融ストリームが、1つ以上の結晶性ポリマー及び1つ以上の半結晶性ポリマーのいずれか又は両方と混合された1つ以上のアモルファスポリマーを含む場合には、溶融加工温度はアモルファスポリマーの最低のガラス転移温度又は結晶性及び半結晶性ポリマーの最低の融解温度のうちの低いほうである。
【0064】
本発明に係るダイで使用することができる1つの典型的なダイオリフィスは、図3の断面図に描かれており、ダイプレート10及び相補的なダイプレートカバー12が断面図で描かれている。ダイプレート10及びダイプレートカバー12は、ダイプレート10中のオリフィス22と流体連通するポリマー送達通路20を画定する。ダイプレートカバー12中に形成されるポリマー送達通路20部分は、ポリマー溶融ストリームが開口部14を通ってダイプレート10内に形成されるポリマー送達通路20部分に入るように、開口部16で終結している。描かれた実施形態において、ダイプレートカバー12中の開口部16は、ダイプレート10中の開口部14と一般的に同じ寸法である。
【0065】
図4は、オリフィス22の半径を示す参照文字「r」及び軸線11に沿ったオリフィス22の長さを示す「z」を有するオリフィス22の拡大図を描いている。ダイプレート10中に形成されるオリフィス22は、断面積(軸線11に対して横方向に測定する)が入口24の断面積よりも小さくなるように収束するのが好ましいであろう。本明細書で議論されるように、ダイオリフィス22の形状は、ポリマー溶融ストリームの伸長的なひずみ速度がオリフィス22の長さに沿って(即ち、軸線11に沿って)一定であるように設計されるのが好ましいであろう。
【0066】
本明細書において説明されるように、ダイオリフィスは、収束する半双曲線状プロファイルを有するのが好ましいであろう。「半双曲線状」形状の定義は、体積流量、チャネル面積及び流体速度の間の基礎的な関係から始まる。オリフィス22の説明に関連して円筒座標が使用されるが、本発明に関連して使用されるダイオリフィスが円筒形のプロファイルを有さなくてもよいことは理解されるべきである。
【0067】
軸線11に沿ってオリフィス22を通る流れは、軸線11に沿ったそれぞれの位置で、以下の式によって説明することができる。
【0068】
Q=VA (1)
式中、Qは、オリフィスを通る体積流量の尺度であり、Vは、オリフィスを通る流速であり、及びAは、軸11に沿って選択された位置におけるオリフィス22の断面積である。
【0069】
式(1)は速度について配列し直して解くことができ、以下の式が得られる。
【0070】
V=Q/A (2)
収束するオリフィスの断面積は、オリフィスのチャネルの長さに沿って変化するので、以下の式を使用して、式(2)の変量間の様々な関係を説明することができる。
【0071】
dV/dz=(−Q/A)(dA/dz) (3)
式(3)において、オリフィスの長さの下方への位置の変化に対する速度の変化の式は、流体の伸長流動(ε)も定義する。定常又は一定の伸長流動は、収束するオリフィスを通る流れの好ましい結果であり得る。結果として、オリフィスの断面積は、オリフィスを通る一定の伸長流動をもたらすように変化するのが好ましいであろう。定常又は一定の伸長流動を定義する式は、次式のように表すことができる。
【0072】
dV/dz=ε=一定 (4)
オリフィスの長さの下方への位置の変化に対する面積の変化を置き換えることができ、一定又は定常の伸長流動をもたらし得る式は、次のように表すことができる。
【0073】
f(r,z)=一定=rz (5)
式(5)の式の一般的な形は、以下であり得る。
【0074】
f(r,z)=C+Cz (6)
式(6)を用いて、本発明に関連して使用されるオリフィス22の形状を決定することができる。オリフィスの形状を設計するために、オリフィス22の出口26の直径の幾何学的制約が決定される(出口直径が、オリフィス22から押出される繊維サイズを示すという理解のうえで)のが好ましいであろう。あるいは、オリフィス22の入口24の直径が使用されてもよい。
【0075】
オリフィス22の入口24又は出口26のうちの一方の半径(及び、従って、対応する面積)が選択されると、選択される所望の伸長ひずみを選択することによって他方も決定され、次に他方の半径(即ち、入口24又は出口26の半径)は、好ましくは、オリフィス22を通過する流体(即ち、ポリマー溶融ストリーム)が受ける所望の伸長ひずみを選択することによって決定され得る。
【0076】
この値、即ち伸長ひずみは、時折「ヘンキーひずみ(Hencky Strain)」と呼ばれることもある。ヘンキーひずみは、伸長されている材料の伸長ひずみ又は工学ひずみに基づく。以下に与えられる式は、チャネル、例えば本発明のオリフィスを通過する際の流体のヘンキーひずみを説明する。
【0077】
流体のヘンキーひずみ=ln(r/r)=ln(A/A) (7)
オリフィスを通過する流体が受ける所望のヘンキーひずみの選択は、上記のように、オリフィスの他方の端部の半径(及び、従って、面積)を固定又は設定する。最後に残った設計の特徴は、潤滑にすべきオリフィスの長さを定めることである。オリフィス22の長さ(図4において「z」)が選択され、入口24及び出口の半径/面積が分かると、定数C及びCを得るために、等式6を、オリフィス22の長さ(「z」方向に沿って)の下方位置変化に伴う半径(面積)変化に関して回帰することができる。以下の等式は、「z」方向(r)に沿ったそれぞれの配置におけるオリフィスの半径を提供する。
【0078】
=[((z)(e−1)+長さ)/(r入口長さ)]−1/2 (8)
式中、zは、オリフィスの入口から測定されるz方向の長手軸に沿った位置であり、e=(r入口/(r出口、s=ヘンキーひずみ、r入口はオリフィスへの入口における半径、r出口はオリフィスの出口における半径であり、及び長さは、オリフィスの入口から出口までのz方向のオリフィスの全体の長さである。ヘンキーひずみ及び関連の原理の説明については、C.W.マコスコ(Macosko)の「レオロジー−原理、測定、及び用途(Rheology-Principles, Measurements and Applications)」、285〜336頁(ワイリー−VCH社(Wiley-VCH Inc.)、ニューヨーク、第1版、1994年)が参照されるであろう。
【0079】
図3に戻ると、ダイプレート10は、ダイプレート10とダイプレートカバー12との間に形成される潤滑剤プレナム32と流体連通する潤滑剤通路30も含む。ダイプレート10及びダイプレートカバー12は、好ましくは、潤滑剤通路30を通って潤滑剤プレナム32に入る潤滑剤が、スロット36から開口部14を通ってポリマー送達通路20に入るように間隙34を画定する。このようにして、潤滑剤は、ポリマー溶融ストリームとは別に、オリフィス22に供給され得る。
【0080】
スロット36は、ポリマー送達通路20の外辺部周りに伸びるのが好ましいであろう。スロット36は、好ましくは、ポリマー送達通路20の外辺部周りで連続的又は非連続的であってよい。間隙34及びスロット36を形成するダイプレート10とダイプレートカバー12の間の空隙は、ポリマー溶融ストリームがポリマー送達通路20を通る際の圧力、ポリマー溶融ストリーム及び潤滑剤の相対粘度などのような様々な要因に基づいて調整されてよい。ある場合には、スロット36は、間隙34を形成する2つの粗化(例えば、サンドブラスト処理、研磨など)表面(又は1つの粗化表面及び対向する平滑表面)の界面によって形成される開口部又は複数の開口部の形態でもよい。
【0081】
図5は、ダイプレートカバー12が取り外されたダイプレート10の平面図である。多数の開口部14、ポリマー送達通路20、ダイオリフィス22、及び潤滑剤プレナム32が描かれている。描かれているポリマー送達通路20は、一定の断面積(図3の軸線11を横断して測定される)を有し、描かれている実施形態では円筒形である。しかしながら、ポリマー送達通路20及び関連のダイオリフィス22は、例えば、矩形、長円形、楕円形、三角形、正方形などの適切な任意の断面形状を有してもよいことは理解されるべきである。
【0082】
潤滑剤プレナム32は、図5で示されるように、潤滑剤がポリマー送達通路20の外辺部周りに供給されるように、ポリマー送達通路20の外辺部周りに伸びるのが好ましいであろう。そうすることで、潤滑剤は、ポリマー送達通路20を通り、ダイオリフィス22に入ると、ポリマー溶融ストリームの外辺部周りに好ましくは層を形成する。描かれた実施形態において、プレナム32は、図5に示されるように、ダイプレート10の外縁まで伸びる潤滑剤通路30が供給されている。
【0083】
図5に示されるように、それぞれのプレナム32に個別の潤滑剤通路30が供給されることが好ましいであろう。それぞれのプレナム32(及び関連するダイオリフィス22)を個別に供給することで、様々なプロセス変数を制御することができる。これらの変数は、例えば、潤滑剤の圧力、潤滑剤の流量、潤滑剤の温度、潤滑剤の組成(即ち、異なる潤滑剤が異なるオリフィス22に供給され得る)などを含むことができる。
【0084】
しかしながら、代替案として、それぞれの潤滑剤通路30に潤滑剤を供給するのにマスタープレナムが使用されるいくつかのシステムにおいては、潤滑剤はオリフィス22を伴うプレナム32のそれぞれに順番に供給されるのが好ましいであろう。このようなシステムにおいて、好ましくは、それぞれのオリフィスへの潤滑剤の送達は全オリフィスの間で均衡がとられてよい。
【0085】
図6は、本発明と関連して使用することができる1つのシステム90の概略図である。システム90は、押出成形機96にポリマーを供給するポリマー源92及び94を備えるのが好ましいであろう。2つのポリマー源が描かれているが、いくつかのシステムにおいては、1つのみのポリマー源が提供され得ることを理解されるべきである。更に、他のシステムは、3つ以上のポリマー源を含んでもよい。更に、単一の押出機96だけが描かれているが、システム90が、本発明に従って所望のポリマーをダイ98へ供給することができる任意の押出システム又は装置を含んでもよいことは理解されるべきである。
【0086】
1つ以上のポリマー源92及び94に加えて、描かれる実施形態において、システム90は、ポリマー源92からのポリマー内に取り込まれるべき粒子を提供する粒子源91も備える。あるいは、粒子源91は、粒子を押出成形機96(又は、複数の押出成形機を使用する場合には、複数の押出成形機)に投入することができる。特定の配列に関わらず、粒子源91からの粒子は、ダイ98に供給されるように、ポリマー溶融ストリーム内に取り込まれるのが好ましい。
【0087】
システム90は、更に、本発明の原理に従って潤滑剤をダイに供給するためにダイ98に操作可能に取り付けられた潤滑剤装置97を含む。ある場合には、潤滑剤装置97は、潤滑剤ポリマー源及び押出装置の形態でもよい。
【0088】
システム90と関連して、ダイ98から押出される2つの繊維40も描かれている。2つの繊維40が描かれているが、いくつかのシステムにおいて1つのみの繊維が製造されてもよい一方で、他のシステムは同時に3つ以上の高分子繊維を製造してよいことが理解されるべきである。
【0089】
図7は、本発明と関連して使用することができるダイオリフィスのもう1つの典型的な実施形態を描いている。ダイオリフィス122の入口114と、ダイプレート110とダイプレートカバー112との間の間隙134を通る潤滑剤の送達との潜在的な関連を説明するために、図7において装置の一部分のみが描かれている。描かれた装置において、ポリマー溶融ストリームから個別に供給された潤滑剤は、間隙134を通ってオリフィス122の入口116で導入される。ポリマー溶融ストリーム自体は、ダイプレートカバー112中のポリマー送達通路120を通ってダイオリフィス122の入口116に供給される。
【0090】
図7の代表的な装置に描かれているその他の任意の関連は、ポリマー送達通路120から入口114に通じる開口部116の寸法と比較した、ダイオリフィス122の入口114の相対的寸法である。開口部116の断面積は、ダイオリフィス122の入口114の断面積よりも小さいことが好ましいであろう。本明細書で使用する場合、開口部の「断面積」は、長手方向軸線111を一般的に横断する(これは、好ましくはポリマー溶融ストリームがポリマー送達通路及びダイオリフィス122を通って進むのに沿った方向である)平面において決定される。
【0091】
図8は、本発明と関連して使用することができる更にもう1つの潜在的な装置を描いている。図8は、ダイプレート210よりも上でとられた1つのダイオリフィス222の拡大平面図(図5で見られるのと同様の視界)である。ダイオリフィス222の入口216は、ダイオリフィス222の出口226とともに描かれている。図8に描かれる設計と前述の図に描かれる設計との違いの1つは、潤滑剤が、チャネル234a、234b、及び234cの末端部で形成される複数の開口部を通ってダイオリフィス222に供給されるということである。これは、上記の実施形態においてダイプレートとダイプレートカバーとの間の間隙によって形成される連続スロットと対照的である。潤滑剤を供給するための3つの開口部が描かれているが、このような開口部が、わずか2つ及び3つよりも多く提供されてもよいことは理解されるべきである。
【0092】
図9は、本発明に係るダイの出口26からのポリマー溶融ストリーム40及び潤滑剤42の流れを描いている。ポリマー溶融ストリーム40及び潤滑剤42は断面図で示され、ポリマー溶融ストリーム40の外側表面41上に潤滑剤42が描かれている。潤滑剤42がポリマー溶融ストリーム40とダイオリフィスの内面23との間に位置するように、潤滑剤を全外部表面41上に提供するのが好ましいであろう。
【0093】
潤滑剤42は、ポリマー溶融ストリーム40がオリフィス出口26を出た後、ポリマー溶融ストリーム40の外側表面41上に描かれているが、ある場合には、潤滑剤42は、ポリマー溶融ストリーム40及び潤滑剤42がダイの出口26を出るとき、又は出た直後にポリマー溶融ストリーム40の外側表面41から除去されてもよいことは理解されるべきである。
【0094】
潤滑剤42の除去は能動的でも受動的でもいずれでもよい。潤滑剤42の受動的な除去は、例えば、蒸発、重力、又は吸着剤を含むことができる。例えば、場合によっては、潤滑剤42及び/又はポリマー溶融ストリーム40の温度は、ダイの出口26を出た後に更にいかなる実施をも行わずに、潤滑剤42を蒸発させるのに十分高くてよい。他の例においては、潤滑剤は、例えば、水又はその他の溶媒、エアジェットなどを使用してポリマー溶融ストリーム40から積極的に除去されてよい。
【0095】
潤滑剤42の組成によっては、潤滑剤42の一部分がポリマー溶融ストリーム40の外側表面41上に残存してよい。例えば、いくつかの例においては、潤滑剤42は、1つ以上のキャリア及び1つ以上の他の構成要素のような、2つ以上の構成要素の組成物であってよい。キャリアは、例えば溶媒(水、鉱油など)でよく、これは、能動的又は受動的に除去されて、1つ以上の他の成分がポリマー溶融ストリーム40の外側表面41の所定位置に残される。
【0096】
他の状況において、潤滑剤42は、ポリマー溶融ストリーム40の外側表面41上に保持されてよい。例えば、潤滑剤42は、押出し中の潤滑剤として役割を果たすように、ポリマー溶融ストリーム40の粘度に対して十分に低い粘度を有するポリマーであってよい。潤滑剤としての役割も果たすことができる潜在的に適切なポリマーの例としては、例えば、ポリビニルアルコール、高メルトフローインデックスポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
【0097】
潤滑剤42がポリマー溶融ストリーム40の表面41から除去されるかどうかにかかわらず、潤滑剤42は、ポリマー溶融ストリーム40が冷却される速度を上昇させるための急冷剤の機能を果たすことができる。このような急冷効果は、ポリマー溶融ストリーム40内の配向のようなポリマー溶融ストリーム40において特別に望まれる構造を保持するのを助け得る。急冷を助けるために、例えば、急冷プロセスを促進するのに十分低い温度においてダイオリフィスに潤滑剤42を提供するのが好ましいであろう。他の例において、ポリマー溶融ストリーム40の急冷を増大するために、いくつかの潤滑剤を使用して提供され得る蒸発冷却が頼りにされてよい。例えば、潤滑剤42として使用される鉱油は、ダイから出た後にポリプロピレン(ポリマー溶融ストリーム)の表面から蒸発するときにポリプロピレン繊維を急冷するために供されてよい。
【0098】
本発明は、好ましくは、潤滑剤材料と押出ポリマーとの粘度の差異に依存し得る。例えば40:1又はそれより高い、あるいは50:1又はそれより高いポリマー対潤滑剤の粘度比は、好ましくは、本発明の方法と関連して使用すべき潤滑剤の選択において大きな因子であり得る。潤滑剤の化学的性質は、そのレオロジー挙動の次であり得る。この説明において、SAE 20重量油、ホワイトパラフィン油、及びポリジメチルシロキサン(PDMS)流体などの材料は全て、潜在的に適切な潤滑剤材料の例である。以下の一覧は、潤滑剤の候補に対する限定を意図しない。即ち、本発明と関連して、潤滑剤として他の材料が使用されてもよい。
【0099】
無機又は合成油の非限定的な例としては、鉱油、ペトロラタム、直鎖及び分枝鎖炭化水素(及びこれらの誘導体)、流動パラフィン及び低融点固形石蝋、グリセロールの脂肪酸エステル、ポリエチレンワックス、炭化水素ワックス、モンタンワックス、アミドワックス、グリセロールモノステアレートなどが挙げられる。
【0100】
多くの種類の油及びその脂肪酸誘導体も、本発明と関連して適切な潤滑剤であり得る。オレイン酸、リノール酸、及びラウリン酸など、これらに限定されない、油の脂肪酸誘導体を使用することができる。オレアミド、オレイン酸プロピル及びオレイルアルコールなど、これらに限定されない、油の置換脂肪酸誘導体も使用することができる(このような材料の揮発度は、押出し前に蒸発しないようにあまり高くないのが好ましいであろう)。いくつかの潜在的に適切な植物油の例としては、アプリコット核油、アボカド油、バオバブ油、クロフサスグリ油、キンセンカ油、大麻油、キャノーラ油、ダイフウシノキ油、ココヤシ油、コーン油、綿実油、ブドウの種油、ハシバミの実油、ハイブリッドサンフラワー油、水素化ココナッツ油、水素化綿実油、水素化パーム核油、ホホバ油、キウイシード油、ククイナッツ油、マカダミアナッツ油、マンゴーシード油、メドウフォームシード油、メキシカンポピー油、オリーブ油、パーム核油、部分水素化大豆油、ピーチ核油、ピーナッツオイル、ペカン油、ピスタチオナッツ油、カボチャ種子油、キヌア油、菜種油、米糠油、サフラワーオイル、サザンカ油、シーバックソーン油、ゴマ油、シアバターフルーツ油、シシムブリウム・イリオ油、大豆油、ヒマワリ種子油、クルミ油、及び小麦胚芽油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
他の潜在的に適切な潤滑剤材料としては、例えば、へキサン酸、カプリル酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸を含む飽和脂肪族酸、オレイン酸及びエルカ酸を含む不飽和脂肪族酸、安息香酸、フェニルステアリン酸、ポリステアリン酸及びキシリルベヘン酸を含む芳香族酸、並びに6、9、及び11個の炭素の平均鎖長の分枝状カルボン酸、トールオイル酸及びロジン酸を含むその他の酸と、1−オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、1−デカノール、1−ドデカノール、トリデシルアルコール、セチルアルコール及び1−ヘプタデカノールを含む第一級飽和アルコール、ウンデシレニルアルコール及びオレイルアルコールを含む第一級不飽和アルコール、2−オクタノール、2−ウンデカノール、ジノニルカルビノール及びジウンデシルカルビノールを含む第二級アルコール、並びに1−フェニルエタノール、1−フェニル−1−ペンタノール、ノニルフェニル、フェニルステアリルアルコール及び1−ナフトールを含む芳香族アルコールとが挙げられる。他の潜在的に有用なヒドロキシル含有化合物としては、オレイルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、及び約400の数平均分子量を有するポリプロピレングリコールが挙げられる。更なる潜在的に有用な液体としては、4,t−ブチルシクロヘキサノール及びメタノールなどの環式アルコール、サリチルアルデヒドを含むアルデヒド、オクチルアミン、テトラデシルアミン及びヘキサデシルアミンなどの一級アミン、ビス−(1−エチル−3−メチルペンチル)アミンのような二級アミン、及びN−ラウリルジエタノールアミン、N−ステアリルジエタノールアミン及びN−ココジエタノールアミンを含むエトキシ化アミンが挙げられる。
【0102】
更なる潜在的に有用な潤滑剤材料としては、N−sec−ブチルアニリン、ドデシルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N−エチル−o−トルイジン、ジフェニルアミン及びアミノジフェニルメタンなどの芳香族アミン、N−エルシル−1,3−プロパンジアミン及び1,8−ジアミノ−p−メタンを含むジアミン、分枝状テトラミン及びシクロデシルアミンを含むその他のアミン、ココアミド、水素化タロウアミド、オクタデシルアミド、エルシアミド(eruciamide)、N,N−ジエチルトルアミド及びN−トリメチロプロパン(trimethylopropane)ステアルアミドを含むアミド、カプリル酸メチル、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロプロピル(isopropropyl)、ステアリン酸メチル、ステアリン酸イソブチル及びステアリン酸トリデシルを含む飽和脂肪族エステル、アクリル酸ステアリル、ウンデシレン酸ブチル及びオレイン酸ブチルを含む不飽和エステル、ステアリン酸ブトキシエチル及びオレイン酸ブトキシエチルを含むアルコキシエステル、ステアリン酸ビニルフェニル、ステアリン酸イソブチルフェニル、ステアリン酸トリデシルフェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、安息香酸ベンジル、ラウリン酸フェニル、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチル及び酢酸ベンジルを含む芳香族エステル、並びにジステアリン酸ジメチルフェニレン、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−イソ−オクチル、アジピン酸ジカプリル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジ−イソ−オクチル、セバシン酸ジカプリル及びマレイン酸ジオクチルを含むジエステルが挙げられてもよい。更に他の潜在的に有用な潤滑剤材料としては、ポリエチレングリコール(好ましくは、約400の数平均分子量を有し得る)のジフェニルステアレリン酸エステルを含むポリエチレングリコールエステル、ヒマシ油(トリグリセリド)、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール、ジステアリン酸グリコール、ジオレイン酸グリセロール及びモノフェニルステアリン酸トリメチロールプロパンを含むポリヒドロキシル酸エステル、ジフェニルエーテル及びベンジルエーテルを含むエーテル、ヘキサクロロシクロペンタジエン、オクタブロモビフェニル、デカブロモジフェニルオキシド及び4−ブロモジフェニルエーテルを含むハロゲン化化合物、1−ノネン、2−ノネン、2−ウンデセン、2−ヘプタデセン、2−ノナデセン、3−エイコセン、9−ノナデセン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン及びトランス−スチルベンを含む炭化水素、2−ヘプタノン、メチルノニルケトン、6−ウンデカノン、メチルウンデシルケトン、6−トリデカノン、8−ペンタデカノン、11−ペンタデカノン、2−ヘプタデカノン、8−ヘプタデカノン、メチルヘプタデシルケトン、ジノニルケトン及びジステアリルケトンを含む脂肪族ケトン、アセトフェノン及びベンゾフェノンを含む芳香族ケトン、並びにキサントンを含む他のケトンが挙げられる。また更に潜在的に有用な潤滑剤としては、リン酸トリキシレニルを含むリン化合物、ポリシロキサン、ミュゲ・ヒヤシンス(Muget hyacinth)(アン・メリゲナーブラー社(An Merigenaebler, Inc))、テルピネオール・プライム(Terpineol Prime)No.1(ジボーダン−デラワンナ社(Givaudan-Delawanna, Inc))、バス・オイル・フレグランス#5864K(インターナショナル・フレーバー&フレグランス社(International Flavor & Fragrance, Inc))、ホスクレア(Phosclere)P315C(オルガノホスファイト)、ホスクレア(Phosclere)P576(オルガノホスファイト)、スチレン化ノニルフェノール、キノリン及びキナリジンが挙げられる。
【0103】
牛脚油、インドセンダン種子油、PEG−5水素化ヒマシ油、PEG−40水素化ヒマシ油、PEG−20水素化ヒマシ油のイソステアリン酸エステル、PEG−40水素化ヒマシ油のイソステアリン酸エステル、PEG−40水素化ヒマシ油のラウリン酸エステル、PEG−50水素化ヒマシ油のラウリン酸エステル、PEG−5水素化ヒマシ油のトリイソステアリン酸エステル、PEG−20水素化ヒマシ油のトリイソステアリン酸エステル、PEG−40水素化ヒマシ油のトリイソステアリン酸エステル、PEG−50水素化ヒマシ油のトリイソステアリン酸エステル、PEG−40ホホバ油、PEG−7オリーブ油、PPG−3水素化ヒマシ油、PPG−12−PEG−65ラノリン油、水素化ミンク油、水素化オリーブ油、ラノリン油、マレイン化大豆油、マスクローズ油、カシューナッツ油、ヒマシ油、ドッグローズヒップ油、エミュー油、月見草油、及びアマナズナ(gold of pleasure)油など、これらに限定されない、乳化剤の性質を有する油も潤滑剤材料として潜在的に使用することができる。
【0104】
試験方法
弾性率:
ASTM−D2653−01に記載される手順を使用して、本発明の繊維の弾性率を測定した。14cmのグリップ分離及び25.4cm/分のクロスヘッド速度で直径16mmのローラーグリップ(MTS 100−034−764)を使用した。500Nロードセルを使用した。小野測器社(Ono Sokki)の厚み計を使用して繊維の直径を測定した。5つの複製を作動し、平均を取った。
【0105】
質量流量:
基本的な重量法によって質量流量を測定した。予め秤量したアルミニウムトレイ内に、出てくる押出物を80秒間捕獲した。グラム又はキログラムで、全重量とトレイの重量との差を測定した。
【0106】
メルトフローインデックス(MFI):
ASTM D1238に従い、所与のポリマータイプについて指定される条件でポリマーのメルトフローインデックスを測定した。
【実施例】
【0107】
以下の非限定的な実施例は、本発明の原理を説明するために提供される。
【0108】
実施例1:
図6に示されるのと同様の装置を使用して、高分子繊維を製造した。図7に示されるような単一のオリフィスダイを使用した。ダイオリフィスは円形であり、1.68mmの入口直径と、0.76mmの出口直径と、12.7mmの長さと、以下の式で定義される半双曲線形状とを有していた。
【0109】
z=[0.00140625/((0.625z)+0.0625)]^0.5 (9)
式中、zは、入口から測定されるオリフィスの軸に沿った位置であり、rzは、位置zにおける半径である。
【0110】
177℃〜232℃〜246℃のバレル温度プロファイルと及び19.1 RPMに設定したインラインのゼニス(ZENITH)ギアポンプ(1.6立方センチメートル/回転(cc/rev))を用いて、3.175cm単軸押出し機(30:1のL/D)によりポリプロピレンホモポリマー(フィナプロ(FINAPRO)5660、9.0 MFI、テキサス州ヒューストン(Houston)のアトフィナ・ペトロケミカル社(Atofina Petrochemical Co.))を押出した。ダイ温度及び溶融温度は、約220℃であった。30 RPMに設定した第2のゼニス(ZENITH)ギアポンプ(0.16cc/rev)を用いて、シェブロン(Chevron)のスパーラ(SUPERLA)白色鉱油#31を潤滑剤としてダイの入口に供給した。
【0111】
溶融ポリマーの圧力及びそれに対応する押出物の質量流量は、以下の表1に示される。ポリマーの圧力変換器は、ポリマーをダイに導入する地点において、ダイの真上のフィードブロック内に配置した。潤滑剤の圧力変換器は、ダイへの導入よりも前の潤滑剤送達フィードラインに配置した。潤滑剤を使用せずに、対照試料も実行した。
【0112】
実施例2:
図3に描かれるものと同様のダイを使用したこと以外は実施例1と同様にして、高分子繊維を製造した。ダイオリフィスは円形プロファイルを有し、6.35mmの入口直径と、0.76mmの出口直径と、10.16mmの長さと、本明細書中に記載される式(8)で定義される半双曲線形状とを有した。
【0113】
潤滑剤を用いた場合、及び用いなかった場合の、溶融ポリマーの圧力及び押出物の質量流量が、以下の表1に示される。
【0114】
実施例3:
図2に示されるようなダイを使用したこと以外は実施例1と同様にして、高分子繊維を製造した。ダイオリフィスは円形プロファイルを有し、6.35mmの入口直径と、0.51mmの出口直径と、12.7mmの長さと、式(8)で定義される半双曲線形状とを有した。
【0115】
ポリウレタン(PS440−200、ユタ州ソルトレークシティ(Salt Lake City)のハンツマン・ケミカル(Huntsman Chemical))を用いて、繊維を形成した。177℃〜232℃〜246℃のバレル温度プロファイル及び19.1 RPMに設定したインラインのゼニス(ZENITH)ギアポンプ(1.6cc/rev)を用いて、3.81cm単軸押出し機(30:1のL/D)によりポリマーを供給した。ダイ温度及び溶融温度は、約215℃であった。それぞれ99 RPM及び77 RPMで駆動される連続した2つのギアポンプによって、シェブロン(Chevron)のスパーラ(SUPERLA)白色鉱油#31を潤滑剤としてダイの入口に供給した。溶融ポリマーの圧力及び押出物の質量流量は、以下の表1に示される。潤滑剤を使用せずに、対照サンプルも実行した。
【0116】
実施例1〜3における質量流量:
【0117】
【表1】

【0118】
表1は、同様の溶融圧力では、本発明の方法を用いて本質的により高い質量流量を得ることができ(実施例1)、同様の質量流量では、著しく低い圧力でポリマーを押出可能である(実施例2)ことを示す。実施例3において分かるように、本発明の方法を用いると、溶融圧力は著しく低下され、同時に質量流量は本質的に増大され得る。
【0119】
実施例4:
実施例1のダイを使用して、高分子繊維を製造した。177℃〜200℃〜218℃のバレル温度プロファイル及び3.7 RPMに設定したインラインのゼニス(ZENITH)ギアポンプ(1.6立方センチメートル/回転(cc/rev))を用いて、38mmの単軸押出し機(30:1のL/D、9 RPM)により、高分子量のポリエチレン(9640型、0.2 MI、テキサス州ヒューストン(Houston)のシェブロンフィリップスケミカル社(Chevron Phillips Chemical Co.))を押出した。ダイ温度及び溶融温度は、約218℃であった。80 RPMに設定されたゼニス(ZENITH)のデュアルギアシングルフィードギアポンプ(0.16cc/rev)を使用して、シェブロン(Chevron)のスパーラ(SUPERLA)白色鉱油#31(テキサス州ヒューストン(Houston)のシェブロンUSA社(Chevron USA Inc.))を潤滑剤としてダイの入口に供給した。押出された繊維を手動でダイの出口で集め、手で巻いた。
【0120】
溶融ポリマー圧力は、2.0〜2.5kg/時(4.5〜5.5ポンド/時)の質量流量において、241N/cm(350ポンド/in)〜550N/cm(798ポンド/in)間で変化させた。ポリマーの圧力変換器は、ポリマーをダイに導入する地点において、ダイの真上のフィードブロック内に配置した。潤滑剤の圧力変換器は、ダイへの導入よりも前の潤滑剤送達フィードラインに配置した。
【0121】
実施例5:
実施例1と同様に、高分子繊維を製造した。ダイオリフィスは円形プロファイルを有し、6.35mmの入口直径と、0.76mmの出口直径と、127mmの長さと、本明細書中に記載される式(8)で定義される半双曲線形状とを有した。6 RPMで作動する0.16立方センチメートル/回転(0.16cc/rev)ギアポンプが取り付けられた270℃〜255℃〜240℃のバレル温度プロファイルを使用する19mm単軸押出し機(30:1のL/D、12 RPM)を使用して、高分子量の分別メルトインデックスを有するポリエチレン(HD7960.13、0.06 MI、テキサス州ヒューストン(Houston)のエクソンモービルケミカル社(ExxonMobil Chemical Inc.))を押出した。ダイ温度及び溶融温度は、約218℃であった。ロリマー(Lorimer)の「エアオーバーオイル(air over oil)」高空気圧ポンプ(テキサス州ロングビュー(Longview)のH.ロリマー社(H.Lorimer Corp.))を使用して、潤滑剤として、シェブロン(Chevron)のスパーラ(SUPERLA)白色鉱油#31(テキサス州ヒューストン(Houston)のシェブロンUSA社(Chevron USA Inc.))をダイの入口に供給した。
【0122】
次に、押出された繊維を15メートル/分の速度でダイの出口の下、約5cmに配置された水浴(約20℃)で急冷した。次に、温水浴(79℃)中に繊維を浸漬することで、2つのプルロールの伸び比率を約9:1として繊維を2つのプルロール間で長さ方向にインラインに配向させた。次に、配向された繊維を177℃に設定された加熱した圧盤上を走らせ、繊維を弛緩(ヒートセット)させた後、芯に巻き付けた。
【0123】
平均繊維直径は0.305mmであった。繊維の弾性率は、46kNの破断張力を備え、205kN/cmであると測定した。
【0124】
実施例6:
繊維を形成するために高分子量のエラストマーポリエチレン(ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.)のエンゲージ(ENGAGE)8100、1.0 MI)を使用する以外は、実施例1と同様に高分子繊維を製造した。177℃〜200℃〜218℃のバレル温度プロファイル及び8 RPMに設定したインラインのゼニス(ZENITH)ギアポンプ(1.6cc/rev)を使用し、結果として約2.4kg/時のポリマー流速がもたらされる38mm単軸押出し機(32:1のL/D、14 RPM)によりポリマーを供給した。ダイ温度及び溶融温度は、約218℃であった。75 RPMに設定されたゼニス(ZENITH)のデュアルギアシングルフィードギアポンプ(0.16cc/rev)を使用して、シェブロン(Chevron)のスパーラ(SUPERLA)白色鉱油#31を潤滑剤としてダイの入口に供給した。押出された繊維を手動でダイの出口で集め、手で巻いた。
【0125】
実施例7:
繊維を形成するために非晶質ガラス状ポリカーボネート(ドイツ国レバークーゼン(Leverkusen)のバイエルケミカル社(Bayer Chemical Co.)のマクロロン(MACROLON)2407))を使用する以外は、実施例1と同様に高分子繊維を製造した。177℃〜200℃〜229℃のバレル温度プロファイル及び8 RPMに設定したインラインのゼニス(ZENITH)ギアポンプ(1.6cc/rev)を使用し、結果として約2.4kg/時のポリマー流速がもたらされる38mm単軸押出し機(32:1のL/D、14 RPM)によりポリマーを供給した。ダイ温度及び溶融温度は、約229℃であった。75 RPMに設定されたゼニス(ZENITH)のデュアルギアシングルフィードギアポンプ(0.16cc/rev)を使用して、シェブロン(Chevron)のスパーラ(SUPERLA)白色鉱油#31を潤滑剤としてダイの入口に供給した。押出された繊維を手動でダイの出口で集め、手で巻いた。
【0126】
実施例8:
8 RPMで作動する0.16立方センチメートル/回転(0.16cc/rev)ギアポンプが取り付けられた250℃〜300℃〜300℃のバレル温度プロファイルを使用する19mm単軸押出し機(30:1のL/D、18 RPM)を使用して、ナイロン−6ポリアミド(ミシガン州ワイアンドット(Wyandotte)のBASFコーポレーション(BASF Corp.)のウルトラミッド(ULTRAMID)B4)を押出す以外、実施例5と同様に高分子繊維を製造した。ダイ温度及び溶融温度は、約260℃であった。ロリマー(Lorimer)の「エアオーバーオイル(air over oil)」高空気圧ポンプ(テキサス州ロングビュー(Longview)のH.ロリマー社(H.Lorimer Corp.))を使用して、潤滑剤として、シェブロン(Chevron)のスパーラ(SUPERLA)白色鉱油#31(テキサス州ヒューストン(Houston)のシェブロンUSA社(Chevron USA Inc.))をダイの入口に供給した。ポンプからダイまで潤滑剤を供給するために、3mmの直径(ID)の銅管を使用した。入口ポートからダイに入る前に、7.6cmの直径のダイに2.5倍の管を巻き付けたこれは、潤滑剤の温度をダイの温度まで加熱するために行った。
【0127】
次に、約1ミリメートルの直径を有する押出された繊維を、2.4メートル/分の速度でダイの出口の真下約2.5cmに配置される水浴中で急冷した。次に、温水浴(79℃)中に繊維を浸漬することで、2つのプルロールの間の伸び比率を約4:1として繊維を2つのプルロール間で長さ方向にインラインに配向させた。次に、配向された繊維を177℃に設定された熱した圧盤上を走らせ、繊維を弛緩(ヒートセット)させた後、繊維をアニール化するために121℃に設定された第2の熱した圧盤上を走らせ、次に、芯に巻き付けた。繊維の弾性率は、226kN/cmであると測定した。
【0128】
実施例9:
ポリマーの融点(230℃)を若干上回る融解温度を得て、有意に高い弾性率をもたらすために、有意に低いプロセス温度を使用する以外は、実施例8と同様に高分子繊維を製造した。240℃〜250℃〜240℃のバレル温度プロファイルを使用して、ナイロンを押出した。融解ポンプを235℃、ダイフィードブロックを230℃、及びダイを225℃に設定した。繊維の弾性率は、765kN/cmであると測定した。
【0129】
実施例10:
シース/芯フィードブロックに2つの材料を供給し、2成分共押出繊維をもたらすために2台の押出成形機を使用する以外は、実施例1と同様に高分子繊維を製造した。繊維の芯を形成するのに、ポリプロピレンホモポリマー(テキサス州ヒューストン(Houston)のアトフィナ・ペトロケミカル社(Atofina Petrochemical Co.)のフィナプロ(FINAPRO)5660、9.0 MFI)を使用した。177℃〜200℃〜232℃のバレル温度プロファイル及び24 RPMに設定したインラインのゼニス(ZENITH)ギアポンプ(1.6cc/rev)を用いて、25mm単軸押出し機(24:1のL/D)によりポリマーを供給した。繊維のシースを形成するために、2%オレンジ色濃縮物(ペンシルベニア州ドイルスタウン(Doylestown)のペンカラー社(Penn Color Co.)のタイプ66Y163)で着色されたフィナプロ(FINAPRO)5660を使用した。177℃〜195℃〜215℃〜232℃のバレル温度プロファイルと及び24 RPMに設定したインラインのゼニス(ZENITH)ギアポンプ(1.6cc/rev)を用いて、19mm単軸押出し機によりポリマーを供給した。融解ポンプを232℃、ダイフィードブロックを232℃、及びダイを232℃に設定した。共押出繊維の当該技術分野において周知であるようなデュアルフィードプレートダイを提供するために、0.5mm厚に機械加工された一連のプレートからなるダイフィードブロックを積み重ねた。
【0130】
プレートスタックの底部に潤滑剤導入マニホールドを取り付けた。80 RPMに設定されたゼニス(ZENITH)デュアルギアシングルフィードギアポンプ(1.6cc/rev)を使用して、汎用トランス油圧オイル(Universal Trans Hydraulic oil)(ミネソタ州ブレーナード(Brainerd)のミルズフリートファーム社(Mills Fleet Farm Inc.))を潤滑剤として使用して、ダイの入口に供給した。押出された繊維を手動でダイの出口で集め、手で巻いた。
【0131】
実施例11:
繊維を形成するために、多相アクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレートポリマー(ドイツ国、レバークーゼン(Leverkusen)のバイエル社(Bayer Corp.)のセントレックス(CENTREX)833、マリンホワイト(Marine White)、3 MFI)を使用する以外は、実施例1と同様にして高分子繊維を製造した。177℃〜200℃〜218℃のバレル温度プロファイル及び8 RPMに設定したインラインのゼニス(ZENITH)ギアポンプ(1.6cc/rev)を使用し、結果として約2.4kg/時のポリマー流速がもたらされる38mm単軸押出し機(32:1のL/D、14 RPM)によりポリマーを供給した。ダイ温度及び溶融温度は、約218℃であった。75 RPMに設定されたゼニス(ZENITH)のデュアルギアシングルフィードギアポンプ(0.16cc/rev)を使用して、シェブロン(Chevron)のスパーラ(SUPERLA)白色鉱油#31を潤滑剤としてダイの入口に供給した。押出された繊維を手動でダイの出口で集め、手で巻いた。
【0132】
実施例12:
繊維を形成するために、10重量%の酸化アルミニウム研磨材(イリノイ州シカゴ(Chicago)のフジミコーポレーション(Fujimi Corp., Ltd.)のP−2000、400グリット)が充填されたナイロン12(スイス国のエムス・ケミー社(Ems Chemie AG)のグリルアミド(GRILAMID)G−12)を使用する以外は、実施例10と同様に高分子繊維を製造した。260℃〜260℃〜260℃のバレル温度プロファイルを使用して、25mm単軸押出し機(24:1のL/D)により充填されたポリマーを供給した。フィードブロック及びダイを260℃に設定した。80 RPMに設定されたゼニス(ZENITH)のデュアルギアシングルフィードギアポンプ(0.16cc/rev)を使用して、シェブロン(Chevron)のスパーラ(SUPERLA)白色鉱油#31を潤滑剤としてダイの入口に供給した。押出された繊維を手動でダイの出口で集め、手で巻いた。繊維の外側表面は、繊維の外側表面、又はその付近に大量の研磨材を備え、非常に粗かった。
【0133】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形の「a」、「及び」、及び「the」には、その文脈が明確に異なって指定しない限り、複数の指示物が含まれる。従って、例えば、「繊維(a fiber)」への言及は複数の繊維を含み、又「オリフィス(the orifice)」への言及は、1つ以上のオリフィス及び当業者に知られているその等価物を包含し得る。
【0134】
本願明細書に記載の引例及び刊行物は、参照することにより本願明細書全体に組み込まれる。本発明の実例となる実施形態が検討され、及び本発明の範囲内で可能な変形が参照されている。本発明におけるこれら及び他の変形及び変更は本発明の範囲から逸脱することなく当業者にとって明らかであり、及び本発明が本明細書で明示された実例となる実施形態の組み合わせに限定されないことは理解されるべきである。従って、本発明は、特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明に係る1つの粒子担持繊維の理想的な拡大断面図。
【図2】本発明に係る方法のプロセスウィンドウを説明する概略図。
【図3】本発明に関連して使用することができる1つの典型的なダイの一部の拡大断面図。
【図4】図3のダイのオリフィスの拡大図。
【図5】本発明に関連して使用することができる1つの典型的な押出ダイプレートの一部の平面図。
【図6】本発明に係るダイを含む1つのシステムの概略図。
【図7】本発明に関連して使用することができるもう1つの押出装置の拡大断面図。
【図8】本発明に関連して使用することができるもう1つの典型的なダイオリフィス及び潤滑チャネルの拡大平面図。
【図9】本発明の方法に従ってダイオリフィスを出る1つの典型的な高分子繊維の拡大断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子結合剤及び該高分子結合剤内に封入される複数個の粒子を含む繊維体を含む粒子担持高分子繊維であって、前記高分子結合剤が、本質的に1つ以上のポリマーからなり、前記封入される粒子が封入される粒子の密集を構成し、前記封入される粒子の密度が、前記繊維の外部表面に近い位置でより高い、粒子担持高分子繊維。
【請求項2】
前記繊維の体積の最も外側の20%内に封入される粒子の密度が、前記繊維の体積の最も内側の20%内に封入される粒子の密度の2倍以上である、請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
前記複数個の粒子が、本質的に非高分子粒子からなる、請求項1に記載の繊維。
【請求項4】
前記複数の粒子が、100マイクロメートル以下の最大寸法を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項5】
前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに30以下のメルトフローインデックスを有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項6】
前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに10以下のメルトフローインデックスを有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項7】
前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに1以下のメルトフローインデックスを有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項8】
前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに0.1以下のメルトフローインデックスを有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項9】
前記1つ以上のポリマーが、半結晶性ポリマーである、請求項1に記載の繊維。
【請求項10】
前記半結晶性ポリマーが、ナイロンである、請求項9に記載の繊維。
【請求項11】
1つ以上のポリマーを含む繊維体であって、前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに10以下のメルトフローインデックスを有する繊維体と、
前記繊維体内に封入される第1の複数個の粒子及び前記繊維体の外側表面に埋め込まれた第2の複数個の粒子であって、前記封入される第1の複数個の粒子が封入される粒子の密集を構成し、前記第1の複数個の粒子の封入される粒子の密度が、繊維の外側表面に近い位置で最も高い、粒子と、
を含む、粒子担持高分子繊維。
【請求項12】
前記繊維の体積の最も外側の20%内の前記第1の複数個の粒子の封入される粒子の密度が、前記繊維の体積の最も内側の20%内の前記第1の複数個の粒子の封入される粒子の密度の2倍以上である、請求項11に記載の繊維。
【請求項13】
前記第1の複数個の粒子及び前記第2の複数個の粒子が、本質的に非高分子粒子からなる、請求項11に記載の繊維。
【請求項14】
前記第1の複数個の粒子及び前記第2の複数個の粒子が、100マイクロメートル以下の最大寸法を有する、請求項11に記載の繊維。
【請求項15】
前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに30以下のメルトフローインデックスを含む、請求項11に記載の繊維。
【請求項16】
前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに10以下のメルトフローインデックスを有する、請求項11に記載の繊維。
【請求項17】
前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに1以下のメルトフローインデックスを有する、請求項11に記載の繊維。
【請求項18】
前記1つ以上のポリマーの全てが、該ポリマーについて指定された条件で測定したときに0.1以下のメルトフローインデックスを有する、請求項11に記載の繊維。
【請求項19】
前記1つ以上のポリマーが、半結晶性ポリマーである、請求項11に記載の繊維。
【請求項20】
前記半結晶性ポリマーが、ナイロンである、請求項19に記載の繊維。
【請求項21】
粒子担持高分子繊維を作製する方法であって、
複数個の粒子をポリマー溶融ストリーム内に取り込む工程と、
内部に複数個の粒子が取り込まれたポリマー溶融ストリームをダイ内に位置するオリフィスに通過させる工程であって、前記オリフィスが、入口、出口、及び入口から出口まで伸びる内面を含み、前記オリフィスが半双曲線状に収束するオリフィスを構成し、前記ポリマー溶融ストリームが、入口でオリフィスに入り、出口でオリフィスから出る工程と、
潤滑剤を前記ポリマー溶融ストリームとは別に前記オリフィスに供給する工程であって、前記潤滑剤が、オリフィスの入口で導入される工程と、
前記ポリマー溶融ストリーム及び該ポリマー溶融ストリーム内に封入される複数個の粒子を含む粒子担持高分子繊維を捕集する工程であって、前記封入される粒子が、前記繊維内に封入される粒子の密集を構成し、前記封入される粒子の密度が、前記繊維の外側表面に近い位置でより高い工程と、
を含む、粒子担持高分子繊維を作製する方法。
【請求項22】
前記繊維の体積の最も外側の20%内に封入される粒子の密度が、前記繊維の体積の最も内側の20%内に封入される粒子の密度の2倍以上である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の粒子が、本質的に非高分子粒子からなる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマー溶融ストリームが、1つ以上のポリマーを含み、前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに30以下のメルトフローインデックスを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリマー溶融ストリームが、1つ以上のポリマーを含み、前記1つ以上の全てのポリマーが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに10以下のメルトフローインデックスを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリマー溶融ストリームが、1つ以上のポリマーを含み、前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに1以下のメルトフローインデックスを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記1つ以上のポリマーの全てが、該1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに0.1以下のメルトフローインデックスを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマー溶融ストリームが、前記1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに30以下のメルトフローインデックスを有する本質的に1つのポリマーからなる、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマー溶融ストリームが、前記1つ以上のポリマーについて指定された条件で測定したときに10以下のメルトフローインデックスを有する本質的に1つのポリマーからなる、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリマー溶融ストリームが、前記ポリマーについて指定された条件で測定したときに1以下のメルトフローインデックスを有する本質的に1つのポリマーからなる、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリマー溶融ストリームが、前記ポリマーについて指定された条件で測定したときに0.1以下のメルトフローインデックスを有する本質的に1つのポリマーからなる、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリマー溶融ストリームが、本質的に1つ以上の半結晶性ポリマーからなる、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記半結晶性ポリマーが、ナイロンである、請求項33に記載の方法。
【請求項34】
内部に複数個の粒子を取り込んだ前記ポリマー溶融ストリームが、前記オリフィスの入口の断面積よりも小さい断面積を含む開口部を通って前記オリフィスの入口まで供給される、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記潤滑剤を供給する工程が、前記オリフィスの入口付近に形成される連続スロットを通って潤滑剤を供給する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記潤滑剤を供給する工程が、前記オリフィスの入口付近に位置する複数個の開口部を通って潤滑剤を供給する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
前記潤滑剤の少なくとも一部が、前記ポリマー溶融ストリームが前記オリフィスの出口から出た後に、前記ポリマー溶融ストリームから蒸発する、請求項21に記載の方法。
【請求項38】
前記ダイが、複数個のオリフィスを含み、複数個のオリフィスのそれぞれのオリフィスに潤滑剤を個別に供給する工程を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項39】
前記繊維を捕集する工程が、繊維を引っ張る工程を含み、前記繊維は引っ張り中に伸長される、請求項21に記載の方法。
【請求項40】
前記オリフィスの入口に入る前記ポリマー溶融ストリームの平均温度が、前記ポリマー溶融ストリームの溶融加工温度を10℃以下の範囲で上回る、請求項21に記載の方法。
【請求項41】
前記ポリマー溶融ストリームの平均温度が、前記ポリマー溶融ストリームが前記オリフィスの出口を出る前のポリマー溶融ストリームの溶融加工温度以下である、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−542931(P2009−542931A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518417(P2009−518417)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/068923
【国際公開番号】WO2008/002724
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】