説明

粒子放射線で増強された治療を供給するシステム及び方法

標的組織の遠位の健常組織での作用を低減しつつ、標的での作用を優先させる、剤204の選択的標的化を増強するシステム及び方法。1つ又は複数の剤204が、標的組織への送達のために、ナノスケールの構造体/粒子202と組み合わされ得る。陽子放射線等の加速粒子放射線での適当な衝撃が、標的部位での剤204の放出を誘発する。ナノ担体が、治療剤及び/又は画像化増強剤204と組み合わされ得る。標的組織の画像化が、送達された粒子放射線の線量の検証を提供し得る。ナノ担体には、体内環境での生体適合性及び耐久性に関して選択されると共に、処理環境におけるフィードバックメカニズムを提供することにより剤204の放出を加速し、且つ放出のために必要とされる総放射線線量を低減するようにさらに選択される、外側のシェルが設けられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物療法の技術分野、並びに粒子放射線衝撃による標的化した組織への治療剤の送達を増強するシステム及び方法、及び/又は標的組織の処理後の画像化による粒子放射線の送達を導くためのシステム及び方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2007年7月30日付けで出願された米国仮出願第60/952773号明細書の利益を主張し、該仮出願の全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
癌は、依然として、その効果的な治療方法を開発するために、より挑戦しがいのある疾患の1つである。根本的な困難性の1つは、非癌性組織に対する抗癌剤の活性を回避しながら抗癌剤の活性を腫瘍に効果的に送達する能力である。理想の治療用薬剤は、非癌性組織に悪影響を及ぼすことなく、所望の腫瘍標的に選択的に到達する。しかし、現行の化学療法及び他の標的化した癌治療の計画は、この理想に届かない。例えば、幾つかの例では、癌細胞を標的化する静脈内投与したモノクローナル抗体10万部当たり1部〜10部しかその目的の標的に到達しない。
【0004】
2つの主要なアプローチ又は目標が、腫瘍部位で治療剤を優先的に集中させることを試みるために、最近使用されている。第1のアプローチは、抗癌剤の標的化選択性を増大させることである。第2のアプローチは、抗癌剤がその目的の標的(例えば腫瘍)に効果的に到達することを阻害する生物学的障壁を克服することを試みることである。
【0005】
標的化メカニズムは概して、受動的なメカニズムと能動的なメカニズムとの、2つの主要な群に分けることができる。既知の受動的な標的化メカニズムの1つは、浸透及び保持の増強(enhanced permeation and retention)(EPR)と称される。EPRは、感染、炎症及び充実性腫瘍の部位の毛細血管は障壁機能が損なわれていることが多いという生理学的な現象を利用し、血管外遊走と薬剤担体の遅延性の滞留(lodging)とを促進する。したがって、循環時間が長い治療剤が、非癌性組織に対して腫瘍領域に優先的に標的化されると予想される。しかし、薬剤担体の表面特徴に応じて、担体は腫瘍組織ではなく細網内皮系(RES)により取り込まれることがあり、比較的短い循環時間をもたらす。概して、疎水性の表面を示す担体は、肝臓のRES細胞により吸収される傾向があり、脾臓及び肺のRES細胞により吸収される傾向はより小さい。したがって、ポリエチレングリコール(PEG)等の親水性の化合物のコーティングは、RES捕捉(sequestration)を低減し、循環半減期を顕著に延長し得る。
【0006】
能動的な標的化メカニズムは、薬剤担体粒子の表面に対する腫瘍特異的分子の能動的な認識態様を組み合わせること、又は結合することによる、薬剤担体の分子標的化を含み得る。例えば、腫瘍特異的抗原は、血管新生内皮にナノ粒子を方向づけるために、例えば、新血管系のMRI画像化と、黒色腫及び結腸腺癌に対する抗血管新生治療とのためにαβインテグリンパーフルオロカーボンナノエマルジョンを標的化するために、使用されている。
【0007】
別の種類の能動的、部位特異的な薬剤送達メカニズムは、薬剤担体の送達を方向づけるために、幾つかの形態の外部エネルギーを使用する。細胞障害性薬剤の薬物動態及び活性化を制御するために実験的に使用されている方向づけられるエネルギーの例は、磁場、光子放射線、熱及び超音波を含む。例えば、組織の特定の領域に適切な磁場を適用することにより、磁性材料が詰め込まれたカプセルを、優先的に組織領域に対して移動させることができる。部位特異的標的化の別の例は、その後腫瘍血管への部位特異的な薬剤送達のための抗原性標的として使用される接着タンパク質の、腫瘍微小血管系における電離放射線による誘導である。他の例は、脂質で被包した微小気泡を破裂させるための焦点式超音波と、近赤外光子放射線による癌領域の局所的な熱切除との使用を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような方向づけられたエネルギーメカニズムの限界は、それらが示す組織透過性が乏しく、且つ局在性が乏しいことである。例えば、光子放射線は組織の表面へのエネルギーの送達を開始し、送達されるエネルギーは組織の通過により指数関数的に減少する傾向がある。このことは、放射線の最適でない線量プロファイルのために、方向づけを誤った薬剤送達を引き起こし得る。したがって、健常組織に対する望ましくない効果を低減する一方で癌細胞に対して抗癌剤を効果的に標的化する、システム及び方法の改善に対する必要性が存在することが理解されるだろう。癌性組織をより精度良く同定し、それへの治療の供給を確認する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施の形態は、少なくとも部分的には、治療送達の領域特異性を増強する加速粒子放射線の利点の実現に基づく。陽子及びより重い陽イオンは、標的組織において予測可能な透過の深さでその初期エネルギーのかなりの部分を送達するという、物理的特徴を示す。この物理的特徴はブラッグピークと称され、光子放射線により示される概して指数関数的に減少するエネルギー伝達プロファイルと、顕著に異なる。陽子又はより重い陽イオンの初期の速度/エネルギーを調整することにより、関連するブラッグピークを、癌性腫瘍等の所望の標的位置で所望の透過の深さと一致するように選択することができる。初期の速度/エネルギーの範囲を意図的に設定することにより、拡大ブラッグピークを標的組織の範囲と実質的に一致するように設定することができる。
【0010】
表面及び標的位置の間における患者組織へのエネルギー伝達の量を顕著に低減することにより、光子放射線と比較して陽子ビーム治療等の粒子放射線は、推定では標的組織の上流の健常組織に対する、望ましくないエネルギー伝達の顕著な低減と共に、標的部位での効果的な線量を提供するという利点をもたらす。陽子放射線の初期のエネルギーのかなりの部分はブラッグピークでデポジットされるので、粒子放射線は、標的組織を超えた下流のエネルギーの送達の顕著な低減という利点ももたらす。陽子治療は、総線量のより小さい画分が所望の標的組織で交差するように複数の異なる空間ベクトルに沿って送達され得る、分割した送達計画にも十分に適する。各治療画分に関する進入路が異なり得ることにより健常組織の任意の所定の部分が受け取るのは多くとも送達される総治療用エネルギーの一画分であるので、この態様は上流及び下流の健常組織に対する望ましくない放射線のエネルギーの伝達をさらに低減する。
【0011】
実施の形態は、加速陽子及び/又は他の重陽イオン放射線等の粒子放射線の、担体媒体(vehicle)から様々な種類の処理剤の放出を誘発する能力の新たな理解にも基づく。例えば、抗癌剤及び/又は他の治療剤は、所望の標的位置に到達するまで生組織内に長期的に同調することができるように、ナノスケールの構造体又は粒子と組み合わされ得る。粒子放射線の適当な衝撃は、その後標的位置で集中的に治療剤の放出及び/又は活性化を誘発し得る。上述した拡大ブラッグピークは、1つ又は複数の治療剤の活性化/放出を拡大ブラッグピーク領域内で優先的に局在化させるために利用され得る。治療剤を活性化/放出するのに必要なエネルギーが、標的組織領域外での剤の望ましくない活性化/放出が顕著に低減されるような閾値を規定するために、選択され得る。実施の形態はまた、送達された放射線の線量を検証するために、粒子放射線に誘発される画像化増強剤の放出/活性化と、その後の標的組織の画像化とを利用する。
【0012】
1つの実施の形態は、治療を送達する方法であって、或る量の治療剤を患者に導入すること、及び患者の標的組織に或る線量の粒子放射線を方向づけることであって、標的組織の遠位に対して標的組織の近位の治療剤の作用を優先的に誘発するように、方向づけることを含む、方法を含む。
【0013】
別の実施の形態は、体内(in vivo)剤送達媒体であって、ナノ構造体と、生組織内で長期的に同調することができるようにナノ構造体と結合した体内剤とを含み、選択した線量の粒子放射線での衝撃がナノ構造体から体内剤を放出する、体内剤送達媒体を含む。
【0014】
さらなる実施の形態は、画像により導かれる放射線治療の方法であって、或る量の画像化増強剤を患者に導入すること、患者の標的組織に或る線量の粒子放射線を方向づけることであって、標的組織の遠位に対して標的組織の近位の画像化増強剤の作用を優先的に誘発するように、方向づけること、標的組織を画像化すること、及び標的組織に隣接する非標的組織の画像と比較して標的組織の画像の増強の程度を解析することにより標的組織に送達された粒子放射線の線量を検証することを含む、方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】粒子放射線での治療剤の送達を増強する方法の実施形態のフローチャートである。
【図2】標的部位に体内剤を運搬するための送達担体/媒体の実施形態の概略断面図である。
【図3】標的部位に体内剤を運搬するための送達担体/媒体の付加的な実施形態の概略断面図である。
【図4】治療のより正確な供給を促進するために粒子放射線での画像化を増強する方法の実施形態のフローチャートである。
【図5A】粒子治療送達システムの実施形態の概略図である。
【図5B】粒子治療送達システムの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、粒子放射線での治療剤の送達を増強する方法100を例示するフローチャートである。方法100は、開始ブロック102において開始する。開始ブロック102は、担当臨床医による患者の病態の予備的な分析及び診断と、適当な治療計画の決定とを含み得る。例えば、ブロック102は、適当な抗癌剤と適当な分割陽子治療処方とを選択することを含み得る。特定の適当な薬剤、線量、放射線エネルギー、アプローチベクトル等は、特定の疾患の状態及び患者の状態に応じて広範に変動し得るが、所定の患者及び状態のための特定の処方は、当業者により容易に決定される。
【0017】
ブロック104内に従い、決定した量の治療剤を患者に導入する。治療剤の特定の導入方法は、導入すべき剤の特定の種類と標的組織の位置とに依存し得るが、様々な実施態様において、静脈内送達、 経皮送達、 経口投与、噴霧器等の1つ又は複数を含み得る。
【0018】
幾つかの実施形態では、ブロック104における治療剤の導入は、図2及び図3に関して以下にさらに詳細に説明及び例示する剤送達媒体200の導入を含み得る。幾つかの実施形態では、剤送達媒体200は、ナノスケールの構造体又は粒子を含む。幾つかの実施形態ではナノスケールの粒子構造体は、約100nm未満の主要寸法xを有する構造体又は粒子を含む。幾つかの実施形態では、ナノスケールの送達媒体200は好ましくは、約50nmの平均主要寸法を有する。送達媒体の組成と、それと組み合わされる任意の治療剤(複数可)とに応じて、個々の送達媒体200の特定の寸法が変動してもよく、好ましい平均サイズが変動してもよいことが理解されるだろう。したがって、本明細書で説明した値及び範囲は単に代表的なものであり、他のサイズ及び範囲の可能性があることが理解されるだろう。
【0019】
ブロック104において治療剤を導入し、治療剤が所望の標的組織を通じて拡散する、又はそうでなくともその標的組織に到達するための十分な時間を与えた後で、少なくとも第1の処理ポーズにおいて患者を位置照合する(register)ためにブロック204が実行される。患者を位置照合するとは、所望の空間ベクトルに沿って所定の処理画分が標的組織に到達するように、粒子放射線送達アセンブリに対して所定の並進的な及び回転的な方向性で患者を配向させる及び維持するプロセス及びシステムを表す。上述のように、ブラッグピークは概して粒子放射線が患者組織の所定の深さを通過した後に発生するので、粒子放射線が概して、放射線ビームのブラッグピークが標的組織の上流又は下流ではなく標的組織と一致するように、選択した標的アイソセンタでだけでなく、選択したアプローチベクトルに沿っても方向づけられることが意図される。ブロック106の位置照合プロセスの付加的な詳細な説明及び例示が、図5A及び図5Bに関してさらに詳細に以下に例示及び説明されるように、代表的な適切な放射線治療システム400のより詳細な説明と共に以下に提供される。
【0020】
ブロック106において所定の処理画分に対して患者が適切に位置照合されると、ブロック110が続いて行われ、1つ又は複数の粒子放射線処理画分が標的組織に方向づけられる。送達される線量は、標的組織中の、及び/又は標的組織に隣接した治療剤を少なくとも部分的に活性化及び/又は放出するように、選択される。治療用粒子放射線は、エネルギー伝達を行う粒子の単位路長当たりの伝達されるエネルギーの量を特徴とし得る。重イオン加速粒子は概して、約10keV/μm超〜100000keV/μm超の高線エネルギー付与(LET)と考えられるものを示す。低LET加速粒子は、概して数keV/μmを超えないLETを特徴とする。加速陽子は、概して低LETの光子と相対的に高LETの重イオンとの間である。幾つかの実施形態では、陽子は、ビームの入射口又はプラトーの領域が低LETを示し、LETはブラッグピークで約80keV/μmに上昇するという特徴を示す。上述したように、幾つかの実施形態は、LETが混合的であり低LET値から高LET値までの範囲を包含するように、拡大ブラッグピークを利用する。概して、LETがより高い粒子は、短い距離にわたるエネルギーのより集中的な放出のために、ナノスケールの粒子及び構造体に対してより大きな効果を示す。
【0021】
ブロック110において処理画分が送達された後に、ブロック112において、処理画分の追加を指示するかどうかの決定がなされる。幾つかの実施形態では、粒子放射線の送達は分割する必要がなく、単一線量の粒子放射線のみが所定の処理セッションで送達され得る。少なくとも何人かの患者に対しては、約20グレイ(Gy)〜25グレイの単一の非分割の処理線量が、適当な放射線線量を含む。幾つかの実施形態では、1処理画分当たり約2Gy等のより小線量の処理画分が、送達され得る。概して、このような分割処理の計画において、患者は、再位置決め及び再位置照合されることがあり、さらなる処理画分がブロック106及びブロック110の反復により投与される。しかし、各画分のために粒子放射線送達アセンブリに対して患者を移動する必要がないこと、及び複数の画分が所定のポーズに沿って送達され得ることが理解されるだろう。
【0022】
図2及び図3は、剤送達媒体200の実施形態の概略断面図をさらに詳細に例示する。図2により例示される実施形態では、送達媒体200はナノ構造体202を含む。ナノ構造体202は概してナノスケールの物体であり、実質的に固体であり得るか、又は1つ又は複数の内部の細孔若しくは空隙を示し得る。ナノ構造体202は、好ましくは生体適合性材料を含む。ナノ構造体202は、好ましくは比較的高いZ材料も含む。比較的高いZ材料は、粒子放射線衝撃との好ましい相互作用の望ましい特徴を示す。幾つかの実施形態では、ナノ構造体202は、金を含む。金は、金ナノ構造体と結合した成分の放出及び活性化を促進するための陽子ビームでの衝撃による二次的な低エネルギー電子の有用な放出を示す。他の実施形態ではナノ構造体202は白金を含むが、ナノ構造体202のための他の元素の組成物及び化合物が考えられ得る。
【0023】
送達媒体200は、標的組織と同調することができるようにナノ構造体と結合した1つ又は複数の体内剤も含む。幾つかの実施形態では、剤204は、1つ又は複数の抗癌剤等の治療剤を含む。幾つかの実施形態では、剤は、造影剤であって、該造影剤が放出/活性化された画像化した組織の画像を増強するための造影剤を含む。幾つかの実施形態では、剤は、1つ又は複数の放射性核種を含む。放射性核種は、活性化/放出されたときに陽電子を放射し該放射性核種を含有する画像化した組織の画像を増強するように、選択され得る。幾つかの実施形態では、剤204は、1つ又は複数の抗体を含み得る。例えば、抗体は、特定の腫瘍抗原に対して選択され得る。
【0024】
幾つかの実施形態では、送達媒体200は、外側のコーティング206をさらに含む。外側のコーティング206は、標的組織位置で送達媒体200の生体適合性と優先的な作用とを増強するように選択される。したがって、幾つかの実施形態では、外側の層206は送達媒体200のための保護用シェルとして作用し、送達媒体200は、多層の又はネステッド・コア/シェル構成を示す。
【0025】
幾つかの実施形態では、送達媒体200は、コロイド性の鋳型上における逆に帯電したマクロ分子の複数層の(layer by layer)並置により製造され得る。送達媒体200は、所望の厚さ、浸透性、 生体安定性及び生体適合性をもたらすために、合成の高分子電解質、天然の高分子、例えば多糖、ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチド、脂質、及び/又は多価造影剤を含むがこれらに限定されない付加的な層状材料をさらに含み得る。幾つかの実施形態では、送達媒体200は、少なくとも部分的に共有結合で形成される。入射粒子放射線は、直接的に、又は放射線誘発性の遊離基の間接的な作用を介して、共有結合を破壊するのに十分なエネルギーで電離する。幾つかの実施形態では、有機及び/又は無機の材料の外側の層206が、粒子放射線での衝撃が外側の層206を分解することにより剤層204を曝露及び放出するように、選択される。
【0026】
幾つかの実施形態では送達媒体200は、外側の層206の分解を促進するか、又はその代わりにナノ構造体202から剤204を放出/活性化するために、粒子放射線衝撃と組み合わせて生物学的なフィードバックプロセスを利用し得る。幾つかの実施形態では外側の層206は、ハイドロゲルと、1つ又は複数の選択された酵素とを含む。粒子放射線での衝撃により、外側のシェル206中のハイドロゲルから酵素の少なくとも一部分が放出される。外側のシェル206からの酵素の放出は、単一の酵素分子のみを含む、小さい数の酵素分子を含み得る。放出された酵素分子は、体内の環境中で、標的分子、例えばグルコースと反応する。酵素は、細胞環境と反応し、好ましくは概して局所的に、1つ又は複数の特徴の変化をもたらし得る。幾つかの実施形態では、酵素は、細胞環境と反応し、酸性の反応生成物を産生することにより局所的なpHを低下させ得る。幾つかの実施形態では、局所的なpHを低下させることが、外側の層206からのさらなる酵素分子の放出を誘発し、それによりフィードバック又は連鎖反応を引き起こし、送達媒体200からの荷卸し物(payload)すなわち剤204のより迅速な放出/活性化を促進する。
【0027】
幾つかの実施形態では、粒子放射線衝撃と組み合わせた外側の層206により提供されるフィードバックメカニズム又は引き金メカニズムが、腫瘍組織を特異的に標的化し得る。幾つかの実施形態では、粒子放射線での衝撃が、癌性腫瘍及び/又は腫瘍血管系において或る特定のタンパク質の産生を上方調節する。外側の層206における酵素は、上方調節されるタンパク質に対して基質特異性を有するように選択してもよく、反応を触媒しより低い局所的なpHをもたらすことができる。剤204の局所的な放出の効果は、標的組織中で腫瘍細胞に隣接する通常の健常な細胞に対して腫瘍細胞により特異的に選択性を有するので、このような実施形態は好ましい。これらの実施形態は、腫瘍細胞が連続的な塊を規定せずその代わりに剤204への曝露を回避することが好ましい健常組織と共に散在する場合には、特定の利点をもたらし得る。
【0028】
図3は、送達媒体200の代替的な構造体の概略断面図を例示する。図3に関して例示した送達媒体の或る特定の構造体、組成及び特徴は、図2に関して上で例示及び説明した送達媒体200の実施形態と実質的な類似性を共有し、このような類似性は理解を簡潔且つ容易にするために繰り返しの説明を行わない。図3に対して図2における送達媒体200の実施形態の主要な差異は、図3の実施形態が、図2に示すようにおよそ外部にあるのではなく、ナノ構造体202の内部で実質的に剤204を取り囲んでいることである。幾つかの実施形態では、ナノ構造体202は、剤204がナノ構造体202の1つ又は複数の細孔又は空隙内に存在するように、多孔性構造体を含む。他の実施形態では、ナノ構造体202は、固体であり得るか、又はメッシュ形態を含み得る、シェルを含む。選択した線量の粒子放射線での衝撃により、ナノ構造体のこのような窪んだシェル又はメッシュ構成は、開くか又は破裂し、剤204を放出する。
【0029】
図2及び図3で例示した送達媒体200の実施形態の間における1つの付加的な類似性は、個々の送達媒体200が不規則な形態を有し得ることである。幾つかの実施形態では、送達媒体200は概して球状であり得るが、広範な他の規則的及び不規則な形状が考えられ得る。多くの実施態様において、多数の送達媒体200が患者に導入され、したがってこのような実施形態において様々なサイズ及び形状を示すことがさらに理解されるだろう。しかし、上述のように幾つかの実施形態では、約100nm以下の主要寸法xが概して好ましく、幾つかの実施形態では、約50nmの平均主要寸法がより好ましい。約50nmのサイズは、少なくとも幾つかの実施態様では細胞中への取込みのために好ましいサイズであるが、これは本明細書で説明した様々な実施形態の顕著な利点及び利益を達成するためには必要ではない。
【0030】
幾つかの実施形態では、複数の剤204が送達媒体200中で組み合わされ得ることが理解されるだろう。例えば、送達媒体200が、組合せ薬剤処理治療を提供するために製造され得る。1つの非限定的な例では、5−フルオロウラシル及びシスプラチン等の放射線増感剤が、EGF及びPDGF受容体阻害剤等の生物学的に活性な薬剤と組み合わされ得る。例えば、PDGF受容体キナーゼ阻害剤イマチニブは、腫瘍中の間質液圧を減少させ、付随して送達される薬剤の取り込みの腫瘍特異的増大をもたらし得る。
【0031】
図4は、図1に関して上述した実施形態と組み合わせて、又はそれの代替形態として、実行され得る実施形態を例示する。図4は、画像により導かれる放射線治療のための方法300、すなわち簡潔さのために方法300の、実施形態を例示するフローチャートである。方法300は、ブロック102に関して上述したのと同様に、患者のための適当な処理計画の診断及び決定を概して含む開始ブロック302において開始する。
【0032】
ブロック304では、幾つかの実施形態では送達媒体200との同調により、決定した量の画像化増強剤が患者に導入される。上述のように、幾つかの実施形態では、剤204は、1つ又は複数の治療剤を含み得る。幾つかの実施形態では、剤204は、治療剤に加えて又はその代替物として、選択した組織の画像の促進又は増強に適した1つ又は複数の画像増強剤を含み得る。幾つかの実施形態では、剤204は、放出又は活性化した場合に関連組織の効果的な画像化密度を増大させる造影剤を含む。一実施形態では、剤204を含む造影剤は、粒子放射線での衝撃により放出される、複数の小さい金ナノ粒子を含み得る。幾つかの実施形態では、剤204は、PET及びCTの組合せと共に画像化され得る1つ又は複数の陽電子放射性核種を含み得る。比較的小さいサイズの送達媒体200に関しては、例えばナノスケールの寸法で、それらを妨害する入射陽子の数が、ポアソン分布に従って概して無作為に分布する。ナノスケールの送達媒体200の一画分のみが妨害されるように十分に小さい線量濃度を選択した場合、影響を受ける送達媒体の数は、送達された線量に対して概して線形に増大する。
【0033】
上述のように、方法300は、上述した方法100と組み合わせて実行され得る。したがって、任意のブロック104が、方法100に関して上述したのと実質的に同様に実行され得る。
【0034】
ブロック306においては、患者は、ブロック106に関して上述したのと同様に、少なくとも第1の所望の処理ポーズで位置照合される。ブロック310においては、ブロック110に関して上述したのとさらに同様に、少なくとも1つの粒子放射線処理画分が標的組織に送達される。
【0035】
ブロック312においては、標的組織の少なくとも1つの画像が得られ、該画像は隣接する非標的組織を含み得る。本明細書で説明した実施形態と共に有利に実行され得る広範な画像化システム及び方法論が利用可能であり、適当な画像化システム及び方法論の選択が当業者には容易に明らかである。
【0036】
ブロック314においては、ブロック312からの画像データを解析することにより、送達された粒子放射線の線量が検証され得る。例えば、剤204を含む造影剤及び/又は陽電子放射性核種が、ブロック310において提供される粒子放射線により活性化/放出され、画像増強剤204が活性化/放出された程度が顕著に低い隣接組織に対して、ブロック312において増強された画像を提供する。ブロック314で決定される増強の相対的な程度は、標的組織に実際に送達された粒子放射線の線量の独立した検証をもたらし、有益な検証機能を提供する。
【0037】
上述のように、放射線処理計画は分割することができ、幾つかの実施態様ではブロック316において処理画分の追加を指示するかどうかの決定がなされる。その場合、患者は、反復的なブロック306において再位置照合されることがあり、反復的なブロック310において付加的な処理画分を送達され得る。最終の処理画分が送達された場合には、又は非分割の処理送達を含む実施形態では、方法300はその後終了する。
【0038】
幾つかの実施形態では、送達媒体200は、腫瘍に対する特異的な方向に関して選択した材料を含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、送達媒体200は、腫瘍抗原に対して選択した抗体を含み得る。全身的に注射した抗体の特性を見出す腫瘍に応じてではなく粒子放射線での衝撃による、腫瘍に隣接する抗体の方向づけられた放出は、これらの実施形態において抗体を探す抗原を有する腫瘍のより効果的な標的化をもたらす。幾つかの実施形態では、剤204は、1つ又は複数の光子及び/又は陽電子放射性核種と関連する抗体を含む。したがって剤204は、腫瘍を特異的に標的化することができ、腫瘍に罹患した器官組織内で腫瘍小結節の画像化の増強をもたらすことができる。
【0039】
例えば、初期段階の前立腺癌は、それ以外には概して癌を有しない器官体積内の単一又は小さい数の微視的な癌巣を示し得る。カプロマブペンテチド、並びに前立腺特異的膜抗原(PSMA)、上方調節される糖タンパク質、及び前立腺腺癌に対するIn−標識化抗体を用いるSPECT画像化は、器官体積内での健常な非癌性組織の標的化を極力低減する一方で、癌巣の画像化の高度に特異的な増強をもたらし、癌巣に対する粒子放射線のさらにより特異的な標的化を促進することができる。
【0040】
図5A及び図5Bは、カリフォルニア州ロマリンダのLoma Linda University Medical Centerで現在用いられている陽子治療システムに基づく、且つその全体が参照により本明細書に援用される1989年9月26日発行の米国特許第4,870,287号明細書に記載の粒子放射線治療システム400の一実施形態の第1及び第2の方向性を概略的に例示する。放射線治療システム400は、悪性病変又は他の症状の治療のため、患者に対して1つ又は複数の角度又は方向性から患者体内の標的領域に対して治療用の放射線線量を送達するよう設計されている。システム400はガントリ402を含み、ガントリ402は放射線治療システム400の他の構成要素の取付及び支持のための通常半球状又は円錐台状の支持フレームを含む。ガントリ402の実施形態の構造及び操作に関する付加的な詳細は、米国特許第4,917,344号明細書及び同第5,039,057号明細書において見出すことができ、その両方の全体が参照により本明細書に援用される。
【0041】
また、システム400は、ガントリ402及びノズル404がガントリアイソセンタ420の周囲を比較的精度良く回転することができるようにガントリ402により取付及び支持されるノズル404を含む。また、システム400は、加速陽子のビーム等の放射線ビームを放射線ビーム軸440に沿って送達する放射線源406を含む。放射線ビームは、送達軸442に沿って送達される治療用ビームを規定するため、アパーチャ410を通過し、アパーチャ410で整形される。アパーチャ410はノズル404の遠位末端上に位置し、好ましくはアパーチャ410は治療用放射線療法の患者の特定の処方に対して具体的に構成され得る。或る特定の用途においては、異なる処理画分に対して複数のアパーチャ410が準備される。
【0042】
システム400は、本実施形態において、伸長位置と格納位置との間のガントリ402に対して格納可能な1つ又は複数のイメージャ(imager)412も含む。一実施態様においてイメージャ412は、患者の体を通過した入射X線放射線からのような画像情報を作成することができる市販の固相アモルファスシリコンX線イメージャを含む。イメージャ412の格納可能な態様は、イメージャ412が必要でない時には放射線源406の送達軸442からイメージャスクリーンを引っ込めることによりガントリ402の囲い内に付加的なクリアランスを提供する利点と、イメージャ412を放射線源406からの潜在的に有害な放射の経路の外に配置することによりイメージャ412に提供される遮蔽の必要性を低減する利点とをもたらす。
【0043】
また、システム400は、介在する患者組織を通過しイメージャ412により介在する材料の放射線画像を生成するように1つ又は複数のX線源軸444に沿って適当なX線放射線を選択的に放射する対応する1つ又は複数のX線源430を含む。画像化のためのX線源(複数可)430と治療のための放射線源406とにより利用されることが好ましい特定のエネルギー、線量、持続時間及び他の暴露パラメータは、様々な用途で変動するが、当業者により容易に理解及び決定されるだろう。
【0044】
この実施形態では、X線源430の少なくとも1つが、X線源軸444が送達軸442と名目上一致するように位置決めすることができるように、位置決め可能である。この実施形態は、処理視点と名目上同じ視点からの位置照合のための患者画像を作成する利点をもたらす。この実施形態は、第1のイメージャ412及びX線源430の対と、第2のイメージャ412及びX線源430の対とを互いに実質的に直交して配置する態様も含む。この実施形態は、以下にさらに詳細に説明するように、患者画像を2つの直交する視点で取得することができ位置照合精度を増大させることができる利点をもたらす。この画像化システムは、参照により本明細書に援用される米国特許第5,825,845号明細書及び同第5,117,829号明細書に記載されたシステムと同様とすることができる。
【0045】
また、システム400は、患者位置決め装置414と、患者位置決め装置414の遠位末端又は作業末端に取り付けられる患者ポッド416とを含む。適当な動作指示を受けると、患者位置決め装置414は、複数の並進的な及び回転的な軸で患者ポッド416を位置決めするように適応し、好ましくは患者ポッド416の配置に運動の全6自由度を提供するように、3つの直交する並進軸と、3つの直交する回転軸とで、患者ポッド416を位置決めすることができる。
【0046】
患者ポッド416は、患者ポッド416に対して患者のあらゆる相対的な動作を実質的に抑制するように、患者ポッド416における定位置に患者を確実に保持するように構成される。様々な実施形態において、患者ポッド416は、固定化装置及び/又は材料としての拡張可能なフォーム、バイトブロック及び/又は前面を覆うフェイスマスクを含む。患者ポッド416はまた、処理画分が患者ポッド416の端部又は遷移領域での送達を示す際に直面する困難性を低減するよう構成されるのが好ましい。
【0047】
これらの実施形態に適用したように、本発明の好ましい実施形態が本発明の基本的で新規な特徴を示し、説明し、指摘したが、例示した装置の詳細の形態において、本発明の精神から逸脱することなく様々な省略、置換及び変更が当業者によりなされ得ることが理解されるだろう。したがって、本発明の範囲は上記の説明に限定されるべきでなく、添付した特許請求の範囲により定義されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を送達する方法であって、
或る量の治療剤を患者に導入すること、及び
前記患者の標的組織に或る線量の粒子放射線を方向づけて該標的組織の遠位に対して該標的組織の近位の前記治療剤の作用を優先的に誘発すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記量の治療剤を導入することが、該治療剤と組み合わせた或る量のナノ粒子担体を導入することを含み、且つ該ナノ粒子担体が前記標的組織に該治療剤を運搬する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒子放射線での照射が前記ナノ粒子担体からの前記治療剤の放出を誘発する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノ粒子担体が少なくとも1つの外側のコーティングを含み、且つ前記粒子放射線での前記照射が、該ナノ粒子担体からの前記治療剤の前記放出を誘発するように該外側のコーティングの分解を誘発する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子放射線での前記照射による前記外側のコーティングの前記分解が前記標的組織の物理的特徴の局所的な変化を誘発し、且つ前記標的組織の変化した物理的特徴が前記外側のコーティングの前記分解と前記治療剤の前記放出とを加速する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記物理的特徴の変化がpHの局所的な変化を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記線量の粒子放射線の前記方向づけが、或る線量の加速陽子を方向づけることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記標的組織の上流及び下流に対して該標的組織内で前記線量の粒子放射線のエネルギーが優先的にデポジットされ、その結果前記粒子放射線が前記治療剤の前記作用とは独立に治療を提供するように、前記線量の粒子放射線を構成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記線量の粒子放射線が前記標的組織に対する1つ又は複数の所望の処理ベクトルに沿って方向づけられるように、前記患者を位置照合することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
或る量の画像化増強剤を前記患者に導入すること、並びに粒子放射線での照射中及び照射後の少なくとも1つに該患者を画像化することをさらに含み、該画像化増強剤は、前記標的組織の画像が該粒子放射線の送達された線量の関数として粒子放射線での前記照射に応答性を有し、その結果該送達された線量を該患者の該画像を解析することにより検証することができるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
造影ナノ粒子をナノ担体と組み合わせることにより、前記画像化増強剤を形成することを含み、その結果前記粒子放射線での衝撃により該ナノ担体から該造影ナノ粒子が放出され、前記標的組織の密度を増大させる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1つ又は複数の陽電子放射性核種をナノ担体と組み合わせることにより前記画像化増強剤を形成することを含み、その結果前記粒子放射線での衝撃により該1つ又は複数の陽電子放射性核種が該ナノ担体から放出され、該1つ又は複数の陽電子放射性核種を画像化することができる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ又は複数の陽電子放射性核種を腫瘍抗原に対して選択される抗体と組み合わせることにより前記画像化増強剤を形成することをさらに含み、その結果該抗体が前記標的組織内の癌巣を優先的に選択し、且つ1つ又は複数の陽電子放射性核種が前記標的組織内の非癌性組織に対して該癌巣の前記画像を増強する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ナノ構造体と、
生組織内で長期的に同調することができるように前記ナノ構造体と結合した体内剤とを含み、選択した線量の粒子放射線での衝撃が該ナノ構造体から該体内剤を放出する、体内剤送達媒体。
【請求項15】
前記ナノ構造体が金ナノ粒子を含む、請求項14に記載の体内剤送達媒体。
【請求項16】
前記体内剤が前記ナノ構造体の外部の周囲に配置された層を含む、請求項14に記載の体内剤送達媒体。
【請求項17】
外側のコーティングをさらに含み、その結果前記ナノ構造体と該外側のコーティングとの間に前記体内剤の層が介在する、請求項416に記載の体内剤送達媒体。
【請求項18】
前記体内剤送達媒体が、陽子放射線での衝撃により前記体内剤を放出するように構成される、請求項14に記載の体内剤送達媒体。
【請求項19】
前記ナノ構造体が1つ又は複数の内部の空隙を含み、且つ前記体内剤が少なくとも部分的に該1つ又は複数の空隙内に含有される、請求項14に記載の体内剤送達媒体。
【請求項20】
前記体内剤が治療剤を含む、請求項14に記載の体内剤送達媒体。
【請求項21】
前記体内剤が造影剤を含む、請求項14に記載の体内剤送達媒体。
【請求項22】
前記体内剤が放射性核種を含む、請求項14に記載の体内剤送達媒体。
【請求項23】
前記体内剤が腫瘍抗原に対して選択される抗体を含む、請求項14に記載の体内剤送達媒体。
【請求項24】
画像により導かれる放射線治療の方法であって、
或る量の画像化増強剤を患者に導入すること、
前記患者の標的組織に或る線量の粒子放射線を方向づけて、該標的組織の遠位に対して該標的組織の近位の前記画像化増強剤の作用を優先的に誘発すること、
前記標的組織を画像化すること、及び
前記標的組織に隣接する非標的組織の画像と比較して該標的組織の画像の増強の程度を解析することにより該標的組織に送達された粒子放射線の線量を検証すること、
を含む、方法。
【請求項25】
前記量の画像化増強剤を、前記標的組織の画像の増強の前記程度が概して前記送達された粒子放射線の線量の線形関数であるように選択する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
造影ナノ粒子をナノ担体と組み合わせることにより前記画像化増強剤を形成することを含み、その結果前記粒子放射線での衝撃により該ナノ担体から該造影ナノ粒子が放出され、前記標的組織の密度を増大させる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記造影ナノ粒子が金を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
1つ又は複数の陽電子放射性核種をナノ担体と組み合わせることにより、前記画像化増強剤を形成することを含み、その結果前記粒子放射線での衝撃により該1つ又は複数の陽電子放射性核種が該ナノ担体から放出され、該1つ又は複数の陽電子放射性核種を画像化することができる、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記1つ又は複数の陽電子放射性核種を腫瘍抗原に対して選択される抗体と組み合わせることにより前記画像化増強剤を形成することをさらに含み、その結果該抗体が前記標的組織内の癌巣を優先的に選択し、且つ1つ又は複数の陽電子放射性核種が前記標的組織内の非癌性組織に対して該癌巣の前記画像を増強する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記線量の粒子放射線が前記標的組織に対する1つ又は複数の所望の処理ベクトルに沿って方向づけられるように、前記患者を位置照合することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記画像増強剤が優先的に前記標的組織に集中するように、前記画像化増強剤を選択することをさらに含む、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2010−535084(P2010−535084A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520162(P2010−520162)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/071653
【国際公開番号】WO2009/018383
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(503042820)ローマ リンダ ユニヴァーシティ メディカル センター (21)
【Fターム(参考)】