説明

粒径及び蛍光の同時検出のための小型検出器

【課題】 従来のシステムよりも有効な集光光学部品を用いて、粒子蛍光により放射された光をより多く集光可能にする。
【解決手段】粒子検出及び分類システムが開示される。システムは、粒子によって散乱された光を測定することによって測定された粒子のサイズを求める。システムは同時に、粒子からの蛍光光を測定することによって、測定された粒子が生物学的であるのか又は非生物学的であるのか判断する。システムはパラボラ反射器と、任意選択的に球面反射器を用いて蛍光光を集光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本願は、2008年12月18日に出願され出願番号61/138,876号を有し「Simultaneous Particle Size And Fluorescence Detector」なる名称の同時係属米国仮出願の優先権を主張し、その内容全体を本願に参照として組み込む。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
[0002] 本発明は、概して、空中又は水中粒子を検出するためのシステム、より具体的には空中又は水中粒子を検出し、検出された粒子をサイズ及び生物学的状態によって分類するためのシステムに関する。本発明は、無菌製造設備といったクリーン環境における生物学的粒子又は汚染物質の検出及び分類に特に有用であるが、生物学的粒子の高速検出が好都合ないかなる環境において有用である。
【0003】
発明の背景
[0003] 様々な製造環境が、空気中の外来デブリの存在に対する厳しい管理を必要とする。例えば半導体製造では、空気中の粒子数及び粒径をある許容レベルにまで下げるために、大規模空気フィルタリングを使用する「クリーンルーム」を長年必要としてきている。他の製造環境も同様であるが明確に異なる要件を有する。例えば医薬品及び医療機器製造環境、病院、及び食品加工又は調理環境では、空気中の粒子の数を管理するだけでなく、生物学的粒子の最小化も特に重要である。例えば微生物汚染は医薬品のバッチ全体を使用不能にしてしまい、製造プロセスに相当な金銭的な損失をもたらしうる。したがって、医薬品又は医療機器の製造プロセスにおいて、汚染事象が生物学的又は非生物学的であるかに関する即時情報を含む、汚染事象の即時検出をもてることが有利である。このような機能は、生物又は化学テロ攻撃の対象となりうる郵便局又は他の政府施設でも有利である。
【0004】
[0004] サンプリング領域内の粒子によって散乱された光の量及び方向性を測定することによって流体中の粒子を検出する様々な検出器が設計されている。これらの検出器のうちの幾つかは、Hamburger他への米国特許番号第5,646,597号、第5,969,622号、第5,986,555号、第6,008,729号、第6,087,947号、及び第7,053,783号、並びにJiang他への米国特許第7,430,046号に記載される。これらの検出器は全て、ビームの一部が空気中の任意の粒子によって散乱されるような環境空気のサンプルを通る光ビームの誘導と、所定の粒径範囲に対応する所定の角度範囲に散乱された光だけを透過させるビーム遮断デバイスと、透過光を検出するための検出器と、が関連する。検出器において検出された光が所定レベルより上である場合にアラームが作動される。これらの検出器の幾つか、例えばJiang他への米国特許第7,430,046号に記載される検出器はさらに、光源光による照明によって測定された粒子内で励起された蛍光の測定を用いて、測定された粒子を生物学的か又は非生物学的か分類する。
【0005】
[0005] 散乱又は蛍光測定に依存する従来の粒子検出器は共通の課題に直面する。例えば散乱光の検出のために設計された検出器又は粒子計数器では、散乱光信号は、入射照明光源信号から抽出されなければならない。これには、非常に雑音の多い背景(レーザ源からのグレア)から弱い信号(小粒子からの散乱)を検出することが必要となる。さらに、同時に散乱及び蛍光の測定を提供する従来の粒子検出器は、(1)有用な信号が得られるためには十分な蛍光光を検出し、(2)検出された蛍光光によって生じた信号をシステム内の他の電気的又は光学的雑音から分けることができなければならない。
【0006】
[0006] これらの問題の幾つかは、測定されるべき粒子が低屈折率を有する空気又はガス以外のなんらかの流体中に懸濁している場合は悪化してしまう。測定されるべき粒子が例えば空気より高い屈折率を有する水中に懸濁している場合、様々な影響によって測定に利用可能な散乱光又は蛍光光の量が減少しうる。例えば流体ラインにおける導波性は、蛍光放射された、あるいは高い角度で散乱された光を捕捉しうる。さらに、流体と空気の境界、又は流体ラインと周囲空気の境界におけるフレネル反射は測定に利用可能な光量をさらに減少しうる。また、矩形断面を有する流体管の角又は円形断面を有する流体管の湾曲面は、検出器における信号対雑音比を悪化させるレンズ効果及び他の光学収差を引き起こしうる。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
[0007] 本発明は、概して、流体中に懸濁している粒子のサイズの測定を行う一方で、同時に粒子蛍光を用いて、測定された粒子が生物学的か又は非生物学的かを判断するシステム及び方法に関する。本発明の実施形態によるシステムは、従来のシステムよりも有効な集光光学部品を用いて、粒子蛍光により放射された光をより多く集光可能にする。
【0008】
[0008] 幾つかの実施形態では、本発明は粒子検出及び分類システムを含む。このシステムは、測定される流体を含むサンプリング領域と、サンプリング領域の第1の側における光源と、サンプリング領域の第2の側における第1の検出器と、サンプリング領域の第2の側における第2の検出器と、サンプリング領域の第1の側に位置する頂点を有し、かつサンプリング領域内に焦点を有するパラボラ反射器と、を含む。光源は、実質的にコリメートされた光を第1の軸に沿ってサンプリング領域に供給し、第1の検出器は所定の角度でサンプリング領域の第2の側の方向に散乱された光を測定し、パラボラ反射器はサンプリング領域内の被照明粒子により蛍光によって放射される光を集光しかつ集光された光を実質的にコリメートされた状態で第2のサンプリング領域の第2の側の方向に向け、第2の検出器はパラボラ反射器によって集光された蛍光光を測定する。
【0009】
[0009] 幾つかの実施形態は、サンプリング領域の第2の側に設置され、サンプリング領域内に位置する前焦点を有する散乱光集光レンズを含み、散乱光集光レンズを通過する散乱光が、第1の検出器によって捕捉される。他の実施形態では、散乱光集光レンズは、サンプリング領域内の粒子によって散乱された光をコリメートする。追加の実施形態は、散乱光集光レンズからのコリメート光を受取り、コリメート光を第1の検出器上に合焦させる散乱光集束レンズを含む。
【0010】
[0010] 他の実施形態は、サンプリング領域の第2の側において第1の軸上に配置されたビーム遮断デバイスを含み、ビーム遮断デバイスは、光源からの光がサンプリング領域から出た後に、光源からの光を捕捉する。幾つかの実施形態は、サンプリング領域の第2の側において第1の軸上に配置されたロングパスフィルタを含み、ロングパスフィルタは、サンプル領域内の被照明粒子による蛍光によって放射された光の波長を有する光を選択的に透過させる。幾つかの実施形態は、サンプリング領域の第2の側に設置され、パラボラ反射器からのコリメート光を受取り、コリメート光を第2の検出器に向ける蛍光光集光レンズを含む。
【0011】
[0011] 幾つかの実施形態では、第2の検出器、ビーム遮断デバイス、ロングパスフィルタ、及び蛍光光集束レンズの任意の組み合わせが、所定の角度範囲内で第2の側の方向に散乱された光を部分的に遮断するようなサイズにされ及び/又は配置される。幾つかの実施形態では、光源は、LED又はダイオードレーザであり、前記光源は約350nm〜410nmの波長で放射する。
【0012】
[0012] 幾つかの実施形態は、サンプリング領域の第2の側における球面反射器を含み、球面反射器は、パラボラ反射器の焦点と符合する湾曲中心を有する。幾つかの実施形態は、サンプリング領域が第1の検出器上に結像されるような光学パワー及び位置を有する散乱光集光レンズを含む。幾つかの実施形態は、パラボラ反射器からのコリメート光を受取り、コリメート光を第1の検出器上に合焦させる散乱光集光レンズを含む。
【0013】
[0013] 幾つかの実施形態では、サンプリング領域は、1.0より大きい屈折率を有する流体を運ぶ流体ラインによって画定される。幾つかの実施形態では、流体ラインは実質的に矩形の断面を有する。幾つかの実施形態では、球面反射器は、光源からの光と流体ラインの隅との相互作用に起因する迷光を捕捉するように配置された一対の光学的に吸収性のマスクを含む。幾つかの実施形態は、第1の検出器と光学的に連通する第1の円柱レンズと、第2の検出器に光学的に連通する第2の円柱レンズとを含む。
【0014】
[0014] 幾つかの実施形態は、粒子検出及び分類システムを含む。このシステムは、測定される流体を含むサンプリング領域と、サンプリング領域の第1の側における光源と、サンプリング領域の第2の側における第1の検出器と、サンプリング領域の第2の側における第2の検出器と、サンプリング領域の第1の側に位置する頂点を有し、かつサンプリング領域内に焦点を有するパラボラ反射器と、を含む。光源は、第1の軸を画定する、実質的にコリメートされた光を供給し、光源、サンプリング領域、第1の検出器、及び第2の検出器は第1の軸に沿って設置される。
【0015】
[0015] 幾つかの実施形態は、サンプリング領域の第2の側における球面反射器を含み、球面反射器は、パラボラ反射器の焦点と符合する湾曲中心を有する。
【0016】
[0016] 幾つかの実施形態は、測定される流体を含むサンプリング領域と、サンプリング領域の第1の側における光源と、サンプリング領域の第2の側における第1の検出器と、サンプリング領域の第2の側における第2の検出器と、サンプリング領域の第1の側に位置する頂点を有し、かつサンプリング領域内に焦点を有するパラボラ反射器と、第1の検出器と光学的に連通する第1の円柱レンズ及び第2の検出器に光学的に連通する第2の円柱レンズと、を有する粒子検出及び分類システムを含む。サンプリング領域は、流体を運ぶ流体ラインによって画定され、流体ライン又は流体は、1.0より大きい屈折率を有する。
【0017】
[0017] 幾つかの実施形態は、サンプリング領域の第2の側における球面反射器を含み、球面反射器は、パラボラ反射器の焦点と符合する湾曲中心を有する。幾つかの実施形態では、球面反射器は、光源からの光と流体ラインの縁との相互作用に起因する迷光を捕捉するように配置された一対の光学的に吸収性のマスクを含む。
【0018】
[0018] 本発明の実施形態によるシステムは、従来のシステム及び方法に対して幾つかの利点を与える。例えば本発明の実施形態によるシステムは、空気より高い屈折率を有する液体中に懸濁している粒子を測定するのにより適している。さらに、本発明の実施形態によるシステムは、空間をより効率よく使い、あらゆる集光が単一の軸に沿って生じるように構成されうる。これにより、本発明の実施形態による粒子検出器が単一の小型円筒パッケージ内に完全に収容されることを可能にする。さらに、あらゆる光学部品を単一の軸に沿って共同設置することによって、本発明の実施形態によるシステムは光学的に位置合わせすることがより容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
[0019] 本発明の実施は、図面と共に解釈されて以下の詳細な説明からより明らかとなろう。図中、同様の要素は同様の参照番号を有する。
【図1】[0020] 図1は蛍光光の集光用のパラボラ反射器を用いて同時蛍光及び散乱測定を行う本発明の一実施形態による光学システムの概略図である。
【図2】[0021] 図2は蛍光光の集光用のパラボラ反射器と折り返しミラーを用いて同時蛍光及び散乱測定を行う本発明の一実施形態による光学システムの概略図である。
【図3】[0022] 図3は全ての光学コンポーネントが同じ軸上に共同設置された蛍光測定を行う本発明の一実施形態による光学システムの概略図である。
【図4】[0023] 図4は集光用のパラボラ反射器及び球面反射器を用いて同時に蛍光及び散乱の測定を行う本発明の一実施形態による別の光学システムの概略図である。
【図5】[0024] 図5は蛍光光の集光用のパラボラ反射器及び球面反射器の両方を用いて蛍光測定を行う本発明の一実施形態による光学システムの概略図である。
【図6】[0025] 図6は本発明の一実施形態による同時に蛍光及び散乱の測定を行うための方法ステップを示すフロー概略図である。
【図7】[0026] 図7は本発明の一実施形態による球面反射器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
[0027] 本発明は、図面を参照して以下の記載における好適な実施形態において説明される。図中、同様の番号は同じ又は同様の要素を表す。本明細書における「一実施形態」、「実施形態」又は同様の表現への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するものである。したがって、本明細書における「一実施形態では」、「実施形態では」又は同様の表現の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態について言及しているわけではない。
【0021】
[0028] 説明する本発明の特徴、構造、又は特性は1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。以下の記載において、多数の具体的な詳細を列挙して本発明の実施形態の詳細な理解を与える。しかし、当業者であれば、1つ以上の具体的な詳述がなくとも、あるいは他の方法、コンポーネント、材料等を用いて、本発明は実施しうることは認識できるであろう。他の場合では、周知の構造、材料、又は操作は図示しないか又は詳細には説明せず、それにより本発明の特徴を曖昧にしてしまうことを回避している。
【0022】
[0029] 含まれるフロー概略図は概して論理的フロー図として示される。したがって、示される順序及びラベル付けされたステップは提示された方法の一実施形態を示すものである。図示された方法の1つ以上のステップ又はそれらの一部と、機能上、論理上、又は効果上等しい他のステップ及び方法が想到されうる。さらに、用いられている形態及び記号は方法の論理ステップを説明するために与えられ、かつ、方法の範囲を限定するものではないと理解される。フロー図では様々なタイプの矢印と線が用いられるが、これらも対応する方法の範囲を限定するものではないと理解される。実際には、幾つかの矢印又は他の結合子を用いて方法の論理的な流れのみを示しうる。例えば、ある矢印は、図示された方法の列挙されたステップ間の継続時間が指定されていない待機又はモニタリング期間を示しうる。さらに、特定の方法が起きる順序は、図示する対応するステップの順序に厳密に従っても従わなくてもよい。
【0023】
[0030] 図1は、本発明の一実施形態による粒子蛍光によって放射された光を集光するパラボラ反射器を含む粒子検出器を示す。図1のシステムは光源105を含む。一実施形態では、光源105は、270nm〜410nmの波長を有する出力を生成する。一実施形態では、光源105は、350nm〜410nmの波長を有する出力を生成する。一実施形態では、光源105は、約405nmの波長を有する出力を生成する。光源105のスペクトル特性は、光源105によって放射された光が、関心のサイズ範囲の粒子と相互作用する場合に、ミー(Mie)散乱を受けることが可能である特性である。さらに、光源105は、微生物及び他の生物学的粒子内の代謝物からの内在蛍光を励起可能な波長を有するように選択される。微生物及び他の生物学的粒子が蛍光性を示す幾つかの一次代謝物、すなわち、約270nmの励起波長で、約220nm〜約300nmの範囲で通常蛍光を発するトリプトファン、約240nmの励起波長で、約320nm〜約420nmの範囲で通常蛍光を発するニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NADH)、及び約200nmの波長で、320nm〜約420nmの範囲で通常蛍光を発するリボフラビンのうち少なくとも1つを含むという観察に基づいて、約270nm〜410nmの波長が選択される。細菌内生胞子の場合、ジピコリン酸(DPA)が約400nmの励起波長で、約320nm〜約420nmの範囲で通常蛍光を発する。約350nm〜約410nmの波長出力を有する光源は、上述した3つの一次代謝物のうちの2つ、すなわち、NADH及びリボフラビンと、DPAを確実に励起する。この波長帯域の選択によって、生物学的粒子おいて蛍光が発生されかつ検出されることを可能にするが、ディゼルエンジン排ガスや、粉塵又はベビーパウダーといった他の不活性粒子といった蛍光の非生物学的発生源の励起は排除される。
【0024】
[0031] 光源105は、ダイオードレーザといったレーザ、LED、又はランプといったスペクトル的にフィルタリングされた広帯域光源であってよい。光源105は、任意選択的にコリメート又はビーム成形光学部品を含んで、実質的にコリメートされた出力及び/又はビームの全域に実質的に平らな横断パワープロファイルを有する出力を生成しうる。任意選択的に光源105は、図1のシステムの他の要素付近に光を運ぶ光ファイバを含む。光ファイバを用いて遠隔に位置する光源から光を運ぶ場合、光ファイバの出力にコリメート又はビーム成形光学部品を任意選択的に設けてもよい。
【0025】
[0032] 光源105は、実質的にコリメートされた光ビームをサンプリング領域110に与える。光源110からの実質的にコリメートされたビームとサンプリング領域との交差は調査ゾーンを生成し、これはサンプリング領域の被照明部分である。測定される流体が空気又は他のガスである一実施形態では、サンプリング領域110は、サンプリング領域を通るガス流を与える2つの任意選択のガスノズル間の空間によって画定されうる。別の実施形態では、サンプリング領域110は、測定される液体がその中を流れる閉鎖チャネルによって画定される。閉鎖チャネル又は管は測定されている空気又は他のガスを運ぶために用いられてもよい。一実施形態では閉鎖チャネルは矩形ガラス管によって画定される。好適な実施形態による閉鎖チャネル又は管は、2×4mmの寸法を有する矩形断面を有する。別の実施形態では3×0.3mmの内部断面寸法を有するガラス管が用いられる。本明細書では「ガラス」という用語は、通常、排他的にではないが液体測定に用いられる閉鎖チャネル又は管を説明するために用いられるが、任意の光学的に透明材料が好適であり、本発明の実施形態の範囲内であるとみなされるべきである。ガラスに加えて、幾つかの実施形態では、例えば石英、溶融石英、又はプラスチックを用いてもよい。さらに、矩形断面を有する管を用いた特定の実施形態を説明してきたが、例えば円形断面を有する管といった他の形状も容認できる。本発明の実施形態は、1.0以上の屈折率を有する材料の任意のバー又はラインがサンプリング領域にある場合に、そのバーが管の閉鎖流体ラインであろうと、流体が管内にあろうと、又は液体が比較的高い圧力で2つのノズル間に注入されようと有利に動作する。
【0026】
[0033] 図1の実施形態では、システムは、空気中の粒子を測定するように構成されている。したがって、サンプリング領域110は、2つのノズル、すなわち、正圧下でサンプリング領域に空気を供給する入口ノズル112と、負圧下でサンプリング領域から空気を引き抜く出口ノズル114との間の空間によって画定される。流体内に含まれる粒子が実質的にコリメートな光によって調査される任意の空間が、本発明の実施形態の範囲内のサンプリング領域としてみなされるべきである。
【0027】
[0034] 光源105からの照明によって、サンプリング領域110内の粒子はミー散乱によって光を散乱させる。ミー散乱は、一般に粒径に反比例する角度で光を散乱させる。したがって、比較的小さい粒子が、比較的大きい粒子によって生成された散乱に対して高い角度で光を散乱させる。実際には、散乱光は、光源105から出るコリメートビームによって画定される軸を中心として円錐状にサンプリング領域110から出る。本発明の幾つかの実施形態では、様々な角度に散乱された光の量を用いて、光を散乱している粒子のサイズを求める。
【0028】
[0035] 図1のシステムは、散乱光集光レンズ115をさらに含む。一実施形態では、散乱光集光レンズは、平面側がサンプリング領域110に面して散乱光の集光及びコリメートに関連付けられる球面収差を最小限にするよう構成された平凸レンズである。散乱光集光レンズ115は、その前焦点面がサンプリング領域110と符合するように構成されかつ位置決めされることによって、サンプリング領域110内の粒子によって比較的高い角度において散乱された光を集光かつコリメートする。
【0029】
[0036] 図1のシステムは、散乱光集束レンズ120をさらに含む。散乱光集束レンズ120は、散乱光集光レンズ115から出るコリメート光を受取り、その光を散乱光検出器125上へと合焦させる。散乱光検出器125は検出器125に入射する散乱光量に比例した電気信号を発生させる。
【0030】
[0037] 図1のシステムは、パラボラ反射器130をさらに含む。パラボラ反射器130の形状は、光源105によって放射される実質的にコリメートな光のビームによって画定される軸上に位置する頂点に対して画定される。一実施形態では、パラボラ反射器130はその頂点に円形アパーチャを含み、それにより光源105からサンプリング領域110への光の伝播が遮られないようにする。パラボラ反射器130は、その焦点がサンプリング領域110の平面内に位置するように横方向に位置決めされる(すなわち、光源105からサンプリング領域110に伝播するコリメート光ビームによって画定される軸に沿って左から右に位置決めされる)。サンプリング領域110内で蛍光を放射する粒子は、光を等方的に放射する、つまり、全角度に等しい光学パワーで放射して球体を画定する。パラボラ反射器130は、サンプリング領域内の粒子からの蛍光によって放射された光の後方に放射された半球の少なくとも一部分を捕捉するように位置決めされる。後方に放射された半球全体を捕捉することはできない。これは、光源105からのビームの入力のために軸上にアパーチャがあることによる。幾つかの実施形態では、パラボラ反射器130は、サンプリング領域110の平面を越えて延在し、それにより前方球体となるよう前方に放射された光蛍光光の一部を集光する。この場合、反射器130は、入口ノズル112及び出口ノズル114のいずれか若しくは両方、又は、入口ノズル112及び出口ノズル114がパラボラ反射器130のボウルの外側に位置する場合は流体の流れ自体に、サンプリング領域110へのアクセスを与えるための第1のアパーチャ132及び第2のアパーチャ133を含む。或いは、測定される流体が液体である場合、反射器130は、例えばガラス管である閉鎖流体ラインの通路を可能にするよう第1のアパーチャ132及び第2のアパーチャ133を含む。別の実施形態では、ガラス管といった閉鎖管を用いて、空気又はなんらかの他のガスをサンプリング領域110の中を運ぶ。パラボラ反射器130によって集光される蛍光光は、実質的にコリメートされかつ前方方向に、すなわち、光源105から放射されたコリメートビームによって画定された軸に平行に向けられる。
【0031】
[0038] 図1のシステムは、ビーム遮断デバイス135をさらに含む。ビーム遮断デバイス135は、光源105によって放射された光がサンプリング領域110を通り伝播された後、光源105によって放射されたコリメートビームの更なる伝播を防ぐ。一実施形態では、ビーム遮断デバイス135は、光源105によって放射されたコリメートビームのビーム直径より幾分大きい直径を有する光学的に吸収性の材料で作られたディスクである。幾つかの実施形態では、ビーム遮断デバイス135は、黒い陽極酸化アルミニウムで作られたディスクである。他の実施形態では、ビーム遮断デバイス135は、光源105によって放射されライトボックス内に入る光が多重内部反射を受けるように構成された吸収性内部コーティングを有する小型ライトボックスである。或いは、ビーム遮断デバイスは、光源105によって放射された光を、図示する光学コンポーネントの外側のある位置に配置されたビームダンプへと向ける折り返しミラーである。或いは、ビーム遮断デバイス135は、吸収性内部コーティングを有する円錐形であり、ビームは開いた側から入る。ビーム遮断デバイス135は、光源105によって放射された光がサンプリング領域110を通り伝播された後は光源105によって放射されたコリメートビーム又はコリメートビームに起因する迷反射を防ぐ任意のデバイス又はデバイスの組み合わせであってよい。
【0032】
[0039] 図1のシステムは、ロングパス光学フィルタ140をさらに含む。一実施形態では、ロングパス光学フィルタ140は、特定の波長より長い波長を有する光を透過する一方で、特定の波長より短い波長を有する光を反射する反射干渉型フィルタである。フィルタ140のスペクトル特性は、蛍光によってサンプリング領域110内の粒子によって放射された光は透過される一方で、光源105によって放射された光と実質的に同じ波長を有する光は反射されるような特性である。蛍光は、励起波長より長い波長を有する光の放射をもたらすので、フィルタ140は、蛍光によって放射された光のみを通す一方で、光源105からの雑音(例えば迷反射)並びに低角度でサンプリング領域110内の粒子によって散乱された光を反射する。ロングパスフィルタ140をパラボラ反射器130によって発生されたコリメートビーム内に配置することによって、全ての光線がフィルタリングされてフィルタ140を法線入射で交差する。このことは、干渉フィルタの性能は高入射角において低下する傾向があるので有利である。一実施形態では、ビーム遮断デバイス135はフィルタ140に取り付けられる。
【0033】
[0040] 図1のシステムは、パラボラ反射器130によって発生されたコリメート蛍光光ビームを、光ファイバ147の端部上に合焦させる蛍光光集束レンズ145をさらに含む。光ファイバ147は、合焦された蛍光光を光電子倍増管(「PMT」)150に送信する。光電子倍増管は、システムによって集光された蛍光光量に比例する信号を発生させる。
【0034】
[0041] 検出される蛍光光量を最大限とするために、パラボラ反射器130の寸法は、パラボラ反射器によって発生されたコリメート蛍光光ビームがロングパスフィルタ140及び蛍光光集束レンズ145をオーバーフィルするように選択される。これは、光学雑音の形態で蛍光光が散乱検出器125に到達する可能性が生じる。この潜在的な問題は、幾つかの実施形態において、追加のスペクトルフィルタリング光学部品を組み込むことによって対処される。幾つかの実施形態では、追加の図示しないスペクトルフィルタリング光学部品は、例えば図示しないショートパスフィルタであって、散乱検出器125の光学路内に組み込まれて散乱検出器125が光源105と同じ波長を有する光のみを確実に検出する。
【0035】
[0042] 図1のシステムのコンポーネントは、特定角度範囲の散乱光のみが散乱光検出器によって検出されるように配置される。このことは幾つかの方法によって達成できる。例えば蛍光光集光コンポーネントは、低散乱角で散乱領域110から出る散乱光を遮断するようなサイズにされうる。このようにされると、蛍光光集光コンポーネントに当たらない程度に高い角度でありながら、散乱光集束レンズ120を捕捉するのに十分に低い角度で散乱された光は、散乱検出器125へと伝搬される。さらに又は或いは、光学的に非透過性の材料で作られた環状マスクを、散乱光検出路内に、例えば散乱光集束レンズ120上に配置してもよい。
【0036】
[0043] 図1のシステムは、蛍光光を、光ファイバを介してPMTに送るがこれは必要条件ではない。図2は、蛍光光を、軸外位置に置かれたPMTに向けるために折り返しミラーを用いる本発明の別の実施形態を示す。図2に示す実施形態では、光源205は、ハウジング202を通る実質的にコリメートされた光ビームでサンプリング領域210を調査する。光源205のスペクトル特性は、図1に対して上述した要件に従って選択される。図1のシステムと同様に、サンプリング領域210内の粒子が光を散乱させ、散乱された光は散乱光集光レンズ215によって集光される。集光された散乱光のコリメートビームは、図示しない散乱光集束レンズ220に向けられ、散乱光集束レンズ220は散乱光信号を散乱光検出器225上に合焦させる。
【0037】
[0044] 図1のシステムと同様に、サンプリング領域210における被照明粒子による蛍光の結果もたらされる光は、パラボラ反射器230によって集光される。図1のシステムと同様に、パラボラ反射器230は、光源205からの光が入るようにするアパーチャをその頂点に、かつ、サンプリング領域210への及びそこからの流体の流路を与えるためのアパーチャ232、233を含む。図2の例では、測定される流体は、例えばガラス管である閉鎖管234によって運ばれる。パラボラ反射器230の焦点は、サンプリング領域210内の被照明粒子からの蛍光によって放射された光がパラボラ反射器230によって集光されかつコリメートされるようにサンプリング領域210の平面内に位置決めされる。
【0038】
[0045] 一実施形態では、図2のシステムは、光源205によって放射されたコリメートビームの経路によって画定される軸に沿って配置されたビーム遮断デバイス235aとロングパスフィルタ240aを含む。ビーム遮断デバイス235a及びロングパスフィルタ240aは、図1に対して上述した機能と同じ機能を果たす。一実施形態では、図2のシステムは折り返しミラー255をさらに含み、この折り返しミラーは、パラボラ反射器230によって発生されたコリメート蛍光光ビームを、光源205によって放射されたコリメートビームの経路によって画定される軸に沿った元の進行路から90度に反射する。反射後、パラボラ反射器230によって発生されたコリメート蛍光光ビームは、蛍光光集束レンズ245によって合焦された後、PMT250への入力ポート上に合焦される。
【0039】
[0046] 別の実施形態では、ビーム遮断デバイス235b及びロングパスフィルタ240bが、システムの主光軸上ではなく蛍光光集束レンズ245に近接して設置される。追加の実施形態では、ビーム遮断デバイス235a及びビーム遮断デバイス235bは共に同時に用いられてシステム内の光学雑音を減少する。追加の実施形態では、ロングパスフィルタ240a及び240bは同時に用いられてシステム内の光学雑音を減少する。
【0040】
[0047] 図1と同様に、図2のシステムのコンポーネントは、特定角度範囲の散乱光のみが散乱光検出器によって検出されるように配置される。このことは幾つかの方法によって達成できる。例えば蛍光光集光コンポーネントは、低散乱角で散乱領域210から出る散乱光を遮断するようなサイズにされうる。このようにされると、蛍光光集光コンポーネントに当たらない程度に高い角度でありながら、散乱光集束レンズ220を捕捉するのに十分に低い角度で散乱された光は、散乱検出器225へと伝搬される。さらに又は或いは、光学的に非透過性の材料で作られた環状マスクを、散乱光検出路内に、例えば図示しない散乱光集束レンズ上に配置してもよい。
【0041】
[0048] 図2の有利な特徴は、ビーム遮断及びスペクトルフィルタリングコンポーネント、例えば要素235a及び240aを散乱光集光レンズ215内に作られたアパーチャ内に設置可能であることである。これにより、ハウジング202が全体的により小型化し、光学コンポーネントの位置合わせがより容易となる。
【0042】
[0049] 図1及び図2のシステムでは、PMT(すなわち蛍光検出器)は、システムの主光軸(すなわち光源によって発生されたコリメートビームによって画定される光軸)から外して設置しているがこれは必要条件ではない。図3は、PMTを含む全てのコンポーネントが同じ光軸上に設置されている本発明の蛍光検出システムを示す。
【0043】
[0050] 図3の実施形態では、光源305は、実質的にコリメートされた光ビームを用いてサンプリング領域310を調査する。光源305のスペクトル特性は、図1に対して上述した要件に従って選択される。図1のシステムと同様に、サンプリング領域310内の粒子が光を散乱させ、散乱された光は散乱光集光レンズ315によって集光される。集光された散乱光のコリメートビームは、下流の散乱光測定コンポーネント、例えば集束レンズ320、フォトダイオード325、及び図示しない様々なスペクトルフィルタに向けられる。
【0044】
[0051] 図1及び図2のシステムと同様に、サンプリング領域310における被照明粒子による蛍光の結果もたらされる光は、パラボラ反射器330によって集光される。図1及び図2のシステムと同様に、パラボラ反射器330は、光源305からの光が入るようにするアパーチャをその頂点に、かつ、サンプリング領域310への及びそこからの流体の流路を与えるためのアパーチャ332、333を含む。図2と同様に、図3の実施形態における流路はガラス管334によって与えられる。パラボラ反射器330の焦点は、サンプリング領域310内の被照明粒子からの蛍光によって放射された光がパラボラ反射器330によって集光されかつコリメートされるようにサンプリング領域310の平面内に位置決めされる。
【0045】
[0052] 図1のシステムと同様に、図3のシステムは、光源305によって放射されたコリメートビームの経路によって画定される軸に沿って配置されたビーム遮断デバイス335とロングパスフィルタ340を含む。ビーム遮断デバイス335及びロングパスフィルタ340は、図1に対して上述した機能と同じ機能を果たす。図3のシステムは、蛍光光をPMT350の入力ポート上に合焦させる蛍光光集束レンズ345をさらに含む。図3のシステムでは、蛍光光集束レンズ345及びPMT350は、光源305によって放射されたコリメートビームの経路によって画定される軸に沿って配置される。
【0046】
[0053] 図1と同様に、図3のシステムのコンポーネントは、特定角度範囲の散乱光のみが散乱光検出器によって検出されるように配置される。このことは幾つかの方法によって達成できる。例えば蛍光光集光コンポーネントは、低散乱角でサンプリング領域310から出る散乱光を遮断するようなサイズにされうる。このようにされると、蛍光光集光コンポーネントに当たらない程度に高い角度でありながら、散乱光集光レンズ315を捕捉するのに十分に低い角度で散乱された光は散乱検出器325へと伝搬される。さらに又は或いは、光学的に非透過性の材料で作られた環状マスクを、散乱光検出路内に、例えば散乱光集束レンズ上に配置してもよい。
【0047】
[0054] 図3の有利な特徴は、ビーム遮断及びスペクトルフィルタリングコンポーネント、例えば要素335及び340を散乱光集光レンズ315内に作られたアパーチャ内に設置可能であることである。さらに、蛍光光集束レンズ345もこのアパーチャ内に設置可能である。これにより、ハウジング設計が全体的により小型化し、光学コンポーネントの位置合わせがより容易となる。
【0048】
[0055] 図4は、改良された蛍光光の集光を有する本発明のシステムの別の実施形態を示す。上述したシステムと同様に、図4のシステムは、実質的にコリメートされた光のビームを用いてサンプリング領域410を調査する光源405を含む。光源405のスペクトル特性は、図1に対して上述した要件に従って選択される。図1のシステムと同様に、サンプリング領域410内の粒子が光を前方方向に散乱円錐体に散乱させ、サンプリング領域410内の生物学的粒子が蛍光光を等方的に放射する。図4の実施形態では、サンプリング領域410は、測定される粒子を含む流体を含むガラス管によって画定される。ここでは溶融石英ガラス管である流体ラインを図4に示すがこれは必要条件ではない。図4の集光コンポーネントは測定される流体が空気である場合でも全く同じ働きをする。
【0049】
[0056] 図4のシステムは、蛍光光を集光するパラボラ反射器430を含む。パラボラ反射器430はその頂点にアパーチャを含み、それにより光源405からの光が入るようにされる。パラボラ反射器430の焦点は、サンプリング領域410内の被照明粒子からの蛍光によって放射された光がパラボラ反射器430によって集光されかつコリメートされるようにサンプリング領域410の平面内に位置決めされる。上述した実施形態とは異なり、パラボラ反射器430は、サンプリング領域410から後方方向、すなわち光源405によって供給されるコリメート光ビームのサンプリング領域410への伝播方向とは反対の方向に進む光のみを集光するようにその範囲が制限されている。この制限された範囲によって、パラボラ反射器430は、サンプリング領域410に測定される流体を供給する流路と干渉しない。別の実施形態では、パラボラ反射器430はサンプリング領域410の平面を越えて延在する。この場合、パラボラ反射器430は流体ラインが通過することを可能にするアパーチャを含む。
【0050】
[0057] 図4のシステムは、球面反射器437をさらに含む。球面反射器437は、その湾曲中心がサンプリング領域410の平面内に設置され、かつパラボラ反射器430の焦点と符合するように配置される。球面反射器437は、蛍光によって前方方向に放射された光を、サンプリング領域に戻すように、したがってパラボラ反射器430の焦点に戻すように向け直し、そのような光はパラボラ反射器430によって集光されかつコリメートされる。さらに、球面反射器437は、前方方向に散乱された光の一部をサンプリング領域に戻すように、したがってパラボラ反射器430の焦点に戻すように向け直し、そのような光はパラボラ反射器430によって集光されかつコリメートされる。球面反射器437は、パラボラ反射器430によって向けられたコリメート蛍光ビーム及び散乱光が、光源405によってサンプリング領域410によって供給されるコリメートビームによって画定される軸に沿って図の右側に遮られることなく通過できるようにする軸方向のアパーチャを含む。
【0051】
[0058] 図4のシステムは、光源405によってサンプリング領域410に供給されるコリメートビームを遮断するように構成されたビーム遮断デバイス435をさらに含む。ビーム遮断デバイス435は、一実施形態では、光学的に吸収性材料で作られるディスクであるが、図1に対して上述したように、これは必要条件ではない。
【0052】
[0059] 図4のシステムは、ダイクロイックビームスプリッタ439をさらに含む。ダイクロイックビームスプリッタ439は、コリメート蛍光ビーム及び散乱光の経路内に位置決めされ、蛍光光の波長を有する光を透過する一方で、短い波長を有する散乱光を反射するように構成される。ダイクロイックビームスプリッタ439を通過後、コリメート蛍光光ビームは、一対の連続ロングパスフィルタ447にぶつかる。フィルタ対447による追加のフィルタリング後、ビームは、蛍光光集束レンズ445によってPMT450の入力ポート上に合焦される。上述したシステムと同様に、PMT450は、システムによって集められかつ検出された蛍光光量に比例する電気信号出力を生成する。
【0053】
[0060] 図4のシステムでは、蛍光によって放射された光の波長より短い波長を有する光は、ダイクロイックビームスプリッタ439によって反射される。この反射光は、サンプリング領域410内の粒子によって前方方向に散乱された光を含む。散乱光は、散乱光集束レンズ420によって合焦された後、散乱光検出器415上に合焦される。図4の実施形態では、上述した実施形態と同様に散乱光検出器415はフォトダイオードである。
【0054】
[0061] 図4のシステムのコンポーネントは、特定角度範囲の散乱光のみが散乱光検出器によって検出されるように配置される。このことは幾つかの方法によって達成できる。例えば球面反射器437の軸方向アパーチャが、サンプリング領域410から透過される角度範囲の上限を本質的に制限する。球面反射器427の軸方向アパーチャの直径は、高散乱角範囲に制限を課すように選択することができる。同様に、ビーム遮断デバイス435がサンプリング領域410から透過された光の角度範囲の下限を本質的に制限する。ビーム遮断デバイス435は、光源405からの直接光を遮断することを主たる目的とするが、その直径を増加して低角度で散乱された光も遮断することが可能である。さらに又は或いは、光学的に非透過性の材料で作られた環状マスクを、散乱光検出器内に、例えば散乱光集束レンズ420上に配置してもよい。
【0055】
[0062] 図4の構成では、蛍光検出器をシステムの主光軸上に配置しているが、これは必要条件ではない。ダイクロイックビームスプリッタ439の設計に応じて、PMT450及び散乱光検出器415の位置を交換してもよい。
【0056】
[0063] 図4の実施形態においてサンプリング領域410を画定するガラス管は、測定される流体が空気である場合には存在しない課題が幾つかある。ガラス管は、散乱光及び蛍光光の両集光光学システムの像面を横断して延在する。したがって、ガラス管は、フォトダイオード415及びPMT450において形成される像に非点収差をもたらす。この影響は、ガラス管が空気より大きい屈折率を有する液体を運ぶ場合に悪化する。この問題に対処するために、幾つかの実施形態は、フォトダイオード415及びPMT450の集束レンズ間に第1の円柱レンズ460及び第2の円柱レンズ465を用いる。円柱レンズ460、465は、サンプリング領域410にガラス管によってもたらされた非点収差の補正に役立つ。
【0057】
[0064] 図5は、サンプリング領域410の平面と有限共役で機能する散乱光検出器415を有する図4のシステムの別の実施形態を示す。図5のシステムでは、散乱光集束レンズ420の光学パワー及び位置は、散乱光検出器415とサンプリング領域410との間が有限共役で作用するように調節される。換言すれば、散乱光集束レンズ420は、サンプリング領域410の平面を、例えば球面又はパラボラ反射器といった光学路における介在光学部品の支援なく、散乱光検出器415の平面上に直接結像する。これは検出のためにより小さい散乱光の角度範囲を選択する効果がある。これは球面反射器437の中心アパーチャの角度より下で散乱された光のみが散乱光集束レンズ420によって強く集光されるからである。
【0058】
[0065] 図6は、本発明の一実施形態による同時粒子サイジング及び蛍光検出の方法のステップを説明する。動作原理は次の通りである。計器が環境空気、ガス(又は液体)を連続的にモニタリングして各個別の空中粒子のサイズをリアルタイムで測定し、かつ、その粒子が蛍光を放射するか否かを判断する。1つ以上の閾値が蛍光信号用に設定される。蛍光信号が設定パラメータ範囲外となる場合、粒子は不活性と分類される。蛍光信号閾値は、蛍光信号強度、粒子断面積の関数又は粒子容積の関数としての蛍光強度から選択される1つ以上のパラメータを含む。蛍光信号閾値が、1つ以上の設定閾値レベルを超過する又はそのレベルの範囲内となる場合、粒子は生物学的であると示される。粒径と蛍光信号強度の組み合わされたデータによって、粒子毎に微生物の有無が判断される。蛍光信号閾値についての他の特徴及び検討事項は、共同所有される、Morrell他への米国特許出願番号第12/268,366号に開示される。本明細書における開示内容と一貫性のあるこの特許出願の開示内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0059】
[0066] 図4及び図5に対して上述したように、サンプリング領域に配置された例えばガラス管である閉鎖管を用いることは幾つかの課題を呈する。上述した非点収差に加えて、光源からすぐに下流の閉鎖管は、管の表面から光源内への後方反射を不都合に生成しうる。光源がレーザである場合、これは一時的な不安定性の原因となりうる。この課題に対処するために、幾つかの実施形態は、光源に面する管の少なくとも任意の表面に反射防止を含む。管の出口面である下流面にも幾つかの実施形態では反射防止コーティングが施されてスループット及び信号対雑音比が高められる。さらに又は或いは、管の平らな表面が光源からのビームによって画定される軸に対して傾斜されてスプリアス再帰反射を横に向けて除去することができる。
【0060】
[0067] さらに、光源からのビームが管をオーバーフィルする場合、管の鋭い縁及び/又は角で不都合な散乱、屈折及び反射が生じうる。このことは、試験される流体を運ぶために矩形の管を用いる実施形態において特に問題である。本発明の実施形態は、管の上流面、すなわち、光源に面している表面上にマスク又はアパーチャを配置して管の角が確実に照明されないようにすることによってこれらの縁効果を最小限にする。幾つかの実施形態では、このマスク又はアパーチャは、管の上流面上に反射防止コーティングを配置するために用いられた化学蒸着プロセスと同じプロセスで堆積される。
【0061】
[0068] 図7は、例えば図4及び図5に対して上述したシステムである、本発明の実施形態によるシステムに用いられる球面反射器の平面又は軸方向図を示す。図7の図は、図4及び図5に対して説明された光源によって放射されたビームの光軸を見下ろしている。図7は、中心アパーチャ710を含む球面反射器705を示す。球面反射器705は、一対の横断マスクセクション720を含む。マスクセクション720は、試験下の流体を運ぶ管、すなわち図4及び図5に示すガラス管の長さに直交する平面に置かれる。図4及び図5の観点から、マスクセクション720は、図4及び図5の平面に直交する平面内にあり、光源によって発生されたビームによって画定される光軸を含む。上述したように、光源によって放射されたビームが管内の角にぶつかる、又は、管の内壁から多重反射されると、扇形の迷光が管の下流に発生されることが観察されている。この扇は平面的であり、ビームと管の4つの角を含む平面にほぼ限定される。マスクセクション720は、球面反射器705からの扇形の迷光の後方反射を吸収及び/又は阻止するように配置され、配置されないと、扇形の迷光がシステム内を伝播してしまう。
【0062】
[0069] 本発明の好適な実施形態を詳細に説明したが、当然ながら、これらの実施形態の修正及び適応が、以下の特許請求の範囲に記載するような本発明の範囲から逸脱することなく当業者には想到しうるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定される流体を含むサンプリング領域と、
前記サンプリング領域の第1の側における光源と、
前記サンプリング領域の第2の側における第1の検出器と、
前記サンプリング領域の第2の側における第2の検出器と、
前記サンプリング領域の前記第1の側に位置する頂点を有し、かつ前記サンプリング領域内に焦点を有するパラボラ反射器と、
を含み、
前記光源は、実質的にコリメートされた光を第1の軸に沿って前記サンプリング領域に供給し、前記第1の検出器は所定の角度で前記サンプリング領域の前記第2の側の方向に散乱された光を測定し、前記パラボラ反射器は蛍光によって前記サンプリング領域内の被照明粒子により放射される光を集光しかつ前記集光された光を実質的にコリメートされた状態で第2のサンプリング領域の前記第2の側の方向に向け、前記第2の検出器は前記パラボラ反射器によって集光された蛍光光を測定する、粒子検出及び分類システム。
【請求項2】
前記サンプリング領域の前記第2の側に設置され、前記サンプリング領域内に位置する前焦点を有する散乱光集光レンズをさらに含み、前記散乱光集光レンズを通過する散乱光が、前記第1の検出器によって捕捉される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記散乱光集光レンズが、前記サンプリング領域内の粒子によって散乱された光をコリメートし、
前記散乱光集光レンズからのコリメート光を受取り、前記コリメート光を前記第1の検出器上に合焦させる散乱光集束レンズをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記サンプリング領域の前記第2の側において前記第1の軸上に配置されたビーム遮断デバイスをさらに含み、当該ビーム遮断デバイスは、前記サンプリング領域から前記光源からの光が出た後、前記光源からの光を捕捉する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記サンプリング領域の前記第2の側において前記第1の軸上に配置されたロングパスフィルタをさらに含み、当該ロングパスフィルタは、前記サンプル領域内の被照明粒子による蛍光によって放射された光の波長を有する光を選択的に透過させる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記サンプリング領域の前記第2の側に設置され、前記パラボラ反射器からのコリメート光を受取り、前記コリメート光を前記第2の検出器に向ける蛍光光集光レンズをさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の検出器、前記ビーム遮断デバイス、前記ロングパスフィルタ、及び前記蛍光光集束レンズの任意の組み合わせが、所定の角度範囲内に前記第2の側の方向に散乱された光を部分的に遮断するようなサイズにされ及び/又は配置される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記光源が、LED又はダイオードレーザを含み、前記光源が約350nm〜410nmの波長で放射する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記サンプリング領域の第2の側における球面反射器をさらに含み、当該球面反射器は、前記パラボラ反射器の前記焦点と符合する湾曲中心を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記サンプリング領域が前記第1の検出器上に結像されるような光学パワー及び位置を有する散乱光集光レンズをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記パラボラ反射器からのコリメート光を受取り、前記コリメート光を前記第1の検出器上に合焦させる散乱光集光レンズをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記サンプリング領域が、1.0より大きい屈折率を有する流体を運ぶ流体ラインによって画定される、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記流体ラインが実質的に矩形の断面を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記球面反射器が、前記光源からの光と前記流体ラインの角との相互作用に起因する迷光を捕捉するように配置された一対の光学的に吸収性のマスクを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の検出器と光学的に連通する第1の円柱レンズと、前記第2の検出器に光学的に連通する第2の円柱レンズとをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
測定される流体を含むサンプリング領域と、
前記サンプリング領域の第1の側における光源と、
前記サンプリング領域の第2の側における第1の検出器と、
前記サンプリング領域の第2の側における第2の検出器と、
前記サンプリング領域の前記第1の側に位置する頂点を有し、かつ前記サンプリング領域内に焦点を有するパラボラ反射器と、
を含み、
前記光源は、第1の軸を画定する、実質的にコリメートされた光を供給し、
前記光源、前記サンプリング領域、前記第1の検出器、及び前記第2の検出器は前記第1の軸に沿って設置される、粒子検出及び分類システム。
【請求項17】
前記サンプリング領域の第2の側における球面反射器をさらに含み、当該球面反射器は、前記パラボラ反射器の前記焦点と符合する湾曲中心を有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
測定される流体を含むサンプリング領域と、
前記サンプリング領域の第1の側における光源と、
前記サンプリング領域の第2の側における第1の検出器と、
前記サンプリング領域の第2の側における第2の検出器と、
前記サンプリング領域の前記第1の側に位置する頂点を有し、かつ前記サンプリング領域内に焦点を有するパラボラ反射器と、
前記第1の検出器と光学的に連通する第1の円柱レンズ及び前記第2の検出器に光学的に連通する第2の円柱レンズと、
を含み、
前記サンプリング領域は、流体を運ぶ流体ラインによって画定され、前記流体ライン又は前記流体は、1.0より大きい屈折率を有する、粒子検出及び分類システム。
【請求項19】
前記サンプリング領域の第2の側における球面反射器をさらに含み、当該球面反射器は、前記パラボラ反射器の前記焦点と符合する湾曲中心を有する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記球面反射器は、前記光源からの光と前記流体ラインの前記縁との相互作用に起因する迷光を捕捉するように配置された一対の光学的に吸収性のマスクを含む、請求項19に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−513031(P2012−513031A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542515(P2011−542515)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/068866
【国際公開番号】WO2010/080642
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(510163961)バイオビジラント システムズ,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】