説明

粒状肥料

本発明は、粒状乾燥有機肥料の生産方法および該方法によって生産された肥料に関する。該方法には、6〜7のpHを有する泥炭を提供する工程;必要に応じて、4mmより大きいファイバーを除去するためにシーブで泥炭をふるい分けする工程;泥炭を塩基で処理し、混合物を形成する工程;混合物を有機酸、例えば、プロピオン酸、EDTA、アミノ酸、フルボ酸で処理する工程;次いで、6〜7にてpH緩衝化される粒状乾燥有機炭素肥料を生産するために混合物を造粒する工程が含まれる。該粒状肥料は、完全な肥料であり、世界中の有機農法に用いるのに許容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状有機肥料に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許公開番号WO 2007/072161は、泥炭を用いる乾燥有機肥料の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/072161号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良された乾燥有機肥料産物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、粒状乾燥有機肥料の生産方法であって、
1)6〜7、典型的には、6.8のpHを有する泥炭、好ましくはアスファルト泥炭を提供する工程;
2)必要に応じて、4mmより大きいファイバーを除去するために、好ましくは2mmより大きいファイバーを除去するためにシーブで泥炭をふるい分けする工程;
3)泥炭を塩基、例えば、NaOHまたはKOH、好ましくはNaOHで処理し、混合物を形成する工程;
4)混合物を有機酸、例えば、プロピオン酸、EDTA、アミノ酸、フルボ酸、好ましくはプロピオン酸で処理する工程;
5)混合物を混合する工程;次いで
6)6〜7、典型的には、6.5〜6.8にてpH緩衝化される粒状乾燥有機炭素肥料を生産するために混合物を造粒する工程を含む、方法が提供される。
【0006】
工程3)において、5〜20%、典型的には、5〜10%の最終容量の塩基の混合物を泥炭に加え、2〜10分、典型的には、±5分間混合する。
【0007】
工程4)において、1000kg当たり2〜10リットル(1〜10kg)、典型的には、5リットル(kg)の有機酸を加え、3〜5分間混合する。
【0008】
化学栄養素、例えば、カリウム、リン酸塩、カルシウム、マグネシウム、窒素源(硫酸アンモニウム)およびキレート微量栄養素は、必要なブレンド、例えば、8:3:5+Ca+Mg+微量元素にしたがって、混合工程5)の間に混合物に加えられうる。
【0009】
造粒工程6)は、1〜4mm、典型的には、2mmステンレス製メッシュおよび結合剤を用いてパン造粒機で行われうる。
【0010】
結合剤は、混合物の0.3重量%〜1重量%、典型的には、0.3重量%〜0.5重量%を構成してもよく、好ましくはデンプン、最も好ましくはトウモロコシデンプンである。
【0011】
該工程にて生産される顆粒は、典型的には、2〜6mm、好ましくは2〜4mmのサイズを有する。
【0012】
工程6)において、造粒される混合物は、典型的には、15〜20重量%、典型的には、18重量%の水分を含有する。
【0013】
本発明はまた、6〜7、典型的には、6.5〜6.8にてpH緩衝化される泥炭、好ましくはアスファルト泥炭を含有する、粒状乾燥有機肥料に関する。
【0014】
好ましくは、粒状乾燥有機肥料は、泥炭中炭素源によってキレート化またはクラスター化される栄養素を含有する。
【0015】
化学栄養素は、1種または複数のカリウム、リン酸塩、カルシウム、マグネシウム、窒素源(硫酸アンモニウム)およびキレート微量栄養素でありうる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の方法にしたがって、6〜7、典型的には、6.8のpHを有するアスファルト泥炭(湿地で成長する巨大植物(アシおよび木)が起源である泥炭)は、ファイバーを除去するために2〜4mmメッシュでふるい分けされる。次いで、20〜25%の水分含量を有する微粒子泥炭を、粒状乾燥有機肥料の製造の担体として用いる。ふるい分けされた泥炭の平均炭素含量は、45〜55%である。
【0017】
工程1
最終混合物の40〜60%の、ふるい分けされた泥炭を、ブレンダーに加える。最終容量5〜10%の水酸化アンモニウムを泥炭に加え、±5分間混合する。次いで、1000kg当たり5リットルまたは5kgのプロピオン酸(25%)またはEDTAを加え、3〜5分間混合する。次いで、栄養素(化学)、例えば、カリウム、リン酸塩、カルシウム、マグネシウム、窒素源(硫酸アンモニウム)およびキレート微量栄養素を、必要なブレンド、例えば、8:3:5+Ca+Mg+微量元素にしたがって、ブレンダー中泥炭に加える。加えた化学栄養素の総量に対する各元素の溶解度の割合が、溶解され、泥炭担体に吸収または泥炭担体に吸着されるに違いない。化学物質を加えたら、混合物が均質になるまで混合し続ける。
【0018】
工程2
次いで、混合物(18%の水分を含有)を、2mmステンレス製メッシュ、結合剤として0.3%〜0.5%トウモロコシデンプンを用いてパン造粒機で造粒し、大きさ2〜4mmの顆粒を得る。
【0019】
工程3
顆粒を、200℃〜400℃の温度にて気流中で乾燥する。次いで、顆粒を、造粒後に40℃まで冷却し、+/−8時間静置して、袋詰めする前に固める。
【0020】
粒状乾燥有機肥料は、完全な徐放性肥料である(全栄養素)。すべての栄養素が泥炭から放出されるにつれて栄養素が浸出または定着により消失するので、より少量の肥料は、必要とされており、粘土/土壌粒子からの陽イオン交換容量に曝されない。すべての栄養素は、泥炭担体中炭素源によってキレート化またはクラスター化される。6.5〜6.8にてpH緩衝化される粒状有機産物を用いることによって、特定の農作物に必要な栄養素が容易に利用可能であるので(露天水耕栽培)、土壌のpHは、植物への栄養素の有用性に大した役割を果たしていない。
【0021】
栄養素は担体から放出されるので、土壌中にある炭素は、土壌中の微生物およびミミズの栄養素として有用であり、そのため、有機質土壌のすべての恩恵を受けて土壌の有機炭素含量を増加させる。
【0022】
泥炭が完全に嫌気性堆肥されるので、動物の糞または堆肥と同じように窒素源陰性期間を経験しない。
【0023】
土壌の炭素含量の増加のさらなる利点は、線虫などの寄生生物が土壌中の炭素源を食べる結果、植物の根に対する損傷が極めて小さくなるということである。窒素結合微生物の集団が土壌中の炭素源を利用するとともに増加するにつれて、土壌中の自由生活細菌による窒素の結合はかなり強化されるので、必要とする施用窒素が極めて少なくなり、流水および地下水の汚染が低下する。
【0024】
これらの有機栄養素のさらなる利点は、植物に必要であるすべての栄養素が有機担体中で一緒に結合しうるので、特に、アフリカの自作農者にそれをより使いやすくすることである。
【0025】
粒状肥料は、完全な肥料であり、世界中の有機農法に用いるのに許容される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状乾燥有機肥料の生産方法であって、
1)泥炭を提供する工程
2)必要に応じて、4mmより大きいファイバーを除去するためにシーブで泥炭をふるい分けする工程;
3)泥炭を塩基で処理し、混合物を形成する工程;
4)混合物を十分量の有機酸で処理し、6〜7、典型的には、6.5〜6.8のpHにて混合物を緩衝化する工程;
5)混合物を混合する工程;次いで、
6)6〜7、典型的には、6.5〜6.8にてpH緩衝化される粒状乾燥有機炭素肥料を生産するために混合物を造粒する工程を含む、方法。
【請求項2】
泥炭がアスファルト泥炭である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
泥炭が6〜7のpHを有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
泥炭が6.8のpHを有する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
工程2)において、泥炭が2mmより大きいファイバーを除去するためにふるい分けされる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程3)において、塩基がNaOHまたはKOHである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程3)において、塩基がNaOHである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
工程4)において、有機酸が、プロピオン酸、EDTA、アミノ酸、フルボ酸である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程4)において、有機酸がプロピオン酸である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
工程3)において、泥炭が、十分量の有機酸で処理され、6〜7のpHにて混合物を緩衝化する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程3)において、泥炭が、十分量の有機酸で処理され、6.5〜6.8のpHにて混合物を緩衝化する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
工程3)において、5〜20%の最終容量の塩基の混合物が、泥炭に加えられる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程3)において、5〜10%の最終容量の塩基の混合物が、泥炭に加えられる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
工程3)において、泥炭が2〜10分間処理される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程3)において、泥炭が±5分間処理される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
工程4)において、1000kg当たり2〜10リットル(2〜10kg)の有機酸が加えられる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
工程4)において、泥炭が3〜5分間処理される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
化学栄養素、例えば、カリウム、リン酸塩、カルシウム、マグネシウム、窒素源(硫酸アンモニウム)およびキレート微量栄養素が、必要なブレンドにしたがって、混合工程5)の間に混合物に加えられる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
化学栄養素が、カリウム、リン酸塩、カルシウム、マグネシウム、窒素源(硫酸アンモニウム)またはキレート微量栄養素から選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
化学栄養素が、以下の割合:8:3:5+Ca+Mg+微量元素で加えられる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
造粒工程6)が、結合剤を用いてパン造粒機で行われる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
結合剤が、混合物の0.3重量%〜1重量%を構成する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
結合剤が、混合物の0.3重量%〜0.5重量%を構成する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
結合剤が、デンプンである、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
該方法にて生産される顆粒が、2〜6mmの大きさを有する、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
該方法にて生産される顆粒が、2〜4mmの大きさを有する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
工程6)において、造粒される混合物が、15〜20重量%の水分を含有する、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
工程6)において、造粒される混合物が、18重量%の水分を含有する、請求項27記載の方法。
【請求項29】
6〜7にてpH緩衝化される、泥炭を含有する粒状乾燥有機肥料。
【請求項30】
泥炭がアスファルト泥炭である、請求項29記載の粒状乾燥有機肥料。
【請求項31】
6.5〜6.8にてpH緩衝化される、請求項29または30記載の粒状乾燥有機肥料。
【請求項32】
泥炭中炭素源によってキレート化またはクラスター化される栄養素を含有する請求項29〜31のいずれか1項に記載の粒状乾燥有機肥料。
【請求項33】
化学栄養素が、1種または複数のカリウム、リン酸塩、カルシウム、マグネシウム、窒素源(硫酸アンモニウム)およびキレート微量栄養素から選択される、請求項32記載の粒状乾燥有機肥料。

【公表番号】特表2010−538957(P2010−538957A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524615(P2010−524615)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053684
【国際公開番号】WO2009/034545
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510071817)
【氏名又は名称原語表記】Willem Abraham VAN ROOIJEN
【出願人】(510071828)
【氏名又は名称原語表記】Louis Johannes KLUE
【Fターム(参考)】