説明

粒選別機の搬送装置

【課題】選別筒の網目を通過した屑粒をコンベア装置で搬出する際、屑粒の搬送方向の向きを簡単に変更できるようにする。
【解決手段】屑粒の搬送方向を変える場合、連結枠21の案内レール30に沿って搬出用コンベア4の係合レール28をスライドさせ、搬出用コンベア4を引き出す。この後、搬出用コンベア4の向きを反転させてから、連結枠21の案内レール30に差し込むようにスライドさせ、連結枠21に搬出用コンベア4を装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば穀粒や顆粒などを篩別仕分して、粒径の大小によって選別する粒選別機、特に、選別目的に応じて屑粒の搬送方向を変更可能な粒選別機の搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から例えば穀類などにおいて、米穀等の穀粒を粒径に応じて整粒と未熟粒等の屑粒とに選別する穀粒選別機が知られている。例えば、特許文献1,2で提案される選別機は、網目状の選別筒を回転自在に配置するとともに、この選別筒が、粒体の供給側が高く、排出側が低くなるように所要角度傾斜させて設置し、選別筒の内部に選別対象となる粒体を選別筒の供給側から供給し、選別筒の回転によって、選別筒の網目から通過した粒径の小さな屑粒を選別筒の長手方向下部に沿って配置したコンベア装置によって排出し、選別筒の網目から通過しない整粒は選別筒の傾斜によって排出側へと流下させて排出するようにしている。
【0003】
また、特許文献3には、整粒、枝梗付粒、脱ぷ粒の夫々を含む穀粒群を選別処理して、整粒、枝梗付粒、脱ぷ粒の夫々に分離するように構成された精選装置が開示されている。この精選装置は、穀粒群から枝梗付粒を分離除去する第1選別部と、第1選別部において前記枝梗付粒が分離除去された穀粒群を整粒と脱ぷ粒とに分離して整粒を回収する第2選別部とを上下多段に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−207996公報
【特許文献2】特開平10−202188公報
【特許文献3】特許第3538561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2の選別機又は特許文献3の精選装置は、単体又は上下二段の選別筒を通過した粒径の小さな屑粒をコンベア装置によって機体の外部に排出しているが、その搬送方向はコンベア装置の向きによって決定される。このため、一旦、装置を設置すると、屑粒の搬出方向を例えば右方向から左方向に変えることが不可能であり、その搬出方向を変更するには、装置全体を反転させて装置全体の向きを変える必要があるが、特に、特許文献3に示す上下二段の選別部を備える精選装置は大型で重く、装置の向きを変えてコンベア装置により屑粒の搬送方向を変える作業は極めて重労働であった。
【0006】
また、特許文献1,2で示す選別機は、選別方法として選別筒の網目から通過した粒径の小さな屑粒を選別筒の長手方向下部に沿って配置したコンベア装置によって排出する、といった最も一般的な選別方法であり、他方、特許文献3で示す精選装置は、上下二段の第1選別部と第2選別部を備え、第1選別部で選別した穀粒群を第2選別部で再選別する選別方法であり、通常、この種の選別装置は、選別目的に応じて1種類の選別方法しか選択することができず、多様な選別方法を選ぶことができない。しかし、選別した米穀を再度、選別したり、選別筒で篩別仕分した粒径の小さな米穀をさらに選別するといった需要もある。すなわち、顧客のニーズに応じて例えば、粒体を選別する選別ユニットと、この選別ユニットに粒体を供給する供給ユニットと、前記選別ユニットの網目を通過した基準値以下の粒体を排出する搬出用コンベアと、前記選別ユニットの網目から通過することなく選別ユニットから排出された基準を満たす整粒を搬出するシュートと、これら各構成部品を固定するベースを基本コンポーネントとし、この基本コンポーネントを任意に組み合わせて複数種の選別方法を選択可能とする場合、選別方法によってコンベア装置による屑粒の搬送方向を任意の方向に変更可能とすることは極めて有用である。
【0007】
そこで本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、選別筒を通過した屑粒をコンベア装置で搬出する際、屑粒の搬送方向の向きを簡単に変更可能とする粒選別装置の搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の粒選別装置の搬出装置は、胴周部を網目状として、供給側を高位に、排出側を低位となるように所要角度傾斜させて回転させる選別筒を備えた選別ユニットと、前記選別筒に選別対象となる粒体を供給する供給ユニットと、前記選別筒の網目を通過した基準値以下の粒体(以下、屑粒と称する)を受ける回収用ホッパの下部に配置して前記屑粒を排出する搬出用コンベアと、前記選別筒の網目から通過することなく選別筒から排出された基準を満たす粒体(以下、整粒と称する)を搬出するシュートと、前記回収用ホッパと前記搬出用コンベアとの間に位置して該回収用ホッパで受けた前記屑粒を前記搬出用コンベアへと案内する連結枠と、これら各構成部品を固定するベースを備え、前記回収用ホッパの長手方向に沿って前記搬出用コンベアをスライド自在に案内する案内手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の粒選別装置の搬出装置は、前記搬出用コンベアは、上部を開口した有底箱型の移送筒体と、この移送筒体内部に回転可能に軸支したスクリューと、このスクリューを回転する駆動モータと、移送筒体に接続された排出管とで構成するとともに、前記連結枠の開口部に臨む左右両側縁に水平フランジを有する段差状の案内レールを形成し、前記移送筒体の開口部に臨む左右両側縁に前記案内レールと係合する水平フランジを有する係合レールを形成し、この案内レールと係合レールによって前記案内手段を構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の粒選別装置の搬出装置は、前記連結枠が、前記粒選別装置の長手方向に対して直交方向の中心からずれるように屈曲し、この連結枠を介して装着した前記搬出用コンベアが前記粒選別装置の長手方向に対して直交方向の中心から前又は後ろに偏移した位置に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粒選別装置の搬出装置は、屑米を搬出する搬出用コンベアが回収用ホッパに対してスライド自在に組み付けられているため、屑粒の搬送方向を変える場合、一旦、回収用ホッパの案内レールに沿って搬出用コンベアの係合レールをスライドさせることによって回収用ホッパから搬出用コンベアを抜き取り、搬出用コンベアの向きを反転させて案内レールに差し込むようにスライドさせるだけで簡単に搬出用コンベアを着脱することができる。これにより、搬出用コンベアによる屑粒の搬送方向を簡単に変更(反転)することができる。
【0012】
さらに、回収用ホッパと搬出用コンベアとを中継する連結枠は搬出用コンベアの位置を前後(搬出用コンベアの軸方向に対して直交方向)の何れかに振り分けるように屈曲しているため、搬出用コンベアを粒選別装置の中心から手前側(前側)、あるは奥側(後側)に配置でき、搬出用コンベアのレイアウト変更も容易であり、例えば、基本コンポーネントを組み合わせ、その基本コンポーネントのレイアウトの変更によって複数種の選別方法から顧客が選別方法を選択するコンポーネント型粒選別機とする場合、基本コンポーネントのレイアウトの自由度をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例を示すベースユニットを正面方向から見た断面図である。
【図2】同上、ベースユニットを側面方向から見た断面図である。
【図3】同上、搬出用コンベアと連結枠との係合状態を示す拡大断面図である。
【図4】同上、基本ベースユニットを正面方向から見た断面図である。
【図5】同上、供給ユニットを示す斜視図である。
【図6】同上、選別方法を示す説明図であり、図6(a)は基本ベースユニット単体を用いた通常選別、図6(b)はベースユニット単体を用いた通常選別、図6(c)は二台のベースユニットの組み合わせによる多段選別、図6(d)はベースユニットと基本ベースユニットの組み合わせによる再選別、図6(e)は二台のベースユニットの組み合わせによる並列選別を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施例を説明する。なお、本実施例において、選別対象として米穀等の穀粒を粒径に応じて整粒と未熟粒等の屑粒に選別する場合を例として説明する。
【0015】
本発明は、粒体を選別する選別ユニット2、この選別ユニット2に粒体を供給する供給ユニット3、選別ユニット2の網目を通過した屑粒を排出する搬出用コンベア4、選別ユニット2で選別した整粒を搬出するシュート5と、これら各構成部品を固定するベース6を基本コンポーネントとし、これら基本コンポーネントを組み合わせ構成されるコンポーネント型粒選別機1であり、組み合わせの基本として単体の選別ユニット2を備えた基本ベースユニット7と、複数の選別ユニット2を多段に配置したベースユニット8を組み合わせて複数種の選別方法を選択可能としている。
【0016】
次に前記基本コンポーネントの具体的な構造について図1〜図5を参照して説明する。なお、図1及び図2はベースユニット8、図4は基本ベースユニット7を示している。ここで、基本ベースユニット7とベースユニット8は選別ユニット2の個数が異なる点において異なり、その実質的な構造は共通することから、主にベースユニット8のみを説明し、基本ベースユニット7についての詳細な説明を省略する。
【0017】
前記選別ユニット2は、全体が所要のメッシュからなる網目籠体で構成される円筒状の選別筒10と、この選別筒10を回転させる駆動モータ11とから成り、粒体の供給側が高位に、粒体の排出側が底位になるよう所要角度傾斜して前記ベース6に回転可能に設置されている。選別筒10は、選別対象である米穀等の品質、等級あるいは用途等に応じて網目サイズ(目幅)が決定され、網目から通過した基準以下の屑粒は搬出用コンベア4へと流下して搬出用コンベア4から機外へと搬出される。一方、選別筒10の網目から通過することなく低位の排出側へと搬送された整粒は選別筒10からシュート5に落下し、機外へと搬出される。また、ベースユニット8は上下2段の選別筒10,10が互いに平行となるようにベース6に回転自在に軸支されている。
【0018】
供給ユニット3は前記選別筒10,10の供給端部側10a(高位側)に位置してベース6に組み付けられており、粒体の投入ホッパ12と、この投入ホッパ12から二股状に分かれた供給管13,13を備えている。また、図5に示すように、一方の供給管13の端部が上部側に位置する選別筒10の供給側開口部に臨み、他方の供給管13の端部には、下部の選別筒10の供給側開口部に延びるフレキシブルパイプ14が接続されている。また、下段側の選別筒10の側方には、フレキシブルパイプ14から供給される粒体を受けるホッパ17が設けられており、投入ホッパ12に供給される粒体は供給管13,13から上下各選別筒10,10内へと供給される。
【0019】
基本ベースユニット7の供給ユニット3は、図4に示すように、粒体の投入ホッパ12と、この投入ホッパ12から前記選別筒10へと粒体を供給する選別筒用供給管18と、この選別筒用供給管18の下方に位置して投入ホッパ12からの粒体を前記搬出用コンベア4へと供給する搬出用コンベア用供給管19とを備えている。また、前記投入ホッパ12内にはダンパ16が回動自在に軸支されており、投入ホッパ12の外面に設けた操作レバー(図示せず)によって前記ダンパ16を回転させ、選別筒用供給管18と搬出用コンベア用供給管19の一方を閉じ、他方を開放することによって、粒体の供給先を選別筒10又は前記搬出用コンベア4の何れかに切り換える。なお、図4の実線においては、前記選別筒用供給管18を閉じて搬出用コンベア用供給管19を開放した状態を示しており、この状態においては、投入ホッパ12内に投入した粒体は搬出用コンベア用供給管19から搬出用コンベア4へと供給される。
【0020】
図1に示すように、前記下段側の選別筒10の下部には、この選別筒10の長手方向に沿って各選別筒10,10の網目を通過した屑粒を受ける逆台形状の屑粒回収用ホッパ20が配置され、この屑粒回収用ホッパ20と隣接して下段側の選別筒10の排出端部側10b(低位側)に臨む位置に整粒回収用ホッパ35が配置されている。また、前記屑粒回収用ホッパ20の下部には、屑粒回収用ホッパ20からの屑粒を搬出用コンベア4へと案内する連結枠21が固定されている。
【0021】
図2及び図3に示すように、前記連結枠21は搬出用コンベア4の位置を前後(搬出用コンベア4の軸方向に対して直交方向)の何れかに振り分けるように屈曲しており、搬出用コンベア4による屑粒の搬送方向に応じてベースユニット8の中心部からずれた前側又は後側の何れかの位置に搬出用コンベア4を配置する。すなわち、図2に示すように、ベースユニット8の中心部には前記整粒回収用ホッパ35と、この整粒回収用ホッパ35に連結した前記整粒排出用のシュート5が配置され、その整粒回収用ホッパ35及びシュート5を避ける位置に搬出用コンベア4を配置する必要があり、また、後述する粒体の選別方法によって搬出用コンベア4の位置を前後方向に振り分ける必要がある。さらに、連結枠21の下部に配置した搬出用コンベア4についても後述する粒体の選別方法によって屑粒の搬送方向が図2において右側又は左側の何れにも搬送できるように連結枠21に対して搬出用コンベア4がスライド自在に装着できる構造となっており、その搬出用コンベア4の案内手段の構成について図3を参照して説明する。
【0022】
図2、図3に示すように、搬出用コンベア4は、屑粒移送用のスクリュー22を回転可能に配設した移送筒体23と、スクリュー22を回転駆動する駆動モータ24と、移送筒体23に接続された排出管25によって構成されている。また、移送筒体23の左右上端部に位置して水平フランジ27を有する段差状の係合レール28が折曲形成され、他方、連結枠21の左右下端部には、水平フランジ29を有する段差状の案内レール30が折曲形成されており、これら係合レール28と案内レール30によって搬出用コンベア4をスライド自在に案内する案内手段を構成している。そして、連結枠21に搬出用コンベア4の移送筒体23を装着する場合、連結枠21の水平フランジ29に移送筒体23の水平フランジ27を重ねるようにして係合レール28と案内レール30を係合させ、案内レール30に沿って係合レール28をスライドさせることによって連結枠21に搬出用コンベア4の移送筒体23が連結され、連結枠21の所定位置に移送筒体23を移動させた後、連結枠21と移送筒体23とをボルト,ナット31によって固定する。なお、図中符号36は、ベース6の支持脚である。
【0023】
本発明における基本ベースユニット7又はベースユニット8は、通常の選別機と同様、投入ホッパ12に投入される粒体は選別筒10に供給され、粒体の粒径に応じて選別される。すなわち、選別筒10の網目を通過した粒径の小さな屑粒は、選別筒10の下部に配置した屑粒回収用ホッパ20に落下し、連結枠21から搬出用コンベア4へと案内され、スクリュー22の回転により、排出管25から排出される。一方、選別筒10の網目を通過することなく残った整粒は、選別筒10の傾斜に沿って選別筒10の排出端部側10bから整粒回収用ホッパ35に回収されるが、基本ベースユニット7とベースユニット8を組み合わせたコンポーネント型粒選別機1とすることによって顧客が望む選別目的に応じて複数の選別方法から最適な選別方法を選択することが可能である。その基本ベースユニット7とベースユニット8の組み合わせによる選別方法について説明する。
【0024】
前述した通り、例えば選別する粒体の処理量に応じて単体の選別筒10を備えた基本ベースユニット7又は上下二段の選別筒10を配置した多段型ベースユニット8を選択し、これら基本ベースユニット7又はベースユニット8を単体で用いれば図6(a)又は図6(b)で示すように、通常選別、すなわち、前述した通り、投入ホッパ12に投入した粒体を選別筒10で選別し、選別筒10の網目を通過した基準値以下の粒径の小さな屑粒を搬出用コンベア4で排出し、選別筒10を通過しなかった基準値以上の整粒を整粒回収用ホッパ35から機外に排出して例えば袋詰めされる。
【0025】
また、二台のベースユニット8,8によって粒体を多段階に渡って選別することができる。すなわち、図6(c)で示すように、ベースユニット8,8を横方向に併設し、一方のベースユニット8で選別した整粒を整粒回収用ホッパ35のシュート5から揚粒機構(図示せず)を備えた移送コンベア40によって他方のベースユニット8の供給ユニット3に連続供給し、他方のベースユニット8によって再度、粒体の選別することによって、より精度の高い選別が可能となる。この場合、併設した二台のベースユニット8,8の搬出用コンベア4は相互に隣接するように、一方のベースユニット8の連結枠21を前側、他方のベースユニット8の連結枠21を後側となるように調整し、二台のベースユニット8,8の搬出用コンベア4をコンポーネント型粒選別機1全体として中央に配置することが望ましい。
【0026】
また、ベースユニット8と基本ベースユニット7を組み合わせたコンポーネント型粒選別機1とし、一方のベースユニット8で選別して篩い落した屑粒を他方の基本ベースユニット7で選別することもできる。すなわち、図6(d)で示すように、ベースユニット8と基本ベースユニット7を横方向に併設し、一方のベースユニット8で選別して残った整粒を整粒回収用ホッパ35から搬出する一方、ベースユニット8で篩い落した屑粒を搬出用コンベア4の排出管25から揚粒機構(図示せず)を備えた移送コンベア40によって他方の基本ベースユニット7の供給ユニット3に連続供給して基本ベースユニット7の選別筒10で選別することによってサイズの異なる二種類の粒体を選別する再選別方法が可能となる。この場合、図6(c)で示した多段階選別のように、二台のベースユニット8,8の搬出用コンベア4をコンポーネント型粒選別機1の中央に寄せて配置する必要はないが、ベースユニット8と基本ベースユニット7のそれぞれの搬出用コンベア4の搬送方向は、相互に異なる方向としたほうが効率的である。すなわち、ベースユニット8と基本ベースユニット7のそれぞれの搬出用コンベア4の搬送方向を逆方向とすればベースユニット8から排出される整粒と基本ベースユニット7から排出される整粒及び屑粒の排出方向を揃えることができるため、極めて効率的である。なお、粒体の再選別において、ベースユニット8と基本ベースユニット7の排出効率からすれば図6(d)で示すように、ベースユニット8と基本ベースユニット7の搬出用コンベア4の搬送方向を変えたほうが有利となるが、再選別の機能の面からすれば必ずしもベースユニット8と基本ベースユニット7のそれぞれの搬出用コンベア4の搬送方向を異なるようにする必要はない。
【0027】
さらに、同時に二台のベースユニット8,8を稼動して選別処理速度(選別処理量)を高める並列選別も可能である。すなわち、図6(e)で示すように、二台のベースユニット8,8を併設し、それぞれのベースユニット8,8によって同時に粒体を選別することができる。なお、並列選別において、基本ベースユニット7を二台併設することも可能であるが選別処理量を高める目的において二段の選別筒10を備えたベースユニット8の組み合わせのほうが好ましい。この並列選別では、図6(c)で示した多段階選別と同様に、それぞれのベースユニット8,8の搬出用コンベア4はコンポーネント型粒選別機1の中央に寄せて配置するのが望ましい。
【0028】
以上のように、本発明では、粒体を選別する選別ユニット2、この選別ユニット2に粒体を供給する供給ユニット3、選別ユニット2の網目を通過した屑粒を排出する搬出用コンベア4、選別ユニット2で選別した整粒を搬出するシュート5と、これらを固定するベース6を基本コンポーネントとし、これら基本コンポーネントを組み合わせて、単体の選別筒10を備える基本ベースユニット7と、上下に複数の選別筒10を多段に配置したベースユニット8を構成し、この基本ベースユニット7とベースユニット8を任意に組み合わせてコンポーネント型粒選別機1とすることによって、顧客のニーズに応じて選別方法を選択することが可能である。すなわち、基本ベースユニット7又はベースユニット8単体を稼動させて通常選別する以外、二台のベースユニット8を併設して、一方のベースユニット8で選別した整粒を再度、他方のベースユニット8で再選別する多段選別、あるいはベースユニット8と基本ベースユニット7を併設して、一方のベースユニット8で選別して篩い落した屑粒を他方の基本ベースユニット7で選別する再選別、あるいは、同時に二台のベースユニット8(又は基本ベースユニット7)を併設してそれぞれのベースユニット8(又は基本ベースユニット7)で選別する並列選別といった顧客のニーズに応じて選別方法を選ぶことができる。また、コンポーネント型粒選別機1が占有する面積も少なく装置全体を小型化して省スペース化も可能であるとともに、顧客のニーズに応じた最適なレイアウトが可能となり、小規模経営農家用などにとっても多種多様な選別が可能となり、合理的である。
【0029】
また、前記基本ベースユニット7とベースユニット8の組み合せによっては屑米の搬出方向や、コンポーネント型粒選別機1に対する各搬出用コンベア4の前後方向の位置関係が異なるが、図2及び図3に示すように、搬出用コンベア4の配置を変える場合、屑粒回収用ホッパ20と搬出用コンベア4とを中継する連結枠21は搬出用コンベア4の位置を前後(搬出用コンベア4の軸方向に対して直交方向)の何れかに振り分けるように屈曲して屑粒回収用ホッパ20に対して着脱自在に取り付けられており、一方、屑米を搬出する搬出用コンベア4は、連結枠21に対してスライド自在に組み付けられているため、屑粒の搬送方向を変える場合、連結枠21の案内レール30に沿って搬出用コンベア4の係合レール28をスライドさせることによって連結枠21から搬出用コンベア4を抜き取り、搬出用コンベア4の向きを反転させて連結枠21の案内レール30に差し込むようにスライドさせるだけで簡単に搬出用コンベア4を着脱することができる。これにより、搬出用コンベア4のレイアウト及び搬出用コンベア4による屑粒の搬送方向を簡単に変更することができる。
【0030】
さらに、粒体を選別する場合、投入ホッパ12内に設けたダンパ16は、選別筒用供給管18を開放し、搬出用コンベア用供給管19を閉じるように粒体の供給先を制御しているが、選別筒用供給管18を閉じ、搬出用コンベア用供給管19を開放するようにダンパ16を切り換え操作することによって、投入ホッパ12内に供給される粒体は、選別筒10で粒体を選別することなく、基本ベースユニット7又はベースユニット8の搬出用コンベア4へと供給され、その搬出用コンベア4を単に粒体の移送用コンベアとしても利用することができ、より汎用性を高めることができる。
【0031】
以上、本発明の一実施例について詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、選別対象は米穀等の穀粒に限らず各種の粒体に適用可能である。さらに、連結枠21に対する搬出用コンベア4の案内構造などは適宜選定すればよい。
【符号の説明】
【0032】
1 コンポーネント型粒選別機
2 選別ユニット
3 供給ユニット
4 搬出用コンベア
5 シュート
6 ベース
7 基本ベースユニット
8 ベースユニット
10 選別筒
12 投入ホッパ
16 ダンパ
20 屑粒回収用ホッパ
22 スクリュー
23 移送筒体
24 駆動モータ
27,29 水平フランジ
28 係合レール(案内手段)
30 案内レール(案内手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴周部を網目状として、供給側を高位に、排出側を低位となるように所要角度傾斜させて回転させる選別筒を備えた選別ユニットと、前記選別筒に選別対象となる粒体を供給する供給ユニットと、前記選別筒の網目を通過した基準値以下の粒体(以下、屑粒と称する)を受ける回収用ホッパの下部に配置して前記屑粒を排出する搬出用コンベアと、前記選別筒の網目から通過することなく選別筒から排出された基準を満たす粒体(以下、整粒と称する)を搬出するシュートと、前記回収用ホッパと前記搬出用コンベアとの間に位置して該回収用ホッパで受けた前記屑粒を前記搬出用コンベアへと案内する連結枠と、これら各構成部品を固定するベースを備え、前記回収用ホッパの長手方向に沿って前記搬出用コンベアをスライド自在に案内する案内手段を設けたことを特徴とする粒選別装置の搬出装置。
【請求項2】
前記搬出用コンベアは、上部を開口した有底箱型の移送筒体と、この移送筒体内部に回転可能に軸支したスクリューと、このスクリューを回転する駆動モータと、移送筒体に接続された排出管とで構成するとともに、前記連結枠の開口部に臨む左右両側縁に水平フランジを有する段差状の案内レールを形成し、前記移送筒体の開口部に臨む左右両側縁に前記案内レールと係合する水平フランジを有する係合レールを形成し、この案内レールと係合レールによって前記案内手段を構成したことを特徴とする請求項1記載の粒選別装置の搬出装置。
【請求項3】
前記連結枠が、前記粒選別装置の長手方向に対して直交方向の中心からずれるように屈曲し、この連結枠を介して装着した前記搬出用コンベアが前記粒選別装置の長手方向に対して直交方向の中心から前又は後ろに偏移した位置に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の粒選別装置の搬出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−250144(P2012−250144A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122544(P2011−122544)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000132792)株式会社タイガーカワシマ (48)
【Fターム(参考)】