説明

粘度測定用血液採取器及び血液粘度測定装置

【課題】血液採取器内の採取血液を移し替える操作を省略できて、血液を採取したのち非常に短い時間で血液の粘度測定を開始することのできる粘度測定用血液採取器を提供する。
【解決手段】この発明に係る粘度測定用血液採取器10は、一端に採血口33が設けられ、他端が開放されてなる管状の採取容器3と、前記採取容器の採血口33に取り付けられた採血針4と、前記採取容器3内に摺動可能に収納されたプランジャー8とを備え、前記プランジャー8は、落体通過用通路15が形成された摺動部14と、該摺動部14に着脱自在に取り付けられた閉塞部16とを有し、該閉塞部16は、前記摺動部14に取り付けられた状態において該摺動部の落体通過用通路15と外部との連通状態を閉止するものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、血液を採取したのち非常に短い時間で血液の粘度測定を開始することを可能ならしめる粘度測定用血液採取器及び血液粘度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人の血液の粘度に関して非常に関心が高まっている。例えば、一般に「ドロドロ血液」では健康状態が良くない状態であるとされ、これを「サラサラ血液」にするために効果のある食品や成分の紹介が新聞やテレビ等で多く行われている。このような血液の粘度特性を把握することができれば、血液疾患の予測が可能になったり、病気を早期に発見することも可能になると言われている。
【0003】
従来、流体の粘度を測定する装置としては、流体を満たした円筒状測定容器内を落下する円柱状落体の落下終端速度を測定することにより流体の粘度を求める落体式粘度測定装置が公知である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−219973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記粘度測定装置を用いて血液の粘度を測定する際には、例えば、人等の動物の体に血液採取器の採血針を刺し入れて血液採取器内に血液を採取した後、この血液採取器内の採取血液を粘度測定装置の測定容器内に移し替えて粘度測定を開始することになる。
【0005】
一般に、血液は、空気に触れると凝固作用によって徐々に凝固していくことから、通常の血液検査においては採取血液に抗凝固剤を添加している。この抗凝固剤の添加は、成分分析にはそれほど影響しないが、血液の状態を評価する粘度測定には大きく影響する。そのため、血液の粘度を測定するためには、抗凝固剤を添加せず、且つ血液の凝固が始まらないように血液を採取してから3分以内に粘度測定を完了するのが望ましい。いずれにせよ血液の粘度測定を精度高く行うためには、血液採取後できるだけ速やかに(短時間で)粘度測定を開始することが重要である。
【0006】
しかるに、上記粘度測定装置では、血液の粘度測定に際し、血液採取器内に採取した血液を粘度測定装置の測定容器内に移し替える操作を要するために、血液を採取してから3分を超えないまでも、粘度測定開始までに少なからず時間を要するものとなっていた。また、採取血液の測定容器内への移し替えの際に、採取血液の空気との接触機会が増大して血液凝固を促進させることも懸念されるところである。
【0007】
このような背景から、血液を採取してから粘度測定を開始するに至るまでの時間を短縮できる手段、方法の開発が求められていた。
【0008】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、血液採取器内の採取血液を移し替える操作を省略できて、血液を採取したのち非常に短い時間で血液の粘度測定を開始することのできる粘度測定用血液採取器及び血液粘度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1]一端に採血口が設けられ、他端が開放されてなる管状の採取容器と、
前記採取容器の採血口に取り付けられた採血針と、
前記採取容器内に摺動可能に収納されたプランジャーとを備え、
前記プランジャーは、落体通過用通路が形成された摺動部と、該摺動部に着脱自在に取り付けられた閉塞部とを有し、該閉塞部は、前記摺動部に取り付けられた状態において該摺動部の落体通過用通路と外部との連通状態を閉止するものであることを特徴とする粘度測定用血液採取器。
【0011】
[2]前記閉塞部は棒状に形成されてなり、この閉塞部の先端側にプランジャー操作部が設けられている前項1に記載の粘度測定用血液採取器。
【0012】
[3]前項1または2に記載の粘度測定用血液採取器と、略針状落体と、前記血液採取器の採取容器内を落下する略針状落体の落下終端速度又は落下加速度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする血液粘度測定装置。
【0013】
[4]前項1または2に記載の粘度測定用血液採取器と、密度の異なる複数の略針状落体と、前記血液採取器の採取容器内を落下する略針状落体の落下終端速度又は落下加速度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする血液粘度測定装置。
【0014】
[5]前記採血針は、前記採取容器の採血口に着脱自在に取り付けられ、前記採取容器の採血口の内径は、前記略針状落体の外径より大きく且つ4mm以下の範囲に設定されると共に、前記採取容器に連接して配置される落体回収容器を備えることを特徴とする前項3または4に記載の血液粘度測定装置。
【0015】
[6]前記採取容器の底面の中心部に前記採血口が設けられ、前記採取容器の底面は、その周縁部から中心部の採血口に向かって上から下に傾斜する傾斜面に形成されている前項5に記載の血液粘度測定装置。
【0016】
[7]所定温度に制御された液体が循環供給される恒温槽をさらに備える前項3〜6のいずれか1項に記載の血液粘度測定装置。
【0017】
[8]前記検出手段は、前記恒温槽に固定されている前項7に記載の血液粘度測定装置。
【0018】
[9]前記略針状落体は、密度1.0g/cm3以上の錘を中に封入した合成樹脂製の略針状体からなる前項3〜8のいずれか1項に記載の血液粘度測定装置。
【0019】
[10]前記略針状体を構成する合成樹脂がオレフィン樹脂である前項9に記載の血液粘度測定装置。
【0020】
[11]開口端側に落体通過用通路が設けられた有底管体からなる採取容器と、前記採取容器の開口端に着脱自在に取り付けられた閉塞部とを備え、前記閉塞部は、前記採取容器の開口端に取り付けられた状態において前記落体通過用通路と外部との連通状態を閉止するものであることを特徴とする粘度測定用血液採取器。
【0021】
[12]一端に開口が設けられ、他端側に落体通過用通路が設けられた管状の採取容器と、前記採取容器の一端の開口に取り付けられた密封栓と、前記採取容器の他端に着脱自在に取り付けられた閉塞部とを備え、前記閉塞部は、前記採取容器の他端に取り付けられた状態において前記落体通過用通路と外部との連通状態を閉止するものであることを特徴とする粘度測定用血液採取器。
【0022】
[13]前記開口は採血口である前項12に記載の粘度測定用血液採取器。
【0023】
[14]前項11〜13のいずれか1項に記載の粘度測定用血液採取器と、略針状落体と、前記血液採取器の採取容器内を落下する略針状落体の落下終端速度又は落下加速度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする血液粘度測定装置。
【0024】
[15]前項11〜13のいずれか1項に記載の粘度測定用血液採取器と、密度の異なる複数の略針状落体と、前記血液採取器の採取容器内を落下する略針状落体の落下終端速度又は落下加速度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする血液粘度測定装置。
【0025】
[16]前記密封栓は、前記採取容器の採血口に着脱自在に取り付けられ、前記採取容器の採血口の内径は、前記略針状落体の外径より大きく且つ4mm以下の範囲に設定されると共に、前記採取容器に連接して配置される落体回収容器を備えることを特徴とする前項14または15に記載の血液粘度測定装置。
【0026】
[17]所定温度に制御された液体が循環供給される恒温槽をさらに備える前項14〜16のいずれか1項に記載の血液粘度測定装置。
【0027】
[18]前記検出手段は、前記恒温槽に固定されている前項17に記載の血液粘度測定装置。
【0028】
[19]前記略針状落体は、密度1.0g/cm3以上の錘を中に封入した合成樹脂製の略針状体からなる前項14〜18のいずれか1項に記載の血液粘度測定装置。
【0029】
[20]前記略針状体を構成する合成樹脂がオレフィン樹脂である前項19に記載の血液粘度測定装置。
【発明の効果】
【0030】
[1]の発明では、採取容器内に血液を採取した後は、閉塞部を摺動部から離脱せしめて該摺動部の落体通過用通路を介して略針状落体を採取容器内に導入するだけで粘度測定を開始することができるので、この粘度測定用血液採取器を用いれば、血液を採取したのち非常に短時間で血液の粘度測定を開始することができる。
【0031】
[2]の発明では、閉塞部が簡単な構成からなり、その先端側にプランジャー操作部を設けるだけで良いから、低コストである。
【0032】
[3][4]の発明では、採取容器内に血液を採取した後は、閉塞部を摺動部から離脱せしめて該摺動部の落体通過用通路を介して略針状落体を採取容器内に導入するだけで粘度測定を開始することができ、血液の粘度測定に際し従来技術のように血液採取器内の採取血液を粘度測定装置の測定容器内に移し替える操作をする必要がないので、この血液粘度測定装置を用いれば、血液を採取したのち非常に短時間で血液の粘度測定を開始することができる。従って、この血液粘度測定装置を用いれば、血液の粘度測定を精度高く行うことが可能となる。更に[4]の発明では、密度の異なる複数の略針状落体を用いて測定できるので、血液の粘度測定をより精度高く行うことができる。
【0033】
[5]の発明では、採血口の径は4mm以下に設定されているから、血液が採取容器から落体回収容器内に流れ込む(流出する)のを防止することができると共に、採血口の径は、略針状落体の外径より大きく設定されているから、この採血口は落体の通過を許容し、採取容器に連接して設けた落体回収容器に落体を回収することができる。このような落体回収容器を設けない構成では、落体の測定本数を増やすためには採取容器内にこれら落体を収容するためのスペースが必要となることにより必然的に採取容器の内容量を大きくして採取血液量を多くしなければならず、少量の血液採取量でもって粘度測定することは困難であるが、本構成を採用すれば、落体の測定本数を増やした場合でも、測定が終わった落体を順次落体回収容器内に回収できるので、少量の血液採取量でもって粘度測定することが可能となる。
【0034】
[6]の発明では、採取容器の底面は、その周縁部から中心部の採血口に向かって上から下に傾斜する傾斜面に形成されているから、採取容器内を落下してきた略針状落体を採取容器底面の採血口にスムーズに誘導案内することができる。
【0035】
[7]の発明では、所定温度に制御された液体が循環供給される恒温槽をさらに備えるから、一定の温度条件の中での血液の粘度測定が可能になる。
【0036】
[8]の発明では、検出手段は恒温槽に固定されているから、装置の小型化を図り得ると共により精度の高い粘度測定を行い得る。
【0037】
[9]の発明では、略針状落体は、密度1.0g/cm3以上の錘を中に封入した合成樹脂製の略針状体からなるので、略針状落体の表面に血液がこびり付くことがなく、従って血液の粘度測定を精度高く行うことができる。
【0038】
[10]の発明では、略針状体を構成する合成樹脂がオレフィン樹脂であるので、落体の表面への血液のこびり付きを確実に防止することができ、これにより血液の粘度測定の精度をさらに向上させることができる。
【0039】
[11]の発明では、一端が皮膚に刺し入れられた針の他端を閉塞部に貫通せしめることによって採取容器内に血液を採取した後は、閉塞部を採取容器から離脱せしめて採取容器の落体通過用通路を介して略針状落体を採取容器内に導入するだけで粘度測定を開始することができるので、この粘度測定用血液採取器を用いれば、血液を採取したのち非常に短時間で血液の粘度測定を開始することができる。
【0040】
[12]の発明では、一端が皮膚に刺し入れられた針の他端を密封栓又は閉塞部に貫通せしめることによって採取容器内に血液を採取した後は、例えば閉塞部を採取容器から離脱せしめて採取容器の落体通過用通路を介して略針状落体を採取容器内に導入するだけで粘度測定を開始することができるので、この粘度測定用血液採取器を用いれば、血液を採取したのち非常に短時間で血液の粘度測定を開始することができる。
【0041】
[13]の発明では、一端が皮膚に刺し入れられた針の他端を密封栓(採血口に取り付けられた密封栓)に貫通せしめることによって採取容器内に血液を採取した後は、例えば閉塞部を採取容器から離脱せしめて採取容器の落体通過用通路を介して略針状落体を採取容器内に導入するだけで粘度測定を開始することができるので、この粘度測定用血液採取器を用いれば、血液を採取したのち非常に短時間で血液の粘度測定を開始することができる。
【0042】
[14][15]の発明では、採取容器内に血液を採取した後は、例えば閉塞部を離脱せしめて落体通過用通路を介して略針状落体を採取容器内に導入するだけで粘度測定を開始することができ、血液の粘度測定に際し従来技術のように血液採取器内の採取血液を粘度測定装置の測定容器内に移し替える操作をする必要がないので、この血液粘度測定装置を用いれば、血液を採取したのち非常に短時間で血液の粘度測定を開始することができる。従って、この血液粘度測定装置を用いれば、血液の粘度測定を精度高く行うことが可能となる。更に[15]の発明では、密度の異なる複数の略針状落体を用いて測定できるので、血液の粘度測定をより精度高く行うことができる。
【0043】
[16]の発明では、採血口の径は4mm以下に設定されているから、血液が採取容器から落体回収容器内に流れ込む(流出する)のを防止することができると共に、採血口の径は、略針状落体の外径より大きく設定されているから、この採血口は落体の通過を許容し、採取容器に連接して設けた落体回収容器に落体を回収することができる。このような落体回収容器を設けない構成では、落体の測定本数を増やすためには採取容器内にこれら落体を収容するためのスペースが必要となることにより必然的に採取容器の内容量を大きくして採取血液量を多くしなければならず、少量の血液採取量でもって粘度測定することは困難であるが、本構成を採用すれば、落体の測定本数を増やした場合でも、測定が終わった落体を順次落体回収容器内に回収できるので、少量の血液採取量でもって粘度測定することが可能となる。
【0044】
[17]の発明では、所定温度に制御された液体が循環供給される恒温槽をさらに備えるから、一定の温度条件の中での血液の粘度測定が可能になる。
【0045】
[18]の発明では、検出手段は恒温槽に固定されているから、装置の小型化を図り得ると共により精度の高い粘度測定を行い得る。
【0046】
[19]の発明では、略針状落体は、密度1.0g/cm3以上の錘を中に封入した合成樹脂製の略針状体からなるので、略針状落体の表面に血液がこびり付くことがなく、従って血液の粘度測定を精度高く行うことができる。
【0047】
[20]の発明では、略針状体を構成する合成樹脂がオレフィン樹脂であるので、落体の表面への血液のこびり付きを確実に防止することができ、これにより血液の粘度測定の精度をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
第1発明に係る落体式血液粘度測定装置(1)の一実施形態を図1に示す。この落体式血液粘度測定装置(1)は、粘度測定用血液採取器(10)、略針状落体(2)、検出手段(5)、恒温槽(6)及び落体回収容器(7)を備えてなる。
【0049】
前記略針状落体(2)は、密度1.0g/cm3以上の錘(12)を中に封入した合成樹脂製の略針状体(11)からなる。本実施形態では、図3に示すように、有底円筒状の合成樹脂製の略針状体(11)の内部に金属製錘(12)が配置されると共に略針状体(11)の上部開口端にキャップ(13)が嵌合されてなる略針状落体(2)が用いられている。本実施形態では、前記略針状落体(2)として、密度の異なる複数の略針状落体を用いている(図1参照)。
【0050】
前記粘度測定用血液採取器(10)は、図2に示すように、採取容器(3)、採血針(4)及びプランジャー(8)を備えている。
【0051】
前記採取容器(3)は、両端が開口された管状体からなる。即ち、前記採取容器(3)の一端側に縮径された先端縮径部(35)が形成されることによって一端に採血口(33)が設けられると共に、前記採取容器(3)の他端に開放された開口部(34)が形成されている。前記採取容器(3)の底面の中心部に前記採血口(33)が設けられ、前記採取容器(3)の底面は、その周縁部から中心部の採血口(33)に向かって上から下に傾斜する傾斜面(22)に形成されている。また、前記採取容器(3)の前記他端側の縁から外方に向けて張出部(39)が突設されている(図2参照)。本実施形態では、前記採血口(33)の内径は、前記略針状落体(2)の外径より大きく設定されているから、前記略針状落体(2)はこの採血口(33)を通過することが可能となる。前記採血口(33)の内径は、前記略針状落体(2)の外径より大きく且つ4mm以下の範囲に設定されるのが好ましい。採血口(33)の内径を4mm以下に設定することにより、採取容器(3)内の血液が該採血口(33)より外に流出するのを防止することができる。
【0052】
前記採取容器(3)の採血口(33)に採血針(4)が取り付けられている。本実施形態では、前記採血針(4)は、前記採取容器(3)の採血口(33)に着脱自在に取り付けられている。即ち、前記採血針(4)の基端部は、有底筒状の接続部(36)の底面壁に接合一体化されており、この接続部(36)を前記採取容器(3)の先端縮径部(35)に外嵌することによって(図2参照)、採血針(4)が前記採取容器(3)の採血口(33)に着脱自在に取り付けられている。なお、前記採血針(4)の内部空間と接続部(36)の内部空間とが連通状態になる態様で採血針(4)と接続部(36)が接合されている。
【0053】
前記プランジャー(8)は、図2に示すように、前記採取容器(3)内に摺動可能な状態で収容されている。前記プランジャー(8)は、摺動部(14)、閉塞部(16)及びプランジャー操作部(17)を備えてなる。
【0054】
前記摺動部(14)は、前記採取容器(3)内に該容器(3)の内面と摺動可能な状態で収納されている。前記摺動部(14)は、外形形状が円柱体形状であり、この円柱体の上下両面の中央部を垂直方向に貫通する態様で落体通過用通路(15)が形成されている(図2参照)。前記摺動部(14)の上面の中央部に嵌合用筒状突部(38)が形成されている。この嵌合用筒状突部(38)の内部空間と前記摺動部(14)の落体通過用通路(15)は連通状態になっている。しかして、前記摺動部(14)は、採取容器(3)の内面を液密性を保持した状態で摺動できるものとなされている。
【0055】
前記閉塞部(16)は、図2に示すように、中実の棒状体からなり、この閉塞部(16)の先端側に平板状のプランジャー操作部(17)が連接されている。前記閉塞部(16)の基端面(底面)の周縁部に嵌合用筒状突部(37)が形成されている。しかして、前記閉塞部(16)の嵌合用筒状突部(37)を前記摺動部(14)の上面の嵌合用筒状突部(38)に外嵌することによって(図2参照)、前記閉塞部(16)は前記摺動部(14)に着脱自在に取り付けられている。前記閉塞部(16)が摺動部(14)に取り付けられた状態では、摺動部(14)の落体通過用通路(15)の上端開口部を介した外部との連通状態が解除されて気密性を保持した状態で閉鎖される(非連通状態になる)(但し、採血針を介しての外部との連通状態は維持されている)。
【0056】
前記落体回収容器(7)は、図1に示すように、有底管体からなり、該有底管体の上端開口部側が縮径されて上端縮径部(21)が形成されている。この上端縮径部(21)の内径は、前記採取容器(3)の先端縮径部(35)の外径と一致する大きさ又は該外径より僅かに大きくなるように設計されていて、これによりこの落体回収容器(7)の上端縮径部(21)は、前記採取容器(3)の先端縮径部(35)に外嵌し得るものとなされている。
【0057】
前記恒温槽(6)は、図1に示すように、有底筒状体からなる恒温槽である。この恒温槽(6)の上端側に排出口(32)が設けられ、該恒温槽(6)の下端側に導入口(31)が設けられている。しかして、前記導入口(31)に供給された水等の液体は、前記恒温槽(6)の内部空間を通過した後、前記排出口(32)から出て恒温制御ユニット部(図示しない)に戻る。この恒温制御ユニット部では、加熱装置等により水等の液体を一定温度に制御する。前記恒温制御ユニット部に戻された水等の液体は、ここで所定温度に調整された後、再び前記導入口(31)に供給されて、これらの間を循環することによって前記恒温槽(6)内に配置される採取容器(3)内の血液の温度を一定温度に保つことができる。
【0058】
前記恒温槽(6)の長手方向(高さ方向)の上方部の外側に、採取容器(3)内を落下する略針状落体(2)の落下終端速度を検出する検出手段(5)が配置されている。本実施形態では、検出手段(5)として一対の磁気センサー(5A)(5B)及び計測装置(5C)が用いられている。即ち、上側の磁気センサー(5A)は恒温槽(6)の上側の位置に配置される一方、下側の磁気センサー(5B)は、上側の磁気センサー(5A)より下側の位置に配置され、このように両磁気センサー(5A)(5B)は所定間隔をあけて配置されている(図1参照)。また前記計測装置(5C)は、上側の磁気センサー(5A)からの検知信号を受けた後、下側の磁気センサー(5B)からの検知信号を受けるまでの時間を計測する装置である。この計測装置(5C)により、採取容器(3)内において落体(2)が上側の磁気センサー(5A)から下側の磁気センサー(5B)の位置まで落下するのに要した時間を各落体(2)毎に得ることができる。なお、前記「落下終端速度」とは、流体(血液)中を等速度落下運動しているときの速度のことである。
【0059】
しかして、上記構成からなる落体式血液粘度測定装置(1)を用いた血液の粘度測定方法の一例について説明する。
【0060】
まず、恒温槽(6)に連結されている恒温制御ユニット部を運転状態とし、この恒温槽(6)内に所定温度に調整された水等の液体を流しておく。
【0061】
次いで、図4に示すように、血液採取器(10)の採血針(4)を人体の皮膚(29)に刺し入れた後、前記プランジャー(8)の操作部(17)を引っ張ることによって採取容器(3)の内部に血液(60)を採血する。
【0062】
こうして採取容器(3)の内部に血液(60)が採血された状態の血液採取器(10)(図5(イ)参照)から採血針(4)及び閉塞部(16)を取り外す。即ち、図5(ロ)に示すように、採血針(4)を固定している接続部(36)を採取容器(3)の先端縮径部(35)から離脱せしめると共に、プランジャー(8)の閉塞部(16)を摺動部(14)から離脱せしめる。
【0063】
次いで、図5(ハ)に示すように、前記取り外し操作後の採取容器(3)の先端縮径部(35)に、前記落体回収容器(7)の上端縮径部(21)を外嵌することによって、採取容器(3)の採血口(33)側に落体回収容器(7)を連接状態に固定する。
【0064】
次に、下方側に落体回収容器(7)が嵌合固定された採取容器(3)を前記恒温槽(6)内に配置せしめる。この時、図5(ニ)に示すように、前記採取容器(3)の上端の縁から外方に向けて突出した張出部(39)が、前記恒温槽(6)の上端縁に当接することによって、前記恒温槽(6)内において前記採取容器(3)及び落体回収容器(7)が吊り下げ状態に配置されるものとなる。
【0065】
しかる後、前記採取容器(3)の落体通過用通路(15)に略針状落体(2)を挿通して落体通過用通路(15)を落下させることによって略針状落体(2)を前記採取容器(3)内に導入する。こうして採取容器(3)内に導入された略針状落体(2)は、採取容器(3)内の血液(60)中を落下する(図5(ニ)参照)。落体(2)が上側の磁気センサー(5A)を通過した時に、計測装置(5C)は上側の磁気センサー(5A)からの検知信号を受け、その後落体(2)が下側の磁気センサー(5B)を通過した時に、計測装置(5C)は下側の磁気センサー(5B)からの検知信号を受け、これらにより、計測装置(5C)は、落体(2)が上側の磁気センサー(5A)から下側の磁気センサー(5B)の位置まで落下するのに要した時間を算出する。
【0066】
なお、前記略針状落体(2)は、さらに前記採取容器(3)内を落下し、採取容器(3)の底面の採血口(33)に到達する。この時、採取容器(3)の底面は、その周縁部から中心部に向かって上から下に傾斜する傾斜面(22)に形成されているから、略針状落体(2)はスムーズに採血口(33)内に誘導案内される。しかして、略針状落体(2)は、前記先端縮径部(35)内の採血口(33)をスムーズに落下して前記落体回収容器(7)内に落下して回収される(図5(ニ)参照)。これで1本目の落体(2)についての操作が完了する。
【0067】
次いで、1本目の略針状落体とは密度の異なる別の略針状落体(2本目の略針状落体)を前記採取容器(3)の落体通過用通路(15)に投入して採取容器(3)内に略針状落体(2)を落下せしめる。以下、前記同様にして、計測装置(5C)により、落体(2)が上側の磁気センサー(5A)から下側の磁気センサー(5B)の位置まで落下するのに要した時間が算出される。また、落体(2)は、前記先端縮径部(35)内の採血口(33)をスムーズに落下して前記落体回収容器(7)内に落下して回収される。これで2本目の落体(2)についての操作が完了する。
【0068】
以下、3本目以上の略針状落体(2)についても同様にして落体(2)が上側の磁気センサー(5A)から下側の磁気センサー(5B)の位置まで落下するのに要した時間を算出する。こうして、落体(2)が上側の磁気センサー(5A)から下側の磁気センサー(5B)の位置まで落下するのに要した時間を各落体(2)毎に求める。求められた落下時間と磁気センサー(5A)(5B)間の距離とから各落体(2)の落下終端速度Utを算出する。
【0069】
なお、上記実施形態では、採取容器(3)は、採血口(33)側を下にして前記恒温槽(6)内に配置せしめているが、特にこのような配置態様に限定されるものではなく、例えば図6に示すようにこれとは上下が逆の上下反転状態で前記恒温槽(6)内に配置せしめても良い。即ち、図6(イ)(ロ)に示すように、採取容器(3)の内部に血液(60)が採血された状態の血液採取器(10)から採血針(4)及び閉塞部(16)を取り外した後、図6(ハ)に示すように採取容器(3)を上下反転させて摺動部(14)の嵌合用筒状突部(38)に前記落体回収容器(7)の上端縮径部(21)を外嵌することによって、採取容器(3)の開口部(34)側に落体回収容器(7)を連接状態に固定する。次に、落体回収容器(7)が嵌合固定された採取容器(3)を前記恒温槽(6)内に配置せしめる。この時、図6(ニ)に示すように、前記採取容器(3)の採血口(33)側の位置から外方に向けて突出した張出部(39A)が、前記恒温槽(6)の上端縁に当接することによって、前記恒温槽(6)内において前記採取容器(3)及び落体回収容器(7)が吊り下げ状態に配置されるものとなる。しかる後、前記採取容器(3)の先端縮径部(35)の採血口(33)内に略針状落体(2)を挿通して落下させることによって略針状落体(2)を採取容器(3)内に導入する。こうして採取容器(3)内に導入された略針状落体(2)は、採取容器(3)内の血液(60)中を落下する(図6(ニ)参照)。前記略針状落体(2)は、さらに採取容器(3)内を落下し、摺動部(14)の落体通過用通路(15)を通過して落体回収容器(7)内に回収される(図6(ニ)参照)。
【0070】
次に、第2発明に係る落体式血液粘度測定装置(41)の一実施形態を図7に示す。この落体式血液粘度測定装置(41)は、粘度測定用血液採取器(49)、略針状落体(42)、検出手段(45)、恒温槽(46)及び落体回収容器(47)を備えてなる。
【0071】
前記略針状落体(42)は、密度1.0g/cm3以上の錘(12)を中に封入した合成樹脂製の略針状体(11)からなる。本実施形態では、図3に示すように、有底円筒状の合成樹脂製の略針状体(11)の内部に金属製錘(12)が配置されると共に略針状体(11)の上部開口端にキャップ(13)が嵌合されてなる略針状落体(42)が用いられている。本実施形態では、前記略針状落体(42)として、密度の異なる複数の略針状落体を用いている(図7参照)。
【0072】
前記粘度測定用血液採取器(49)は、図8に示すように、採取容器(43)、密封栓(64)、嵌合体(62)及び閉塞部(63)を備えている。
【0073】
前記採取容器(43)は、両端が開口された管状体からなる。即ち、前記採取容器(43)の一端側に縮径された先端縮径部(75)が形成されることによって採取容器(43)の一端に採血口(73)が設けられると共に、前記採取容器(43)の他端側に外形形状が円柱体形状で上下両面を貫通する貫通路(61)を有した嵌合体(62)が嵌合されることによって採取容器(43)の他端に落体通過用通路(61)が形成されている。前記採取容器(43)の底面の中心部に前記採血口(73)が設けられ、前記採取容器(43)の底面は、その周縁部から中心部の採血口(73)に向かって上から下に傾斜する傾斜面(82)に形成されている。また、前記嵌合体(62)の上面の中央部に嵌合用筒状突部(78)が形成されている。この嵌合用筒状突部(78)の内部空間と前記嵌合体(62)の落体通過用通路(61)は連通状態になっている。また、前記採取容器(43)の前記他端側の縁から外方に向けて張出部(79)が突設されている(図8参照)。本実施形態では、前記採血口(73)の内径は、前記略針状落体(42)の外径より大きく設定されているから、前記略針状落体(42)はこの採血口(73)を通過することが可能となる。前記採血口(73)の内径は、前記略針状落体(42)の外径より大きく且つ4mm以下の範囲に設定されるのが好ましい。採血口(73)の内径を4mm以下に設定することにより、採取容器(43)内の血液が該採血口(73)より外に流出するのを防止することができる。
【0074】
前記採取容器(43)の採血口(73)に密封栓(64)が着脱自在に取り付けられている。即ち、図8に示すように、有底筒状の密封栓(64)が前記採取容器(43)の先端縮径部(75)に外嵌されることによって、密封栓(64)が前記採取容器(43)の採血口(73)に着脱自在に取り付けられている。
【0075】
また、前記採取容器(43)の他端側に嵌合された嵌合体(62)の嵌合用筒状突部(78)に閉塞部(63)の嵌合用筒状突部(77)が外嵌されることによって(図8参照)、閉塞部(63)が嵌合体(62)に着脱自在に取り付けられている。前記閉塞部(63)が嵌合体(62)に取り付けられた状態では、嵌合体(62)の落体通過用通路(61)と外部との連通状態が解除されて気密性を保持した状態で閉鎖される(非連通状態になる)。そして、前記採取容器(43)の内部空間は、減圧処理されて減圧状態になっている、即ち大気圧より低い減圧状態になっている。
【0076】
前記落体回収容器(47)は、図7に示すように、有底管体からなり、該有底管体の上端開口部側が縮径されて上端縮径部(81)が形成されている。この上端縮径部(81)の内径は、前記採取容器(43)の先端縮径部(75)の外径と一致する大きさ又は該外径より僅かに大きくなるように設計されていて、これによりこの落体回収容器(47)の上端縮径部(81)は、前記採取容器(43)の先端縮径部(75)に外嵌し得るものとなされている。
【0077】
前記恒温槽(46)は、図7に示すように、有底筒状体からなる恒温槽である。この恒温槽(46)の上端側に排出口(72)が設けられ、該恒温槽(46)の下端側に導入口(71)が設けられている。しかして、前記導入口(71)に供給された水等の液体は、前記恒温槽(46)の内部空間を通過した後、前記排出口(72)から出て恒温制御ユニット部(図示しない)に戻る。この恒温制御ユニット部では、加熱装置等により水等の液体を一定温度に制御する。前記恒温制御ユニット部に戻された水等の液体は、ここで所定温度に調整された後、再び前記導入口(71)に供給されて、これらの間を循環することによって前記恒温槽(46)内に配置される採取容器(43)内の血液の温度を一定温度に保つことができる。
【0078】
前記恒温槽(46)の長手方向(高さ方向)の上方部の外側に、採取容器(43)内を落下する略針状落体(42)の落下終端速度を検出する検出手段(45)が配置されている。本実施形態では、検出手段(45)として一対の磁気センサー(45A)(45B)及び計測装置(45C)が用いられている。即ち、上側の磁気センサー(45A)は恒温槽(46)の上側の位置に配置される一方、下側の磁気センサー(45B)は、上側の磁気センサー(45A)より下側の位置に配置され、このように両磁気センサー(45A)(45B)は所定間隔をあけて配置されている(図7参照)。また前記計測装置(45C)は、上側の磁気センサー(45A)からの検知信号を受けた後、下側の磁気センサー(45B)からの検知信号を受けるまでの時間を計測する装置である。この計測装置(45C)により、採取容器(43)内において落体(42)が上側の磁気センサー(45A)から下側の磁気センサー(45B)の位置まで落下するのに要した時間を各落体(42)毎に得ることができる。なお、前記「落下終端速度」とは、流体(血液)中を等速度落下運動しているときの速度のことである。
【0079】
しかして、上記構成からなる落体式血液粘度測定装置(41)を用いた血液の粘度測定方法の一例について説明する。
【0080】
まず、恒温槽(46)に連結されている恒温制御ユニット部を運転状態とし、この恒温槽(46)内に所定温度に調整された水等の液体を流しておく。
【0081】
次いで、図9に示すように、ホルダ(27)の先端部に貫通状態に固定された針(28)を人体の皮膚(29)に刺し入れた後、前記粘度測定用血液採取器(49)をホルダ(27)内に挿入していくことによって前記針(28)を前記密封栓(64)に貫通せしめて該針(28)の先端を採取容器(43)の内部空間内に配置せしめる。この時、採取容器(43)の内部空間は減圧状態になっているので採取容器(43)の内部に血液(60)が採血される。
【0082】
こうして採取容器(43)の内部に血液(60)が採血された状態の血液採取器(49)(図10(イ)参照)から密封栓(64)及び閉塞部(63)を取り外す。即ち、図10(ロ)に示すように、密封栓(64)を採取容器(43)の先端縮径部(75)から離脱せしめると共に、閉塞部(63)を嵌合体(62)の嵌合用筒状突部(78)から離脱せしめる。
【0083】
次に、図10(ハ)に示すように、前記取り外し操作後の採取容器(43)の先端縮径部(75)に前記落体回収容器(47)の上端縮径部(81)を外嵌することによって、採取容器(43)の採血口(73)側に落体回収容器(47)を連接状態に固定する。
【0084】
次いで、下方側に落体回収容器(47)が嵌合固定された採取容器(43)を前記恒温槽(46)内に配置せしめる。この時、図10(ニ)に示すように、前記採取容器(43)の上端の縁から外方に向けて突出した張出部(79)が、前記恒温槽(46)の上端縁に当接することによって、前記恒温槽(46)内において前記採取容器(3)及び落体回収容器(7)が吊り下げ状態に配置されるものとなる。
【0085】
しかる後、前記採取容器(43)の上端に嵌合された嵌合体(62)の落体通過用通路(61)に略針状落体(42)を挿通して落体通過用通路(61)を落下させることによって略針状落体(42)を前記採取容器(43)内に導入する。こうして採取容器(43)内に導入された略針状落体(42)は、採取容器(43)内の血液(60)中を落下する(図10(ニ)参照)。落体(42)が上側の磁気センサー(45A)を通過した時に、計測装置(45C)は上側の磁気センサー(45A)からの検知信号を受け、その後落体(42)が下側の磁気センサー(45B)を通過した時に、計測装置(45C)は下側の磁気センサー(45B)からの検知信号を受け、これらにより、計測装置(45C)は、落体(42)が上側の磁気センサー(45A)から下側の磁気センサー(45B)の位置まで落下するのに要した時間を算出する。
【0086】
なお、前記略針状落体(42)は、さらに前記採取容器(43)内を落下し、採取容器(43)の底面の採血口(73)に到達する。この時、採取容器(43)の底面は、その周縁部から中心部に向かって上から下に傾斜する傾斜面(82)に形成されているから、略針状落体(42)はスムーズに採血口(73)内に誘導案内される。しかして、略針状落体(42)は、前記先端縮径部(75)内の採血口(73)をスムーズに落下して前記落体回収容器(47)内に落下して回収される(図10(ニ)参照)。これで1本目の落体(42)についての操作が完了する。
【0087】
次いで、1本目の略針状落体とは密度の異なる別の略針状落体(2本目の略針状落体)を前記採取容器(43)の落体通過用通路(61)に投入して採取容器(43)内に略針状落体(42)を落下せしめる。以下、前記同様にして、計測装置(45C)により、落体(42)が上側の磁気センサー(45A)から下側の磁気センサー(45B)の位置まで落下するのに要した時間が算出される。また、落体(42)は、前記先端縮径部(75)内の採血口(73)をスムーズに落下して前記落体回収容器(47)内に落下して回収される。これで2本目の落体(42)についての操作が完了する。
【0088】
以下、3本目以上の略針状落体(42)についても同様にして落体(42)が上側の磁気センサー(45A)から下側の磁気センサー(45B)の位置まで落下するのに要した時間を算出する。こうして、落体(42)が上側の磁気センサー(45A)から下側の磁気センサー(45B)の位置まで落下するのに要した時間を各落体(42)毎に求める。求められた落下時間と磁気センサー(45A)(45B)間の距離とから各落体(42)の落下終端速度Utを算出する。
【0089】
なお、前記実施形態では、採取容器(43)は、採血口(73)側を下にして前記恒温槽(46)内に配置せしめているが、特にこのような配置態様に限定されるものではなく、例えば図11に示すようにこれとは上下が逆の上下反転状態で前記恒温槽(46)内に配置せしめても良い。即ち、図11(イ)(ロ)に示すように、採取容器(43)の内部に血液(60)が採血された状態の血液採取器(49)から密封栓(64)及び閉塞部(63)を取り外した後、図11(ハ)に示すように採取容器(3)を上下反転させて嵌合体(62)の嵌合用筒状突部(78)に前記落体回収容器(47)の上端縮径部(81)を外嵌することによって、採取容器(43)の嵌合体(62)側に落体回収容器(7)を連接状態に固定する。次に、落体回収容器(47)が嵌合固定された採取容器(43)を前記恒温槽(46)内に配置せしめる。この時、図11(ニ)に示すように、前記採取容器(43)の採血口(73)側の位置から外方に向けて突出した張出部(79A)が、前記恒温槽(46)の上端縁に当接することによって、前記恒温槽(46)内において前記採取容器(43)及び落体回収容器(47)が吊り下げ状態に配置されるものとなる。しかる後、前記採取容器(43)の先端縮径部(75)の採血口(73)内に略針状落体(42)を挿通して落下させることによって略針状落体(42)を前記採取容器(43)内に導入する。こうして採取容器(43)内に導入された略針状落体(42)は、採取容器(43)内の血液(60)中を落下する(図11(ニ)参照)。前記略針状落体(42)は、さらに採取容器(43)内を落下し、嵌合体(62)の落体通過用通路(61)を通過して落体回収容器(47)内に回収される(図11(ニ)参照)。
【0090】
また、前記実施形態(図8)では、採取容器(43)の上端側開口部に貫通路(61)を有した嵌合体(62)が嵌合されることによって採取容器(43)の上端に落体通過用通路(61)が形成されているが、特にこのような形態に限定されるものではなく、例えば図12に示すように、採取容器(43)の上端側が縮径されて縮径部(83)が形成されることによって採取容器(43)の上端に落体通過用通路(61)が形成された構成を採用することもできる。
【0091】
図14に、第2発明に係る落体式血液粘度測定装置の別の実施形態を示す。この図14は、落体を落下させている状態の血液粘度測定装置を示したものである。この血液粘度測定装置(41A)は、粘度測定用血液採取器(49A)、略針状落体(42)、検出手段(45)及び恒温槽(46)を備えてなる。
【0092】
前記略針状落体(42)、検出手段(45)及び恒温槽(46)は、前記実施形態(図7)のものと同様のものが用いられているので、その説明は省略する。
【0093】
前記粘度測定用血液採取器(49A)は、図13に示すように、採取容器(43A)、嵌合体(62)及び閉塞部(63)を備えている。
【0094】
前記採取容器(43A)は、有底管体からなる。前記採取容器(43A)の開口端に外形形状が円柱体形状で上下両面を貫通する貫通路(61)を有した嵌合体(62)が嵌合されることによって採取容器(43A)の開口端側に落体通過用通路(61)が形成されている。前記嵌合体(62)の上面の中央部に嵌合用筒状突部(78)が形成されている。この嵌合用筒状突部(78)の内部空間と前記嵌合体(62)の落体通過用通路(61)は連通状態になっている。また、前記採取容器(43A)の開口端側の縁から外方に向けて張出部(79)が突設されている(図13、14参照)。
【0095】
また、前記採取容器(43A)の開口端に嵌合された嵌合体(62)の嵌合用筒状突部(78)に閉塞部(63)の嵌合用筒状突部(77)が外嵌されることによって(図13参照)、閉塞部(63)が嵌合体(62)に着脱自在に取り付けられている。前記閉塞部(63)が嵌合体(62)に取り付けられた状態では、嵌合体(62)の落体通過用通路(61)と外部との連通状態が解除されて閉鎖される(非連通状態になる)。そして、前記採取容器(43A)の内部空間は、減圧処理されて減圧状態になっている。
【0096】
しかして、上記構成からなる落体式血液粘度測定装置(41A)を用いた血液の粘度測定方法の一例について説明する。
【0097】
まず、恒温槽(46)に連結されている恒温制御ユニット部を運転状態とし、この恒温槽(46)内に所定温度に調整された水等の液体を流しておく。
【0098】
次いで、図13に示すように、ホルダ(27)の先端部に貫通状態に固定された針(28)を人体の皮膚(29)に刺し入れた後、前記粘度測定用血液採取器(49A)をホルダ(27)内に挿入していくことによって前記針(28)を前記閉塞部(63)に貫通せしめて該針(28)の先端を採取容器(43A)の内部空間内に配置せしめる。この時、採取容器(43A)の内部空間は減圧状態になっているので採取容器(43A)の内部に血液(60)が採血される。
【0099】
こうして採取容器(43A)の内部に血液(60)が採血された状態の血液採取器(49A)から閉塞部(63)を取り外す。即ち、閉塞部(63)を嵌合体(62)の嵌合用筒状突部(78)から離脱せしめる。
【0100】
次に、採取容器(43A)を前記恒温槽(46)内に配置せしめる。この時、図14に示すように、前記採取容器(43A)の開口端の縁から外方に向けて突出した張出部(79)が、前記恒温槽(46)の上端縁に当接することによって、前記恒温槽(46)内において前記採取容器(43A)が吊り下げ状態に配置されるものとなる。
【0101】
しかる後、前記採取容器(43A)の上端に嵌合された嵌合体(62)の落体通過用通路(61)に略針状落体(42)を挿通して落体通過用通路(61)を落下させることによって略針状落体(42)を前記採取容器(43A)内に導入する。こうして採取容器(43A)内に導入された略針状落体(42)は、採取容器(43A)内の血液(60)中を落下する(図14参照)。落体(42)が上側の磁気センサー(45A)を通過した時に、計測装置(45C)は上側の磁気センサー(45A)からの検知信号を受け、その後落体(42)が下側の磁気センサー(45B)を通過した時に、計測装置(45C)は下側の磁気センサー(45B)からの検知信号を受け、これらにより、計測装置(45C)は、落体(42)が上側の磁気センサー(45A)から下側の磁気センサー(45B)の位置まで落下するのに要した時間を算出する。これで1本目の落体(42)についての操作が完了する。2本目以降の落体(42)についても同様にして落下させて各落体(42)の落下終端速度Utを算出する。
【0102】
次に、第1発明及び第2発明において、前記得られた落体(2)(42)の落下終端速度Utを用いて血液粘度を求める方法について説明する。
【0103】
図15は、略針状落体(2)(42)が落下している時の状態を示す概念図であり、図16は、落下する略針状落体(2)(42)が押し退ける血液(60)の移動方向を示す速度断面図である。これら図15、図16において、「L」は略針状落体(2)(42)の長さ、「kR」は略針状落体(2)(42)の半径、「R」は採取容器(3)(43)の半径であり、また(50)は落下する落体により押し退けられる落体周囲の流体要素としての微小円柱殻であり、「r」は微小円柱殻の内半径、「r+dr」は微小円柱殻の外半径、「L」は微小円柱殻の長さである。
【0104】
略針状落体(2)(42)の落下速度が0.1×10-3m/s〜0.18m/sと非常に小さく、血液と落体の間および血液と採取容器内壁面の間には滑りが発生せず、血液は非圧縮性であり、管内流動は層流であるという条件(仮定)の下で、採取容器(3)(43)に満たされた血液(60)の中央を略針状落体(2)(42)が落下終端速度Utで落下すると、図15に示すように、微小円柱殻(50)の上面及び下面にはそれぞれ圧力p1、p2が働き、内側面及び外側面にはそれぞれ剪断応力τ、τ+dτが働く。また、血液は等速落下運動をしているので、運動量増加速度は0となる。従って、このときの微小円柱殻(50)に働く力の釣り合いから以下の関係式<1>が成り立つ。
【0105】
【数1】

【0106】
但し、△p=p1−p2 (△p<0)である。
【0107】
また、このとき、落体(2)(42)の壁面と採取容器(3)(43)の内壁面には滑りが生じないと仮定しているので、速度に関する境界条件として以下の関係式<2>が成り立つ。
【0108】
【数2】

【0109】
また、落体(2)(42)の壁面と採取容器(3)(43)の内壁面との間に形成される環状流路を単位時間当たりに通過する血液の量は落体(2)(42)が押し退ける血液の量と等しいので、以下の関係式<3>が成り立つ。
【0110】
【数3】

【0111】
さらに、落体(2)(42)の壁面において、重力、浮力、圧力及び粘性力が釣り合っているので、以下の関係式<4>が成り立つ。
【0112】
【数4】

【0113】
以上の式<1>〜<4>に、血液の構成方程式(Newton流体の構成方程式)である式<5>を連立させることによって、血液の粘度を解析することができる。即ち、血液は、凝固する前の状態であればNewton流体であるから、式<1>〜<4>にNewton流体の構成方程式である式<5>を連立させることによって、血液の粘度を解析することができる。例えば、密度の異なる複数の略針状落体(2)(42)毎に血液粘度を求めて、これらの平均値を血液粘度の測定値として採用する。
【0114】
【数5】

【0115】
式<5>において、τは剪断応力、γ(ガンマ)は剪断速度、μ(ミュー)は血液の粘度である。
【0116】
第1発明及び第2発明において、前記採取容器(3)(43)を構成する素材は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂を用いるのが好ましい。この場合には、採取容器(3)(43)の内面への血液のこびり付きを十分に防止することができるので、血液の粘度測定をより精度高く行うことができる。
【0117】
また、前記略針状体(11)を構成する合成樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂を用いるのが好ましい。この場合には、落体(2)(42)の表面への血液のこびり付きを確実に防止することができ、血液の粘度測定をより精度高く行うことができる利点がある。なお、合成樹脂からなる略針状体(11)の表面に、気泡が付着するのを防止するためのコーティング層が形成されても良い。このような気泡付着防止コーティング層としては、例えば親水性コーティング層を例示できる。
【0118】
また、前記密度1.0g/cm3以上の錘(12)としては、密度が1.0g/cm3以上の材料からなるものであればその材質は特に限定されないが、金属製の錘が好適である。また、前記錘(12)は、塊状、粒体、粉体等どのような形態であっても良い。このような錘(12)の封入量を変えることで密度の異なる略針状落体(2)(42)を製作することができる。血液の粘度測定を行うには、密度0.7〜2.0g/cm3の範囲で密度の異なる複数個の略針状落体(2)(42)を用いるのが好ましい。また、前記錘(12)は、略針状体(11)の下方部に封入されるのが好ましく、この場合には落体(2)(42)の重心が低くなるので、落下挙動が安定するという効果が得られる。
【0119】
前記略針状落体(2)(42)の大きさとしては、特に限定されないものの、より少量の血液量での粘度測定を可能にすると共に粘度測定の精度を向上させる観点から、外径(m1、m2)が0.5〜3mm、長さ(L)が5〜100mmの範囲に設定されるのが好ましい。図3において、m1=m2、m1>m2、m1<m2、いずれの関係が成立する構成でも良い。なお、前記略針状落体(2)(42)の密度とは、見かけ密度を意味するものであり、落体の質量を落体の体積(空隙部を含めた体積)で除した値である。
【0120】
前記閉塞部(63)としては、その構成素材は特に限定されないが、十分な気密性を維持しつつ閉塞できる点で、ゴム、熱可塑性エラストマー等の弾性体が好適である。前記密封栓(64)も、その構成素材は特に限定されないが、十分な気密性を確保できる点で、ゴム、熱可塑性エラストマー等の弾性体が好適である。
【0121】
なお、第1発明の前記実施形態では、検出手段(5)として、一対の磁気センサー(5A)(5B)及び計測装置(5C)が用いられているが、特にこのような構成のものに限定されるものではなく、落下する略針状落体(2)の落下終端速度を検出できる手段であればどのようなものでも良い。
【0122】
また、第2発明の前記実施形態では、検出手段(45)として、一対の磁気センサー(45A)(45B)及び計測装置(45C)が用いられているが、特にこのような構成のものに限定されるものではなく、落下する略針状落体(42)の落下終端速度を検出できる手段であればどのようなものでも良い。
【0123】
また、前記実施形態では、略針状落体(2)(42)の落下終端速度を測定することにより血液の粘度を求めているが、これに代えて略針状落体(2)(42)の落下加速度を測定することにより血液の粘度を求めるようにしても良い。このような落体(2)(42)の落下加速度を測定する検出手段(5)(45)としては、上下方向(落体の落下方向)に離間して配置された3つ以上の磁気センサー及び計測装置からなる構成等が挙げられる。
【0124】
また、前記実施形態では、密度の異なる複数の略針状落体(2)(42)を落下させて測定を行うものとしているが、特にこれに限定されるものではなく、1つの略針状落体(2)(42)を落下させてその落下終端速度又は落下加速度を測定することにより血液の粘度を求めるようにしても良い。
【実施例】
【0125】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0126】
<実施例1>
25歳の男性の血液を図2に示す採取容器(3)内に採取した後、図1に示す構成からなる血液粘度測定装置(1)を用いて前項で説明した手順に従って血液の粘度測定を行った(図5参照)。但し、密度の異なる略針状落体を4個用いて測定した。採取容器(3)の内径は8mm、長さは90mmであり、採取容器(3)の内容量は5mLであった。略針状落体(2)の長さ(L)は20mm、上方側の外径(m1)は2.0mm、下方側の外径(m2)は2.0mmであった。また、略針状落体(2)(2)(2)(2)の密度はそれぞれ1.538、1.460、1.385、1.360g/cm3であった。また、採取した血液の密度は1.0504g/cm3であった。採取容器(3)内の血液の温度が37.0℃になるように恒温制御ユニット部を制御して測定を行った。
【0127】
各略針状落体(2)が一方の磁気センサー(5A)から他方の磁気センサー(5B)の位置まで落下するのに要した時間と、これより求められた各落体(2)の落下終端速度Utを表1に示す。
【0128】
【表1】

【0129】
式<1>〜式<4>の4式とNewton流体の構成方程式<5>とを連立させて血液の粘度μを算出した。これらの平均値から、この血液の粘度μは6.32mPa・secであることがわかった。
【0130】
<実施例2>
28歳の男性の血液を図8に示す採取容器(43)内に採取した後、図7に示す構成からなる血液粘度測定装置(41)を用いて前項で説明した手順に従って血液の粘度測定を行った(図10参照)。但し、密度の異なる略針状落体を4個用いて測定した。採取容器(43)の内径は8mm、長さは90mmであり、採取容器(43)の内容量は5mLであった。略針状落体(42)の長さ(L)は20mm、上方側の外径(m1)は0.2mm、下方側の外径(m2)は0.2mmであった。また、略針状落体(42)(42)(42)(42)の密度はそれぞれ1.538、1.460、1.360、1.295g/cm3であった。また、採取した血液の密度は1.0443g/cm3であった。採取容器(43)内の血液の温度が37.0℃になるように恒温制御ユニット部を制御して測定を行った。
【0131】
各略針状落体(42)が一方の磁気センサー(45A)から他方の磁気センサー(45B)の位置まで落下するのに要した時間と、これより求められた各落体(42)の落下終端速度Utを表2に示す。
【0132】
【表2】

【0133】
式<1>〜式<4>の4式とNewton流体の構成方程式<5>とを連立させて血液の粘度μを算出した。これらの平均値から、この血液の粘度μは6.28mPa・secであることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0134】
この発明の血液粘度測定装置では、採取容器内に血液を採取した後は、閉塞部を離脱せしめて落体通過用通路を介して略針状落体を採取容器内に導入するだけで粘度測定を開始することができ、このように血液を採取したのち非常に短時間で血液の粘度測定を開始することができるので、血液の粘度測定を精度高く行うことができて、血液疾患の予測や病気の早期発見に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】第1発明に係る血液粘度測定装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】粘度測定用血液採取器の一実施形態を示す断面図である。
【図3】略針状落体の一実施形態を示す断面図である。
【図4】図2の血液採取器を用いた採血状態を示す模式図である。
【図5】(イ)は血液を採取した状態の血液採取器、(ロ)は採取容器から採血針及びプランジャーの閉塞部を取り外した状態、(ハ)は採取容器の下に落体回収容器を装着した状態、(ニ)は落体回収容器が装着された採取容器を恒温槽にセットして落体を落下させている状態をそれぞれ示す断面図である。
【図6】採取容器の恒温槽へのセット状態の変形例を説明するための図であって、(イ)は血液を採取した状態の血液採取器、(ロ)は採取容器から採血針及びプランジャーの閉塞部を取り外した状態、(ハ)は採取容器の開口部側に落体回収容器を装着した状態、(ニ)は落体回収容器が装着された採取容器を恒温槽にセットして落体を落下させている状態をそれぞれ示す断面図である。
【図7】第2発明に係る血液粘度測定装置の一実施形態を示す断面図である。
【図8】粘度測定用血液採取器の一実施形態を示す断面図である。
【図9】図8の血液採取器を用いた採血状態を示す模式図である。
【図10】(イ)は血液を採取した状態の血液採取器、(ロ)は採取容器から密封栓及び閉塞部を取り外した状態、(ハ)は採取容器の下に落体回収容器を装着した状態、(ニ)は落体回収容器が装着された採取容器を恒温槽にセットして落体を落下させている状態をそれぞれ示す断面図である。
【図11】採取容器の恒温槽へのセット状態の変形例を説明するための図であって、(イ)は血液を採取した状態の血液採取器、(ロ)は採取容器から密封栓及び閉塞部を取り外した状態、(ハ)は採取容器の嵌合体固定側に落体回収容器を装着した状態、(ニ)は落体回収容器が装着された採取容器を恒温槽にセットして落体を落下させている状態をそれぞれ示す断面図である。
【図12】他の実施形態に係る粘度測定用血液採取器を示す断面図である。
【図13】さらに他の実施形態に係る粘度測定用血液採取器を示す断面図(血液を採取している状態)である。
【図14】第2発明に係る血液粘度測定装置の他の実施形態を(落体落下状態で)示す断面図である。
【図15】略針状落体が落下している時の状態を示す概念図である。
【図16】落下する略針状落体が押し退ける血液の移動方向を示す速度断面図である。
【符号の説明】
【0136】
1…血液粘度測定装置
2…略針状落体
3…採取容器
4…採血針
5…検出手段
6…恒温槽
7…落体回収容器
8…プランジャー
10…血液採取器
11…略針状体
12…錘
14…摺動部
15…落体通過用通路
16…閉塞部
17…プランジャー操作部
22…傾斜面
33…採血口
41、41A…血液粘度測定装置
42…略針状落体
43、43A…採取容器
45…検出手段
46…恒温槽
47…落体回収容器
49、49A…血液採取器
61…落体通過用通路
62…嵌合体
63…閉塞部
64…密封栓
73…採血口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に採血口が設けられ、他端が開放されてなる管状の採取容器と、
前記採取容器の採血口に取り付けられた採血針と、
前記採取容器内に摺動可能に収納されたプランジャーとを備え、
前記プランジャーは、落体通過用通路が形成された摺動部と、該摺動部に着脱自在に取り付けられた閉塞部とを有し、該閉塞部は、前記摺動部に取り付けられた状態において該摺動部の落体通過用通路と外部との連通状態を閉止するものであることを特徴とする粘度測定用血液採取器。
【請求項2】
前記閉塞部は棒状に形成されてなり、この閉塞部の先端側にプランジャー操作部が設けられている請求項1に記載の粘度測定用血液採取器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の粘度測定用血液採取器と、
略針状落体と、
前記血液採取器の採取容器内を落下する略針状落体の落下終端速度又は落下加速度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする血液粘度測定装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の粘度測定用血液採取器と、
密度の異なる複数の略針状落体と、
前記血液採取器の採取容器内を落下する略針状落体の落下終端速度又は落下加速度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする血液粘度測定装置。
【請求項5】
前記採血針は、前記採取容器の採血口に着脱自在に取り付けられ、前記採取容器の採血口の内径は、前記略針状落体の外径より大きく且つ4mm以下の範囲に設定されると共に、前記採取容器に連接して配置される落体回収容器を備えることを特徴とする請求項3または4に記載の血液粘度測定装置。
【請求項6】
前記採取容器の底面の中心部に前記採血口が設けられ、前記採取容器の底面は、その周縁部から中心部の採血口に向かって上から下に傾斜する傾斜面に形成されている請求項5に記載の血液粘度測定装置。
【請求項7】
所定温度に制御された液体が循環供給される恒温槽をさらに備える請求項3〜6のいずれか1項に記載の血液粘度測定装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記恒温槽に固定されている請求項7に記載の血液粘度測定装置。
【請求項9】
前記略針状落体は、密度1.0g/cm3以上の錘を中に封入した合成樹脂製の略針状体からなる請求項3〜8のいずれか1項に記載の血液粘度測定装置。
【請求項10】
前記略針状体を構成する合成樹脂がオレフィン樹脂である請求項9に記載の血液粘度測定装置。
【請求項11】
開口端側に落体通過用通路が設けられた有底管体からなる採取容器と、
前記採取容器の開口端に着脱自在に取り付けられた閉塞部とを備え、
前記閉塞部は、前記採取容器の開口端に取り付けられた状態において前記落体通過用通路と外部との連通状態を閉止するものであることを特徴とする粘度測定用血液採取器。
【請求項12】
一端に開口が設けられ、他端側に落体通過用通路が設けられた管状の採取容器と、
前記採取容器の一端の開口に取り付けられた密封栓と、
前記採取容器の他端に着脱自在に取り付けられた閉塞部とを備え、
前記閉塞部は、前記採取容器の他端に取り付けられた状態において前記落体通過用通路と外部との連通状態を閉止するものであることを特徴とする粘度測定用血液採取器。
【請求項13】
前記開口は採血口である請求項12に記載の粘度測定用血液採取器。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか1項に記載の粘度測定用血液採取器と、
略針状落体と、
前記血液採取器の採取容器内を落下する略針状落体の落下終端速度又は落下加速度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする血液粘度測定装置。
【請求項15】
請求項11〜13のいずれか1項に記載の粘度測定用血液採取器と、
密度の異なる複数の略針状落体と、
前記血液採取器の採取容器内を落下する略針状落体の落下終端速度又は落下加速度を検出する検出手段とを備えることを特徴とする血液粘度測定装置。
【請求項16】
前記密封栓は、前記採取容器の採血口に着脱自在に取り付けられ、前記採取容器の採血口の内径は、前記略針状落体の外径より大きく且つ4mm以下の範囲に設定されると共に、前記採取容器に連接して配置される落体回収容器を備えることを特徴とする請求項14または15に記載の血液粘度測定装置。
【請求項17】
所定温度に制御された液体が循環供給される恒温槽をさらに備える請求項14〜16のいずれか1項に記載の血液粘度測定装置。
【請求項18】
前記検出手段は、前記恒温槽に固定されている請求項17に記載の血液粘度測定装置。
【請求項19】
前記略針状落体は、密度1.0g/cm3以上の錘を中に封入した合成樹脂製の略針状体からなる請求項14〜18のいずれか1項に記載の血液粘度測定装置。
【請求項20】
前記略針状体を構成する合成樹脂がオレフィン樹脂である請求項19に記載の血液粘度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図15】
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