説明

粘着剤および粘着シート

【課題】表面極性の高低に係らず被着面に対して十分な粘着力を有すると共に、プラスチックパネルに貼付した場合に粘着剤との界面で生じる発泡を抑制することができる粘着剤をすること。
【解決手段】アルキル基の炭素数が8〜20のアクリレートモノマー(a1)に由来する構成単位(a1′)を29.9〜55質量%、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、およびトリシクロデカン(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つの脂環式モノマー(a2)に由来する構成単位(a2′)を50〜70質量%ならびに官能基含有モノマー(a3)に由来する構成単位(a3′)を0.1〜10質量%含むアクリル系共重合体(A)および架橋剤(B)を含む粘着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤および粘着シートに関するものである。さらに詳しくは、例えば携帯電話やパソコンなどの電子機器内部の樹脂板同士の貼合や、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体や液晶ディスプレイ、タッチパネル用部材に貼付される粘着剤および粘着シートである。本発明の粘着剤および粘着シートは特にタッチパネル用部材の接着に好ましく用いられる。タッチパネル用部材としては、ハードコートフィルム、ガラス、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル(以下、TP)、液晶ディスプレイや光記録媒体の表面や内部においては、これらを構成する部材の表面または界面に微細な凹凸状の欠陥があると、その部分で光が散乱、屈折して反射し、曇りを生じるために、視認性が低下するという問題があった。このため、例えば、TP、液晶ディスプレイや光ディスク等の光記録媒体においては、ハードコート用組成物をフィルム等の基材に塗布して形成させたハードコート(以下、HC)層により基材の表面を保護することが一般的に行われている。
【0003】
HC層はその視認性維持の為に、表面が平滑になるように例えばシリコーンやフッ素系樹脂などのレベリング剤が配合される。レベリング剤はHC剤塗布液の表面張力を低下させて塗膜のレベリング性を向上させるものであるため、得られるHC層の表面は平滑になる一方、低極性となる。
【0004】
通常の強粘着タイプの粘着剤は高極性のものが多いため、低極性の面に対する接着力は低下するという問題がある。低極性の強粘着タイプ粘着剤は凝集力を小さくすることで強粘着性を付与することが多く、凝集力が小さいと剪断方向の応力に対して形状を維持しにくいため、TP用途には不向きである。
【0005】
このような問題を解決するための低極性材料用粘着剤が提案されており、極性の低い被着体に対してでも高い粘着力を有することが報告されている(特許文献1)。特許文献1ではポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物のような架橋剤による架橋のために極性の高い水酸基やカルボキシル基のような官能基を有する(メタ)アクリル酸またはヒドロキシアルキルエステル類および脂環式または芳香環を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させた官能基を有する共重合体が使用されているが、極性の低い被着体であるHC層に対して20N/25mm以上の粘着力を実現することができない。
【0006】
また、脂環式(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合成分として含むアクリル系共重合体を用いた粘着剤としては、前記特許文献1以外にもいくつか提案されている(例えば、特許文献2〜3)。しかし、いずれの特許文献も再剥離性と被着体の低汚染性を目的としており、20N/25mm以上の粘着力には程遠い。
【0007】
また、被着体面がポリカーボネート樹脂などのプラスチックパネルの場合は、高温条件下において、パネルと粘着剤層との界面に発泡による欠陥が現れるという問題もある。前記特許文献1で提案されている粘着剤の組成のものでは、80℃の高温環境下において250時間程度で発泡が生じることがわかった。
【0008】
前述のようにTPの構成材料として、低極性HCフィルム、ガラス、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂等の材質が挙げられるが、TPの構成材料に貼付したり、構成材料同士を貼合するなどの用途において、これらの被着体全てに対して20N/25mm以上の強い粘着力を有し、なおかつ発泡を抑制する粘着剤が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−53976号公報
【特許文献2】特開平8−143842号公報
【特許文献3】特開2001−279208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような状況の下、本発明の課題は表面極性の高低に係らず被着面に対して十分な粘着力を有すると共に、プラスチックパネルに貼付した場合に粘着剤との界面で生じる発泡を抑制することができる粘着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは種々研究を重ねた結果、脂環式モノマーの共重合比率を増大させることにより、前述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は、
(1)アルキル基の炭素数が8〜20のアクリレートモノマー(a1)に由来する構成単位(a1′)を29.9〜55質量%、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、およびトリシクロデカン(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つの脂環式モノマー(a2)に由来する構成単位(a2′)を50〜70質量%ならびに官能基含有モノマー(a3)に由来する構成単位(a3′)を0.1〜10質量%含むアクリル系共重合体(A)および架橋剤(B)を含む粘着剤、
(2)前記(a1)が2−エチルヘキシルアクリレートで、(a2)がシクロヘキシル(メタ)アクリレートである上記(1)に記載の粘着剤、
(3)前記官能基含有モノマー(a3)が水酸基含有モノマーまたはカルボキシル基含有モノマーである上記(1)または(2)に記載の粘着剤、
(4)さらにシランカップリング剤(a4)を添加剤として含む上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粘着剤、
(5)前記アクリル系共重合体(A)がさらにシランカップリング剤(a4)に由来するモノマーを構成単位(a4′)として含む上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粘着剤、
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の粘着剤からなる層を2枚の剥離シートに挟持させた粘着シート、
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の粘着剤からなる層を基材の片面または両面に有する粘着シート、
(8)被着対象とする被着面が、25℃における水に対する接触角が72°〜120°である低極性表面を有するハードコートフィルムの低極性表面、ガラス、ポリカーボネート樹脂、およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つの被着面である上記(6)または(7)のいずれかに記載の粘着シート、
(9)被着対象とする被着面が2つ以上存在し、その被着面が25℃における水に対する接触角が72°〜120°である低極性表面を有するハードコートフィルムの低極性表面、ガラス、ポリカーボネート樹脂、およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも2つ以上の被着面である上記(6)または(7)のいずれかに記載の粘着シート、(10)前記低極性表面を有するハードコートフィルムの低極性表面がシリコーン成分を含むハードコート層である上記(6)〜(9)のいずれかに記載の粘着シートおよび
(11)被着体がタッチパネル用ディスプレイに使用されるハードコートフィルムである上記(6)〜(10)のいずれかに記載の粘着シートを提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表面極性の高低に係らず被着面に対して十分な粘着力を有すると共に、プラスチックパネルに貼付した場合に粘着剤との界面で生じる発泡を抑制することができる粘着剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、アクリル系共重合体(A)中の構成単位(a1′)を形成する成分(a1)はアルキル基の炭素数が8〜20のアクリレートモノマーである。粘着剤の粘着力や被着体からの発泡を抑制するという観点から2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、およびステアリルアクリレートを用いることが好ましく、2−エチルヘキシルアクリレートが特に好ましい。
本発明において、アクリル系共重合体(A)は成分(a1)に由来する構成単位(a1′)の含有量は、構成単位(a2′)の含有量を維持しつつ、本発明の目的とする粘着力を維持するために29.9〜55質量%含むことが必須であり、好ましくは、35〜50質量%である。
【0015】
アクリル系共重合体(A)中の構成単位(a2′)を形成する成分(a2)はシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびトリシクロデカン(メタ)アクリレートから選ばれる脂環式モノマーである。粘着剤の粘着力や被着体からの発泡を抑制するという観点からシクロヘキシルアクリレートを用いることが特に好ましい。
【0016】
本発明において、アクリル系共重合体(A)は脂環式モノマーである成分(a2)に由来する構成単位(a2′)を50〜70質量%含むことが必須であり、好ましくは、55〜65質量%である。
【0017】
構成単位(a2′)の含有量を50質量%未満とした場合、被着体からの発泡を防止することができない。また構成単位(a2′)の含有量が70質量%を超える場合、タックが不足して粘着剤としての機能を有さない程度まで粘着力が低下する。
【0018】
アクリル系共重合体(A)中の構成単位(a3′)を形成する官能基含有モノマーである成分(a3)は、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや各種ヒドロキシピロピル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートまたはカルボキシル基を有する不飽和単量体、具体的には、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸等である。粘着剤の粘着力や被着体(特にポリカーボネート樹脂)からの発泡を抑制するという観点から2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いることが特に好ましい。粘着剤層と樹脂板の界面の粘着力が弱い場合は、樹脂板から発生した微量の発ガス成分(主に二酸化炭素)がその界面に溜まって発泡となり外観上好ましくないが、粘着剤層と樹脂板が界面でしっかりと密着している場合は、発ガス成分が界面に溜まることなく、粘着剤層や樹脂板中を拡散して外周部から放出されると推測する。
【0019】
アクリル系共重合体(A)は官能基含有モノマー(a3)に由来する構成単位(a3′)を0.1〜10質量%程度含むことが必須であり、好ましくは、0.5〜5質量%程度である。上記構成単位(a1′)、(a2′)ならびに(a3′)の合計は100質量%である。
構成単位(a3′)が0.1質量%未満の場合、凝集力が低下して剪断方向の応力に対して形状を維持しにくくなり、10質量%を越えると粘着剤の極性が大きくなり、本発明の課題の一つである低極性表面への十分な粘着力が得られない。
【0020】
また、アクリル系共重合体(A)は、必要に応じて共重合可能な(例えば二重結合を有する)モノマーであるシランカップリング剤(a4)に由来する構成単位(a4′)を含んでいてもよい。シランカップリング剤を共重合させることにより、粘着力が増大する。
【0021】
この共重合可能なモノマーであるシランカップリング剤(a4)としては、ビニルシラン系および(メタ)アクリルシラン系化合物が挙げられる。
【0022】
ビニルシラン系化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチルアセトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン等が挙げられる。
【0023】
(メタ)アクリルシラン系化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルアクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランおよび3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランのような(メタ)アクリロキシシラン系の化合物が挙げられる。
【0024】
シランカップリング剤(a4)の量は、アクリル系共重合体(A)の共重合成分として用いる場合は、それに由来する構成単位(a4′)前記モノマー成分(a1)、(a2)ならびに(a3)に由来する各構成単位との合計量100質量%に対して0.01〜10質量%、好ましくは、0.1〜1質量%である。
【0025】
アクリル系共重合体(A)の製造には、従来から行われている通常のラジカル重合法を適用することができる。たとえば、トルエンやキシレンのような炭化水素系や酢酸エチルのようなエステル系の有機溶媒中に上記のような単量体を溶解してアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリルや過酸化ベンゾイルのような重合開始剤を混合して還流状態で50〜90℃程度で、3〜20時間程度加熱して行うことによりアクリル系共重合体の有機溶媒溶液が得られる。
【0026】
有機溶媒を使用せずに単量体と重合開始剤だけで塊状重合を行っても良い。アクリル系共重合体が有機溶媒溶液として得られた場合、後で詳しく説明する成分(B)の架橋剤とそのままブレンドして使用しても良いし、一部または全量の有機溶媒を除去した後、ブレンドしても良い。
【0027】
アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量は、通常20万以上、好ましくは、40万〜200万、さらに好ましくは、50万〜150万である。
重量平均分子量が20万未満の場合、耐粘着剤自体久性が劣るため発泡が生じやすくなり、200万を超えるとポリマー合成時の重合が困難となるので好ましくない。重量平均分子量はゲルパーミエイションクロマトグラフィー法で測定される標準ポリスチレン換算の値である。
また、アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度は、粘着剤として十分な粘着力を得るためには通常−10℃以下、好ましくは、−70〜−20℃である。
【0028】
シランカップリング剤はアクリル系共重合体(A)の共重合成分として用いるのではなく、アクリル系共重合体(A)を調製した後、後で述べる架橋剤(B)とともに添加してもよい。
【0029】
後から添加する場合に用いるシランカップリング剤としては、アクリル系モノマーと共重合する重合性基が必須ではないため、先の(a4)で挙げた化合物の他に、エポキシシラン系化合物、アミノシラン系化合物、およびその他のシランカップリング剤等も使用できる。
【0030】
エポキシシラン系化合物としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0031】
アミノシラン系化合物としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0032】
その他のシランカップリング剤(a4)としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシランおよびn−オクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0033】
シランカップリング剤(a4)を共重合成分として用いるのではなく、添加剤として用いる場合はアクリル系共重合体(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部、好ましくは、0.05〜1質量部となる量を添加すればよい。
【0034】
次に、架橋剤(B)について述べる。架橋剤(B)としては例えば、有機多価イソシアナート化合物、有機多価エポキシ化合物、有機多価イミン化合物等があげられる。
【0035】
上記有機多価イソシアナート化合物としては、芳香族多価イソシアナート化合物、脂肪族多価イソシアナート化合物、脂環族多価イソシアナート化合物が挙げられる。有機多価イソシアナート化合物のさらに具体的な例としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシレンジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアナート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアナート、リジンイソシアナートなどが挙げられる。これらの多価イソシアナート化合物の三量体、ならびにこれら多価イソシアナート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマー等も使用することができる。
【0036】
上記有機多価エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)トルエン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。
【0037】
上記有機多価イミン化合物の具体例としては、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、N,N′−トルエン−2,4−ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。これらの中でも入手のし易さなどの観点から、有機多価イソシアナート化合物が好ましく用いられる。
【0038】
架橋剤(B)の添加量としては具体的には、アクリル系共重合体(A)の100質量部に対して0.01〜5質量部程度とするのが好ましく、0.05〜3質量部程度とするのがより好ましい。
架橋剤(B)の添加量が0.01質量部未満の場合、凝集力が低下して剪断方向の応力に対して形状を維持しにくくなり、5質量部を越えると硬化後に十分な粘着力が得られないため好ましくない。
【0039】
本発明の粘着剤には、必要に応じて他の添加剤として、例えば、紫外線吸収剤、粘着付与剤、軟化剤(可塑剤)、充填剤、酸化防止剤、防錆剤、顔料、染料等の各種添加剤を添加することができる。
【0040】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系のもの等、従来から粘着剤用に使用されているものが挙げられる。
【0041】
粘着付与剤としては、例えば、ロジンおよびその誘導体、ポリテルペン、テルペンフェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、スチレン樹脂、キシレン樹脂等、従来から粘着剤用に使用されている粘着付与剤が挙げられる。
【0042】
軟化剤としては、例えば、液状ポリエーテル、グリコールエステル、液状ポリテルペン、液状ポリアクリレート、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル等が挙げられる。
【0043】
前記(a1)、(a2)、(a3)に由来する構成単位〔場合によっては、さらに(a4)に由来する構成単位(a4′)〕を含むアクリル系共重合体(A)および架橋剤(B)に、必要に応じて、(a4)等各種添加剤を加えることにより本発明の粘着剤用の組成物が得られる。
【0044】
本発明の粘着剤用の組成物は、塗布時の粘度調整を目的として有機溶媒による溶液として調製されてもよい。用いられる有機溶媒としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合してもよい。有機溶媒は、成分(A)および(B)の調製時に使用された有機溶媒をそのまま用いることができる他、粘着剤層を均一に塗布できるように、調製時に使用された有機溶媒以外の一種以上の有機溶媒を新たに加えてもよい。
【0045】
本発明は、上記粘着剤からなる粘着剤層が2枚の剥離フィルムに挟持された両面粘着シートの形態としても良い。この形態とした場合、表裏で共通の粘着剤組成物からなる粘着剤面が存在するが、例えば粘着剤層表側にHC面、粘着剤層裏面にポリカーボネート樹脂を貼合して使用する場合に、1種類の粘着剤で2種類の被着体に対して強い粘着力が得られるという点で特に利点がある。
【0046】
また本発明は、基材と上記粘着剤とからなる基材付きの両面粘着シートも提供する。基材付きの両面粘着シートとして用いる場合も表裏で2面の粘着剤層が存在するが、一方の面のみに本発明の粘着剤からなる粘着剤層を形成させてもよいし、両面共に本発明の粘着剤からなる粘着剤層を形成させてもよい。
【0047】
さらに本発明は、上記粘着剤からなる層を基材の少なくとも片面に有する片面粘着シートも提供する。
【0048】
以下、前述の両面粘着シートまたは片面粘着シートに用いられる剥離シートについて、詳細に説明する。剥離シートとしては、樹脂フィルムや紙などの剥離シート用基材の表面に、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤をコーティングして剥離剤層を形成させたシートが用いられる。
【0049】
剥離シート用基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、トリアセチルセルロース等の樹脂フィルムや、上質紙、コート紙、グラシン紙、ラミネート紙などの紙を用いることができる。
【0050】
剥離シート用基材の厚さは、使用する材料によって多少異なるが、通常は、5〜300μm程度であり、好ましくは、10〜200μm程度である。剥離シート用基材としてポリエチレンテレフタレート系フィルムを用いる場合、好ましくは、10〜100μm程度である。
【0051】
次に、前述の基材付きの両面粘着シートまたは片面粘着シートに用いられる基材について述べる。基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアラミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(4−メチルペンテン−1)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、トリアセチルセルロース等の樹脂フィルム等の樹脂製のシートやフィルム、上質紙、コート紙、グラシン紙、ラミネート紙等の紙基材等が用いられる。
【0052】
基材の厚さは、使用する材料によって多少異なるが、通常は、5〜300μm程度であり、好ましくは、10〜50μm程度である。
【0053】
粘着剤を基材または剥離シートに形成させるには、粘着剤用の組成物の溶液を調製して、それを、通常行われているグラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ホットメルトコート法、カーテンコート法等を用いて溶液を塗布することができる。粘着剤用の組成物の溶液を塗布した後、溶剤や低沸点成分の残留を防ぐために、80〜150℃程度の温度で30秒〜5分間程度加熱することにより、粘着性が発現して粘着剤層が形成される。
【0054】
塗布装置としては公知のものを使用することができ、乾燥後の塗布量は5〜50g/m2程度の範囲で調整される。好ましくは10〜30g/m2の範囲であり、5g/m2以上とすることにより充分な粘着性能が得られ、50g/m2以下とすることにより粘着剤がはみ出したりするのを防止する。
【0055】
本発明の粘着シートを製造する方法としては、前述の剥離シートに粘着剤用の組成物を塗布後、別の剥離シートや基材に転写する方法、および基材に塗布後、剥離シートと貼り合わせる直接塗布法が挙げられる。
【0056】
粘着剤層が2枚の剥離フィルムに挟持された両面粘着シートの形態及び、基材付きの両面粘着シートの形態とする場合は少なくとも2枚の剥離シートが必要となるが、それぞれの剥離シートの剥離剤層の粘着剤層との間の剥離力に差をつけておくことが好ましい。剥離力に差をつけなかった場合、軽剥離フィルム側のみを剥がす際に、粘着剤層が重剥離フィルム側から浮いたり、双方の剥離フィルムに追従しようとして粘着剤層が引き伸ばされて変形したりするおそれがある。
【0057】
前記のように、本発明の粘着剤からなる粘着剤層が2枚の剥離フィルムに挟持された両面粘着シートを製造する場合、粘着剤成分を配合して得られる組成物またはその有機溶剤溶液を剥離フィルム上に塗布・加熱して粘着剤層を形成させた後、もう1枚の剥離フィルムを貼り合わせて積層体とするか、または、両面に剥離剤層を形成させた剥離フィルムの片面に粘着剤層を形成させた後、それをロール状に巻回して製品とすることもできる。
【0058】
前記のように、本発明の粘着剤からなる片面粘着シートとして製造する場合、粘着剤成分を配合して得られる組成物またはその有機溶剤溶液を剥離フィルム上に塗布・加熱して粘着剤層を形成させた後、基材を積層するか、または、片面に剥離剤層を形成させた基材の剥離剤層の反対面に粘着剤層を形成させて、それをロール状に巻回して製品とすることもできる。
【0059】
本発明の粘着剤または粘着シートの貼付対象となる被着体について述べる。
被着体としては特に限定されないが、25℃における水に対する接触角が72°〜120°の「低極性表面」を有する材料、ガラス、ポリカーボネート樹脂、およびアクリル樹脂などの被着体が挙げられ、より具体的には以下のような材料が挙げられる。
【0060】
すなわち、被着体はタッチパネル用ディスプレイ等に用いられるHCフィルムや各種ディスプレイの保護用HCフィルム等である。ちなみに、各種プラスチック材料の室温における水に対する接触角は以下の通りである〔(株)シーエムシー出版、星埜由典著、「色材用ポリマー応用技術、色材用ポリマーの設計と応用(2002)」〕。
ポリテトラフルオロエチレン:108〜113°
ポリトリフルオロエチレン:92°
ポリトリフロロクロロエチレン:90°
ポリエチレン:92〜96°
ポリプロピレン:95〜98°
ポリスチレン:83〜87°
ポリメチルメタクリレート:67〜74°
ポリ塩化ビニル:83〜87°
ポリ塩化ビニリデン:80°
ポリエチレンテレフタレート:71〜81°
ナイロン:63〜70°
【0061】
HCフィルムは耐擦過性や防眩性を付与するためにポリエチレンテレフタレートのような30〜200μm程度の透明プラスチックフィルムの片面もしくは両面に厚み0.5〜30μm程度の薄いHC層を形成させたフィルムである。HC層を形成させるために用いられる材料としては、反応結合型シリコーン変性(メタ)アクリレートのようなシロキサン系化合物を共重合させたアクリル系ポリマー等が挙げられる。また、シロキサン系化合物等からなるレベリング剤が添加されたHC層も本発明の粘着剤の貼付対象となる低極性表面となる場合がある。
【0062】
アクリル系ポリマーやシロキサン系ポリマーなどの硬質樹脂にシリコーン樹脂等を配合して表面を粗面化して、タッチパネル等として実用した際に鏡作用による写り込みを防止しうるアンチグレア面を同時に形成させたものも、本発明の粘着剤の貼付対象となる低極性表面となる場合がある。
【0063】
シリカのような微粒子及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能アクリレートまたはメタクリレートを硬化した架橋体から構成されたHC層からなる透明HCフィルムというものも、本発明の粘着剤の貼付対象となる低極性表面となる場合がある。
【0064】
本発明の粘着剤の貼付対象となる低極性表面を有する市販のHCフィルムとしては、リンテック社製のHCフィルム(製品名「CHC−PET188N1E1、アクリル系HC層、HC面接触角80°)、同じくリンテック社製HCフィルム(製品名「CHC−PET188L2K」、アクリル系HC層、HC面接触角73°)等が挙げられる。
【0065】
本発明の粘着剤または粘着シートの被着体となる上記HCフィルム以外の材料としては、ガラス、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が挙げられる。
【0066】
たとえば、特にポリカーボネート樹脂において、従来の粘着剤または粘着シートを適用すると、加熱した際に、ポリカーボネート樹脂の表面に極小量のガス(二酸化炭素であると考えられる)が発生して貼付面の一部に欠陥部が生じることがあるが、本発明の粘着剤には発泡を抑制する機能があるので、このような欠陥部が生じることはない。
本発明の粘着剤の低極性表面に対する粘着力は20N/25mm以上であることが好ましく、25N/25mm以上であることがより好ましい。
【実施例】
【0067】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0068】
〔実施例1〕
成分(a1)として2-エチルへキシルアクリレート(2−EHA)、成分(a2)としてシクロヘキシルアクリレート(CHA)、成分(a3)として2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を2−EHA/CHA/HEA=44/55/1〔質量%比〕で共重合して得られたアクリル系共重合体〔成分(A)、重量平均分子量:110万〕の100質量部、架橋剤〔成分(B)、日本ポリウレタン株式会社製トリレンジイソシアネート系架橋剤 製品名:コロネートL、不揮発分濃度:75質量%〕の0.2質量部、およびシランカップリング剤〔成分(a4)、信越化学工業(株)製エポキシ系シランカップリング剤、製品名:KBM403〕の0.1質量部を混合し、次いでメチルエチルケトンにて不揮発分濃度30質量%の塗布液を作製した。
【0069】
ナイフコーターを用いて、この塗布液を重剥離フィルム〔リンテック株式会社製、製品名:SP−PET382050、厚み:38μm〕の剥離剤処理面に塗布し、90℃で60秒乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、次いで、塗布面に軽剥離フィルム〔リンテック株式会社製、製品名:SP−PET381031C、厚み:38μm〕の剥離剤処理面を貼合して2枚の剥離フィルムに挟持された両面粘着シートを作製した。また、粘着力評価用として軽剥離フィルムの代わりにポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績株式会社製ポリエチレンテレフタレートフィルム 製品名:コスモシャインA4100、厚み:100μm]の易接着処理面を粘着剤塗布面に貼合して片面粘着シート型の粘着シートを作成した。
【0070】
〔実施例2〕
2−EHA/CHA/HEA=34/65/1〔質量%比〕のアクリル系共重合体〔重量平均分子量:100万〕を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、2枚の剥離フィルムに挟持された両面粘着シートおよび片面粘着シートを作製した。
【0071】
〔実施例3〕
成分(a4)である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(3−MPS)を共重合して得られた2−EHA/CHA/HEA/3−MPS=43.5/55/1/0.5〔質量%比〕のアクリル系共重合体〔重量平均分子量:110万〕100質量部を使用し、KBM403を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に行い、2枚の剥離フィルムに挟持された両面粘着シートおよび片面粘着シートを作製した。
【0072】
〔比較例1〕
2−EHA/CHA/HEA=79/20/1〔質量%比〕のアクリル系共重合体〔重量平均分子量:105万〕を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、2枚の剥離フィルムに挟持された両面粘着シートおよび片面粘着シートを作製した。
【0073】
〔比較例2〕
2−EHA/CHA/HEA=24/75/1〔質量%比〕のアクリル系共重合体〔重量平均分子量:70万〕を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、2枚の剥離フィルムに挟持された両面粘着シートおよび片面粘着シートを作製した。
【0074】
〔比較例3〕
2−EHA/CHA/HEA=54/45/1〔質量%比〕のアクリル系共重合体〔重量平均分子量:95万〕を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、2枚の剥離フィルムに挟持された両面粘着シートおよび片面粘着シートを作製した。
【0075】
〔比較例4〕
ブチルアクリレート(BA)/CHA/HEA=34/65/1〔質量%比〕のアクリル系共重合体〔重量平均分子量:110万〕を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、2枚の剥離フィルムに挟持された両面粘着シートおよび片面粘着シートを作製した。
【0076】
上記各実施例で得られた粘着シートおよび各比較例で得られた比較用の粘着シートを用いて以下に説明する粘着力測定および耐久性評価を行った。
【0077】
<粘着力>
HCフィルム1〔リンテック社製 製品名「CHC−PET188N1E1」、水に対する接触角80°、後で示す表1中の略号:HC1〕、及びHCフィルム2〔リンテック社製 製品名「CHC−PET188L2K」、水に対する接触角73°、後で示す表1中の略号:HC2〕のHC面の逆面とガラスを両面テープ(リンテック株式会社製両面テープ 製品名:TL−101)で貼り合せ、被着体を2種類作製した。
別途、ポリカーボネート樹脂板〔ユーコウ商会社製、製品名「ユーピロンシートNF−2000」、サイズ:70mm×150mm×2mm、水に対する接触角80°、表1中の略号:PC〕及びアクリル樹脂板〔ユーコウ商会社製、製品名「アクリライトL#001」、サイズ:70mm×150mm×2mm、水に対する接触角61°、表1中の略号:PMMA〕、ならびにガラス板〔エヌ・エス・ジー・プレシジョン社製、製品名「コーニングガラス イーグルXG」、サイズ:70mm×150mm×0.7mm、水に対する接触角30°、表1中の略号:ガラス〕を被着体として準備した。
上記各実施例および比較例で得られた、粘着力評価用の片面粘着シートを25mm×250mmのサイズに切り出し、重剥離フィルムを剥離して表出した粘着層の面を、前述の通り作製または準備した5種類の被着体にそれぞれ貼付した。その後、23℃、相対湿度50%の環境下で24時間放置したのち、同環境下で、引張試験機〔オリエンテック社製、製品名「テンシロン」〕を用いて、JIS Z0237に準じて剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で測定した値(N/25mm)を粘着力とした。
【0078】
<耐久性評価(発泡の有無)>
2枚の剥離フィルムに挟持された両面粘着シートの軽剥離フィルムを剥離し、前記HC1およびHC2のHC層に貼付した。次いで、重剥離フィルムを剥離して表出した粘着剤層の面を、前記被着体であるポリカーボネート樹脂板に貼付して80℃・ドライの環境下で250時間保管した後、発泡の有無を確認して以下の基準で評価した。
○:発泡箇所を確認できない。
△:0.1以上1mm未満の発泡箇所が確認される。
×:1mm以上の発泡箇所が確認される。
各実施例および比較例における共重合組成等、粘着力および耐久性評価(発泡の有無)の結果をまとめて表1に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
表1の結果から明らかなように、実施例で得られた本発明の粘着剤を用いた粘着シートの粘着力および耐久性評価はいずれも比較例で得られた比較用粘着剤を用いた粘着シートと比べて優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の粘着剤は、25℃における水に対する接触角が72°〜120°である低極性表面を有する材料、例えばHCフィルムのHC層のような材料、ガラス、ポリカーボネート樹脂、およびアクリル樹脂に対して特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル基の炭素数が8〜20のアクリレートモノマー(a1)に由来する構成単位(a1′)を29.9〜55質量%、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、およびトリシクロデカン(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つの脂環式モノマー(a2)に由来する構成単位(a2′)を50〜70質量%ならびに官能基含有モノマー(a3)に由来する構成単位(a3′)を0.1〜10質量%含むアクリル系共重合体(A)および架橋剤(B)を含む粘着剤。
【請求項2】
前記(a1)が2−エチルヘキシルアクリレートで、(a2)がシクロヘキシル(メタ)アクリレートである請求項1に記載の粘着剤。
【請求項3】
前記官能基含有モノマー(a3)が水酸基含有モノマーまたはカルボキシル基含有モノマーである請求項1または2に記載の粘着剤。
【請求項4】
さらにシランカップリング剤(a4)を添加剤として含む請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤。
【請求項5】
前記アクリル系共重合体(A)がさらにシランカップリング剤(a4)に由来するモノマーを構成単位(a4′)として含む請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤からなる層を2枚の剥離シートに挟持させた粘着シート。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤からなる層を基材の片面または両面に有する粘着シート。
【請求項8】
被着対象とする被着面が、25℃における水に対する接触角が72°〜120°である低極性表面を有するハードコートフィルムの低極性表面、ガラス、ポリカーボネート樹脂、およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つの被着面である請求項6または7のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項9】
被着対象とする被着面が2つ以上存在し、その被着面が25℃における水に対する接触角が72°〜120°である低極性表面を有するハードコートフィルムの低極性表面、ガラス、ポリカーボネート樹脂、およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも2つ以上の被着面である請求項6または7のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項10】
前記低極性表面を有するハードコートフィルムの低極性表面がシリコーン成分を含むハードコート層である請求項6〜9のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項11】
被着体がタッチパネル用ディスプレイに使用されるハードコートフィルムである請求項6〜10のいずれかに記載の粘着シート。

【公開番号】特開2010−180283(P2010−180283A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22858(P2009−22858)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】