説明

粘着剤組成物、光学フィルムおよび液晶表示装置

【課題】
高固形分濃度の塗工溶液であっても低粘度なため塗工性が良好で、塗工溶液のポットライフも十分長く塗工作業性に優れ、さらに耐久性、白抜けの発生の抑制に優れる粘着剤組成物、光学フィルムおよび当該光学フィルムを用いた液晶表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
カルボキシル基含有単量体を共重合体成分として特定量含有する重量平均分子量が40万以上90万未満のアクリル系共重合体(A)と、
カルボキシル基含有単量体と水酸基含有単量体とを共重合体成分として特定量含有する重量平均分子量が40万以上90万未満のアクリル系共重合体(B)と、
前記アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物100重量部に対して、5重量部以上30重量部以下、添加されるイソシアネート化合物(C)と、
を含む粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、光学フィルムおよび当該光学フィルムを用いた液晶表示装置に関する。更に詳しくは、本発明は、高固形分濃度の塗工溶液にて塗工が可能で、耐久性と白抜けの発生の抑制に優れる粘着剤組成物、光学フィルムおよび当該光学フィルムを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、通常、所定の方向に配向した液晶成分をガラス等の2枚の支持基板の間に挟持した液晶セルと、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム等の光学フィルムとから構成されている。光学フィルム同士の積層や、光学フィルムと液晶セルとの貼着には粘着剤が使用されていることが多い。
【0003】
液晶表示装置は、パーソナルコンピューターやテレビジョン、カーナビゲーション等の表示装置として広範囲に使用されており、これらの用途の中には高温、高湿といった非常に過酷な使用条件となるものもある。光学フィルムは、高温や高湿環境下において、収縮、膨張しやすい。そのため、光学フィルムを液晶セル等に貼着した状態で、高温や高湿環境下に置かれると発泡や剥がれが生じやすく、光学フィルムに用いられる粘着剤には高温、高湿環境下においても発泡や剥がれが生じない耐久性に優れたものであることが要求される。
【0004】
このような耐久性を満たす粘着剤として、例えば100万以上といった高い重量平均分子量を有するアクリル系共重合体を使用した粘着剤(特許文献1および2)が提案されている。これらの粘着剤は、高い凝集力を有しており耐久性は良好であるが、アクリル系共重合体の粘度が高く、塗工時に大量の溶剤で希釈して塗工可能な粘度の塗工溶液を作成する必要があった。近年、コスト競争の激化と環境に対する関心の高まりを背景にした廃棄溶剤低減の動きにより、溶剤の使用量の低減が求められている。重量平均分子量が100万以上のアクリル系共重合体を使用した粘着剤は、固形分濃度を10〜15%程度に調整された塗工溶液で塗工されるが、この粘着剤の塗工溶液をそのまま固形分濃度30%程度まで高固形分化して塗工すると、塗工時の作業性に問題を生じたり、塗布面が荒れたりして均一な塗膜が得られないといった問題を生じる。また、アクリル系共重合体の重量平均分子量を下げると、高固形分濃度にて塗工が可能となるが、単に重量平均分子量を低下させただけでは、粘着剤の凝集力が低く、耐久性に問題が生じる。さらに、塗工溶液の固形分濃度を高くすると、塗工溶液のポットライフ(可使時間)が短くなり、塗工作業性が低下するといった問題もある。
【0005】
光学フィルムは高温や高湿環境下で収縮、膨張といった寸法変化が大きいため、斯かる寸法変化によって発生する応力を粘着剤層にて緩和することができず、光学フィルムの残留応力が不均一となる。その結果、液晶表示装置の周辺部から光が漏れて白くなる、いわゆる「白抜け」と呼ばれる現象も問題となっている。
【0006】
【特許文献1】特開2009−167386号公報
【特許文献2】特開2005−298723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高固形分濃度の塗工溶液であっても低粘度なため塗工性が良好で、塗工溶液のポットライフも十分長く塗工作業性に優れ、さらに耐久性、白抜けの発生の抑制に優れる粘着剤組成物、光学フィルムおよび当該光学フィルムを用いた液晶表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)カルボキシル基含有単量体1重量%以上4重量%以下を共重合体成分として含有する重量平均分子量が40万以上90万未満のアクリル系共重合体(A)と、
カルボキシル基含有単量体0.1重量%以上4重量%以下と水酸基含有単量体0.05重量%以上5重量%以下を共重合体成分として含有する重量平均分子量が40万以上90万未満のアクリル系共重合体(B)と、
前記アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物100重量部に対して、5重量部以上30重量部以下、添加されるイソシアネート化合物(C)と、
を含む粘着剤組成物。
【0009】
(2)前記アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体(B)とが50/50以上99/1以下の重量比で含有されている上記(1)に記載の粘着剤組成物。
(3)前記アクリル系共重合体(A)の溶解性パラメーター(SP)と前記アクリル系共重合体(B)の溶解性パラメーター(SP)との差が、−0.5以上0.5以下である上記(1)又は(2)に記載の粘着剤組成物。
(4)前記アクリル系共重合体(A)のガラス転移点(Tg)と前記アクリル系共重合体(B)のガラス転移点(Tg)との関係がTg<Tgを満たす上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
【0010】
(5)エポキシ化合物又はアジリジン化合物を更に含む上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
(6)前記エポキシ化合物又はアジリジン化合物が、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物100重量部に対して、0.005重量部以上0.05重量部以下添加される上記(5)に記載の粘着剤組成物。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する光学フィルム。
(8)上記(7)に記載の光学フィルムを備える液晶表示装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る粘着剤組成物によれば、高固形分濃度の塗工溶液にて塗工が可能で十分なポットライフを有し、耐久性と白抜けの発生の抑制に優れる粘着剤組成物、光学フィルムおよび当該光学フィルムを用いた液晶表示装置を提供できる。また、本発明に係る粘着剤組成物は高固形分濃度の塗工溶液にて塗工が可能である為、溶剤使用量の低減や塗工時の乾燥効率向上による省エネルギー化等により、コストパフォーマンスに優れ、環境問題にも配慮した粘着剤組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態に係る光学フィルムの断面図である。
【図2】本実施の形態の変形例に係る光学フィルムの断面図である。
【図3】本実施の形態に係る液晶表示装置の断面図である。
【図4】本実施の形態の変形例に係る液晶表示装置の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、特定の反応性官能基を特定量含有すると共に緩和成分であるアクリル系共重合体(A)と、特定の反応性官能基を特定量含有すると共に、アクリル系共重合体(A)とは異なり、弾性成分であるアクリル系共重合体(B)との混合物に、特定量のイソシアネート化合物(B)を添加した粘着剤組成物を用いることで、アクリル系共重合体の重量平均分子量を低くした場合であっても、耐久性と白抜けの抑制との両立を図ることのできる粘着剤組成物を提供できることを見出した。さらに、高固形分濃度に塗工溶液を調整した場合であっても低粘度であり、塗工溶液のポットライフも十分長く塗工作業性に優れ、コスト、環境面を考慮した粘着剤組成物を提供できることを見出した。
【0014】
更に、本発明者は、アクリル系共重合体(B)とイソシアネート化合物(C)との反応性が高いことから、まず、アクリル系共重合体(B)同士の化学架橋が選択的に進行し、その後、イソシアネート化合物(C)と環境中の水との反応、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との化学架橋、アクリル系共重合体(A)同士の化学架橋が続いて進行すると考えた。アクリル系共重合体(B)同士の架橋構造物は、アクリル系共重合体(B)の性質上、高い凝集力を有しており、アクリル系共重合体(A)同士の架橋構造物は、アクリル系共重合体(A)の性質上、高い柔軟性を有している。イソシアネート化合物(C)と環境中の水との反応により生成する多量体は硬く、アクリル系共重合体及び該共重合体からなる架橋高分子の動きを物理架橋により拘束するだけではなく、アクリル系共重合体からなる架橋高分子との絡み合い構造中に硬い多量体が存在することで凝集力を高めることができることを見出した。
【0015】
以上の知見から本発明者は、アクリル系共重合体(B)同士の化学架橋による凝集力の高い部分と、イソシアネート化合物(C)と水との反応により生成する硬い多量体部分と、アクリル系共重合体(A)同士の化学架橋による柔軟性の高い部分とが不均一に分散しており、更に、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との化学架橋、及びイソシアネート化合物(C)と水との反応により生成する多量体による物理架橋と化学架橋によって全体が絡み合った構造を有する粘着剤組成物を見出した。本発明者は、このような構造を有する粘着剤組成物により、低い重量平均分子量のアクリル系共重合体であっても、凝集力が高く、柔軟性にも優れ、耐久性の向上と白抜けの抑制とを高い水準で実現できることを見出したものである。
【0016】
以下、実施の形態により詳細に説明する。
【0017】
[実施の形態]
本発明の実施の形態に係る粘着剤組成物は、カルボキシル基含有単量体1重量%以上4重量%以下を共重合体成分として含有する、重量平均分子量40万以上90万未満のアクリル系共重合体(A)と、カルボキシル基含有単量体0.1重量%以上4重量%以下と水酸基含有単量体0.05重量%以上5重量%以下を共重合体成分として含有する、重要平均分子量40万以上90万未満のアクリル系共重合体(B)と、イソシアネート化合物(C)とを含有する。実施の形態に係る粘着剤組成物は、緩和成分であるアクリル系共重合体(A)同士がイソシアネート化合物(C)によって架橋した構造と、アクリル系共重合体(A)と弾性成分であるアクリル系共重合体(B)とがイソシアネート化合物(C)によって互いに架橋した構造と、アクリル系共重合体(B)同士がイソシアネート化合物(C)によって架橋した構造からなる架橋高分子を含有する。更に実施の形態に係る粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体(B)との架橋反応に寄与しなかったイソシアネート化合物(C)と環境中の水との反応により生成する多量体によって前記架橋高分子の動きを拘束する物理架橋と、当該多量体と前記架橋高分子との化学架橋とを有する。すなわち、本実施の形態に係る粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体(B)の反応性官能基とイソシアネート化合物(C)とが架橋反応すると共に、イソシアネート化合物(C)のうち当該架橋反応に寄与しなかったイソシアネート化合物(C)のイソシアネート基が環境中の水と反応することで生成する多量体を含む。
【0018】
実施の形態において、アクリル系共重合体(A)とは、共重合体中に共重合体成分としてアクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体を主成分とし、(メタ)アクリル酸エステル、及びカルボキシル基含有単量体を共重合させた共重合体である。なお、以下、「アクリ」を含む単語と「メタクリ」を含む単語とを併記する場合には「(メタ)アクリ」と記載することがある。アクリル系共重合体(A)は(メタ)アクリル酸エステルが80重量%以上含まれる共重合体を意味し、90重量%以上含まれる共重合体が好ましい。
【0019】
アクリル系共重合体(A)の(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル構造を有するものであれば特に限定するものではなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18の直鎖若しくは分枝アルキルエステル、更にはこれらの各種誘導体の1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
【0020】
アクリル系共重合体(A)中の構成成分としては、アクリル系共重合体(A)とイソシアネート化合物(C)とを反応させる目的で、カルボキシル基含有単量体を含む。なお、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体であるものも、アクリル系共重合体を定義する際の、アクリル系共重合体(A)中に共重合体成分として含有される(メタ)アクリル酸エステル単量体の量としてカウントされる。
【0021】
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を用いることができる。なかでもアクリル酸、ω−カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
【0022】
カルボキシル基含有単量体が共重合体成分として含まれる割合は、粘着剤の凝集力を増加させて粘着剤組成物の耐久性を向上させることを目的として、アクリル系共重合体(A)に対して1重量%以上、好ましくは1.5重量%以上にする。また、カルボキシル基含有単量体が共重合体成分として含まれる割合は、高い固形分濃度の塗工溶液であっても十分なポットライフを有し、塗工作業性を向上させることを目的として、アクリル系共重合体(A)に対して4重量%以下、好ましくは3重量%以下、特に好ましくは2.5重量%以下にする。
【0023】
アクリル系共重合体(A)において用いられるその他の反応性官能基を有する単量体としては、たとえば、水酸基含有単量体、グリシジル基含有単量体、アミド基,N−置換アミド基含有単量体、三級アミノ基含有単量体等を適宜用いることができる。これらのその他の重合性モノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用しても良い。水酸基含有単量体を用いることでアクリル系共重合体(A)の凝集力を高めることができるが、アクリル系共重合体(A)の緩和成分としての柔軟性を保つ為に、水酸基含有単量体は0.05重量部未満といった極少量の使用か、または使用しないことが好ましい。
【0024】
水酸基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−3−ブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、メタリルアルコール等を用いることができる。
【0025】
グリシジル基含有単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アリルエーテル等を用いることができる。
【0026】
アミド基、N−置換アミド基含有単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等を用いることができる。
【0027】
三級アミノ基含有単量体としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等を用いることができる。
【0028】
アクリル系共重合体(A)は、アクリル系共重合体(A)の定義を超えない範囲で(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体を共重合体成分として含有することができる。(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体としては、一例として、飽和脂肪酸ビニルエステル、芳香族ビニルエステル、シアン化ビニル単量体、マレイン酸若しくはフマル酸のジエステルを用いることができる。飽和脂肪酸ビニルエステルとしては、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商品名)等(好ましくは酢酸ビニル);芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等;シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル;マレイン酸若しくはフマル酸のジエステルとしては、例えば、ジメチルマレ−ト、ジ−N−ブチルマレ−ト、ジ−2−エチルヘキシルマレ−ト、ジ−N−オクチルマレ−ト、ジメチルフマレ−ト、ジ−N−ブチルフマレ−ト、ジ−2−エチルヘキシルフマレ−ト、ジ−N−オクチルフマレ−ト等を用いることができる。
【0029】
アクリル系共重合体(B)は、共重合体中に共重合体成分としての(メタ)アクリル酸エステル単量体を主成分とし、(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基含有単量体および水酸基含有単量体を共重合させた共重合体であり、アクリル系共重合体(A)とは異なる。アクリル系共重合体(B)は(メタ)アクリル酸エステルが80重量%以上含まれる共重合体を意味し、90重量%以上含まれる共重合体が好ましい。実施の形態に係る粘着剤組成物は樹脂成分として、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物を使用することで凝集力と応力緩和性とをバランス良く調整することができる。
【0030】
アクリル系共重合体(B)の(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル構造を有するものであれば特に限定するものではなく、アクリル系共重合体(A)で例示した(メタ)アクリル酸エステル単量体と同様の単量体を用いることができる。なかでも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
【0031】
アクリル系共重合体(B)中の構成成分としては、アクリル系共重合体(B)とイソシアネート化合物(C)とを反応させる目的で、カルボキシル基含有単量体および水酸基含有単量体を含む。なお、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体であるものも、アクリル系共重合体を定義する際の、アクリル系共重合体(B)中に共重合体成分として含有される(メタ)アクリル酸エステル単量体の量としてカウントされる。アクリル系共重合体(B)にカルボキシル基含有単量体及び水酸基含有単量体が含まれていると、高い凝集力を有すると共に、樹脂成分の凝集力と応力緩和性との調整を容易にすることができるアクリル系共重合体(B)を実現できる。
【0032】
アクリル系共重合体(B)のカルボキシル基含有単量体としては、アクリル系共重合体(A)で例示したカルボキシル基含有単量体と同様の単量体を用いることができる。なかでも、アクリル酸などが好適に用いられる。
【0033】
カルボキシル基含有単量体がアクリル系共重合体(B)の共重合体成分として含まれる割合は、粘着剤の凝集力を増加させて粘着剤組成物の耐久性を向上させることを目的として、アクリル系共重合体(B)に対して0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上にする。また、カルボキシル基含有単量体がアクリル系共重合体(B)の共重合体成分として含まれる割合は、高い固形分濃度の塗工溶液であっても十分なポットライフを有し、塗工作業性を向上させることを目的として、アクリル系共重合体(B)に対して4重量%以下、好ましくは3重量%以下、特に好ましくは2重量%以下にする。
【0034】
アクリル系共重合体(B)の水酸基含有単量体としては、アクリル系共重合体(A)で例示した水酸基含有単量体と同様の単量体を用いることができる。なかでも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
【0035】
水酸基含有単量体が共重合体成分としてアクリル系共重合体(B)に含まれる割合は、白抜けの抑制をさせることを目的として、アクリル系共重合体(B)に対して0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上にする。また、水酸基含有単量体がアクリル系共重合体(B)の共重合体成分として含まれる割合は、耐久性試験での剥がれの発生を抑制することを目的として、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下とする。
【0036】
また、アクリル系共重合体(B)の(メタ)アクリル酸エステル単量体、カルボキシル基含有単量体、水酸基含有単量体以外の共重合体成分としては、反応性官能基を有する単量体、及び(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体としてアクリル系共重合体(A)で例示した共重合体成分と同様の共重合体成分を用いることができる。
【0037】
アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、粘着剤組成物に十分な凝集力を与え、気泡の発生を抑制することを目的として、40万以上、好ましくは50万以上、特に好ましくは60万以上にする。また、アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、粘着剤組成物に十分な凝集力を与えることを目的として、40万以上、好ましくは50万以上、特に好ましくは60万以上にする。更に、アクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、高い固形分濃度の塗工溶液での塗工作業性を確保することを目的として90万未満、好ましくは85万未満、特に好ましくは75万未満にする。
【0038】
アクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、下記の方法により測定された値である。
(重量平均分子量(Mw)の測定方法)
下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)アクリル系共重合体溶液を剥離紙に塗布し、100℃で2分間乾燥し、フィルム状のアクリル系共重合体を得る。
(2)前記(1)で得られたフィルム状のアクリル系共重合体をテトラヒドロフランにて固形分0.2%になるように溶解させる。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を測定する。
(条件)
GPC:HLC−8220 GPC〔東ソー(株)製〕
カラム:TSK−GEL GMHXL4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/minカラム温度:40℃
【0039】
アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、粘着剤組成物に十分な凝集力を与え、十分な耐久性を発揮させることを目的として、好ましくは−80℃以上、より好ましくは−60℃以上にする。また、アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、支持基板に対する十分な密着性を粘着剤組成物に発揮させ、剥がれ等が生じない耐久性を発揮させることを目的として、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−40℃以下にする。
【0040】
一方、アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は、アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度より高いこと、すなわち、Tg<Tgの関係を満たすことが好ましい。アクリル系共重合体(A)のTgとアクリル系共重合体(B)のTgとが上記関係にあれば、アクリル系共重合体(B)はアクリル系共重合体(A)以上の凝集力を有することから、樹脂成分の凝集力と応力緩和性とのバランスを容易にとることができる。より具体的には、アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度は、粘着剤組成物に十分な凝集力を与え、十分な耐久性を発揮させることを目的として、−60℃以上、好ましくは−50℃以上にする。また、アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度は、支持基板に対する十分な密着性を粘着剤組成物に発揮させ、剥がれ等が生じない耐久性を発揮させることを目的として、0℃以下、好ましくは−30℃以下にする。
【0041】
アクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は下記式1の計算により求められる温度(K)を(℃)に換算した値である。
式1 1/Tg=M1/Tg+M2/Tg+M3/Tg+・・・・+Mn/Tg
式中、Tg、Tg、Tg・・・及びTgは、成分1、成分2、成分3・・・及び成分nそれぞれのホモポリマーのガラス転移温度(K)を示す。また、式中、M1、M2、M3・・・及びMnは各種成分のモル分率を示す。
【0042】
本実施の形態に用いられるアクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体(B)の重合方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の方法により重合できる。なお、重合により得られる共重合体の混合物を用いて実施の形態に係る粘着剤組成物を製造するにあたり、処理工程が比較的簡単で、且つ短時間で行えることから溶液重合により重合することが好ましい。
【0043】
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させる等の方法を使用することができる。この場合に有機溶媒、単量体及び/又は重合開始剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。なお、アクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体(B)の重量平均分子量は、反応温度、時間、溶剤量、触媒の種類や量を調整することにより、所望の分子量にすることができる。
【0044】
重合時に使用する有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n‐プロピルベンゼン、t‐ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサなどの芳香族炭化水素類;例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油などの脂肪系もしくは脂環族系炭化水素類;例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチルなどのエステル類;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル‐i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン類;例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;などを挙げることができる。これらの有機溶媒はそれぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0045】
これら重合時に使用する有機溶媒のうち、アクリル系共重合体の重合に際しては、エステル類、ケトン類を使用することが好ましく、アクリル系共重合体の溶解性、重合反応の容易さなどの点から、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトンなどの使用が特に好ましい。
【0046】
重合開始剤としては、通常の溶液重合で使用できる有機過酸化物、アゾ化合物などを使用することが可能である。このような有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、ジ‐i−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ‐2‐エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t‐ブチルパーオキシビバレート、2,2‐ビス(4,4‐ジ‐t‐ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2‐ビス(4,4‐ジ‐t‐アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2‐ビス(4,4‐ジ‐t‐オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2, 2‐ビス(4,4‐ジ‐α‐クミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2‐ビス(4,4‐ジ‐t‐ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2‐ビス(4,4‐ジ‐t‐オクチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンなどが挙げられ、アゾ化合物としては、例えば、2,2’‐アゾビス‐i‐ブチロニトリル、2,2’‐アゾビス‐2,4‐ジメチルバレロニトリル、2,2’‐アゾビス‐4‐メトキシ‐2,4‐ジメチルバレロニトリルなどを挙げることができる。
【0047】
これら重合開始剤は、それぞれ単独で、又は2種以上混合して用いてもよいが、全体としての含有量は単量体合計100重量部に対して0.005〜2重量部程度であることが好ましく、0.02〜1重量部程度であることがより好ましい。
【0048】
また、本実施の形態に係るアクリル系共重合体の製造に際しては、連鎖移動剤は使用しないのが普通であるが、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、必要に応じて使用することは可能である。このような連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9‐フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;p‐ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p‐ニトロ安息香酸、p‐ニトロフェノール、p‐ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6‐テトラメチル‐p‐ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類;トリブチルボランなどのボラン誘導体;四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2‐テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3‐クロロ‐1‐プロペンなどのハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒドなどのアルデヒド類:炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類;ビネン、ターピノレンなどのテルペン類;などを挙げることができる。
【0049】
重合温度としては、一般に約30〜180℃、好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜90℃の範囲である。なお、溶液重合法などで得られた重合物中に未反応の単量体が含まれる場合は、該単量体を除くために、メタノールなどによる再沈澱法で精製することも可能である。
【0050】
実施の形態に係る粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物の100重量部に対して、5重量部以上30重量部以下のイソシアネート化合物(C)を含有する。
【0051】
イソシアネート化合物(C)としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、当該芳香族イソシアネート化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族イソシアネート;それらイソシアネートの2量体若しくは3量体又はそれらイソシアネートと、トリメチロールプロパン等のポリオールとのアダクト体等の各種イソシアネートに由来するイソシアネート化合物を用いることができる。これらは単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。
【0052】
イソシアネート化合物(C)は、例えば「コロネートL」、「コロネートHX」、「コロネートHL−S」、「コロネート2234」〔以上日本ポリウレタン工業(株)製〕、「デスモジュールN3400」〔住友バイエルウレタン(株)製〕、「デュラネートE−405−80T」、「デュラネートTSE−100」〔旭化成工業(株)製〕、「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」〔以上三井武田ケミカル(株)製〕等の商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0053】
なかでも、イソシアネート化合物(C)として、耐久性と白抜け性の観点から芳香族イソシアネートに由来するイソシアネート化合物が好ましく、トリレンジイソシアネートに由来するイソシアネート化合物が特に好ましい。
【0054】
アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物100重量部に対するイソシアネート化合物(C)の使用量は、白抜けの抑制をさせることを目的として、5重量部以上、好ましくは10重量部以上、特に好ましくは12重量部以上にする。また、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物100重量部に対するイソシアネート化合物(C)の使用量は、アクリル系共重合体(A)とイソシアネート化合物(C)の相溶性を確保し、粘着剤として十分なタック感を発生させることを目的として、30重量部以下、好ましくは20重量部以下にする。
【0055】
また、実施の形態に係る粘着剤組成物は、共重合体との架橋に寄与していないイソシアネート化合物(C)のイソシアネート基が環境中の水と反応することで多量体を形成していると考えられる。イソシアネート基と水との反応性は比較的高く、樹脂の反応性官能基に対して過剰量にイソシアネート基を入れなくともイソシアネート基の一部は環境中の水と反応することで多量体を形成すると考えられるが、白抜けの抑制と耐久性を向上させるために多くの多量体を形成させることとを目的として、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との反応性官能基の合計1当量に対して1当量より多く、好ましくは1.2当量以上、特に好ましくは1.5当量以上のイソシアネート基を使用する。
【0056】
実施の形態に係る粘着剤組成物は、イソシアネート化合物(C)以外の架橋剤を併用することもできる。イソシアネート化合物(C)以外の架橋剤としては、アクリル系共重合体(A)及び/又はアクリル系共重合体(B)と反応して架橋構造を形成するものである限り、特に限定されるものではなく、アジリジン化合物、エポキシ化合物、メラミンホルムアルデヒド縮合物、金属塩、金属キレート化合物等を挙げることができる。これらイソシアネート化合物(C)以外の架橋剤はそれぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。本実施の形態においては、イソシアネート化合物(C)以外の架橋剤として、アジリジン化合物、及び/又はエポキシ化合物を用いることが好ましい。
【0057】
アジリジン化合物としては、イソシアネート化合物とエチレンイミンとの反応生成物が使用でき、イソシアネート化合物としては、前記で例示した化合物を用いることができる。またトリメチロールプロパンやペンタエリトリトール等のポリオールと(メタ)アクリル酸等との多価エステルにエチレンイミンを付加させた化合物も知られており、使用することができる。
【0058】
アジリジン化合物としては、例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−アジリジンカルボアミド)、メチレンビス[N−(1−アジリジニルカルボニル))−4−アニリン]、テトラメチロールメタン−トリス(β−アジリジニルプロピオナート)、トリメチロールプロパン−トリス(β−アジリジニルプロピオナート)等を挙げることができ、これらのうち、例えば「TAZO」、「TAZM」〔以上相互薬工(株)製〕、「ケミタイトPZ−33」〔(株)日本触媒製〕等の商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0059】
エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリス(グリシジル)イソシアヌレート、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌレート、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン等を用いることができる。
【0060】
エポキシ化合物のうち、3つ以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物が好ましく、中でもトリス(グリシジル)イソシアヌレート、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌレート、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン等のエポキシ化合物の使用が更に好ましく、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンの使用が特に好ましい。このようなエポキシ化合物は、例えば「TETRAD−C」、「TETRAD−X」〔三菱ガス化学(株)製〕等の商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0061】
アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物100重量部に対するアジリジン化合物、及び/又はエポキシ化合物の使用量は、粘着剤組成物に十分な凝集力を与え、十分な耐久性を発揮させることを目的として、0.005重量部以上が好ましく、0.02重量部以上が特に好ましい。また、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物100重量部に対するアジリジン化合物、及び/又はエポキシ化合物の使用量は、支持基板に対する十分な密着性を粘着剤組成物に発揮させ、剥がれ等が生じない耐久性を発揮させることを目的として、0.1重量部以下が好ましく、0.04重量部以下が特に好ましい。
【0062】
本実施の形態に係る粘着剤組成物は、更にシラン化合物を使用することができる。このようなシラン化合物としては、例えば、メルカプト基含有シリコーンアルコキシオリゴマー、エポキシ基含有シリコーンアルコキシオリゴマー、アミノ基含有シリコーンアルコキシオリゴマー、フェニル基含有シリコーンアルコキシオリゴマー、メチル基含有シリコーンアルコキシオリゴマー等の有機置換基含有シリコーンアルコキシオリゴマー;例えばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有シラン化合物;例えば、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等の脂環式エポキシ基含有シラン化合物;例えば、メチルトリ(グリシジル)シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物;例えば、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸(無水物)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸(無水物)、3−メチルジメトキシシリルプロピルコハク酸(無水物)、メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸(無水物)、1−カルボキシ−3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸(無水物)等のカルボキシル基含有シラン化合物;例えば、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン化合物;例えば、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン等のヒドロキシル基含有シラン化合物;例えば、γ−アミドプロピルトリメトキシシラン等のアミド基含有シラン系化合物;例えば、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン化合物;例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート骨格含有シラン化合物等を用いることができる。シラン化合物を使用することは、耐久性の向上に好ましい。
【0063】
また、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物100重量部に対するシラン化合物の使用量は、粘着剤組成物の耐久性を向上させることを目的として、0.01重量部以上3重量部以下、好ましくは0.01重量部以上1重量部以下、特に好ましくは0.02重量部以上0.5重量部以下にする。
【0064】
更に、本実施の形態に係る粘着剤組成物は、上述したアクリル系共重合体(A)と、アクリル系共重合体(B)と、イソシアネート化合物(C)と、イソシアネート化合物以外の架橋剤と、シラン化合物との他に、本実施の形態に係る粘着剤組成物が発揮する効果を損なわない範囲内の量で、各種添加剤等を適宜配合することができる。各種添加材としては、各種添加剤、溶剤、耐候性安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機充填剤等を用いることができる。
【0065】
耐候性安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機充填剤等の配合量の範囲は、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物100重量部に対して30重量部以下が好ましく、更に好ましくは20重量部以下、最も好ましくは10重量部以下である。配合量を係る範囲内にすることにより、粘着剤組成物の接着力、濡れ性、耐熱性、糊転着性のバランスを適切に保つことができ、良好な各種物性を示す粘着剤組成物が得られる。
【0066】
本実施の形態に係る粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体(B)の反応性官能基とイソシアネート化合物(C)とが架橋構造を形成し、架橋反応に寄与しなかったイソシアネート基が環境中の水と反応することで多量体を形成すると考えられる。架橋構造及び多量体が形成された後におけるゲル分は、耐久性評価において発泡の発生を抑制することを目的として、60重量%以上、好ましくは70重量%以上である。また、架橋構造、及び多量体が形成された後におけるゲル分は、耐久性評価において剥がれの発生を抑制することを目的として、95重量%以下、好ましくは90重量%以下である。
【0067】
ゲル分は、下記方法により測定できる。
(粘着剤組成物のゲル分の測定)
下記(1)〜(6)に従って測定する。
(1)粘着剤組成物の溶液をシリコーン系離型剤で表面処理された剥離シートに、乾燥後の塗工量が25g/mとなるように塗布し、100℃で90秒間熱風循環式乾燥機にて乾燥し、フィルム状の感圧接着剤層を形成する。
(2)形成された感圧接着剤層を35℃、45%RHで4日間養生する。
(3)精秤した250メッシュの金網(100mm×100mm)に(2)で得られたフィルム状粘着剤層を約0.25g貼付し、ゲル分が漏れないように包む。その後、精密天秤にて重量を正確に測定して試料を作成する。
(4)前記の金網を酢酸エチル溶液に3日間浸漬する。
(5)浸漬後、金網を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、120℃で24時間乾燥
させる。その後、精密天秤にて重量を正確に測定する。
(6)下式によりゲル分を計算する。
ゲル分(重量%)=(C−A)/(B−A)×100
ただし、Aは金網の重量(g)、Bは粘着剤を貼付した金網の重量(粘着剤重量)(g)、Cは浸漬後、乾燥させた金網の重量(ゲル樹脂重量)(g)である。
【0068】
アクリル系共重合体(A)の溶解性パラメーター(SP)とアクリル系共重合体(B)の溶解性パラメーター(SP)との差(すなわち、ΔSP=SP−SP)は−0.5以上0.5以下が好ましく、−0.4以上0.4以下が更に好ましい。溶解性パラメーターの差(ΔSP)が上記範囲内にあれば、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との相溶性が極めて優れているので好ましい。
【0069】
溶解性パラメーターはFedorの方法で計算される。Fedorの方法は、例えば「SP値 基礎・応用と計算方法」(山本秀樹著 株式会社情報機構発行、2005年)に記載されている。Fedorの方法において、溶解性パラメーターは下記式2より算出される。
式2 溶解性パラメーター=√(ΣEcoh/ΣV)
式2中、Ecohは凝集エネルギー密度、Vはモル分子容である。原子団ごとに決められたEcoh、及びVに基づき、高分子の繰り返し単位におけるEcoh、及びVの総和ΣEcoh、並びにΣVを求めることによって、溶解性パラメーターを算出することができる。共重合体の溶解性パラメーターは、上記式2によりその共重合体を構成する各構成単位のそれぞれの単独共重合体の溶解性パラメーターを算出し、これらのSP値のそれぞれに各構成単位のモル分率を乗じたものを合算して算出される。
【0070】
アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)とを混合する割合は、耐久性試験での剥がれの発生を抑制することを目的として、重量比(アクリル系共重合体(A)の重量/アクリル系共重合体(B)の重量)で50/50以上、好ましくは70/30以上、特に好ましくは80/20以上にする。また、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)とを混合する割合は、耐久性試験での発泡の発生と白抜けの発生を抑制することを目的として、重量比(アクリル系共重合体(A)の重量/アクリル系共重合体(B)の重量)で99/1以下、好ましくは95/5以下、特に好ましくは90/10以下にする。
【0071】
実施の形態に係る粘着剤組成物は、少なくとも、反応性官能基を含有するアクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体(B)と、反応性官能基に架橋反応するイソシアネート化合物(C)とを混合する工程を経て製造される。そして、この混合する工程においては、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との反応性官能基の合計当量より、イソシアネート化合物(C)のイソシアネート基の当量が多くなる量のイソシアネート化合物(C)がアクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物に混合される。具体的には、反応性官能基を含有するアクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体(B)を準備する工程と、反応性官能基に架橋反応するイソシアネート化合物(C)を準備する工程と、準備したアクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体(B)と準備したイソシアネート化合物(C)とを混合する工程とを経て製造される。そして、イソシアネート化合物(C)を準備する工程は、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との反応性官能基の当量より、イソシアネート化合物(C)のイソシアネート基の当量が多くなる量のイソシアネート化合物(C)を準備する。
【0072】
(光学フィルム)
図1は、本実施の形態に係る光学フィルムの断面の概要を示し、図2は、本実施の形態の変形例に係る光学フィルムの断面の概要を示す。
【0073】
本実施の形態に係る光学フィルムは、実施の形態に係る粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する光学フィルムである。その具体的な製造方法は、剥離シート上に実施の形態に係る粘着剤組成物を、そのまま又は、必要に応じて酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等の適宜の溶媒で希釈して塗工溶液を作成し、塗布し乾燥することにより剥離シート上に粘着剤層を形成する。そして、剥離シート上に形成された粘着剤層を光学フィルムに転写し、次いで養生させて作成することができる。
【0074】
ここで、光学フィルムは、各種の表示装置等の製造に用いられる光学フィルムを使用することができ、その種類は特に制限されないが、例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、又は防眩シート等を含む。なお、光学フィルムは、偏光フィルムと位相差フィルムとを積層した形態、位相差フィルムの積層体の形態、偏光フィルムと輝度向上フィルム若しくは防眩シートとの積層体の形態等、光学素材を2層以上積層した形態を有することもできる。
【0075】
例えば、図1に示すように、本実施の形態に係る光学フィルムは、剥離シート4と、剥離シート4上に設けられ、本実施の形態に係る粘着剤組成物からなる粘着層3と、粘着層3の上に設けられる光学フィルム素材2と、光学フィルム素材2の上に設けられる保護フィルム1とを備える。また、図2に示すように、本実施の形態の変形例に係る光学フィルムは、剥離シート4と、剥離シート4上に設けられ、本実施の形態に係る粘着剤組成物からなる粘着層3と、粘着層3の上に設けられる光学フィルム素材2と、光学フィルム素材2上に更に設けられる粘着層5と、粘着層5上に設けられる光学フィルム素材6と、光学フィルム素材6の上に設けられる保護フィルム1とを備える。
【0076】
剥離シートとしては、フッ素系樹脂、パラフィンワックス、シリコーン等の離型剤で離型処理を施したポリエステル等の合成樹脂シートを用いることができる。
【0077】
剥離シート上に形成される粘着剤層の厚さは、例えば、乾燥後の厚みで1μm以上100μm以下、好ましくは5μm以上50μm以下、更に好ましくは15μm以上30μm以下程度の厚さにする。
【0078】
剥離シート上に塗布された粘着剤組成物は、熱風乾燥機で70℃以上120℃以下、1分以上3分以下程度の加熱条件で乾燥することができる。
【0079】
さらに、本実施の形態に係る粘着剤組成物からなる塗工溶液は、適宜の溶媒で希釈することにより、固形分を30重量%に調整した際の粘度が4000mPa・s以下の性状を有するものである。塗工溶液の粘度が4000mPa・s以下であると、塗工作業性が良好であり好ましい。更に、高い固形分濃度の塗工溶液であっても十分なポットライフを有し、低い粘度の塗工溶液を得るために、塗工溶液中に、メチルエチルケトン等のケトン系の溶媒を含むことが好ましい。塗工溶液中のメチルエチルケトン等のケトン系の溶媒は、重合時に使用する溶媒、または塗工溶液を作成する際の希釈溶媒として添加されるものである。
【0080】
(液晶表示装置)
図3は、本実施の形態に係る液晶表示装置の断面の概要を示し、図4は、本実施の形態の変形例に係る液晶表示装置の断面の概要を示す。
【0081】
本実施の形態に係る液晶表示装置は、本実施の形態に係る光学フィルムを備える液晶表示装置である。また、液晶表示装置は、本実施の形態に係る光学フィルムを、当該光学フィルムが有する粘着剤層を介して液晶セルの片側又は両側に貼着して製造できる。例えば、図3に示すように、液晶表示装置は、液晶セル5の一方の面に本実施の形態に係る粘着層3を介して偏光フィルム21と反射層22とからなる光学フィルム素材2が貼り合わされ、液晶セル5の他方の面に粘着層3を介して偏光フィルム21が貼り合わされて製造される。なお、液晶セル5は、液晶層50が所定の基板52で挟まれた構成を有する。更に、図4に示すように、他の液晶表示装置は、偏光フィルム21と反射層22とが粘着層3を介して貼り合わされた光学フィルム素材2を、液晶セルの一方の面及び他方の面のそれぞれに本実施の形態に係る粘着層3を介して貼り合わされて製造される。その貼り合わせに際しては、偏光フィルム、位相差フィルム等が所定の配置位置になるように行われ、その配置位置は従来に準じることができる。なお、液晶表示装置の液晶セルは、例えば、TN型、STN型、π型等のタイプの液晶セルを適宜採用できる。
【0082】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る粘着剤組成物、この粘着剤組成物からなる粘着剤層を備える光学フィルムは、上述した構成を備えるので、アクリル系共重合体(A)およびアクリル系共重合体(B)の反応性官能基と架橋剤との反応による化学架橋と、イソシアネート化合物(C)の架橋反応に寄与していないイソシアネート基が養生環境にある水分と反応して多量体を形成し、アクリル系共重合体の分子鎖の動きを拘束する物理架橋とにより高い凝集力を有していると考えられる為、アクリル系共重合体の重量平均分子量を低くした場合であっても耐久性が良好であり、分子鎖の動きを拘束している物理架橋部分には流動性もあるために応力緩和性にも優れていると考えられ、耐久性と白抜けの抑制を高い水準で併せ持つことができる。
【0083】
すなわち、本実施の形態に係る粘着剤組成物においては、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)の反応性官能基の合計当量よりイソシアネート化合物(C)のイソシアネート基の当量が多くなる量のイソシアネート化合物(B)を用いるので、アクリル系共重合体(A)およびアクリル系共重合体(B)の反応性官能基と架橋剤との反応による化学架橋だけではなく、アクリル系共重合体(A)およびアクリル系共重合体(B)に添加したイソシアネート化合物(C)のうち、アクリル系共重合体(A)およびアクリル系共重合体(B)に反応しなかったイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(C)に由来する多量体が生成する。これにより、本実施の形態に係る粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(A)およびアクリル系共重合体(B)の反応性官能基と架橋剤との反応による化学架橋によって生成した分子鎖の絡み合い構造中に、イソシアネート化合物(C)の多量体が存在することとなる。したがって、本実施の形態に係る粘着剤組成物は、反応性官能基と架橋剤との反応による化学架橋によって生成した分子鎖の絡み合い構造中に多量体が不均一に分散しており、例えば、可視光に対して良好な透明性を確保しつつ、低い重量平均分子量のアクリル系共重合体を使用した場合であっても、耐久性と白抜けの抑制とを高い水準で実現できる。
【0084】
また、本実施の形態に係る粘着剤組成物においては、塗工溶液が高い固形分濃度であっても低粘度で、十分なポットライフを有していることから塗工作業性が良好であり、コストパフォーマンスと環境面を配慮した粘着剤組成物で提供できる。
【実施例】
【0085】
以下に実施例、比較例、及び参考例を説明する。なお、実施例、比較例、及び参考例において用いた試験片の作成、並びに各種の試験・測定方法、及び評価方法は以下の通りである。
【0086】
(1)固形分(不揮発分)の測定
アクリル系共重合体溶液 約1gをアルミニウム製の平底皿に秤量し、100℃オーブンにて180分間乾燥し、残分を秤量して残率計算をし、固形分(不揮発分)とした。
【0087】
(2)塗工溶液粘度の測定
30重量%の固形分濃度に調整した粘着剤組成物の塗工溶液を、25℃中でBH型粘度計((株)東京計器社製)にて、10rpm、1分間回転の条件で測定した。
【0088】
(3)ポットライフの評価試験
30重量%の固形分濃度に調整した粘着剤組成物の塗工溶液を、23℃で保管して、粘着剤組成物溶液を塗布して形成される塗膜に白濁、塗布ムラが生じずに、均一に塗工できるまでの保管時間を確認した。評価基準は下記の通りである。なお、塗膜は保管後の粘着剤組成物溶液を、シリコーン系離型剤で表面処理された剥離フィルム上に、乾燥後の塗工量が25g/cmとなるように、粘着剤組成物を塗布し、100℃で90秒間熱風循環式乾燥機にて乾燥することで得た。
【0089】
(ポットライフ評価基準)
◎:24時間以上
○:12時間以上24時間未満
×:12時間未満
【0090】
(4)試験用光学フィルムの作成
光学フィルムの一例として偏光フィルムを使用して粘着剤層を有する偏光フィルムを作製した。シリコーン系離型剤で表面処理された剥離フィルム上に、乾燥後の塗工量が25g/cmになるように、粘着剤組成物の塗工溶液を塗布した。次に、100℃で90秒間熱風循環式乾燥機にて乾燥して粘着剤層を形成した。続いて、偏光ベースフィルム〔ポリビニルアルコール(PVA)フィルムを主体とする偏光子の両面にセルローストリアセテート(TAC)フィルムをラミネートしたもの;約190μm〕の裏面に粘着剤層面を貼り合せ、加圧ニップロールに通して圧着した。圧着後、35℃、45%RHで4日間養生させて粘着剤層を有する偏光フィルムを得た。
比較例1においては、塗工溶液粘度が3000mPa・sとなるように更に酢酸エチルで希釈した塗工溶液を用いて光学フィルムを作成した。
【0091】
(5)耐熱性、及び耐熱湿性の評価
「(4)試験用光学フィルムの作成」において作成した偏光フィルムを、吸収軸に対して長辺が45゜になるようにカットした140mm×260mm(長辺)の試験片を用い、0.7mmコーニング社製無アルカリガラス板「#1737」の片面にラミネーターを用いて貼付した。次に、このサンプルにオートクレーブ処理(50℃、5kg/cm、20分)を施し、23℃、50%RHの条件下で24時間放置して試験サンプルとした。試験サンプルは、耐熱性評価用と耐熱湿性評価用とのそれぞれについて作製した。その後、耐熱性評価用試験サンプルを105℃の温度条件下に500時間放置し、耐熱性について、発泡、剥れの状態を目視観察することにより評価した。また、耐熱湿性評価用試験サンプルを60℃90%RHの条件下に500時間放置し、耐熱湿性について、剥れの状態を目視観察することにより評価した。評価基準は次の通りである。
【0092】
(耐熱性評価基準)
a)発泡
◎:発泡が全く見られない。
○:発泡がほとんど見られない。
△:発泡が一部にやや見られる。
×:発泡が全面に顕著に見られる。
【0093】
b)剥がれ
◎:剥がれが無いもの。
○:剥がれが0.3mm以下。
×:剥がれが0.3mmより大きい。
【0094】
(耐熱湿性評価基準)
a)剥がれ
◎:剥がれが無いもの。
○:剥がれが0.3mm以下。
×:剥がれが0.3mmより大きい。
【0095】
(6)白抜け現象の評価試験
「(4)試験用光学フィルムの作成」において作成した偏光フィルムを、吸収軸に対して長辺が45゜になるようにカットした12インチサイズ、すなわち、140mm×260mm(ただし、長辺)の試験片を用い、0.7mmコーニング社製無アルカリガラス板「#1737」の両面に、粘着剤層を有する偏光フィルムをその偏光軸が互いに直交するように貼付した試験サンプルを作成した。次に、このサンプルにオートクレーブ処理(50℃、5kg/cm、20分)を施し、23℃、50%RHの条件下で24時間放置した。その後、80℃、ドライの条件下に500時間、放置した。放置後、23℃、50%RHの条件下で均一光源を使用し、白抜け状態を目視により監察した。評価基準は次の通りである。
【0096】
(白抜け現象の評価基準)
◎:白抜けが全く認められない。
○:白抜けがほとんど認められない。
×:白抜けが大きい。
【0097】
(アクリル系共重合体(A)の製造)
(製造例1)
温度計、攪拌機、逐次滴下装置及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)98重量部、アクリル酸(AA)2重量部からなる単量体溶液のうち25重量%、酢酸エチル(EAc)55重量部を加えて加熱し、還流温度まで系内の温度を上昇させ、そのまま20分間放置した。次いで、還流温度下で単量体混合物の残量75重量%と、酢酸エチル40重量部とABNV(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.07重量部からなる溶液を、130分かけて逐次添加し、更に60分反応させた。反応終了後、反応混合物を75重量部のメチルエチルケトンで希釈して、固形分35.7重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0098】
(製造例2)
温度計、攪拌機、逐次滴下装置及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)98.5重量部、アクリル酸(AA)1.5重量部からなる単量体溶液のうち25重量%、酢酸エチル(EAc)40重量部を加えて加熱し、還流温度まで系内の温度を上昇させ、そのまま20分間放置した。次いで、還流温度下で単量体混合物の残量75重量%と、酢酸エチル45重量部とABNV(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.07重量部からなる溶液を、130分かけて逐次添加し、更に60分反応させた。反応終了後、反応混合物を85重量部のメチルエチルケトンで希釈して、固形分34.9重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0099】
(製造例3)
温度計、攪拌機、逐次滴下装置及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)99重量部、アクリル酸(AA)1重量部からなる単量体溶液のうち25重量%、酢酸エチル(EAc)65重量部を加えて加熱し、還流温度まで系内の温度を上昇させ、そのまま20分間放置した。次いで、還流温度下で単量体混合物の残量75重量%と、酢酸エチル40重量部とABNV(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.07重量部からなる溶液を、130分かけて逐次添加し、更に60分反応させた。反応終了後、反応混合物を65重量部のメチルエチルケトンで希釈して、固形分35.2重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0100】
(製造例4)
製造例1において、n−ブチルアクリレート(BA)98重量部をn−ブチルアクリレート(BA)97重量部、アクリル酸(AA)2重量部をアクリル酸(AA)3重量部に変更した以外は製造例1と同様にアクリル系共重合体を得た。
【0101】
(製造例5)
温度計、攪拌機、逐次滴下装置及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)98重量部、アクリル酸(AA)2重量部からなる単量体溶液のうち25重量%、酢酸エチル(EAc)40重量部を加えて加熱し、還流温度まで系内の温度を上昇させ、そのまま20分間放置した。次いで、還流温度下で単量体混合物の残量75重量%と、酢酸エチル65重量部とABNV(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.02重量部からなる溶液を、130分かけて逐次添加し、更に60分反応させた。反応終了後、反応混合物を65重量部のメチルエチルケトンで希釈して、固形分34.8重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0102】
(製造例6)
製造例1において、n−ブチルアクリレート(BA)98重量部をn−ブチルアクリレート(BA)95重量部、アクリル酸(AA)2重量部をアクリル酸(AA)5重量部に変更した以外は製造例1と同様にアクリル系共重合体を得た。
【0103】
(製造例7)
製造例1において、n−ブチルアクリレート(BA)98重量部をn−ブチルアクリレート(BA)99.5重量部、アクリル酸(AA)2重量部をアクリル酸(AA)0.5重量部に変更した以外は製造例1と同様にアクリル系共重合体を得た。
【0104】
(アクリル系共重合体(B)の製造)
(製造例8)
温度計、攪拌機、逐次滴下装置及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)83.5重量部、t−ブチルアクリレート(tBA)15重量部、アクリル酸(AA)1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.5重量部からなる単量体溶液のうち25重量%、酢酸エチル(EAc)55重量部を加えて加熱し、還流温度まで系内の温度を上昇させ、そのまま20分間放置した。次いで、還流温度下で単量体混合物の残量75重量%と、酢酸エチル40重量部とABNV(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.07重量部からなる溶液を、130分かけて逐次添加し、更に60分反応させた。反応終了後、反応混合物を75重量部のメチルエチルケトンで希釈して、固形分34.7重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0105】
(製造例9)
温度計、攪拌機、逐次滴下装置及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)83.5重量部、t−ブチルアクリレート(tBA)15重量部、アクリル酸(AA)1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.5重量部からなる単量体溶液のうち25重量%、酢酸エチル(EAc)40重量部を加えて加熱し、還流温度まで系内の温度を上昇させ、そのまま20分間放置した。次いで、還流温度下で単量体混合物の残量75重量%と、酢酸エチル45重量部とABNV(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.07重量部からなる溶液を、130分かけて逐次添加し、更に60分反応させた。反応終了後、反応混合物を85重量部のメチルエチルケトンで希釈して、固形分34.6重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0106】
(製造例10)
温度計、攪拌機、逐次滴下装置及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)83.5重量部、t−ブチルアクリレート(tBA)15重量部、アクリル酸(AA)1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.5重量部からなる単量体溶液のうち25重量%、酢酸エチル(EAc)65重量部を加えて加熱し、還流温度まで系内の温度を上昇させ、そのまま20分間放置した。次いで、還流温度下で単量体混合物の残量75重量%と、酢酸エチル40重量部とABNV(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.07重量部からなる溶液を、130分かけて逐次添加し、更に60分反応させた。反応終了後、反応混合物を65重量部のメチルエチルケトンで希釈して、固形分34.8重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0107】
(製造例11)
製造例8において、n−ブチルアクリレート(BA)83.5重量部をn−ブチルアクリレート(BA)83.7重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.5重量部を2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.3重量部に変更した以外は製造例8と同様にアクリル系共重合体を得た。
【0108】
(製造例12)
温度計、攪拌機、逐次滴下装置及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)83.5重量部、t−ブチルアクリレート(tBA)15重量部、アクリル酸(AA)1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.5重量部からなる単量体溶液のうち25重量%、酢酸エチル(EAc)40重量部を加えて加熱し、還流温度まで系内の温度を上昇させ、そのまま20分間放置した。次いで、還流温度下で単量体混合物の残量75重量%と、酢酸エチル65重量部とABNV(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.02重量部からなる溶液を、130分かけて逐次添加し、更に60分反応させた。反応終了後、反応混合物を65重量部のメチルエチルケトンで希釈して、固形分34.7重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0109】
表1〜表2に、各例の共重合体組成、固形分、ガラス転移点(Tg)、溶解性パラメーター(SP値)、重量平均分子量(Mw)を示した。
【0110】
【表1】

【0111】
【表2】

【0112】
(光学フィルム用粘着剤組成物の製造)
(実施例1)
表3に示すように、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)とのブレンド比が85:15になるように製造例1で製造したアクリル系共重合体(A)溶液238重量部(ただし、有効成分として85重量部)と製造例8で製造したアクリル系共重合体(B)溶液43重量部(ただし、有効成分として15重量部)とを混合すると共に、この混合物にイソシアネート化合物(C)としてコロネートL18.7重量部(日本ポリウレタン社製ポリイソシアネート化合物、有効成分14重量部、アクリル系共重合体の反応性官能基の合計1当量に対するイソシアネート基の量(なお、表3〜5に「NCO/樹脂官能基」として記載)2.22当量)と、エポキシ化合物としてTETRAD−X(三菱瓦斯化学社製、有効成分100重量%)0.02重量部と、シラン化合物として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.1重量部(信越化学社製シラン化合物、商品名KBM−403、有効成分0.1重量部)と、希釈溶媒としてメチルエチルケトン80重量部を添加して、十分に攪拌混合して、固形分濃度30重量%の実施例1に係る粘着剤組成物の塗工溶液を得た。
【0113】
(他の実施例、比較例、及び参考例)
実施例1における配合組成の代わりに、表3〜表4に示した各例の配合組成を採用し、希釈溶媒の重量部を適宜変更する以外は実施例1と同様にして、固形分濃度30重量%の粘着剤組成物(すなわち、実施例2〜7、比較例1〜3に係る粘着剤組成物)の塗工溶液を作製した。得られた粘着剤組成物の塗工溶液を用いて、上述した試験用光学フィルムの作成方法により試験用光学フィルムを作成して、上述した各種測定を実施した。各例についての結果を表3〜表5に示す。
【0114】
【表3】

【0115】
【表4】

【0116】
【表5】

【0117】
なお、表3〜表4における各配合物の略号は以下の通りであり、各成分の添加量は有効成分の重量部である。
コロネートL:日本ポリウレタン社製のトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物、有効成分75重量%、イソシアネート化合物(C)
TETRAD−X:三菱瓦斯化学社製のエポキシ化合物、商品名:TETRAD−X、化学名:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、有効成分100重量%、エポキシ化合物
KBM−403:信越化学社製のシラン化合物、商品名:KBM−403、化学名:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、有効成分100重量%、シラン化合物
X−41−1053:信越化学社製のシラン化合物、商品名:X−41−1053、有機置換基として有機置換基としてエポキシ基を含有するエポキシ基含有シリコーンアルコキシオリゴマー、有効成分100重量%、シラン化合物
【0118】
なお、実施の形態、及び実施例に係る粘着剤組成物は、高固形分濃度の塗工溶液であっても低粘度なため塗工性が良好で、塗工溶液のポットライフも十分長く塗工作業性に優れるため、コストと環境面に配慮した粘着剤組成物を提供できる。さらに、実施の形態、及び実施例に係る光学フィルム用粘着剤を有する光学フィルムは、耐久性が良好で、白抜けが抑制されるため、パーソナルコンピューター、テレビジョン、カーナビゲーション等の表示装置に用いられる光学フィルムに適用することができる。
【0119】
以上、本発明の実施の形態、及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態、及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態、及び実施例の中で説明した特徴の組み合わせの全てが発明の課題を解決するための手段に必要であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0120】
1 保護フィルム
2 光学フィルム素材
3 粘着層
4 剥離シート
5 粘着層
6 光学フィルム素材

21 偏光フィルム
22 反射層

50 液晶層
52 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基含有単量体1重量%以上4重量%以下を共重合体成分として含有する重量平均分子量が40万以上90万未満のアクリル系共重合体(A)と、
カルボキシル基含有単量体0.1重量%以上4重量%以下と水酸基含有単量体0.05重量%以上5重量%以下を共重合体成分として含有する重量平均分子量が40万以上90万未満のアクリル系共重合体(B)と、
前記アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物100重量部に対して、5重量部以上30重量部以下、添加されるイソシアネート化合物(C)と、
を含む粘着剤組成物。
【請求項2】
前記アクリル系共重合体(A)と前記アクリル系共重合体(B)とが50/50以上99/1以下の重量比で含有されている請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記アクリル系共重合体(A)の溶解性パラメーター(SP)と前記アクリル系共重合体(B)の溶解性パラメーター(SP)との差が、−0.5以上0.5以下である請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記アクリル系共重合体(A)のガラス転移点(Tg)と前記アクリル系共重合体(B)のガラス転移点(Tg)との関係がTg<Tgを満たす請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
エポキシ化合物又はアジリジン化合物を更に含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
前記エポキシ化合物又はアジリジン化合物が、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物100重量部に対して、0.005重量部以上0.05重量部以下添加される請求項5に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する光学フィルム。
【請求項8】
請求項7に記載の光学フィルムを備える液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−178903(P2011−178903A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44816(P2010−44816)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【Fターム(参考)】