説明

粘着剤組成物、及び粘着テープ類

【課題】従来に比して、液状でのポットライフが十分に長く、比較的低温で架橋することができ、凝集力に優れた粘着剤組成物、及び粘着テープ類を提供する。
【解決手段】イソシアネート基と反応可能なベースポリマー、及びブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を用いてなるブロックイソシアネート化合物を含むことを特徴とする粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物に関する。さらに詳細には、ブロックイソシアネート化合物を含む粘着剤組成物と、それを用いた粘着テープ類に関する。
【0002】
特に接合用、包装用、表面保護用、電気絶縁用などといった幅広い分野に用いられる粘着テープ類に関する。
【背景技術】
【0003】
従来より、常温において指圧程度の力で接着できる粘着剤組成物を用いた粘着テープ類(シートなども含む)は、接合用、包装用、表面保護用、電気絶縁用などといった幅広い分野で使用されている。
【0004】
これらの粘着剤組成物において、一般に粘着剤組成物中のベースポリマーに架橋剤を添加することにより凝集力を向上させているが、凝集力は粘着力とトレードオフの関係にあり、両特性を高いレベルで併有・維持することが難しいのが現状である。
【0005】
かかる架橋剤としては、比較的凝集力と粘着力のバランスが取りやすい架橋剤であるイソシアネート系架橋剤が広く用いられている。しかしイソシアネート系架橋剤の添加量が多くなると、特に粘着剤組成物の溶液状態でのポットライフが短くなってしまい、一方、イソシアネート系架橋剤の添加量が少なくなると、架橋反応の進行度合いが遅くなり、初期凝集力を確保する為のエージング処理が必要となるなど、生産性に大きな影響を及ぼし、いずれも好ましくなかった。
【0006】
上記のポットライフの改善検討については、溶媒の種類、触媒を調整するなどの手法が用いられることがあるが、ポットライフと架橋反応のトレードオフを解消するには充分でない。また溶媒の種類の置換手法においては、粘着剤成分の相溶性に影響を及ぼす場合もあり、溶媒種の置換に伴う条件検討がさらに必要になるなどの問題を有し、好ましいものではなかった。
【0007】
これまでに、上記したポットライフを改善する試みとして、たとえば、ブロックイソシアネートのブロック剤として、フェノール系化合物、オキシム系化合物、カプロラクタム系化合物を用いたもの(たとえば、特許文献1参照)、ピラゾール系化合物やトリアゾール系化合物を用いたもの(たとえば、特許文献2参照)が開示されている。しかし、かかるブロックイソシアネートでは、架橋に要する熱処理温度が比較的高温(約120〜130℃以上)であるため、ポットライフの改善は図れるものの、前記温度以上に処理しなければ架橋反応の進行度合いが遅くなってしまう、または架橋反応が進行しないといった問題があり、保持力にも劣ることが判明した。一方、前記温度以上に処理した場合、樹脂素材の変性や機器の温度昇降作業における時間的費用的コストの増加といった問題がある。上述のように、これらのいずれにおいても、ポットライフと架橋反応の並立がいまだなされておらず、上記問題をバランスよく解決できうるものの開発が求められている。
【特許文献1】特開平7−331197号公報
【特許文献2】特開平7−304843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、このような事情に照らし、従来に比して、液状でのポットライフが十分に長く、比較的低温で架橋することができ、凝集力に優れた粘着剤組成物、及び粘着テープ類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、粘着剤組成物の架橋剤成分となるイソシアネート化合物について鋭意検討した結果、イソシアネート化合物と反応可能なベースポリマー、及びブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を用いてなるブロックイソシアネート化合物を含むことにより、液状でのポットライフが十分に長く、比較的低温で架橋することができ、凝集力に優れた粘着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明における粘着剤組成物は、イソシアネート基と反応可能なベースポリマー、及びブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を用いてなるブロックイソシアネート化合物を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明において、ブロックイソシアネート化合物とは、イソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤により一時的に保護したイソシアネート再生体をいい、masked isocyanate及びisocyanate generatorといわれるものも含む。
【0012】
また、本発明において、テープ類とは平面状の材料を意味し、通常、シート、及びフィルムとよばれるものを含むこととする。
【0013】
本発明の粘着剤組成物によると、実施例の結果に示すように、イソシアネート基と反応可能なベースポリマー、及びブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を用いてなるブロックイソシアネート化合物を含むことにより、液状でのポットライフが十分に長く、比較的低温で架橋することができ、凝集力に優れたものとなる。上記粘着剤組成物の架橋物が、かかる特性を発現する理由の詳細は明らかではないが、ブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を用いてなるブロックイソシアネート化合物を用いることにより、ブロック成分解離開始温度、及び反応転化率などが好適な範囲のものとなるとともに、かかる架橋成分及び架橋構造がベースポリマーとの良好な相溶性などを有することにより、もって液状での良好なポットライフ及び比較的低温での架橋の並立を可能にしていると推測される。
【0014】
本発明における粘着剤組成物は、イソシアネート化合物と反応可能なベースポリマーを含む。前記ベースポリマーとは、粘着剤組成物のベースポリマー内に水酸基、アミノ基などのイソシアネート基と反応可能な官能基を有するポリマーをいい、イソシアネート基と反応可能であれば特に限定されない。ベースポリマー内の前記官能基がイソシアネート化合物と反応することで主にウレタン結合ユニット等を新たに形成することにより、凝集力等に優れた粘着剤層となる。
【0015】
本発明における粘着剤組成物は、ブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を用いてなるブロックイソシアネート化合物を含むことを特徴とする。前記ブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を用いてなるブロックイソシアネート化合物(DPFA体)を含むことにより、ブロック成分解離開始温度、反応転化率、及び液状でのポットライフなどが好適な範囲のものとなり、液状でのポットライフが十分に長く、比較的低温で架橋することができ、凝集力に優れた粘着剤組成物となる。
【0016】
また、本発明において、前記ベースポリマーが炭素数4〜12であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主要な単量体成分とする(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましい。かかるポリマーを用いることにより、粘着力と凝集力をバランスよく併有する粘着剤組成物となる。
【0017】
なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマー及び/又はメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートはアクリレート及び/又はメタクリレートをいう。
【0018】
また、本発明における粘着剤組成物においては、前記ベースポリマー100重量部に対し、前記ブロックイソシアネート化合物0.5〜20重量部含有してなることが好ましい。かかる重量部比率で配合することにより、架橋剤による架橋反応の程度を適度に調整することができ、もって粘着力と凝集力をバランスよく併有する粘着剤組成物となる。
【0019】
一方、本発明の粘着剤層は、上記のような粘着剤組成物を架橋してなることを特徴とする。ベースポリマーの構成単位、及び構成比率等を適宜調節して架橋することにより、比較的低温で架橋することができ、凝集力に優れたものとなる。
【0020】
また、本発明の粘着テープ類は、上記いずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を支持体上の片面又は両面に形成してなることを特徴とする。本発明の粘着テープ類によると、上記の作用効果を奏する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を備えるため、比較的低温で架橋することができ、凝集力に優れた粘着テープ類となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
本発明における粘着剤組成物は、イソシアネート基と反応可能なベースポリマー、及びブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を用いてなるブロックイソシアネート化合物を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明においては、粘着剤組成物のベースポリマーとしてイソシアネート基と反応可能なベースポリマーを用いるが、前記ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマー及び/又はゴム系ポリマーが用いられる。
【0024】
上記ベースポリマーは、イソシアネート基と反応可能であれば特に限定されないが、たとえば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基などの官能基が導入されたポリマーを適宜使用できる。これらのベースポリマーは、官能基を有するモノマーと各種の他のモノマーとのコポリマー、グラフトポリマー、ブロックポリマー等があげられる。
【0025】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーとしては、炭素数4〜12であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いるが、炭素数7〜12であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。たとえば、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレートなどがあげられ、中でもn−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
【0026】
炭素数が4〜12であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーは、単独で用いても良いし組み合わせて用いても良いが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系モノマーの単量体成分中50〜98重量%であることが好ましく、60〜96重量%であることが好ましい。50重量%より少ないと、粘着テープとして必要な粘着力および保持力を有さない場合がある。
【0027】
ベースポリマーとしての前記(メタ)アクリル系ポリマーには適宜イソシアネート化合物と反応可能な官能基が導入される。これらの官能基は接着性の改良、および内部凝集力の改善にも寄与しうる。イソシアネート化合物と反応可能な官能基を含有するモノマー(官能基含有モノマー)としては、たとえば、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等があげられる。イソシアネート化合物と反応可能な(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、上記の官能基含有モノマーユニットを含有している。これらの官能基含有モノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0028】
カルボキシル基含有モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などがあげられる。
【0029】
酸無水物基含有モノマーとしては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、上記のカルボキシル基含有モノマーの酸無水物体などがあげられる。
【0030】
水酸基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、グリセリンジメタクリレートなどがあげられる。
【0031】
アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピリアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピリメタクリルアミドなどがあげられる。
【0032】
アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリンなどがあげられる。
【0033】
イミド基含有モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどがあげられる。
【0034】
イソシアネート基含有モノマーとしては、たとえば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートがあげられる。
【0035】
エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0036】
また、(メタ)アクリル系ポリマーにおける官能基含有モノマーユニットの構成割合について、(メタ)アクリル系ポリマー全単量体成分中、共重合する官能基含有モノマー0.05〜15重量%であることが好ましく、0.07〜10重量%がより好ましい。この官能基含有モノマーの割合が0.05重量%よりも少なくなると、イソシアネート基との反応性が低下し、ひいては密着性等が低下してしまう場合があり、一方、15重量%よりも大きくなると、重合反応時の安定性が低下しまう場合があり好ましくない。また、得られる共重合体は、ランダム、ブロックなど何れでもよい。
【0037】
炭素数が4〜12であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、および上記の官能基含有モノマー以外のその他の重合性モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。また、これらのモノマーは単独で用いても良いし組み合わせて用いても良いが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系モノマーの単量体成分中2〜50重量%であることが好ましい。
【0038】
さらに本発明において、任意成分として、その他の重合性モノマーを用いてもよい。その他の重合性モノマーとしては、たとえば、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、ビニルエーテルモノマー、多官能モノマー等の接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分を適宜用いることができる。また、炭素数4〜12以外のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル系モノマー、オレフィン類モノマーなどを用いてもよい。これらのモノマー化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0039】
炭素数4〜12以外のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとして、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの炭素数13〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーなどがあげられる。
【0040】
脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル系モノマーとして、たとえば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0041】
芳香族ビニル系モノマーとしては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどがあげられる。
【0042】
スルホン酸基含有モノマーとしては、たとえば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウムなどがあげられる。
【0043】
シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどがあげられる。
【0044】
オレフィン類モノマーとしては、たとえば、エチレン、ブタジエン、オクタジエンなどがあげられる。
【0045】
ビニルエステルモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
【0046】
リン酸基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートがあげられる。
【0047】
ビニルエーテルモノマーとしては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
【0048】
多官能モノマーとしては、たとえば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどがあげられる。
【0049】
さらに上記以外のその他の重合性モノマーとしては、たとえば、塩化ビニルなどがあげられる。
【0050】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が30万〜130万、好ましくは35万〜85万、さらに好ましくは40万〜80万であることが望ましい。重量平均分子量が30万より小さい場合は、被着体への濡れ性の向上により剥離時の接着力が大きくなるため剥離工程での被着体損傷の原因になることがあり、また粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる場合がある。一方、重量平均分子量が130万を超える場合は、ポリマーの流動性が低下し被着体への濡れが不十分となり、被着体と粘着テープ類の粘着剤組成物層との間に発生するフクレなどの塗工不良の原因となる場合がある。重量平均分子量はGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
【0051】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が通常−100℃以上であるものが用いられるが、−90℃〜−20℃であることが好ましく、−80℃〜−30℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が−20℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と表面保護フィルムの粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となり、良好な感圧接着性を発現しがたい場合がある。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
【0052】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は特に制限されるものではなく、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、UV(紫外線)重合法などの公知の方法により重合できるが、中でも粘着力、保持力などの粘着特性のバランス及びコストなどの点で溶液重合法が好ましい。
【0053】
また、本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーは、特に制限されるものではなく、目的に応じてランダム共重合体、ブロック共重合体などいずれも適宜用いることができる。
【0054】
また、上記の重合方法においては、重合開始剤を必要に応じて適宜選択して使用することができる。
【0055】
本発明に用いられる重合開始剤としては、たとえば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、ジベンゾイルパーオキシド(BPO)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などがあげられるが、これらに限定されるものではない。中でも、油溶性開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジベンゾイルパーオキシド(BPO)などが特に好適に用いられる。
【0056】
前記重合開始剤は、単独で使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良いが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.01〜1重量部程度であることがより好ましい。
【0057】
また、本発明においては、重合において連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、アクリル系ポリマーの分子量を適宜調整することができる。
【0058】
連鎖移動剤としては、たとえば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、α−メチルスチレンダイマーなどがあげられる。
【0059】
これらの連鎖移動剤は、単独で使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良いが、全体としての含有量は通常モノマー100重量部に対して、0.01〜15重量部程度である。
【0060】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの重合の際に用いられる溶媒としては、たとえば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、水、または各種水溶液などがあげられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0061】
本発明におけるゴム系ポリマーとは、イソシアネート化合物と反応可能なゴム系ポリマーである。たとえば、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレンゴム(PIB)、ニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム(UR)、エチレン・プロピレン・ターポリマー(EPT)、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムメチルゴム(2,3−ジメチルブタジエン重合体)、ブチルゴム(IIR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、変性ゴムなどがあげられるが、なかでも、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレンゴム(PIB)、及び変性ゴムが好適に用いられる。これらのゴム系ポリマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0062】
さらに本発明の粘着剤組成物には、従来より公知の各種の粘着付与樹脂を適宜添加することが出来る。特にゴム系ポリマーをベースポリマーとする場合、粘着付与樹脂が好適に用いられる。一方、(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとする場合、一般的には粘着付与樹脂を添加しなくても粘着特性を発現するが、非極性被着体への接着信頼性、強接着特性の発現等、必要に応じて任意に添加してもよい。
【0063】
前記粘着付与樹脂としては、公知の粘着付与樹脂を適宜用いることができる。たとえば、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、ロジン変性フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、石油系樹脂、スチレン系樹脂などがあげられる。これらの粘着付与樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0064】
ゴム系ポリマーをベースポリマーとして用いる場合、前記粘着付与樹脂の配合量は、ベースポリマー成分100重量部に対して、20〜200重量部であることが好ましく、50〜150重量部であることがより好ましい。配合量が20重量部より少ないと、充分な初期接着力が得にくくなる傾向があり、一方、配合量が200重量部を越えると、十分な凝集力が得られなくなる傾向がある。
【0065】
また、アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いる場合、前記粘着付与樹脂の配合量は、ベースポリマー成分100重量部に対して、10〜100重量部であることが好ましく、15〜80重量部であることがより好ましく、20〜60重量部であることがより好ましい。配合量が10重量部より少ないと、充分な初期接着力が得にくくなる傾向があり、一方、配合量が100重量部を越えると、十分な凝集力が得られなくなる傾向がある。
【0066】
本発明の粘着剤組成物においては、前記粘着剤組成物を適宜架橋することにより耐熱性、耐候性、耐溶剤性などにより優れた粘着剤層とすることができる。架橋の手段としては、たとえば、アクリル系ポリマー構造中に架橋化基点として導入したアミノ基、アミド基、水酸基などと反応しうるイソシアネート化合物を架橋剤として用いる方法、架橋剤間でのみ架橋構造を構築させる相互侵入網目構造(IPN構造、sIPN構造など)などがあげられる。
【0067】
本発明に用いられる架橋剤には、ブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を用いてなるブロックイソシアネート化合物(DPFA体)が含まれることを要する。ブロックイソシアネート化合物(DPFA体)は単独で使用してもよく、また2種以上のブロックイソシアネート化合物(DPFA体)を混合して使用してもよい。
【0068】
本発明のブロックイソシアネート化合物に用いられるイソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が好ましく、たとえば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタデシルジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、3−クロロ−4−メチルフェニルジイソシアネート、p−クロロフェニルジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートHL、日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネート付加物などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0069】
本発明のブロックイソシアネート化合物(DPFA体)は、上記のイソシアネート化合物とブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物とを反応(ブロック化反応)させることにより得ることができる。前記ブロック化反応は、公知のブロック化手法を適宜用いることができる。たとえば、イソシアネート化合物とN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を溶媒中にて20〜200℃下で2時間撹拌反応させることにより前記ブロック化反応をおこなうことができる。
【0070】
前記N,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物とは、たとえば、N,N’−ジフェニルホルムアミジン、N,N’−ジ(2−メチルフェニル)ホルムアミジン、N,N’−ジ(3−メチルフェニル)ホルムアミジン、N,N’−ジ(4−メチルフェニル)ホルムアミジン、N−(2−メチルフェニル)−N’−(3−メチルフェニル)ホルムアミジン、N−(2−メチルフェニル)−N’−(4−メチルフェニル)ホルムアミジン、N−(3−メチルフェニル)−N’−(4−メチルフェニル)ホルムアミジン、N,N’−ジ(3、5−ジメチルフェニル)ホルムアミジンなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0071】
前記ブロック化反応においては、イソシアネート化合物中のイソシアネート基に対して1.0〜1.5倍モル量仕込むことが好ましい。
【0072】
前記ブロック化反応の反応温度は通常20〜200℃程度である。
【0073】
また、前記ブロック化反応に用いられる溶媒としては、たとえば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒などがあげられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。また、イソシアネート化合物自身が反応温度下で液状の場合であっても、反応効率、反応制御、取り扱いなどの面から上記溶媒を適宜用いてもよい。
【0074】
また、前記ブロック化反応において、必要に応じて反応触媒等を適宜用いてよい。
【0075】
また、前記ブロック化反応において、反応後処理やブロックイソシアネート化合物の単離・精製において、たとえば、再結晶法、ろ別・ろ過、抽出、遠心分離、デカンテーション、各種のカラム・クロマトグラフィー、分取用カラム装着機器(分取用GPCなど)などの公知の手法を適宜用いることができる。これらの手法は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0076】
さらに、前記架橋剤には、ブロックイソシアネート化合物(DPFA体)に加えて、ブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物以外のブロック剤を用いてなるブロックイソシアネート化合物、上記のイソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、および金属キレート化合物等をあわせて用いてもよい。
【0077】
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0078】
メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミン等があげられる。アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU(相互薬工社製)、商品名TAZM(相互薬工社製)、商品名TAZO(相互薬工社製)等があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0079】
金属キレート化合物としては、金属成分として、アルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分として、アセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0080】
本発明に用いられるブロックイソシアネート化合物(DPFA体)の含有量は、架橋剤としてブロックイソシアネート化合物(DPFA体)のみ単独で用いる場合には、ベースポリマー100重量部に対し、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜10重量部であり、より好ましくは2〜8重量部である。含有量が0.5重量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなる場合がある。一方、含有量が10重量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、被着体への濡れが不十分となり、接着性が不十分となる傾向がある。
【0081】
また、架橋剤としてブロックイソシアネート化合物(DPFA体)以外の架橋剤をあわせて用いることもできる。
【0082】
また、ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーを用いる場合、本発明における架橋剤として、放射線反応性不飽和結合を2個以上有す多官能モノマーを添加することができる。かかる場合には、放射線などを照射することにより粘着剤組成物を架橋させる。1分子中に放射線反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーとしては、たとえば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルベンジル基などの放射線の照射で架橋処理(硬化)することができる1種又は2種以上の放射線反応性を2個以上有す多官能モノマーがあげられる。また、前記多官能モノマーとしては、一般的には放射線反応性不飽和結合が10個以下のものが好適に用いられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0083】
前記多官能モノマーの具体例としては、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどあげられる。
【0084】
前記多官能モノマーの使用量は、架橋すべき(メタ)アクリル系ポリマーとのバランスにより、さらには、粘着テープ類としての使用用途によって適宜選択される。アクリル粘着剤の凝集力により充分な耐熱性・耐溶剤性等を得るには一般的には、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.1〜30重量部で配合するのが好ましい。また柔軟性、接着性の点から(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、10重量部以下で配合するのがより好ましい。
【0085】
放射線としては、たとえば、紫外線、レーザー線、α線、β線、γ線、X線、電子線などがあげられるが、制御性及び取り扱い性の良さ、コストの点から紫外線が好適に用いられる。より好ましくは、波長200〜400nmの紫外線が用いられる。紫外線は、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプなどの適宜光源を用いて照射することができる。なお、放射線として紫外線を用いる場合にはアクリル粘着剤に光重合開始剤を添加する。
【0086】
光重合開始剤としては、放射線反応性成分の種類に応じ、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよい。
【0087】
光ラジカル重合開始剤として、たとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、o−ベンゾイル安息香酸メチル−p−ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン等のベンゾイン類、ベンジルジメチルケタール、トリクロルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン等のアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−イソプロピル−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−クロルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(エトキシ)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類、ベンジル、ジベンゾスベロン、α−アシルオキシムエステルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0088】
光カチオン重合開始剤として、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。光重合開始剤は、アクリル系ポリマー100重量部に対し、通常0.1〜10重量部配合し、0.2〜7重量部の範囲で配合するのが好ましい。
【0089】
さらにアミン類などの光開始重合助剤を併用することも可能である。前記光開始助剤としては、たとえば、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0090】
前記の重合開始助剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.05〜10重量部配合するのが好ましく、0.1〜7重量部の範囲で配合するのがより好ましい。
【0091】
さらに、本発明において、主として粘着剤組成物の初期凝集力を向上する目的で、架橋剤として1分子中に2個以上の水酸基を含有する化合物(ポリオール化合物)を用いてもよい。ポリオール化合物としては、たとえば、脂肪族ポリオール、脂環族ポリオール、芳香族ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ウレタンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールなどがあげられる。
【0092】
上記のポリオール化合物として、より具体的には、たとえば、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2、2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ベンゼントリオール、1,2,4−ベンゼントリオール、エストリオール、ポリカプロラクトントリオール、N,N,N,N−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N,N−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンPO(プロピレンオキサイド)付加物、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)エタン、1,1,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(4,5−ジヒドロキシ−2−ジメチルフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−α,α’−ジメチル−p−キシレンなどがあげられるが、中でも分子中に窒素原子を含むポリオール化合物を使用することが、架橋促進効果をさらに高めることができる点で好ましい。これらのポリオール化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0093】
前記ポリオール化合物の配合量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着テープ類としての使用用途によって適宜選択される。アクリル粘着剤の凝集力により充分な耐熱性・耐溶剤性等を得るには一般的には、ベースポリマー100重量部に対して、0.01〜10重量部で配合するのが好ましく、0.015〜9重量部で配合するのがより好ましく、0.02〜8重量部で配合するのがさらに好ましい。前記ポリオール化合物の配合量が0.01重量部より少ないと、目的とする初期凝集力の向上の効果が十分に得られず、一方、10重量部より多くなると、凝集力過多となり、逆に粘着力が低下し、いずれも好ましくない。
【0094】
本発明において、主としてブロックイソシアネート化合物の解離反応を促進する目的で、反応触媒を用いてもよい。反応触媒としては、たとえば、トリエチレンジアミン(TEDA)、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(toyocat−ET、東ソー社製)等のアミン系触媒、前記アミン系触媒のボラン塩などの各種アミン塩系触媒、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸金属塩(カルボキシレート類)、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート等の有機スズ系化合物、有機亜鉛系化合物トリエチルフォスフィン類、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属のアルコキシド類があげられる。これらのなかでもジブチルチンジラウレートの使用が好ましい。これらの反応触媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0095】
前記反応触媒を使用する場合は、反応触媒の使用量は、通常ベースポリマー成分100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは0.05〜1.0重量部である。
【0096】
一方、本発明の粘着剤層は、以上のような粘着剤組成物を架橋してなるものである。また、本発明の粘着テープ類は、かかる粘着剤層を支持体上に形成してなるものである。その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持フィルム等の支持体に転写することも可能である。
【0097】
上述のように任意成分とする光重合開始剤を添加した場合において、前記粘着剤組成物を、被着体上に直接塗工するか、又は支持基材の片面又は両面に塗工した後、光照射することにより粘着剤層を得ることができる。通常は、波長300〜400nmにおける照度が1〜200mW/cmである紫外線を、光量400〜4000mJ/cm程度照射して光重合させることにより粘着剤層が得られる。
【0098】
さらに本発明の粘着テープ類に用いられる粘着剤組成物には、任意成分として、従来公知の各種の表面潤滑剤、剥離調整剤、粘着付与樹脂以外の粘着付与剤、可塑剤、着色剤(顔料や染料など)、レベリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機又は有機の充填剤、金属粉、粉体、粒子、箔状物などの従来公知の各種の添加剤を使用する用途に応じて適宜添加することが出来る。これらの添加物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0099】
粘着テープ類上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、前記粘着剤組成物を支持フィルム等の支持体に塗布し、重合溶剤等を乾燥除去して粘着剤層を支持体上に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物を支持体上に塗布して粘着テープ類を作製する際には、支持フィルム等の支持体上に均一に塗布できるよう、該組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0100】
本発明における粘着剤組成物の塗布形成方法としては、粘着テープ類の製造に用いられる公知の方法が用いられるが、具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法などがあげられる。
【0101】
本発明の粘着テープ類は、上記粘着剤層の厚みが通常5〜1000μm、好ましくは10〜200μm程度となるようにポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムや、紙、不織布などの多孔質材料などからなる各種の支持体の片面又は両面に塗布形成し、シート状やテープ状などの形態としたものである。なお、上記粘着剤層支持体としてセパレーター(剥離シート、剥離ライナー)等の上に設けてシート状やテープ状などの形態とした基材レスの構成であってもよい。
【0102】
粘着テープ類を構成する支持体は、耐熱性及び耐溶剤性を有すると共に可とう性を有する樹脂フィルムなどの支持フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可とう性を有することにより、ロールコーターなどによって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができる。
【0103】
支持体を形成する樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフルオロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどをあげることができる。
【0104】
なお、粘着剤層と支持体間の密着性を向上させるため、支持体の表面にはコロナ処理などをおこなってもよい。また、支持フィルムには背面処理を行ってもよい。
【0105】
前記支持体の厚みは、通常10〜1000μm、好ましくは20〜200μm程度である。
【0106】
前記支持体の片面及び/又は両面には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系若しくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型及び防汚処理や酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理をすることもできる。
【0107】
本発明の粘着テープ類は必要に応じて粘着面を保護する目的で粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせることが可能である。セパレーター(剥離シート、剥離ライナー)を構成する基材としては紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。そのフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
【0108】
上記構成を有することにより、本発明の粘着テープ類は、従来に比して、液状でのポットライフが十分に長く、比較的低温で架橋することができ、凝集力に優れた粘着テープ類となる。そのため、特に接合用、包装用、表面保護用、電気絶縁用などといった幅広い分野における粘着テープ類(たとえば、両面テープなど)として用いることができる。
【実施例】
【0109】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0110】
<アクリル系ポリマーの重量平均分子量の測定>
作製したポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。
【0111】
装置:東ソー社製、HLC−8220GPC
カラム:
サンプルカラム;東ソー社製、TSKguardcolumn Super HZ−H(1本)+TSKgel Super HZM−H(2本)
リファレンスカラム;東ソー社製、TSKgel Super H−RC(1本)
流量:0.6ml/min
注入量:10μl
カラム温度:40℃
溶離液:THF
注入試料濃度:0.2重量%
検出器:示差屈折計
なお、重量平均分子量はポリスチレン換算により算出した。
【0112】
<ポットライフの測定>
調整した粘着剤組成物溶液を、30℃×8時間保存した後、セパレーター(三菱化学ポリエステルフィルム社製、DIAFOIL MRN38)に塗布し、ムラなく均一に塗布できたかどうかについて、目視にて観測評価した。
【0113】
ムラなく均一に塗布できた場合:○
塗布ムラが生じた場合:×
【0114】
<保持力の測定>
得られた粘着テープを10×100mmの大きさにカットし、粘着テープをフェノール樹脂積層板(熱硬化性樹脂積層板、JIS K6912)に圧着し(圧着条件:10mm幅×20mmの接着面積で2kgのローラーを1往復させた)、40℃で1時間放置した後、端部に500gの荷重をかけ、JIS Z0237に準じて測定し、40℃下1時間後のずれの大きさ(距離:mm)で評価した。
【0115】
保持力については、初期凝集力を確認する為、粘着テープ作成後、23℃の環境下で24時間放置した後と、23℃の環境下で7日間放置した後の2点で測定した。
【0116】
<(メタ)アクリル系ポリマーの調製>
〔実施例1〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに2−n−ブチルアクリレート95重量部、アクリル酸5重量部、トルエン150重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し系内を窒素置換した。その後、60℃に昇温し、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を添加し、63℃で7時間重合をおこない、重量平均分子量50万のアクリル系ポリマー溶液(a成分)を得た。
【0117】
一方、イソシアネート化合物であるトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)の固形分100重量部に対し、酢酸エチルで溶解したブロック剤N,N’−ジフェニルホルムアミジン(Aldrich Chemical company製)を固形分100重量部添加し、23℃で10時間反応させてブロックイソシアネート化合物(b成分)を得た。
【0118】
アクリル系ポリマー溶液(a成分)に、アクリル系ポリマー溶液(a成分)の固形分100重量部に対してブロックイソシアネート化合物(b成分)の固形分8重量部を添加し、十分混合して粘着剤組成物溶液(固形分30%)を得た。
【0119】
こうして得た粘着剤組成物溶液を、セパレーター上に乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工し、100℃下30分間の条件で乾燥し、これを厚さ25μmのPETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)に転写することにより粘着テープを得た。
【0120】
また、上記の粘着剤組成物溶液について、混合直後にB型粘度計にて液温30℃下の粘度を測定したところ、28Pa・sであった。さらに、上記の粘着剤組成物溶液について、室温(約23℃付近)で1ケ月保存後に同様に粘度を測定したところ、混合直後に比して粘度上昇は認められず安定であった。
【0121】
〔実施例2〕
上記粘着剤組成物溶液(固形分30%)に、ポリヒドロキシルアルキルアミン系化合物としてEDP−300(旭電化社製、組成:エチレンジアミンの活性水素にポリエチレンオキサイドを付加したポリエーテルテトラオール化合物)0.05重量部をさらに加えた以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0122】
〔比較例1〕
上記ブロックイソシアネート化合物(b成分)の固形分8重量部に替えて、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)4重量部用いた以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0123】
〔比較例2〕
上記ブロック剤N,N’−ジフェニルホルムアミジンの固形分100重量部に替えて、メチルエチルケトオキシム(MEKO)(和光純薬工業社製)100重量部用いた以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0124】
上記方法に従い、ポットライフの測定、及び保持力の測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0125】
【表1】

上記表1の結果より、本発明によって作製された粘着剤組成物を用いた場合(実施例1〜2)、全実施例において、液状でのポットライフが十分長く、かつ、比較的低温で架橋ができ、優れた凝集力を有することが明らかとなった。
【0126】
これに対して、N,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を用いてなるブロックイソシアネート化合物を含有しなかった場合(比較例1〜2)、いずれにおいても、液状での十分なポットライフと優れた凝集力を併有することができなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート化合物と反応可能なベースポリマー、及びブロック剤としてN,N’−ジフェニルホルムアミジン化合物を用いてなるブロックイソシアネート化合物を含むことを特徴とする粘着剤組成物。
【請求項2】
前記ベースポリマーが炭素数4〜12であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主要な単量体成分とする(メタ)アクリル系ポリマーである請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記ベースポリマー100重量部に対し、前記ブロックイソシアネート化合物0.5〜20重量部含有してなる請求項1〜2のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を支持体上の片面又は両面に形成してなることを特徴とする粘着テープ類。


【公開番号】特開2006−28330(P2006−28330A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208820(P2004−208820)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】