説明

粘着性被破砕物用破砕機

【課題】粘着性被破砕物が、ロータ及びハンマとケーシング内壁との間に固着することを防ぐ。
【解決手段】ケーシング内に、横方向に配設された回転軸2の軸周りにロータ3が回転自在であり、そのロータ3の外周に沿って複数のハンマ4が設けられ、ケーシングの上部に投入口6が設けられ、投入された被破砕物を、ロータ3及びハンマ4の回転により破砕する衝撃式破砕機において、投入口6の下方に、ロータ3側へ対面する当たり面23を備えた誘導部材21を設け、当たり面23は、下方に向かうにつれて徐々にロータ3側に近づくように傾斜している構成とした。投入口6の下方に誘導部材21を設けたことから、投入された被破砕物は、誘導部材21の当たり面23に当たって落下速度を急激に下げ、当たり面23の傾斜に沿って徐々に下方へ移動し、当たり面23上において、ロータ3の近傍を通過する際にハンマ4の衝撃によって破砕される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃棄アスファルトや表土を含む岩石、あるいは、粘土質を含む廃コンクリート等、いわゆる粘着性被破砕物を破砕するために用いられる破砕機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄アスファルトや表土を含む岩石、あるいは、粘土質を含む廃コンクリート等は、粘性度合いの高い素材を含むため、破砕処理する際には、それらが破砕機の中で固着し難いように設計された専用の破砕機が用いられることが多い。以下、この種の粘性度合いの高い素材を含む被破砕物を、「粘着性被破砕物」と称する。
【0003】
「粘着性被破砕物」を処理対象とする従来の衝撃式破砕機として、例えば、図5に示すものがある。
この衝撃式破砕機10は、ケーシング1内に水平方向に配置された回転軸2に、軸方向に沿って複数のロータ3が並列して設けられている。各ロータ3は、回転軸2の軸周りに一方向a又は他方向bに回転する。
【0004】
ロータ3の外周部には、複数のハンマ4が周方向に沿って等間隔で取り付けられている。各ハンマ4は、前記回転軸2の軸方向に並行な方向に配置された揺動ピン4aを介して、それぞれ揺動自在である。
【0005】
ケーシング1内には、前記ロータ3を囲むようにライナ5が設けられており、ケーシング1の投入口6から投入された粘着性被破砕物は、ロータ3の回転とともに回転揺動するハンマ4から受ける衝撃によって、そのライナ5上で粉砕される。
【0006】
このとき、粉砕された粘着性被破砕物は、ハンマ4の回転方向(前記一方向又は他方向)にしたがって、ライナ5の下端から各方向に分散しながら落下し、下方に配置されたシュート7に導かれる。このシュート7が、粘着性被破砕物の排出部9として機能する。
【0007】
シュート7は、粘着性被破砕物が付着することを防止するために、急角度になるように設定されており、また、シュート7の角度を可変として付着物の落下を促すようにしたり、あるいは、バイブレータ等によって、シュート7やライナ5への付着物を振動で落下させたりするものもある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0008】
また、図6に示す衝撃式破砕機11のように、ロータ3のハンマ4が取り付けられた部位よりも、そのロータ3の回転方向後方に、ロータ3の回転軸2方向に向かってケーシング1の内壁側へ突出するスクレーパ8を設けた破砕機もある。
このスクレーパ8は、ケーシング1の内壁とハンマ4との間に介在する破砕粉を掻きだす機能を発揮する。
【0009】
すなわち、ケーシング1の内壁とハンマ4との間に付着したアスファルト粉が、その破砕時における温度上昇で軟化し、その状態で衝撃式破砕機11の運転を停止したとする。すると、温度の低下と共にそれらのアスファルト粉が固化してハンマ4とケーシング1の内壁との間を固着させてしまう。
そこで、アスファルト粉の固着による起動困難を防止するために、ロータの回転軸方向両側にスクレーパ8を設けて、それらの付着したアスファルト粉を掻き落とすようにしたものである(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−60140号公報
【特許文献2】特開2002−204967号公報
【特許文献3】特開平8−108084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記図5に記載の衝撃式破砕機10では、ロータ3を囲むライナ5は、その表面に洗濯板状の凹凸があるため、そのライナ5の表面に多くの粘着性被破砕物が付着してしまう傾向がある。また、破砕ゾーンがロータ3の下方にまで設定されているので、ライナ5の下端から振り飛ばされる粘着性被破砕物が、そのライナ5の下方のフレームやシュート7に付着する傾向が強い。
この傾向は、前述のライナ5やシュート7に振動を与える手段や、シュート7の角度を可変とする手段を備えても、完全には排除できていない。
【0012】
また、図6に記載の衝撃式破砕機11では、ロータ3の両端部(回転軸方向の両端部)におけるケーシング1の内壁との間の粘着性被破砕物を除去し得るが、それ以外の部分、例えば、ロータ3の軸方向中央部や、あるいは、ロータ3の下方におけるケーシング1の内壁との間の付着物を除去し得ない。
【0013】
このため、従来の衝撃式破砕機10,11では、粘着性被破砕物が固着することにより、起動困難になってしまう問題を残している。
【0014】
そこで、この発明は、粘着性被破砕物が、ロータ及びハンマとケーシング内壁との間に粘着性被破砕物が固着することを防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、この発明は、ケーシング内に、横方向に配設された回転軸の軸周りにロータが回転自在であり、そのロータの外周に沿って複数のハンマが設けられ、前記ケーシングの上部に投入口が設けられ、その投入口から投入された被破砕物を、前記ロータ及び前記ハンマの回転により破砕する衝撃式破砕機において、前記投入口の下方に、前記ロータ側へ対面する当たり面を備えた誘導部材を設け、前記当たり面は、下方に向かうにつれて徐々に前記ロータ側に近づくように傾斜している構成を採用した。
【0016】
投入口の下方に誘導部材を設けたことから、投入口からケーシング内に投入された被破砕物は、その誘導部材の当たり面に当たって落下速度を急激に下げる。そして、被破砕物は、当たり面の傾斜に沿って徐々に下方へ移動し、その当たり面上において、ロータの近傍を通過する際にハンマの衝撃によって破砕される。
このとき、当たり面は下方に向かうにつれて徐々に前記ロータ側に近づくように傾斜しているので、被破砕物の落下方向とハンマが振り下ろされる方向とが下方に向かうにつれて徐々に接近していく位置関係となるので、誘導部材側には不要な押し付け力が生じにくい。このため、被破砕物がロータ及びハンマとケーシング内壁との間に固着することを防ぐことができる。
【0017】
上記の構成において、誘導部材の当たり面が、その下端で、前記ロータの回転に伴う前記ハンマの外縁の軌跡に最も近づく構成とすれば、誘導部材側に作用する押し付け力をさらに低減することができる。また、ロータサークルの下端付近が破砕ゾーンに該当しなくなるので、衝撃破砕機の下部排出口を広くでき、破砕物がフレーム等に当たることを低減できる。
【0018】
なお、この誘導部材は、ケーシング内において所定の位置、所定の傾斜角度でのみ固定される構成としてもよいが、その位置(ロータに対する横方向への相対的な位置)や傾斜角度を可変とすることもできる。すなわち、誘導部材の位置を、ロータの側方の比較的近い位置、あるいは比較的遠い位置などいずれの位置でも固定できるようにすることもできるし、あるいは、それに加えて又はそれに代えて、当たり面の傾斜角度を、比較的緩やかな状態、あるいは比較的急傾斜な状態などいずれの角度でも固定できるようにすることもできる。それらの位置、傾斜角度の調整は、任意の位置、任意の傾斜角度で無段階に調整可能とすることもできるし、予め決められた特定の位置、傾斜角度でのみ段階的に調整可能とすることもできる。
【0019】
当たり面の傾斜角度を可変とするに際し、誘導部材に角度調整手段を備えた構成とすることができる。
【0020】
角度調整手段としては、例えば、当たり面の角度が所望の角度になる位置に、誘導部材をケーシングに固定することができる周知の手段、例えば、ボルト、ナット、ブラケット等を採用することができる。このボルト、ナット、ブラケット等は、予め決められた複数の傾斜角度に対応して、希望する傾斜角度毎に異なるブラケット等を用いる構成としてもよいし、同一のブラケット等を用いて、希望するどの傾斜角度にも誘導部材を固定できる構成としてもよい。
【0021】
また、それ以外にも、角度調整手段としては、例えば、ケーシングと誘導部材との間を結ぶアクチュエータとすることもできる。アクチュエータのロッドの進退動作により、誘導部材の当たり面の角度を調整できる。
このアクチュエータとしては、油圧の作用でロッドの進退動作を行う油圧アクチュエータ、空気圧の作用でロッドの進退動作を行う空気圧アクチュエータ、電動モータの駆動力でロッドの進退動作を行う電動アクチュエータ等を採用することができる。
【0022】
これらの構成において、前記誘導部材の上部は、横方向の支持ピンで前記ケーシングに揺動自在に支持されており、その誘導部材の前記支持ピン周りの揺動により、前記傾斜角度が可変である構成を採用することができる。
このとき、角度調整手段としてアクチュエータを用いる場合、そのアクチュエータは、ケーシングと誘導部材の下部との間を結ぶように取り付ける。誘導部材の上部がピン支持であるから、角度調整手段としてアクチュエータは誘導部材の下部に接続すればよく、アクチュエータの設置数量を抑えることができる。
【0023】
なお、他の構成からなる角度調整手段としては、例えば、電動モータの回転力を、ギヤ機構やリンク機構を通じて伝達することにより、誘導部材の傾斜角度を可変とするものなども考えられる。
【0024】
前記当たり面の傾斜角度は、水平方向に対して55度以上90度未満であることが望ましいことが、実験により確認されている。
【発明の効果】
【0025】
この発明は、粘着性被破砕物が、ロータ及びハンマとケーシング内壁との間に固着することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一実施形態の正面断面図
【図2】同実施形態の作用を示す要部拡大図
【図3】同実施形態のハンマの分解斜視図
【図4】同実施形態の側面図
【図5】従来例の正面断面図
【図6】従来例の正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態の衝撃式破砕機20は、 「粘着性被破砕物」としての廃棄アスファルトを破砕の対象とするものである。
【0028】
この衝撃式破砕機20は、内部に空間を有するケーシング1内に回転軸2が水平方向に配置されており、その回転軸2に、軸方向に沿って複数のロータ3が並列して設けられている。各ロータ3は、駆動力によって回転軸2が軸周り回転するのに伴って、その回転軸2とともに、図1の矢印Eに示すように、軸周り一方向に回転する。
【0029】
ロータ3の外周部には、複数のハンマ4が周方向に沿って等間隔で取り付けられている。この実施形態では、図1に示すように、正面視の状態で周方向4箇所に等分方位に取り付けられている。各ハンマ4は、前記回転軸2の軸方向に並行な方向に配置された揺動ピン4aを介して前記ロータ3に取り付けられ、それぞれ、そのロータ3に対して揺動ピン4aの軸心周りに揺動自在である。
【0030】
この実施形態では、各ハンマ4は、図3に示すように、ロータ3を構成する短冊状のディスク3b,3bに夾まれた状態で、揺動ピン4aを介して揺動自在に固定されている。
揺動ピン4aは、短冊状のディスク3bに設けられた孔部3aと、ハンマ4に設けられた孔部4bに挿通され、例えば、短冊状のディスク3bに対して軸周り不能、ハンマ4に対しては軸周り可能な状態とすることで、ハンマ4の揺動を可能としている。
【0031】
そのディスク3bは、その長手方向中央に前記回転軸2が固定されており、その長手方向両端に前記ハンマ4が取り付けられている。すなわち、ディスク3b,3bは2枚1組で用いられて、その長手方向両端において、ディスク3b,3b間にハンマ4を夾んで保持している。その1組のディスク3b,3bが、回転軸2の軸方向に沿って、90度ずつ位相をずらしながら並列して回転軸2に固定されているから、ハンマ4は、図1の正面視において、周方向4箇所に等分方位に配置された状態となっている。
【0032】
なお、この実施形態のハンマ4の詳細を図3に示す。ハンマ4は、前記揺動ピン4aが挿通される孔部4b付近を基部とし、その外縁4eが円弧状に形成されている正面視扇形状を成している。
外縁4eは、一方の母線との稜線部4dから他方の母線との稜線部4dに至り、その両側の稜線部4dに近いところにそれぞれ切欠き4cを設けて、その衝撃力を高めている。
また、その切欠き4cは、一方の稜線部4d側と他方の稜線部4d側とで、揺動ピン4aの軸方向に対する向きが逆方向となるように形成されているので、さらに衝撃力が高められている。
【0033】
図1に示すように、ケーシング1の上部に投入口6が設けられ、ロータ3の回転軸2の軸心は、その投入口6の開口部直下に位置する場所から、やや側方(横方向)にはずれた位置となっている。
【0034】
また、その投入口6の下方に、前記ロータ3側へ対面する当たり面23を備えた誘導部材21が設けられている。前記当たり面23は、下方に向かうにつれて徐々に前記ロータ3側に近づくように傾斜しており、特に、その当たり面23の上下方向中ほどよりも下の部分が全て、投入口6の開口部直下に位置している。この実施形態では、前記当たり面23はフラット面となっている。
【0035】
さらに、その誘導部材21の当たり面23は、図1に示すように、その下端23aで、前記ロータ3の回転に伴う前記ハンマ4の外縁の軌跡(ハンマ4の稜線部4dが通る可能性のある最も外径側のルートの軌跡)R2に最も近づく位置に固定されている。これは、前記ロータ3の回転に伴う前記ハンマ4の揺動ピン4aの軸心の軌跡R1に最も近づく位置でもある。
【0036】
この実施形態では、誘導部材21として板状部材からなる破砕板を採用しているが、板状部材に限定されず、誘導部材21は、ブロック状の部材など他の形状のものであってもよい。
【0037】
前記誘導部材21は、その上端23b近くに設けたブラケット23cに挿通された横方向の支持ピン21aを介して、前記ケーシング1に揺動自在に支持されている。支持ピン21aの軸方向は、回転軸2の軸方向と並行に配置されている。誘導部材21は、その支持ピン21a周りの揺動により、前記傾斜角度αが可変である。
【0038】
また、その誘導部材21は、前記当たり面23の傾斜角度αを可変とするための角度調整手段Aを備える。
【0039】
この実施形態では、前記角度調整手段Aは、前記ケーシング1と前記誘導部材21との間を結ぶアクチュエータ22である。そのアクチュエータ22は、ケースの根元部側が揺動ピン22bを介してケーシング1に固定されている。また、ロッド22aの先端が、誘導部材21の下部に設けたブラケット23dにピン21bを介して接続されている。
【0040】
このように、アクチュエータ22がケーシング1と誘導部材21とを結んでおり、また、誘導部材21の上部がケーシング1に対してピン支持であるから、アクチュエータ22のロッド22aが伸縮することにより、例えば、図1に示す実線状態(傾斜角度α1と表示)と鎖線状態(傾斜角度α2と表示)のごとく、誘導部材21の当たり面23の傾斜角度αを調整することができる。この実施形態では、前記傾斜角度αは、55度以上90度未満の範囲で、無段階に任意の角度で調整可能としている。
【0041】
なお、この実施形態では、誘導部材21の上部がピン支持であるから、角度調整手段Aとしてアクチュエータ22は、誘導部材21の下部にのみ接続しているが、誘導部材21をケーシング1に対してピン支持とせず、その誘導部材21の下部と上部にそれぞれ別々のアクチュエータ22を接続して、その両アクチュエータ22により、誘導部材21の水平方向位置(ロータ3からの距離)、傾斜角度αを調整可能としてもよい。
このようにすれば、複数のアクチュエータ22のロッド22aの伸縮を別々に制御することにより、当たり面23の水平方向の位置や傾斜角度αが調整できるから、その調整可能範囲が拡がる。
【0042】
この衝撃式破砕機20の作用について説明すると、図1に矢印Bで示すように、投入口6からケーシング1内に投入された被破砕物は、その投入口6の開口部の直下に位置する誘導部材21の当たり面23に当たって落下速度を急激に下げる。
【0043】
そして、被破砕物は、図1に矢印Cで示すように、当たり面23の傾斜に沿って徐々に下方へ移動し、その当たり面23上のやや下寄りの部分において、図中矢印E方向に回転するロータ3の近傍を通過する際に、図中矢印F方向に揺動するハンマ4の衝撃によって破砕される。この実施形態では、当たり面23のほぼ下端23a近くを、そのハンマ4による破砕ポイントとしている。
【0044】
このとき、当たり面23は下方に向かうにつれて徐々に前記ロータ3側に近づくように傾斜しているので、図2に示すように、被破砕物の落下方向(図2の矢印C)とハンマが振り下ろされる方向(図2の矢印D)とが下方に向かうにつれて徐々に接近していく位置関係となるので、誘導部材21側には不要な押し付け力が生じにくい。
被破砕物が、当たり面23に対して過度に押し付けられないから、その被破砕物が、ロータ3及びハンマ4とケーシング1内壁との間に固着することを防ぐことができる。
【0045】
また、誘導部材21の当たり面23が、その下端23aで、前記ロータ3の回転に伴う前記ハンマ4の外縁の軌跡に最も近づく構成となっているので、誘導部材21側に作用する押し付け力をさらに低減することができる。
【0046】
また、被破砕物が粘着性を有しているから、被破砕物はその落下の途中で、その粘着性でもって前記当たり面23にある程度吸着した状態となり得る。この状態で、ハンマが矢印D方向に振り下ろされるので、被破砕物は、図中に示すように、上下に引きちぎられるように破砕されるのである。
この引きちぎるような破砕の作用において、図2に示すように、被破砕物の落下方向(図中の矢印C)、すなわち当たり面23の面方向と、ハンマが振り下ろされる方向(図中の矢印D)とが下方に向かうにつれて徐々に接近していく位置関係であることが有効に機能している。
【0047】
また、破砕が終了した後は、当たり面23がフラット面であるから、被破砕物が過度に誘導部材21に粘着することがない。このため、その当たり面23上に被破砕物が滞留することがなく、その破砕効率を落とすことがない。
【0048】
さらに、ロータサークル(ロータ3及びハンマ4の回転エリア)の下端付近が破砕ゾーンに該当しなくなるので、衝撃破砕機の下部排出口を広くでき、破砕物がフレーム等に当たることを低減できる。この実施形態では、ロータサークルの下端付近で下部フレームが終端となっているので、排出部9の開口幅を広く確保できるのである。
【0049】
なお、この実施形態では、被破砕物を、廃棄アスファルトなどの粘着性被破砕物として、その固着防止の機能を有効に果たしているが、例えば、粘着性の弱い通常の廃棄物を被破砕物とする場合にも、もちろん利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 ケーシング
2 回転軸
3 ロータ
4 ハンマ
5 ライナ
6 投入口
7 シュート
8 スクレーパ
9 排出部
10,11,20 衝撃式破砕機
21 誘導部材(破砕板)
22 アクチュエータ
22a ロッド
23 当たり面
23a 下端
23b 上端
23c,23d ブラケット
A 角度調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(1)内に、横方向に配設された回転軸(2)の軸周りにロータ(3)が回転自在であり、そのロータ(3)の外周に沿って複数のハンマ(4)が設けられ、前記ケーシング(1)の上部に投入口(6)が設けられ、その投入口(6)から投入された被破砕物を、前記ロータ(3)及び前記ハンマ(4)の回転により破砕する衝撃式破砕機において、
前記投入口(6)の下方に、前記ロータ(3)側へ対面する当たり面(23)を備えた誘導部材(21)を設け、前記当たり面(23)は、下方に向かうにつれて徐々に前記ロータ(3)側に近づくように傾斜していることを特徴とする衝撃式破砕機。
【請求項2】
前記当たり面(23)は、その下端(23a)で、前記ロータ(3)の回転に伴う前記ハンマ(4)の外縁の軌跡(R2)に最も近づくことを特徴とする請求項1に記載の衝撃式破砕機。
【請求項3】
前記誘導部材(21)は、前記当たり面(23)の傾斜角度(α)を可変とするための角度調整手段(A)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の衝撃式破砕機。
【請求項4】
前記角度調整手段(A)は、前記ケーシング(1)と前記誘導部材(21)との間を結ぶアクチュエータ(22)であることを特徴とする請求項3に記載の衝撃式破砕機。
【請求項5】
前記誘導部材(21)の上部は、横方向の支持ピン(21a)で前記ケーシング(1)に揺動自在に支持されており、その誘導部材(21)の前記支持ピン(21a)周りの揺動により、前記傾斜角度(α)が可変であることを特徴とする請求項3又は4に記載の衝撃式破砕機。
【請求項6】
前記傾斜角度(α)を、55度以上90度未満としたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一つに記載の衝撃式破砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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