説明

粘膜アジュバントとしての植物レクチン

【課題】哺乳動物における免疫応答を、単純かつ有効に増強する方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一つの局面は、特定の植物レクチンが、粘膜アジュバントとして働いて、種々の免疫原に対する免疫応答を増強すること(増加された抗体力価ヲ含む)により、単純で、非毒性で、かつ安価なワクチンまたは免疫原性組成物が調製されることを可能にすることである。本発明のワクチンまたは免疫原性組成物は、植物レクチンおよび免疫源を含む混合物である。そのような混合物は、哺乳動物(ヒトを含む)に対する粘膜送達に特に適切であり、そして従って獣医学およびヒトの医学目的のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、1999年10月26日に出願した、仮出願番号60/161,37
1号に対する利益を主張する。これは、本明細書において参考として援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、哺乳動物において免疫応答を増強することに関する。より詳細には
、本発明は、植物レクチンをアジュバントとして使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ほとんどの病原体は、粘膜表面において宿主にコロニー形成しそして侵入する
ことから、この部位での免疫誘発は、本発明にとって合理的かつ魅力的なアプロ
ーチである(1)。ワクチンのための粘膜経路は、非侵襲的であり、従って投与
は比較的単純かつ安価である。さらに、ある範囲の粘膜を誘発する能力および粘
膜ワクチン送達後の全身性免疫応答により、多くの疾患に対して有効な免疫の可
能性が可能になる。例えば、特定のIgAのみがインフルエンザでの鼻内感染(
2)から、およびVibrio choleraeでの腸感染から(3)マウス
を保護し得る。しかし、非複製性免疫原の粘膜送達は、代表的に、強力な免疫応
答は刺激しない。応答が誘導される場合、複数の高用量の送達がしばしば必要で
ある(4)。さらに、免疫源の粘膜送達は、しばしば、全身性の不応答性を生じ
る(1)。
【0004】
多数の戦略を使用して、粘膜に送達されるワクチンに対する応答が増強され得
る。生の細菌およびウイルスのベクターであって、粘膜にコロニー形成するもの
を使用して、免疫原が送達され得る(5)。生分解性の微粒子(6)またはリポ
ソーム(7)を付随させて免疫原に微細特性を付与することもまた、粘膜免疫原
性を増強し得る。
【0005】
別のアプローチは、アジュバント特性を伴うレクチン様分子を使用することで
ある。これまでに同定された最も強力な粘膜アジュバントは、Vibrio c
holerae(CT)によって産生されるコレラ毒素、およびEscheri
chia coliの腸毒素産生性株からの熱不安定性エンテロトキシン(LT
)である(8,9)。CTおよびLTは、十分に特徴づけられた粘膜免疫原およ
び共存タンパク質にとってのアジュバントである。コレラの毒素は、別個のAサ
ブユニットおよびBサブユニットを含む(それぞれCTAおよびCTBと呼ばれ
る)。Bサブユニットは、細胞表面レセプターに対する結合を媒介する(20)
。GM1ガングリオシドは、CTにとっての主要なレセプターと考えられている
(21)が、CTBは、GM1以外の細胞表面レセプターに結合し得る(22)
。Bサブユニットの結合後、Aサブユニットは、細胞質ゾルに達し、そしてアデ
ニルシクラーゼを活性化し、[cAMP]iの大幅な上昇を生じる(10,11
)。LTは、構造的および機能的に、CTに類似し、そして全身性または粘膜性
のアジュバントとしてCTに匹敵する(23,24)。マウスにおいて、CTは
、粘膜IgA産生および細胞傷害性T細胞エフェクター機能を含む、体液性およ
び細胞媒介性の免疫応答を強力に刺激する(10)。毒素特異的な局所および全
身性の応答の刺激ならびに共投与された免疫原に対する応答は、これらの分子を
、粘膜された場合にあまり免疫原性ではないほとんろの可溶性タンパク質と識別
する(10,11)。しかし、これらの分子の毒性により、臨床適用が妨げられ
ている。
【0006】
特定の植物レクチンが粘膜上皮に対する分子の特定の標的化のための因子とし
て調査されてきている。植物レクチンは、少なくとも1つの非触媒性ドメインを
含み、このドメインは、モノサッカリドまたはオリゴサッカリドに特異的かつ可
逆的に結合する(13)。例えば、Giannasca et al.(14)
は、誘導をともなう鼻内免疫が特定のIgG抗体のレクチン免疫原結合体刺激し
たが、他方、免疫原単独またはレクチンとの混合物は刺激しなかったことを開示
する。米国特許第4,470,967号は、糖タンパク質免疫原とレクチンとの
複合体が免疫原に対する免疫応答を増強するアジュバントとして作用し得ること
を開示する。同様に、WO86/06635は、哺乳動物を含む脊椎動物におけ
る免疫応答を惹起するために使用され得る、化学的に改変された免疫原レクチン
複合体を開示する。しかし、これらの各々において、レクチンは物理的に免疫源
に結合していた。このことは、すくなくとも1つの余計な調製工程が必要であり
、実際に、免疫応答が所望される、免疫原のエピトープ(例えば、中和免疫が指
向されるエピトープ)を変更し得る。
【0007】
従って、別の分子との免疫原の複合体化する必要もなく、所望のエピトープの
マスクしたり変更したりすることもなく、哺乳動物において、免疫応答、特に粘
膜投与後のを増強する、単純で有効でかつ非毒性の方法に対する当該分野におけ
る必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、哺乳動物における免疫応答を増強する方法を提供する。この方法は
、免疫原と植物レクチンとを含む混合物を哺乳動物に投与することによる。それ
により、哺乳動物は、植物レクチンの非存在下で生じる免疫応答に比較して増加
した免疫応答を生じる。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1) 哺乳動物において免疫原に対する免疫応答を産生するための
医薬の製造における、該免疫原および植物レクチンを含む混合物の使用であって
、該免疫応答は、該植物レクチンの存在しない場合に該免疫原に対して惹起され
る免疫応答よりも大きい、使用。
(項目2) 前記混合物が粘膜に投与される、項目1に記載の使用。
(項目3) 前記混合物が鼻腔内投与される、項目2に記載の使用。
(項目4) 前記植物レクチンが、ML−1、ML−II、ML−III
、WGA、およびUEA−1からなる群より選択される、項目1に記載の使用。
(項目5) 前記哺乳動物が、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、チンパンジー、ヒヒ、およびヒトからなる群より選択される、項目1に記載の使用。
(項目6) 前記免疫応答がT細胞応答である、項目1に記載の使用。
(項目7) 前記T細胞応答がTh2応答である、項目6に記載の使用。
(項目8) 前記T細胞応答がT細胞の増殖である、項目6に記載の使用。
(項目9) 前記免疫応答が抗体応答である、項目1に記載の使用。
(項目10) 前記哺乳動物が、IgG抗体およびIgA抗体からなる群
より選択される抗体を産生する、項目9に記載の使用。
(項目11) 前記IgG抗体が、IgG1、IgG2a、およびIgG2bからなる群より選択される、項目10に記載の使用。
(項目12) 前記抗体が血清中に検出可能である、項目10に記載の使用。
(項目13) 前記抗体が粘膜分泌物中に検出可能である、項目10に記載の使用。
(項目14) 前記粘膜分泌物が、腸粘膜、膣粘膜、口腔粘膜、および鼻
粘膜からなる群より選択される粘膜より得られる、項目13に記載の使用。
(項目15) 前記混合物が2以上のレクチンを含む、項目1に記載の使用。
(項目16) 前記混合物が2以上の免疫原を含む、項目1に記載の使用。
(項目17) 前記免疫原がタンパク質の感染因子である、項目1に記載の使用。
(項目18) 前記感染因子がウイルスである、項目20に記載の使用。
(項目19) 前記免疫原が、2型単純ヘルペスウイルス由来の糖タンパ
ク質D2タンパク質である、項目21に記載の使用。
(項目20) 前記混合物が粘膜スプレーを使用して投与される、項目3に記載の使用。
(項目21) 前記混合物を含む液体が数滴投与される、項目3に記載の使用。
(項目22) 少なくとも2用量の前記混合物が投与される、項目1に記載の使用。
(項目23) 前記混合物が、免疫原および植物レクチンを少なくとも約
1:1の比で含む、項目1に記載の使用。
(項目24) 前記比が少なくとも約10:1である、項目26に記載の使用。
(項目25) 抗体力価がELISAを使用して測定される、項目9に記載の使用。
(項目26) 項目1に記載の使用であって、ここで、前記混合物は、
経口投与、鼻腔内投与、直腸内投与、膣内投与、皮下注射、筋肉内注射、経皮注
射(transdermal)、および経皮注射(transcutaneou
s)からなる群より選択される方法によって投与される、使用。
(項目27) 前記植物レクチンが、2型リボソーム不活性化タンパク質
である、項目1に記載の使用。
(項目28) 項目30に記載の使用であって、ここで、前記2型リボ
ソーム不活性化タンパク質が、ニグリンb、塩基性ニグリンb、エブリン1、エ
ブリンr1、エブリンr、エブリンf、ニグリンf、SNA1、SNA1、SN
AV、SNAVI、Sambucus nigra SNLRP1、Sambu
cus nigra SNLRP2、リシン、トウゴマ属レクチン、Polyg
onatum RIP、Sieboldin−6、アブリン、アブリン11、モ
デシン、ボルケンシン、SSA、シナモニン、ポレクチン、ゲロリン、Evan
this hyemalis、RIP、虹彩アグルチニン、ML−I、ML−I
I、およびML−IIIからなる群より選択される、使用。
(項目29) 前記混合物が微粒子キャリアを使用して投与される、請求
項1に記載の使用。
(項目30) 前記混合物が生物接着性ポリマーと組合わせて投与される
、項目1に記載の使用。
(項目31) 前記混合物が腸処方物にある、項目1に記載の使用。
【0009】
従って、本発明は、哺乳動物における免疫応答を、単純かつ有効に増強する方
法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、4回の免疫原の鼻内投与の後のマウスの鼻気管洗浄液において測定された総IgAレベル(ng/ml)を示す棒グラフである。
【図2】図2A−Dは、植物レクチンのアジュバント効果を示すプロットである。鼻内免疫したマウスからのOVA特異的血清IgG抗体力価。図2A、1回の投与の後の血清IgG力価(13日目)。図2B、2回の投与の後の血清IgG力価(27日目)。図2C、3回投与の後の血清IgG力価(41日目)。図2D、最後の投与の後の血清IgG力価(56日目)。
【図3】図3は、鼻内免疫したマウスにおいて測定したOVA特異的血清IgG1抗体力価を示すプロットである。
【図4】図4A−Dは、鼻内免疫したマウスの分泌物において測定されたOVA特異的IgA抗体力価を示すプロットである。図4A、唾液;図4B、膣洗浄液;図4C、鼻気管洗浄液;図4D、腸洗浄液。
【図5】図5A−Fは、鼻内免疫したマウスにおいて測定したCT/植物レクチン特異的血清IgG抗体力価である。図5、CT;図5B、LEA;図5D、PHA;図5E、WGA;図5F、UEA−I。
【図6】図6A−Dは、鼻内免疫したまうすからのgD2特異的血清IgG抗体力価を示すプロットである。図6A、14日目;図6B、28日目;図6C、41日目;図6D、55日目。
【図7】図7A−Dは、gD2特異的血清IgGサブクラス抗体力価を示すプロットである。図7A,IgG1;図7B、IgG2a;図7C、IgG2b;図7D、IgG3。
【図8】図8A−Dは、分泌物において測定したgD2特異的IgA抗体力価を示すプロットである。図8A、唾液;図8B、膣洗浄液;図8C、鼻気管洗浄液;図8D、腸洗浄液。
【図9】図9は、1日目、21日目および42日目において、gD5(5μg)単独またはgD2(5μg)を、1μgのCT、ML−I、ニグリンB、塩基性ニグリンB、エブリンr1、SNAIIまたはSELfdとともに用いて鼻内免疫したマウスからのgD2特異的総血清IgGおよびIgGサブクラスの力価である。図9A,IgG;図9B、IgG1;図9C、IgG2a;図9D、IgG2b。
【図10】図10は、1日目、21日目および42日目において、gD5(5μg)単独またはgD2(5μg)を、1μgのCT、ML−I、ニグリンB、塩基性ニグリンB、エブリンr1、SNAIIまたはSELfdとともに用いて鼻内免疫したマウスからのgD2特異的IgA抗体力価である。図10A、唾液;図10B、膣洗浄液;図10C、鼻気管洗浄液;図10D、腸洗浄液。
【図11】図11は、1日目、21日目および42日目において、gD2(5μg)単独またはgD2(5μg)を、1μgのCT、ML−IまたはUEA−1とともに用いて鼻内免疫したマウスにおいて測定されるgD2特異的血清IgAおよびIgG抗体力価である。図11A、血清IgA;図11B、血清IgG。
【図12】図12は、1日目、21日目および42日目において、gD2(5μg)単独またはgD2(5μg)を、1μgのCT、ML−IまたはUEA−1とともに用いて鼻内免疫したマウスにおいて測定されるgD2特異的IgGサブクラス抗体力価である。図12A,IgG1;図12B、IgG2a;図12C、IgG2b。
【図13】図13は、1日目、21日目および42日目において、gD2(5μg)単独またはgD2(5μg)を、1μgのCT、ML−IまたはUEA−1とともに用いて鼻内免疫したマウスにおいて測定されるgD2特異的IgA抗体力価である。図13A、唾液;図13B、膣洗浄液;図13C、腸洗浄液;図13D、鼻気管洗浄液。
【図14】図14は、IL−5、IL−4およびIFN産生の平均濃度およびT細胞増殖アッセイについて1分当たりの計数である。図14A、脾臓細胞おけるIL−5産生;図14C、脾臓細胞におけるIL−4産生;図14E、脾臓細胞におけるIFN産生;図14B、頸部リンパ節におけるIL−5産生;図14D、頸部リンパ節におけるIL−4産生;図14F、頸部リンパ節におけるIFN産生;図14G、脾臓細胞におけるT細胞増殖。応答は、gD2、MLIもしくはUEA−1で、またはgD2+MLI、UEA−IまたはLTK63での3回免疫(0日目、21日目、42日目)の後第8週において測定した。脾臓細胞および頸部リンパ節細胞を単離し、そしてgD2(0μg、1μgまたは5μg)またはラテックスビーズと結合させたgD2(1:1000または1:5000希釈)またはPMA/cd3でインビトロ刺激した。
【図15】図15は、OVA(5mg)単独またはOVA(5mg)とともにCT(10μg)、ML−I(10μg)、ML−II(10μg)もしくはML−III(10μg)のいずれかで、1日目、14日目、28日目および49日目に胃管栄養により免疫したマウスからのOVA特異的血清IgG抗体力価である。図15A、1回用量後(13日目)の血清IgG力価;図15B、2回用量後の血清IgG力価(27日目);図15C、3回用量後の血清IgG力価(48日目);図15D、最終用量後の血清IgG力価(62日目)。
【図16】図16は、OVA(5mg)単独またはOVA(5mg)とともにCT(10μg)、ML−I(10μg)、ML−II(10μg)もしくはML−III(10μg)のいずれかで、1日目、14日目、28日目および49日目に胃管栄養により免疫したマウスからのOVA特異的血清IgGサブクラスおよびIgA抗体力価である。図16A,IgG1;図16B、IgG2a;図16C、IgG2n;図16D、IgG3。
【図17】図17は、OVA(5mg)単独またはOVA(5mg)とともにCT(10μg)、ML−I(10μg)、ML−II(10μg)もしくはML−III(10μg)のいずれかで、1日目、14日目、28日目および49日目に胃管栄養により免疫したマウスからのOVA特異的血清IgA抗体力価である。図17A、唾液;図17B、膣洗浄液;図17C、鼻気管洗浄液;図17D、腸洗浄液。
【図18】図18は、1mgのWGAの単回用量で胃管洗浄した後6時間でのマウスから収集された腸ホモジネートにおけるWGAを示すウェスタンブロットである。
【図19】図19は、1mgのPHAの単回用量で胃管洗浄した後1時間でのマウスから収集された胃および小腸のホモジナイズした洗浄液のウェスタンブロットである。
【図20】図20は、1mgのUEA−1の単回用量で胃管洗浄した後24時間でのマウスから収集された抽出されたマウス腎臓組織おけるUEA1を示すウェスタンブロットである。
【図21】図21は、1mgのWGAの単回用量で胃管洗浄した後24時間でのマウスから収集されたマウス肝臓組織におけるWGAを示すウェスタンブロットである。
【図22】図22は、トリプシンによる分解に対する、ネイティブおよび腎臓抽出されたUEA−1の感受性を示すウェスタンブロットである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細な説明)
本発明の一つの局面は、特定の植物レクチンが、粘膜アジュバントとして働い
て、種々の免疫原に対する免疫応答を増強すること(増加された抗体力価ヲ含む
)により、単純で、非毒性で、かつ安価なワクチンまたは免疫原性組成物が調製
されることを可能にすることである。本発明のワクチンまたは免疫原性組成物は
、植物レクチンおよび免疫源を含む混合物である。そのような混合物は、哺乳動
物(ヒトを含む)に対する粘膜送達に特に適切であり、そして従って獣医学およ
びヒトの医学目的のために有用である。
【0012】
本発明の混合物は、植物レクチンおよび免疫原を含む。免疫原およびレクチン
は、化学的に結合していなしが、適切な液体媒体(例えば、リン酸緩衝化生理食
塩水または他の等張性生理食塩水溶液)中で単に一緒に混合されているだけであ
る。必要に応じて、混合物は、安定化剤(抗微生物剤、保存剤などを含む)を含
み得る。この混合物における免疫原およびレクチンの比率は変動し得、例えば、
少なくとも約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:
1、9:1、または10:1であり、これは、選択した免疫原とレクチンの特定
の組合せに依存する。所望の場合、少なくとも2、3、4またはそれを越える異
なる免疫原および/またはレクチンが、種々の比率で混合物中に含有され得る。
【0013】
本発明において有用なレクチンとしては、植物レクチン(例えば、ヤドリギレ
クチンI(ML−1)、ヤドリギレクチンII(ML−II)、ヤドリギレクチ
ンIII(ML−III)、コムギ胚芽凝集素(WGA)、およびUlex e
uropaeus(UEA−1)が挙げられる。有用であり得る他のレクチンと
しては、レンズマメレクチン、ナタマメレクチン(コンカナバリンA)、および
アスパラガスマメ、ソラマメ、キャメルズフットトリー(camel’s fo
ot tree)、トウゴマ、ソラマメ(fava bean)、ヘアリーベッ
チ、ホースグラム、フジ、トウアズキ(Jequirity)、スコッチラバナ
ム(Scotch laburnum)、リママメ(lima beam)、月
桂樹、リョクトウ(mung bean)、オセージオレンジ、パゴダ状樹木(
Pagoda tree)、エンドウマメ、ポテト、アカイインゲンマメ(re
d kidney bean)、シベリアマメの木(Siberian pea
tree)、ニシキギ、スイトピー、トマト、およびウイングドピー(win
ged pea)のレクチンが挙げられる。
【0014】
2型のリボソーム不活化タンパク質(RIP)(例えば、ニグリンb、塩基性
ニグリンb、エブリン1,エブリンr、エブリンf、ニグリンf、SNA1、S
NAI、SNA V、SNA VI、Sambucus nigra、SNLR
P1、SNLRP2、リチン、Ricinus lectin,、Polygo
natum RIP、シエボルディン−6、アブリン、アブリンII、モデシン
、ボルケンシン、SSA、シナモニン、ポレクチン、ゲロリン、Evanthi
s hyemalis、RIP、アヤメ凝集素、ML−I、ML−11、および
ML−IIIがアジュバントとして特に有用である。そのようなレクチンとして
は、リボソーム不活化活性を担うN−グリコシダーゼAサブユニット、およびガ
ラクトース特異的糖結合Bサブユニットが含まれる(29)。ML−I、ML−
II、およびML−IIIは、強力な粘膜アジュバントであり、これは、血清お
よび粘膜分泌物において高い抗体力価を刺激し得る。2型RIPであって、イン
ビボ毒性を示さないもの(例えば、エブリン−1(32)、ニグリンb(33)
および塩基性ニグリンb(34))が特に好ましい。あるいは、レクチンは、部
位特異的変異誘発による1つ以上のアミノ酸の改変を行ってレクチンがそのアジ
ュバント特性を保持するが、哺乳動物レシピエントに非毒性になるようにするこ
とによって遺伝子的に「非毒性化」され得る(以下を参照のこと:35−39;
EP 0880361;EP 620850;EP 95/903889.4)

【0015】
レクチンは、好ましくは非結合の水溶性形態で存在する。本発明の混合物中に
おいて使用するための適切なレクチンは、商用供給源(例えば、Sigma)か
ら購入され得る。あるいは、レクチンは、サイズ排除クロマトグラフィー、硫酸
アンモニウム分画、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグ
ラフィー、結晶化、エレクトロフォーカシング、および調製ゲル電気泳動を含む
、当該分野において周知のタンパク質精製プロトコルを用いて精製され得る。
【0016】
細胞性および/または体液性の応答が植物レクチンアジュバントを用いて増強
され得る免疫原としては、感染性因子のタンパク質(例えば、ウイルス、細菌、
マイコプラズマ、プリオンおよび酵母)ならびにホルモン、アレルゲン(例えば
、草、雑草、樹木および植物の花粉、動物(例えば、ネコ、イヌ、ラットおよび
ブタ)の上皮、ハウスダストおよびコムギの籾殻が挙げられる。そのような免疫
原ヲ取得する手段は、当該分野において周知である。免疫源は、植物レクチンの
非存在下で細胞性および/または体液性の応答を惹起し得る必要はない。
【0017】
本発明の混合物は、レシピエント哺乳動物に種々の処方物として投与され得る
。例えば、混合物はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)のような微粒
子中に捕捉され得るかまたはその表面に吸着され得る(35,米国特許第5,8
04,212号、同第6,876,761号および同第5,603,960号;
PCT/US99/17308)。混合物はまた、生体接着性ポリマー(例えば
、PCT/US99/12105,PCT/US99/11906,ならびに米
国特許第5,955,097号、同第5,800,832号、同第5,744,
155号、および同第5,814,329号に記載されるポリマー)とともに投
与され得る。あるいは、混合物の腸処方物は、経口投与の使用され得る(米国特
許第5,968,554ヲ参照のこと)。
【0018】
本発明の混合物は、注射(すなわち、皮下、筋肉内または他の非経口の注射(
例えば、経皮(transdermal)もしくは経皮(transcutan
eous)の注射、経口または経鼻)によって哺乳動物に投与され得る。
【0019】
混合物は、免疫応答を増強することが所望される任意の哺乳動物に投与され得
る。そのような動物としては以下が挙げられるがそれらに限定されない:ラット
、ネコ、イヌ、ウサギ、ウマ、ウシ、マウス、モルモット、チンパンジー、ヒヒ
、およびヒト。
【0020】
粘膜投与(特に、一方または両方のいずれかの鼻孔への鼻内投与)が好ましい
。用量は、1以上の小滴またはスプレー(例えば、エアゾールもしくは非エアゾ
ールスプレー)を用いて送達され得る。所望の場合、混合物の複数回の投与を用
いて特定の免疫原に対する抗体力価を上昇させ得る。複数回投与の間の間隔は、
混合物中の特定の免疫原および/またはレクチンに依存して、少なくとも1日、
2日、3日、4日、5日、6日もしくは7日、またはそれを超える日数か、ある
いは少なくとも2週間、3週間もしくは4週間またはそれを超える週数であり得
る。投与されるべき混合物の容量は、投与形態および哺乳動物の大きさに従って
変動する。鼻内投与のための代表的な容量は、1鼻内用量あたり、少なくとも5
、10、15、25、50、75、100、200または250μlから、少な
くとも500またはそれを超えるμlで変動する。
【0021】
混合物中の免疫原の濃度もまた、特定の免疫原および選択される投与の経路に
従って変動する。鼻内投与について、例えば、混合物中の免疫原の濃度は、少な
くとも0.033μg/μl、0.067μg/μl、0.1μg/μl、0.
2μg/μl、0.33μg/μl、0.5μg/μl、0.67μg/μl、
0.75μg/μl、1μg/μl、2μg/μl、2.5μg/μl、5μg
/μl、7.1μg/μl、10μg/μl、12.5μg/μl、15μg/
μl、17.5μg/μl、20μg/μlまたは25μg/μlの間を変動す
る。
【0022】
本発明の混合物は、好ましくは、抗体産生およびT細胞応答を増強する。これ
には、サイトカイン産生、標的細胞殺傷、マクロファージ活性化、B細胞活性化
、およびリンホカイン産生が含まれる。本発明の混合物は好ましくは、職部連れ
クチンの非存在下で単独で免疫原に対そのような応答に比較して、T細胞応答ま
たは抗体力価を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、40%、
50%、75%または100%またはそれを超える程度増加させる。
【0023】
T細胞応答を測定する方法は、当該分野において周知である。例えば、以下を
参照のこと:Janeway et al.,eds.,1997,IMMUN
OBIOLOGY:THE IMMUNE SYSTEM IN HEALTH
AND DISEASE,3d ed.,pp.2:31−2−33;Abb
as et al.,1997,CELLULAR AND MOLECULA
R IMMUNOLOGY,3d ed.,pp.250−277、pp.29
0−293)。
【0024】
本発明に従って、混合物中の免疫原に対して指向される抗体が産生され得る。
免疫現に特異的に結合する抗体は、代表的に、免疫化学アッセイ(例えば、ウェ
スタンブロット、ELISA,放射免疫アッセイ、免疫組織化学アッセイ、免疫
沈降または当該分野において公知の他の免疫化学アッセイ)において使用される
他のタンパク質で提供される検出シグナルよりも、少なくとも5倍、10倍また
は20倍高い検出シグナルを提供する。好ましくは、特定の免疫現に特異的に結
合する抗体は、免疫化学アッセイにおける他のタンパク質を検出せず、溶液から
免疫原を沈降させ得る。
【0025】
抗体力価は、好ましくは、以下の実施例1に記載されるようにELISAによ
って測定される。免疫原に対して指向される、IgG(IgGサブタイプIgG
1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3)ならびにIgA抗体は、血清、唾
液、および粘膜分泌物(膣内洗浄液、鼻洗浄液、および腸洗浄液を含む)におい
て測定され得る(実施例1を参照のこと)。
【0026】
この開示において引用されるすべての特許および特許出願のすべての内容は、
明示的に本明細書において援用される。
【0027】
以下の実施例は、例示の目的でのみ提供され、そして本発明の範囲を制限する
意図はない。これは、上記に広い意味で記載してきた。
【0028】
(実施例1:材料および方法)
免疫原およびレクチン。コレラ毒素(CT)、オボアルブミン(OVA、V型
、鶏卵)およびWGAを、Sigma(Poole,UK)から入手した。イン
ゲンマメは、以前に記載のように(15)調製した。UEA−IおよびLEAを
、Vector Laboratoriesから入手した。ML−Iを、以前に
記載のように分離した(16)。
【0029】
動物。8週齢の雌性Balb/cマウス(Harlan Olac,Bice
ster,UK)に自由に市販の食餌および水に対するアクセスを与えた(La
bsure,Manea,UK)。
【0030】
粘膜免疫スケジュール。マウスのグループ(n=10)から、最初の免疫前1
週間に採血した。1日目、14日目、28日目および42日目に、マウスを、以
下のもので鼻内免疫した:PBS、OVA(10μg)単独またはCT(1CT
(1μg)、ML−1(1μg)、LEA(10μg)、PHA(10μg)、
WGA(10μg)もしくはUEA−I(10μg)とOVA(10μg)との
混合物。別の例において、マウスを、5μgの単純ヘルペスウイルス2型の糖タ
ンパク質D2(gD2)で、1日目、14日目、28日目および49日目に、単
独または1μgのCT、ML−I、ML−IIまたはML−IIIとともに鼻内
免疫した。マウスに30μlの各々の調製物(1鼻孔あたり15μl)を、ピペ
ットに付着したファインチップを通じて与えた。
【0031】
血液および粘膜の分泌物の収集物。血液サンプルを各々の免疫の1日前に、3
7℃での10分間のインキュベーション後に尾静脈から採血することによって収
集した。最終免疫後2週間で、動物を最終麻酔して(ヒプノリンおよびジアゼパ
ム)唾液および膣の分泌物の収集を可能とした。ついで、マウスを、麻酔の過剰
投与によって殺傷し、ついで放血した。血液をすぐに収集し、そして遠心分離し
、そして血液を−20℃で格納した。
【0032】
吸着性セルロースウイック(Whatman International,
UK)を、以前に記載されるように(17)唾液および膣液の収集のために用い
た。洗浄流体(氷冷、0.01M PBS、50mM EDTA、5mM PM
SF、5μg/mlアプロチニン)をウイックからの抗体の溶出に、ならびに鼻
および腸洗浄のために用いた。唾液を、ウイックチップを2分間口に挿入するこ
とによって収集した(17)。抗体を、ウイックから400μlの粘膜洗浄流体
から抽出した。膣液を、50μlの洗浄液の反復フラッシングおよび吸引ならび
にウイックの2分間の挿入によって収集した。抗体を、ウイックから400μl
の洗浄液へと抽出した。
【0033】
鼻気管洗浄液を、0.5mlの粘膜洗浄液を気管からバックフラッシュするこ
とによって断頭した動物から収集した。腸洗浄液を、10mlの氷冷洗浄液で小
腸をフラッシュすることによって得た。すべての分泌物を、分析に必要となるま
で−20℃で格納した。
【0034】
ELISAによる特定の抗体の検出。ELISAを設定して、OVA、CTお
よび植物レクチンに対する特定のIgG、IgAおよびIgGサブクラスを測定
可能にした。血清(1;100から)および粘膜分泌物(1:2から)を、適切
な希釈緩衝液中で力価測定した。マイクロタイタープレート(Immunolo
n 4,Dynatech)を、炭酸重炭酸緩衝液pH9.6中の1ウェルあた
り75μlの免疫原でコーティングし(CT/レクチンについて1μg/ml、
50μg/ml(OVAに対する応答を測定するとき)および2μg/ml(g
D2に対する応答を測定するとき))、そして4℃で一晩インキュベートした。
洗浄後、プレートを2%ゼラチン/希釈緩衝液でブロッキングし、そして37℃
で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、そしてサンプルを添加し、連
続希釈し、そして37℃で1時間インキュベートした。
【0035】
希釈緩衝液中のビオチン化抗血清を添加し、そして37℃で1時間インキュベ
ートした。さらなる洗浄後、ExtrAvidin peroxidase(S
igma)(希釈緩衝液中1:750希釈)を添加し、そして37℃で30分間
インキュベートした。プレートを洗浄し、そして50μl/ウェルの現像液(T
MBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質(1−C),Kirkegaard
and Perry Laboratories,Gaithersburg,
MD)を加えた。プレートを、暗がりで37℃で30分間振盪しながらインキュ
ベートした。この反応を、1M H2SO4の添加により停止し、そして吸光度を
450nmで読んだ。
【0036】
ELISA希釈緩衝液は以下のとおりであった:CT(PBS+0.1%Tw
een(PBST))、OVA(PBST)、WGA(100mM N−アセチ
ルグルコサミン/PBST)、PHA(0.1% フェチュイン/PBST)、
UEA−I(30mM L−フコース/PBST)、LEA(キチン加水分解物
(1:200)(Vector)/PBST)、ML−1(100mM D−ガ
ラクトース/PBST)。抗IgG(1:8000)およびIgA(1:260
0)のビオチン化捕捉血清(Sigma)の作業希釈液を、予備免疫し、そして
プールした陽性血清での予備的アッセイの後に決定した。IgGのサブクラス抗
血清の作業希釈液(Serotect)を、製造業者が推奨するとおりであった
(IgG1(1:4000)、IgG2a(1:4000)、IgG2b(1:
2000)、IgG3(1:2000))。末端点の力価を、血清または粘膜の
サンプルの希釈として決定し、これは、同じ希釈でのコントロールサンプルの平
均よりも0.1単位大きなODを与えた。
【0037】
総IgAを、以下の改変を用いて特異的IgAとして定量した:プレートを、
ヤギ抗マウスIgA(1:8000;a鎖特異的、Sigma)でコーティング
した。PBSTを希釈液として用い、そしてPBST中の2%ゼラチンをブロッ
キング溶液として用いた。総IgAレベルを、IgA(IgAκ、Sigma)
標準曲線の直線領域から算出した。総IgAの末端点力価は、サンプルの希釈と
して決定し、これは、緩衝液単独よりも0.1単位大きなODを与えた。
【0038】
統計:データを、平均±標準偏差として表す。ついになっていない両側t検定
を用いてグループの間の有意性を試験した。標準偏差がグループ間で有意に異な
った場合、非母数検定(Dunnの多数比較事後検定(post test)で
のKruskal−Wallis検定)を行った。Dunnの多数比較事後検定
でのKruskal−Wallis日母数検定はまた、総IgAデータの有意性
を評価するためにも用いた。
【0039】
(実施例2:血清および分泌物における総IgAレベルに対する免疫の効果)
マウスを、1日目、14日目、28日目および42日目に、PBS、OVA(
10μg)単独またはOVA(10μg)とCT(1μg)、ML−I(1μg
)、LEA(10μg)、PHA(10μg)、WGA(10μg)もしくはU
EA−1(10μg)とをともにもちいて鼻内経路により免疫した。サンプルを
、最後の免疫の2週間後に収集した。結果を図1に示す。データは、平均±SD
をあらわす。
【0040】
CT+OVAでの4回の鼻内免疫後、総鼻気管洗浄IgA(p<0.01)の
濃度は、すべての他のグループと比較して有意に増加していた。CTとOVAと
の同時投与は、血清においても他のサンプリングした粘膜分泌物においても総I
gA濃度において有意な増加を生じなかった。分泌物または血清のいずれかにお
ける総IgAレベルにおける植物レクチンのいずれかでの免疫の有意な効果はな
かった。
【0041】
(実施例3:植物レクチンの、OVA特異的血清抗体応答に対するアジュバン
ト効果)
マウスを、鼻内で1日目、14日目、28日目、および42日目に、OVA(
10μg)単独、またはOVA(10μg)単独またはOVA(10μg)とC
T(1μg)、ML−I(1μg)、LEA(10μg)、PHA(10μg)
、WGA(10μg)もしくはUEA−1(10μg)とをともにもちいて鼻内
経路により免疫した。血清を、各々の免疫の1日前および研究の停止の前に収集
した。図2A−Dは、この実験の結果を示す。点は、個々のデータを示し、そし
てシンボル(−)は平均力価を示す。
【0042】
単回免疫後2週間で、OVA特異的血清IgGは、CT+OVAで免疫された
マウス中で5/10で、およびML−I+OVAで免疫されたマウスの1/10
中で検出されたが、OVA特異的IgGは、他のグループでは検出されなかった
。第二の投与の後、CT+OVAで免疫したすべてのマウスにおいて(平均力価
40321)、およびML−I+OVAで免疫したマウスの9/10(平均力価
11090)において、より高い応答が検出可能な抗体を用いて測定された。他
のグループのなかでは、特異的IgGは、UEA−I+OVAで免疫したマウス
においてのみ検出された(平均力価91)。
【0043】
4回の投与の後、最高の平均IgG力価は、CT+OVAで免疫したマウスに
おいて存在した。これは、OVA単独を受けたマウスよりもおよそ286倍高か
った。ML−I+OVAで免疫したグループにおける平均力価は、約OVA単独
を受けたマウスにおけるよりも118倍高かった。PHA+OVAで免疫下マウ
スにおける力価は、OVA単独で投与したマウスにおける力価に類似していた。
LEA+OVAの投与は、OVA単独に比較して平均力価の少量の増加を生じた
(5倍)。OVAとWGAおよびUEA−Iとの送達は、OVA単独に比較して
、平均血清IgG抗OVA力価におけるそれぞれ41倍および51倍の増加を生
じた。
【0044】
CT+OVAおよびML−I+OVAを受けたグループとは対照的に、WGA
またはUEA−I+OVAで免疫したグループにおける応答は、かなり変動性で
あった。結果として、最終投与後には、CT+OVAおよびML−I+OVAグ
ループのみ(相違はグループ間で有意ではなかった)は、OVA単独グループよ
りも有意に高い(p<0.001)平均OVA特異的IgG力価を有した。これ
らのグループにおける力価はまた、PHA+OVAグループ(p<0.001)
よりも有意に高かった。
【0045】
高レベルの特異的IgGとは対照的に、非常に低い力価のOVA特異的血清I
gAが検出された。事実、最終投与後、有意なレベルのOVA特異的血清IgA
は、CT+OVA(平均力価、220)およびML−I+OVA(平均力価、8
0)で免疫したマウスにおいてのみ検出された。
【0046】
(実施例4:OVA特異的IgGサブクラスパターン)
マウスを、1日目、14日目、28日目および42日目に、OVA(10μg
)単独またはOVA(10μg)とCT(1μg)、ML−I(1μg)、LE
A(10μg)、PHA(10μg)、WGA(10μg)もしくはUEA−1
(10μg)とをともにもちいて鼻内経路により免疫した。サンプルを、最終免
疫後2週間で収集した。図3は、この実験の結果を示す。ここのデータに当たる
点およびシンボル(−)は、平均力価を表す。
【0047】
OVA特異的IgG抗体のサブクラスプロファイルの分析は、非常に偏重のか
かった応答を示した。IgG1力価は、ほとんどのグループにおけるOVA特異
的IgGの力価に類似した。CT+OVAおよびML−I+OVAでそれぞれ免
疫したマウスにおいて、その平均力価は、OVA単独で面益したマウスよりもそ
れぞれ約450倍および255倍高かった。CT+OVAグループにおける力価
は、ML−I+OVA(p<0.05)を除いてすべての郡において有意に高か
った。ML−I+OVAグループにおける力価は、OVA単独を受けたグループ
よりも、PHA+OVAを受けたグループよりも有意に高かった(p<0.00
1)。
【0048】
OVA特異的IgG2aは、それぞれ8/10および2/10のCT+OVA
(平均力価561)およびML−I+OVA(平均力価331)で免疫したマウ
スにおいて検出された。特定のIgG2aは、他のグループにおいて検出されな
かった。特異的なIgG2bは、CT+OVAで免疫したマウスの2/10にお
いてのみ検出され、他のグループではなんら検出されなかった。特異的なIgG
3は、検出されなかった。これらのデータは、これらのマウスにおけるCT特異
的IgGアイソタイプ応答に対して驚くほど異なり、ここで、比較的高力価の特
異的IgG2aおよび有意なレベルのIgG2bおよびIgG3が検出された(
表1)。
【0049】
(実施例5:OVA特異的粘膜IgA応答に対する植物レクチンのアジュバン
ト効果)
マウスをOVA(10μg)単独、またはCT(1μg)ML−I(1μg)
、LEA(10μg)、PHA(10μg)、WGA(10μg)、またはUE
A−I(10μg)と共にOVA(10μg)で、1日目、14日目、28日目
、および42日目に鼻内免疫した。力価を最終免疫の2週間後に測定した。結果
を図4A〜Dに示す。点は、個々のデータを参照し、そして記号(−)は、平均
力価を表す。
【0050】
特異的IgAは、CT+OVAおよびML−I+OVAで免疫したマウスにお
いてサンプリングした全ての粘膜部位で検出された。2つの群の間には、有意な
差異はなかった。OVA特異的唾液IgAは、OVA単独、LEA+OVAまた
はPHA+OVAで免疫したマウスにおいては検出されず、WGA+OVAおよ
びUEA−I+OVAでそれぞれ免疫したマウスでは、10匹のうちそれぞれ2
匹および4匹において検出された。逆に、特異的唾液IgAは、CT+OVAお
よびML−I+OVAでそれぞれ免疫したマウスでは、10匹のうちそれぞれ9
匹および10匹において測定され、これはCT+OVA群における平均力価の2
倍以上である。
【0051】
膣洗浄では、OVA特異的IgAは、CT+OVAおよびML−I+OVAの
それぞれで免疫したマウスにおいて、10匹のうち9匹および7匹で検出された
。平均力価は、CT+OVA群において4倍高かったが、これは、大きくは、1
つの高い応答者の結果であった。OVA特異的膣洗浄液IgAは、PHA+OV
Aで免疫したマウスにおいて検出されず、OVA単独、LEA+OVA、または
WGA+OVAのいずれかで免疫したマウスにおいて10匹のうち1匹において
検出され、そしてUEA−I+OVAで免疫したマウスにおいては10匹のうち
3匹において検出された。
【0052】
OVA特異的IgAの高い力価は、CT+OVAまたはML−I+OVAで免
疫した全てのマウスからの経鼻気管洗浄液で検出された。これは、CT+OVA
群においておよそ5倍高い力価であった。OVA特異的経鼻気管洗浄液IgA力
価は、ML−I+OVAを除く全ての群においてよりも、CT+OVAで免疫し
たマウスにおいて有意に高かった(p<0.05)。
【0053】
顕著なことに、これらの群におけるOVA特異的経鼻気管洗浄液IgA力価は
、血清IgA力価に匹敵した。CT+OVAおよびML−I+OVAでそれぞれ
免疫したマウス由来の血清中の総IgA力価は、それぞれ経鼻気管洗浄液におい
て33倍および73倍高かった。特異的IgAは、OVA単独で免疫したマウス
において10匹のうち1匹の経鼻気管洗浄液で検出されたが、PHA+OVAで
免疫したマウスでは検出されなかった。OVA特異的経鼻気管洗浄液IgAは、
WGA+OVAで免疫したマウスにおいては10匹のうち7匹で測定され、そし
てUEA−I+OVAまたはLEA+OVAのそれぞれで免疫したマウスにおい
ては10匹のうち5匹で測定された。
【0054】
OVA特異的IgAは、CT+OVAまたはML−I+OVAで免疫した全て
のマウスからの腸洗浄液において検出され、CT+OVA群においておよそ4倍
高い力価であった。これらの群における力価は、互いには有意に異ならないが、
他の全ての群におけるよりも有意に高かった(p<0.05)。他の群の間では
、OVA特異的腸洗浄液IgAは、1:2の最大力価で散発的にのみ検出された

【0055】
(実施例6:CT/植物レクチン特異的応答)
マウスを、CT(1μg)、ML−I(1μg)、LEA(10μg)、PH
A(10μg)、WGA(10μg)、またはUEA−I(10μg)と共にO
VA(10μg)で1日目、14日目、28日目、および42日目に鼻内免疫し
た。結果を図5A〜Fに示す。データは平均±SDで示す。データは、免疫原の
最終投与の2週間後に測定された特異的血清IgGの力価である。
【0056】
CT特異的血清IgGは、CT+OVAの一回の投与後に全ての動物において
検出され、そして力価は、この後の各投与で増大した。全ての4つのIgGサブ
クラスの特異的抗体は、4回の投与後の血清中で検出された(表1)。最も高い
力価は、IgG1であった。一方、CT特異的IgG2a、IgG2bおよびI
gG3もまた検出された。最終投与後、CT特異的血清IgAは、全てのマウス
において検出され、平均力価は4481であった。
【0057】
特異的IgAはまた、唾液、膣洗浄液、経鼻気管洗浄液、および腸洗浄液にお
いては全ての動物において検出された。唾液IgA力価は、動物間で比較的一致
していた(血清中よりもおよそ10倍低い平均力価)。これらのマウス由来の唾
液中の全IgA力価は、血清中よりも1340倍低かった。膣IgA力価は、非
常に可変性であり、単一の高い応答者が平均力価を増大した。CT特異的IgA
の高い力価は、全ての動物からの経鼻気管洗浄液において測定され、平均力価は
、血清IgA力価に匹敵した。特異的IgAはまた、全てのマウスの腸洗浄液に
おいても検出されたが、サンプリングされた他の粘膜部位でよりも低い平均力価
であった。
【0058】
単回用量のML−1+OVAの鼻内送達は、10匹のマウスのうち3匹におい
てML−I特異的IgGの産生を刺激した。二回目の投与およびその後の投与後
に、高い力価の特異的IgGが全てのマウスにおいて検出された(図5)。ML
−I特異的血清IgGサブクラスの分析は、高い力価のML−I特異的IgG1
を見出した(表1)。ML−I特異的IgG2aおよびIgG2bもまた検出さ
れたが、特異的IgG3は検出されなかった。ML−I特異的IgAは、血清中
、および4回投与後にサンプリングした全ての粘膜部位で、全てのマウスにおい
て検出された。唾液中の力価は、全ての動物について一致したが、単一の非常に
高い応答者が、膣洗浄液の平均力価を増大した。高ML−I特異的IgA力価が
、全ての動物の経鼻気管洗浄液において測定された。CTを用いるのと同様に、
経鼻気管洗浄液における平均ML−I特異的力価は、血清IgA力価と匹敵し(
およそ2倍低い)、これは、経鼻気管洗浄液における全IgA力価がこれらのマ
ウスに由来の血清中におけるよりも73倍低いので顕著なことであった。特異的
IgAはまた、全ての動物からの腸洗浄液においても検出された。
【0059】
LEA+OVAで免疫したマウスにおいては、LEA特異的血清IgGは、1
回の投与後に10匹のマウスのうち9匹で検出された。力価は、その後の各投与
後に、最終免疫後の比較的高いレベルにまで増大した(図5)。IgGサブクラ
スの分析は、高い力価のLEA特異的IgG1および低い平均IgG2a力価を
見出した(表1)。特異的血清IgAは、4回の投与後に10匹のマウスのうち
7匹において、低いレベルであるが検出された。特異的IgAはまた、試験した
4つの全ての粘膜分泌物において検出されたが、CT+OVAおよびML−I+
OVA群におけるデータに比較して、力価は非常に可変性であった。
【0060】
PHA特異的血清IgGは、PHA+OVAの一回の投与後に10匹のマウス
のうち1匹で検出された。その後の投与後に、力価は増加し、そして特異的Ig
Gは、最終の投与後に10匹の動物のうち8匹において存在した(図5)。Ig
Gサブクラスのうち、特異的IgG1のみが検出された(表1)。全ての動物に
おいて、低い力価の特異的血清IgAが検出された。PHA特異的IgAは、唾
液においても膣洗浄液において検出されなかったが、経鼻気管洗浄液においては
、10匹のマウスのうち5匹において、腸洗浄液においては10匹のマウスのう
ち1匹において検出された。
【0061】
最も低い力価の特異的抗体は、WGA+OVAの4回の投与後であってもWG
Aに対して惹起された(図5)。特異的IgG1は、10匹のマウスのうち2匹
において検出され、そして他のIgGサブクラスは、検出されなかった(表1)
。特異的IgAは、4回の投与後に、最大力価の1:100であるが、多数のマ
ウスにおいて検出された。低い力価の特異的IgAが、唾液、膣洗浄液、および
経鼻気管洗浄液において、少数のマウスにおいて測定された。これらのデータは
、この群(ここでは、比較的高いレベルのOVA特異的血清IgGが多数のマウ
スで検出された)からのOVA特異的データと対照的である。
【0062】
UEA−I特異的血清IgGは、UEA−I+OVAの1回の投与後に検出さ
れなかったが、その後の投与後では検出され、そして最終投与後には10匹のマ
ウスのうち8匹において検出された(図5)。特異的IgG1は、最終の投与後
に10匹のマウスのうち9匹のマウスにおいて検出された(表1)が、特異的I
gG2aは、10匹のマウスのうち1匹で、そしてIgG2bおよびIgG3は
検出されなかった。特異的血清IgAは、最終投与後に10匹のマウスのうち3
匹において検出された。比較的低いレベルのIgAが、唾液、膣洗浄液、および
経鼻気管洗浄液において検出された。
【0063】
本データは、アジュバントに対しておよび免疫原に対して惹起される応答のタ
イプが異なり得ることを示す。高い力価の特異的IgG1が、OVAおよびCT
の両方に対して検出されたが、比較的高い力価のCT特異的IgG2aが測定さ
れる一方、OVA特異的IgG2aはほとんどまたは全くなかった。ML−I+
OVAの送達は、同様の結果に至ったが、一方ML−I特異的IgG2a力価は
比較的低かった。以前の研究は、OVA+CTの送達後にIgG2a力価よりも
高いOVA特異的IgG1を見出したが、同じマウスにおいてIgG1よりも高
い力価のCT特異的IgG2aが見いだされた(24)。CT+キーホールリン
ペットヘモシアニン(KLH)をマウスに供給することは、CTに対して高い応
答者であるマウスにおいて強いKLH特異的分泌IgA応答を刺激し、乏しい応
答者においてはずっと小さい効果であった(29)。従って、CTの経口アジュ
バント効果は、CTそれ自体に対する強い免疫応答に依存した。しかし、WGA
およびUEA−Iは、OVAに対する血清IgG応答を増大し(有意ではないが
)、高度に免疫原性ではなかった。近年の研究は、いくつかの食物レクチン(P
HAを含む)が、ヒト好塩基球を誘発してIL−4およびIL−13を放出し得
たことを見出した。例えば、ConAおよびPHA−Eは、IL−4レベルを抗
IgE抗体での刺激により得られるレベルと同程度に高くに誘導した。高レベル
のIL−4を刺激したレクチンはまた、おそらくIL−4(これは、Th2タイ
プ応答に転換するのに必要である(30))を誘導することにより、IL−13
およびヒスタミンの放出を誘導した。
【0064】
CTまたはML−I+OVAで免疫したマウスにおけるOVAに対する抗血清
IgG力価の誘導にも関わらず、血清IgAは、わずかに検出可能であった。以
前の研究は、免疫原特異的血清IgAは、V. cholerae zotタン
パク質またはLT+OVAでの2回の鼻内免疫後、マウスにおいて検出されなか
ったことを見出した(19)。同様に、LT+TTの経口送達は、TTに対する
高レベルの血清IgG抗体を刺激したが、一方、抗TT血清IgAは検出されな
かったことが見いだされた(23)。CTおよびML−Iは、全ての粘膜分泌物
において抗OVA IgAを有効に刺激したが、レベルは、経鼻気管洗浄液およ
び唾液において最も高かった。CT+OVAおよびML−I+OVAで免疫した
マウスにおける全血清IgA力価はそれぞれ、経鼻気管洗浄液において33倍お
よび73倍高く、そして唾液において1340倍および1176倍高かったので
、これらの部位でのOVA特異的IgA力価は、局所応答の誘導を示す。膣洗浄
液における抗体力価は、非常に可変性であったが、これは、ホルモン影響を反映
し得る(31)。
【0065】
【表1】


(実施例7:欧州ヤドリギ(Viscum album)由来の3つの異なる
レクチン(ML−I、ML−II、およびML−III)は、鼻内投与後のgD
2特異的血清IgG抗体の力価を増大させる)
これらの3つのレクチンの各々の1μgを、5μgの単純ヘルペスウイルス2
型由来糖タンパク質D2(gD2)と混合し、そして上記のように1日目、14
日目、28日目および49日目にマウスに鼻内送達した。他のマウスを、5μg
gD2単独または1μg CTと混合した5μg gD2で鼻内免疫した。血
清を、各免疫の1日前、および研究の終了時に採集した。gD2特異的血清Ig
G抗体の力価を上記のように測定した。
【0066】
結果を図6A〜Dに示す。点は、個々のデータを参照し、そして記号(−)は
、平均力価を表す。この3つのヤドリギレクチンの各々は、CTによって示され
るのに匹敵するアジュバント活性を示した。
【0067】
(実施例8:鼻内投与後のgD2特異的血清IgGサブクラス抗体の力価の増
加)
マウスを、1日目、14日目、35日目、および49日目に、gD2単独(5
μg)またはCT(1μg)、ML−I(1μg)、ML−II(1μg)、も
しくはML−III(1μg)と共にgD2 (5μg)のいずれかで鼻内免疫
した。サンプルを最終免疫の2週間後に採集した。データは、最終免疫の2週間
後に測定した力価である。図7A、IgG1;図7B、IgG2a;図7C、I
gG2b;図7D、IgG3。点は、個々のデータを参照し、そして記号(−)
は、平均力価を表す。括弧内のp値は、gD2のみ群と比較したデータの有意性
を参照する。
【0068】
血清特異的IgG1、IgG2a、およびIgG2b抗体の力価は、3つのヤ
ドリギレクチンの各々で処置したマウスにおいて増大した。
【0069】
(実施例9:ML−I、ML−II、およびML−IIIは、鼻内免疫後にマ
ウスにおいてgD2特異的IgA抗体力価を増大する)
gD2特異的IgA抗体力価は、1日目、14日目、35日目、および49日
目に、gD2(5μg)単独またはCT(1μg)、ML−I(1μg)、ML
−II(1μg)もしくはML−III(1μg)と共にgD2(5μg)のい
ずれかで鼻内免疫したマウスの分泌において測定された。データは、図8におい
て、最終免疫の2週間後に測定した力価である。図8A、唾液;図8B、膣洗浄
液;図8C、鼻内気管洗浄液;図8D、腸洗浄液。点は、個々のデータを参照し
、そして記号(−)は、平均力価を表す。括弧内のp値は、gD2のみ群と比較
したデータの有意性をいう。
【0070】
ヤドリギレクチンの各々は、試験した分泌物の各々におけるgD2特異的Ig
A抗体の力価を増大した。
【0071】
表2は、gD2(5μg)を単独またはCT/植物レクチン(1μg)と共に
用いて鼻内免疫したマウスにおけるレクチン特異的抗体応答を示す。マウス(n
=10)を0日目、14日目、28日目、および42日目に免疫し、そしてサン
プルを56日目および57日目に採集した。
【0072】
【表2】


(実施例10 非毒性II型RIPおよび関連する分子の粘膜免疫原性および
アジュバント活性)
非毒性型II型RIP(ニグリンB、塩基性ニグリンB、エブリンrI)およ
びそれらのB型サブユニットに関連する分子(SNA II、SELfd)の粘
膜(鼻腔内)免疫原性およびアジュバント活性を、ML−1およびCTのそれと
比較した。マウスを、gD2(5μg)単独および植物レクチンまたはコレラト
キシン(CT)(1μg)とともに鼻内免疫した。マウスを
、0、21、および42日目に免疫し、そしてサンプルを56および57日目に
収集した。レクチン特異的応答およびバイスタンダー抗原であるgD2に対する
応答を、ELISAによって測定した。
【0073】
図9は、1日目、21日目、および42日目に、gD2(5μg)単独、また
はgD2(5μg)を1μgのCT、ML−1、ニグリンB、塩基性ニグリンB
、エブリンrI、SNA II、またはSELfdを用いて、鼻腔内に免疫した
マウスからのgD2特異的な総血清IgGおよびIgGサブクラス力価を示す。
血清を研究の終わりに収集した。個々のデータおよびシンボル(−)に言及する
点は、平均力価を表す。カッコ内のp値は、gD2のみのグループと比較したデ
ータの有意性をいう。
【0074】
図10は、1日目、21日目、および42日目に、gD2(5μg)単独、ま
たはgD2(5μg)を1μgのCT、ML−1、ニグリンB、塩基性ニグリン
B、エブリンrI、SNA IIまたはSELfdを用いて、鼻腔内免疫したマ
ウスの分泌液において測定したgD2特異的IgA抗体力価を示す。データは、
(a)唾液、(b)膣内洗浄、(c)経鼻洗浄、(d)腸洗浄における最終免疫
の2週間後に測定した力価である。点は、個々のデータに言及し、そしてシンボ
ル(−)は、平均の力価を表す。カッコ内のp値は、gD2のみのグループと比
較したデータの有意性に言及する。
【0075】
表3は、II型 RIPおよび関連する分子の免疫原性を示す。抗体応答は、
gD2(5μg)単独、またはCT/レクチン(1μg)とともに用いて鼻腔内
免疫したマウスにおいて測定した。マウスのグループ(n=10)を、0、14
、28、および42日目に免疫し、そしてサンプルを56および57日目に収集
した。
【0076】
【表3】


図11は、1日目、21日目、および42日目に、gD2(5μg)単独、ま
たはgD2(5μg)と1μgのCT、ML−1、またはUEA−1とを用いて
経鼻免疫したマウスにおいて測定されたgD2特異的血清IgAおよびIgG抗
体力価を示す。データは、最終免疫の2週間後に測定された力価である。点は、
個々のデータに言及し、そしてシンボル(−)は、平均力価を表す。カッコ内の
p値は、gD2のみのグループと比較したデータの有意性に言及する。
【0077】
図12は、1日目、21日目、および42日目に、gD2(5μg)単独、ま
たはgD2(5μg)と1μgのCT、ML−1、またはUEA−1とを用いて
経鼻免疫したマウスにおいて測定したgD2特異的サブクラス抗体力価を示す。
データは、最終免疫の2週間後に血清において測定された力価である。点は、個
々のデータに言及し、そしてシンボル(−)は、平均力価を表す。カッコ内のp
値は、gD2のみのグループと比較したデータの有意性に言及する。
【0078】
図13は、1日目、21日目、および42日目に、gD2(5μg)単独、ま
たはgD2(5μg)を1μgのCT、ML−1またはUEA−1を用いて、鼻
腔内免疫したマウスの分泌液において測定したgD2特異的IgA抗体力価を示
す。データは、(a)唾液、(b)膣内洗浄、(c)経鼻洗浄、(d)腸洗浄に
おける最終免疫の2週間後に測定した力価である。点は、個々のデータに言及し
、そしてシンボル(−)は、平均の力価を表す。カッコ内のp値は、gD2のみ
のグループと比較したデータの有意性に言及する。
【0079】
図14は、IL−5、IL−4、およびIFN生産の平均濃度、および、gD
2、ML−1、またはUEA−1を用いて、またはgD2をML−1、UEA−
1、またはLTK63とともに用いての、3回の免疫(0日目、21日目、42
日目)の8週間後の、(a)脾臓細胞および(b)子宮頚管リンパ節におけるT
細胞増殖アッセイについての1分あたりの計数を示す。脾臓細胞および子宮頚管
リンパ節細胞を単離し、そしてインビトロでgD2(0μg/ml、1μg/m
l、または5μg/ml)または1:1000もしくは1:5000に希釈して
ラテックスビーズに結合させたgD2、またはPMA/cd3で刺激した。
【0080】
図15は、1日目、14日目、28日目、および49日目に、OVA(5mg
)単独、またはOVA(5mg)とCT(10μg)、ML−I(10μg)、
ML−II(10μg)、またはML−III(10μg)とを一緒に用いて、
強制飼養によって免疫したマウスからのOVA特異的血清IgG抗体力価を示す
。血清を、各免疫の1日前および研究の終わりに収集した。図15A、1用量後
の血清IgG力価(13日目);図15B、2用量後の血清IgG力価(27日
目);図15C、3用量後の血清IgG力価(48日目);図15D、最終用量
後の血清IgG力価(62日目)。点は、個々のデータに言及し、そしてシンボ
ル(−)は、平均力価を表す。
【0081】
図16は、1日目、14日目、35日目、および49日目に、OVA(5mg
)単独、またはOVA(5mg)とCT(10μg)、ML−I(10μg)、
ML−II(10μg)、またはML−III(10μg)とを一緒に用いて、
強制飼養によって免疫したマウスにおいて測定したOVA特異的血清IgGサブ
クラスおよびIgA抗体力価を示す。サンプルを最終免疫の2週間後に収集した
。データは、最終免疫の2週間後に測定した力価である。図16A、IgG1;
図16B、IgG2a;図16C、IgG2b;図16D、IgG3。点は、個
々のデータを表し、そしてシンボル(−)は、平均力価を表す。
【0082】
図17は、強制飼養によって免疫したマウスの分泌物中において、1日目、1
4日目、35日目、および49日目に、OVA(5mg)単独、またはOVA(
5mg)とCT(10μg)、ML−I(10μg)、ML−II(10μg)
、またはML−III(10μg)とを一緒に用いて、測定したOVA特異的I
gA抗体力価を示す。データは、最終免疫の2週間後に測定した力価である。図
17A、唾液;図17B、膣洗浄;図17C、経鼻洗浄;図17D、腸洗浄。点
は、個々のデータを表し、そしてシンボル(−)は、平均力価を表す。
【0083】
表4は、OVA(5mg)単独、または0.5mlの重炭酸ナトリウム中にお
いて投与されるレクチン(10μg)とともに用いて、強制飼養によって免疫し
たマウスにおけるOVA特異的抗体応答を示す。マウスのグループ(n=10)
を、0、14、28、および42日目に免疫し、そしてサンプルを56日目およ
び57日目に収集した。
【0084】
【表4】


表5は、OVA(5mg)単独、またはレクチン(10μg)とともに免疫し
たマウスにおけるOVA特異的抗体応答を示す。マウスに、0.1ml PBS
中において強制飼養によって、または食餌ペレット中に組み込んで免疫した抗原
(±ML1)を投与した。マウスのグループ(n=5)を、0日目、14日目、
28日目、および42日目に免疫し、そしてサンプルを56日目および57日目
に収集した。
【0085】
表6は、OVA(5mg)単独、またはレクチン(10μg)とともに経口免
疫したマウスにおけるML1特異的抗体応答を示す。マウスに、0.1ml P
BS中において強制飼養によって、または食餌ペレット中に組み込んだ抗原(±
ML1)を投与した。マウスに、0日目、14日目、28日目、および42日目
に免疫し、そしてサンプルを56日目および57日目に収集した。
【0086】
【表5】

【0087】
【表6】


(実施例11)
(経皮経路で抗原とともに送達された場合の、II型RIP(ML1,エブリ
ンRI)のアジュバントとしての効力)
粘膜アジュバントとしてのヤドリギレクチンの効力を実証した研究からの続き
で、これらの研究を、経皮投与された場合のアジュバントとしての、II型RI
Pのアジュバントとしての能力を評価するために行った。最近の研究は、CTが
この経路でアジュバントとして使用された場合の、免疫応答の効果的な誘導を実
証している(Glennら、1998、1999)。ML 1に加えて、CTを
陽性コントロールとしておよびエブリンrIを使用した。なぜなら、それは、鼻
腔内投与された場合に、非毒性II型RIPの最も免疫原性のものであったから
である。
【0088】
(プロトコル)
雌Balb/cマウス(n=5)のグループを、0日目および21日目に免疫
し、そして血清サンプルを、0日目、20日目、および35日目にELISAに
よる分析のために採取した。3つの異なるバイスタンダー抗原、BSA、DT、
およびgD2を調査した。抗原(50μg)を、単独で、またはレクチン/トキ
シン(50μg)と混合して、マウスに投与した。特異的な抗体応答を、ELI
SAによって決定した。さらに、CTおよびレクチンに対する応答を測定して、
それらの免疫原性を、経皮経路で評価した。マウスの背をno.40のクリッパ
ーで剃り、そして動物を48時間休ませた。マウスに、免疫化手順の間、hyp
normジアゼパムで麻酔した。その皮膚を、溶液を適用する1分前にエタノー
ルで拭いた。免疫化溶液(100μl)を、剃った皮膚に2cm2の範囲にわた
って適用した。30分後、さらに100μlの蒸留水を適用し、そしてマウスを
90分間放置した。マウスを生温かい水道水で十分に洗浄し、たたいて乾燥し、
そして再び洗浄した。
【0089】
(研究グループ)
I.BSA
1.BSA 50μg
2.BSA 50μg+CT 50μg
3.BSA 50μg+MLI 50μg
4.BSA 50μg+エブリン rI 50μg
II.ジフテリア毒素(DT)
1.DT 50μg
2.DT 50μg+CT 50μg
3.DT 50μg+MLI 50μg
4.DT 50μg+エブリンrI 50μg
III.単純ヘルペスウイルス2糖タンパク質D(gD2)
1.gD2 50μg
2.gD2 50μg+CT 50μg
3.gD2 50μg+MLI 50μg
4.gD2 50μg+レクチンII 50μg
表7は、1および2経皮用量のBSA(50μg)単独、またはCT/植物レ
クチン(50μg)と一緒に投与した後に測定した、BSA特異的血清抗体力価
を示す。
【0090】
【表7】


表8は、DT(50μg)単独でまたはCT/植物レクチン(50μg)を伴
ったDTの、1回および2回の経皮用量の後に測定したDT特異的血清抗体力価
を示す。
【0091】
【表8】


表9は、gD2(50μg)単独でまたはCT/植物レクチン(50μg)を
伴ったgD2の、1回および2回の経皮用量の後に測定したgD2特異的血清抗
体力価を示す。乏しい応答に起因して、血清IgGaおよびIgG1レベルを決
定しなかった。
【0092】
【表9】


表10は、CT/ML1/Ebulin r1(50μg)を伴った1回およ
び2回の経皮的用量の後に測定したCTおよびレクチン特異的血清抗体力価を示
す。
【0093】
【表10】


(実施例12)
マウスにおいて経口送達したレクチンの結合、取り込みおよび転移(tran
slocation))
(レクチンの投与および組織の回収) 雌性Balb/cマウスを、実験前に
は自由給水にして通常の仕入れ飼料で維持した。マウスを、一晩絶食させ、そし
て24匹のマウスの群に、弯曲した経口投薬針(20g×25mm)を用いて胃
管栄養法によりレクチンを送達した(100μlの生理食塩水中1mgレクチン
/マウス)。水は、自由給水とした。8匹の動物の群を、ハロタン麻酔により屠
殺し、続いて1時間後、6時間後および24時間後に瀉血した。血液を心臓穿刺
により採取した。マウスを解剖し、そして腸全体を取り出し、そして胃、2つの
部分の小腸、および大腸に分けた。腸の内容物を10mlの氷冷PBSで洗い出
して、存在している非結合レクチンの量の指標を与えた。腸組織をポリエチレン
バッグに入れ、そして液体窒素中で急速冷凍した。腸の切片を、各場合において
採取し、そして組織学によるレクチン結合の試験のために4%ホルマリンで固定
した。全ての腸組織および洗浄物を、分析が必要になるまで−20℃で保存した
。さらに、肝臓、秘蔵および腎臓を動物から採取した。
【0094】
(組織からのレクチンの抽出) レクチンまたはコントロールの生理食塩水を
投与した動物由来の組織を、ジアミノプロパンの20mM溶液中でホモジナイズ
することにより抽出した。組織片を、抽出溶液(995μl 20mM ジアミ
ノプロパン+5μlの5mg/ml アプロチニン(Sigma))に入れ、そ
して氷上で2分間24000rpmでホモジナイズした(Janke and
Kunkel IKA(登録商標)−Labortechnik,Ultra−
Turrax(登録商標))。ホモジナイザーのヘッドを、蒸留水で洗浄し、抽
出溶液1ml中で、そしてサンプルの間に再び蒸留水で洗浄した。サンプルを、
20分間2℃で18600gで遠心分離した(Jouan,MRI22)。上清
を回収し、そして分析が必要になるまで−20℃で保存した。
【0095】
(腸洗浄物の処理) 腸に存在するフリー(非結合)レクチンの量の指標を提
供するために、腸の洗浄物に存在するレクチンの量を分析した。洗浄物(500
μl)を、希釈緩衝液(495μl)+プロテアーゼインヒビターであるアプロ
チニン(5mg/mlを5μl)に添加し、そして10分間8000rpmで遠
心分離した(Microspin 12S,Sorvall(登録商標)Ins
truments,Du Pont)。
【0096】
(血液サンプルの処理) 採取の後、血液サンプルを室温で1時間放置し、そ
して6分間7000rpmで遠心分離した(Microspin 12S,So
rvall(登録商標)Instruments,Du Pont)。血漿を回
収し、そして分析が必要になるまで−20℃で保存した。
【0097】
(腸への植物レクチンの結合のELISA分析) ELISAアッセイを設定
して、抽出した組織サンプルおよび洗浄物中のWGAの定量を可能とした。マイ
クロタイタープレート(Immunolon 4,Dynatech)を、ウェ
ルあたり炭酸−炭酸水素緩衝液(pH9.6)で1:64000希釈した75μ
lのウサギ抗WGAでコーティングし、そして4℃で一晩インキュベートした。
洗浄後、プレートをPBST/2%ゼラチン/200mM N−アセチルグルコ
サミンでブロッキングし、そして37℃で1時間インキュベートした。プレート
を洗浄し;標準物質およびサンプルを添加し、希釈緩衝液(PBST/200m
M N−アセチルグルコサミン)で段階希釈し、そして37℃で1時間インキュ
ベートした。10ng/ml〜78pg/mlのWGA溶液を力価測定すること
により、WGAの標準曲線を構築した。希釈緩衝液で1:16000希釈したビ
オチン化抗WGAを添加し、そして37℃で1時間インキュベートした。さらに
洗浄した後、希釈緩衝液で1:1000希釈したExtrAvidin(登録商
標)ペルオキシダーゼ(Sigma)を添加し、そして37℃で30分間インキ
ュベートした。プレートを洗浄し、50μl/ウェルの発色溶液(TMBマイク
ロウェルペルオキシダーゼ基質(1−C)Kirkegaard and Pe
rry Laboratories,Gaithersburg,USA)を添
加し、そして遮光して、37℃で30分間振盪しながらインキュベートした。1
M H2SO4(50μl/ウェル)を添加することにより反応を停止させ、そ
して吸光度を450nmで読み取った。標準曲線の線形領域からWGAレベルを
計算した。
【0098】
(SDS−PAGEおよびウェスタンブロッティング) SDS−PAGEゲ
ルを泳動し、そしてタンパク質を、セミドライ転写装置を用いてPVDF膜に転
写した。転写後、膜を2.5%カゼイン溶液中で30分間室温でブロッキングし
た。膜を洗浄し、そして一次抗体(ビオチン標識抗レクチン)を1.2%カゼイ
ン溶液で1:2500希釈して添加した。室温で一晩攪拌しながらインキュベー
トした後、膜をPBSで徹底的に洗浄し、そしてExtrAvidin(登録商
標)ペルオキシダーゼを1.2%カゼインで1:5000希釈して添加した。室
温で1時間インキュベートした後、膜をPBSおよび蒸留水で徹底的に洗浄した
。過剰な液体を膜から除去し、そして発色溶液を添加し(Super sign
al(登録商標)West pico検出キット)(Pierce,Rockf
ord,USA)、そして遮光して5分間放置した。過剰な液体を膜から乾燥さ
せ、そして膜をフィルムに露出し(Kodak X−OMAT LS(Sigm
a))、そして処理した。
【0099】
(結果)
(経口胃管栄養法後のマウス腸における植物レクチンの安定性および結合)
レクチン(PHA、WGAおよびUEA−1)は、胃管栄養法後、6時間までの
間、マウス消化管において安定であった(表11および12;図18および19
)。小腸において、レクチンは、ポジティブコントロールのサブユニットMWで
検出されたに過ぎなかった。胃においては、PHAおよびUEA−1の場合、6
時間および24時間後にレクチン凝集の指標があった。しかし、胃で検出された
レクチンの大部分は、やはりインタクトであった。腸に結合するレクチンの分析
により、送達して1時間および6時間後に、結合したレクチンの位置に差異が見
出された。PHA(およびWGA(示さず))は、小腸の近位に結合したが、U
EA−1はこの領域において検出されなかったが、小腸の遠位に結合した(表1
1)。結合のパターンは、レクチン投与して1時間および6時間後のパターンと
類似であった。送達の24時間後に、レクチンはホモジナイズした腸組織におい
て検出されなかった。このことは、レクチンが腸から解離し、そして再結合する
のではなく、解離した後に分泌されるようであることを示した。
【0100】
表11は、胃管栄養法によりPHA(アイソタイプE2L2)を1mg送達し
て1時間、6時間および24時間後の、マウス消化管におけるPHAの検出を示
す。+記号は、レクチンがウェスタンブロッティングで検出されたことを示し、
そして陽性シグナルを有するマウスの数(各場合で8匹のうち)を括弧に入れて
示す。ポジティブコントロールのPHAサブユニット分子量は、29.5kDa
であった。
【0101】
表12は、胃管栄養法によりUEA1を1mg送達して1時間、6時間および
24時間後の、マウス消化管におけるUEA1の検出を示す。+記号は、レクチ
ンがウェスタンブロッティングで検出されたことを示し、そして陽性シグナルを
有するマウスの数(各場合で8匹のうち)を括弧に入れて示す。ポジティブコン
トロールのUEA1のみかけのサブユニット分子量は、34.7kDaであった

【0102】
【表11】

【0103】
【表12】


(内部器官および血液におけるレクチンの検出) 鋭敏な化学発光ウェスタン
ブロットアッセイを用いて、レクチン取り込みを決定した。3つ全てのレクチン
について、肝臓および腎臓への取り込みを測定した(表13、図20および21
)。図20は、腎臓組織において検出されたUEA1がポジティブコントロール
よりより高い分子量で存在することを示す。コントロール腎臓組織とは交差反応
性が存在する。しかし、レクチンを投与した動物由来のマウス組織においてさら
なるバンドが見える。これらのバンドは、コントロールより高い分子量で存在す
る。
【0104】
レクチンを、投与して1〜24時間後に肝臓組織において検出した。しかし、
反応性バンドのMWは、予測したサブユニットMWよりかなり高かった。実際に
、3つのレクチンのうちいずれも、予測したサブユニットMWで内部器官におい
て検出されなかった。レクチン取り込みの程度の指標を得るために、サンドイッ
チELISAを設定して、WGAを定量した。このことは、腸および内部器官に
おけるレクチンの測定を可能にした(表13)。レクチンは、送達して6時間ま
での間、投与したレクチンのおよそのレベルで腸ホモジネートにおいて検出され
た。24時間では、ホモジネート中にレクチンは検出されなかった。内部器官の
うち、最高レベルのレクチンは、肝臓組織において検出された。この部位でのレ
クチンのレベルは、1〜24時間まで増加した。しかし、検出されたレクチンの
最高量(289.3ng)は、送達した用量のわずかな割合を示した。非常に低
レベルのWGAは、血球もしくは血清、または脾臓において検出された。肝臓お
よび腎臓における最高レベルのレクチンの検出は、ウェスタンブロットの結果と
一致する。ここで、このレクチンは、肝臓および腎臓組織において検出可能であ
ったが、血液または他の器官においては検出可能でなかった。
【0105】
(ネイティブかつ吸収されたレクチンのトリプシンによるタンパク質分解に対
する安定性) ネイティブなレクチンの特性を保持して、吸収されたレクチンが
肝臓および腎臓において検出されたか否かを決定するために、ネイティブなおよ
び組織抽出したPHA、WGAおよびUEA−1を、トリプシンの溶液とともに
1時間インキュベートした。3つのレクチン全てが、それらのネイティブな形態
でこの酵素に対して非常に安定であった。しかし、肝臓および腎臓組織において
検出した改変されたレクチンは、酵素により分解された(図22)。このことは
、肝臓および腎臓における細胞が、タンパク質分解に対して感受性の形態に植物
レクチンを改変しうることを示す。これは、消化管において残存し、かつ吸収さ
れる、消化された植物レクチンの分解についての機構であり得る。
【0106】
表13は、0.1mlのPBS中の1mgのレクチン(1回の用量)を用いた
マウス群(n=8)の経口胃管栄養法後の、組織におけるWGAの検出を示す。
このレクチンを、定量的サンドイッチELISAにより測定し、そしてデータを
器官あたりまたは血液1mlあたりのμgレクチンとしてあらわす。
【0107】
【表13】

【0108】
【表14】

【0109】
【表15】

【0110】
【表16】

【0111】
【表17】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−98986(P2011−98986A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−31457(P2011−31457)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【分割の表示】特願2001−536190(P2001−536190)の分割
【原出願日】平成12年10月26日(2000.10.26)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【Fターム(参考)】