説明

精穀機

【課題】空気流を少なくしても除糠室の糠粉を効率良く搬送する。
【解決手段】精米機10では、ケース22内の空気が吸引筒42内を介して吸引されることで、吸気筒40内を介してケース22内に空気が吸気されて、精米室32から除糠孔26及び除糠室54を介して吸引筒42側への空気流が発生される。このため、精米室32で米粒が研削精米されて発生した糠粉が除糠孔26、除糠室54及び吸引筒42内を介して排出される。ここで、搬送構造44の上面が吸気筒40側から吸引筒42側へ向かうに従い段階的に下側に変位されている。このため、搬送構造44の上面を搬送される糠粉が、搬送構造44の上面の下側への変位部分において、搬送構造44の上面から離間されると共に、受ける空気流の流量を増加されて、効果的に搬送される。これにより、ケース22内に発生させる空気流を少なくしても、糠粉を効率良く搬送できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物を精穀する精穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の精米装置では、除糠筒の内周側に精米ロールが設けられており、精米ロールが回転されることで、除糠筒と精米ロールとの間で穀物が精米されると共に、穀物が除糠筒の軸方向へ搬送される。さらに、除糠筒の外周側に除糠室が形成されており、除糠室の空気が吸引されることで、除糠筒内で穀物の精穀により発生した糠粉が除糠室に排出されて搬送される。
【0003】
しかしながら、この精米装置では、除糠室からの空気の吸引量が過多であると、穀物が除糠筒の内周面に吸い付けられて、穀物の除糠筒軸方向への搬送が困難になる可能性がある。
【0004】
一方、除糠室からの空気の吸引量が過少になると、除糠室の糠粉の搬送が困難になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3101042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、空気流を少なくしても除糠室の糠粉を効率良く搬送できる精穀機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の精穀機は、軸方向が起立され、かつ、内周側で穀物が精穀されると共に、外周側に除糠室が形成され、内周側で穀物の精穀により発生した糠粉が前記除糠室に排出される除糠筒と、前記除糠室に設けられると共に、上下方向において互いに離間される複数の搬送部材を有し、複数の前記搬送部材のそれぞれの上面に空気流が発生されることで前記除糠室の糠粉が搬送されると共に、上側の前記搬送部材の空気流下流側端が下側の前記搬送部材の空気流下流側端に対し空気流上流側に配置されて上面が空気流下流側へ向かうに従い段階的に下側に変位された搬送構造と、を備えている。
【0008】
請求項2に記載の精穀機は、請求項1に記載の精穀機において、前記除糠室の外周側に設けられ、複数の前記搬送部材のそれぞれの上面に空気を流入する流入口が設けられた外筒を備えている。
【0009】
請求項3に記載の精穀機は、請求項1又は請求項2に記載の精穀機において、前記除糠室の側面を断面多角形状にし、かつ、前記除糠室の径方向寸法が増加した位置において前記搬送構造の上面を段階的に下側に変位させている。
【0010】
請求項4に記載の精穀機は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の精穀機において、複数の前記搬送部材の上面を前記除糠筒の軸方向に垂直に配置している。
【0011】
請求項5に記載の精穀機は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の精穀機において、前記除糠室に設けられ、前記除糠室の軸方向に延伸されて前記除糠室を周方向において区画すると共に、下端が前記搬送構造の上面から上側に離間された区画部材を備えている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の精穀機では、除糠筒の軸方向が起立されており、除糠筒の内周側で穀物が精穀される。また、除糠筒の外周側に除糠室が形成されており、除糠筒の内周側で穀物の精穀により発生した糠粉が除糠室に排出される。
【0013】
さらに、除糠室に搬送構造が設けられており、搬送構造は複数の搬送部材を有している。複数の搬送部材は上下方向において互いに離間されており、複数の搬送部材のそれぞれの上面に空気流が発生されることで、除糠室の糠粉が搬送される。
【0014】
ここで、上側の搬送部材の空気流下流側端が下側の搬送部材の空気流下流側端に対し空気流上流側に配置されて、搬送構造の上面が、空気流下流側へ向かうに従い、段階的に下側に変位されている。このため、除糠室の糠粉が、搬送構造の上面の下側への変位部分において、搬送構造の上面(上側の搬送部材上面)から離間されると共に、上側の搬送部材上面の空気流のみならず下側の搬送部材上面の空気流を受けることで、効果的に搬送される。これにより、空気流を少なくしても、除糠室の糠粉を効率良く搬送できる。
【0015】
請求項2に記載の精穀機では、除糠室の外周側に外筒が設けられており、複数の搬送部材のそれぞれの上面に空気を流入する流入口が外筒に設けられている。このため、複数の搬送部材のそれぞれの上面に空気流を効果的に発生させることができる。
【0016】
請求項3に記載の精穀機では、除糠室の側面が断面多角形状にされており、除糠室の径方向寸法が増加した位置において、搬送構造の上面を段階的に下側に変位させている。このため、除糠室の径方向寸法が増加した位置において、除糠室の糠粉が、搬送構造の上面(上側の搬送部材上面)から離間されると共に、上側の搬送部材上面の空気流のみならず下側の搬送部材上面の空気流を受けることができる。これにより、除糠室の糠粉を効果的に搬送できる。
【0017】
請求項4に記載の精穀機では、複数の搬送部材の上面が除糠筒の軸方向に垂直に配置されている。このため、複数の搬送部材の上面が除糠筒の周方向に対し傾斜される場合と異なり、搬送構造(複数の搬送部材)を容易に製作でき、搬送構造(複数の搬送部材)を除糠筒に容易に設置できる。
【0018】
請求項5に記載の精穀機では、除糠室に区画部材が設けられており、区画部材は、除糠室の軸方向に延伸されて除糠室を周方向において区画すると共に、下端が搬送構造の上面から上側に離間されている。このため、搬送構造の上面と区画部材の下端との間において、空気流の流速を増加させることができ、除糠室の糠粉を効果的に搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る精米機を示す上方から見た断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る精米機を示す前斜め左方から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る精米機を示す前方から見た正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る精米機を示す前方から見た断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る精米機の整流構造及び搬送構造を示す前方から見た正面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る精米機の搬送構造を示す前斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、本発明の実施の形態に係る精穀機としての精米機10が上方から見た断面図にて示されており、図2には、精米機10が前斜め左方から見た斜視図にて示されている。さらに、図3には、精米機10が前方から見た正面図にて示されており、図4には、精米機10が前方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、精米機10の前方を矢印FRで示し、精米機10の右方を矢印RHで示し、上方を矢印UPで示す。
【0021】
本実施の形態に係る精米機10は、研削式かつ上昇式のものにされている。
【0022】
図1〜図4に示す如く、精米機10の下側部分には、機台12が設けられている。
【0023】
機台12上には、送給部14が設置されている。送給部14には、円筒状の送給筒16が設けられており、送給筒16の下端は、機台12上に固定されている。送給筒16内には、スクリュー18が同軸上に設けられており、スクリュー18は、機台12に回転可能に支持されている。送給筒16の上端には、供給樋20が着脱自在に装着されており、供給樋20内から送給筒16内に穀物としての米粒(玄米B)が供給される。このため、スクリュー18が回転されることで、送給筒16内に供給された米粒がスクリュー18によって送給筒16内を下側へ搬送される。
【0024】
機台12上には、送給部14の左側において、外筒としての多角形(例えば10角形)筒状のケース22の下端が固定されており、ケース22は、軸方向を鉛直に起立されて上下方向に平行にされると共に、上面が閉鎖されている。
【0025】
ケース22内には、円筒状の除糠筒24が同軸上に設けられており、除糠筒24の下端は、機台12上に固定されている。除糠筒24は、多孔板製にされて、全周において多数の細長状の除糠孔26が貫通形成されており、除糠孔26は、上下方向(除糠筒24の軸方向)に沿って配置されると共に、米粒が通過不能にされている。除糠筒24の上端には、環板状の鍔部28が設けられており、鍔部28は、全周において、除糠筒24の外周面及びケース22の内周面に固定されている。
【0026】
除糠筒24内には、精穀部材としての円柱状の精米ロール30が同軸上に設けられており、精米ロール30は、機台12に回転可能に支持されている。精米ロール30の外周全体には、研削砥石30Aが設けられており、精米ロール30と除糠筒24との間には、精穀室としての精米室32が形成されている。除糠筒24内の下端部は、送給部14の送給筒16内の下端部に送給樋31内を介して連通されており、送給筒16内をスクリュー18によって下側へ搬送された米粒(玄米B)が送給樋31内を介して精米室32の下端部に送給される。このため、精米ロール30が回転されることで、精米室32の米粒が、回転される研削砥石30Aによって研削精米(精穀)されて(表面に軽く傷を付けられつつ表面の糠層を削り取られて)、白米Pにされる。
【0027】
除糠筒24の内周面には、湾曲長尺板状の螺旋突条34が複数固定されており、複数の螺旋突条34は、除糠筒24の軸方向及び周方向にそれぞれ等間隔で配置されている。螺旋突条34は、精米ロール30の回転方向(矢印Rの方向)へ向かうに従い上方へ向かう方向へ傾斜されており、精米ロール30が回転されることで、精米室32の米粒が、螺旋突条34に沿って上方(除糠筒24の軸方向)へ搬送されて、除糠筒24の鍔部28上に送出される。
【0028】
ケース22の上端部の外側には、排出部としての矩形筒状の排出樋36が一体に設けられており、排出樋36内は、ケース22内の上端部に連通されると共に、排出樋36内のケース22側端の下端面は、除糠筒24の鍔部28の上面と面一にされている。また、排出樋36は、ケース22外周側へ向かうに従い下側へ向かう方向に傾斜されている。
【0029】
排出樋36内のケース22側端(ケース22側端以外でもよい)には、圧力調整手段としての矩形板状の抵抗板38が設けられており、抵抗板38は、排出樋36内を閉じている。抵抗板38は、上端を中心としてケース22外周側(排出樋36内を開く方向)へ回動可能にされると共に、ケース22内周側(排出樋36内を閉じる方向)へ付勢されている。
【0030】
このため、除糠筒24の鍔部28上に送出された米粒が抵抗板38を付勢力に抗してケース22外周側へ回動させて、抵抗板38が排出樋36内を開くことで、研削精米後の米粒(白米P)が排出樋36内を介してケース22外へ排出される。また、抵抗板38を付勢する付勢力が調整されることで、精米室32での米粒の精米圧力(精穀圧力)が調整されて、米粒(白米P)の精米度(精穀度、白度)が調整される。
【0031】
ケース22の右側部分の下部には、送給筒16と除糠筒24との連通部分(送給樋31)の上側において、流入口としての矩形筒状の吸気筒40(吸気ダクト、吸気口)が一体に設けられており、吸気筒40内は、ケース22内の下部に連通されている。ケース22の左側部分の下部には、吸気筒40に対しケース22径方向の反対側において、流出口としての矩形筒状の吸引筒42(吸引ダクト、吸引口)が一体に設けられており、吸引筒42内は、ケース22内の下部に連通されている。
【0032】
ケース22と除糠筒24との間の下部には、搬送構造44が設けられており、搬送構造44には、搬送部材(案内板)としての第1底板46、第2底板48及び第3底板50が上側からこの順番で設けられている。第1底板46は、平面視略U字状にされてケース22と除糠筒24との間における吸気筒40側部分に配置され、第2底板48は、平面視略C字状にされてケース22と除糠筒24との間における吸引筒42側部分を除く部分に配置され、第3底板50は、平面視略円環状にされてケース22と除糠筒24との間における全周に配置されている。
【0033】
図5及び図6に詳細に示す如く、第1底板46、第2底板48及び第3底板50は、それぞれ断面L字形板状にされており、第1底板46、第2底板48及び第3底板50には、それぞれ、上側の第1結合部46A、第2結合部48A及び第3結合部50Aと、下側の搬送部としての平板状の第1底部46B、第2底部48B及び第3底部50Bと、が設けられている。
【0034】
第1結合部46A、第2結合部48A及び第3結合部50Aは、重合部分において、スポット溶接52により結合されると共に、第2結合部48A及び第3結合部50Aは、重合部分において、スポット溶接52により結合されている。これにより、第1底板46、第2底板48及び第3底板50が結合されており、第1底部46B、第2底部48B及び第3底部50Bは上下方向において等間隔に配置されて、第1底部46Bと第2底部48Bとが上下方向において互いに離間されると共に、第2底部48Bと第3底部50Bとが上下方向において互いに離間されている。
【0035】
第1結合部46A、第2結合部48A及び第3結合部50Aは、ケース22の周壁に固定されており、これにより、第1底板46、第2底板48及び第3底板50が、それぞれ、第1結合部46A、第2結合部48A及び第3結合部50Aにおいてケース22の内周面に嵌合されると共に、第1底部46B、第2底部48B及び第3底部50Bの除糠筒24側端において除糠筒24の外周面に嵌合されている。さらに、第1底部46B、第2底部48B及び第3底部50Bが上下方向(除糠筒24の軸方向)に垂直(水平)に配置されている。
【0036】
第1底板46、第2底板48及び第3底板50には、吸気筒40内に対向する部分及び吸引筒42内に対向する部分において、第1結合部46A、第2結合部48A及び第3結合部50Aが設けられていない。これにより、第1底部46B上、第2底部48B上(第1底部46Bと第2底部48Bとの間)及び第3底部50B上(第2底部48Bと第3底部50Bとの間)が吸気筒40内及び吸引筒42内に対向されて連通されている。さらに、第3底部50Bの上面が吸気筒40の下壁の上面及び吸引筒42の下壁の上面と面一にされている。
【0037】
搬送構造44の上面は、吸気筒40側から吸引筒42側へ向かうに従い第1底部46B、第2底部48B及び第3底部50Bの上面がこの順で構成しており、これにより、搬送構造44の上面が吸気筒40側から吸引筒42側へ向かうに従い段階的(階段状)に下側に変位されている。また、第1底板46の吸引筒42側端及び第2底板48の吸引筒42側端は、それぞれ、ケース22周壁の角部の吸気筒40側近傍(ケース22周壁の角部でもよい)に配置されている。
【0038】
ケース22と除糠筒24との間には、除糠筒24の鍔部28と第3底板50の第3底部50Bとの間の範囲において、除糠室54が形成されており、除糠筒24の全ての除糠孔26は、除糠室54に対向する位置(本実施形態では搬送構造44の上端より上側)のみに配置されている。
【0039】
除糠室54には、整流構造を構成する区画部材(仕切板)としての長尺平板状の第1整流板56、第2整流板58及び第3整流板60がそれぞれ一対設けられており、第1整流板56、第2整流板58及び第3整流板60は、除糠室54の前側部分と後側部分とのそれぞれに配置されると共に、それぞれ上下方向に沿って延伸されている。
【0040】
第1整流板56、第2整流板58及び第3整流板60のケース22側端は、ケース22の周壁に固定されると共に、第1整流板56、第2整流板58及び第3整流板60の上端は、除糠筒24の鍔部28に固定されており、これにより、第1整流板56、第2整流板58及び第3整流板60が除糠室54に設置されている。第1整流板56、第2整流板58及び第3整流板60は、ケース22の周壁から除糠筒24へ向けて延出されており(除糠筒24まで延出されてもよい)、これにより、除糠室54が周方向において第1整流板56、第2整流板58及び第3整流板60によって区画されている(仕切られている)。
【0041】
第1整流板56は、吸気筒40と第1底板46の吸引筒42側端との間に配置されており、第1整流板56の下端は、第1結合部46Aの上端より下側における第1底部46Bの上面近傍に配置されている。第2整流板58は、第1底板46の吸引筒42側端と第2底板48の吸引筒42側端との間(特に第1底板46の吸引筒42側端近傍)に配置されており、第2整流板58の下端は、第2結合部48Aの上端より下側における第2底部48Bの上面近傍に配置されている。第3整流板60は、第2底板48の吸引筒42側端と吸引筒42との間(特に第2底板48の吸引筒42側端近傍)に配置されており、第3整流板60の下端は、第3結合部50Aの上端より下側における第3底部50Bの上面近傍に配置されている。第1整流板56の下端と第1底部46Bの上面との隙間の上下方向寸法、第2整流板58の下端と第2底部48Bの上面との隙間の上下方向寸法及び第3整流板60の下端と第3底部50Bの上面との隙間の上下方向寸法は、同一にされている。なお、第2整流板58の下端は、第1底部46Bの上面に対し上下方向位置を同一又は下側にされるのが好ましく、第3整流板60の下端は、第2底部48Bの上面に対し上下方向位置を同一又は下側にされるのが好ましい。
【0042】
吸引筒42には、吸引機構(図示省略)が接続されており、吸引機構が吸引筒42内を介してケース22内(精米室32、除糠筒24の除糠孔26内及び除糠室54)の空気を吸引することで、吸気筒40内を介してケース22内に空気が吸気される。このため、精米室32から除糠孔26内、除糠室54及び吸引筒42内を介して吸引機構側への空気流が発生されることで、精米室32で米粒が研削精米されて発生した糠粉(米粒から除去された糠層)が除糠孔26内、除糠室54及び吸引筒42内を介してケース22外へ排出される。
【0043】
上述の如く、第1底部46B上、第2底部48B上(第1底部46Bと第2底部48Bとの間)及び第3底部50B上(第2底部48Bと第3底部50Bとの間)は、吸気筒40内に対向されて連通されている。このため、第1底部46Bの上面、第2底部48Bの上面及び第3底部50Bの上面では、吸気筒40側から吸引筒42側へ向かう除糠室54の周方向への空気流が発生する。
【0044】
除糠室54の吸気筒40と第1整流板56との間の周方向位置では、第1整流板56によって主に第1整流板56の下端と第1底部46Bの上面との隙間への空気流が発生する。除糠室54の第1整流板56と第2整流板58との間の周方向位置では、第2整流板58によって主に第2整流板58の下端と第2底部48Bの上面との隙間への空気流が発生する。除糠室54の第2整流板58と第3整流板60との間の周方向位置では、第3整流板60によって主に第3整流板60の下端と第3底部50Bの上面との隙間への空気流が発生する。
【0045】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0046】
以上の構成の精米機10では、送給部14において、供給樋20内から送給筒16内に供給された米粒(玄米B)が、回転されるスクリュー18によって送給筒16内を下側へ搬送され、送給樋31内を介して除糠筒24と精米ロール30との間の精米室32の下端部に送給される。
【0047】
精米室32の下端部に送給された米粒(玄米B)は、回転される精米ロール30により除糠筒24内周面の複数の螺旋突条34に沿って上方へ搬送されつつ研削精米されて白米Pにされ、除糠筒24の鍔部28上に送出される。
【0048】
除糠筒24の鍔部28上に送出された研削精米後の米粒(白米P)は、排出樋36内の抵抗板38を付勢力に抗してケース22外周側へ回動させる。このため、抵抗板38が排出樋36内を開くことで、米粒が排出樋36内を介してケース22外へ排出される。また、抵抗板38を付勢する付勢力が調整されることで、精米室32での米粒の精米圧力が調整されて、米粒の精米度が調整される。
【0049】
さらに、吸引機構がケース22の吸引筒42内を介してケース22内(精米室32、除糠筒24の除糠孔26内及び除糠室54)の空気を吸引することで、吸気筒40内を介してケース22内に空気が吸気される。このため、精米室32から除糠孔26内、除糠室54及び吸引筒42内を介して吸引機構側への空気流が発生されることで、精米室32で米粒が研削精米されて発生した糠粉が除糠孔26内、除糠室54及び吸引筒42内を介してケース22外へ排出される。
【0050】
ところで、精米室32から除糠孔26内を介して除糠室54へ排出された糠粉は、少なくとも自重により、除糠室54の下端部における搬送構造44へ向けて落下される。さらに、搬送構造44の上面では、吸気筒40側から吸引筒42側へ向けての空気流が発生される。
【0051】
ここで、搬送構造44の上面は、吸気筒40側から吸引筒42側へ向かうに従い第1底部46B、第2底部48B及び第3底部50Bの上面がこの順で構成して、吸気筒40側から吸引筒42側へ向かうに従い段階的に下側に変位されている。
【0052】
このため、除糠室54の糠粉が搬送構造44の上面を吸気筒40側から吸引筒42側へ向けての空気流によって搬送される際には、当該糠粉が、搬送構造44の上面の下側への変位部分において、搬送構造44の上面から離間されることで、当該空気流によって効果的に搬送される。これにより、搬送構造44の上面の糠粉を効果的に搬送できる。
【0053】
また、搬送構造44では、第1底部46Bと第2底部48Bとが上下方向において互いに離間されると共に、第2底部48Bと第3底部50Bとが上下方向において互いに離間されており、第1底部46Bの上面、第2底部48Bの上面(第1底部46Bと第2底部48Bとの間を含む)及び第3底部50Bの上面(第2底部48Bと第3底部50Bとの間を含む)にそれぞれ吸気筒40側から吸引筒42側へ向けての空気流が発生される。
【0054】
このため、搬送構造44の上面の糠粉は、第1底部46Bの上面においては第1底部46Bの上面の空気流を受け、第1底部46Bより吸引筒42側における第2底部48Bの上面においては第1底部46Bの上面からの空気流及び第1底部46Bと第2底部48Bとの間からの空気流を受け、第2底部48Bより吸引筒42側における第3底部50Bの上面においては第1底部46Bの上面からの空気流、第1底部46Bと第2底部48Bとの間からの空気流及び第2底部48Bと第3底部50Bとの間からの空気流を受ける。すなわち、搬送構造44の上面を搬送される糠粉の量は吸気筒40側から吸引筒42側へ向けて徐々に増加するが、これに対応して、搬送構造44の上面の空気流の流量(風量)ひいては流速(風速)が吸気筒40側から吸引筒42側へ向けて段階的に増加される。これにより、搬送構造44の上面の糠粉を効果的に搬送できる。
【0055】
さらに、第1底部46B上、第1底部46Bと第2底部48Bとの間及び第2底部48Bと第3底部50Bとの間が、吸気筒40内に対向されて連通されている。このため、第1底部46Bの上面、第1底部46Bと第2底部48Bとの間及び第2底部48Bと第3底部50Bとの間に吸気筒40内を介して空気流を効果的に発生させることができ、搬送構造44の上面の空気流の流量ひいては流速を効果的に吸気筒40側から吸引筒42側へ向けて段階的に増加させることができる。
【0056】
しかも、第1底板46の吸引筒42側端及び第2底板48の吸引筒42側端が、それぞれ、ケース22周壁の角部の吸気筒40側近傍に配置されて、除糠室54の径方向寸法(幅方向寸法)が増加した位置に配置されている。このため、除糠室54の径方向寸法が増加した位置において、搬送構造44の上面が段階的に下側に変位されると共に、搬送構造44の上面の空気流の流量が第1底部46Bと第2底部48Bとの間や第2底部48Bと第3底部50Bとの間からの空気流によって増加される。このため、除糠室54の径方向寸法が増加した位置において、搬送構造44の上面から糠粉が離間されると共に、空気流の流速が低下することが抑制されて、搬送構造44の上面の糠粉を効果的に搬送できる。
【0057】
また、除糠室54が周方向において第1整流板56、第2整流板58及び第3整流板60によって区画されており、第1整流板56、第2整流板58及び第3整流板60の上端は除糠筒24の鍔部28に固定されると共に、第1整流板56、第2整流板58及び第3整流板60の下端はそれぞれ第1底部46B、第2底部48B及び第3底部50Bの上面近傍に配置されている。
【0058】
このため、除糠室54の吸気筒40と第1整流板56との間の周方向位置では、第1整流板56によって主に第1整流板56の下端と第1底部46Bの上面との隙間への空気流が発生する。さらに、除糠室54の第1整流板56と第2整流板58との間の周方向位置では、第2整流板58によって主に第2整流板58の下端と第2底部48Bの上面との隙間への空気流が発生する。しかも、除糠室54の第2整流板58と第3整流板60との間の周方向位置では、第3整流板60によって主に第3整流板60の下端と第3底部50Bの上面との隙間への空気流が発生する。
【0059】
これにより、除糠室54の周方向全体において空気流を発生させることができ、精米室32の周方向全体から除糠孔26内を介して除糠室54へ糠粉を効果的に排出することができる。しかも、第1整流板56の下端と第1底部46Bの上面との間、第2整流板58の下端と第2底部48Bの上面との間及び第3整流板60の下端と第3底部50Bの上面との間において、空気流の流量ひいては流速を増加させることができ、搬送構造44の上面の糠粉を効果的に搬送できる。
【0060】
以上により、吸引機構が吸引する空気を少なくしてケース22内に発生する空気流を少なくしても、搬送構造44の上面の糠粉を効率良く搬送できてケース22外へ連続的に排出できる(搬送構造44の上面に糠粉が残留することを抑制できる)。
【0061】
さらに、上述の如く、ケース22内の糠粉をケース22外へ排出するために吸引機構がケース22内に発生させる空気流を少なくできる。しかも、上述の如く、吸気筒40内が第1底部46B上、第1底部46Bと第2底部48Bとの間及び第2底部48Bと第3底部50Bとの間に対向されて連通されているため、精米室32から除糠孔26内を介して除糠室54へ流れる空気流を少なくできる。このため、精米室32において研削精米される米粒が空気流によって除糠筒24の内周面に吸い付けられて米粒の上方への搬送が制限されることを抑制でき、精米室32で米粒が過剰に研削精米されることを抑制できる。
【0062】
また、搬送構造44では、第1底部46B、第2底部48B及び第3底部50Bが除糠筒24の軸方向に垂直に配置されている。
【0063】
このため、第1底部46B、第2底部48B及び第3底部50Bが除糠筒24の周方向に対し傾斜される場合と異なり、搬送構造44を容易かつ高精度に製作でき、搬送構造44を除糠筒24に容易かつ高精度に設置できる。
【0064】
さらに、第1底部46B、第2底部48B及び第3底部50Bが除糠筒24の周方向に対し傾斜される場合と異なり、除糠孔26を形成する除糠筒24の軸方向範囲ひいては除糠室54の軸方向寸法を除糠筒24の周方向全体において大きくでき、精米室32の糠粉を除糠孔26内を介して除糠室54へ効果的に排出できて、精米機10の除糠能力を高くできる。
【0065】
なお、本実施の形態では、ケース22を多角形筒状にした。しかしながら、ケース22を円筒状にしてもよい。
【0066】
さらに、本実施の形態では、3個の搬送部材(第1底板46、第2底板48及び第3底板50)を設けた。しかしながら、搬送部材は複数設ければよい。
【0067】
また、本実施の形態では、6個の区画部材(それぞれ一対の第1整流板56、第2整流板58及び第3整流板60)を設けた。しかしながら、区画部材は単数又は複数設ければよい。
【0068】
さらに、本実施の形態では、除糠筒24の除糠孔26を、細長状にして、除糠筒24の軸方向に沿って配置した。しかしながら、除糠筒24の除糠孔26を、他の形状(多角形状、円状又は楕円状等)にしてもよく、また、除糠筒24の軸方向に対し傾斜させたり垂直にして配置してもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、精米機10を研削式のものにして精米室32の米粒を研削により精米する。しかしながら、精米機10を摩擦式のものにして精米室32の米粒を摩擦力により精米(精穀)してもよい。
【0070】
さらに、本実施の形態では、精米機10を上昇式のものにして精米室32の米粒を上昇させる。しかしながら、精米機10を下降式のものにして精米室32の米粒を下降させてもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、本発明を精米機10に適用した。しかしながら、本発明を他の精穀機に適用して、米粒以外の穀物(麦粒等)を精穀してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 精米機(精穀機)
22 ケース(外筒)
24 除糠筒
40 吸気筒(流入口)
44 搬送構造
46 第1底板(搬送部材)
48 第2底板(搬送部材)
50 第3底板(搬送部材)
54 除糠室
56 第1整流板(区画部材)
58 第2整流板(区画部材)
60 第3整流板(区画部材)
B 玄米(穀物)
P 白米(穀物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向が起立され、かつ、内周側で穀物が精穀されると共に、外周側に除糠室が形成され、内周側で穀物の精穀により発生した糠粉が前記除糠室に排出される除糠筒と、
前記除糠室に設けられると共に、上下方向において互いに離間される複数の搬送部材を有し、複数の前記搬送部材のそれぞれの上面に空気流が発生されることで前記除糠室の糠粉が搬送されると共に、上側の前記搬送部材の空気流下流側端が下側の前記搬送部材の空気流下流側端に対し空気流上流側に配置されて上面が空気流下流側へ向かうに従い段階的に下側に変位された搬送構造と、
を備えた精穀機。
【請求項2】
前記除糠室の外周側に設けられ、複数の前記搬送部材のそれぞれの上面に空気を流入する流入口が設けられた外筒を備えた請求項1記載の精穀機。
【請求項3】
前記除糠室の側面を断面多角形状にし、かつ、前記除糠室の径方向寸法が増加した位置において前記搬送構造の上面を段階的に下側に変位させた請求項1又は請求項2記載の精穀機。
【請求項4】
複数の前記搬送部材の上面を前記除糠筒の軸方向に垂直に配置した請求項1〜請求項3の何れか1項記載の精穀機。
【請求項5】
前記除糠室に設けられ、前記除糠室の軸方向に延伸されて前記除糠室を周方向において区画すると共に、下端が前記搬送構造の上面から上側に離間された区画部材を備えた請求項1〜請求項4の何れか1項記載の精穀機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−46894(P2013−46894A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186413(P2011−186413)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】