説明

精米設備

【課題】糠ペレット技術を料金式の精米設備に搭載するにあたって、利用者や管理者に扱いやすい精米設備を提供する。
【解決手段】機械室内に精米機と、精米機で発生した糠をペレット状にする糠ペレット製造機Pとを設け、糠ペレット製造機Pで製造した糠ペレット16を機械室外から取り出せる糠ペレット取り出し部18と、糠ペレット16を機械室内に収容する糠ペレット収容部17とを設け、糠ペレット16を糠ペレット取り出し部18か糠ペレット収容部17のいずれかに移送すべく切り替える切替体19を設け、切替体19を操作する操作スイッチを機械室外側に設けた精米設備である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が持参した穀物を精米処理する精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には精米機で発生した糠を糠ペレットにして糠収容タンクに収容する精米設備について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−222931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
料金を投入して持参した玄米を精米処理する精米設備においては、糠を持ち帰りたい利用者あるいは糠を必要としない利用者が存在する。本発明は精米機の精米処理で発生した糠を扱いやすい糠ペレット技術を料金式の精米設備に搭載するにあたって、利用者や管理者に扱いやすい精米設備にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、かかる技術的課題を解決するために次のような技術的手段を構成した。すなわち、請求項1の発明では、請求項1記載の発明においては、機械室(K)内に精米機(6)と、精米機(6)で発生した糠をペレット状にする糠ペレット製造機(P)とを設け、糠ペレット製造機(P)で製造した糠ペレット(16)を機械室(K)外から取り出せる糠ペレット取り出し部(18)と、該糠ペレット(16)を機械室(K)内に収容する糠ペレット収容部(17)とを設け、糠ペレット(16)を糠ペレット取り出し部(18)か糠ペレット収容部(17)のいずれかに移送すべく切り替える切替体(19)を設け、該切替体(19)を操作する操作スイッチ(33)を機械室外側に設けたことを特徴とする精米設備とする。
【0006】
請求項2記載の発明では、機械室内に精米機(6)と、精米機(6)で発生した糠と空気を分離するサイクロン(12)と、サイクロン(12)を通過した糠をペレット状にする糠ペレット製造機(P)と、サイクロン(12)を通過した糠をそのまま収容する糠容器(15)と、サイクロン(12)を通過した糠を糠ペレット製造機(P)側又は糠容器(15)側に移送する移送手段とを設け、糠ペレット製造機(P)で製造した糠ペレット(16)を機械室(K)外側から取り出せる糠ペレット取り出し部を設け、機械室(K)外側に設ける操作スイッチ(33)で前記サイクロン(12)を通過した糠を糠ペレット製造機(P)側に移送するか糠容器(15)側に移送するかを切り替えることを特徴とする精米設備とする。
【0007】
請求項3記載の発明では、移送手段を横方向に延びる糠移送ラセン(13)を内装する糠移送樋(14)とし、糠移送樋(14)の一端に糠容器(15)を設け、糠移送樋(14)の他端にペレット製造機(P)を設け、糠移送ラセン(13)を正逆転可能に構成したことを特徴とする請求項2記載の精米設備とする。
【0008】
請求項4記載の発明では、ペレット製造機(P)の後工程に糠ペレット(16)をパックする糠パック装置(G)を設けたことを特徴する請求項1から請求項3いずれか記載の精米設備とする。
【0009】
請求項5記載の発明では、ペレット製造機(P)の後工程に糠ペレット(16)をパックする糠パック装置(G)を設け、糠ペレット(16)を糠ペレット取り出し部側に移送するときは糠パックを行い、糠ペレット(16)を糠ペレット収容部側に移送するときには糠パックを行なわないようすることを特徴とする請求項1記載の精米設備とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明においては、利用者は精米して発生した糠を糠ペレットにして取り出せるので持ち帰りやすい。また、利用者が糠ペレットを不要な場合には機械室内の糠ペレット収容部に収容するため、管理者が糠を回収するときにかさばらずに回収しやすい。
【0011】
請求項2記載の発明においては、利用者は精米して発生した糠を糠ペレットにして取り出せるので持ち帰りやすい。また、利用者が糠ペレットを不要な場合には機械室内の糠容器にバラで収容するため、ペレット製造機を頻繁に用いることが無く、耐久性が向上する。
【0012】
請求項3記載の発明においては、共通の搬送体で糠を糠容器かペレット製造機かいずれかに供給できる。
請求項4記載の発明においては、糠ペレットをパック詰めにすることで、利用者が持ち帰りやすくなる。
【0013】
請求項5記載の発明においては、利用者が糠ペレットを持ち帰るときに糠パックを行い、糠ペレットを機械室に収容するときには糠パックを行なわないことで、糠パック装置を不要に使用することが無くパック材を節約できる。また、管理者も糠ペレットを回収しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】平面から見た精米設備の内部を説明する図
【図2】側面から見た糠処理部Nを説明する図
【図3】精米設備の作業工程図
【図4】正面から見た操作室を示す図
【図5】糠ペレットをパック処理することを示す斜視図
【図6】糠ペレットをパック処理することを示す側面図及び平面図
【図7】精米設備の運転制御のフローチャート
【図8】側面から見た糠処理部Nの別実施例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の精米設備の構成について説明する。
精米設備を作業工程順に説明すると、玄米を投入する投入ホッパ1と、投入ホッパ1の下部に設けるロータリバルブ2と、第一昇降機3と、石抜機4と、第二昇降機5と、圧迫板6aの圧迫作用で所望の精白度に精白処理する周知の精米機6と、精米処理した精白米を受ける白米タンク9とを備える。また、精米機6で精米処理した糠は、糠処理部Nへ搬送される。
【0016】
図8に示すように、精米設備は建屋T内を仕切壁8で操作室Sと機械室Kとに仕切る。操作室S側には図7に示すような操作盤7や、投入ホッパ1の投入口1aや白米タンク9の取出し口9aを設ける。
【0017】
機械室K側には第一昇降機3と、石抜機4と、第二昇降機5と、精米機6と、糠処理部Nを設けている。
仕切壁8には利用者が操作する操作盤7を設ける。操作盤7には料金投入口10と、精白度選択スイッチ11とを設けている。また、操作盤7内には各種装置を運転制御する制御部を内蔵している。また、操作室S側には精米処理した糠ペレット16を持ち帰ることを希望する利用者が操作する糠取り出しスイッチ33を設けている。糠取り出しスイッチ33は後述する糠ペレット取り出し容器18の上方に設けても良いし、操作盤7に設けても良い。
【0018】
糠処理部Nについて以下説明する。
精米機6で発生し、糠搬送ファン6bで糠搬送筒31を空気搬送した糠と空気とを分離するサイクロン12と、サイクロン12の下方にあって糠を移送する糠移送ラセン13を内装する糠移送樋14と、糠移送樋14で搬送された糠を収容する糠容器15と、糠移送樋14で搬送された糠を固形のペレット状に製造する糠ペレット製造機Pと、糠ペレット製造機Pで製造した糠をフィルム等のビニールでパックする糠パック装置Gと、パックした糠ペレット16を機械室K内に収容する糠ペレット収容容器17と、パックした糠ペレット16を操作室S側から取り出せる糠ペレット取り出し容器18と、糠ペレット収容容器17と糠ペレット取り出し容器18のいずれかにパックした糠ペレット16を案内する切替体19と、糠パック装置Gから糠ペレット取り出し容器18へ落下する糠ペレット16を案内する第一糠案内シュート29と、糠パックGから糠ペレット収容容器17へ落下する糠ペレット16を案内する第二糠案内シュート30とを備えている。 本実施の形態では操作室S側から利用者が糠を取り出す側を糠取り出し部側と呼ぶ。
【0019】
糠容器15は糠移送樋14の一端に設け、糠ペレット製造機Pを糠移送樋14の他端に設け、糠移送ラセン13は糠移送ラセン駆動モータ13aにより正逆転可能な構成である。
【0020】
糠ペレット製造機Pは設定量の糠を収容する糠収容筒20と、糠収容筒20の底部を開閉するシャッタ板21と、糠を圧縮する圧縮板22と、圧縮板22を糠収容筒20内で上下移動させる糠圧縮板シャフト23と、糠圧縮板シャフト23を上下移動させる糠圧縮モータ24とを備えている。
【0021】
糠パック装置Gはフィルム等のパック材25をロール状に巻いた一対のパックロール26と、パック材25の一端を支持ずる支持ロール27と、パック材25を熱で溶かして切断・パックする切断部材28等を備えている。
【0022】
次に、利用が持参した玄米の精米処理を行い、糠ペレット16をパック処理までの運転制御について説明する。
利用者は操作室Sに玄米を持参し、玄米を投入口1aから投入ホッパ1に投入し、料金を料金投入口10に投入する。そして、精白度選択スイッチ11で所望の精白度を選択すると、精米運転が開始する。精米運転が開始されると、投入ホッパ1内の玄米はロータリバルブ2で繰り出され、第一昇降機3を経て石抜機4で石抜処理され、第二昇降機5を経て精米機6で精米処理され白米タンク9に精白米が排出される。利用者は白米タンク9の白米取出し口9aから精白米を取出す。精米機6で発生した糠は糠搬送筒31を空気搬送され、サイクロン12で糠と空気とに分離される。
【0023】
運転開始前又は運転開始から精米機が精米処理を開始するまでに糠取り出しスイッチ33をONすると、精米運転開始から精米機6での初期の精米処理で発生した糠は糠移送ラセン13で糠容器15側に搬送され、バラの糠の状態で糠容器15内に収容される。それ以後は糠移送ラセン13の回転方向が逆転し、また、糠移送ラセン13を間欠駆動することで、糠を糠ペレット製造機Pに設定量ずつ搬送する。
【0024】
初期の精米処理とは、最初に精米機6に供給した玄米を精白処理するために精米機の圧迫板6aを設定精白度よりも高い圧力で精白処理する精米初期処理工程で、精米機内部が玄米で充填されていない状態で精白をすることによる未精白米の発生を防止するために行なわれる。この精米初期処理工程時には砕米や極小の米の欠片が糠に混じる白糠が発生しやすく、これらが糠に混じると糠の品質が低下する。そのため、精米初期の糠(糠ペレット)は利用者に提供せず、精米処理が安定する連続精米時の良質の糠(糠ペレット)を利用者に提供するものである。
【0025】
精米初期処理工程が終了し、圧迫板6aが利用者が設定した精白度の位置に移動し、通常の連続精米工程に移行する。該連続精米工程に移行した後に利用者が糠取り出しスイッチ33を操作すると即座に糠を糠取り出し部側へ供給し、糠ペレット16を製造して糠取り出し容器18へ供給すべく切り替える構成とする。
【0026】
糠ペレット製造機Pの糠収容筒20に設定量ずつ供給された糠は、圧縮板22の圧縮動作と開閉シャッタ21との間で圧縮され、固形の糠ペレット16に成形される。そして、開閉シャッタ21が開いて糠ペレット16が糠パック装置Gのパック材25内に落下する。すると、開閉シャッタ21は閉じると共に圧縮板22が初期位置まで上昇する。そして、停止していた糠移送ラセン13が再度駆動を開始して糠を糠収容室へ供給して次の糠ペレット16が製造される。
【0027】
糠パック装置Gは一対のパックロール26から設定長さの一対のパック材25を支持ロール27で支持する。パック材26の底部は予め図示しない接着部材で接着し、上部を開口して待機している。そして、前記パック材26の開口部から糠ペレット16が入り込むと切断部材28が糠ペレット16のパック剤周囲を電熱等で溶かして接着しながら切断して糠ペレット16をパック状態にする。
【0028】
そして、糠ペレット取り出し容器側18に切り替えられている切替体19と第一糠案内シュート29で糠ペレット取り出し容器18に案内される。そして、以後精米運転の継続と共に、設定時間毎に糠ペレット16が製造される。投入料金分の運転時間の経過又は投入ホッパ1内の穀物有無センサ1bが投入した玄米無しを検出すると、ロータリバルブ2の駆動を停止し、以後、機械室内の装置各部に残留する残留玄米を精米処理する残米処理工程に入る。
【0029】
残米処理工程で最後の残米を精米機6で精米処理するときに、圧迫板を圧力の高いほうへ移動して精米処理を行なういわゆる精米終了処理工程を行なう。この精米終了処理工程を行なうときには糠移送ラセン13は再度逆転し、発生した糠を糠容器15側に移送する。精米終了処理工程時も精米初期処理工程時と同様、砕米や極小の米の欠片が糠に混じる白糠が発生しやすく、これらが糠に混じると糠の品質が低下する。そのため、精米終了処理工程時の糠は利用者に提供せず、良質の糠を利用者に提供するものである。
【0030】
精米終了処理工程が終了すると残米処理工程が終了し、精米運転の全工程が終了する。利用者は操作室S側から糠取り出し容器18を引き出し、パックされた糠ペレット16を取り出して持ち帰る。
【0031】
前述の実施例では、利用者が糠取り出しスイッチ33を操作したときには精米処理で発生した糠を糠ペレット16にして、かつ糠ペレット16を糠パックして利用者に持ち帰り、利用者が糠取り出しスイッチ33を操作しないときには精米処理で発生した糠をバラの状態で糠容器15に収容する構成を説明している。
【0032】
利用者が糠取り出しスイッチ33を操作しなかった場合には、精米設備の管理者の設定により糠容器15にバラで収容する以外に以下の処理が行なわれるように設定が可能である。
【0033】
糠を全て糠ペレット製造機で糠ペレットにして糠ペレット16を切替体19から第二糠案内シュート30を経て糠ペレット収容容器17に収容する方法である。このとき、図示はしないが糠パック装置Gを迂回する迂回路を経て若しくは糠ペレット16が糠パックをしないで糠パック装置G内を通過して糠収容器17に収容する構成とすることで、糠パックをするのを利用者に持ち帰ってもらう場合のみにすると良い。これにより不要なパック部材を使用することなくパック部材を節約できる。さらに精米設備の管理者にしてみればパックをしない単なる糠ペレット状態のほうが回収しやすい。
【0034】
糠処理部Nの別実施例として、糠パック装置Gを取り外して、糠ペレット製造機Pで製造した糠ペレット16を糠ペレット収容容器17に収容されるか糠取り出し容器18に取出せるかを切替体19で切り替える構成としても良い。
【0035】
本実施の形態は糠ペレット製造機Pにより糠ペレット16を利用者に提供する技術について記載しているが、精米初期処理工程時と精米終了処理工程時に糠を糠取り出し部側に供給せず、管理者が回収する糠容器15側に収容することで、良質の糠を利用者に提供する技術は、糠ペレットに限定せず、バラの糠を糠取り出し容器に供給する場合にも適用できる。
【0036】
バラの糠の取出の構成については図8に示す。糠搬送筒31で搬送された糠は、切換弁50から糠容器サイクロン51側を経て糠袋53に収容するか、切換弁50から糠取り出しサイクロン52、糠取り出しラセン54を経て糠取り出し口55から操作室S側に排出されるかする。利用者はバラの糠を持参した袋Uで操作室S側から袋受空間56で受けることで、良質の糠を持ち帰ることができる。
【符号の説明】
【0037】
6 精米機
12 サイクロン
13 糠移送ラセン
14 糠移送樋
15 糠容器
16 糠ペレット
17糠ペレット収容容器
18糠ペレット取り出し容器
19 切替体
33 操作スイッチ(糠取り出しスイッチ)
P 糠ペレット製造機
K 機械室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械室内に精米機と、精米機で発生した糠をペレット状にする糠ペレット製造機とを設け、糠ペレット製造機で製造した糠ペレットを機械室外から取り出せる糠ペレット取り出し部と、該糠ペレットを機械室内に収容する糠ペレット収容部とを設け、糠ペレットを糠ペレット取り出し部か糠ペレット収容部のいずれかに移送すべく切り替える切替体を設け、該切替体を操作する操作スイッチを機械室外側に設けたことを特徴とする精米設備。
【請求項2】
機械室内に精米機と、精米機で発生した糠を分離するサイクロンと、サイクロンを通過した糠をペレット状にする糠ペレット製造機と、サイクロンを通過した糠をそのまま収容する糠容器と、サイクロンを通過した糠を糠ペレット製造機側又は糠容器側に移送する移送手段とを設け、糠ペレット製造機で製造した糠ペレットを機械室外から取り出せる糠ペレット取り出し部を設け、機械室外側に設ける操作スイッチで前記サイクロンを通過した糠を糠ペレット製造機側に移送するか糠容器側に移送するかを切り替えることを特徴とする精米設備。
【請求項3】
移送手段を横方向に延びる糠移送ラセンを内装する糠移送樋とし、糠移送樋の一端に糠容器を設け、糠移送樋の他端にペレット製造機を設け、糠移送ラセンを正逆転可能に構成したことを特徴とする請求項2記載の精米設備。
【請求項4】
ペレット製造機の後工程に糠ペレットをパックする糠パック装置を設けたことを特徴する請求項1から請求項3いずれか記載の精米設備。
【請求項5】
ペレット製造機の後工程に糠ペレットをパックする糠パック装置を設け、糠ペレットを糠ペレット取り出し部側に移送するときは糠パックを行い、糠ペレットを糠ペレット収容部側に移送するときには糠パックを行なわないようにすることを特徴とする請求項1記載の精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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