説明

糖オリゴマーを含有する栄養製品

450Da〜3700Daの分子量を有する非消化性オリゴ糖を、インスリン抵抗性の改善、食後血糖ディップの予防、及び/又は最初の製品の摂取後72時間以内に摂取される食事の食後グルコース応答を低減するために使用する。該オリゴ糖は、特にガラクト−オリゴ糖であり、有利には、食事を取る数時間前に投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴ糖を含有する栄養組成物及びそれらの臨床的使用に関する。詳細には、これらのオリゴ糖は、インスリンに対する身体の感受性を改善し、したがってインスリンの効果を支援する。
【背景技術】
【0002】
インスリンは、哺乳動物膵臓中のランゲルハンス島のβ細胞によって合成されるタンパク質である。生合成及び翻訳後修飾の速度は、多くの因子(その中には成長ホルモン及びステロイドなどのホルモン類の循環濃度がある)の支配下にあるばかりでなく、摂食状態にもよる。インスリンは、いくつかの引き金、例えば、血液中のグルコール及び特定アミノ酸の濃度の結果として血液中に放出され得る。
【0003】
インスリンは、体内でのエネルギー代謝に強力な影響を及ぼす。特に、インスリンは、グルコースの代謝に関して重要な調節の役割を演じ、例えば、インスリンは、一部のグルコール輸送体を活性化し、脂肪の生合成を刺激し、脂肪分解を低減し、且つ細胞中へのアミノ酸輸送を増進する。エネルギー代謝は、また、血液中のグルカゴン又はストレスホルモンの濃度などの、いくつかの他の因子に左右される。グルカゴン濃度は、摂食状態に関するその再回転(turn again)に左右される。
【0004】
多くの対象が、インスリンの対処方法との相互作用によって、又はインスリンそれ自体又はその作用を模擬した化合物を投与することによって解決、軽減又は予防できる、1つ又は複数の健康問題を有している。前者の方法は、II型糖尿病患者、代謝症候群に罹患した人々、重病の人々、又は手術若しくは火傷のような重症外傷を経験した人々などのインスリン抵抗性の人々に主に適用されてきたが、一方、I型糖尿病、重症の膵炎又は内分泌機能障害を有する患者のように重症の膵臓傷害を患う人々、或いは栄養不良である人々は、インスリン又はその類似体の投与から利益を得ることが多い。
【0005】
インスリンの適切な作用に関する高い関心のため、その作用に影響を及ぼす又はその作用を改善するために多くの努力がなされてきた。インスリンの投与は、頻繁に適用されるが、患者にとって煩わしい非経口で行われることが多い。加えて、有効期間が比較的短く、このことが、1日に多数回の投与を強制することが多い。
【0006】
哺乳動物細胞のインスリンに対する感受性を高めることも、頻繁に意図されるが、達成することが困難である。ビグアニジン類のような活性成分は、これを達成すると主張されている。
【0007】
国際公開第2006/009437号(N.V.Nutricia、2006年1月23日)パンフレットには、インスリン感受性を改善するか、或いはインスリン抵抗性を低減し、アスパルテート等価物を含む栄養製品が開示されている。このような製品は、繊維、好ましくは小麦ふすま又は低メチル化ペクチンを含んでいてもよい。しかし、繊維の効果については記載されていない。
【0008】
Weickertらは、Diabetes Care 2006,29(4),775中で、燕麦繊維が、標準的食事に先立って3日間続けて毎日消費された場合に、体重過多及び肥満の女性の全身インスリン感受性を改善することを開示している。該燕麦繊維はオリゴ糖を含んでいなかった。該製品は、男性、又はII型糖尿病を患う患者などの著しいインスリン抵抗性を有する人々で効果的でないことが示された。
【0009】
欧州特許出願公開第1588629号(N.V.Nutricia、2005年10月26日)明細書には、低メトキシル化ペクチン及びオリゴ糖、より詳細にはグルコ−オリゴ糖(Fibersol 2(登録商標)中に存在)を含有するマトリックス形成組成物が開示されており、後者は、下部胃腸管中でのカルシウムの生物学的利用能を促進する。グルコース濃度、インスリン濃度とインスリンピーク値の双方が減少したことが示された。インスリン感受性それ自体に対するオリゴ糖の効果は、開示されていない。
【0010】
Boucher et al.J.Physiol.Biochem.59(3),169-174(2003)、及び同じ著者からの国際公開第2004/024167号(Institut National de la Recherche Agronomique、2004年3月25日)パンフレットには、45%脂肪食で20週間給餌されたマウスにおけるインスリン感受性の安定化に対する、合成の食用繊維様α−グルコ−オリゴ糖(ガラクト−オリゴ糖と混同しないように、GOSと名付ける)の長期使用の効果が開示されている。それには、本出願中に記載するような短期のインスリン感受性効果に関する記載はない。ガラクト−オリゴ糖は、試験されていない。
【0011】
欧州特許出願公開第1060673号(Nestle SA、2000年12月20日)明細書には、インスリン感受性を増大させるために、多糖デキストランを含有する栄養組成物を腸溶的に投与することによって、哺乳動物の胃腸管でのプロピオネートの産生を選択的に増大させる方法が開示されている。オリゴ糖、特に、ガラクト−オリゴ糖の効果については開示されていない。
【0012】
これらの文献のいずれも、1回又は数回のオリゴ糖それ自体の、特にガラクト−オリゴ糖の投与が、インスリン感受性の増大の原因である可能性があることを示唆していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2006/009437号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第1588629号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/024167号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第1060673号明細書
【特許文献5】国際公開第02/051264号パンフレット
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Weickert et al. Diabetes Care 2006,29(4),775
【非特許文献2】Boucher et al. J.Physiol.Biochem.59(3),169-174(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、高い臨床上の適合性を有し、製造するのが簡単で、患者又は消費者にとって好都合で、且つ極めて味のよい栄養製品の製造を可能にする。
【0016】
該製品は、本明細書中で開示されるもの以外の特殊な炭水化物分画又はタンパク質分画を含有する必要がない。いくつかの成分が欠如していてもよいため、該製品は、通常の食物消費を妨げる必要がない。
【0017】
さらに、本発明によるオリゴ糖を含有する製品は、血漿中グルコースの、特に摂取後最初の2時間の濃度(の減少)に対するそれらの即時効果に比べてより長く持続する効果を有すると思われる。数時間後でさえ、さらには次の日でさえ、インスリン感受性が増大している場合がある。
【0018】
本発明による製品は、また、低血糖症、すなわち血漿中グルコース濃度が4mM未満である期間の発生を予防し、本発明による製品の後に摂取される別の栄養製品の摂取に由来する食後グルコース応答に影響を及ぼすと思われる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
オリゴ糖は、グリセミックディップ(glycaemic dip)の予防、及び/又はインスリン感受性の増大、及び/又は後に続く栄養製品の消費後に観察されるような食後グルコース応答(post-prandial glucose;PPGRと略記する)の低下に効果的である栄養又は医薬組成物の製造に使用できることが見い出されている。
【0020】
最初の実施形態において、本発明は、インスリン抵抗性を改善するための、食後グリセミックディップを予防するための、及び/又は当該製品の摂取後72時間以内に摂取される食事に関する食後グルコース応答を低減するための栄養製品又は医薬品の製造における、450Da〜3700Daの分子量を有する非消化性オリゴ糖の使用に関する。
【0021】
本明細書中、「Da」はダルトンの省略形である。それは、質量の非SI単位であり、統一原子質量単位(原子質量定数,uamu)に等しく、約1.66054×10−27kgに等しい。
【0022】
本明細書中、食事は、グルコース応答を生じさせる任意の食物消費である。これには、特に、男性及び女性の双方の、児童、青年及び年配者のための、完全な及び補足的な食物、医療用食物製品、スナック類、飲料などを含めることができる。
【0023】
用語「グリセミックディップ」は、本明細書中で使用される場合、食後における、血漿中グルコース濃度が食前のレベル以下まで低下することを意味する。このようなディップは、食後1〜数時間、特に約2時間後に起こり得る。通常、グルコース濃度は、例えば30分〜約5時間後に再び上昇する。このようなグリセミックディップは、糖尿病状態を患う人々、すなわち障害されたインスリン管理を有する人々、及びこのような糖尿病状態を患っていない人々のどちらでも発生する可能性がある。非糖尿病の人々において、グリセミックディップは、渇望行動及び頻繁な摂食事象(「食欲異常亢進」)、又は疲労及び衰弱の感情をもたらす場合がある。糖尿病患者において、グリセミックディップは、以下のようなより深刻な効果につながる場合さえあり、通常、低血糖症と呼ばれる。本発明は、グリセミックディップの両方の形態に関係する。
【0024】
低血糖症を含めグリセミックディップに対する効果は、栄養製品それ自体の摂取又は投与後の血漿中グルコース濃度(PG)を判定することによって、或いは本発明による製品を摂取した後の少なくとも30分から72時間後までに摂取される2番目、3番目又はそれ以降の栄養製品の摂取後にPGを判定することによって測定できる。
【0025】
低血糖症の期間は、本発明による製品の摂取後5時間以内に、又は本発明による製品の投与後72時間以内に摂取される後続の食事の摂取後5時間以内に測定した血漿中グルコース濃度が、4mM未満の値まで低下する期間であると定義される。
【0026】
低血糖症の期間が発生し得る可能性を示す指標は、絶食対象に予め定めた量の炭水化物を有する製品をボーラス給餌(bolus feeding)で投与した後に、血漿中グルコース濃度がベースライン値未満である期間である。時間に対してPGをプロットすると、PGは、典型的には、30〜90分後にピーク値に到達し、続いて2〜3時間後に現われるベースライン値(投与時点でのPG)まで急速に低下し始める。通常、健全に消費する人々の代謝反応は、PGがあまりにも低くなることを防止する。しかし、糖尿病患者及びインスリン抵抗性の人々は、グルコースの恒常性を維持することにおいて困難を来たす。
【0027】
低血糖の期間は、渇望行動及び頻繁な摂食事象を、或いは適切な時間に摂食しない場合には疲労及び衰弱、めまい、さらには失神の感覚を、或いは極端な事例では昏睡又は死亡さえももたらす。低血糖症の問題は、夜間に、及び幼児、特に彼らの病状について十分な経験をまだ有さない幼児にとって特に重要である。
【0028】
インスリン抵抗性の改善(又はインスリン感受性の増大)に対する製品の効果は、当技術分野で周知の参照インスリンクランプ技術によって、又は適用がより簡便なマツダ(Matsuda)指数を評価することによって判定できる。後者では、製品を人に与え、続いて血漿中のグルコース及びインスリンの濃度を判定する。インスリン/グルコースの比率は、放出されるインスリン量に対する身体の感受性の尺度である。
【0029】
このようなインスリン感受性の改善は、より長く持続すると思われる。それは少なくとも3日間持続する。例えば、本発明の栄養製品又は医薬品の効果は、第1の製品の消費後72時間以内に摂取される第2又はそれ以降の食事を摂取した後の食後グルコース応答を判定することによって明らかになっている。
【0030】
それゆえ、本発明により使用される予定のオリゴ糖は、驚くべきことに、食後の高いグルコース濃度(高血糖症)を低下させること、並びに高血糖事象に続いて又は独立に発生する場合があるグリセミックディップ(低血糖症)を低減又は予防することの双方で役立つことができる。オリゴ糖は、特に、食事の72時間前までに、特に48時間前までに、特に24時間前までに、特に12時間前に、特に5時間前までに、特に食事の30分〜5時間前に、特に食事の1時間〜5時間前に、特に食事の2時間〜5時間前に、特に食事の3時間〜5時間前に投与した場合に、これらの機能を発揮する。
【0031】
オリゴ糖単独でのこの特性は、使用者が、食物中に存在する他の成分の又は活性成分の健康上有益な特性を最大にすることを可能にし、且つインスリン抵抗性の人々及び糖尿病患者の要求に合致させるのにより適した新製品の製造を可能にすることが見い出されている。
【0032】
このような製品には、一食単位当たり250kcal(1050kJ)未満、好ましくは20〜200kcal(84〜840kJ)、より好ましくは50〜180kcal(210〜756kJ)を提供する製品が含まれる。このような一食単位は、好ましくは、即時使用用であり、固体、半固体又は液体の形態を有する製品が含まれる。固体製品の例が、バー、ケーキ又は糖菓子である。半固体製品の例が、スナック、プディング又は粥(porridge)である。液体の例が、200ml以下の容積を有する飲料である。これらの一食単位は、このようにして、好ましくは1.25kcal/ml(5.25kJ/ml)以下、好ましくは0.1〜1kcal/ml(0.42〜4.2kJ/ml)、より好ましくは0.25〜1kcal/ml(1.05〜4.2kJ/ml)、さらにより好ましくは0.25〜0.9kcal/ml(1.05〜3.73kJ/ml)、極めて特に0.3〜0.9kcal/ml(1.26〜3.78kJ/ml)のエネルギー密度を提供する。しかし、より小さな容積が、2.50kcal/ml(100mlの一食単位の場合)以下、及び5.0kcal/ml(50mlの供給単位の場合)以下などの、より高いエネルギー密度を有することもできる。
【0033】
本発明による製品は、非消化性のオリゴ糖(OS)を含有すべきである。このようなOSは、93重量パーセント(wt%)を超える糖部分を含み、且つ中性pHの純水に溶解された場合に得られる形態中で450Daから3700Daの分子量(3〜20の重合度)を有する分子であると定義される。好ましくは、OSの分子量は、450Da〜3300Da、最も好ましくは450Da〜1700Da、又はさらには1000Daまでの範囲でよい。
【0034】
より大きな分子量を有する非消化性糖類の存在は、有害ではない。しかし、大部分の分子が、数で、しかし好ましくは重量で、非消化性OSについて示したような分子量を有することが好ましい。例えば、分子量が3700Daを超えるのは50%未満であり、特に、分子量が3300Daを超えるのは50%未満であることが好ましい。450Daより小さな分子量を有する分子(本質的には二糖類)の存在が望ましい状況は、OSの性質、及び患者の特定の要求によって決まる。ガラクト−オリゴ糖の場合、より小さなMWの分子(二糖類)としては、ガラクトシルガラクトース及び乳糖を挙げることができる。前者は、より大きなMWの分子と同様の機能を有すると考えられ、一方、消化性糖類の存在は、乳糖抵抗性の患者を除いて通常有益である。別の例としてペクチン加水分解物の場合、主な二糖類は、非消化性であり、ガラクツロン酸単位を含み、許容されるか、或いは有益でさえある。
【0035】
オリゴ糖分子は、直鎖状又は分枝状であってもよく、α−1,2、α−1,3、α1,6及びβ−1,1、β−1,2、β−1,3、β−1,4及びβ−1,6又はこれらの混合物を介して互いに結合された糖部分を有することができるが、ヒトの消化管中に存在するアミラーゼによって、又は上皮細胞中に存在する刷子縁サッカリダーゼによって攻撃されることができず、したがって消化されず、或いは血漿コンパートメントへの吸収に利用可能な消化産生物でもない。
【0036】
好ましくは、本発明によるオリゴ糖分子は、ガラクトース単位、キシロース単位、アラビノース単位、及びこれらの混合物からなる群から選択される50wt%を超える、より好ましくは60wt%を超える、特に70%を超える単位を含む。任意選択で、オリゴ糖分子中の残りの糖単位の少なくとも10wt%は、異なってよく、グルコース単位、ラムノース単位、フコース単位、マンノース単位、及びこれらの混合物からなる群から選択できる。糖単位の一部又は全部でさえ、例えばウロン酸及び/又はアシル化物のように誘導体化できる。
【0037】
しかし、効力に関して最良の結果は、60wt%を超えるガラクトース単位、さらにより好ましくは70〜100wt%のガラクトース単位、最も好ましくは73〜90wt%のガラクトース単位を含むOSを使用することによって得られる。残りの糖単位は、好ましくは10wt%を超えるグルコース単位である。
【0038】
好ましくは、OS中のガラクトース単位は、70%を超えるために、β結合を介して互いに結合されている。このようなガラクト−オリゴ糖は、当技術分野で周知の適切な酵素を添加する手段によって、ゲスト分子にガラクトースを付加することによって調製できる。このようなゲスト分子は、乳糖、又は大豆中に見出されるようなその他の分子でよい。適切なガラクト−オリゴ糖は、β−ガラクトシダーゼによる乳糖のトランスガラクトシル化によって得ることができる。適切なオリゴ糖のその他の例には、例えば国際公開第02/051264号パンフレットに記載されているような、加水分解アラビノガラクタン、加水分解アラビナン及び加水分解アラビノキシランが含まれる。
【0039】
オリゴ糖は、非消化性又は栄養性繊維画分の一部であってよい。この非消化性画分又は繊維画分の総量は、関与するマトリックスに対して当技術分野で周知であるような方法、例えば、「総食物繊維」を判定するためのAOAC法、及び難消化性デンプン(resistant starch)量を判定するための及びOS量を測定するためのMcCleary法、又はポリオール化合物のクロマトグラフ法、及びこれらの量の適切な加法を適用することによって、或いは別法として、栄養性繊維として表示しなければならないそれらの食物成分に対するラベルを審査することによって決定される。
【0040】
OSの重量は、製品中の非消化性画分(すなわち繊維)の重量に対して少なくとも20wt%、特に少なくとも30wt%、好ましくは36wt%〜100wt%、特に少なくとも44wt%、最も好ましくは50wt%以上を占めるべきである。
【0041】
好ましくは、OSは、インスリン抵抗性をもつ患者における、インスリン抵抗性、後続の食事のPPGR及び罹患頻度の低減、又は低血糖症の程度の低下に対する最大の効果を得るために、製品中の非消化性画分の総重量の36wt%超を、好ましくは44wt%超を、より好ましくは51wt%超を、より好ましくは70wt%超を、最も好ましくは90wt%超を提供するガラクト−オリゴ糖である。
【0042】
製品中の繊維画分は、アラビノ−オリゴ糖、キシロ−オリゴ糖、ウロン酸オリゴマー、耐性デキストリン、耐性デンプン、ゴム類、及び不溶性繊維をはじめとする3〜20の重合度を有する他のOSなどの代替繊維を含むことができる。消化管の機能及び動作の支援、免疫機能の支援、アレルゲンに対する感受性の低下、又は消化過程の改善などのさらなる利益を達成するためには、発酵パターン及び分子構造に関して様々な繊維を含むことが好ましい。
【0043】
耐性デンプンを含めることは、極めて有益であり得るが、液体製品では、嗜好性を改善するために液体製品中の耐性デンプンの量を、繊維画分の64wt%未満に、好ましくは50wt%未満に、より好ましくは30wt%未満に制限することがより好ましいことが見出されている。
【0044】
ウロン酸オリゴマーを含める場合には、免疫系の改善を得ることができる。このことは、小部分のみアルキル化により保護されたウロン酸を使用することによって最もよく達成される。ウロン酸の供給源としてペクチンを使用する場合には、好ましくは、供給源として、特に、非メトキシル化ペクチン又は軽度にのみ(例えば25%未満、特に10%未満)メトキシル化されたペクチンを使用すべきである。ペクチンに代わるウロン酸オリゴマーの使用は、包装中及び消化管中(例えば、カルシウム塩を溶解する場合には胃中)の双方での液体製品の凝固を防止し、製品中に可溶性又は不溶性カルシウムを含めた場合でさえ、胃中での消化過程を与え、かくして、食物を必要とする糖尿病患者における、特にそれらの患者が自身にインスリンを既に投与されている場合における、低血糖症の発生を予防する。このような低メトキシル化ペクチンは当技術分野で周知である。このような製品は、ウロン酸供給源を、好ましくは、2〜20の重合度を有するOSの形態で含有する。
【0045】
ペクチンそれ自体(多糖として、DP>20を有する)の使用、特に低メトキシル化ペクチンの使用は、これらが、胃内で固体マトリックスを形成し、上述の理由により糖尿病患者にとって望ましくない胃不全麻痺に至る傾向があるので、最大に回避すべきである。一般に、マトリックスを形成する繊維の使用は、胃内でマトリックスが形成され、例えば飽満感を提供するような程度を避けるべきである。
【0046】
それゆえ、本発明は、インスリン抵抗性を改善するための、食後グリセミックディップを予防するための、及び/又は製品の消費後72時間以内に摂取される食事の食後グルコース応答を低減するための前記栄養製品又は医薬品の製造における、マトリックス形成性繊維不在下、詳細には(加水分解されていない)ペクチン不在下、より詳細には低メトキシル化ペクチン不在下での450Da〜3700Daの分子量を有する非消化性オリゴ糖の使用に関する。「不在下(in the absence of)」は、マトリックスの形成、胃不全麻痺及び/又は低血糖症を誘導するペクチンが本質的に胃内に存在しないこと、又は低量しか存在しないことを意味する。
【0047】
効果的であるために消費すべき栄養性繊維の量は、一食単位に当り少なくとも3g、好ましくは一食単位当り4〜40g、より好ましくは一食単位当り5〜20gである。本発明の非消化性OSの量は、一食単位当り1〜30g、好ましくは一食単位当り2〜20g、最も好ましくは一食単位当り3〜12gの量で投与できる。
【0048】
好ましくは、このような一食単位は、最大250kcal(1050kJ)を提供すべきであり、かくして、少なくとも1.2g/100kcal(0.29g/100kJ)、好ましくは1.7g/100kcal〜419g/100kcal(0.4g/100kJ〜100g/100kJ)、より好ましくは2.1g/100kcal〜335g/100kcal(0.48g/100kJ〜80g/100kJ)、最も好ましくは2.0g/100kcal〜251g/100kcal(0.6g/100kJ〜60g/100kJ)の栄養性繊維量につながる。
【0049】
前記栄養性繊維中の非消化性オリゴ糖の量は、好ましくは少なくとも0.24g/100kcal(0.06g/100kJ)、より好ましくは少なくとも0.36g/100kcal(0.09g/100kJ)、より好ましくは少なくとも0.60g/100kcal(0.14g/100kJ)、特に少なくとも1.18g/100kcal(0.28g/100kJ)から80g/100kcal(19g/100kJ)、好ましくは25g/100kcal(6g/100kJ)まで、より好ましくは16.8g/100kcal(4g/100kJ)までである。好ましい範囲は、かくして、0.36g/100kcal〜80g/100kcal(0.09g/100kJ〜19g/100kJ)、最も好ましくは0.60g/100kcal〜25g/100kcal(0.14g/100kJ〜6g/100kJ)である。
【0050】
製品中のエネルギー供給成分は、消化性の炭水化物、タンパク質及び脂質であってよい。製品は、少なくとも消化性の炭水化物又はタンパク質を、或いは双方を含むことが好ましい。したがって、本出願において、エネルギー量は、消化性の炭水化物、並びに存在するならタンパク質及び脂質画分によって提供されるエネルギーに基づいて計算される。
【0051】
繊維の量は、典型的には、消化性の炭水化物画分の重量に対して少なくとも15wt%、消化性炭水化物の好ましくは20〜400wt%、より好ましくは30〜200wt%である。前に定義したような非消化性オリゴ糖の量は、消化性炭水化物の好ましくは少なくとも8wt%。好ましくは15〜150wt%、最も好ましくは25〜125wt%である。
【0052】
それゆえ、100kcal(418kJ)を含む本発明による典型的な組成物は、次のものを含むことができる:
・0〜13g、好ましくは1〜11g、より好ましくは1〜10g、最も好ましくは3〜9gの消化性炭水化物;
・0〜22.5g、好ましくは2〜20g、最も好ましくは4〜17.5gのタンパク質(タンパク質及び消化性炭水化物の総量は少なくとも15g);及び
・0〜5g、好ましくは0.1〜4gの脂質。
【0053】
しかし、特殊な事例では、エネルギー含有量を、もっぱら、消化性炭水化物又はタンパク質のいずれかによって供給できる。さらに、100kcalの組成物は、好ましくは2.5〜25gのオリゴ糖を含有する。単位投与量は、これらの100kcalでよいが、より低い又はより高い量、例えば、50kcal、75kcal、125kcal、150cal又は200kcalも十分適切である。既に言及したように、一食単位としての単位投与量は、好ましくは、一食当たり250kcalを超えるべきではない。
【0054】
本発明のオリゴ糖は、有益には、消化性炭水化物画分を含有する食物製品中に含められる。迅速に入手(rapidly available)できる炭水化物の摂取は、肥満問題の一因となると推測されるが、本発明者らは、この製品中の迅速に入手できる炭水化物の量は、好ましくは、製品中の消化性炭水化物画分の45wt%を超えるべきであると考える。
【0055】
このような迅速に入手でき、且つ容易に消化できる炭水化物の例が、グルコース、又はグルコースシロップ、マルトデキストリン及び易消化性デンプン、並びにスクロース、ラクトース及びガラクトースからなる群から選択されるグルコースポリマーなどのグルコース前駆体である。好ましくは、ラクトースは、消化性炭水化物画分の少なくとも2wt%、好ましくは4〜80wt%、最も好ましくは8〜65wt%を占める。
【0056】
さらに、低い血糖応答のみならず長期のグルコース供給につながる低血糖性炭水化物であるパラチノース(イソマルチュロース)のような徐々に利用できる炭水化物を含めることも有利である。好ましくは、パラチノースは、消化性炭水化物画分の少なくとも2wt%、好ましくは4〜80wt%、最も好ましくは8〜65wt%を占める。
【0057】
好ましくは、消化性炭水化物の総量は、有利には、50エネルギーパーセント(En%、kJ/100kJ)未満、好ましくは44%未満、より好ましくは4〜40En%、最も好ましくは12〜36En%である。ラベリングに関する規制に従いながら、消化性の炭水化物、脂質及びタンパク質にはアトウォーター定数を使用し、繊維又は他の食物構成成分は零エネルギーと考える、製品中のエネルギー含有量への寄与は、当技術分野で周知である。
【0058】
本発明によるオリゴ糖は、有益には、タンパク質画分を含有する食物製品中に含められる。適切なタンパク質は、食物製品中で一般的に認められているものである。好ましい実施形態において、タンパク質画分は、タンパク質、消化性炭水化物及び脂質によって提供されるような、製品のエネルギー含有量に関して0〜90En%、より好ましくは20〜80En%、最も好ましくは40〜70En%に相当する。
【0059】
脂質及び微量成分等の、含めることのできる他の食物構成成分の本質及び濃度は、当業者が、意図された使用者の特定の必要性に基づいて選択することができる。脂質画分は、存在するなら、製品の1〜40En%、好ましくは10〜30En%、特に24En%未満に相当する。
【0060】
一実施形態において、本発明は、また、繊維画分及び消化性炭水化物画分、並びにタンパク質及び/又は脂質画分を含有する栄養組成物に関するものであり、ここで、該繊維画分は、450Da〜3700Daの分子量を有し、且つ60wt%を超えるガラクトース単位を含むオリゴ糖を36wt%を超えて含有し、該オリゴ糖の含有量は、消化性炭水化物及び存在する場合にはタンパク質及び脂質画分によって提供される0.24g/100kcal〜16.8g/100kcal(0.06g/100kJ〜40g/100kJ)であり、かつ消化性炭水化物の量が、100kJ当り50kJ(50En%)未満である。
【0061】
さらに、本発明によるOSは、有利には、1種又は複数の活性成分を含む医薬品中に含めることもできる。この場合、活性成分の効果が支援され、このことが、より少ない活性成分が必要とされることを確実にし、副作用の量を低減する。加えて、本発明によるOSは、活性成分を安定化する優れたベヒクル又は賦形剤を提供する。
【0062】
詳細には、本発明によるOS、並びにインスリン、DPP−IV阻害薬、チアゾリジンジオン又はPPAR−γアゴニスト、スルホニル尿素化合物、メグリチニド及びビグアニジン、スタチン、及びアセチルコリンエステラーゼ阻害薬などの糖尿病の治療で有効である活性成分を含む粉剤を調製することができる。適切なビグアニジン化合物の例が、メトフォルミンであり;チアゾリジンジオン化合物の例が、ピオグリタゾン、トログリタゾン及びロシグリタゾンであり;メグリチミド(meglitimide)化合物の例が、レパルリミド(repaglimide)及びナテグリミド(nateglimide)であり;スルホニル尿素化合物の例が、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピジド(glimepizide)、グリベンクラミド及びグリブジド(glubuzide)であり;DPP−IV阻害薬の例が、サキサグリプチン、シタグリプチン及びビルダグリプチンである。適切なスタチンの例が、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン及びシムバスタチンである。適切なコリンエステラーセ阻害薬の例が、可逆阻害薬である。これらには、フィゾスチグミン、ネオスチグミン、ピリドスチグミン、リバスチグミン、アンベノニウム及びデマルカリウム(demarcarium)などのカルバメート誘導体、ガランタミド(galantamide)のようなフェナントレン誘導体、ドネペシルのようなピペリジン類、及びメトリフォネートのようないくつかの有機リン化合物が含まれる。好ましくは、活性成分は、インスリン、ビグアニジン、スタチン、及びアセチルコリンエステラーゼ阻害薬からなる群から選択される。
【0063】
このような活性成分は、製剤中に、単一の活性成分として投与される場合よりも低い濃度で含められることができ、それでも、有益な効果をもたらす。詳細には、投与量は、なお同一の有益な効果を提供しながらも、典型的には、40%超より少なくてよい。これにより、長期使用の際の効力低下を含む当技術分野で周知である副作用を低減する。典型的な投与量は、活性成分によって変化するが、投与量は、典型的には、インスリンを除き、一食単位当り0.01〜20mgの範囲である。
【0064】
このような粉剤は、適切には液体中に溶解される、しかし、タンパク質、脂質及び消化性炭水化物の濃度は、投与される溶液におけるエネルギー量が19kcal/100ml(80kJ/100ml)未満である低い濃度である。したがって、本発明は、このような乾燥製剤又は溶液に関する。詳細には、本発明は、繊維画分及び消化性炭水化物画分、並びにタンパク質及び/又は脂質画分を含有する乾燥製剤に関するものであり、ここで、該繊維画分は、450Da〜3700Daの分子量を有し、且つ60wt%を超えるガラクトース単位を含むオリゴ糖を36wt%を超えて含有し、該オリゴ糖の含有量は、消化性炭水化物及び存在する場合はタンパク質及び脂質画分によって提供される0.24g/100kcal〜16.8g/100kcal(0.06g/100kJ〜40g/100kJ)であり、消化性炭水化物の量は、100kJ当り50kJ(50En%)未満である。
【0065】
OS又はこれらを含有する製品は、規則的な食事に先立って、前に示したような投与量レベルで投与することができる。OSは、個々の食事の30分〜5時間前、好ましくは1時間〜3時間前に投与することができる。OSは、1日に1回〜数回、好ましくは主な食事に少なくとも先立って投与することができる。驚くべきことに、OSは、また、個々の食事の48時間前まで、或いはさらには72時間前まででも長期効果を有することが見い出された。それゆえ、OSは、また、低血糖症に対して単発的な予防介入のために1回、或いは2日又は3日に1回投与することができる。本発明は、さらに、OSを食事前の分離された別個の投与として、又は完全な食事の一部として与える実施形態に関する。それゆえ、OSを完全な食事の一部として投与するなら、本発明は、また、72時間以内での、同一の完全な食事の反復的及び逐次的投与に関する。
[実施例]
【実施例1】
【0066】
糖尿病児童におけるグリセミックディップを低減するための夜間製剤として使用するのに適した栄養バー
重量が約25gの幼児用バーを、次のものから製造した:
・約8.5gのタンパク質(乳タンパク質及び大豆タンパク質)(34kcal)
・約4gのカットした干しブドウ/アンズのブレンド(約2.0gの消化性炭水化物を提供する)(8kcal)
・約4gのグルコースシロップ(16kcal)
・約1gの脂質(約50mgのドコサヘキサエン酸を含む)(9kcal)
・約4gのガラクト−オリゴ糖(約1.5gの乳糖を提供する成分)(6kcal乳糖)
・約1gのビタミン/ミネラルのブレンド(少なくとも、ビオチン、ビタミンB6、ビタミンB12及び亜鉛を提供する)。
マスバランスは、バー中の水分/水で構成される。
【実施例2】
【0067】
ディナーを食べる前の製品として使用するのに適した製品
1000kg当り以下を混合することによって調製したアミューズ:
・約300kgの混合タンパク質供給源(乳タンパク質及び肉粉)、(約87wt%のタンパク質、約8wt%の脂質、及び3wt%の炭水化物を含み、残りは灰分である)
・約100kgの粉砕乾燥エンドウ(約20wt%のタンパク質、約80wt%の消化性炭水化物を提供する)
・約80kgのガラクト−オリゴ糖(約10kgの乳糖を含む)
・約10kgの低メトキシル化ペクチン加水分解物
・約50kgの脂質(レシチンを含む)
・約80kgのデキストリン
・約30kgのテクスチャライザー
・約50kgの食塩、ハーブ及び着香料
・約1kgのビタミン/ミネラルのブレンド
・約1kgの酸化防止剤及び着色料。
残りは、1000kgにするための水である。
乾燥成分を溶解した後、ペーストを調製し、それを、10〜500gの適切な単位の大きさで包装する。
【実施例3】
【0068】
糖尿病患者用の流動食(sip feed)として使用するのに適した製品
エネルギー:87kcal/100ml(360kJ/100ml)
該製品は100ml当り以下を含有する:
・約6gタンパク質(乳タンパク質及びエンドウタンパク質)(24kcal)
・約3gの脂質(20魚油/40ナタネ油/20コーン油/20MCT)(27kcal)
・約9gの消化性炭水化物(約15wt%の乳糖/約85wt%のグルコースオリゴマー)(36kcal)
・2gの繊維(約60wt%のガラクト−、アラビノース−又はキシロース−オリゴマー、約40wt%の耐性デンプン)
・微量成分(ミネラル、ビタミン、微量元素、着香料、着色料など)。
【実施例4】
【0069】
糖尿病患者用の流動食として適した第2のよりエネルギーに富む製品
エネルギー:100kcal/100ml(420kJ/100ml)
該製品は100ml当り以下を含有する:
・約4.9gタンパク質(α−ラクトアルブミン強化乳清及び大豆タンパク質)(20kcal)
・約3.8gの脂質(ナタネ油、ヒマワリ油及び魚油の混合物)(34kcal)
・約11.7gの消化性炭水化物(約30wt%乳糖/約38wt%のパラチノース/約27wt%のクリアゴム/約5%のグルコースなど)(46kcal)
・約2gの繊維(約50wt%のガラクト−オリゴマー、セルロースと耐性デキストリンと耐性デンプンとの混合物)
・微量成分(ミネラル、ビタミン、微量元素、着香料、着色料など)。
【実施例5】
【0070】
糖尿病患者用の流動食として適した第3のよりエネルギーに富む製品
エネルギー:100kcal/100ml(420kJ/100ml)
該製品は100ml当り以下を含有する:
・約4.9gタンパク質(α−ラクトアルブミン強化乳清及び大豆タンパク質)(20kcal)
・約3.8gの脂質(ナタネ油、ヒマワリ油及び魚油の混合物)(34kcal)
・約11.6gの消化性炭水化物(約13wt%の乳糖/約87wt%の、パラチノースとクリアゴムとグルコースとの混合物)(46kcal)
・約2gの繊維(約50wt%のガラクト−オリゴマー、セルロースと耐性デキストリンと耐性デンプンとの混合物)
・微量成分(ミネラル、ビタミン、微量元素、着香料、着色料など)。
【実施例6】
【0071】
糖尿病患者における朝高血糖症を低減するために朝に使用するのに適した製品
エネルギー:60kcal/100ml(250kJ/100ml)
該製品は100ml当り以下を含有する:
・約10gタンパク質(乳タンパク質)(40kcal)
・約5gの消化性炭水化物(約15wt%の乳糖/約85wt%のグルコースオリゴマー)(20kcal)
・約10gの繊維(約60wt%のガラクト−オリゴマー、約20wt%のペクチン、約20wt%の耐性デンプン)
・微量成分(ミネラル、ビタミン、微量元素、着香料、着色料など)。
【0072】
(実験)
健常成熟雄性ウィスターラット(n=7)を使用した動物実験において、インスリン感受性の改善を、投与されたガラクト−OS繊維(GOS)の「2日目効果」として観察した。
【0073】
1日目に、胃カニューレを経由して動物にガラクト−OS繊維(GOS)負荷を与えた。繊維を水に溶解し、それら動物の1日当たり繊維摂取量の50%に等しい6mlのボーラス負荷を投与した。約24時間後(2日目)に経口グルコース負荷試験を実施し、食後のグルコース及びインスリン推移を、炭水化物負荷(2gのマルトデキストリン/kg体重)を胃内に注入して120分間モニターした。このために、血液検体を頚静脈カニューレ経由で繰り返し抜き取った。
【0074】
1日目の水及びセルロース水溶液の胃内注入を対照とした。GOS繊維調合物が、50%の消化性炭水化物からなるので、これを補正するために、2つの対照注入物を炭水化物と同時投与した。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1及び2は、グルコース及びインスリンの血漿中濃度の食後推移を、3種の事前処置のそれぞれについてそれぞれ描いた図である。
【図2】図1及び2は、グルコース及びインスリンの血漿中濃度の食後推移を、3種の事前処置のそれぞれについてそれぞれ描いた図である。
【0076】
食後の血漿中グルコースの推移は、3種の事前処置の間で相違しない(図1)。対照的に、ガラクト−OS繊維(GOS)での事前処置は、インスリン分泌量を明らかに低下させ(図2)、有意(p<0.05)により低増加性のAUC値をもたらす。計算されたマツダ(Matsuda)指数、インスリン感受性の指数は、それゆえ、ガラクト−OSでの事前処置で増大する(図3)。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン抵抗性の改善、食後グリセミックディップの予防、及び/又は栄養製品若しくは医薬品の摂取後72時間以内に摂取される食事の食後グルコース応答の低減のための前記栄養製品若しくは医薬品の製造における、450〜3700Daの分子量を有する非消化性オリゴ糖の使用。
【請求項2】
オリゴ糖が、ガラクトース単位、キシロース単位、アラビノース単位、及びこれらの混合物からなる群から選択される単位を60wt%超えて含有し、並びに任意選択で、グルコース単位、マンノース単位、及びこれらの混合物からなる群から選択される単位を10wt%超えて含有する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
オリゴ糖が、60wt%を超えるガラクトース単位、さらにより好ましくは70〜100wt%のガラクトース単位、最も好ましくは73〜90wt%のガラクトース単位を含有し、かつ残りの糖単位が、好ましくは10wt%を超えるグルコース単位である、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
非消化性オリゴ糖が、一食単位当たり2〜20gの量で投与される、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
オリゴ糖が、食事の48時間前までに、特に24時間前までに、特に12時間前までに、特に5時間前までに、特に食事の30分〜5時間前に、特に食事の1時間〜5時間前に、特に食事の2時間〜5時間前に、特に食事の3時間〜5時間前に摂取される、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
製品が、消化性炭水化物画分、並びに任意選択で脂質画分及びタンパク質画分を含有し、かつ少なくとも1.2g/100kcal(0.29g/100kJ)の栄養性繊維を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
消化性炭水化物画分が、製品中で50En%未満であり、かつグルコース、グルコースシロップ、マルトデキストリン及び消化性デンプンからなる群から選択される易消化性グルコース供給源を45wt%を超えて含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
ペクチン不在下での、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
繊維画分、消化性炭水化物画分、及びタンパク質及び/又は脂質画分を含有する栄養組成物であって、前記繊維画分が、450Da〜3700Daの分子量を有し、かつ60wt%を超えるガラクトース単位を含むオリゴ糖を36wt%を超えて含有し、且つ前記オリゴ糖の含有量が、消化性炭水化物、及び存在する場合にはタンパク質及び脂質画分によって提供される0.24g/100kcal〜16.8g/100kcal(0.06g/100kJ〜40g/100kJ)であり、且つ消化性炭水化物の量が100kJ当り50kJ(50En%)未満である、栄養組成物。
【請求項10】
100kJ当りの消化性炭水化物の量が4〜50kJであり、タンパク質の量が20〜80kJであり、且つ脂質の量が24kJ未満である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
インスリン、ビグアニジン類、スタチン類、及びアセチルコリンエステラーゼ阻害薬からなる群から選択される1又は複数の活性成分を含有する、請求項9〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
インスリン抵抗性の改善、食後グリセミックディップの予防、及び/又は製品の摂取後72時間以内に摂取される食事の食後グルコース応答を低減させるために使用する、450〜3700Daの分子量を有する非消化性オリゴ糖。
【請求項13】
インスリン抵抗性の改善、食後グリセミックディップの予防、及び/又は製品の摂取後72時間以内に摂取される食事の食後グルコース応答を低減させるための方法であって、450〜3700Daの分子量を有する非消化性オリゴ糖の有効量を投与することを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−515665(P2010−515665A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536179(P2009−536179)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【国際出願番号】PCT/NL2007/050530
【国際公開番号】WO2008/054211
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(505296821)エヌ.ブイ.・ヌートリシア (32)
【Fターム(参考)】