説明

糖尿病の診断バイオマーカー

糖尿病前症状態及び顕性II型糖尿病であると診断された患者のPBMCにおいて示差的に発現される遺伝子セットの同定のための方法が開示される。患者における糖尿病状態を正確に予測するために、3つの遺伝子及び10個の遺伝子サインを示す。本出願はまた、ポイントオブケア施設における糖尿病状態の迅速な診断のためのキットも記載する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔出願の分野〕
本出願は、医療診断の分野に関し、患者における糖尿病状態のポイントオブケア診断のための方法及びキットを記述する。
【0002】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、米国特許仮出願第60/987,540号(2007年11月13日出願)からの優先権を主張し、これにより本出願にその全体が組み込まれる。
【0003】
〔発明の背景〕
糖尿病は、インスリン産生、インスリン活性、又はその両方における欠陥の結果による高濃度の血中グルコースによって特徴付けられる一群の病気である。未処置のまま放置されると、低血糖症、ケトアシドーシス又は非ケトン性高浸透圧性昏睡の症状を含む多くの重篤な短期合併症を生じる恐れがある。長期では、糖尿病は、動脈硬化症、慢性腎不全、網膜障害(失明など)、神経損傷及び微小血管損傷の危険性の増加を引き起こすことが知られている。
【0004】
発展しつつある世界における糖尿病の流行的広がりは、米国におけるヘルスケアシステムに重大な影響を及ぼすと予想される。米国疾病管理予防センター(the Center for Disease Control and Prevention)による近年の研究は、米国において過去10年間でほぼ2倍の新規糖尿病症例が発生していることを示している。2007年時点で、米国内で少なくとも5700万人が糖尿病前症を有する。既に糖尿病にかかっているほぼ2400万人と合わせると、これは、米国人口の25%超をこの病気からの更なる合併症に対する危険性にさらすことになる。米国糖尿病学会によれば、2007年における米国内の糖尿病の推定コストは、1740億ドルにのぼり、直接医療コストはほぼ1160億ドルである。
【0005】
糖尿病の原因は、本来は多因子であると思われるが、増えつつある実験的証拠は、肥満、特に腹部肥満の発症が免疫及び代謝ホメオスタシスを乱し、最終的に広範な炎症反応に導くことを示唆している。TNF−αなどの、脂肪組織における炎症性サイトカインの産生は、その後、免疫反応、及び、細胞のインスリンに対して反応する能力を調節解除する。それゆえに、単球及びマクロファージなどの循環している免疫細胞の転写プロファイルの変化の検出は、グルコース不耐性の更に顕著な兆候が明らかになる前に、疾患を診断し、その進行をモニターするための便利な手段を提供する。
【0006】
このような理由から、糖尿病の進行の危険性にさらされている患者の診断及びモニタリングのための迅速かつ正確な診断アッセイに対して、未達成の必要性が存在する。特に、早期発症型糖尿病に関する患者のルーチンスクリーニングのためのポイントオブケア施設において容易に使用できるキットフォーマットでの診断アッセイに対して、未達成の必要性が存在する。
【0007】
〔出願の概要〕
糖尿病前症及び糖尿病状態の特徴である遺伝子サイン発現プロファイルの判定のための方法が記載される。本開示は、更に、患者の血液試料における遺伝子サイン発現プロファイルの迅速な測定のための試薬を含む診断キットに関する。このキットフォーマットは、費用対効果に優れ、ポイントオブケア施設での使用に便利である。
【0008】
1つの実施形態では、患者における真性糖尿病の診断のための方法が記載され、この方法は、(a)患者から採取された試験試料を提供する工程、(b)TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子の群から選択される遺伝子を含む遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルを測定する工程、(c)遺伝子発現プロファイルを遺伝子サインの診断用遺伝子発現プロファイルと比較する工程、(d)遺伝子発現プロファイルと診断用遺伝子発現プロファイルとの間の実質的な一致に少なくとも部分的に基づいて患者における糖尿病状態を判定する工程と、(e)判定を医療専門家に表示する工程と、を含む。
【0009】
判定工程は、遺伝子発現シグナルの線形結合、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、線形判別分析(LDA)モデル、最近接モデル及びマイクロアレイの予測分析(PAM)の群から選択される1つ以上のアルゴリズムを実行するコンピュータシステムにより、遂行することができる。判定工程はまた、患者の代謝病プロファイルの分析を更に含むことができる。
【0010】
遺伝子サインは、TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子の群から選択される任意の2つの遺伝子又は3つ全ての遺伝子を含むことができる。1つの実施形態では、遺伝子サインは、TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子の群から選択される1つ以上の遺伝子と、表1又は6に列挙される遺伝子から選択される1つ以上の遺伝子と、を含むことができる。
【0011】
患者は、正常なBMIを有し得る。糖尿病状態は、糖尿病前症状態又は2型糖尿病状態であり得る。
【0012】
試験試料は、血液試料、又は、PBMC若しくはCD11c若しくはCD11b若しくはEmr若しくは[CD11bCD11c]若しくは[EmrCD11b]若しくは[EmrCD11c]若しくは[EmrCD11bCD11c]細胞若しくはCD14単球を含有する試験試料であり得る。
【0013】
測定工程は、リアルタイムPCR、免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを伴うことができる。
【0014】
別の実施形態では、患者における真性糖尿病の診断のための方法が記載され、この方法は、(a)患者から採取された試験試料を提供する工程、(b)TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される遺伝子を含む遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルを測定する工程、(c)遺伝子発現プロファイルを遺伝子サインの診断用遺伝子発現プロファイルと比較する工程、(d)遺伝子発現プロファイルと診断用遺伝子発現プロファイルとの間の実質的な一致に少なくとも部分的に基づいて患者における糖尿病状態を判定する工程と、(e)判定を医療専門家に表示する工程と、を含む。
【0015】
判定工程は、遺伝子発現シグナルの線形結合、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、線形判別分析(LDA)モデル、最近接モデル及びマイクロアレイの予測分析(PAM)の群から選択される1つ以上のアルゴリズムを実行するコンピュータシステムにより、遂行することができる。判定工程はまた、患者の代謝病プロファイルの分析を更に含むことができる。
【0016】
遺伝子サインは、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される任意の2つの遺伝子又は任意の3つの遺伝子を含むことができる。1つの態様では、遺伝子サインは、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子を含む。1つの態様では、遺伝子サインは、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される少なくとも1つの遺伝子に加えて、TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子を含む。別の態様では、遺伝子サインは、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される1つ以上の遺伝子と、表1又は6に列挙される遺伝子から選択される1つ以上の遺伝子と、を含む。
【0017】
患者は、正常なBMIを有し得る。糖尿病状態は、糖尿病前症状態又は2型糖尿病状態であり得る。
【0018】
試験試料は、血液試料、又は、PBMC若しくはCD11c若しくはCD11b若しくはEmr若しくは[CD11bCD11c]若しくは[EmrCD11b]若しくは[EmrCD11c]若しくは[EmrCD11bCD11c]細胞若しくはCD14単球を含有する試験試料であり得る。
【0019】
測定工程は、リアルタイムPCR、免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを伴うことができる。
【0020】
1つの実施形態では、患者における真性糖尿病の診断のための方法が記載され、この方法は、(a)患者から採取された試験試料を提供する工程、(b)TCF7L2及びCLC遺伝子を含む遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルを測定する工程、(c)遺伝子発現プロファイルを遺伝子サインの診断用遺伝子発現プロファイルと比較する工程、(d)遺伝子発現プロファイルと診断用遺伝子発現プロファイルとの間の実質的な一致に少なくとも部分的に基づいて患者における糖尿病状態を判定する工程と、(e)判定を医療専門家に表示する工程と、を含む。
【0021】
判定工程は、遺伝子発現シグナルの線形結合、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、線形判別分析(LDA)モデル、最近接モデル及びマイクロアレイの予測分析(PAM)の群から選択される1つ以上のアルゴリズムを実行するコンピュータシステムにより、遂行することができる。判定工程はまた、患者の代謝病プロファイルの分析も含むことができる。
【0022】
遺伝子サインは、TCF7L2又はCLCのいずれかの遺伝子を含むことができる。1つの態様では、遺伝子サインは、TCF7L2又はCLC遺伝子の1つ以上の変異型を含む。1つの態様では、遺伝子サインは、TCF7L2又はCLCのいずれかの遺伝子と、表1又は6に列挙される遺伝子から選択される1つ以上の遺伝子と、を含む。
【0023】
患者は、正常なBMIを有し得る。糖尿病状態は、糖尿病前症状態又は2型糖尿病状態であり得る。
【0024】
試験試料は、血液試料、又は、PBMC若しくはCD11c若しくはCD11b若しくはEmr若しくは[CD11bCD11c]若しくは[EmrCD11b]若しくは[EmrCD11c]若しくは[EmrCD11bCD11c]細胞若しくはCD14単球を含有する試験試料であり得る。
【0025】
測定工程は、リアルタイムPCR、免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを伴うことができる。
【0026】
1つの実施形態では、(a)第一時点で患者から採取された第一試験試料を準備する工程、(b)第一試験試料におけるTOP1、CD24及びSTAP1遺伝子の群から選択される遺伝子を含む遺伝子サインの第一発現プロファイルを測定する工程、(c)第二時点で患者から採取された第二試験試料を提供する工程、(d)第二試験試料における遺伝子サインの第二発現プロファイルを測定する工程、(e)第一発現プロファイルを第二発現プロファイルと比較する工程、(f)第一遺伝子発現プロファイルと第二遺伝子発現プロファイルとの間の実質的な差異に少なくとも部分的に基づいて患者における糖尿病状態の変化を判定する工程と、(g)判定を医療専門家に表示する工程と、を含む、患者の糖尿病状態における変化を診断するための方法が記載される。
【0027】
1つの態様では、判定工程は、遺伝子発現シグナルの線形結合、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、線形判別分析(LDA)モデル、最近接モデル及びマイクロアレイの予測分析(PAM)の群から選択される1つ以上のアルゴリズムを実行するコンピュータシステムにより、遂行される。別の態様では、判定工程はまた、患者の代謝病プロファイルの分析も含む。
【0028】
遺伝子サインは、TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子の群から選択される任意の2つの遺伝子を含むことができる。1つの態様では、遺伝子サインは、TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子を含む。別の態様では、遺伝子サインは、TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子の群から選択される1つの遺伝子と、表1又は6に列挙される遺伝子から選択される1つ以上の遺伝子と、を含む。
【0029】
1つの態様では、第一時点と第二時点との間の期間は、0〜2年又は1/4〜2年又は1/2〜2年又は2〜5年又は5〜10年若しくはそれ以上である。
【0030】
糖尿病状態における変化は、糖尿病前症状態又はII型糖尿病状態への進行を示すことができる。1つの態様では、第一時点の患者は、正常なBMIを有する。
【0031】
第一及び第二試験試料は、血液試料であり得る。1つの態様では、第一及び第二試験試料は、PBMC若しくはCD11c若しくはCD11b若しくはEmr若しくは[CD11bCD11c]若しくは[EmrCD11b]若しくは[EmrCD11c]若しくは[EmrCD11bCD11c]細胞若しくはCD14単球を含有する試験試料であり得る。
【0032】
測定工程は、リアルタイムPCR、免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを伴うことができる。
【0033】
1つの実施形態では、(a)第一時点で患者から採取された第一試験試料を提供する工程、(b)第一試験試料におけるTULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される遺伝子を含む遺伝子サインの第一発現プロファイルを測定する工程、(c)第二時点で患者から採取された第二試験試料を準備する工程、(d)第二試験試料における遺伝子サインの第二発現プロファイルを測定する工程、(e)第一発現プロファイルを第二発現プロファイルと比較する工程、(f)第一遺伝子発現プロファイルと第二遺伝子発現プロファイルとの間の実質的な差異に少なくとも部分的に基づいて患者における糖尿病状態の変化を判定する工程と、(g)判定を医療専門家に表示する工程と、を含む、患者の糖尿病状態における変化を診断するための方法が記載される。
【0034】
1つの態様では、判定工程は、遺伝子発現シグナルの線形結合、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、線形判別分析(LDA)モデル、最近接モデル及びマイクロアレイの予測分析(PAM)の群から選択される1つ以上のアルゴリズムを実行するコンピュータシステムにより、遂行される。別の態様では、判定工程はまた、患者の代謝病プロファイルの分析を更に含む。
【0035】
遺伝子サインは、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される任意の2つの遺伝子を含むことができる。別の態様では、遺伝子サインは、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される任意の3つの遺伝子を含む。1つの態様では、遺伝子サインは、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子を含む。別の態様では、遺伝子サインは、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される1つ以上の遺伝子と、表1又は6に列挙される遺伝子から選択される1つ以上の遺伝子と、を含む。
【0036】
1つの態様では、第一時点と第二時点との間の期間は、0〜2年又は1/4〜2年又は1/2〜2年又は2〜5年又は5〜10年又はそれ以上である。
【0037】
糖尿病状態における変化は、糖尿病前症状態又はII型糖尿病状態への進行を示すことができる。1つの態様では、第一時点の患者は、正常なBMIを有する。
【0038】
第一及び第二試験試料は、血液試料であり得る。1つの態様では、第一及び第二試験試料は、PBMC若しくはCD11c若しくはCD11b若しくはEmr若しくは[CD11bCD11c]若しくは[EmrCD11b]若しくは[EmrCD11c]若しくは[EmrCD11bCD11c]細胞若しくはCD14単球を含有する試験試料であり得る。
【0039】
測定工程は、リアルタイムPCR、免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを伴うことができる。
【0040】
別の実施形態では、患者の糖尿病に対する感受性を査定するためのキットが記載され、この査定は、試験装置により行われる。このキットは、(a)患者から試験試料を回収するための試薬と、(b)患者の試験試料におけるTCF7L2及びCLC遺伝子又はこれらの変異型を含む遺伝子サインの発現プロファイルを測定するための試薬と、を含む。
【0041】
工程(a)及び(b)の試薬は、複数回の試験に十分である。患者から試験試料を回収するための試薬は、滅菌容器の内にパッケージ化することができる。
【0042】
遺伝子サインは、TCF7L2及びCLC遺伝子の群から選択される1つ以上の遺伝子と、表1又は6の列挙から選択される1つ以上の遺伝子と、を含むことができる。
【0043】
試験試料は、血液試料であり得る。
【0044】
キットはまた、PBMCの単離のための試薬、又は、CD11c若しくはCD11b若しくはEmr若しくは[CD11bCD11c]若しくは[EmrCD11b]若しくは[EmrCD11c]若しくは[EmrCD11bCD11c]細胞の単離のための試薬、又は、CD14単球の単離のための試薬、を含むことができる。遺伝子サインの発現プロファイルを測定するための試薬は、リアルタイムPCR試薬、免疫化学的アッセイ試薬又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション用であり得る。
【0045】
別の実施形態では、患者の糖尿病に対する感受性を査定するためのキットが記載され、この査定は、試験装置により行われる。このキットは、(a)患者から試験試料を回収するための試薬と、(b)患者の試験試料におけるTOP1、CD24及びSTAP1遺伝子又はこれらの変異型を含む遺伝子サインの発現プロファイルを測定するための試薬と、を含む。
【0046】
遺伝子サインは、TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子の群から選択される任意の2つの遺伝子を含むことができる。別の態様では、遺伝子サインは、TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子の群から選択される1つ以上の遺伝子を含む。別の態様では、遺伝子サインは、TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子の群から選択される1つ以上の遺伝子と、表1又は6の遺伝子の列挙から選択される1つ以上の遺伝子と、を含む。
【0047】
工程(a)及び(b)の試薬は、複数回の試験に十分である。患者から試験試料を回収するための試薬は、滅菌容器の内にパッケージ化することができる。
【0048】
試験試料は、血液試料であり得る。
【0049】
キットはまた、PBMCの単離のための試薬、又は、CD11c若しくはCD11b若しくはEmr若しくは[CD11bCD11c]若しくは[EmrCD11b]若しくは[EmrCD11c]若しくは[EmrCD11bCD11c]細胞の単離のための試薬、又は、CD14単球の単離のための試薬、を含むことができる。遺伝子サインの発現プロファイルを測定するための試薬は、リアルタイムPCR試薬、免疫化学的アッセイ試薬又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション用であり得る。
【0050】
別の実施形態では、患者の糖尿病に対する感受性を査定するためのキットが記載され、この査定は、試験装置により行われる。このキットは、(a)患者から試験試料を回収するための試薬と、(b)患者の試験試料におけるTULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される遺伝子又はこれらの変異型の遺伝子サインの発現プロファイルを測定するための試薬と、を含む。
【0051】
1つの態様では、遺伝子サインは、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される1つ以上の遺伝子を含む。1つの態様では、遺伝子サインは、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される2つ以上の遺伝子を含む。1つの態様では、遺伝子サインは、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される3つ以上の遺伝子を含む。
【0052】
工程(a)及び(b)の試薬は、複数回の試験に十分である。患者から試験試料を回収するための試薬は、滅菌容器の内にパッケージ化することができる。
【0053】
遺伝子サインはまた、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子の群から選択される1つ以上の遺伝子と、表1又は6の遺伝子の列挙から選択される1つ以上の遺伝子と、を含むことができる。
【0054】
試験試料は、血液試料であり得る。
【0055】
キットはまた、PBMCの単離のための試薬、又は、CD11c若しくはCD11b若しくはEmr若しくは[CD11bCD11c]若しくは[EmrCD11b]若しくは[EmrCD11c]若しくは[EmrCD11bCD11c]細胞の単離のための試薬、又は、CD14単球の単離のための試薬、を含むことができる。遺伝子サインの発現プロファイルを測定するための試薬は、リアルタイムPCR試薬、免疫化学的アッセイ試薬又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション用であり得る。
【0056】
本出願は、この概要に開示される実施形態に限定されず、この分野における当業者の範囲内にある修正形態及び変形形態並びに「特許請求の範囲」により定義されるものを有効範囲とするという意図が、理解されるべきである。
【0057】
糖尿病前症状態の早期診断のため及び糖尿病の進行の危険性にさらされている患者又は既に糖尿病にかかっている患者のモニタリングのための新規遺伝子サインなどの、前述した実施形態は、多くの利点を有する。本開示はまた、ポイントオブケア施設での医療関係者による血液試料の費用対効果に優れかつ迅速な試験のための試薬及び使用説明書を有するキットも記載する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第一の実施形態による、OGTTと比較したCLC遺伝子のROC曲線解析。
【図2A】第二の実施形態による、OGTTと比較したTCF7L2のセット1のROC曲線解析。
【図2B】第三の実施形態による、FPGに対する、OGTT vs.FPGと比較したTCF7L2のセット1のROC曲線解析。
【図3】第四の実施形態による、CDKN1C遺伝子のROC曲線解析。
【図4A】第五の実施形態による、OGTTと比較した3つの遺伝子サインのROC曲線解析。
【図4B】第六の実施形態による、FPG vs.OGTTと比較した3つの遺伝子サインのROC曲線解析。
【図4C】第七の実施形態による、3つの遺伝子サインの平均発現の棒グラフ。
【図5A】第八の実施形態による、OGTTと比較した10個の遺伝子サインのROC曲線解析。
【図5B】第九の実施形態による、FPG vs.OGTTと比較した10個の遺伝子サインのROC曲線解析。
【図5C】第十の実施形態による、10個の遺伝子サインの平均発現の棒グラフ。
【0059】
〔詳細な説明〕
別段の規定がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。以下の定義は、本開示及び本出願の特許請求の範囲を解釈するのを助けるために提供される。このセクションでの定義と他所での定義とが一致しない場合には、このセクションに記載の定義が制御する。
【0060】
更には、本発明の実践は、特に指示がない限り、当該技術分野の範囲内で、従来の分子生物学的及び免疫学的技術を採用する。このような技術は、当業者に周知であり、文献で詳細に説明されている。例えば、コリガン(Colignan)、ダン(Dunn)、プロー(Ploegh)、スパイヘル(Speicher)及びウィングフィールド(Wingfield)「タンパク質科学の最新プロトコル(Current protocols in Protein Science)」(1999〜2008年、第I及びII巻、全ての補足も含む、ジョン・ワイリー&サンズ社(John Wiley & Sons Inc.))、並びに、ベイリー,J.E.(Bailey, J. E.)及びオリス,D.F.(Ollis, D. F.)「生物化学工学の基礎(Biochemical Engineering Fundamentals)」(マグローヒル・ブック社(McGraw-Hill Book Company)、ニューヨーク、1986年)、アウスベル(Ausubel)ら編「分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」(ジョン・ワイリー&サンズ社、ニューヨーク州ニューヨーク、1987〜2008年、全ての補足も含む)、サムブルック(Sambrook)ら編「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」(第二版、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク、1989年)、並びに、ハーロウ(Harlow)及びレイン(Lane)「抗体、実験室マニュアル(Antibodies, a Laboratory Manual)」(コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、1989年)を参照されたい。ROC解析は、トム・フォーセット(Tom Fawcett)による「ROC解析総論(An Introduction to ROC Analysis)」(パターン・レコグニション・レターズ(Pattern Recognition Letters)27巻、2006年、861〜874頁)にレビューされている。
【0061】
本明細書で使用するとき、「真性糖尿病」とは、高濃度の血中グルコース(高血糖症)により特徴付けられるあらゆる病気を指す。真性糖尿病は、以下のいずれか1つを実証することにより、診断される。126mg/dL(7.0mmol/L)以上の空腹時血漿グルコース濃度、又は、グルコース負荷試験若しくは高血糖症の症状などで75gの経口グルコース負荷の2時間後における200mg/dL(11.1mmol/L)以上の血漿グルコース、並びに、200mg/dL(11.1mmol/L)以上の随時血漿グルコース。
【0062】
本明細書で使用するとき、糖尿病とは、小児期発症型糖尿病、若年型糖尿病及びインスリン依存型糖尿病(IDDM)としても知られる「1型糖尿病」、又は、成人型糖尿病、肥満関連糖尿病及びインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)としても知られる「2型糖尿病」、又は、妊娠糖尿病、インスリン抵抗性1型糖尿病(すなわち「二重糖尿病」)、成人性潜伏型自己免疫性糖尿病(すなわち、LADA)、及び、30歳前に2型糖尿病として存在する強い家族歴を有する一群のいくつかの1つの遺伝子の(一遺伝子性)障害である若年発症成人型糖尿病(MODY)が挙げられる他の形態の糖尿病を指す。
【0063】
本明細書で使用するとき、「糖尿病状態」とは、糖尿病前症状態、糖尿病前症状態よりも進行した病気の段階により特徴付けられる糖尿病中間状態、及び、I型又はII型糖尿病などの本明細書に定義されるような顕性糖尿病を特徴付ける病気状態を指す。
【0064】
本明細書で使用するとき、「糖尿病前症状態」は、患者が空腹時グルコース濃度異常及びグルコース耐性異常を有するものである。空腹時グルコース異常は、100〜125mg/dL(6.1及び7.0mmol/L)の血中グルコース濃度として定義される、すなわち空腹時グルコース異常である。75gの経口グルコース負荷の2時間後に、140mg/dLすなわち7.8mmol/L以上であるが、200を超えない血漿グルコースを有する患者は、グルコース耐性異常を有すると考えられる。
【0065】
本明細書で使用するとき、「医療専門家」は、内科医又は訓練された医療技術者又はポイントオブケア施設における看護士である。
【0066】
「ポイントオブケア」施設は、病院内などの入院患者のいる所(inpatient location)、又は、診療所若しく立ち入り型クリニックなどの外来患者のいる所(outpatient location)であり得る。1つの実施形態では、診断アッセイは、血液試料における遺伝子サイン発現プロファイルの分析のための器具と共に、消費者に対して商業的なキットとして、流通させてもよい。別の実施形態では、商業的なキットは、血中グルコース濃度のモニタリングのための器具及び試薬と組み合わせてもよい。
【0067】
用語「血中グルコース濃度」とは、血中のグルコースの濃度を指す。正常血中グルコース濃度(正常血糖)は、およそ120mg/dlである。この値は、糖尿病でない場合には、最大30mg/dlで変動する。
【0068】
「高血糖症」(高血糖)の状況は、血中グルコース濃度が高過ぎる状況である。典型的には、高血糖症は、血中グルコース濃度が上昇して180mg/dlを超えるときに生じる。
【0069】
本明細書で使用するとき、「試験試料」は、糖尿病状態に反応して遺伝子を示差的に発現する細胞を含有する患者からの任意の生体試料である。この生体試料は、ヒトなどのアトピー性又は非アトピー性哺乳動物から単離される任意の生体材料であり得、血液、骨髄、血漿、血清、リンパ、脳脊髄液、又は、涙液、唾液若しくは乳液などの他の分泌液、組織若しくは器官の生検試料、又は培養細胞、の細胞構成成分が挙げられる。好ましくは、生体試料は、最小限の処置で患者から回収できる細胞試料である。好ましい実施形態では、試験試料は、血液試料、又は、PBMC(末梢血単核球細胞)若しくはCD14+単球若しくはCD11b+若しくはCD11c+若しくはEmr細胞の調製物である。
【0070】
哺乳動物はヒトであってもよく、あるいは、家畜、コンパニオンアニマル又は動物園動物であってもよい。本明細書で記載される診断ツールは、ヒトの医療処置での使用に好適であることが特に想到されるが、これらはまた、イヌ及びネコなどのコンパニオンアニマル、ウマ、ウシ及びヒツジなどの家畜、又は、非ヒト霊長類、ネコ科動物、イヌ科動物、ウシ科動物及び有蹄動物などの動物園動物、の獣医学的処置にも適用可能である。
【0071】
本明細書で記載するとき、用語「遺伝子発現」とは、遺伝子にコード化されている遺伝子情報を遺伝子の「転写」を通じて(例えば、RNAポリメラーゼの酵素反応を介して)RNA(例えば、mRNA、rRNA、tRNA又はsnRNA)に、タンパク質に関してはコード化遺伝子をmRNAの「翻訳」を通じてタンパク質に、変換するプロセスを指す。
【0072】
「遺伝子発現プロファイル」とは、生体試料において発現した少なくとも1つのヌクレオチド又はタンパク質の同定された発現レベルを指す。
【0073】
本明細書で使用するとき、用語「プライマー」とは、自然に発生する(例えば、制限断片として)か又は合成的に産生されたかのいずれかのオリゴヌクレオチドを指し、これは、ヌクレオチドと、DNA依存性及びRNA依存性ポリメラーゼなどの、核酸重合のための作用剤とが存在する中で好適な条件下(例えば、緩衝液、塩、温度及びpH)に置かれたときに、核酸ストランド(鋳型又は標的配列)に相補的であるプライマー伸長生成物の合成開始点として作用することができる。プライマーは、重合のための作用剤の存在する中で、伸長生成物の合成を準備刺激するのに十分に長くなければならない。典型的なプライマーは、標的配列に対して実質的に相補的な又は相同の配列の少なくとも約10ヌクレオチドの長さを含有するが、いくらかより長いプライマーが好ましい。通常のプライマーは、約15〜26ヌクレオチドを含有する。
【0074】
本明細書で使用するとき、「遺伝子サイン」とは、生体試料の一意的な識別子を提供する選択された遺伝子セットの遺伝子発現のパターンを指す。遺伝子サインは、選択された遺伝子セットの遺伝子発現のパターンが、糖尿病状態を有する患者から採取された参照試料における遺伝子サインに対する実質的な一致であるならば、糖尿病状態の特徴である。この出願の目的に関して、「遺伝子サイン」は、(遺伝子がタンパク質をコードする遺伝子であるならば)核酸又はポリペプチド配列の所定の組み合わせであり得る。遺伝子サインは、未知の機能を有する遺伝子、又は、rRNA、UsnRNA、microRNA又はtRNAが挙げられるが、これらに限定されないオープンリーディングフレームを有さない遺伝子を含み得る。
【0075】
本明細書で使用するとき、「診断用遺伝子発現プロファイル」とは、特定の病気状態と診断された患者から採取された生体試料における遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルを指す。病気状態は、糖尿病状態又は非糖尿病状態であり得る。患者からの試験遺伝子発現プロファイルと糖尿病状態を特徴付ける診断用遺伝子発現プロファイルとの間の「実質的な一致」は、患者が糖尿病状態を有することを示す。あるいは、患者からの試験遺伝子発現プロファイルと非糖尿病状態を特徴付ける診断用遺伝子発現プロファイルとの間の「実質的な一致」は、患者が糖尿病状態を有さないことを示す。
【0076】
本明細書で使用するとき、遺伝子の「変異型」とは、これらのDNA配列が一般的な野生型遺伝子の核酸配列と比較されるときに、その遺伝子に少なくとも約75%同一、より好ましくは、少なくとも約85%同一、最も好ましくは、少なくとも90%同一、更に好ましくは少なくとも約95〜99%同一、である遺伝子配列を意味する。1つの実施形態では、遺伝子の変異型は、点変異若しくは単一ヌクレオチド多型、欠損、挿入、再構成、スプライス供与若しくは受容部位変異、及び偽遺伝子の特徴を示す遺伝子変異が挙げられるが、これらに限定されない遺伝子のDNAは配列における1つ以上の変異を有する遺伝子である。本出願を通して、遺伝子は、暗黙的に、本明細書で記載されているように遺伝子の野生型及び変異型形態の両方を含む。
【0077】
本明細書で使用するとき、「実質的な一致」とは、定義された病気状態を有する患者から採取された参照試料における遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルとの、試験試料における遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルの比較を指す。発現プロファイルは、試験試料及び参照試料における遺伝子サインの発現が実質的に同一のレベルである、すなわち、試料の正規化後に試料間に統計的有意差が存在しない、ならば、「実質的に一致する」。1つの実施形態では、実質的に一致している発現プロファイルの信頼区間は、少なくとも約50%、又は約50%〜約75%、又は約75%〜約80%、又は約80%〜約85%、又は約85%〜約90%、又は約90%〜約95%である。好ましい実施形態では、実質的に一致している発現プロファイルの信頼区間は、約95%〜約100%である。別の好ましい実施形態では、実質的に一致している発現プロファイルの信頼区間は、約95%〜約100%の間の任意の数である。別の好ましい実施形態では、実質的に一致している発現プロファイルの信頼区間は、約95%又は約96%又は約97%又は約98%又は約99%又は約99.9%である。
【0078】
本明細書で使用するとき、「実質的な差異」とは、ある時点での遺伝子の遺伝子発現プロファイルと第二時点での同一の遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルとにおける差異を指す。発現プロファイルは、第一及び第二時点での遺伝子サインの発現が異なるレベルにある、すなわち、試料の正規化後に試料間に統計的有意差が存在する、ならば、「実質的に異なる」。1つの実施形態では、発現プロファイルは、第一及び第二時点での遺伝子サインの発現が計算された信頼区間の外側にあるならば、「実質的に異なる」。1つの実施形態では、実質的に異なる発現プロファイルの信頼区間は、約50%未満、又は約75%未満、又は約80%未満、又は約85%未満、又は約90%未満、又は約95%未満である。
【0079】
95%信頼区間CIは、AUC+1.96×AUCの標準誤差に等しい(式中、AUCは、ROC曲線の下の面積である)。
【0080】
本明細書で使用するとき、「ROC」とは、受信者動作特性、又は単にROC曲線を指し、これは、識別閾値が変動するような二元識別系のための、(1−特異度)に対する感度のグラフ表示である。
【0081】
本明細書で使用するとき、用語「診断」又は「診断する」とは、1つの糖尿病状態を別の糖尿病状態から区別する、又は、糖尿病状態が「正常」若しくは「非糖尿病」(非アトピー性)状態と比較して患者(アトピー性)に存在するかどうかを判定する、及び/又は、糖尿病状態の性質を判定する方法を指す。
【0082】
本明細書で使用するとき、「糖尿病状態を判定する」とは、糖尿病状態若しくは状況で患者を診断するのに、及び/又は、病気を分類するのに、有用である情報全ての統合を指す。この情報には、家族歴、ヒト遺伝子データ、BMI、身体活動性、代謝病プロファイル、及び、患者から採取された試験試料における1つ以上の遺伝子サインの発現プロファイルの統計分析の結果が挙げられるが、これらに限定されない。ポイントオブケア環境において、この情報は、適切なデータ解析ソフトウェアを有するコンピュータシステムにより解析され、表示される。臨床データの統合は、主治医に、患者が糖尿病状況を有するかどうかを判定するのに必要な情報、糖尿病の性質又は分類に関連する情報、並びに、予後に関連する情報、及び/又は、適切な処置を選択するのに有用な情報を提供する。1つの実施形態では、本明細書で記載される診断アッセイは、医療専門家に、指示された医療処置の有効性の判定を提供する。
【0083】
本明細書で使用するとき、「代謝病プロファイル」とは、任意の数の標準的な代謝測定値、及び、空腹時血漿グルコース、インスリン、プロインスリン、c−ペプチド、インタクトインスリン、BMI、胴囲、GLP−1、アディポネクチン、PAI−1、ヘモグロビンA1c、HDL、LDL、VLDL、トリグリセリド、遊離脂肪酸が挙げられるがこれらに限定されない糖尿病状態の特徴であり得る他の危険因子を指す。代謝病プロファイルを使用して、2時間OGTTについての分類等価性に関する優れたモデルを作ることができる。
【0084】
グルコース負荷試験は、どれだけ迅速にグルコースが血液から一掃されるかを判定するための、グルコースの投与である。この試験は、通常、糖尿病、インスリン耐性について、及び時に反応性低血糖症についての試験に使用される。グルコースは、ほとんどの場合、経口で与えられ、それゆえに、一般的な試験は技術的に、経口グルコース負荷試験(OGTT)である。
【0085】
空腹時血漿グルコース試験(FPG)は、絶食後に血漿又は血中グルコース濃度を測定する炭水化物代謝試験である。絶食の刺激により、グルカゴンというホルモンが放出され、これは、今度は血漿グルコース濃度を上昇させる。糖尿病にかかっていない人々の場合、体は、インスリンを産生及び処理して、グルコース濃度の上昇を相殺する。糖尿病にかかっている人々の場合、これが生じず、試験されたグルコース濃度は高いままである。
【0086】
本明細書で使用するとき、ボディマス指数(BMI)又はケトレー指数は、ヒトの体重と身長とを比較する統計的測定値である。その測定及び計算の容易さに起因して、これは肥満度を同定するのに最も広く使用されている診断ツールである。
【0087】
本明細書で使用するとき、NGTとはグルコース耐性正常を意味し、IGTとはグルコース耐性異常を意味し、T2Dとは2型糖尿病を意味する。
【0088】
本明細書で使用するとき、CD11c、CD11b及びEmrは、ヒト単球/マクロファージ及び骨髄細胞及びこれらの前駆体の細胞表面マーカーである。マウスで最も一般的に使用される単球/マクロファージ及び骨髄細胞表面マーカーは、F4/80及びCD11bであるが、F4/80及びCD11b抗体は、それぞれ、好酸球並びに樹状細胞並びにNK及び他のT及びB細胞亜型と反応することが報告されている(グエン(Nguyen)ら(2007)ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J Biol Chem)282巻、35279〜35292頁、パチョーリ(Patsouris)ら(2008)セル・メタボリズム(Cell Metab.)8巻、301〜309頁)。マウスにおけるF4/80遺伝子は、ヒトEmr1遺伝子についてのオルソログである。マウスCD11c遺伝子についてのヒトオルソログは、ITGAXであり、また、インテグリン、αX(補体成分3受容体4サブユニット)、SLEB6、OTTHUMP00000163299;leu M5、αサブユニット;白血球表面抗原p150、95、αサブユニット;骨髄膜抗原、αサブユニット;p150 95インテグリンα鎖(染色体:16;位置:16p11.2アノテーション:染色体16、NC_000016.8(31274010..31301819)MIM:151510、遺伝子ID:3687)とも呼ばれる。マウスCD11b遺伝子についてのヒトオルソログは、ITGAM又はインテグリン、αM(補体成分3受容体3サブユニット)であり、また、CD11B、CR3A、MAC−1、MAC1A、MGC117044、MO1A、SLEB6、マクロファージ抗原αポリペプチド;好中球接着因子受容体α−Mサブユニット(染色体:16;位置:16p11.2染色体16、NC_000016.8(31178789..31251714)、MIM:120980、遺伝子ID:3684)とも呼ばれる。CD11c、CD11b及びEmr並びにCD14細胞を、適切なヒト血液細胞単離キット(ステムセル・テクノロジーズ(StemCell Technologies))を使用するポジティブセレクションにより、PBMCから純化することができる。次に、単離された細胞集団の純度(>85%)は、適切な細胞表面マーカーに対する、蛍光剤を結合させた抗体(バイオレジェンド(BioLegend))でのフローサイトメトリー染色により確認される。
【0089】
本明細書で使用するとき、「リアルタイムPCR」とは、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を指し、また、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Q−PCR/qPCR)又は速度論的ポリメラーゼ連鎖反応とも呼ばれる。リアルタイムPCRは、ポリメラーゼ連鎖反応に基づく実験技術であり、これは、標的DNA分子を増幅し、同時に定量するために使用される。これにより、DNA試料内の特定の配列の検出及び定量(インプットされたDNAに対して正規化されるとき又は遺伝子の追加的な正規化の際に、コピー又は相対量の絶対数として)の両方を可能にする。
【0090】
本明細書で使用するとき、免疫化学的アッセイは、抗体の、その抗原に対する反応を使用して、細胞抽出物中の物質の濃度を測定する生化学的試験である。本開示では、抗原は、遺伝子サインを含む、タンパク質をコードする遺伝子のいずれかにより発現されるタンパク質である。好ましい実施形態では、免疫化学的アッセイは、酵素結合免疫吸着法(ELISA)である。
【0091】
本明細書で使用するとき、「特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション」とは、チップなどの固体担体上のプローブ配列と患者の試験試料内の転写産物から生じたcDNA配列との間でのハイブリダイゼーションを指す。この2つの核酸配列が実質的に相補的であれば、ハイブリダイゼーションは生じ、これは試験試料中のcDNA配列の量に正比例する。次に、ハイブリダイゼーションの検出が、当該技術分野において周知の技術を使用して達成される。数多くの要因が、2つの核酸のハイブリダイゼーションの効率性及び選択性、例えば、標的核酸配列に対してのアレイ上の核酸メンバーに影響する。これらの要因には、核酸メンバーの長さ、ヌクレオチド配列及び/又は組成、ハイブリダイゼーション温度、緩衝組成物、並びに、核酸メンバーがハイブリッド化に必要とされる領域での立体障害についての可能性が挙げられる。正の相関関係が、核酸メンバーの長さと、核酸メンバーが標的配列をアニーリングする効率性及び選択性の両方との間に存在する。特に、より長い配列は、より短いものよりも高い融解温度(TM)を有し、所与の標的配列内で繰り返されにくく、これにより乱交雑ハイブリダイゼーションを最小化する。ハイブリダイゼーション温度は、核酸メンバーアニーリング効率性に反比例して変動し、ハイブリダイゼーション混合物中に含まれ得る有機溶媒、例えば、ホルムアミドの濃度も同様であるが、一方で塩濃度における増加は、結合を促進する。厳密なハイブリダイゼーション条件下でより長い核酸は、より短いものよりも効率的にハイブリッド化し、これはより許容的な条件下でも十分である。
【0092】
本明細書で使用するとき、用語「抗体」は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体の両方を含み、インタクトな分子、これらの断片(Fv、Fd、Fab、Fab’及びF(ab)’2断片など)、あるいは、インタクトな分子及び/又は断片の多量体又は凝集体であり得、例えば、免疫付与、合成又は遺伝子工学により、事実上生じ得るか又は産生される。
【0093】
本明細書で使用するとき、表1、7、8、9、10A及び10Bにおけるプローブについての全ての参照は、ジェネチップ・ヒトゲノムU133プラス2.0アレイ(the GeneChip Human Genome U133 Plus 2.0 Array)に提示されているプローブセットを指す。
【0094】
以下の説明は、本出願の特定の実施形態、及び、患者における糖尿病を診断するための特定の方法に関する。特に、本出願は、糖尿病状態に関与すると従来は考えられていなかったいくつかを含む、多数の遺伝子が、糖尿病状態を有さない患者と比較して、糖尿病又は糖尿病前症状態を有する患者からの末梢血単核球細胞(PMBC)において示差的に発現されることを開示する。
【0095】
1つの実施形態では、NGT及びT2DのPBMCにおいて示差的に発現される遺伝子は、マイクロアレイ分析を使用して同定される。NGT及びT2D患者(本実施例では、107人の患者のコホート)のPBMCからの転写産物は、アフィメトリクス・ヒトゲノムHG−U133プラス2チップ(the Affymetrix Human Genome HG-U133Plus2 chip)を製造者の教示に従って使用して、最初にスクリーニングされる。およそ200の示差的に発現される遺伝子が選択され、これはマイクロアレイの有意性分析(SAM)プログラムを使用して、NGTとT2Dとの間で、フォールス・ディスカバリー・レート(False Discovery Rate)、FDR<20%、倍率変化>1.7を有した(表1を参照されたい)。
【0096】
ここで、糖尿病分類の方法は、最初のマイクロアレイスクリーンで同定された糖尿病感受性遺伝子の異なる組み合わせの示差的な発現を判定することにより、記述される(表12Aを参照されたい)。表12Aはまた、選択された遺伝子のそれぞれのジェンバンクアクセス番号(Genbank Accession Number)も含む。
【0097】
糖尿病感受性遺伝子の遺伝子発現は、多数の異なる技術を使用して生体試料において測定され得る。例えば、種々のmRNAの混合物内での糖尿病関連遺伝子からのmRNAの同定は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)及び検出可能部分で標識されたオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブの使用により都合よく達成される。
【0098】
まず、試験試料が患者から回収される。良質なRNAを得るためには、細胞溶解中に遊離するRNアーゼの活性を最小化することが必要である。これは、通常、組織を破壊し、同時にRNアーゼを不活性化又は抑制する単離法により達成される。内因性リボヌクレアーゼが少ない試料に対して、単離プロトコルは、一般に、膜を可溶化するための洗浄剤と、胎盤リボヌクレアーゼ抑制剤又はバナジル−リボヌクレオシド複合体などのRNアーゼの抑制剤とを含有する抽出緩衝液を使用する。内因性リボヌクレアーゼに富むインタクトな組織又は細胞などのより困難な試料からのRNA単離は、より積極的なアプローチを必要とする。これらの場合、組織又は細胞は、強力なタンパク質変性剤(通常、グアニジンイソチオシアネート)の中で迅速にホモジナイズされて、ヌクレアーゼを不可逆的に不活性化し、細胞膜を可溶化する。組織試料を直ちにホモジナイズすることができないならば、液体窒素中での浸漬により迅速に凍結させ、−80℃で保存しなければならない。このやり方で凍結させた試料は、RNA単離に先立って決して解凍させてはならず、そうでないと、このRNAは、凍結時に生じる細胞溶解中に遊離したRNアーゼにより迅速に分解される。この組織は、液体窒素のプール内に浸漬され、乳鉢及び乳棒を使用して微細な粉末に粉砕されなければならない。いったん粉末化されたら、依然として凍結している組織は、RNA抽出緩衝液中でホモジナイズされる。RNA単離用の多数のキットが、現在、市販されている(アンビオン(Ambion)、キアゲン(Quiagen))。
【0099】
当該技術分野において周知であるように、cDNAは、まず、RNA依存性DNAポリメラーゼ及びプライマーを使用して、鋳型mRNAからcDNAの第一ストランドを第一に逆転写することにより生じる。本出願による有用な逆転写酵素には、HIV、HTLV−1、HTLV−II、FeLV、FIV、SIV、AMV、MMTV、MoMuLV及び他のレトロウィルスからの逆転写酵素が挙げられるが、これらに限定されない(レビューに関しては、例えば、レビン(Levin)、1997年、セル(Cell)88巻:5〜8頁、バーマ(Verma)、1977年、バイオケミカ・エ・バイオフィジカ・アクタ(Biochim. Biophys. Acta)473巻:1〜38頁、ウー(Wu)ら、1975年、CRCクリティカル・レビューズ・イン・バイオケミストリー(CRC Crit. Rev. Biochem.)3巻:289〜347頁を参照されたい)。より最近では、多数のキットが、熱安定性逆転写酵素を使用するRT−PCR反応のために現在、市販され、例えば、ジェンアンプ(GeneAmp)(登録商標)熱安定性rTth逆転写酵素RNA PCRキット(Thermostable rTth Reverse Transcriptase RNA PCR Kit)(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems))が挙げられる。
【0100】
本明細書で使用されるとき、「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」とは、米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号、同第4,800,159号及び同第4,965,188号(その内容は、それらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるようなインビトロでの所望のヌクレオチド配列の増幅のための方法を通常指す。PCR反応は、繰り返される一連の温度サイクルを伴い、典型的には、10〜100μLの体積で行われる。反応混合物は、dNTP(4つのデオキシヌクレオチド、dATP、dCTP、dGTP及びdTTPのそれぞれ)、プライマー、緩衝液、DNAポリメラーゼ及び核酸鋳型を含む。PCR反応は、第一プライマーが核酸鋳型配列の1つのストランド内のある領域に相補的な配列を含有して相補的なDNAストランドの合成を準備刺激し、第二プライマーが標的核酸配列の第二ストランド内のある領域に相補的な配列を含有して相補的なDNAストランドの合成を準備刺激するポリヌクレオチドプライマーのセットを準備することと、(i)鋳型配列内に含有される標的核酸配列に対しての増幅に必要とされるプライマーのアニーリング工程、(ii)核酸ポリメラーゼがプライマー伸長産物を合成するプライマーを伸長する工程の、PCRサイクル工程に対して許容的である条件下で、鋳型依存性重合剤として核酸ポリメラーゼを採用する核酸鋳型配列を増幅することと、を含む。
【0101】
増幅の他の方法には、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ポリヌクレオチドに特異的に基づく増幅(NSBA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
プライマーは、核酸関心領域に関わる当業者により、容易に設計及び合成することができる。本出願に使用するのに好適なプライマーは、任意の好適な方法を使用して設計できることが理解される。PCRのためのプライマー選択は、例えば、米国特許第6,898,531号(2005年5月24日発行、表題「プライマー対の選択のためのアルゴリズム(Algorithms for Selection of Primer Pairs)」)及び米国特許出願第10/236,480号(2002年9月5日出願)に記載されており、短範囲PCR(short-range PCR)については、米国特許出願第10/341,832号(2003年1月14日出願)がプライマー選択に関してのガイダンスを提供している。また、「オリゴ(Oligo)」、レーザージーン(LASERGENE)(登録商標)、プライマー・プレミア(primer premier)5(プレミア・バイオソフト(Premier Biosoft)社のウェブサイトにおいて入手可能)及びプライマー(primer)3(ホワイトヘッド・インスティトゥート・フォー・バイオメディカル・リサーチ(Whitehead Institute for Biomedical Research)(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ(Cambridge))のウェブサイトにおいて入手可能)などの公に入手可能なプログラムが存在する。プライマー設計は、使用されるハイブリダイゼーション条件に最適な融解温度(Tm)及びオリゴヌクレオチドプローブの所望の長さなどの多数のパラメータに基づく。更に、オリゴヌクレオチド設計は、ヘアピン構造及びプローブ間のダイマーなどの、分子が含有し得る潜在的な第二の構造を最小化するように試行し、目標は、ハイブリダイゼーションのために得られるプローブの入手可能性を最大化することである。好ましい実施形態では、PCR法で使用されるプライマーは、cDNA鋳型内のヌクレオチド配列に相補的であり、好ましくはエクソン−イントロン境界領域を横断する。
【0103】
1つの実施形態では、PCR反応は、ネステッドPCRプライマーを使用することができる。
【0104】
1つの実施形態では、検出可能な標識が、増幅反応に含まれ得る。好適な標識には、蛍光色素、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド(Texas Red)、フィリコエリトリン、アロフィコシアニン、6−カルボキシカルボキシフルオセイン(6−FAM)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレスセイン(JOE)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5−カルボキシフルオレスセイン(5−FAM)又はN,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、放射能活性標識、例えば、32P、35S、3H、並びに、他のものが挙げられる。標識は、二段階システムであってもよく、このシステムでは、増幅されたDNAが、例えば、アビジン、特定の抗体などの高親和性結合パートナーを有するビオチン、ヘプテン、又は同類のものに結合され、この結合パートナーは検出可能な標識に結合される。標識は、プライマーの一方又は両方に結合され得る。あるいは、増幅に使用されるヌクレオチドのプールが、標識を増幅産物に組み込むために標識される。
【0105】
特に好ましい実施形態では、本出願は、米国特許第6,140,054号及び同第6,174,670号(これらも参照により全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているようなFRETプローブの使用などのアッセイシステムを利用するために、PCRとハイブリダイゼーションプローブを組み合わせたシステムを利用する。その最も単純な構成の1つでは、FRET、すなわち「蛍光共鳴エネルギー移動」アプローチは、増幅される核酸の同一のストランド上で近接部位を結合する2つのオリゴヌクレオチドを採用する。一方のオリゴヌクレオチドは、第一波長の光を吸収し、それに応じて光を放出するドナー蛍光色素分子で標識され、第二のものは、第一のドナーの発光に応じて蛍光発光できる(しかしながら、実質的には第一のドナーを励起する光源によるのではなく、また、その放出は第一蛍光色素分子のものとは識別することができる)アクセプター蛍光色素分子で標識される。この構成では、第二すなわちアクセプター蛍光色素分子は、2つのオリゴヌクレオチドが、これらが増幅される核酸上の近接部位に対してハイブリッド化する場合、例えば、PCRのアニーリング局面において、ごく近接するようになる際に生じるような、それが第一すなわちドナー蛍光色素分子にごく近接しているときに、蛍光発生複合体を形成して、蛍光発光の実質的な増加を示す。より多くの増幅される核酸が累積するにつれて、それだけ多くの蛍光発生複合体が形成され得、アクセプタープローブからの蛍光発光の増加が見られ、これは測定することができる。したがって、この方法により、形成される際の産物の量の検出が可能になる。
【0106】
増幅の検出が当該技術分野における多数の手段を使用して、例えば、PCR反応でタックマン(TaqMan)(商標)ハイブリダイゼーションプローブを、いったん十分な増幅が生じたら標的拡散に特異的な蛍光発光の測定を使用して実施できることが、当業者により理解される。タックマン・リアルタイムPCRは、従来のPCRでのような終点でよりも、むしろ指数関数的段階の間に、蛍光色素分子を介して産物の累積を測定する。産物の指数関数的増大を使用して、閾値サイクル、CT、すなわち、PCRサイクルの数を測定し、この数で蛍光発光の有意な指数関数的増大が検出され、この数は、反応において存在するDNA鋳型のコピーの数に直接相互に関連付けられる。
【0107】
しかしながら、タックマンのアプローチに基づくもの(米国特許第5,538,848号及び同第5,691,146号(これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)、蛍光偏光アッセイ(例えば、ギブソン(Gibson)ら、1997年、クリニカル・ケミストリー(Clin Chem.)43巻:1336〜1341頁)及びインベーダーアッセイ(例えば、アガーワル(Agarwal)ら、ダイアグノスティック・モルキュラー・パソロジー(Diagnostic)、2000年9月、9巻(3号):158〜164頁、ライアン,D(Ryan D)ら、モルキュラー・ダイアグノシス(Mol Diagn)、1999年6月、4巻(2号):135〜144頁)などの他の同様な定量的「リアルタイム」及び均一核酸増幅/検出システムが存在することに当業者であれば気付くであろう。このようなシステムもまた、この記載されている出願での使用に適応可能であり、核酸増幅のリアルタイムモニタリングを可能にする。
【0108】
本出願の別の実施形態では、マトリックス又はマイクロチップは、それぞれが既知の配列のオリゴヌクレオチドを含有する遺伝子座のアレイを含有するように作製される。本開示では、各遺伝子座は、糖尿病感受性遺伝子の所望の部分に対して相補的な配列を含有するように合成されたモル過剰の選択された固定化合成オリゴマーを含有する。PBMC中に存在する糖尿病感受性遺伝子の転写産物は、本明細書に記載されているように、RT−PCRにより増幅され、標識される。次に、マイクロチップ上のオリゴマーは、標識されたRT−PCR増幅糖尿病感受性遺伝子核酸でハイブリッド化される。ハイブリダイゼーションは、マイクロチップ中に埋め込まれた配列と標的配列との間の完全な又はほぼ完全な一致がハイブリダイゼーション中に生じることを確実にするための厳密な条件下で生じる。各遺伝子座で得られる蛍光発光は、PBMC中の1つ以上の糖尿病感受性遺伝子の発現レベルに比例する。
【0109】
本出願の他の実施形態では、タンパク質をコードする遺伝子の遺伝子サイン発現プロファイルは、例えば、ELISA若しくは放射免疫アッセイなどの抗体に基づく結合アッセイ、又は、本明細書で定義されているような予め定められたサインの中の遺伝子のタンパク質産物を目的とするタンパク質アレイ含有抗体が挙げられる免疫化学の当該技術分野において周知の技術を使用して、測定される。
【0110】
1つの実施形態では、TCF7L2及びCLC遺伝子の発現プロファイルが、グルコース耐性正常と2型糖尿病の患者からの末梢血単核球細胞において分析された。
【0111】
ヒトシャルコー・ライデン結晶タンパク質遺伝子は、主に好酸球において発現される。CLCは、NGTのPBMC中、IGTのPBMC中、T2DのPBMC中の順に、下方制御される。107人の患者のコホートにおけるその発現の平均シグナル強度は、下記の表2に列挙されている。受信者動作特性(ROC)解析は、CLC遺伝子発現レベルがIGT/T2DからNGTを分離するために使用できることを示した。
【表1】

【0112】
臨床状態の予測におけるCLC遺伝子の機能は、受信者動作特性(ROC)解析を使用して、更に調査された。ROC曲線は、感度と特異度との間の関係を示す。すなわち、感度の増加は、特異度の減少を伴う。曲線が左の軸に、それゆえにROC空き領域の上端に、より近接して沿うにつれて、試験はより正確になる。逆に、曲線がROCグラフの45°対角線に、より近接するようになるにつれて、試験はより不正確になる。ROCの下の面積は、試験の正確性の尺度である。試験の正確性は、その試験が、試験される集団を問題の病気を有するものと有さないものとに、どれだけよく分類するかに依存する。曲線の下の面積(「AUC」と呼ぶ)=1は完璧な試験を示し、一方で、面積=0.5はより有用でない試験を示す。それゆえに、本出願の好ましい遺伝子及び診断方法は、0.50を超えるAUCを有し、より好ましい試験は0.60を超えるAUCを有し、更に好ましい試験は0.70を超えるAUCを有する。
【0113】
曲線の下の面積(AUC)は、患者の状態の予測において、CLC遺伝子の機能の尺度として計算された。CLC遺伝子状態の受信者動作特性(ROC)解析は、CLC遺伝子発現レベルがIGT/T2DからNGTを分離するために使用できることを示した(図1を参照されたい)。
【0114】
転写因子7様2(TCF7L2)をコード化する遺伝的変異型は、2型糖尿病及びβ細胞インスリン機能異常の進行の危険性に強く関連している(米国特許出願公開第2006/0286588号(その内容はこれにより本明細書にその全体が組み込まれる)を参照されたい)。ゲノムワイド関連研究は、TCF7L2内のSNPが、CDKAL1、CDKN2A/2B、FTO、IGF2BP2及びSLC30A8などの他のマーカー遺伝子中のSNP(リスクスコアの範囲は1.12〜1.20)に比較して、2型糖尿病進行の予測に関する最高の生涯リスクスコアを与えることを示唆する。TCF7L2は広く発現し、この転写因子は、WnTファミリーのタンパク質のメンバーからの発生シグナルに反応することが知られている。機能的及び遺伝学的研究は、腸の発達及び腸内分泌細胞中のプログルカゴン遺伝子発現においてTCF7L2が果たす決定的な役割を指摘する。
【0115】
TCF7L2及びCLC遺伝子が、単独で若しくは組み合わせてのいずれかで糖尿病の診断マーカーとなるかどうかを確かめるために、インスティトゥート・フォー・クリニカル・リサーチ&ディブロップメント(Clinical Research & Development)(IKFE)(ドイツ、マインツ(Mainz))の協力でドイツ人の母集団から180人の被験者を募集した。患者試料回収に先立って、適切なIRB承認を得た。採用基準は、糖尿病の診断歴を有さない18〜75歳及びボディマス指数(BMI)≧30の患者、法的能力、並びに臨床研究及び必要とされる手順の性質と範囲とを理解する能力からなった。除外基準は、最近30日以内の献血、インスリン依存型真性糖尿病、授乳期若しくは妊娠中の女性、研究の途中で妊娠する予定のある女性、避妊を行っていない性的に活発な女性、重度/複合アレルギーの病歴、ドラッグ若しくはアルコールの濫用、研究要件遵守の欠落からなった。75g経口グルコース負荷試験結果(OGTT)を含む全ての臨床測定値を、標準的な手順を使用して得た。
【0116】
血液試料を、静脈穿刺によりCPTチューブ(BDバイオサイエンス(BD Biosciences))の中に吸引した。PBMCを、製造者のプロトコルに従って単離し、最終的な細胞沈殿物を1mLのトリゾール(Trizol)(インビトロジェン(Invitrogen))中に再懸濁し、−80℃で保存した。続いて、全RNAを、製造者のプロトコルに従って純化し、DEPC処理したddHO中に再懸濁した。RNAの定量及び品質を、ND−1000分光光度計(Spectrophotometer)(ナノドロップ(NanoDrop))を使用して行い、リボグリーン(RiboGreen)キット(モルキュラー・プローブス(Molecular Probes))での分光光度的定量化により再確認した。RNA鋳型の品質を、バイオアナライザー(Bioanalyzer)2100(アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies))を使用することにより、測定した。
【0117】
第一ストランドcDNA合成を、高性能cDNA逆転写キット(High Capacity cDNA Reverse Transcription kit)(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems))を用い、各患者PBMC試料からの全RNA200ngを使用して、行った。その後、反応混合物をddHOで10倍に希釈し、4μLを、ABIプリズム7900HT(ABI Prism 7900HT)配列検出システム上で10μLのタックマン(Taqman)PCR反応中で鋳型として使用した。反応成分は、2XタックマンPCRマスターミックス(アプライド・バイオシステムズ)、0.9μMの各プライマー、及び0.25μMの蛍光標識されたプローブ(バイオサーチ・テクノロジーズ(Biosearch Technologies))からなった。RT−PCRタックマンアッセイにおいて使用されるプライマー/プローブセットについての配列は、表3に示される。
【0118】
逆転写工程のためのサイクル条件は以下の通りである:
【表2】

【表3】

【0119】
TCF7L2に特異的な2つの異なるプライマー/プローブの組み合わせ及びCLCのための1つのプライム/プローブを使用するタックマンアッセイによる定量的リアルタイムRT−PCRを、それぞれの患者からのPBMCから単離したRNAについて行った。PCR工程についての熱サイクルプロファイルは、以下のように、95℃を10分、続いて、95℃(15秒)及び60℃(1分)を40サイクルであった。Ct値を、0.2〜0.3の閾値設定でSDSバージョン2.1ソフトウェア(アプライド・バイオシステムズ)を使用して、生データから計算した。ピアソン相関によるRun−to−runの再現性は、上記マーカーについて、R=0.96〜0.98であった。ΔCt(サイクル閾値)の値を、目的のマーカーのCtからハウスキーピングβ−アクチン遺伝子のCtを減ずること、例えば、TCF7L2の場合は、Ct TCF7L2−Ctアクチン、により計算した。[2−(ΔCt)×1000]の値を使用して、β−アクチンに対するTCF7L2の発現を表した。OGTTの結果を、真の臨床状態として使用した。スチューデントのT検定を、正規化されたCt値を使用して遺伝子マーカーの発現レベル間の統計的有意性を決定するために使用した。
【0120】
2時間OGTT測定及び現行のADAガイドラインに基づいて、研究に参加した180人の患者のうち、104人の患者をNGT(グルコース耐性正常)として、49人の患者をIGT(グルコース耐性異常)として、分類し、27人の患者はT2D(2型糖尿病)と考えられた。このT2D被験者は本研究で初めて糖尿病と診断されたので、各患者の病気の持続時間、及び、どれだけの期間PBMCが高血糖微小環境に維持されていたかは、分からなかった。
【0121】
各患者に関し、β−アクチンに対して正規化されたTCF7L2及びCLCの発現レベルについてのt検定解析を、プライマー/プローブセットの値に基づき、グルコース耐性により分類して、表4に記す。NGT及びIGTにT2Dを加えた患者集団は、スチューデントのt検定による発現レベル間に統計的有意差を有し、それぞれp値=0.004(TCF7L2セット1)、0.021(TCF7L2セット3)及び0.022(CLC)であった。これらの結果は、NGTに対する、糖尿病前症(IGT)患者の、又は、糖尿病前症及びT2D患者を一緒にした組み合わせの、PBMCにおけるTCF7L2及びCLC遺伝子の示差的発現を示す。
【表4】

【0122】
次に、正常又は糖尿病前症/糖尿病として患者を分類するための診断ツールとしてTCF7L2及びCLCタックマンアッセイの機能を、2時間OGTTと比較して、評価した。各TCF7L2及びCLCプライマー/プローブセットの正規化ΔCt値について、受信者動作特性(ROC)曲線を作製した(表5、図2A及び2B)。TCF7L2セット1及びCLCのPCRアッセイについてのAUC値はそれぞれ0.63及び0.61であった。2時間OGTT分類に比較して、PBMCからのTCF7L2セット1の発現は、正常であるか又は糖尿病前症/糖尿病であるかに患者を正しく分類することができ、FPG試験と共に使用したとき、AUC=0.73であった(図2A及び2B)。CLCは、TCF7L2セット1に添加値を有さず、診断アルゴリズムとして考えられなかった。更に、FPG≧126mg/dL(糖尿病とも考えられる)を有する14人の患者を除外しても、アッセイの機能に変化は生じなかった。
【表5】

【0123】
1つの実施形態では、マイクロアレイ分析で選択されたか各遺伝子(表1を参照されたい)は、2時間OGTTの結果とより近接して一致するように、TCF7L2セット1の機能と組み合わされてもよい。
【0124】
別の実施形態では、2型糖尿病の危険性と強く関連する遺伝子(表6を参照されたい)もまた、2時間OGTTの結果とより近接して一致するように、TCF7L2セット1の機能と組み合わされてもよい。別の実施形態では、表1の1つ以上の遺伝子と組み合わせた表6の遺伝子を、糖尿病状態の診断に関する遺伝子サインについて本明細書に記載しているように試験することができる。
【表6】

【0125】
別の実施形態では、CDKN1C、CIP/KIPファミリーのメンバー、の発現もまた、NGT及びT2DからPBMCにおいて示差的に発現された。
【0126】
CIP/KIPファミリーは、3つのメンバー、CDKN2A、CDKN2B及びCDKN1C、からなる。3つのメンバーの全ては、哺乳類細胞周期の制御において中心的な役割を果たすCDK4の活性を抑制することができる。膵島β細胞の複製は、β細胞の量的ホメオスタシスの維持おいて本質的な役割を果たす。CDK4が体重及び膵臓β細胞増殖の制御において重要な役割を有することが知られている。マウスでは、CDK4遺伝子の欠損はβ細胞量の減少に起因してインスリン欠乏性糖尿病を生じたが、一方で、CDK4の活性化は、β膵島細胞の過形成を引き起こした。最近、2型糖尿病のゲノムワイド関連研究が、CDKN2A及びCDKN2B遺伝子近傍のヌクレオチド変異が2型糖尿病の危険性に関連することを明らかにした。更に、CDKN2Aの過剰発現は、老齢マウスにおいて膵島増殖の減少を導き、CDKN2Bの過剰発現は、マウスモデルにおける膵島過形成及び糖尿病に関連する。CDKN1Cは、染色体11p15.5上に位置する母系発現遺伝子であり、ベックウィズ−ヴィードマン症候群(BWS)、新生児高インスリン性低血糖症、並びに、出生前及び後の過成長に特徴付けられる疾患の病理発生に関わる。最近の研究はまた、CDKN1Cはインスリンにより下方制御され、CDKN1Cの変異型は2型糖尿病患者の出生時体重の増加に関連し得ることを示した。細胞周期の制御に加えて、CIP/KIPファミリーは、アポトーシス、転写制御、分化及び細胞移動などの他の生物学的プロセスにおいて重要な役割を果たす。107人の患者コホートにおけるこの3つの遺伝子の発現を分析した。CDKN1Cのみが、NGT、IGT及びT2Dの間で示差的な発現を表した(表7を参照されたい)。HG−U133プラス2ジーンチップ(HG-U133Plus2 GeneChip)上でCDKN1CをPBMCにおいて発現する5つのプローブが存在する。これらのそれぞれが、NGTとIGT/T2Dとの間で示差的な発現を表した(表7)。ROC解析は、5つのプローブの発現レベルを使用して、T2DからNGTを分類できることを示した(図3)。
【表7】

【0127】
当業者であれば、記載されている実施形態が糖尿病の診断ツールとして遺伝子サインを調査するという前提を与えていることを認識するであろう。正常な被験者と、糖尿病前症及び糖尿病の患者との間の根底にある生物学的プロセスを調査するために、経路解析を実施した。すなわち、HG−U133プラス2チップ上のプローブを、ユー(Yu)ら、BMCキャンサー(BMC Cancer)7巻:182ページ(2007年)に記載されているような遺伝子オントロジー生物学的プロセス(Gene Ontology Biological Process)(GOBP)にマッピングした。非常に低い発現を有する遺伝子は、より高い変異を有する傾向があるので、データセットにおいて平均強度が200未満である遺伝子を経路解析から除外した。結果として、21247個のプローブを確保した。糖尿病前症又は糖尿病の進行と有意な関連を有する経路を同定するために、大域的検定プログラム(global test program)を、NGT vs.IGT、NGT vs.T2D、又はNGT vs.IGT+T2Dを比較することにより、行った。少なくとも10個のプローブ及び有意なp値(p<0.05)を有する経路を各比較について同定した。3つの比較を通して患者の結果について一貫した相関を有する3つの経路が存在した。これらは、B細胞活性化(GO0042113)、体液性免疫反応(GO0006959)、及び複製時のDNAの巻き戻し(GO0006268)である。3つの経路の中で、B細胞活性化及び体液性免疫反応は、主に、糖尿病との負の相関を有し(IGT/T2Dにおいてより低い発現)、一方で、複製時のDNAの巻き戻しは、糖尿病との正の相関を有した(IGT/T2Dにおいてより高い発現)。
【0128】
3つの鍵となる経路から経路に基づく遺伝子サインを構築するために、p<0.05である遺伝子をプールし、これらの統計的有意性(大域的検定からのzスコア)に基づいて分類した。遺伝子がリスト内の1つを超えるプローブを有し、これらの挙動が一致するならば、最高の有意性を有するものが確保された。遺伝子がリスト内の1つを超えるプローブを有し、これらの挙動が反対であるならば、この遺伝子の全てのプローブは除去された。結果として、14個の特異的な遺伝子を得た(以下の表8を参照されたい)。
【表8】

【0129】
比較的高い変異を有する遺伝子を使用するサインを構築するために、CV>0.25である10個の遺伝子を確保した。サインに最適な数の遺伝子を決定するために、上位2〜10遺伝子の組み合わせをデータセット内で調査した。結果は、上位3遺伝子が患者の結果の予測に最良の機能を与えることを示した。この3つの遺伝子、TOP1、CD24及びSTAP1は以下の表9にある。
【表9】

【表10】

【0130】
107人の患者のコホートにおける3つの遺伝子サインのROC分析(図4A及び4B)は、このサインがIGT/T2DからNGTを分類できることを表す。遺伝子の平均発現を表すヒストグラムを図4Cに示す。
【0131】
非情報提供性遺伝子を除去し、コホート内で10以上のプレゼンスコール(presence call)を有する遺伝子のみを確保した。次に、107人の患者のコホートを54人のトレーニングセットと53人の試験セットとに分けた。OGTT分類に基づいて、トレーニングセットには28人のNGT、17人のIGT及び9人のT2Dが存在するが、一方で、試験セットには29人のNGT、16人のIGT及び8人のT2Dが存在する。NGTと、IGT+T2D患者との間で示差的な発現を有する遺伝子を同定するために、マイクロアレイの有意性分析(SAM)プログラムを行った。フォールス・ディスカバリー・レート(FDR)が20%未満であれば、遺伝子を選択した。結果として、235個の遺伝子を選択した。更に遺伝子リストを絞るために、2つの集団間で1.5よりも大きな倍率変化を有し、データセットの平均強度が200よりも大きい遺伝子を確保した。結果として、17個のプローブを確保した。これらの中で、4つは、ヘモグロビン遺伝子を発現するプローブであった。ヘモグロビンが赤血球においてきわめて高い発現を有することを考慮して、生じ得る混入を排除するためにこの4つのプローブを除外した。サインとしての遺伝子の最適な数を決定するために、上位の遺伝子の組み合わせの機能をトレーニングセットの2〜13で調査した。結果は、上位10遺伝子が曲線の下の面積(AUC)に基づいて最良の機能を与えることを示した(表10を参照されたい)。
【表11】

【表12】

【0132】
遺伝子サインを更に評価するために、試験セットにおける患者の結果を判定した。空腹時血漿グルコース(FPG)レベルを使用する糖尿病前症及び糖尿病の予測もまた調査した。遺伝子サインとFPGレベルとの間の相補的な効果を調査するために、これら2つの予測因子の組み合わせを使用して患者の結果を予測した。試験セットでFPG又は10個の遺伝子サイン、あるいはFPGと10個の遺伝子サインとの組み合わせを使用する中でのROC解析の比較を図5に示す。これは、10個の遺伝子サインがIGT/T2DからNTGを独立に分けることができ、FPG及び10個の遺伝子サインがより良好な予測のために相補的であることを表す(図5A及び5Bを参照されたい)。107人の患者のコホートにおける10個の遺伝子の平均発現シグナルを図5Cの一覧表及び棒グラフに示す。
【0133】
臨床データの統計分析は、NGTとT2Dとで示差的に発現される3個の遺伝子及び10個のサインを同定した。
【0134】
別の実施形態では、診断アッセイは、糖尿病前症/糖尿病に対する正常のポイントオブケア分類について、又は、定義された期間、例えば、1/2〜2年、若しくは2〜5年、若しくは5〜10年、若しくはそれ以上、にわたっての糖尿病前症/糖尿病の進行の予測について記載される。
【0135】
あるいは、遺伝子発現プロファイルは、例えば、ELISA又はプロテオミクスアレイ(proteomic array)を使用して、mRNAによりコード化されたタンパク質の検出によって、決定される。これらの方法のすべては、当該技術分野において周知である。
【0136】
本明細書の開示はまた、患者における糖尿病状態の診断のための1つ以上の試薬を有するパッケージユニットを含むキットフォーマットも提供する。このキットは、以下の品目のうち1つ以上を含有し得る:緩衝液、使用説明書、及び、正又は負の対照。キットは、本明細書で記載されている方法を行うのに好適な比率で一緒に混合された試薬の容器を含み得る。試薬容器は好ましくは、本方法を行うときに計量工程を不要にする単位量で試薬を含有する。
【0137】
キットは、滅菌針、及び、患者の血液を回収するためのチューブ/容器を含み得る。回収チューブは典型的には、血液凝固を抑制するために、特定の添加剤、例えば、ヘパリン、を含有する。
【0138】
キットはまた、患者の試料における遺伝子サイン発現プロファイルの測定のための試薬を含有し得る。本明細書で開示されているように、遺伝子サイン発現プロファイルは、RT−PCRアッセイ、マイクロチップを使用するオリゴヌクレオチドアッセイ、又は、ELISAアッセイなどのタンパク質に基づくアッセイを当該技術分野において既知の種々の方法によって測定され得る。
【0139】
好ましい実施形態では、遺伝子サイン発現プロファイルは、リアルタイムRT−PCRにより測定される。
【0140】
増幅の1つの実施形態では、キットは、患者の血液試料における遺伝子サイン発現の増幅及び検出のプライマーを含む。プライマーは、TOP1、CD24、STAP1、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR、NOG遺伝子などの本明細書に記載されているような糖尿病感受性遺伝子のいずれか、又は表1若しくは6に列挙されている遺伝子のいずれかに相補的である配列を有する。
【0141】
糖尿病感受性遺伝子のリアルタイムRT−PCRのために使用されるプライマー配列の例は、表12及び12Cに開示される。
【0142】
好ましい実施形態では、キット試薬は、FDAのインビトロ診断オフィス(FDA's Office of In Vitro Diagnostics)(FDA−OIVD)により是認されたPCRに基づく技術であるアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)による7500ファストDxリアルタイムPCRインストルメント(7500 Fast Dx Real-Time PCR Instrument)で機能するように設計される。
【0143】
更に別の実施形態では、キットは、3つの遺伝子(TOP1、CD24及びSTAP1)又は10個の遺伝子(TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG)サインのハイブリダイゼーションプローブのアレイを含むマイクロチップを含む。別の態様では、マイクロチップは更に、表1又は6に列挙されている1つ以上の遺伝子のための1つ以上のハイブリダイゼーションプローブのアレイを含み得る。
【0144】
好ましい実施形態では、マイクロチップは、1〜55,000超のmRNAの遺伝子発現を平行して測定できるアフィメトリックス・ジーンチップDx(Affymetrix GeneChipDx)技術で機能するように設計される。FDA−OIVD、これはロシュ・モルキュラー・ダイアグノスティック(Roche Molecular Diagnostics)からのアンプリチップ(AmpliChip)P450製品及び経路診断組織起源試験(Pathwork Diagnostics Tissue of Origin test)での使用に関するプラットフォーム。
【表13−1】

【表13−2】

【表13−3】

【表13−4】

【表13−5】

【表13−6】

【表13−7】

【表13−8】

【表14】

【表15】

【表16−1】

【表16−2】

【表16−3】

【表16−4】

【表17】

【表18】

【表19】

【0145】
〔実施の態様〕
(1) 患者における真性糖尿病を診断する方法において、
a.患者から採取された試験試料を提供する工程と、
b.TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子からなる群から選択される2つ以上の遺伝子を含む遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルを測定する工程と、
c.前記遺伝子発現プロファイルを前記遺伝子サインの診断用遺伝子発現プロファイルと比較する工程と、
d.前記遺伝子発現プロファイルと前記診断用遺伝子発現プロファイルとの間の実質的な一致に少なくとも部分的に基づいて前記患者における糖尿病状態を判定する工程と、
e.前記判定を医療専門家に表示する工程と、を含む、方法。
(2) 前記判定工程がコンピュータシステムにより遂行され、前記コンピュータシステムが、遺伝子発現シグナルの線形結合、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、線形判別分析(LDA)モデル、最近接モデル及びマイクロアレイの予測分析(PAM)からなる群から選択される1つ以上のアルゴリズムを実行する、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記判定工程が、患者の代謝病プロファイルの分析を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記遺伝子サインが、表1又は6に列挙される遺伝子から選択される1つ以上の遺伝子を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記糖尿病状態が、糖尿病前症状態又は2型糖尿病状態である、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記試験試料が、血液試料である、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記試験試料が、PBMC又はCD11c若しくはCD11b若しくはEmr若しくは[CD11bCD11c]若しくは[EmrCD11b]若しくは[EmrCD11c]若しくは[EmrCD11bCD11c]細胞若しくはCD14単球を含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記測定工程が、リアルタイムPCR又は免疫化学的アッセイ若しくは特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを伴う、実施態様1に記載の方法。
(9) 患者における真性糖尿病を診断する方法において、
a.患者から採取された試験試料を提供する工程と、
b.前記試験試料において、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子からなる群から選択される2つ以上の遺伝子を含む遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルを測定する工程と、
c.前記遺伝子発現プロファイルを前記遺伝子サインの診断用遺伝子発現プロファイルと比較する工程と、
d.前記遺伝子発現プロファイルと前記診断用遺伝子発現プロファイルとの間の実質的な一致に少なくとも部分的に基づいて前記患者における糖尿病状態を判定する工程と、
e.前記判定を医療専門家に表示する工程と、を含む、方法。
(10) 遺伝子サインの前記遺伝子発現プロファイルが、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子を含む、実施態様9に記載の方法。
【0146】
(11) 前記判定工程がコンピュータシステムにより遂行され、前記コンピュータシステムが、遺伝子発現シグナルの線形結合、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、線形判別分析(LDA)モデル、最近接モデル及びマイクロアレイの予測分析(PAM)からなる群から選択される1つ以上のアルゴリズムを実行する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記判定工程が、患者の代謝病プロファイルの分析を更に含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記糖尿病状態が、糖尿病前症状態又は2型糖尿病状態である、実施態様9に記載の方法。
(14) 前記試験試料が血液試料である、実施態様9に記載の方法。
(15) 前記試験試料が、PBMC又はCD11c若しくはCD11b若しくはEmr若しくは[CD11bCD11c]若しくは[EmrCD11b]若しくは[EmrCD11c]若しくは[EmrCD11bCD11c]細胞若しくはCD14単球を含む、実施態様9に記載の方法。
(16) 前記測定工程が、リアルタイムPCR、免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを伴う、実施態様9に記載の方法。
(17) 患者における真性糖尿病を診断する方法において、
a.患者から採取された試験試料を提供する工程と、
b.前記試験試料において、TCF7L2及びCLC遺伝子を含む遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルを測定する工程と、
c.前記遺伝子発現プロファイルを前記遺伝子サインの診断用遺伝子発現プロファイルと比較する工程と、
d.前記遺伝子発現プロファイルと前記診断用遺伝子発現プロファイルとの間の実質的な一致に少なくとも部分的に基づいて前記患者における糖尿病状態を判定する工程と、
e.前記判定を医療専門家に表示する工程と、を含む、方法。
(18) 前記判定工程がコンピュータシステムにより遂行され、前記コンピュータシステムが、遺伝子発現シグナルの線形結合、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、線形判別分析(LDA)モデル、最近接モデル及びマイクロアレイの予測分析(PAM)からなる群から選択される1つ以上のアルゴリズムを実行する、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記判定工程が、患者の代謝病プロファイルの分析を更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記遺伝子サインが、表1又は6に列挙される遺伝子から選択される1つ以上の遺伝子を更に含む、実施態様17に記載の方法。
【0147】
(21) 前記糖尿病状態が、糖尿病前症状態又は2型糖尿病状態である、実施態様17に記載の方法。
(22) 前記試験試料が、血液試料である、実施態様17に記載の方法。
(23) 前記試験試料が、PBMC又はCD11c若しくはCD11b若しくはEmr若しくは[CD11bCD11c]若しくは[EmrCD11b]若しくは[EmrCD11c]若しくは[EmrCD11bCD11c]細胞若しくはCD14単球を含む、実施態様17に記載の方法。
(24) 前記測定工程が、リアルタイムPCR、免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを伴う、実施態様17に記載の方法。
(25) 患者の糖尿病状態における変化を診断する方法において、
a.第一時点で患者から採取された第一試験試料を提供する工程と、
b.前記第一試験試料における遺伝子サインの第一発現プロファイルを測定する工程であって、前記遺伝子サインが、TOP1、CD24及びSTAP1遺伝子を含む遺伝子の第一の群から、又は、TULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子を含む遺伝子の第二の群から選択される、測定する工程と、
c.第二時点で前記患者から採取された第二試験試料を提供する工程と、
d.前記第二試験試料における前記遺伝子サインの第二発現プロファイルを測定する工程と、
e.前記第一発現プロファイルを前記第二発現プロファイルと比較する工程と、
f.前記第一遺伝子発現プロファイルと前記第二遺伝子発現プロファイルとの間の実質的な差異に少なくとも部分的に基づいて前記患者における糖尿病状態の変化を判定する工程と、
g.前記判定を医療専門家に表示する工程と、を含む、方法。
(26) 前記判定工程がコンピュータシステムにより遂行され、前記コンピュータシステムが、遺伝子発現シグナルの線形結合、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、線形判別分析(LDA)モデル、最近接モデル及びマイクロアレイの予測分析(PAM)からなる群から選択される1つ以上のアルゴリズムを実行する、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記判定工程が、患者の代謝病プロファイルの分析を更に含む、実施態様25に記載の方法。
(28) 前記第一時点と前記第二時点との間の期間が、0〜2年又は1/4〜2年又は1/2〜2年又は2〜5年又は5〜10年又は若しくはそれ以上である、実施態様25に記載の方法。
(29) 前記糖尿病状態が糖尿病前症状態又は2型糖尿病状態である、実施態様25に記載の方法。
(30) 前記第一及び第二試験試料が血液試料である、実施態様25に記載の方法。
【0148】
(31) 前記測定工程が、リアルタイムPCR、免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを伴う、実施態様25に記載の方法。
(32) 患者の糖尿病に対する感受性を査定するためのキットであって、前記査定は試験装置により行われる、キットにおいて、
a.患者から試験試料を回収するための試薬と、
b.患者の試験試料におけるTCF7L2及びCLC遺伝子又はこれらの変異型を含む遺伝子サインの発現プロファイルを測定するための試薬と、これらのためのパッケージングと、を含む、キット。
(33) 試験試料を回収するための前記試薬が、血液試料を回収するための試薬である、実施態様32に記載のキット。
(34) 遺伝子サインの前記発現プロファイルを測定するための前記試薬が、リアルタイムPCR又は免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションのための試薬である、実施態様32に記載のキット。
(35) 患者の糖尿病に対する感受性を査定するためのキットであって、前記査定は試験装置により行われる、キットにおいて、
a.患者から試験試料を回収するための試薬と、
b.患者の試験試料におけるTOP1、CD24及びSTAP1遺伝子を含む遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルを測定するための試薬と、これらのためのパッケージングと、を含む、キット。
(36) 試験試料を回収するための前記試薬が、血液試料を回収するための試薬である、実施態様35に記載のキット。
(37) 遺伝子サインの前記発現プロファイルを測定するための前記試薬が、リアルタイムPCR又は免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションのための試薬である、実施態様35に記載のキット。
(38) 患者の糖尿病に対する感受性を査定するためのキットであって、前記査定は試験装置により行われる、キットにおいて、
a.患者から試験試料を回収するための試薬と、
b.患者の試験試料におけるTULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子を含む遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルを測定するための試薬と、これらのためのパッケージングと、を含む、キット。
(39) 試験試料を回収するための前記試薬が、血液試料を回収するための試薬である、実施態様38に記載のキット。
(40) 遺伝子サインの前記発現プロファイルを測定するための前記試薬が、リアルタイムPCR又は免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションのための試薬である、実施態様38に記載のキット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の糖尿病に対する感受性を査定するためのキットであって、前記査定は試験装置により行われる、キットにおいて、
a.患者から試験試料を回収するための試薬と、
b.患者の試験試料におけるTCF7L2及びCLC遺伝子又はこれらの変異型を含む遺伝子サインの発現プロファイルを測定するための試薬と、これらのためのパッケージングと、を含む、キット。
【請求項2】
試験試料を回収するための前記試薬が、血液試料を回収するための試薬である、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
遺伝子サインの前記発現プロファイルを測定するための前記試薬が、リアルタイムPCR又は免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションのための試薬である、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
患者の糖尿病に対する感受性を査定するためのキットであって、前記査定は試験装置により行われる、キットにおいて、
a.患者から試験試料を回収するための試薬と、
b.患者の試験試料におけるTOP1、CD24及びSTAP1遺伝子を含む遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルを測定するための試薬と、これらのためのパッケージングと、を含む、キット。
【請求項5】
試験試料を回収するための前記試薬が、血液試料を回収するための試薬である、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
遺伝子サインの前記発現プロファイルを測定するための前記試薬が、リアルタイムPCR又は免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションのための試薬である、請求項4に記載のキット。
【請求項7】
患者の糖尿病に対する感受性を査定するためのキットであって、前記査定は試験装置により行われる、キットにおいて、
a.患者から試験試料を回収するための試薬と、
b.患者の試験試料におけるTULP4、AA741300、ESCO1、EIF5B、ACTR2、WNK1、COCH、SON、TPR及びNOG遺伝子を含む遺伝子サインの遺伝子発現プロファイルを測定するための試薬と、これらのためのパッケージングと、を含む、キット。
【請求項8】
試験試料を回収するための前記試薬が、血液試料を回収するための試薬である、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
遺伝子サインの前記発現プロファイルを測定するための前記試薬が、リアルタイムPCR又は免疫化学的アッセイ又は特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションのための試薬である、請求項7に記載のキット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2011−502537(P2011−502537A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534182(P2010−534182)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/083424
【国際公開番号】WO2009/064901
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(505060347)ベリデックス・エルエルシー (43)
【氏名又は名称原語表記】Veridex,LLC
【住所又は居所原語表記】33 Technology Drive,Warren,NJ 07059,U.S.A.
【Fターム(参考)】