説明

糖尿病の足切断を防止するためのマイクロスフェア医薬組成物

本発明は、慢性虚血性皮膚病変を患う糖尿病患者の下肢に非経口投与するための、上皮成長因子を充填したマイクロスフェアを含有する医薬組成物に関する。従来技術と対比して、本発明の組成物は、治療期間中の投与頻度を減少させ、溶液中に遊離している場合に上記因子を同量投与するのと比較してより迅速な病変の回復を可能にするという点で有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚慢性虚血性潰瘍創傷を有する糖尿病患者の下肢に、糖尿病の肢切断を防止するために非経口経路で投与する上皮成長因子(EGF)を含有する重合体マイクロスフェアを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
真性糖尿病は、下肢切断の主要な非外傷性危険因子である。足の潰瘍形成は、糖尿病の重大な合併症であり、年間発生率は2%よりわずかに高い(Abbott C.A.ら(2002年)、「北西部糖尿病フットケア検査:地域ベース患者コホートにおける新規糖尿病足潰瘍形成の発生率及び危険因子(The North−West Diabetes Foot Care Study:incidence of,and risk factors for,new diabetic foot ulceration in a community−based patient cohort)」、Diabet.Med.19(5):377−84)。少なくとも15%の糖尿病患者が、彼らの寿命中に彼らの足部慢性潰瘍を発症し(Reiber G.E.(1996年)、「糖尿病性足疾患の疫学(The epidemiology of diabetic foot problems)」、Diabet.Med.13 Suppl 1:S6−11)、これらの患者の約10%から30%が下肢切断を必要とすると推算されている(Lipsky B.A.(2004年)、「糖尿病性足感染の内科療法(Medical treatment of diabetic foot infections)」、Clin.Infect.Dis.39 Suppl 2:S104−14)。下肢の切断を受けた患者の術後5年間の死亡率は約50〜60%である(Reiber G.E.(1996年)、「糖尿病性足疾患の疫学(The epidemiology of diabetic foot problems)」、Diabet.Med.13 Suppl 1:S6−11)。
【0003】
皮膚慢性虚血性潰瘍創傷を有する糖尿病患者の治療には、いくつかの方法が使用されてきた。それらには、厳格な代謝制御、調節可能な危険因子の予防、外科的壊死組織切除、包帯の使用、感染の抗菌剤治療、創傷領域における圧力の排除、皮膚移植の使用、成長因子、及び適用がある場合には血管再生法の使用が含まれる。
【0004】
糖尿病性潰瘍の治癒には、代謝制御の次に、外科的壊死組織切除が最も重要な治療であり、いかなる他の局所的薬剤使用の前にも実行するべきである。外科的壊死組織切除は、周囲の硬皮のある組織と共に、創傷領域からすべての死組織及び感染組織(骨を含める)を除去することから成る。
【0005】
糖尿病性足部潰瘍への包帯の使用は、十分に確立されており、数種類の包帯が研究されてきたが、各種類の包帯の、他のものに優る利点は知られていない。加えて、包帯の使用に関する研究はこれまでわずかであり、且つそれらは主として低度の潰瘍を対象にしたものであったので、それらの有効性を実証するには、臨床試験から、より多くの証拠が必要である。臨床試験で検査された新しい種類の包帯には、半透性重合体膜ベースのもの、promogram(登録商標)(コラーゲンマトリックス)、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロナン、及び亜大気圧を用いるものが含まれる(Eldor R.ら(2004年)、「糖尿病性足部潰瘍治療への新規及び実験的アプローチ:新興治療戦略の包括的概説(New and experimental approaches to treatment of diabetic foot ulcers:a comprehensive review of emerging treatment strategies)」、Diabet Med.21(11):1161−73)。
【0006】
潰瘍上に貼る皮膚代替物を生成するいくつかの方法が開発されている。例えば、Dermagraft(登録商標)は、生体吸収性物質の合成足場上に、ヒト真皮の線維芽細胞を播種することによって産生される。この装置は、より短い時間間隔に、より大きな割合の回復を伴い、低度の潰瘍に有効であることが示されている(Marston W.A.ら(2003年)、Dermagraft糖尿病性足部潰瘍検査グループ、「慢性糖尿病性足部潰瘍の治癒の改善における、Dermagraftの有効性及び安全性:前向きランダム化試験の結果(The efficacy and safety of Dermagraft in improving the healing of chronic diabetic foot ulcers:results of a prospective randomized trial)」、Diabetes Care 26:1701−5)。Apligraf(登録商標)は、ウシI型コラーゲンマトリックス中のヒト線維芽細胞で構成された真皮の層と、ヒト角質細胞によって形成された1層の表皮層とから成る。同様の方法で、皮膚のこの置換は、感染性潰瘍ではなく、ニューロパシーによる低度の潰瘍にそれが適用された場合、有意に、より大きく且つ迅速な創傷の治癒を生むことが示されている(Veves A.ら(2001年)、「ヒト皮膚等価物であるGraftskinは、ニューロパシーによる非感染性糖尿病性足部潰瘍の管理に有効である:前向きランダム化多施設臨床試験(Graftskin,a human skin equivalent,is effective in the management of non−infected neuropathic diabetic foot ulcers:a prospective randomized multicenter clinical trial)」、Diabetes Care 24:290−5)。
【0007】
プラセボを対照とした第III相ランダム化二重盲検臨床試験において、血液灌流が良好な、ニューロパシーによる潰瘍を有する糖尿病患者の治療に、血小板由来成長因子(PDGF)のゲル製剤が有効且つ安全であることが示された(Wieman T.J.ら(1998年)、「ベカプレルミン(rh PDGF−BB)ゲルの臨床効果(Clinical efficacy of beclapermin (rh PDGF−BB) gel)」、Diabetes Care 21(5):822−7)。この研究に含まれていた患者の大部分(95%)は、面積測定による評価によると、≦10cmの面積の潰瘍を有する。プラセボと比較して、ベカプレルミンゲル100μg/gは、創傷の完全な治癒を有意に、43%増大させ(50対35%、p=0.007)、この効果を達成するのに必要な時間を32%減少させた(86対127日間、p=0.013)。PDGF又はベカプレルミン(Regranex(登録商標))を用いた満足のゆく結果は、糖尿病患者の下位の身体部分に位置し、皮下組織又はさらに深くまで及び、且つ適した血流を有する、ニューロパシーによる潰瘍の治療へのそれらの承認へと導いた(Brem H.、Sheehan P.、Boulton A.J.(2004年)、「糖尿病性足部潰瘍治療のプロトコル(Protocol for treatment of diabetic foot ulcers)」、Am.J.Surg.187(5A):1S−10S)。
【0008】
最近、上皮成長因子(EGF)などの治療薬を投与する方法が公開された。それは、何回かの注射による創傷へのEGF溶液の浸潤から成る(国際公開第03/053458号)。しかし、それには明確な不都合がある。すなわち、創傷への注射の適用が極めて苦痛であるので、患者にとってそれは極めて衝撃の大きなものであるということである。各治療で何回かの注射を適用しなければならず、患者はその治療を1日おきに数週間受けなければならない。この方法の不都合な点を考慮すると、EGFの持続放出製剤の使用によって、薬物投与の頻度が減少しうる。これは、患者の利便性及び服薬遵守を大幅に向上させるであろう。
【0009】
ある特許(米国特許第6086863号)では、ポリスチレン又は他の非分解性重合体のマイクロスフェアを含有する予防用又は治療用組成物中に、調節因子及び成長因子(すなわち上皮成長因子)を含めることができ、適切な媒体におけるこれらのマイクロスフェアの懸濁液の局所適用によって、糖尿病性足部潰瘍などの創傷の修復過程を改善する。いくつかの因子が薬物吸収を妨げうるので、薬物の局所適用には、作用部位に達する用量の制御が乏しいことに関する制限がある。それらの因子のうち、とりわけ、壊死組織及び局所滲出液の存在、血流障害、並びにEGFを分解する酵素が言及できる。
【0010】
したがって、糖尿病性足部潰瘍の治療における重大な問題は、虚血組織の再生を引き起こし、且つ糖尿病性の肢切断を防止する薬物の有効用量を決定することである。
【0011】
他の多くの特許が、治癒速度を加速するように設計された他の方法に焦点を合わせている。それにもかかわらず、これらの方法はいずれも、広範に有効であるとは証明されていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
概して、本発明は、皮膚慢性虚血性創傷を有する糖尿病患者の下肢に、これらの身体部分の切断を防止する目的で非経口経路で投与する、上皮成長因子を充填したマイクロスフェアを含有する医薬組成物に関する。本発明では、マイクロスフェアという用語には、マイクロスフェア及びナノスフェアが含まれる。
【0013】
マイクロスフェア中にEGFを封入することによって、(i)薬物の遅延放出、及び(ii)作用部位に存在するプロテアーゼによるタンパク質消化などの分解過程からのEGFの防御が可能となる。
【0014】
本発明では、マイクロスフェアは、調節された様式で放出される薬物がそれらの全容積に均質的に分散されている重合体の球体として説明できる。
【0015】
本発明との関連では、「調節放出」という用語には、連続的、非連続的、線形、又は非線形形態での薬物の放出が含まれる。これには、上記重合体マトリックスとは異なった組成物の使用、放出プロフィールを改変する賦形剤の包含、及び/若しくは重合体分解促進剤の添加、又は他の改変が伴い、これらの改変は、個別に、又は併せて加えられ、組成物の特性に期待された効果を生み出す。
【0016】
上記マイクロスフェアは、Okadaら(米国特許第4652441号)によって記載された複エマルション溶媒留去法によって得た。
【0017】
本発明の開発に好ましい重合体は、それらの特性によって生体適合性及び生物分解性となっているものである。最後の条件は、それが創傷における上記製剤の浸潤による上記製剤の非経口投与を可能にするので極めて重要である。とりわけ、グリコール酸又は乳酸のホモポリマー、及び両方に由来する共重合体であるポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGAと略される)が好ましい。これらの重合体は、それらを縫合、固定整形外科装置、及び薬物送達系のための重合体マトリックスを製造するのに優れたバイオマテリアルにした特徴を有する(Ashammakhi N.ら(2001年)、「頭蓋顎顔面外科の発展:自己強化生体吸収性骨固定装置の使用(Developments in Craniomaxillofacial Surgery:Use of Self−Reinforced Bioabsorbable Osteofixation Devices)」、Plast.Reconstr.Surg.Special Topic:167−80;Eppley B.L.(2005年)、「小児顔面骨骨折における吸収性プレート及びスクリューの使用(Use of resorbable plates and screws in pediatric facial fractures)」、J.Oral Maxillofac.Surg.63(3):385−91)。その特性に関しては、重合体マトリックスの組成、重合体の分子量、及び粒子への他の賦形剤の添加に基づいて、薬物の放出プロフィールを変える可能性を提供するのに加えて、それらは生体適合性及び生分解性である。
【0018】
PLGAに加えて、生体適合性及び生物分解性など類似の特性を有する他の重合体も使用できる。それらには、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシ吉草酸共重合体、ポリ乳酸−ポリカプロラクトン共重合体、ポリオルトエステル、及びポリ無水物が含まれる。
【0019】
好ましい実施形態では、上記医薬組成物のマイクロスフェアは、1から100μmの範囲の直径を有し、EGFはマイクロスフェアの総質量の1.6〜2.4%を構成する。
【0020】
別の好ましい実施形態では、マイクロスフェア内に封入されたEGFが、その浸潤の第1日目の後に1日あたり5から10μgの量で放出され、そのEGFは、その物理化学的及び生物学的特性を14日間保存する。
【0021】
本発明の別の態様は、創傷の縁部及び底部を含む局部組織における、上記医薬組成物の局所浸潤による投与を介した、糖尿病患者の虚血性創傷の治療に関する。
【0022】
タンパク質薬物のマイクロカプセル封入は、マイクロカプセル封入処理後におけるこれらの生体分子の活性に関連して、特別な注意を必要とする。これは、タンパク質はその大部分が、封入工程でしばしば生じる高熱、及び重合体を溶解するのに用いられる有機溶剤に感受性であるという事実のためである。一方、各タンパク質は、マイクロカプセル封入工程で独自の挙動を示す。これらの側面を考慮すると、タンパク質を充填したマイクロスフェアを、それらの生物活性を変えずに調製する方法論を確立するには、適切な方法、重合体、溶媒、添加物などを選択するために徹底的な研究をする必要がある。
【0023】
上記医薬組成物は、活性剤として、天然源から取得されたEGF、化学合成によるEGF、又は組換えDNA技術によるEGFを含有しうる。
【0024】
上記医薬組成物は、以下に示す群の追加薬物、すなわち、抗菌剤(ペニシリン、セファロスポリン、キノロン、メトロニダゾール、クリンダマイシン、バンコマイシン、マクロライド、テトラサイクリン、アズトレオナム、及びイミペネム)、麻酔薬、非ステロイド抗炎症剤の群に属する鎮痛剤、血管新生作用を有する薬物(血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子)、他の成長因子(顆粒球コロニー刺激因子)、又はエリスロポエチンをいくらか、媒体の一部として含有することができる。
【0025】
糖尿病患者の下肢における皮膚慢性虚血性潰瘍創傷は、本発明の対象である医薬組成物で治療される症状である。創傷の状態と、治療するべき患者の特徴との両方に応じて、上記医薬組成物に含まれるマイクロスフェアは、別の分子の共同封入を必要としうるであろう。これらの追加治療薬は、抗菌剤、麻酔薬、非ステロイド性抗炎症薬の群に属する鎮痛剤血管新生作用を有する薬物、及び他の成長因子の群に属する。
【0026】
上記医薬組成物は、患者に投与する前に、適切な媒体に懸濁するべきである。適切な媒体は、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの増粘剤、並びにポリソルベートなどの界面活性剤を含有する食塩水か、或いはPEG−PLGA−PEG型の温度感受性ヒドロゲル、又はキトサン若しくはデキストランの誘導体のいずれかでありうる。
【0027】
本発明の医薬組成物は、治療期間中の投与頻度の減少を可能にし、治療の合計時間を減少させることによって、治療上の利益を予想外に増大させた。これは、創傷の治癒が、同等な量の非封入EGFで治療された創傷のものより速かったためである。実現された遅延放出プロフィールは低濃度のEGFを生じるので、本発明者らの製剤における治療効果の改善は予想外であった。同じく予想外なことに、EGF放出を加速させ、それにより、より高濃度の薬物を得るためになんらかの賦形剤を用いた別の製剤は、本発明の製剤の治療効果を有しなかった。
【実施例】
【0028】
本発明の、より完全な説明を与えるために、以下の実施例を記載する。
【0029】
(実施例1)
EGFを有するPLGAマイクロスフェアを含有する医薬組成物の調製
EGF充填マイクロスフェアの調製
ジクロロメタン(DCM)中に1gの重合体を溶解することによって、重合体溶液(PLGA 50:50(Sigma社、米国ミズーリ州セントルイス(St.Louis)所在)、10%(w/v))を調製した。PLGA溶液1mlをガラス容器に入れ、20mg/mlのEGF水溶液200μlを添加した。この混合物を、超音波プローブ(IKASONIC U 200 Sコントロール(IKA Labortechnik社、独国所在)によって30秒間超音波処理した。第1のエマルションを1%のポリビニルアルコール40mlに添加し、それらの相を、T8 Ultraturrax(IKA Labortechnik社、独国所在)を用いて14000rpmで激しく撹拌することによって第2のエマルションを得た。この複エマルションを0.1%のポリビニルアルコール30000〜70000(Sigma社、米国ミズーリ州セントルイス所在)140mlに添加し、ジクロロメタンを留去するために、ホモジナイザー(IKA Labortechnik社、独国所在)中で1時間、300rpmで撹拌した。最後に、マイクロスフェアを濾過によって収集し、蒸留水50mlで5回洗浄し、凍結乾燥機(Edwards社、英国所在)中で、凍結乾燥によって乾燥させた。乾燥したマイクロスフェアは、それらを使用するまで、4℃で保存した(図2)。
【0030】
賦形剤を伴うEGFのマイクロスフェアは同じ手順に従って得られたが、内部水相中へのPluronic(登録商標)F−127(10mg)及びNaCl(0.5mg)の添加を伴った。
【0031】
EGFを含有するマイクロスフェアの特徴付け
マイクロカプセル封入工程及び粒子のタンパク質充填の効率は、粒子を1N NaOHで消化し、測定の前に1N HClで中和した結果得られた溶液中における、microBCAアッセイによるEGF濃度の測定によって計算した。
【0032】
上記のマイクロカプセル封入工程の結果、球形のマイクロ粒子を得た。それらは定型的な表面及び孔を示した(図3)。これらのマイクロスフェアは、約85%の収率で得られた。上記封入工程での導入によって、総タンパク質量の40〜60%をマイクロスフェア内に組み入れることが可能であった。粒子は1.6〜2.4%のタンパク質充填を示した。マイクロスフェアのサイズは25μm未満であった。
【表1】

【0033】
賦形剤の包含は、EGFを含有するマイクロスフェアの特徴を、有意の様式で変化させなかった。
【0034】
封入されたEGFのin vitro放出
EGFを充填したマイクロスフェア50mgを1mlの受容液(receiving fluid)(PBS pH7.2中に0.001%Tween80及び0.1%アジ化ナトリウム)中に懸濁した。この懸濁液を、穏やかな撹拌の下、37℃でインキュベートした。指定された時間間隔で(0.25(6h)、0.5(12h)、1、3、7、及び14日)、Hettich社製卓上遠心分離機(独国ツットリンゲン(Tuttlingen)所在)中、5000rpmで5分間、試料を遠心処理し、上清を収集し、等容積の新たな受容液を添加した。取り出された試料それぞれにおけるEGFの濃度をmicroBCAアッセイで評価した。
【0035】
PLGAマイクロスフェア内に封入されたEGFの放出プロフィールは、バースト放出と、別のステージとを示した。バースト放出は、第1日目の間に起こった。そして、別のステージでは、それ以後の14日間、EGF放出が連続的に起こる。第1のステージ全体を通して、両方の調製物において、封入された全タンパク質の約20%が放出された。一方、評価期間の残りでは、放出プロフィールが相違していた。賦形剤を有するマイクロスフェアからのEGFの放出は、ほとんど65%(1日あたりの28μgの概算速度)にまで達し、賦形剤なしの粒子からは、最大30%(1日あたり7μgの概算速度)までが放出された(図4)。
【0036】
in vitroで放出されたEGFの特徴付け
この実験は、封入されたEGFがそれらの物理化学的及び生物学的特性を保存することを実証するという目的を有する。インキュベーション期間(14日間)中に放出されたEGFの特性を評価した。
【0037】
第1日目中、7日目まで、及び14日目までに放出されたEGFを、いくつかの分析技法、すなわち、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)、スラブ型ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳働(SDS−PAGE)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及びin vitro抗ウイルス活性バイオアッセイによって特徴付けた。結果を表2に示す。
【表2】


microBCAアッセイによって定量化された質量に対する、免疫認識されたEGFのパーセント。
6000Daに検出された主バンドに相当するパーセント。
主要種に相当するパーセント。
マイクロスフェアを得るのに使用されたEGF。
【0038】
これらの結果は、マイクロスフェアを得るのに使用されたEGFと同様な物理化学的及び生物学的特徴を、放出されたEGFが有することの確認を可能にするものである。
【0039】
プロテアーゼの作用に対するEGFの安定性へのマイクロカプセル封入の影響
1mgのEGFを、3通りの異なった条件で独立的に調製した。(i)4%の炭酸水素ナトリウム(NaHCO)1mlに溶解した。(ii)PLGAマイクロスフェア(2重量%)内に封入し、4% NaHCO 1mlに懸濁した。(iii)空のPLGAマイクロスフェア50mgと混合し、4% NaHCO 1mlに懸濁した。その後、200μg/mlトリプシンを含有する4% NaHCO 100μlを各調製物に添加し、穏やかに撹拌しながらそれらを37℃で4時間インキュベートした。4% NaHCO 1.1mlに溶解した1mgのEGFを対照として用いた。10μlのトリフルオロ酢酸を添加することによって反応を停止させた。マイクロスフェアを含有する試料を6000gで10分間遠心処理し、上清をペレットから分離した。マイクロカプセル封入されたか、又はマイクロスフェア上に吸着されたEGFは、ジクロルメタン/酢酸での抽出によって重合体から分離した(Ruiz J.M.ら(1989年)、「マイクロカプセル封入ペプチド:シリコーン油によるポリ(D,L−乳酸−co−グリコール酸)共重合体50/50の相分離の研究(Microencapsulation peptide:a study of the phase separation of poly (D,L−lactic acid−co−glycolic acid) copolymers 50/50 by silicone oil)」、J.Pham.Sci.49:69−77)。Hanら(Han K.ら(1998年)、「ラット胃腸粘膜における組換型ヒト上皮成長因子(rhEGF)の部位特異的分解及び輸送(Site−specific degradation and transport of recombinant human epidermal growth factor (rhEGF) in the rat gastrointestinal mucosa)」、Int J.Pharm.168:189−197)によって記載された手順に従ったRP−HPLCによって、すべての試料を分析した。結果(図5)は、非封入EGF及び空のマイクロスフェアと混合されたEGFの両方が完全に分解されたことを示す。しかし、封入されたEGFはタンパク質分解に対して保護されており、そのクロマトグラフィープロフィールは、対照のものと同様であった。
【0040】
(実施例2)
遊離EGFと対比した封入EGFのin vivo効果(動物モデルでの効果)
制御された急性創傷の実験モデル
ここに記載された実験は、創傷縁部及び底部での注射による、浸潤用又は非経口的に使用するべき、EGFのマイクロスフェアを含有する新規製剤の、満足できる予後の急性創傷における治療効果を評価する目的で行った。
【0041】
実験生体モデル:体重225〜250グラムの雄性ウィスター系ラット。動物は、CIGBにおける動物施設の管理区域内において、12×12時間の一定照光スケジュール、換気サイクル、及び食物への自由な接近の下で飼育した。ラットは、個々にT3ボックス内で飼育し、床敷(bedding)(事前に殺菌済)を48時間ごとに交換した。
【0042】
潰瘍の誘導:ケタミン/キシラジンの腹腔内注射によって動物に麻酔をかけた。肩甲骨後部から仙骨までの領域を含むラットの背中を機械的及び化学的に脱毛した。この領域を、ポビドンヨード及びイソプロピルアルコールの溶液で無菌化した。直径9mmのバイオトーム(AcuDrem社、米国フロリダ州所在)の補助を用いて全幅の円形病変を形成させるため、潰瘍の誘導用に選択された皮膚の領域を墨でマークした。
【0043】
図1に示す通り、各動物に、左右対称且つ等距離な6つの創傷を誘導した。創傷を無菌食塩水で洗浄し、時間ゼロの創傷面積を後で計算するために、それらの内側境界をパーマネントインクで線描した。いかなる処置の適用前にも、毎日、70%エタノール及び無菌食塩水ですべての動物の病変を衛生処置した。
【0044】
実験群:
入力順/群相互対応表を用いて、動物につくられた潰瘍を以下の実験治療群にランダムに割り当てた。
I群−無処置。これは自発的進展のための対照である。
II群−プラセボ(マイクロスフェアを懸濁するのに用いた媒体:0.3%カルボキシメチルセルロース、0.1% Tween20、及び0.9%塩化ナトリウム、これは局所的に浸潤させる)。
III群−この製剤用に設計された媒体1mlに懸濁された、675μgのEGFを含有するマイクロスフェア(賦形剤を含有しない)の浸潤。浸潤は創傷縁部及び底部で行った。
IV群−この製剤用に設計された媒体1mlに懸濁された、675μgのEGFを含有するマイクロスフェア(賦形剤を含有する)の浸潤。浸潤は創傷縁部及び底部で行った。
V群−0.9%食塩水中の遊離EGF(75mg/ml)。
【0045】
各群は10頭のラットから成った。したがって、1群あたり60の創傷が検査された。マイクロスフェアなしで上記製剤で処置された動物では、針(271/2)を創傷の縁部及び底部に挿入して、処置を毎日行った。各処置の前に、腹腔内経路によって、ジアゼパムで動物を沈静化させた。媒体、又はEGFを充填したマイクロスフェアを含有する製剤で処置された動物には、1回のみ浸潤を行った。
【0046】
創傷閉鎖レベルの測定。組織学的処理:
以下の時間にわたる、創傷収縮の動態を計算するために、創傷を透明なシート上に透写した。時間0−開口創傷領域100%及び創傷収縮0%を表す。時間1−創傷誘導の72時間後。時間2−創傷誘導の5日後。時間3−創傷誘導の7日後。時間4−創傷誘導の9日後。これらの病変の自発的治癒の動態に関する以前の経験に従って、第9日をこの検査の終わりに設定し、この日に動物を屠殺した。創傷境界の画像をデジタル化した。創傷面積及び収縮のパーセントは、画像分析ソフトウェアであるDIGIPATを用いて計算した。各パラメータの統計的分析は、p<0.05の有意レベルを想定し、SPSSパッケージでノンパラメトリックのマン−ホイットニーU検定法を用いることによって行った。
【0047】
動物は、過剰量のペントバルビタールナトリウム(250mg/kg)を腹腔内注射することによって屠殺した。創傷は、皮幹筋から乾燥させ、後のパラフィン封入用に10%中性ホルマリン中で固定した。ヘマトキシリン/エオシン染色、ワンギーソン染色、及びマッソントリクローム染色を用いた。各群について、創傷の100%上皮化、及び重層上皮、及び分化上皮を有する動物の数を決定した。
【0048】
創傷収縮の動態の値を表3に示す(mm単位の収縮値を、時間0における創傷サイズと対比した創傷サイズのパーセント変化として表している)。
【表3】


)これは、他の群と比較したp<0.05の統計的相違を意味する。マン−ホイットニーU検定。
【0049】
予想外なことに、より遅い放出プロフィールを有する、EGFのマイクロスフェアを含有する製剤(同時封入される賦形剤なしで)が、創傷縁部の収縮に最も強力な作用を示した。これは、換言すれば、それが全体的治癒の加速に最も好ましい効果を示すことを意味する。収縮は、創傷を組織修復期に近づけるいくつかの統合された事象の収束を表す。
【0050】
各実験群における、潰瘍の成熟且つ組織化した肉芽組織が占める面積のパーセントを表4に示す。この計算は、各試料でワンギーソン及びマッソントリクローム反応を一致して有する陽性顕微鏡視野の数を、時間4に収集された試料で定量化して行った。2人の病理学者が独立的に、盲検の形態で評価を行った。
【表4】

【0051】
予想外なことに、より遅い放出プロフィールを有する、EGFのマイクロスフェアベースの製剤(同時封入の賦形剤を含有しない)が、肉芽組織の確立及び成熟過程に最も強力な効果を示した。これは創傷収縮の過程に関する上述の記載と一致する。
【0052】
創傷の上皮化過程に関しても、上記処置の効果を検査した。潰瘍の再上皮化、重層上皮の存在、及び総ケラチン層の存在を考慮して、上皮の微視的状況を評価した。微視的検査には、創傷の中央縦方向二分割を行い、その結果生じた切片を同じパラフィンブロックに包埋した。各実験群につき合計120の組織学的切片を検査した。これらは60の創傷に相当する。結果を表5に示す。
【表5】


これは、他の群と比較したp<0.05の統計的相違を意味する。マン−ホイットニーU検定
【0053】
驚いたことに、遅い放出プロフィールを有する、EGFのマイクロスフェアベースの製剤(同時封入される賦形剤なしで)で処置されたIII群が、全再上皮化及び上皮成熟によって支持された、上皮応答の最も良い指標を示した。
【0054】
慢性皮膚潰瘍の実験モデル
以下の実験は、糖尿病患者の病変をシミュレートする予後不良の慢性病変における、浸潤用に使用されるべき、EGFを含有するマイクロスフェアをベースにした新規製剤の治癒効果の評価を目的とした。
【0055】
実験生体モデル:体重225〜250グラムの雄性ウィスター系ラット。動物は、CIGBにおける動物施設の管理区域内において、12×12時間の一定照光スケジュール、換気サイクル、及び食物への自由な接近の下で飼育した。ラットは、個々にT3ボックス内で飼育し、床敷(事前に殺菌済)を48時間ごとに交換した。長期進展の糖尿病患者に生じるものに類似した肉芽化環境を生成させるために、これらの動物を事前に0.01%メチルグリオキサール溶液で2カ月間処置した。これは、他の有機障害(organic damage)のなかでもとりわけ、創傷の肉芽化及び組織修復の減速へと導くものである(Berlanga J.、Cibrian D.ら(2005年)、「メチルグリオキサール投与は、糖尿病様の微小血管変化を誘導し、皮膚創傷の治癒過程を妨げる(Methylglyoxal administration induces diabetes−like microvascular changes and perturbs the healing process of cutaneous wounds)」、Clin Sci(Lond)、109(1):83−95)。
【0056】
潰瘍の誘導:ケタミン/キシラジンの腹腔内注射によって動物に麻酔をかけた。肩甲骨後部から仙骨までの領域を含むラットの背中を機械的及び化学的に脱毛した。この領域を、ポビドンヨード及びイソプロピルアルコールの溶液で無菌化した。直径9mmのバイオトーム(AcuDrem社、米国フロリダ州所在)の補助を用いて全幅の円形病変を誘導するため、潰瘍の誘導用に選択された皮膚の領域を墨でマークした。各動物に、左右対称且つ等距離な6つの創傷を誘導した。創傷を無菌食塩水で洗浄し、時間ゼロの創傷面積を後で計算するために、それらの内側境界をパーマネントインクで線描した。いかなる処置の適用前にも、毎日、70%エタノール及び無菌食塩水ですべての動物の創傷を衛生処置した。
【0057】
実験群:
入力順/群相互対応表を用いて、動物につくられた潰瘍を以下の実験治療群にランダムに割り当てた。
I群−無処置。これは自発的進展の対照である。
II群−プラセボ(マイクロスフェアを懸濁するのに用いた媒体:0.3%カルボキシメチルセルロース、0.1% Tween20,及び0.9%塩化ナトリウム、これは局所的に浸潤させる)。
III群−この製剤用に設計された媒体1mlに懸濁された、1mgのEGFを含有するマイクロスフェア(賦形剤を含有しない)の浸潤。浸潤は創傷縁部及び底部で行った。
IV群−この製剤用に設計された媒体1mlに懸濁された、1mgのEGFを含有するマイクロスフェア(賦形剤を含有する)の浸潤。浸潤は創傷縁部及び底部で行った。
V群−0.9%食塩水中の遊離EGF(75mg/ml)。
【0058】
各群は10頭のラットから成った。したがって、1群あたり60の創傷が検査された。マイクロスフェアなしで上記製剤で処置された動物では、毎日、処置を行った。各処置の前に、腹腔内経路によって、ジアゼパムで動物を沈静化させた。媒体、又はEGFを充填したマイクロスフェアを含有する製剤で処置された動物には、1回のみ浸潤を行った。
【0059】
創傷閉鎖レベルの測定。組織学処理。
以下の時間にわたる、創傷収縮の動態を計算するために、創傷を透明なシート上に透写した。時間0−開口創傷領域100%及び創傷収縮0%を表す。時間1−創傷誘導の72時間後。時間2−創傷誘導の5日後。時間3−創傷誘導の7日後。時間4−創傷誘導の9日後。時間5−創傷誘導の14日後。これらの病変の自発的治癒の動態に関する以前の経験に従って、第14日をこの検査の終わりに設定し、この日に動物を屠殺した。創傷境界の画像をデジタル化した。創傷面積及び収縮のパーセントは、画像分析ソフトウェアであるDIGIPATを用いて計算した。各パラメータの統計的分析は、p<0.05の有意レベルを想定し、SPSSパッケージでノンパラメトリックのマン−ホイットニーU検定法を用いることによって行った。
【0060】
動物は、過剰量のペントバルビタールナトリウム(250mg/kg)を腹腔内注射することによって屠殺した。創傷は、皮幹筋から乾燥させ、後のパラフィン封入用に10%中性ホルマリン中で固定した。ヘマトキシリン/エオシン染色、ワンギーソン染色、及びマッソントリクローム染色を用いた。各群について、創傷の100%上皮化、及び重層上皮、及び分化上皮を有する動物の数を決定した。
【0061】
創傷収縮の動態の値を表6に示す。
【表6】


)これは、他の群と比較したp<0.05の統計的相違を意味する。(**)これは、他の群と比較したp<0.01の統計的相違を意味する。マン−ホイットニーU検定。
【0062】
mm単位の収縮値を、時間0における創傷サイズに対比した創傷サイズのパーセント変化として表している。
【0063】
予想外なことに、より遅い放出プロフィールを有する、FCEのマイクロスフェアを含有する製剤(同時封入される賦形剤なしで)が、創傷縁部の収縮に最も強力な効果を示した。これは、換言すれば、それが全体的治癒の加速に最も好ましい効果を示すことを意味する。収縮は、創傷から組織修復期までのおおよそを表すいくつかの統合された事象の収束を表す。収縮機構が部分的又は全体的な形態で病理学的に撤廃されている、糖尿病性創傷の生化学的微環境を、これらの創傷がシミュレートしていることに注目するべきである。
【0064】
各実験群における、慢性潰瘍の成熟且つ組織化した肉芽組織が占める面積のパーセントを表7に示す。この計算は、各試料でワンギーソン及びマッソントリクローム反応を一致して有する陽性顕微鏡視野の数を、時間5に収集された試料で定量化して行った。数人の病理学者及び1人のコンサルタントが独立的且つ盲検の形態で評価を行った。
【表7】


**)これは、他の群と比較したp<0.01の統計的相違を意味する。マン−ホイットニーU検定
【0065】
予想外なことに、より遅い放出プロフィールを有する、EGFのマイクロスフェアベースの製剤(同時封入される賦形剤なしで)が、肉芽組織の確立及び成熟過程に最も強力な効果を示した。これは創傷収縮の過程に関する上述の記載と一致する。
【0066】
創傷の上皮化過程に関しても、上記処置の効果を検査した。慢性潰瘍の再上皮化、重層上皮の存在、及び総ラチン層の存在を考慮して、上皮の微視的状況を評価した。微視的検査には、創傷の中央縦方向二分割を行い、その結果生じた切片を同じパラフィンブロックに包埋した。各実験群につき合計120の組織学的切片を検査した。これらは60の創傷に相当する。細菌汚染によって除外された創傷はなかった。結果を表8に示す。
【表8】

【0067】
驚いたことに、遅いプロフィールを有する、EGFのマイクロスフェアベースの製剤(賦形剤なしで)で処置されたIII群が、全再上皮化及び上皮成熟によって支持された、上皮応答の最も良い指標を示した。
【0068】
(実施例3)
遊離EGFと対比した封入EGFの(皮膚慢性虚血性潰瘍創傷を有する患者における)in vivo効果。
糖尿病性足部潰瘍及び大切断術の危険性を有する患者において、遅いプロフィール(賦形剤なしで)のEGFマイクロスフェアベースの製剤を投与した。右足に面積30.5cmの慢性潰瘍を有し、罹患した身体部分の虚血の証拠がある58歳の糖尿病女性患者を、本発明の製剤対象で処置した。創傷清拭の後に、より遅い放出プロフィールを有する、EGFのマイクロスフェアを含有する製剤を、創傷縁部及び底部の浸潤によって、15日間あたり1回、1カ月間投与した。治療開始から第1週経過後、有用な肉芽組織の迅速な形成が観測され、第3週までに罹患した面積の100%を被覆するに至った。患者は、創傷の完全な閉鎖と切断を適用する必要性の回避と伴った満足できる進展を示した。上記医薬組成物は十分に耐えられるものであり、有害作用も検出されなかった。
【0069】
この製剤の病変周囲及び病変内投与は、肉芽組織の形成及び創傷閉鎖に好都合であった。それは予想外に、潰瘍治癒過程が、以前の治療に対比して、より短い時間間隔で起こるのを促進し、切断の必要性が回避された。この様式の治療は、注射がかなり減少することによって、より高い許容度を有することが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】動物モデル体内に誘導された潰瘍の位置を表す模式図である。
【図2】複エマルション溶媒留去法による、EGFを充填したマイクロスフェアを得る工程の線図である。
【図3】EGFを充填したマイクロスフェアの走査電子顕微鏡像を示す図である。
【図4】PLGAマイクロスフェアからのEGFの放出プロフィールを示す図である。X軸は日を単位にした時間を示し、Y軸は放出されたEGFの量を表し、実験で用いられたマイクロスフェアに含有されていた総EGFのパーセントとして表されている。(◆)高速放出製剤及び(●)遅延放出製剤。
【図5】様々な条件下でトリプシン消化されたEGFの逆相高速液体クロマトグラフィーを示す図である。A:対照、B:遊離EGF、C:PLGAマイクロスフェア中に封入されたEGF、D:空のPLGAマイクロスフェアと混合されたEGF。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖尿病患者の下肢の皮膚慢性虚血性創傷において、非経口経路で投与し、前記身体部分の切断を防止するための上皮成長因子のマイクロスフェアを含有する医薬組成物。
【請求項2】
上皮成長因子が重合体マイクロスフェア又はナノスフェアの内部に封入されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
マイクロスフェアがグリコール酸又は乳酸のホモポリマー、及び両方に由来する共重合体である(ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシバレレート共重合体、ポリ乳酸−ポリカプロラクトン共重合体、ポリオルトエステル、及びポリ無水物から成る群から選択された重合体物質でできている、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記マイクロスフェアが1μmから100μmの範囲の直径を有する、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
上皮成長因子がマイクロスフェアの総質量の1.6〜2.4%を構成する、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
第1日目の後における上皮成長因子の放出速度が5から10μg/日である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
放出された上皮成長因子が、その物理化学的性質及び生物学的特性を14日間保存する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
糖尿病患者の虚血性創傷の治療に使用される、請求項1から7までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
病変の縁部及び底部を含む組織での局所浸潤によって投与する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
PEG−PLGA−PEG型の温度感受性ヒドロゲル、又はキトサン若しくはデキストランの誘導体中に懸濁されている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−525288(P2009−525288A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552668(P2008−552668)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【国際出願番号】PCT/CU2007/000002
【国際公開番号】WO2007/087759
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(304012895)セントロ デ インジエニエリア ジエネテイカ イ バイオテクノロジア (46)
【Fターム(参考)】