説明

糸状菌を含有する顆粒およびその調製方法

糸状菌を含有する顆粒を調製するための方法において、糸状菌培養物を、少なくとも1つの加工デンプンおよびデンプン粉と共に混合し、次いで充填剤および可能栄養素を得られた製品に添加し、ペーストを得て、そのペーストを続いて造粒および乾燥に供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物衛生製品の技術分野に関する。特に、本発明は、水中での分散性が高く、植物衛生剤、およびより詳細には線虫捕食菌を含有する−産業レベルでの−顆粒を製造する方法について言及する。本発明はまた、こうして得られた水分散性顆粒を包含する。
【背景技術】
【0002】
植物寄生性線虫は、ほぼすべての種類の農作物を攻撃し、世界的には年間約5億米ドルになる損失を生じることが、ここ何年間の間で知られるようになっている。化学処理に対して極めて抵抗性の高い線虫を破壊することは、選択性が低く、一般に自然環境に対して有害な製品を使用することを示唆している。
【0003】
1992年、リオデジャネイロにて開催された地球サミットから始まり、近年の生物環境法に従って、従来の多数の抗線虫剤が年々禁止されており、農業従事者は、気候地域および農作物に依存するが、多かれ少なかれ根本的であり得る問題に関して予防措置がないままである。故に、従来の化学的殺虫剤を使用することを示唆しない代替方法または有機方法への関心が高まっている。しかし、こうした「有機」制御解決方法を発展させるためには、それらの効率を証明する必要があるだけでなく、農業従事者にとって、従来の製品と同様の様式で実施が簡便であり、現実的でなければならない。
【0004】
有機殺虫剤方法のうち、拮抗微生物の使用がますます一般的慣行となっている。例えば、細菌:バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の拡散に基づく蚊防除処理が知られている。同様に、コナジラミの幼虫の寄生菌胞子(ベルチシリウム・レウカニ(Verticillium leucanii))を用いて、植物農作物に害を与えるコナジラミ(オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum))を抑制することができる。
【0005】
糸状菌(不完全菌類、一般にはカビと称される)は、ミクロン範囲の直径を有する、一般には透明の薄管状構成(菌糸)によって特徴付けられる;菌糸全体が菌糸体を形成している;それらは分生子により無性生殖する。モニリアル(Moniliale)科に属する一部の糸状菌(特にアルトロボトリス・コノイデス・ドレクスラー(Arthrobothrys conoides Dreschsler))は、線虫に対して有用であることが証明されている:それらは、線虫に供給され、これらの寄生土壌を殺菌する。
【0006】
糸状菌を効率的に利用するために、操作および土壌への投与が容易な、高い菌数を含有する安定な配合物が必要である。残念ながら、こうした菌、特に線虫捕食菌の製造および保存技術は、なおも経験的なものであり、得られた最新の結果は、全体として満足のいくものではない。
【0007】
特許文献1には、配合および/または投与に関して特定の方法は示されていないが、糸状菌の成長のために効率の良い培地が記載されている。特許文献2には、線虫捕食菌培養物で表面処理された無機担体(軽石、バーミキュライト、石綿ウール)の調製が記載されている。
【0008】
特許文献3には、線虫捕食菌培養物によるトウモロコシグレインの表面処理が記載されている;こうして処理されたトウモロコシは、少量の土壌と混合され、接種材料を形成し、これを処理すべき土壌に分配する;この方法は一般に効率的であるが、グレインの菌数が極めて変化し易く、土壌中の投与はほぼ均質でない。
【0009】
特許文献4には、土壌に投与するのに好適な、線虫捕食菌を含有するゼリー状ペレットの調製が記載されている;しかし、これらのペレットの調製、保存および取扱は極めて複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許出願番号WO−A−2005078067
【特許文献2】特許出願GB−A−857161
【特許文献3】米国特許US5,811,092
【特許文献4】特許出願番号US2007/0292932
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
さらに、先行技術の製品は、水中でほとんど分散不可能であり、固体形態で土壌に分散させる必要がある;固体粒子は、表面に留まり、土壌のより深い層に菌を好適に浸透させることができない;こうした浸透は、さらなる土壌の移動操作(耕作)を費やしてのみ達成される。
故に、上述の発展にも拘わらず、最新と認められる製品はいずれも全体として満足のいくものではない。特に問題となるのは乾燥顆粒状製品を与えることであり、故に保存および操作の容易さ、水中での高い分散性を与え、培養物の満足以上の生存能を保証することであり、最後2つの条件は乾燥条件では不利である。
【0012】
本発明は、安定性、生存能および使用の容易さを保証でき、乾燥顆粒状形態において、糸状菌、およびより詳細には線虫捕食菌を産業レベルで製造する方法に基づく。特に、本発明により、菌数が高く、操作および土壌への投与が容易であり、処理された表面において均一で高い抗線虫活性を示すことができる組成物を得ることができる;この組成物は、容易で、安価であり、菌糸体の生存能に無害の調製方法によって得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、簡便で、均質および効率の良い土壌への菌投与を可能にするように特別に検討された、固相状態で特定配合物中に糸状菌を組み込むための方法を記載する。本発明は糸状菌培養物の処理に基づき、それにより高い菌数および水中への容易な分散を可能にする乾燥顆粒が得られるようになる。この処理は、予め糸状菌を接種した培地をデンプン粉および加工デンプンと混合することを含む。次いで、得られた製品を、容易に造粒可能なペーストを形成するのに好適な割合にて、特定充填剤および可能栄養素と混合する;本質的に既知の技術によって得ることができる顆粒を回収し、所定の水分含有量、一般に5〜15%を含む含有量まで乾燥する。こうして得られた顆粒状製品は、菌糸体の生存能を保護するのに特に好適であり、触れて乾燥した状態であり、操作者が容易に操作でき、水に対して高い分散性を示す。より詳細には、この方法は次の工程を含む:
a)所定の期間、好適な液体培地において糸状菌を成長させる工程;
b)a)の製品をデンプン粉および加工デンプンと混合する工程;
c)造粒可能なペーストが得られるまで、b)の製品を好適な充填剤および可能栄養素と混合する工程;
d)顆粒を形成し、それらを回収し、次いでそれらを乾燥させて水分含有量を5〜15%の範囲の値にまで低減させる工程。
【0014】
本発明のさらなる対象は、例えば、特にポイントb)に使用される構成成分を含む顆粒状製品によって示される。本発明はさらに、上述の顆粒状製品を含む抗線虫組成物、ならびに線虫が外寄生した土壌および/または培養物を処理するための上述の製品の使用を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、参照として採用された先行技術の顆粒の懸濁液(右側)の撹拌と、本発明の分散性顆粒の懸濁液(左側)の撹拌との比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、一般的に知られるあらゆる糸状菌に適用でき;有利なことには、使用される菌は、例えばモニリアル科に属する抗線虫菌である;この科のうち特に好ましいのは、コノイデス(conoides)種のアルトロボトリス(Arthrobotrys)属の菌、特にアルトロボトリス・コノイデス・ドレクスラーである。
【0017】
糸状菌のための培地は、当該分野に既知の培地から選択されてもよい。好ましい実施形態によれば、本発明は、糖蜜、麦芽エキス、スクロースで構成された製品の群から選択される少なくとも1つの炭素供給源、ならびに酵母エキスおよびいわゆる「コーン・スティープ・リカー」から選択される少なくとも1つの有機窒素供給源を含む。こうした培地の調製は、参考として本明細書に組み込まれる特許出願WO−A−2005078067に広く記載されている。こうした培地において、炭素供給源は、好ましくは培地の乾燥重量の70〜85重量%を構成し、上記有機窒素供給源は、培地の乾燥重量の15〜30重量%を構成する。培地はさらに、硝酸塩またはアンモニウム塩で構成された無機窒素の供給源を含んでいてもよい。一般的な場合、こうした無機窒素供給源は、菌の成長中に、培地の乾燥重量の10重量%以下、好ましくは5〜8%を含む量にて、培地に徐々に添加される。
【0018】
第1の好ましい培地は、75〜85%の麦芽エキスおよび15〜25%の酵母エキスで構成され、割合は、培地の乾燥重量に基づいて重量で与えられる。別の使用可能な培地は、60〜65%の糖蜜、10〜15%のスクロース、10〜15%のコーン・スティープ・リカーおよび10〜15%の酵母エキスを含む。この培地はまた、さらに、5〜8%の無機窒素供給源、特にリン酸水素二アンモニウムを含有する。最終的に好ましい培地は、2つの炭素供給源、すなわち麦芽エキスを25〜30%の量、および糖蜜を40〜45%の量、ならびにコーン・スティープ・リカーを25〜30%の量で含有する。
【0019】
麦芽エキスは、穀物、一般に大麦を発芽させることによって得られる。発芽時に酵素、より詳細にはアミラーゼを生成し、デンプンを糖に転換できる。麦芽エキスは、約60%のマルトース、ビタミン、および他の多数の少数元素を含有する。
【0020】
糖蜜は、糖産業の副製品であり、10%の水、35%のスクロース、20%の他の糖および15%の灰分を含有する粘稠な黒褐色液体の形態である。酵母エキスは、出芽酵母の自己融解によって得られ、淡黄色の微粉末形態であり、容易に水に溶ける。酵母エキスは、ペプチド、遊離アミノ酸、プリン塩基およびピリミジン塩基、ならびにB群の水溶性ビタミンを含有する。酵母エキスは、10%の総窒素含有量および5%のα−アミン窒素含有量を有する。
【0021】
コーン・スティープ・リカーは、二酸化硫黄を含有する水中、50℃にて、24〜48時間、トウモロコシを浸漬させることによって得られる。この試薬は、グレインを囲むタンパク質ネットワークを結合させることができ、浸漬中に所望でない微生物の成長を防止させるという利点を与える。コーン・スティープ・リカーは、7%の総窒素含有量、1.7%のα−アミン窒素を有し、さらに5%になる量の糖、4%のカリウム、3%のリンおよび17%のミネラルを含有する。
【0022】
本発明に従う製造方法において、上述の培地における糸状菌の成長は、好ましくは23〜30℃を含む一定温度にて5〜10日間の期間で行われる。顆粒を製造するために、混合物は、加工デンプンおよびデンプン粉で構成されるように調製される。この混合物において、加工デンプンは、好ましくは30〜60重量%(より好ましくは33%)を構成する一方で、デンプン粉は、残りの70〜40%(より好ましくは67%)であり、これらの割合は、乾燥分について言及されている。好ましい加工デンプンは、Cleargum、(コハク酸オクテニルナトリウムデンプン)、ワキシーコーンスターチの酵素加水分解によって得られる製品である。デンプン粉は、任意の穀粉または他のデンプン製品であってもよい;好ましくはコーン粉である。
【0023】
培地と混合する前に、この混合物を40〜60%(水に対してより好ましくは52%)の重量割合で沸騰水中に好適に希釈する。例えば:沸騰水中に溶解した100gの物質は、17gの加工デンプン、35gのデンプン粉および48gの水で構成される。
【0024】
冷却後、この第1の混合物を、好ましくは1:1の体積比で、糸状菌を予め接種し、成長させた上述培地と共に添加する。次いで、得られた溶液を、好適な充填剤および可能栄養素と共に添加し、配合物の残りと相まって、安定性および栄養を菌に付与し、所望の粘稠度および体積を有する顆粒を得ることができる。
【0025】
好ましくは、充填剤は珪藻土であり、栄養素は、粉および糖を含む群から選択される。好ましい充填剤は、Celaton FPM 0.08であり、約0.08ミクロンのグレインサイズを有する珪藻シェル、(単細胞珪藻類)に基づく製品である。この製品は、規定量の水を吸収でき、所望の体積を有する顆粒を得ることができ、こうして可能性としての外部攻撃(温度変化、湿度測定など)に対して微生物を保護する。
【0026】
栄養素として使用可能な粉のうちコーン粉が好ましい。これは、それ自体の体積よりも数倍大きい量の水を吸収できる天然製品であり、特定の場合には、顆粒の体積にも寄与する。さらに、コーン粉は、顆粒中に含有される糸状菌のための重要な栄養供給源であり、処理されるべき土壌に分散させる場合に即座に利用可能である。
【0027】
糖は、菌の生存能を向上させる、特に細胞膜を安定化するのに役立つ。
【0028】
本発明の方法の対象において、上述の充填剤および可能栄養素は、ポイントb)にて形成された混合物に添加される。充填剤だけを使用する場合、充填剤は、好ましくは珪藻土である。充填剤が栄養素と共に使用される場合、珪藻土および粉の混合物を使用するのが好ましく、その混合物には糖を少量添加できる。好ましい混合物は、30〜50重量%(特に33重量%)の充填剤で構成され、残りの70〜50%(特に67%)は粉である。使用される場合、糖は、充填剤および粉の混合物に対して10〜20重量%で変動する量にて一般に存在する。
【0029】
充填剤および可能栄養素は、圧縮ペーストが得られるまで、ポイントb)にて記載される混合物に、混合形態においてまたは別々に添加される。好ましくは、このペーストにおいて、ポイントc)にて使用される充填剤および可能栄養素の混合物は、15重量%〜50重量%を構成する。例えば、充填剤および栄養素を有する混合物34gは、ポイントb)にて記載される混合物100gに添加される。一般に、こうして得られたペーストは、30〜60%、好ましくは35〜55%、より好ましくは約47%の範囲の水分含有量を有する。故に、得られた混合物は、従来の造粒処理、例えば押出成形に供し、好ましくは3〜5mmを含む直径寸法を有する顆粒を得る。乾燥前の顆粒の水分含有量は、ペーストの場合と実質的に同一である。顆粒の乾燥は、25〜30℃の温度にて、無菌のエアフローにて行われてもよい。水分割合は、乾燥後に、13%未満、好ましくは9〜10%の範囲に低下させる。こうした様式において、顆粒は、所望の粘稠度および体積を得る。
【0030】
本発明は、上述のプロセスから得られるようなものとしての顆粒状製品を含む。こうした製品は、顆粒状形態であり、触れて乾燥した状態であり、特に1つ以上の糸状菌、工程b)にて記載された加工デンプンおよびデンプン粉、ならびに工程c)にて記載された好適な充填剤および可能栄養素を含有することによって特徴付けられる。この顆粒状製品は、そのまま使用されてもよく、または本質的に既知の方法に従って他の従来成分と共に配合されてもよい;得られた殺虫剤組成物は、本発明の対象と等価である。最後に、本発明は、線虫または糸状菌に感受性の他の寄生虫によって外寄生された基質を処理するための上述の製品の使用に及ぶ。
【0031】
本発明に関連する種々の利点があり、それらは次のように区別される:
製造に関して:
−操作数が少なく、プロセスの無菌性を維持できること;
−水含有量が元々既に低いことを考慮すれば、迅速な乾燥;
−微生物含有量の良好な評価が可能な分散性の高い製品;
−微生物の活性を保護するプロセス。
ユーザーにとって:
−分散性の高い配合物は様々な使用を可能にする:耐力のない土壌に散布できるだけでなく、有利なことには灌漑システムに添加できる;
−灌漑用水に製品を添加し、抗線虫剤を分散させる追加処理の必要性をなくす;液体製品は、土壌の表面、および有利なことには同様に土壌のより深い層に均一に分散され、土壌を耕作し、土壌を移動させる他の操作を必要としない;
−周囲温度において、わずかな撹拌下、短い時間(数秒以内)で水に分散する;
−水分含有量が低い顆粒状配合物は、ユーザーによって容易に操作され、触れて乾燥した状態であり、流動可能であり、ホッパーなどからの充填および取り出しが容易であり、容器壁に対して粒子が付着しない製品を生じること。
【0032】
例示のために与えられ、限定を目的としていない本発明の次の実施例は、モニリアル科の糸状菌、特にアルトロボトリス・コノイデス・ドレクスラー糸状菌を用いて行われた。
実験部分
【実施例1】
【0033】
糸状菌培養物を、1.2lの培地を含有する2リットルの反応器中で得た。反応器は、丸底を有する容器で構成され、そこに螺旋状撹拌器、温度調整器および冷却器、空気流入口ならびにpH、O濃度および温度を検出するためのプローブを備えていた。20g/lの麦芽エキスおよび4g/lの酵母エキスで構成される手段は、A.コノイデス(A.conoides)菌分生子を接種する前に滅菌した。培養は、約27℃の温度にて接種から6日間持続させた。培養中、乾燥物質量(g/l)、ひいては栄養繁殖体の数(CFU/l)を測定するために培地のサンプリングを行った。乾燥物質量を測定するために、20mlの培地を濾過し、次いでオーブン中で100℃にて24時間乾燥させた。栄養繁殖体の数は、1mlの培地にて測定した。約8g/lの菌が、示された期間の終わりに得られたが、栄養繁殖体の数は1リットルあたり6.10に等しかった。
【0034】
Cleargumおよびコーンスターチ(重量比1:1)を含有する混合物を、沸騰水中に54重量%の濃度で分散させる。冷却後、予め添加した水と同じ割合で菌を含有する培地を添加する。次いでCelaton FPM 0.08を、こうして得られた混合物に、圧縮ペーストが得られるまで、この第1の混合物に対して28重量%の量で添加する。このペーストを、スパチュラでシリンジに導入し、次いでアルミ箔上に一定量で拡げる。最高30℃でのエアフロー下で数分乾燥させた後、製品の水分割合は7.9%に等しく、顆粒はアルミ箔から自由に分離する。
【0035】
9mlの無菌水およびいくつかの希釈剤中に顆粒を導入した後、顆粒中に含有される栄養繁殖体の数を測定でき、それは8.10CFU/顆粒(5つの顆粒における測定の算術平均)に等しく、50%の生存割合に対応する。この割合は、本明細書に記載される種類のプロセスに関して満足以上のものであるとみなされる。
【実施例2】
【0036】
この実施例の試験は、実施例1と同じ菌培養物を用いて行ったが、配合物中の割合は変更した。18%のCleargumおよび36%のコーンスターチを含有する混合物を、総混合物の45%となる量の沸騰水に混合する。冷却後、培地−菌を含有する−を、予め添加された水の量と等価な量で添加する。次いで、こうして得られた混合物に、Celaton FPM 0.08を圧縮ペーストが得られるまで、この第1の混合物に対して225重量%に等しい量で添加する。30℃でのエアフロー中で数分乾燥させた後、製品の水分の割合は8.8%に等しい。顆粒を9mlの滅菌水およびいくつかの希釈剤中に溶解させた後、顆粒中に含有される栄養繁殖体の数を測定できる。1.10CFU/顆粒であり、66%の生存割合に対応する。こうした割合は、本明細書に記載される種類のプロセスに関して最適であるとみなされる。
【実施例3】
【0037】
この実施例の試験は、実施例1と同じ菌培養物に基づくが、配合物中の割合は変更する。16%のCleargumおよび31.5%のコーンスターチを含有する混合物を、52.5%の沸騰水と混合する。冷却後、菌を含有する培地を、予め添加された水の量と等価な量で添加する。次いで、こうして得られた混合物に、54%のコーンスターチおよび46%のCelaton FPM 0.08で構成された混合物を、圧縮ペーストが得られるまで、この第1の混合物に対して45重量%に等しい量で添加する。30℃でのエアフロー中で数分乾燥させた後、得られた製品の湿度割合は9%に等しい。
【0038】
顆粒を9mlの滅菌水およびいくつかの希釈剤中に溶解させた後、顆粒中に含有される栄養繁殖体の数を測定でき、それは1.2.10CFU/顆粒に等しく、83%の生存割合に対応する。こうした割合は、本明細書に記載される種類のプロセスに関して高いとみなされる。18〜25℃を含む温度において、プラスチック容器中で1カ月保存した後、生存割合(顆粒の調製直後に観測されたものに対して存在する栄養繁殖体の数)は、約95%のオーダーでなおも非常に高いままであった。
【実施例4】
【0039】
実施例3にて得られた150gの顆粒状製品を、磁性撹拌器によって500rpmにて5分間わずかに撹拌した条件で、周囲温度にて1000mlの水中に分散させた。
【0040】
同時に、US2007/0292932(参照)の実施例1に従って得られたゼリー状のペレット150gを、同一条件下で処理する。撹拌の終わりに、両方の溶液を視覚的に観測し、製品の溶解状態を評価する。図1から明らかなように、参照ゼリー状ペレット1は、なおも全体が一体となったままであり、溶解せず、溶液の底部に沈降していた;反対に本発明の実施例3の顆粒2は、完全に分散していた(図1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸状菌を含有する顆粒を調製するためのプロセスであって:
a)糸状菌培養物を、少なくとも1つの加工デンプンおよびデンプン粉と混合する工程;
b)充填剤および可能栄養素を、a)の製品に添加し、ペーストを得て、このペーストを続いて造粒および乾燥に供する工程
を含む、プロセス。
【請求項2】
糸状菌がモニリアル(Moniliale)科に属し、好ましくはアルトロボトリス・コノイデス・ドレクスラー(Arthrobothrys conoides Dreschsler)である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
培地が、1つ以上の炭素供給源および/または窒素供給源を含有し、好ましくは麦芽エキス、酵母エキス、糖蜜、スクロース、コーン・スティープ・リカーから選択される、請求項1から2のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項4】
加工デンプンが、Cleargumであり、デンプン粉がコーン粉である、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
加工デンプンおよびデンプン粉が、30:70〜60:40を含む重量比で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
工程b)において添加される充填剤が珪藻土であり、可能栄養素が1つ以上の粉および糖から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
工程b)において、a)で得られた混合物を、30:70〜50:50の変動する重量比での充填剤と粉との混合物、および場合により糖と共に添加し、30〜60%、好ましくは35〜55%を含む水分を有するペーストを得る、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
工程b)において得られた顆粒が、13%未満、好ましくは9〜10%を含む水分割合まで乾燥される、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
1つ以上の糸状菌、少なくとも1つの加工デンプン、少なくとも1つのデンプン粉、好適な充填剤および可能栄養素を含む顆粒状製品。
【請求項10】
加工デンプンがCleargumであり、デンプン粉がコーン粉であり、充填剤が珪藻土であり、可能栄養素が糖で構成される、請求項9に記載の顆粒状製品。
【請求項11】
糸状菌がモニリアル科に属し、好ましくはアルトロボトリス・コノイデス・ドレクスラーである、請求項9から10のいずれか一項に記載の顆粒状製品。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセスによって得られる顆粒状製品。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか一項に記載の製品を含む殺虫剤組成物。
【請求項14】
線虫および糸状菌に対して感受性の他の寄生虫によって外寄生された基質を処理するための、請求項9から13のいずれか一項に記載の製品または組成物の使用。
【請求項15】
製品または組成物が、液体媒質中に分散し、噴霧によって基質に投与される、請求項14に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−518027(P2012−518027A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550545(P2011−550545)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051944
【国際公開番号】WO2010/094689
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(506274154)ユーリア カサーレ ソシエテ アノニム (4)
【Fターム(参考)】