説明

糸瓜枕及び糸瓜クッション状体

【課題】 吸水機能や復元機能に優れ、しかも良好な使用感をも備えた糸瓜枕を提供する。
【解決手段】 外層シート3で内層部5を包むことにより糸瓜枕1を構成する。長方形状の薄板状糸瓜繊維7、9を連続的に並べ、布製のカバー11で覆うことにより外層シート3を形成する。外層シート3の取り付け部15側に内層部5を構成し、外層シート3の覆い部13を折り返して、この内層部5を覆う。内層部5を糸瓜の繊維と、この糸瓜の繊維を覆う布製のカバーとから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸瓜の繊維を用いた糸瓜枕及び糸瓜クッションに関する。
【背景技術】
【0002】
枕には通気性や柔軟性が要求されるので、そばがら、スポンジあるいは羽毛などを内部に充填したものが広く利用されている。しかしながら、このような構成の枕では、十分な吸水性を確保することが難しく、かつ、長期間の使用により復元性が低下するおそれもある。そこで、枕の吸水機能や復元機能を高めるために、充填材として、合成樹脂製小パイプとともに、糸瓜繊維片を用いるといったことも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−299539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されているような糸瓜枕は、合成樹脂製小パイプ内に糸瓜繊維片を混在させたものであるため、糸瓜繊維の有する吸水機能や復元機能を枕に十分反映させることが難しい。ここで、充填材として、糸瓜繊維片のみを用いれば、枕の吸水機能や復元機能は十分高められるが、糸瓜繊維片は硬くごわついているので、枕の使用感が悪化してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、吸水機能や復元機能に優れ、しかも良好な使用感をも備えた糸瓜枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するための本発明の糸瓜枕は、糸瓜の繊維を用いた糸瓜枕であって、例えば、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成した、薄板状糸瓜繊維に布製のカバーがかけられた外層シートと、この外層シートに包まれた又は覆われた内層部と、を備え、前記内層部は、糸瓜の繊維を布製のカバーで覆う(例えば袋に収容する)ことにより形成されているものである。ここでは(本発明では)、内層部が、糸瓜の繊維を布製のカバーで覆って形成された部材を有する場合が広く含まれる。本発明の糸瓜枕では、首部や頭部は、内層部を包んだ又は覆った外層シート上に載せられる。外層シートは、適当な広さの薄板状糸瓜繊維に布製のカバーをかけて形成されているので、内層部と首部や頭部との間には、少なくとも外層シートの薄板状糸瓜繊維が介在することとなり、内層部が硬くごわついたものであっても又は隙間などを有するものであっても、使用感が悪化するといったことは特になくなる。そして、本発明では、首部や頭部が直接的に(カバーを介して)糸瓜繊維(薄板状糸瓜繊維)と接触することとなる。
【0007】
外側シートの薄板状糸瓜繊維は、例えば次のようにして形成できる。まず、糸瓜の実を水に浸けて軟らかくしてから外皮を取り除き、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を確保する。そして、この繊維体を、縦方向に刃物を入れて切り開いた後に、芯側のあるいは内側の繊維体壁部分(芯部)を切断して除去し(外周部のみが残ることとなる)、さらに乾燥させる。繊維体が十分に乾燥したところで、家庭用のアイロンを使ってプレスし(加熱状態でプレスする)、繊維体を十分な薄さに加工する。なお、プレスは、家庭用のアイロン以外に、あるいは家庭用のアイロンに加えてローラーを用いたプレス機等で行うことも可能である。プレスした後は、例えば、長方形状の薄板(シート状体)となるように繊維体は切断又は裁断される。
【0008】
ここで、切断した芯側の繊維体壁部分を内層部に利用できれば、糸瓜枕を安価に製造することができる。そこで、内層部が、糸瓜の繊維を布製のカバーで覆った厚肉状の内層部材を有するように構成しておけば、切断した芯側の繊維体壁部分を、布製のカバーで覆って、内層部の糸瓜の繊維として利用することができる。
【0009】
内層部材が1つだけ配置されるように内層部を構成することもできるが、例えば、長い又は比較的長い厚肉状の複数本の内層部材が配置されるように内層部を構成することもできる。例えば、長い又は比較的長い断面長円形状の複数本の内層部材を平行に並べて用いることができる。ここでは、それぞれの内層部材間に適当な隙間が形成されるようにしておくことが好ましい。このようにすれば、糸瓜の繊維の使用量を減らすことができる。
【0010】
また、内層部は、繊維シートを複数枚重ねることにより構成することができるが、繊維シートを細い幅に折り畳んで厚く形成した、例えば長い又は比較的長い内層用部材を複数本有するように構成することもできる。内層用部材は例えば平行に並べて用いられるが、ここでも、それぞれの内層用部材間に適当な隙間が形成されるようにしておくことが好ましい。ここでの繊維シートは、例えば、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成した、薄板状糸瓜繊維に布製のカバーがかけられて構成される。
【0011】
内層部材又は内層用部材は、例えば、内層部の基部を形成する。そして、内層部材又は内層用部材上に、少なくとも1枚の内層繊維シートが配置されるように構成することができる。このように構成することにより、この内層繊維シート及び外層シートが重なって、より良好な使用感を得ることができる。内層繊維シートの首部支持側には、繊維シート材を細い幅に折り畳んで厚く形成した、例えば長い又は比較的長い高さ調整部材を配置しておくことができる。内層繊維シート及び繊維シート材は、例えば、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成した、薄板状糸瓜繊維に布製のカバーがかけられて構成されている。
【0012】
また、本発明の糸瓜クッション状体(糸瓜枕及び糸瓜クッション)は、糸瓜の繊維を用いた糸瓜クッション状体であって、内層部と、この内層部の外側に配置された薄板状糸瓜繊維と、を備え、前記内層部は、多数の糸瓜の繊維片(糸瓜の繊維の小さな塊)から形成されているものである。そして、例えば、前記糸瓜の繊維片は、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体の外周部から切り取り形成した繊維片と、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体の芯部から切り取り形成した繊維片と、から構成されているものである。内層部は、例えば、多数の糸瓜の繊維片のみから形成することができる。内層部はまた、多数の糸瓜の繊維片を布製のカバーで覆う(例えば袋に収容する)ことにより形成することが可能であり、このカバー内には糸瓜の繊維片のみを収容しておくことができる。内層部に多数の糸瓜の繊維片を用いると、繊維片同士が噛み合うので、糸瓜枕又は糸瓜クッションの保形性が向上する。したがって、例えば、使用中に、頭の形状に応じた凹部が枕に形成されて維持されることとなる。また、例えば、枕の中央部を多少膨らむように変形(頭を載せる前の状態)させておくこともできる。変形状態の解除は、例えば、掌で糸瓜枕や糸瓜クッションをたたくなどして簡単に行うことができる。ここでは、内層部を薄板状糸瓜繊維で包み、覆い又は挟むことができる。
【0013】
糸瓜の繊維片は、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体の外周部から切り取り形成、例えば裁断形成した繊維片と、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体の芯部から切り取り形成、例えば裁断形成した繊維片と、から構成することができる。外周部から形成した繊維片は、直方体状や正四面体状に形成でき、保形性に優れている。これに対して、芯部から形成した繊維片は、突出部や窪みを有する形状を備え、クッション性に優れている。したがって、このように構成することにより、保形性とクッション性とをともに確保できる。芯部から形成した繊維片と、外周部から形成した繊維片とを、重量比1:(2乃至5)で使用することができる。外周部から形成した繊維片が、芯部から形成した繊維片の2倍を下回ると、保形性が不足するし、外周部から形成した繊維片が、芯部から形成した繊維片の5倍を上回ると、クッション性が不足する。また、使用する糸瓜の繊維片あるいは外周部から形成した繊維片は、大小少なくとも2種類の繊維片で構成することができる。大小少なくとも2種類の糸瓜の繊維片を用いると、噛み合った糸瓜の繊維片間に隙間があきやすく、より優れたクッション性を確保できる。例えば、体積比1:(2乃至6)の2種類の繊維片あるいは外周部から形成した繊維片を用いることができる。一方の繊維片の体積(大きさ)が他方の繊維片の体積(大きさ)の2倍を下回ると、十分なクッション性を確保できないし、一方の繊維片の体積が他方の繊維片の体積の6倍を上回ると、使用感が悪化する。2種類又は多種類の糸瓜の繊維片あるいは外周部から形成した糸瓜の繊維片は、同じ重さとなるように用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明によれば、優れた使用感を確保しつつ、糸瓜の有する吸水機能や復元機能が十分発揮されるような糸瓜枕や糸瓜クッションを構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明に係る糸瓜枕の斜視図、図2は本発明に係る糸瓜枕の分解斜視図、図3は本発明に係る糸瓜枕の異なる使用例を示した斜視図、図4は本発明に係る糸瓜枕の異なる使用例で用いられる高さ調整部材の構成を示すための斜視図である。
【0017】
糸瓜枕1は、外層シート3で内層部5を包むことにより構成されている。外層シート3は、細長い長方形状の薄板状糸瓜繊維7、9を、長辺部同士が隣接するように、若干の隙間を設けて連続的に並べ、並べられて大きな長方形を構成している薄板状糸瓜繊維7、9全体を布製(より具体的には綿製)のカバー11で覆うことにより形成されている。それぞれの薄板状糸瓜繊維7、9は、外層シート3の幅方向(短辺方向)に延びるように配置されている。外層シート3の一方側(長辺方向一方側)には、細幅の薄板状糸瓜繊維7が7枚配置されて覆い部13が構成され、外層シート3の他方側(長辺方向他方側)には、やや幅の広い薄板状糸瓜繊維9が3枚配置されて取り付け部15が構成されている。取り付け部15の内面には、幅方向両側(外層シート3の短辺方向両側)にそれぞれ、取り付け用ゴムバンド17が縫い付けられている。取り付け用ゴムバンド17は、長さ方向両端部及び中間の2個所で取り付け部15に縫い付けられていて、それぞれの縫い付け部分の間に押え部19(全部で3つ)を有している。取り付け用ゴムバンド17の内端部(覆い部13側端部)は、最も内側(最も取り付け部15側)に配置されている薄板状糸瓜繊維7から多少(例えば2cm)離れて位置している。
【0018】
薄板状糸瓜繊維7、9は、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を刃物を入れて縦方向に切り開き、芯側のあるいは内側の繊維体壁部分を切断して(外周部のみが残る:図10の符号B)、アイロン等でプレスし、長方形状に裁断することにより形成することができる。薄板状糸瓜繊維7、9は、例えば、3mm乃至4mmの厚さに形成される。円柱状の糸瓜の繊維体は、糸瓜の実を水に浸けて軟らかくしてから外皮を取り除くことにより得ることができる。繊維体は、プレス工程までに十分乾燥していることが好ましい。なお、薄板状糸瓜繊維7は、糸瓜の外皮側(繊維が滑らかに構成されている側)が表側(首部や頭部にあたる側)となるように配置される。
【0019】
外層シート3の両端部外面中央(長辺方向両端部外面中央)には、内層部5を包んだ状態で、外側シート5の両端部を連結するための固定紐21が設けられている。
【0020】
糸瓜枕1の内層部5は、3本の内層部材23と、この内層部材23上に載せられた3枚の内層繊維シート25、27、29と、を備えて構成されていて、それぞれの内層部材23はほぼ同一の形状を有し、外層シート3の取り付け部15の内側に取り付けられて、内層部5の基部(基台部)を構成している。内層部材23はそれぞれ、糸瓜の繊維を布製(例えば綿製)のカバー31で覆って断面長円形状に構成されていて、断面扁平の比較的短い棒状体として形成されている。内層部材23は、長さ方向両端部が取り付け用ゴムバンド17の押え部19内に通されることにより、互いに平行な状態で、取り付け部15の幅方向ほぼ全長にわたって延びるように、位置決めされて配置されている。内層部材23同士の間には、若干の隙間が形成されているのが好ましい。
【0021】
内層部材23の糸瓜の繊維には、例えば、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体から薄板状糸瓜繊維7、9などを形成する際に切断された、糸瓜の芯側のあるいは内側の繊維体壁部分(芯部:図10の符号C)32を用いることができる。
【0022】
外層シート3の取り付け部15に取り付けられた内層部材23上には、外層シート3の取り付け部15とほぼ同じ形状(長方形状)に形成された内層繊維シート25、27、29が積層状態で載せられている。最も下側に配置されている内層繊維シート25は、薄板状糸瓜繊維7、9と同一の方法で形成された5枚の薄板状糸瓜繊維33を布製(綿製)のカバー35で覆うことにより構成されているが、薄板状糸瓜繊維33は、外層シート3の取り付け部15に取り付けられた内層部材23と直交して長さ方向(外層シート3の長さ方向)に延びることとなるように配置され、かつ、例えば、若干の隙間を有して、幅方向に連続的に並べられている。このように構成することにより、糸瓜枕1が、内層部材23同士の間の位置で窪んでしまうことが防止される。なお、内層繊維シート25の首部支持側の内面には、幅方向両側に一対の取り付け用ゴムバンド37が縫い付けられて取り付けられている。
【0023】
内層繊維シート27、29はそれぞれ、薄板状糸瓜繊維7、9などと同一の方法で形成された3枚の薄板状糸瓜繊維39、8枚の薄板状糸瓜繊維41を、布製(綿製)のカバー43、45で覆うことにより構成されているが、薄板状糸瓜繊維39は、外層シート3の取り付け部15に配置された薄板状糸瓜繊維9とほぼ同一形状に形成され、かつ、同一の態様で配置されている。また、薄板状糸瓜繊維41は、薄板状糸瓜繊維39の半分以下の幅を有し、内層繊維シート29の幅方向(外層シート3の幅方向)に延びるように配置され、かつ、例えば、若干の隙間を有するように、長さ方向に連続的に並べられている。
【0024】
外層シート3の覆い部13は、外層シート3の取り付け部15に内層部材23が取り付けられ、内層繊維シート25、27、29が内層部材23上に載置された後に、内層部5に被せられる。そして、外層シート3の固定紐21同士を結ぶことにより糸瓜枕1が構成される。外層シート3の覆い部13の首部側に位置することとなる側面部(最も内側の薄板状糸瓜繊維7部分)は、上方に向って頭の先側に傾斜している。なお、内層繊維シート29を用いないなど、内層部5は組み合わせを変えて構成することができる。
【0025】
このような構成の糸瓜枕1では、高さ調整部材を用い、首部支持側を高くして使用することができる。高さ調整部材は、内層繊維シート27を、薄板状糸瓜繊維39が重なり合うように、蛇腹的に厚くかつ細幅に折り畳むとともに、内層繊維シート29を、薄板状糸瓜繊維41が重なり合うように、蛇腹的に厚くかつ細幅に折り畳み、折り畳んだ内層繊維シート29を、折り畳んだ内層繊維シート27上に載せて構成されている。そして、この高さ調整部材の長さ方向両端部を、内層繊維シート25の一対の取り付け用ゴムバンド37内に通して、高さ調整部材を内層繊維シート25に取り付け、外層シート3の覆い部13を、変形して構成された内層部5に被せて、異なる使用態様の糸瓜枕1を構成する。
【0026】
図5は本発明に係る別の糸瓜枕の斜視図、図6は別の糸瓜枕に用いられる内層用部材を説明するための斜視図である。
【0027】
別の糸瓜枕47は、糸瓜枕1の内層部5及び外層シート3の取り付け部15の構成を変更したものであり、その他は構成は糸瓜枕1と同一又はほぼ同一である。
【0028】
糸瓜枕47の外層シート3の取り付け部49では、複数枚の薄板状糸瓜繊維を、例えば縫い合わせてあるいは接着して一枚に形成した長方形の薄板状糸瓜繊維51が用いられている。また、取り付け部49の内面には、幅方向両側にそれぞれ、取り付け用ゴム紐53が長さ方向に3つ並んで縫い付けられている。なお、それぞれの取り付け用ゴム紐53は、長さ方向中間部で縫い付けられることとなる。最も内側(最も覆い部13側)の取り付け用ゴム紐53(取り付け用ゴム紐53の縫い付け部分)は、最も内側(最も取り付け部49側)に配置されている薄板状糸瓜繊維7から多少(例えば2cm)離れて位置している。
【0029】
糸瓜枕47の内層部55は、3本の内層部材23に代えて3本の内層用部材57を有しているが、その他の構成は糸瓜枕1の内層部5と同一である。それぞれの内層用部材57は、薄板状糸瓜繊維59(例えば幅が5cm)が5枚配置されている点を除けば、内層繊維シート27、29と同一構成を有する繊維シート61を用いて形成されている。内層部55の基部(基台部)を構成する内層用部材57は、繊維シート61を、薄板状糸瓜繊維59が重なり合うように、蛇腹的に厚くかつ細幅に折り畳んで形成されている。そして、3本の内層用部材57の長さ方向両端部をそれぞれ、取り付け用ゴム紐53で縛り、内層用部材57同士の間に比較的大きな隙間が生じるように、取り付け部49に3本の内層用部材57を取り付け、内層繊維シート25、27、29を重ねて、糸瓜枕47を構成する。なお、内層繊維シート29を用いないなど、内層部55は組み合わせを変えて構成することができる。また、糸瓜枕47でも、糸瓜枕1と同様に、首部支持側を高くして使用することができる。
【0030】
なお、外層シート3、内層繊維シート25、27、29などは、薄板状糸瓜繊維を布製(綿製)のカバーで覆って構成されているが、より具体的には、次のようにして構成される。
【0031】
まず、綿製の布カバー上に、薄板状糸瓜繊維を表裏が揃うようにして並べて配置し、すなわち、糸瓜の繊維体の外周面によって形成されている面(表面)が同一側となるように並べて配置し、並べられた薄板状糸瓜繊維の上から別の綿製の布カバーを被せる。このように、2枚の布カバーで薄板状糸瓜繊維を挟んだ状態にしてから、布カバーにアイロンをかける(加熱する)。この場合、布カバーには、内面に接着剤が塗布されたものを用いるので、加熱により、薄板状糸瓜繊維と布カバーとが一体化される。そして、この一体化されたものを、ミシン等で外側から表裏方向に縫い付ける。縫い付けは、例えば、一体化されたものを格子状に縫うことにより行う。
【0032】
次に、この一体化されたものを、表裏から綿製の別の布カバーで覆う。なお、ここでも、外側から表裏方向に縫い付けを行うが、一体化されたもの自体の縫い付けよりも荒く行われる。すなわち、一体化されたもの自体の縫い付けは、別の布カバーで覆ったものの縫い付けよりも密に行われている。なお、別の布カバーは、一体化されたものよりも広くてもよいし、一体化されたものとほぼ同一の広さを有していてもよい。さらに、必要に応じて、別の布カバーの縁部にバイアステープを取り付けて縁取りしてもよい。
【0033】
図7は本発明に係る他の糸瓜枕(又は糸瓜クッション)の斜視図、図8は他の糸瓜枕(又は糸瓜クッション)の分解斜視図である。
【0034】
他の糸瓜枕(糸瓜クッション)63は、内層部65の上面側及び下面側(首部や頭部を載せる側及び反対側)にそれぞれ、外層シート67、67を配置し、全体を布製(綿製)の袋又はカバー69内に収容することにより構成されている。
【0035】
外層シート67はそれぞれ、内層繊維シート27と同一の構成のものを用いることができるが、薄板状糸瓜繊維39をより細幅に形成し、この細幅の薄板状糸瓜繊維39を、例えば4枚用いることもできる。
【0036】
内層部65は、多数の糸瓜の繊維片を布製(綿製)の収用袋71内に充填又は収用して構成されるが、外層シート67はそれぞれ、収容袋71の上面側及び下面側に縫い付けられている。使用されている繊維片は、図9に示すように、概略的には厚さ0.6cm乃至0.8cmの平面形状が2cm×2cmの正方形である大繊維片(図9a)と、やはり概略的には厚さ0.6cm乃至0.8cmの平面形状が1cm×1cmの正方形である小繊維片(図9b)と、複雑な形状の変形繊維片(図9c)との3種類であり、収用袋71内には、大繊維片及び小繊維片がそれぞれ200gずつ、そして変形繊維片が100g収用されている。大繊維片及び小繊維片は、例えば次のようにして形成できる。まず、糸瓜の実を水に浸けて軟らかくしてから外皮を取り除き、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を確保する(図10のA参照)。そして、この繊維体を、縦方向に刃物を入れて切り開いた後に、さらに乾燥させる。繊維体が十分に乾燥したところで、外周部(図10のB)から芯部(図10のC)を取り除き、外周部(図10のB)を切断又は裁断して繊維片を形成する(外周部Bと芯部Cとの境界は破線参照)。また、変形繊維片は、取り除いた芯部を切断又は裁断して形成する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の糸瓜枕及び糸瓜クッションは、優れた使用感が得られるものであり、かつ、十分な吸水機能や復元機能を有しているので、広い年令層に長期間にわたって使用され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る糸瓜枕の斜視図である。
【図2】本発明に係る糸瓜枕の分解斜視図である。
【図3】本発明に係る糸瓜枕の異なる使用例を示した斜視図である。
【図4】本発明に係る糸瓜枕の異なる使用例で用いられる高さ調整部材の構成を示すための斜視図である。
【図5】本発明に係る別の糸瓜枕の斜視図である。
【図6】別の糸瓜枕に用いられる内層用部材を説明するための斜視図である。
【図7】本発明に係る他の糸瓜枕又は糸瓜クッションの斜視図である。
【図8】他の糸瓜枕又は糸瓜クッションの分解斜視図である。
【図9】糸瓜の繊維片の形状を示す図である。
【図10】ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体の断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1、47、63 糸瓜枕
3 外層シート
5、55、65 内層部
7、9、33、39、41、51、59 薄板状糸瓜繊維
11、31、35、43、45 布製のカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸瓜の繊維を用いた糸瓜枕であって、
ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成した薄板状糸瓜繊維に布製のカバーがかけられた外層シートと、この外層シートに包まれた又は覆われた内層部と、を備え、
前記内層部は、糸瓜の繊維を布製のカバーで覆うことにより形成されている、ことを特徴とする糸瓜枕。
【請求項2】
前記内層部は、糸瓜の繊維を布製のカバーで覆った厚肉状の内層部材を有している、ことを特徴とする請求項1記載の糸瓜枕。
【請求項3】
前記内層部は、糸瓜の繊維を布製のカバーで覆った厚肉状の複数本の内層部材を有している、ことを特徴とする請求項1記載の糸瓜枕。
【請求項4】
前記内層部は、繊維シートを細い幅に折り畳んで厚く形成した複数本の内層用部材を有していて、
前記繊維シートは、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成した薄板状糸瓜繊維に布製のカバーがかけられて構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の糸瓜枕。
【請求項5】
前記内層部材上には、少なくとも1枚の内層繊維シートが配置されていて、
前記内層繊維シートは、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成した薄板状糸瓜繊維に布製のカバーがかけられて構成されている、ことを特徴とする請求項2又は3記載の糸瓜枕。
【請求項6】
前記内層用部材上には、少なくとも1枚の内層繊維シートが配置されていて、
前記内層繊維シートは、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成した薄板状糸瓜繊維に布製のカバーがかけられて構成されている、ことを特徴とする請求項4記載の糸瓜枕。
【請求項7】
前記内層繊維シートの首部支持側には、繊維シート材を細い幅に折り畳んで厚く形成した高さ調整部材が配置されていて、
前記繊維シート材は、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体を縦方向に切り開いて形成した薄板状糸瓜繊維に布製のカバーがかけられて構成されている、ことを特徴とする請求項5又は6記載の糸瓜枕。
【請求項8】
糸瓜の繊維を用いた糸瓜枕であって、
薄板状糸瓜繊維に布製のカバーがかけられた外層シートと、この外層シートに包まれた又は覆われた内層部と、を備え、
前記内層部は、糸瓜の繊維を布製のカバーで覆うことにより形成されている、ことを特徴とする糸瓜枕。
【請求項9】
糸瓜の繊維を用いた糸瓜クッション状体であって、
内層部と、この内層部の外側に配置された薄板状糸瓜繊維と、を備え、
前記内層部は、多数の糸瓜の繊維片から形成されていて、
前記糸瓜の繊維片は、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体の外周部から切り取り形成した繊維片と、ほぼ円柱状の糸瓜の繊維体の芯部から切り取り形成した繊維片と、から構成されている、ことを特徴とする糸瓜クッション状体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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