説明

納豆菌培養エキス含有製剤及び納豆菌培養エキスの保存方法

【課題】納豆菌培養エキス含有製剤において、納豆菌培養エキス含有製剤の変色(黒変)、納豆特有の匂い、納豆菌培養エキス中のナットーキナーゼ等の有効成分の劣化を防止する。さらに、納豆菌培養エキスの有効な保存方法を提供する。
【解決手段】納豆菌培養エキスと、還元糖及び還元糖誘導体のいずれかと、を含有する納豆菌培養エキス含有製剤とする。前記還元糖誘導体としては、還元末端を有しない還元糖誘導体が好ましい。本発明は変色の抑制効果も有するので、透明なカプセル製剤に、特に有効である。さらに、納豆菌培養エキスと、還元糖及び還元糖誘導体のいずれかと、を混合して保存することにより納豆菌培養エキスの変質を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒変化の防止や匂いの低減、有効成分の劣化を抑制した納豆菌培養エキス含有製剤及び納豆菌培養エキスの保存方法に関する。
【背景技術】
【0002】
納豆菌培養エキスには、ナットーキナーゼやポリグルタミン酸等の有用な成分が豊富に含まれている。特にナットーキナーゼは、血栓溶解作用や血栓形成阻害作用、血液流動性改善作用を有することが明らかにされており、現在注目を集めている成分の1つである(特許文献1、非特許文献1参照)。
しかし、納豆が嫌いな人たちは、ナットーキナーゼが有用な成分であると分かっていても、あまり納豆を摂取できない。これらの人たちが納豆を嫌いな原因は、納豆特有の匂いや粘りけである。
【0003】
そこで、納豆の粘りけや匂いが苦手な人でも、ナットーキナーゼ等の納豆菌培養エキスを摂取しやすいように、納豆菌培養エキスをカプセル製剤化する試みも行われている(特許文献2参照)。
しかしながら、納豆菌培養エキスを製剤化した場合、月日の経過と共に納豆菌培養エキス含有製剤が黒く変色するという問題が生じた。また、納豆菌培養エキス含有製剤の変色が進行するとともに、匂いも強くなるという問題もあった。特に、カプセル製剤に代表される製剤は、口から摂取することが多い。このため、月日の経過と共に黒く変色することや匂いが強くなることは、消費者に良い印象を与えるものではないし、納豆菌培養エキス含有製剤の摂取に苦痛を伴わせることとなる。
【0004】
上記の問題を解決する方法としては、吸着剤や防腐剤等を添加して、匂いや変色を抑えることも考えられる。しかし、吸着剤や防腐剤等を添加した場合には、納豆菌培養エキスの種々の有効成分が劣化してしまうという問題が新たに生じる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−352929号公報
【特許文献2】特開平11−18712号公報
【非特許文献1】「生物試料分析」第25巻、第4号(2002)第333頁〜第338頁、生物試料分析科学会発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における問題を解決し、以下のような目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、納豆菌培養エキス含有製剤の匂いを抑え、変色(黒変)を抑制し、かつ、納豆菌培養エキス中に含有されるナットーキナーゼ等の有効成分が劣化しにくい納豆菌培養エキス含有製剤及び納豆菌培養エキスの保存方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 納豆菌培養エキスと、還元糖及び還元糖誘導体のいずれかと、を含有する納豆菌培養エキス含有製剤である。
<2> 納豆菌培養エキスが、ナットーキナーゼを含有する前記<1>に記載の納豆菌培養エキス含有製剤である。
<3> 還元糖が麦芽糖であり、還元糖誘導体が還元デキストリンである前記<1>から<2>のいずれかに記載の納豆菌培養エキス含有製剤である。
<4> カプセル製剤である前記<1>から<3>のいずれかに記載の納豆菌培養エキス含有製剤である。
<5> 納豆菌培養エキスと、還元糖及び還元糖誘導体のいずれかと、を混合して保存することを特徴とする納豆菌培養エキスの保存方法である。
<6> 納豆菌培養エキスと、還元糖及び還元糖誘導体のいずれかと、を混合して密閉した容器に保存される前記<5>に記載の納豆菌培養エキスの保存方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、前記従来における諸問題を解決し、納豆菌培養エキス含有製剤の変色(黒変)を抑制し、匂いを抑え、納豆菌培養エキス中に含有されるナットーキナーゼ等の有効成分の劣化を抑制した納豆菌培養エキス含有製剤及び納豆菌培養エキスの保存方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(納豆菌培養エキス含有製剤)
本発明の納豆菌培養エキス含有製剤は、納豆菌培養エキスと、還元糖及び還元糖誘導体のいずれかと、を含み、更に必要に応じてその他の添加剤を含む。
以下、本発明の納豆菌培養エキス含有製剤について説明する。
【0010】
−納豆菌培養エキス−
前記納豆菌培養エキスは、納豆菌を培養して得た培養物から納豆菌を分離し、必要に応じてその他の処理を施すことにより得られる。
【0011】
前記納豆菌培養エキス中には、ポリグルタミン酸やナットーキナーゼ等の有用物質が含まれることが考えられる。前記ナットーキナーゼを含む納豆菌培養エキスの場合は、上述した血栓溶解作用や血栓形成阻害作用、血液流動性改善作用があるため、納豆菌培養エキスとしてはナットーキナーゼを含む納豆菌培養エキスが好ましい。
【0012】
−−納豆菌−−
前記納豆菌としては、枯草菌類(Bacillus subtilis)などが挙げられ、中でも、安全性やナットーキナーゼの産生量等を考慮すると、納豆菌(Bacillus subtilis natto)が特に好適に挙げられる。
前記納豆菌の菌株としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、高橋菌(高橋祐蔵研究所製、山形)、成瀬菌(株式会社成瀬醗酵化学研究所製、東京)、宮城野菌(有限会社宮城野納豆製造所製、仙台)、朝日菌(株式会社朝日工業製、東京)、日東菌(株式会社日東薬品工業製、京都)、目黒菌(株式会社目黒研究所製、大阪)等の市販の納豆菌、雲南SL−001菌、などが挙げられる。
【0013】
−−培地−−
前記納豆菌の培養に使用される培地としては、培養対象である納豆菌が資化できる栄養素を含有する培地であれば特に制限はなく、例えば、合成培地、半合成培地、天然培地が挙げられる。納豆菌を一般的に培養するために用いられる公知の培地と同様の培地が使用できる。
【0014】
前記培養に使用される栄養源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、オカラ、大豆、味噌や納豆製造時の副生物である大豆煮汁、豆腐や油揚げ製造時の副生物である豆腐粕、大豆を原料とした製油時の副生物である大豆粕、味噌製造時の副生物である大豆の種皮、大豆タンパク等の各種培養成分、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記栄養源のほかの補助成分を添加することもできる。前記補助成分としては、炭素源、窒素源、無機塩、納豆菌が生命現象を営むための必要なその他の栄養素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記炭素源としては、使用する菌株が良好に生育するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、澱粉又はその組成画分、焙焼デキストリン、加工澱粉、澱粉誘導体、物理処理澱粉、可溶性澱粉、アミロース、アミロペクチン、マルトオリゴ糖、シクロデキストリン、プルラン、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、デキストリン、グリセリン、ソルビトール、麦芽汁、グルコース、などの炭水化物が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記炭素源の中でも、ナットーキナーゼ産生量を増やすためには、グルコース又は澱粉から選択される1種以上が好ましく使用できる。
【0016】
前記窒素源としては、使用する菌株が良好に生育するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、有機窒素化合物、無機窒素化合物、有機窒素化合物と無機窒素化合物の混合物、などが挙げられる。
前記有機窒素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、肉エキス、麦芽エキス、ペプトン、大豆由来のポリペプトン(例えば、ポリペプトン−S)、酵母エキス、味液(大豆タンパク酸加水分解物)、大豆粉末、ミルクカゼイン、カザミノ酸、各種アミノ酸、コーンスティープリカー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機窒素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、アンモニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸ナトリウム等の硝酸塩、尿素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの窒素源の中でも、ナットーキナーゼ産生量を増やすためには、大豆由来のポリペプトン(例えば、ポリペプトン−S)及び大豆粉末のいずれか1種以上を添加することが好ましい。
【0017】
前記無機塩としては、使用する菌株が良好に生育するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、銅、鉄及び亜鉛等のリン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
上記の栄養源を含む培地の形態としては、固体培地でもよいし、液体培地でもよいが、生産性の良い液体培地が好ましく用いられる。
【0019】
前記培養方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、静置培養、振盪培養、撹拌培養などが挙げられ、中でも、液体培地を使用する場合には振盪培養が好ましい。
【0020】
前記納豆菌の培養条件としては、特に制限はなく、使用する菌株、培地の組成及び培養法によって適宜選択され、使用する菌株が増殖できる条件が好ましい。
培養温度は、通常20〜45℃であり、37〜40℃が好ましく、また、培養に適当な培地のpHは、通常6.0〜9.5であり、7.0〜8.5が好ましい。
前記納豆菌の接種量としては、培地に対して、2〜10質量%が好ましい。
培養日数としては、2〜7日間が好ましい。
【0021】
−−納豆菌の分離−−
前記納豆菌の分離方法としては、特に制限はなく、例えば、濾過法、限外濾過法、遠心分離法、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの方法により、前記納豆菌が培養された培地から、納豆菌と共に培地に添加した固形分なども取り除くことができる。
【0022】
−−その他の処理−−
その他の処理としては、特に制限はなく、例えば、濃縮、乾燥、精製、などが挙げられる。
前記濃縮方法としては、特に制限はなく、例えば、減圧濃縮、加熱濃縮、などが挙げられる。中でも、タンパク質や酵素などは熱変性しやすいため、減圧濃縮が好ましい。
前記乾燥方法としては、特に制限はなく、例えば、凍結乾燥、風乾、真空熱乾燥などの方法が挙げられる。さらに、前記乾燥方法により乾燥した納豆菌培養エキスを粉砕すると、粉状の納豆菌培養エキスを得ることができる。
【0023】
前記精製を行うと、ナットーキナーゼを高濃度に含有する納豆菌培養エキスやナットーキナーゼをほとんど除去した納豆菌培養エキスとすることができる点で有利である。
前記精製方法としては、既知の方法を用いることができ、例えば次のような精製方法を採用することができる。
粉体状の納豆菌培養エキスをTris−HCl緩衝液に溶解させて、25質量%硫酸アンモニウムを用いて分画し、遠心分離して、沈殿物を濾去する。その後、濾液にイオン交換樹脂を添加して撹拌し、その上澄み液を除去する。該イオン交換樹脂にTris−HCl緩衝液を加えて、ナットーキナーゼを溶出させることにより、ナットーキナーゼの濃度を200〜1,000倍に向上させることができる。
また逆に、粉体状の納豆菌培養エキスをTris−HCl緩衝液に溶解させて、イオン交換樹脂に吸着させ、上澄み液を濃縮することにより、ナットーキナーゼをほとんど除去した納豆菌培養エキスとすることもできる。
【0024】
前記精製後の納豆菌培養エキスの使用形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、液状の使用形態、上述の濃縮方法や乾燥方法を用いて処理したペースト状の使用形態や粉状の使用形態などが挙げられる。
【0025】
−還元糖−
前記還元糖としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ブドウ糖(グルコース)、フルクトース、麦芽糖(マルトース)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも黒変防止、ナットーキナーゼ等の有効成分劣化防止、におい抑制効果に優れる等の点で、麦芽糖が好ましい。
【0026】
−還元糖誘導体−
前記還元糖誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、還元末端(アルデヒド基)が水素添加された還元糖誘導体、還元末端が酸化された還元糖誘導体や、マルトデキストリンに水素添加したり、澱粉乳液を酸加水分解後にα−アミラーゼによってDE15〜22の範囲内に加水分解した後に水素添加して得た還元デキストリン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、黒変防止、ナットーキナーゼ等の有効成分劣化防止、におい抑制効果に優れる等の点で、還元デキストリンが好ましい。
【0027】
前記水素添加された還元糖誘導体としては、糖アルコールなどが挙げられる。前記糖アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記酸化された還元糖としては、還元末端のみを酸化したアルドン酸(例えば、グルコン酸)、還元末端だけでなく両末端を酸化したアルダル酸(例えばグルカル酸)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記糖アルコールや前記アルドン酸、前記アルダル酸などの還元末端を有しない還元糖誘導体は、納豆菌培養エキス中のアミノ酸やペプチドが有するアミノ基とメーラード反応しにくい傾向にあるので好ましい。
前記還元末端を有しない還元糖誘導体の中でも、アルドン酸やアルダル酸は納豆菌培養エキスを酸性にするため、糖アルコールが好ましい。
【0030】
前記還元糖及び前記還元糖誘導体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記還元糖と前記還元糖誘導体を混合して使用することもできる。
【0031】
−その他の添加剤−
前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、ショ糖、マンニット、トウモロコシデンプン、合成若しくは天然ガム、結晶セルロース等の賦形剤、デンプン、セルロース誘導体、アラビアゴム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボシキメチルセルーロースカルシウム、カルボシキメチルセルーロースナトリウム、デンプン、コーンスターチ、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム等の滑沢剤、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム等の充填剤、希釈剤、各種ビタミン類、などが挙げられる。
【0032】
前記納豆菌培養エキスに対する前記還元糖及び前記還元糖誘導体の添加量としては、前記納豆菌培養エキスの固形分100質量部に対し、前記還元糖及び前記還元糖誘導体の添加量が50〜150質量部が好ましく、80〜120質量部がより好ましい。
前記納豆菌培養エキスの固形分100質量部に対する前記還元糖及び還元糖誘導体の添加量が、50質量部未満だと、前記納豆菌培養エキス含有製剤の黒変抑制効果が少ない傾向があり、150質量部を超えると、前記納豆菌培養エキス含有製剤中の前記納豆菌培養エキスの含有量が少なくなる。
【0033】
前記納豆菌培養エキス含有製剤の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、錠剤、丸剤、散剤、粉剤、顆粒剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳剤、カプセル製剤、などが挙げられる。
中でも前記カプセル製剤は、粉末状や顆粒状の納豆菌培養エキスだけでなく、液状やペースト状の納豆菌培養エキスをも製剤化できるので好ましい。前記カプセル製剤に使用するカプセルは、軟質カプセルでもよいし、硬質カプセルでもよい。
また、前記カプセル製剤に使用するカプセルは、透明でもよいし、不透明でもよいが、本発明の納豆菌培養エキス含有製剤は、黒変の抑制も行うことができるので、透明なカプセルを使用する場合により大きな効果を発揮する。
前記錠剤等は、必要に応じて適当な被覆用基剤を用いて、糖衣、ゼラチン、腸溶被覆、フイルムコーティング、などを施してもよい。
【0034】
上述した納豆菌培養エキス含有製剤は、医薬品や健康食品として使用することができる。
【0035】
(納豆菌培養エキスの保存方法)
前記納豆菌培養エキスの保存方法は、前記納豆菌培養エキスと、前記還元糖及び前記還元糖誘導体のいずれかと、を混合して保存する方法である。
【0036】
前記混合の方法としては、撹拌混合方法、自然混合方法、混練混合方法、ボールミルによる混合方法、などが挙げられる。
混合時の温度としては、15〜60℃が好ましい。
【0037】
前記納豆菌培養エキスと、前記還元糖及び前記還元糖誘導体のいずれかと、の混合状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、液状やペースト状の流動性を示す前記納豆菌培養エキス中に前記還元糖及び前記還元糖誘導体が溶解している混合状態、同一顆粒中に前記納豆菌培養エキスと前記還元糖及び前記還元糖誘導体とが混在している混合状態、前記納豆菌培養エキスを含む顆粒と前記還元糖及び前記還元糖誘導体のいずれかを含む顆粒とが混合されている混合状態、粉末状の前記納豆菌培養エキスと粉末状の前記還元糖及び還元糖誘導体のいずれかとが混在している混合状態、同一カプセル中に前記納豆菌培養エキスと前記還元糖及び前記還元糖誘導体のいずれかとが混在している混合状態、などが挙げられる。
【0038】
前記混合状態としては、密封されていることが好ましい。本発明において、密封とは、容器内への密封だけではなく、カプセル内や被膜内への密封も含む。
【0039】
上述した納豆菌培養エキスの保存方法は、納豆菌培養エキスを使った医薬品や健康食品を提供する際に使用できる。
【実施例】
【0040】
(納豆菌培養エキス)
〔納豆菌の培養〕
前記納豆菌として高橋菌を用いた。前記納豆菌に純水に加えて撹拌することにより懸濁状態とした。
次に標準寒天培地(ニッスイ製)を用いて、シャーレに平板培地を調製した。前記平板培地に前記納豆菌を少量接種し、37℃で24時間培養して上記平板培地上に納豆菌コロニーを得た。
【0041】
〔培地の調製〕
原料であるグルコース1gと粉末状大豆タンパク質(日清コスモフーズ社製、商品名:ソルピーNY)4gと蒸留水とからなる液体培地200mlを内容積500mlの三角フラスコ内に調製し、オートクレーブを用いて120℃の状態に30分間保持して前記三角フラスコ内を滅菌した。
【0042】
〔培養〕
平板培地上に培養した前記納豆菌コロニーより、白金線の輪の径が2mmの白金耳で納豆菌を1回採取し、前記液体培地に接種した。
次いで、納豆菌を接種した液体培地が収容されている三角フラスコを、40℃に保持したまま密閉せずに4日間回転振盪させて、納豆菌を培養した。
【0043】
〔納豆菌の分離〕
得られた納豆菌培養液より納豆菌及び不純物を遠心分離により除去した後、硫酸アンモニウムを0.2モル添加し、ガラス繊維濾紙で濾過し、濾液として納豆菌培養エキスを得た。
【0044】
〔濃縮〕
前記納豆菌培養エキスを減圧濃縮し、ペースト状の納豆菌培養エキスを得た。
【0045】
〔還元糖及び還元糖誘導体〕
前記還元糖誘導体として還元デキストリン(商品名:H−PDX、松谷化学工業社製)、及びソルビトールを使用し、前記還元糖として麦芽糖(商品名:アマルティ、東和化成工業社製)、フルクトースを使用した。
【0046】
〔混合〕
前記納豆菌培養エキス(ペースト状)と前記還元糖又は前記還元糖誘導体とを混練して混合した。
【0047】
〔乾燥〕
上記の還元糖又は還元糖誘導体入り納豆菌培養エキスを凍結乾燥し、粉砕することにより、粉末状の還元糖入り納豆菌培養エキスを得た。
【0048】
〔カプセル化〕
上記の還元糖又は還元糖誘導体入り納豆菌培養エキスや粉末状の還元糖又は還元糖誘導体入り納豆菌培養エキスをロータリー法により、ゼラチンとグリセリンエステルとミツロウとを原料とする軟質カプセルに内包させ、カプセル製剤を得た。
【0049】
<黒変化の評価>
各試料を恒温室中で、40℃及び50℃で26日間保存し、保存開始から1日後、8日後、11日後、26日後の合計4回、色の経時変化を目視により観察し、下記の評価基準に従って評価した。なお、ほとんど色の変化がない状態のカプセル製剤の写真を図1に、多少茶色がかっている状態のカプセル製剤の写真を図2に、黒く変化している状態のカプセル製剤の写真を図3に示す。
〔評価基準〕
○:ほとんど色の変化がない状態
△:多少茶色がかっている状態
×:黒く変色している状態
【0050】
<匂いの評価>
被検者二人に各試料の匂いを嗅いでもらい、下記の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
○:ほとんど納豆の匂いがしない状態
△:わずかに納豆の匂いがする状態
×:納豆の匂いがする状態
【0051】
(実施例1)
ナットーキナーゼを含有する納豆菌培養エキス(ペースト状)と麦芽糖(商品名:アマルティ、東和化学社製)とを混合してペーストとした。前記納豆菌培養エキスに対する前記麦芽糖の添加量は、前記納豆菌培養エキスの固形分100質量部に対し、前記麦芽糖100質量部とした。得られたペーストをロータリー法を用いて、ゼラチン、グリセリンエステル、ミツロウからなる軟質カプセルに内包させ、カプセル製剤を得た。
被験者2人に、上記のカプセル製剤の匂いを嗅いでもらったが、納豆の匂いはほとんどしなかった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記カプセル製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察したが、色の変化は観られなかった。
【0052】
(実施例2)
ナットーキナーゼを含有する納豆菌培養エキス(ペースト状)と、還元デキストリン(商品名:H−PDX、松谷化学工業社製)とを混合し、凍結乾燥して粉末とした。前記納豆菌培養エキスに対する還元デキストリンの添加量は、前記納豆菌培養エキスの固形分100質量部に対し、還元デキストリン100質量部とした。
得られた粉末をロータリー法によりゼラチン、グリセリンエステル、ミツロウからなる軟質カプセルに内包させ、カプセル製剤を得た。
被験者2人に、上記のカプセル製剤の匂いを嗅いでもらったが、納豆の匂いはほとんどしなかった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記カプセル製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察したが、色の変化は観られなかった。
【0053】
(実施例3)
ナットーキナーゼを含有する納豆菌培養エキス(ペースト状)と還元デキストリン(商品名:H−PDX、松谷化学工業社製)とを混合し、凍結乾燥して粉末とした。前記納豆菌培養エキスに対する還元デキストリンの添加量は、前記納豆菌培養エキスの固形分100質量部に対し、還元デキストリン100質量部とした。
得られた粉末と結晶セルロース粉末(賦形剤)とを混合し、打錠法によりナットーキナーゼを含有する納豆菌培養エキスの錠剤を得た。
被験者2人に、上記の錠剤の匂いを嗅いでもらったが、納豆の匂いはほとんどしなかった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記錠剤を放置し、1日後、8日後、11日に後、26日後を観察したが、色の変化は観られなかった。
【0054】
(実施例4)
実施例1で得られたペーストを水で20倍に希釈して、瓶に詰めて密封し、液状製剤とした。
被験者2人に、上記の液状製剤の匂いを嗅いでもらったが、納豆の匂いはほとんどしなかった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記液状製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察したが、色の変化は観られなかった。
【0055】
(実施例5)
ナットーキナーゼを含有する納豆菌培養エキス(ペースト状)とソルビトールとを混合してペースト状とした。前記納豆菌培養エキスに対するソルビトールの添加量は、前記納豆菌培養エキスの固形分100質量部に対し、ソルビトール100質量部とした。得られたペーストをロータリー法を用いてゼラチン、グリセリンエステル、ミツロウからなる軟質カプセルに内包させ、カプセル製剤を得た。
被験者2人に、上記のカプセル製剤の匂いを嗅いでもらったが、納豆の匂いはがほとんどしなかった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記カプセル製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察した。40℃における1日後以外は色の変化がわずかに観られ、50℃においては、1日後から色の変化がわずかに観られた。
【0056】
(実施例6)
実施例1において、麦芽糖のかわりに、フルクトースを100重量部用いた以外は実施例1と同様にカプセル製剤を得た。
被験者2人に、上記のカプセル製剤の匂いを嗅いでもらったが、わずかに納豆の匂いがした。
40℃及び50℃の恒温室において、上記カプセル製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察したが、40℃及び50℃において26日後から色の変化が観られた。
【0057】
(実施例7)
実施例1において、麦芽糖を40重量部用いた以外は実施例1と同様にカプセル製剤を得た。
被験者2人に、上記のカプセル製剤の匂いを嗅いでもらったが、ほとんど納豆の匂いはしなかった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記カプセル製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察したが、40℃及び50℃において26日後から色の変化がわずかに観られた。
【0058】
(実施例8)
実施例1において、麦芽糖を160重量部用いた以外は実施例1と同様にカプセル製剤を得た。
被験者2人に、上記のカプセル製剤の匂いを嗅いでもらったが、ほとんど納豆の匂いはしなかった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記カプセル製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察したが、色の変化は観られなかった。
【0059】
(実施例9)
実施例1において、還元デキストリンを40重量部用いた以外は実施例1と同様にカプセル製剤を得た。
被験者2人に、上記のカプセル製剤の匂いを嗅いでもらったが、ほとんど納豆の匂いはしなかった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記カプセル製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察したが、40℃及び50℃において26日後から色の変化がわずかに観られた。
【0060】
(実施例10)
実施例1において、還元デキストリンを160重量部用いた以外は実施例1と同様にカプセル製剤を得た。
被験者2人に、上記のカプセル製剤の匂いを嗅いでもらったが、ほとんど納豆の匂いはしなかった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記カプセル製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察したが、ほとんど納豆の匂いはしなかった。
【0061】
(比較例1)
ナットーキナーゼを含有する納豆菌培養エキス(ペースト状)と澱粉(粉末状)を混合してペースト状とした。前記納豆菌培養エキスに対する澱粉の添加量は、前記納豆菌培養エキスの固形分100質量部に対し、澱粉50質量部とした。得られたペーストをロータリー法を用いてゼラチン、グリセリンエステル、ミツロウからなる軟質カプセルに内包させ、カプセル製剤を得た。
被験者2人に、上記のカプセル製剤の匂いを嗅いでもらったが、納豆の匂いが強かった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記カプセル製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察した。放置から1日後までは色の変化は観られなかった。しかし、日数が経過するに従って、黄褐色から茶色を経て黒色へと変色していった。
【0062】
(比較例2)
ナットーキナーゼを含有する納豆菌培養エキス(ペースト状)をロータリー法を用いてゼラチン、グリセリンエステル、ミツロウからなる軟質カプセルに内包させ、カプセル製剤を得た。
被験者2人に、上記のカプセル製剤の匂いを嗅いでもらったが、納豆の匂いが強かった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記カプセル製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察した。放置から1日後までは色の変化は観られなかった。しかし、日数が経過するに従って、黄褐色から茶色を経て黒色へと変色していった。
【0063】
(比較例3)
ナットーキナーゼを含有する納豆菌培養エキス(ペースト状)と澱粉とを混合して液状とした。前記納豆菌培養エキスに対する澱粉の添加量は、前記納豆菌培養エキスの固形分100質量部に対し、澱粉100質量部とした。前記液体を瓶詰めにして密封した。
被験者2人に、上記の液状製剤の匂いを嗅いでもらったが、納豆の匂いが強かった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記液状製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察したが、1日後から色の変化が観られた。
【0064】
(比較例4)
ナットーキナーゼを含有する納豆菌培養エキス(ペースト状)を瓶詰めにして密封した。
被験者2人に、上記の液状製剤の匂いを嗅いでもらったが、納豆の匂いが強かった。
40℃及び50℃の恒温室において、上記液状製剤を放置し、1日後、8日後、11日後、26日後を観察したが、1日後から色の変化が観られた。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
(実施例11)
ナットーキナーゼを含有する納豆菌培養エキス(ペースト状)と麦芽糖とを混合して、納豆菌培養エキス製剤を調製した。前記麦芽糖の添加量は、納豆菌培養エキス(ペースト状)の固形分と麦芽糖の総量に対して、10質量%になるように添加して、納豆菌培養エキス含有製剤を調製した。
得られた納豆培養エキス含有製剤を、恒温室中で、40℃で保存し、保存開始から0日後、6ヶ月後、12ヶ月後、24ヶ月後の合計4回、下記の方法に従いナットーキナーゼの活性を測定した。得られた値を表3に示す。
【0068】
(ナットーキナーゼの活性測定)
−試料溶液の調製−
ナットーキナーゼ活性測定時の吸光度差(試料の吸光度−ブランクの吸光度)が0.04〜0.08となるように実施例11の納豆菌培養エキス含有製剤を希釈用液(下記製法1により調製)で薄めて、試料溶液を調製した。なお、吸光度差が0.04〜0.08の時の試料濃度は、0.67〜1.33FU/gである。ここで、1FUとは、ウロキナーゼの約50IUに相当する。
【0069】
―活性測定―
試験管(直径15mm、長さ150mm)に、ホウ砂緩衝液(下記製法2により調製)1.4ml及びフィブリノーゲン溶液(下記製法3により調製)0.4mlを量り取り、37℃の恒温水槽で5分間加温し、その後トロンビン溶液(下記製法4により調製)0.1mLを加え、撹拌した。得られた溶液を37℃で10分間放置した後、試料溶液を0.1mL加え、5秒間撹拌し、37℃で放置し、試料溶液を添加してから、20分後及び40分後に各5秒間撹拌し、60分後に、0.2mol/Lトリクロロ酢酸溶液(下記製法5により調整)2mLを加えて撹拌し、37℃で20分間放置した。得られた溶液をマイクロテストチューブに入れ15,000×gで5分間遠心した。得られた上清をパスツールピペットを用いて1mL回収し、275nmにおける吸光度(A)を測定した。
また、試験管(直径15mm、長さ150mm)に、ホウ砂緩衝液(下記製法2により調製)1.4mL及びフィブリノーゲン溶液(下記製法3により調製)0.4mLを量り取り、37℃の恒温水槽で5分間加温した後、トロンビン溶液(下記製法4により調製)0.1mLを加え、撹拌した。得られた溶液を37℃の恒温水槽で10分間放置した後、0.2mL/Lトリクロロ酢酸溶液2mLを加えて撹拌し、さらに試料溶液0.1mLを加え撹拌する。この液を37℃で20分間放置した。得られた溶液をマイクロテストチューブに入れ15,000×gで5分間遠心した。得られた上清をパスツールピペットを用いて1mL回収し、275nmにおける吸光度(A)を測定した。
得られた測定値(A及びA)から、下記数式1によりナットーキナーゼの活性度を測定した。
【0070】
<数式1>
ナットーキナーゼ活性度(FU/g)=(A−A)/0.01×1/60×1/0.1×D
ただし、前記数式1中、Dは試料の希釈倍数を表す。
【0071】
−製法1(希釈用液の調製法)−
硫酸カルシウム(2水塩)0.344g(終濃度2mmol/L)及び塩化ナトリウム0.585g(終濃度10mmol/L)に水を加えて溶かし、1mol/L酢酸緩衝液2mL(終濃度2mmol/L)10%トリトンX−100溶液0.5mL(終濃度0.005%)及び水を加えて全量が1,000mLになるように調製し、希釈用液を得た。
【0072】
−製法2(ホウ砂緩衝液の調製法)−
4ホウ酸ナトリウム(10水塩)19.07g及び塩化ナトリウム9.0gに、水900mLを加えて溶解した後、得られた溶液を濃塩酸でpH8.5に調製し、さらに水を加えて全量が1000mLになるように調製し、0.05mol/Lのホウ砂緩衝液を得た。
【0073】
−製法3(フィブリノーゲン溶液の調製法)−
0.05mol/Lホウ砂緩衝液10mLを三角フラスコに量り取り、これにフィブリノーゲン(シグマ製、フィブリノーゲン フラクションI Type I−S、牛血漿由来、PRODUCT NUMBER F8630)96mgを加え、放置して溶解させた後、ろ過して浮遊物を取り除き、0.72%のフィブリノーゲン溶液を得た。
【0074】
−製法4(トロンビン溶液の調製法)−
トロンビン(シグマ製、牛血漿由来、PRODUCT NUMBER T6634)を0.05mol/Lホウ砂緩衝液に溶解し、1,000U/mLの濃度のトロンビン溶液を調製した。ナットーキナーゼ活性測定試験の使用時には、1,000U/mLトロンビン溶液を0.05mol/Lホウ砂緩衝液で50倍容量に希釈調製したものを用いた。
【0075】
(実施例12)
実施例11において、麦芽糖の添加量を20質量%にかえた以外は、実施例11と同様の方法で、納豆菌培養エキス含有製剤を調製した。得られた納豆菌培養エキス含有製剤を用いて、実施例11と同様の方法でナットーキナーゼの活性を測定した。得られた値を表3に示す。
【0076】
(実施例13)
実施例11において、麦芽糖の添加量を40質量%にかえた以外は、実施例11と同様の方法で、納豆菌培養エキス含有製剤を調製した。得られた納豆菌培養エキス含有製剤を用いて、実施例11と同様の方法でナットーキナーゼの活性を測定した。得られた値を表3に示す。
【0077】
(実施例14)
実施例13において、麦芽糖の代わりに還元デキストリンを用いた以外は、実施例13と同様の方法で、納豆菌培養エキス含有製剤を調製した。得られた納豆菌培養エキス含有製剤を用いて、実施例11と同様の方法でナットーキナーゼの活性を測定した。得られた値を表3に示す。
【0078】
(実施例15)
実施例13において、麦芽糖の代わりにフルクトースを用いた以外は、実施例13と同様の方法で、納豆菌培養エキス含有製剤を調製した。得られた納豆菌培養エキス含有製剤を用いて、実施例11と同様の方法でナットーキナーゼの活性を測定した。得られた値を表3に示す。
【0079】
(実施例16)
実施例13において、麦芽糖の代わりにソルビトールを用いた以外は、実施例13と同様の方法で、納豆菌培養エキス含有製剤を調製した。得られた納豆菌培養エキス含有製剤を用いて、実施例11と同様の方法でナットーキナーゼの活性を測定した。得られた値を表3に示す。
【0080】
(比較例5)
実施例11において、麦芽糖の添加量を添加せずに納豆菌培養エキス含有製剤を調製した。得られた納豆菌培養エキス含有製剤を用いて、実施例11と同様の方法でナットーキナーゼの活性を測定した。得られた値を表3に示す。
【0081】
【表3】

【0082】
上記の結果から、納豆菌培養エキスと、還元糖及び還元糖誘導体のいずれかと、を含有する納豆菌培養エキス含有製剤は、ナットーキナーゼの劣化を長期にわたって防止するとともに、該納豆菌培養エキス含有製剤の黒変化を抑制し、かつ納豆特有の臭気の発生をも抑制するため、納豆が苦手な人でも摂取することができる納豆菌培養エキス含有製剤である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の納豆菌培養エキス含有製剤は、医薬品や健康食品として使用することができる。また、本発明の納豆菌培養エキスの保存方法は、納豆菌培養エキスを使った医薬品や健康食品を製造する場合に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、ほとんど色の変化がない状態のカプセル製剤の写真である。
【図2】図2は、多少茶色がかっている状態のカプセル製剤の写真である。
【図3】図3は、黒く変色している状態のカプセル製剤の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
納豆菌培養エキスと、還元糖及び還元糖誘導体のいずれかと、を含有することを特徴とする納豆菌培養エキス含有製剤。
【請求項2】
納豆菌培養エキスが、ナットーキナーゼを含有する請求項1に記載の納豆菌培養エキス含有製剤。
【請求項3】
還元糖が麦芽糖であり、還元糖誘導体が還元デキストリンである請求項1から2のいずれかに記載の納豆菌培養エキス含有製剤。
【請求項4】
カプセル製剤である請求項1から3のいずれかに記載の納豆菌培養エキス含有製剤。
【請求項5】
納豆菌培養エキスと、還元糖及び還元糖誘導体のいずれかと、を混合して保存することを特徴とする納豆菌培養エキスの保存方法。
【請求項6】
納豆菌培養エキスと、還元糖及び還元糖誘導体のいずれかと、を混合して密閉した容器に保存される請求項5に記載の納豆菌培養エキスの保存方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−151950(P2006−151950A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295699(P2005−295699)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(599170788)有限会社オトコーポレーション (5)
【Fターム(参考)】