説明

紐状部材のずれ防止機構

【課題】梱包箱に外部から力が加わり変形した場合であっても、梱包箱を緊締するベルトなどの紐状部材がずれることがないようにする。
【解決手段】梱包箱Bに切込み23によって固定用片24を形成し、この固定用片24と梱包箱Bとの間でベルト3を挟み込む。ロープなどの厚みのある紐状部材3を用いる場合は、切込み25の梱包箱側及び固定用片側の少なくとも一方に、梱包箱Bの外側から内側又は内側から外側へ紐状部材3が出入するための切欠き26,27を形成するのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被梱包物を内包した梱包箱の外周を緊締する紐状部材のずれを防止する機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機等の大型製品を梱包するための梱包箱は、一般に段ボールによって構成されおり、梱包作業や開梱作業の際の重量のある大型製品の持ち上げを回避するために、梱包箱の底の部分を形成する底ケースと、その他の部分を形成する外ケースに分割した構成のものが広く使用されている。
【0003】
このような構成の梱包箱では、ポリプロピレンなどの樹脂製のベルトを梱包箱の上下方向に巻き付けて締結して、輸送中などに梱包箱が上下方向に分離しないようにしていた。
【特許文献1】特開2002−2782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、輸送中や保管中に梱包箱上に他の荷物が積み重ねられることがある。このような場合、上下方向から梱包箱に圧縮力が加わり梱包箱が変形することがある。特に段ボールによって構成された梱包箱の場合には変形度合いが大きくなる。梱包箱が変形すると、緊張していたベルトが弛緩してずれる。このベルトのずれは、上下方向の圧縮力が取り除かれても解消しないため、見栄えが悪くまた梱包箱が上下方向に分離するおそれもある。
【0005】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、梱包箱に外部から力が加わり変形した場合であってもベルトなどの紐状部材がずれることのないずれ防止機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、梱包箱の外周を緊締する紐状部材のずれを防止する機構であって、梱包箱に切込みによって固定用片を形成し、この固定用片と梱包箱との間で紐状部材を挟み込むことを特徴とする紐状部材のずれ防止機構が提供される。
【0007】
ここで紐状部材の種類によらず、一層確実に紐状部材のずれを防止する観点から、前記切り込みの梱包箱側及び固定用片側の少なくとも一方に、梱包箱の外側から内側又は内側から外側へ紐状部材が出入するための切欠きを形成するのが好ましい。
【0008】
また梱包作業や開梱作業の際の被梱包物の持ち上げを回避する観点から、前記梱包箱として、底ケースと、下面が開放され、底ケースの内側に下部を填め入れて取り付けられる外ケースとを備えるものを用いるのが好ましい。またフォークリフトによる積み降ろしや運搬を可能とする観点から、前記底ケースの底壁にパレットを取り付けてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る紐状部材のずれ防止機構では、梱包箱に切込みによって形成した固定用片と梱包箱との間で紐状部材を挟み込むので、梱包箱に外部から力が加わり変形した場合であっても新たな部品を必要とすることなく紐状部材のずれを防止できる。
【0010】
また、切り込みの梱包箱側及び固定用片側の少なくとも一方に、梱包箱の外側から内側又は内側から外側へ紐状部材が出入するための切欠きを形成すると、ロープなどのような厚みのある紐状部材であっても固定用片と梱包箱で容易に挟み込むことができ、紐状部材のずれを確実に防止できるようになる。
【0011】
梱包箱として、底ケースと、下面が開放され、底ケースの内側に下部を填め入れて取り付けられる外ケースとを備えるものを用いると、梱包作業や開梱作業の際の被梱包物の持ち上げを回避でき作業性が向上する。また底ケースの底壁にパレットを取り付けると、フォークリフトによる積み降ろしや運搬が可能となり前記と同様に作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る紐状部材のずれ防止機構について図に基づいて説明する。なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明に係るずれ防止機構を用いた梱包の一実施形態を示す斜視図である。同図(a)は梱包箱の分解斜視図であり、同図(b)は梱包後の梱包箱の斜視図である。図1の梱包箱Bは、底ケース2と外ケース1とを備える。そして底ケース2の底壁21の底面にはパレット4が固着されている。
【0014】
底ケース2は、底壁21と、底壁21の縁辺から上方に略垂直に折り曲げられた周壁22a,22b,22c,22dとを備えている。そして、対向する周壁22a,22cの上縁辺から逆「L」字状の切り込み23(図2に図示)が入れられ、これによって長方形状の固定用片24が形成されている。固定用片24の側辺中央には固定用片24を周壁22a,22cから外方へ起こし易くするための「U」字上の切り込み25(図2に図示)が形成されている。
【0015】
外ケース1は下面開口の直方体形状をしてなり、外ケース1を構成する各側壁11a,11b,11c,11dの上縁辺には、外ケース1の上壁面を形成するためのフラップ12a,12b,12c,12dがそれぞれ連設されている。このフラップ12a,12b,12c,12dは、梱包時に内側に折り曲げられ粘着テープTによって封止される。図示の実施形態においては、フラップのうち互いに対向するフラップ12a,12cの上縁辺には、略矩形状の切欠き13a,13bが形成されている。後述するようにこの切欠き13a,13bに、ベルト(紐状部材)3の両端に取り付けられたフック32,33が掛止され、梱包箱Bの外周にベルト3が巻付きつけられ、これにより梱包箱Bがベルト3で緊締される。なお、図示の実施形態では、互いに対向する2つのフラップ12a,12cに切欠き13a,13bを設けているが、全てのフラップに同様の切欠きを設けて、複数本のベルトを交差するように梱包箱の外周に巻き付けるようにしてもよい。
【0016】
このような構成の梱包箱Bを用いて被梱包物を梱包する手順を以下説明する。まず、底ケース2の底壁21上に被梱包物(不図示)を載置する。そして被梱包物の上方から外ケース1を被せ、外ケース1の下端部を底ケース2の内側に嵌合させる。このとき外ケース1のフラップ12a,12b,12c,12dは開放状態とされている。次に、両端にフック32,33が取り付けられた2本のベルト3,3をパレット4の一方側から対向する側へ柱間にそれぞれ挿通させる。
【0017】
次に、ベルト3のフック32,33をフラップ12a,12cの切欠き13a,13bに掛止させると共に、図2に示すように、底ケース2の周壁22から固定用片24を外方に起こして、固定用片24と周壁22の間の空間にベルト3を位置させる(同図(a))。そして、固定用片24を周壁22と略同一平面となる状態に戻す(同図(b))。これによりベルト3は固定用片24と周壁22によって挟み込まれ固定される。なおベルト3は、上下方向および固定用片24の幅内での左右方向にスライドすることは可能であるが、固定用片24の幅を超えて左右方向に移動することは確実に防止される。
【0018】
そして図1に示す梱包箱Bでは、外ケース1のフラップ12a,12cがまず内側に折り曲げられる。これによって、梱包箱Bの外周に巻き付けられたベルト3が緊張し、パレット4を含む底ケース2と外ケース1との分離が防止される。次にフラップ12b,12dが内側に折り曲げられて、フラップ12bとフラップ12dの当接辺に粘着テープTが貼着され梱包箱Bが封止される(図1(b))。
【0019】
本発明で使用する紐状部材に特に限定はなく、ベルト状のみならずロープ状のものなど従来公知のものを使用できる。ただし、ロープなどの厚みのある紐状部材を用いる場合は、包装箱と固定用片との間で紐状部材を挟み込みにくいことがあるので、固定用片側または梱包箱側の少なくとも一方に、紐状部材が出入するのを補助するための切欠きを設けるのが好ましい。図3に一例を示す。同図(a)は、固定用片24の下辺に半円状の切欠き26を形成して紐状部材としてのロープ3’の出入を容易にしている。また同図(b)は、固定用片24の下辺に接する周壁22に半円状の切欠き27を形成してロープ3’の出入を容易にしている。もちろん、固定用片24および周壁22の双方に切欠き26,27を形成しても構わない。
【0020】
これまで説明した実施形態では周壁22の上辺が固定用片24の上辺となるように、固定用片24が形成されていたが、周壁22や側壁11の縁辺以外に固定用片24を形成してももちろん構わない。図4に一例を示す。この図のずれ防止機構は、略「コ」字状の切込み23によって周壁22の中央部に固定用片24を形成し、固定用片24の上辺と下辺の2箇所でベルト3を挟み込むものである。ベルトを挟み込む箇所が多いほどベルトはずれにくくなる。
【0021】
また、梱包箱が左右方向に分離するものである場合、紐状部材は梱包箱の外周を水平方向に巻き付ける必要がある。この場合、図5に示すように、梱包箱Bに形成する固定用片24を、切込み23によって上辺(又は下辺)が梱包箱Bと連続した四角形状とし、この固定用片24を起こして、前記と同様にしてベルト3を挟み込むようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のずれ防止機構を用いた梱包の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の梱包箱における固定用片と包装箱によるベルトの挟み込み部分の拡大斜視図である。
【図3】固定用片と包装箱によるベルトの挟み込みの他の実施形態を示す拡大斜視図である。
【図4】固定用片と包装箱によるベルトの挟み込みのさらに他の実施形態を示す拡大斜視図である。
【図5】固定用片と包装箱によるベルトの挟み込みのさらに他の実施形態を示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 外ケース
2 底ケース
3 ベルト(紐状部材)
4 パレット
B 梱包箱
11 側壁
13a,13b 掛止用切欠き
21 底壁
22 周壁
23 切込み
24 固定用片
26,27 切欠き
31 ベルト本体
32,33 フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包箱の外周を緊締する紐状部材のずれを防止する機構であって、梱包箱に切込みによって固定用片を形成し、この固定用片と梱包箱との間で紐状部材を挟み込むことを特徴とする紐状部材のずれ防止機構。
【請求項2】
前記切り込みの梱包箱側及び固定用片側の少なくとも一方に、梱包箱の外側から内側又は内側から外側へ紐状部材が出入するための切欠きを形成した請求項1記載のずれ防止機構。
【請求項3】
前記梱包箱が、底ケースと、下面が開放され、底ケースの内側に下部を填め入れて取り付けられる外ケースとを備える請求項1又は2記載のずれ防止機構。
【請求項4】
前記底ケースの底壁にパレットを取り付けた請求項3記載のずれ防止機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−284113(P2007−284113A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114060(P2006−114060)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】