説明

純水製造装置及び純水製造装置の制御方法

【課題】被処理水の加熱及び冷却の際に使用されるエネルギーを抑制する温度制御が行わ
れる純水製造装置及び純水製造装置の制御方法の提供。
【解決手段】純水製造装置1は、被処理水を加熱する加熱部20と、加熱部20を通過後
の被処理水を脱気する脱気部40と、脱気部40を通過後の被処理水を冷却する冷却部6
0と、冷却部60を通過後の被処理水を2次処理するサブシステム部70とを備え、第1
の温度検知部21で検知された被処理水の温度をaとし、第2の温度検知部41で検知さ
れた被処理水の温度をbとし、第3の温度検知部61で検知された被処理水の温度をcと
し、第4の温度検知部71で検知された被処理水の温度をdとしたときに、bがdより高
くなるように、加熱部20の加熱の程度及び冷却部60の冷却の程度を制御し、a及びc
を調整する温度制御部90を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純水製造装置及び純水製造装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原料水に窒素ガスを供給して脱気処理(以下、脱気という)を行うことを特徴と
する高純度水製造装置(以下、純水製造装置という)が知られている(例えば、特許文献
1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−211151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような純水製造装置では、市水などの原料水または1次処理水など、
何らかの浄化処理が施される水である被処理水が処理されていく過程において、ポンプ搬
送時のポンプからの熱伝導などに起因する加熱、及び、脱気の前処理において効率的に前
処理が行える温度にするための加熱、脱気後の冷却などによって、被処理水の温度変化が
発生する。
上記特許文献1では、この被処理水の温度変化に対する温度制御に関して、殆ど触れら
れていないことから、上記純水製造装置は、脱気時の被処理水温度に対して、浄化処理さ
れた被処理水が使用される工場など、ユースポイントにおける被処理水温度の方が高くな
ることがあり得る。
【0005】
この場合、上記純水製造装置で浄化処理された被処理水は、脱気において用いた、例え
ば、窒素ガスなどの不活性ガスの、ユースポイントにおける許容溶解度が、脱気時より減
少する。この現象は、温度と気体溶解度の関係による。
これにより、上記純水製造装置で浄化処理された被処理水は、窒素ガスなどの不活性ガ
スの、ユースポイントにおける許容溶解度を超えた分が、ユースポイントにおいて気泡化
することから、この浄化処理された被処理水である純水を用いて洗浄などの処理が施され
た被処理物に、例えば、しみなどの外観上の不具合を発生させる虞がある。
【0006】
また、上記純水製造装置は、この被処理水の温度変化を調整して、上記の加熱、冷却の
際に使用されるエネルギーを、抑制するような温度制御が行われていないと考えられる。
このことから、上記純水製造装置においては、上記の加熱、冷却の際に使用されるエネ
ルギーが、本来必要な量より過剰に使用されている虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形
態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる純水製造装置は、被処理水を加熱する加熱部と、前記加
熱部を通過後の前記被処理水を脱気する脱気部と、前記脱気部を通過後の前記被処理水を
冷却する冷却部と、前記冷却部を通過後の前記被処理水を2次処理するサブシステム部と
を備えた純水製造装置であって、前記脱気部と前記冷却部との間に設けられ、前記脱気部
を通過後の前記被処理水の温度を検知する第2の温度検知部と、前記サブシステム部と前
記サブシステム部を通過後の前記被処理水が使用されるユースポイントとの間に設けられ
、前記サブシステム部を通過後の前記被処理水の温度を検知する第4の温度検知部とを有
し、前記第2の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をbとし、前記第4の温度検
知部で検知された前記被処理水の温度をdとしたときに、前記bが前記dより高くなるよ
うに、前記加熱部の加熱の程度を制御し、且つ前記第2の温度検知部でbであった前記被
処理水の温度が前記第4の温度検知部でdとなるように、前記冷却部の冷却の程度を制御
する温度制御部を備えたことを特徴とする。
【0009】
これによれば、純水製造装置は、第2の温度検知部で検知された被処理水の温度をbと
し、第4の温度検知部で検知された被処理水の温度をdとしたときに、bがdより高くな
るように、加熱部の加熱の程度を制御し、且つ第2の温度検知部でbであった被処理水の
温度が第4の温度検知部でdとなるように、冷却部の冷却の程度を制御する温度制御部を
備えている。
【0010】
したがって、純水製造装置は、温度制御部によって、bがdより高くなるように、且つ
第2の温度検知部でbであった被処理水の温度が第4の温度検知部でdとなるように、制
御されていることから、ユースポイントにおける被処理水の不活性ガスの許容溶解度が、
脱気部における脱気時と比較して減少しない。
これにより、純水製造装置は、脱気部における脱気時に被処理水に溶け込んだ、例えば
、窒素ガスなどの不活性ガスが、ユースポイントにおいて気泡化することがない。
この結果、純水製造装置は、ユースポイントにおいて、浄化処理された被処理水である
純水(以下、単に純水ともいう)を用いて洗浄などの処理が施された被処理物に、例えば
、しみなどの外観上の不具合が発生することを回避できる。
【0011】
[適用例2]上記適用例にかかる純水製造装置は、前記加熱部と前記脱気部との間に設
けられ、前記加熱部を通過後の前記被処理水の温度を検知する第1の温度検知部と、前記
冷却部と前記サブシステム部との間に設けられ、前記冷却部を通過後の前記被処理水の温
度を検知する第3の温度検知部とをさらに備え、前記第1の温度検知部で検知された前記
被処理水の温度をaとし、前記第3の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をcと
したときに、前記温度制御部が、前記bが前記dより高くなるように、前記加熱部を制御
して前記aを調整し、且つ前記第2の温度検知部でbであった前記被処理水の温度が前記
第4の温度検知部でdとなるように、前記冷却部を制御して前記cを調整することが好ま
しい。
【0012】
これによれば、純水製造装置は、温度制御部が、bがdより高くなるように、加熱部を
制御してaを調整し、且つ第2の温度検知部でbであった被処理水の温度が第4の温度検
知部でdとなるように、冷却部を制御してcを調整する。
このことから、純水製造装置は、被処理水の温度制御を確実に行うことができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例にかかる純水製造装置は、前記bが、前記dに、前記bの温度
ばらつきによる温度ばらつき分を加えたことが好ましい。
【0014】
これによれば、純水製造装置は、bが、dに、bの温度のばらつきによる温度ばらつき
分を加えたことから、加熱部による被処理水の加熱及び冷却部による被処理水の冷却が効
率的に制御されている。
したがって、純水製造装置は、加熱及び冷却の際に使用されるエネルギーが、本来必要
な量より過剰に使用されることを回避できる。
【0015】
[適用例4]上記適用例にかかる純水製造装置は、前記bが、前記dに、セルシウス度
で0℃〜0.3℃の範囲の温度を加えたことが好ましい。
【0016】
これによれば、純水製造装置は、bが、dに、セルシウス度で0℃〜0.3℃の範囲の
温度を加えたことから、bとdとの温度差がこれより大きい場合と比較して、加熱部によ
る被処理水の加熱及び冷却部による被処理水の冷却が、より効率的に制御されている。
したがって、純水製造装置は、bとdとの温度差が上記より大きい場合と比較して、加
熱及び冷却の際に使用されるエネルギーを低減することができる。
【0017】
[適用例5]上記適用例にかかる純水製造装置は、前記加熱部と前記脱気部との間に、
前記被処理水を濾過する濾過部が設けられていることが好ましい。
【0018】
これによれば、純水製造装置は、加熱部と脱気部との間に、被処理水を濾過する濾過部
が設けられていることから、濾過部により脱気前の被処理水を濾過することができる。
この結果、純水製造装置は、被処理水に含まれている不純物が除去され、被処理水の純
度が向上することから、脱気部による脱気を効率的及び確実に行うことができる。
【0019】
[適用例6]上記適用例にかかる純水製造装置は、前記脱気部が窒素ガスにより前記被
処理水の脱気を行うことが好ましい。
【0020】
これによれば、純水製造装置は、脱気部が窒素ガスにより被処理水の脱気を行うことか
ら、安価で入手が容易な窒素ガスの使用によって、費用をかけずに、いつでも脱気を行う
ことができる。
【0021】
[適用例7]上記適用例にかかる純水製造装置は、前記脱気部が元素周期表におけるVI
II族の不活性ガスにより、前記被処理水の脱気を行うことが好ましい。
【0022】
これによれば、純水製造装置は、脱気部が元素周期表におけるVIII族の不活性ガスによ
り被処理水の脱気を行うことから、VIII族の不活性ガスの特性によって、例えば、窒素ガ
スと比較して、品質的により安定した脱気を行うことができる。
【0023】
[適用例8]本適用例にかかる純水製造装置の制御方法は、被処理水を加熱する加熱部
と、前記加熱部を通過後の前記被処理水を脱気する脱気部と、前記脱気部を通過後の前記
被処理水を冷却する冷却部と、前記冷却部を通過後の前記被処理水を2次処理するサブシ
ステム部とを備えた純水製造装置の制御方法であって、前記純水製造装置が、前記脱気部
と前記冷却部との間に設けられ、前記脱気部を通過後の前記被処理水の温度を検知する第
2の温度検知部と、前記サブシステム部と前記サブシステム部を通過後の前記被処理水が
使用されるユースポイントとの間に設けられ、前記サブシステム部を通過後の前記被処理
水の温度を検知する第4の温度検知部と、前記被処理水の温度を制御する温度制御部とを
有し、前記第2の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をbとし、前記第4の温度
検知部で検知された前記被処理水の温度をdとしたときに、前記温度制御部によって、前
記bが前記dより高くなるように、前記加熱部の加熱の程度を制御し、且つ前記第2の温
度検知部でbであった前記被処理水の温度が前記第4の温度検知部でdとなるように、前
記冷却部の冷却の程度を制御することを特徴とする。
【0024】
これによれば、純水製造装置の制御方法は、温度制御部によって、第2の温度検知部で
検知された被処理水の温度をbとし、第4の温度検知部で検知された被処理水の温度をd
としたときに、bがdより高くなるように、加熱部の加熱の程度を制御し、且つ第2の温
度検知部でbであった被処理水の温度が第4の温度検知部でdとなるように、冷却部の冷
却の程度を制御する。
【0025】
したがって、純水製造装置の制御方法は、bがdより高くなるように、且つ第2の温度
検知部でbであった被処理水の温度が第4の温度検知部でdとなるように、制御している
ことから、上述したように、脱気部における脱気時に溶け込んだ不活性ガスが、ユースポ
イントにおいて気泡化することがない。
これにより、純水製造装置の制御方法は、ユースポイントにおいて純水を用いて洗浄な
どの処理が施された被処理物に、例えば、しみなどの外観上の不具合が発生することを回
避できる。
【0026】
[適用例9]上記適用例にかかる純水製造装置の制御方法は、前記純水製造装置が、前
記加熱部と前記脱気部との間に設けられ、前記加熱部を通過後の前記被処理水の温度を検
知する第1の温度検知部と、前記冷却部と前記サブシステム部との間に設けられ、前記冷
却部を通過後の前記被処理水の温度を検知する第3の温度検知部とをさらに備え、前記第
1の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をaとし、前記第3の温度検知部で検知
された前記被処理水の温度をcとしたときに、前記温度制御部によって、前記bが前記d
より高くなるように、前記加熱部を制御して前記aを調整し、且つ前記第2の温度検知部
でbであった前記被処理水の温度が前記第4の温度検知部でdとなるように、前記冷却部
を制御して前記cを調整することが好ましい。
【0027】
これによれば、純水製造装置の制御方法は、温度制御部によって、bがdより高くなる
ように、加熱部を制御してaを調整し、且つ第2の温度検知部でbであった被処理水の温
度が第4の温度検知部でdとなるように、冷却部を制御してcを調整する。
このことから、純水製造装置の制御方法は、被処理水の温度制御を確実に行うことがで
きる。
【0028】
[適用例10]上記適用例にかかる純水製造装置の制御方法は、前記bが、前記dに、
前記bの温度ばらつきによる温度ばらつき分を加えたことが好ましい。
【0029】
これによれば、純水製造装置の制御方法は、bが、dに、bの温度ばらつきによる温度
ばらつき分を加えたことから、加熱部による被処理水の加熱及び冷却部による被処理水の
冷却を、効率的に制御できる。
したがって、純水製造装置の制御方法は、加熱及び冷却の際に使用されるエネルギーが
、本来必要な量より過剰に使用されることを回避できる。
【0030】
[適用例11]上記適用例にかかる純水製造装置の制御方法は、前記bが、前記dに、
セルシウス度で0℃〜0.3℃の範囲の温度を加えたことが好ましい。
【0031】
これによれば、純水製造装置の制御方法は、bが、dに、セルシウス度で0℃〜0.3
℃の範囲の温度を加えたことから、bとdとの温度差がこれより大きい場合と比較して、
加熱部による被処理水の加熱及び冷却部による被処理水の冷却を、より効率的に制御でき
る。
したがって、純水製造装置の制御方法は、bとdとの温度差が上記より大きい場合と比
較して、加熱及び冷却の際に使用されるエネルギーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態の純水製造装置の概略構成を示す模式図。
【図2】純水製造装置における被処理水の温度制御の一例を示す図。
【図3】被処理水の、第2の温度検知部における温度データの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、純水製造装置及び純水製造装置の制御方法の実施形態について図面を参照して説
明する。
【0034】
(実施形態)
図1は、本実施形態の純水製造装置の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、純水製造装置1は、河川水、地下水、市水などの原料水または前処
理により一定の不純物が除去された1次処理水など、何らかの浄化処理が施される水であ
る被処理水を貯留する貯水槽10と、貯水槽10から搬送された被処理水を加熱する加熱
部20と、加熱部20を通過後の被処理水を脱気する脱気部40と、脱気部40を通過後
の被処理水を冷却する冷却部60と、冷却部60を通過後の被処理水を2次処理するサブ
システム部70とを備えている。
【0035】
また、純水製造装置1は、加熱部20を通過後の被処理水を脱気部40の前段で濾過す
る濾過部30と、脱気部40を通過後の被処理水を冷却部60の前段で一時的に貯留する
サブタンク50とを備えている。
そして、純水製造装置1は、加熱部20と脱気部40との間に設けられ、加熱部20を
通過後の被処理水の温度を検知する第1の温度検知部21と、脱気部40と冷却部60と
の間に設けられ、脱気部40を通過後の被処理水の温度を検知する第2の温度検知部41
と、冷却部60とサブシステム部70との間に設けられ、冷却部60を通過後の被処理水
の温度を検知する第3の温度検知部61と、サブシステム部70とサブシステム部70を
通過後の被処理水が使用されるユースポイント80との間に設けられ、サブシステム部7
0を通過後の被処理水の温度を検知する第4の温度検知部71とを有している。
加えて、純水製造装置1は、各温度検知部で検知された被処理水の温度に基づいて、加
熱部20の加熱の程度及び冷却部60の冷却の程度を制御する温度制御部90を備えてい
る。
【0036】
被処理水は、図1に示すように、貯水槽10から実線矢印の方向に搬送され、加熱部2
0、濾過部30、脱気部40、サブタンク50、冷却部60、サブシステム部70を通過
することにより浄化処理され、所定の純度、例えば、比抵抗が18MΩ・cm以上に到達
した状態で、ユースポイント80である半導体、液晶表示パネル、精密微細加工部品など
の製造工場などにおける1箇所または複数個所の洗浄処理設備などに純水として供給され
る。
なお、被処理水の搬送には、図示しない複数のポンプが使用され、所定の流量の被処理
水が安定した状態で搬送されている。この際、被処理水は、ポンプからの熱伝導などによ
って加熱され、温度が上昇する。
なお、ユースポイント80で使用された純水(浄化処理済みの被処理水)は、排水とし
て排出され、ユースポイント80で未使用の純水は、リターン水としてサブタンク50に
戻される。
【0037】
加熱部20では、蒸気を用いた加熱器により被処理水を加熱することで、濾過部30で
の濾過を容易にするとともに、後段の脱気部40などを経た後、ユースポイント80にお
いて、ユースポイント80の純水に対する要求温度に到達するように、被処理水の温度が
上げられる。
濾過部30では、逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis Membraneともいう)などを用い
て被処理水を濾過することにより、被処理水に含まれる微生物や異物などの不純物が除去
される。
なお、濾過部30の前段では、逆浸透膜を用いた被処理水の濾過が効率的に行われるよ
うに、ポンプにより浸透圧以上の圧力が被処理水に加えられている。
【0038】
脱気部40では、窒素ガス、元素周期表におけるVIII族の不活性ガスであるヘリウムガ
ス、アルゴンガスなどを用いて、分圧により被処理水に含まれている溶存酸素などと置換
させることで、被処理水に含まれている溶存酸素などの気体成分が脱気される。
冷却部60では、加熱部20における加熱及び加熱部20から濾過部30、脱気部40
、サブタンク50を経由して冷却部60まで搬送される際に、濾過、脱気、ポンプからの
熱伝導などで加熱されて温度が高くなった被処理水を、冷水を用いた冷却器により冷却す
ることで、後段のサブシステム部70などを経た後、ユースポイント80において、ユー
スポイント80の純水に対する要求温度に到達するように、被処理水の温度が下げられる

【0039】
サブシステム部70では、被処理水に紫外線を照射して有機物を分解する紫外線照射装
置、紫外線照射後の被処理水を濾過して微生物や異物などの不純物を除去する濾過装置な
どにより、被処理水が2次処理される。
サブシステム部70で2次処理された被処理水は、純水としてポンプによってユースポ
イント80へ搬送される。
【0040】
第1〜第4の各温度検知部21,41,61,71では、通過する被処理水の温度が温
度計により検知され、検知された被処理水の温度データが、マイクロコンピューターなど
を備えた温度制御部90に伝達される。なお、被処理水の温度検知は、温度制御部90か
らの指示などに基づき常時または随時行われる。
【0041】
温度制御部90では、各温度検知部で検知された被処理水の温度データに基づいて、加
熱部20の加熱の程度及び冷却部60の冷却の程度を制御する。
詳述すると、温度制御部90は、第2の温度検知部41で検知される被処理水の温度が
、第4の温度検知部71で検知される被処理水の温度より高くなるように、加熱部20の
加熱の程度及び冷却部60の冷却の程度を制御し、第1の温度検知部21で検知される被
処理水の温度、及び第3の温度検知部61で検知される被処理水の温度を変化させる。
【0042】
ここで、純水製造装置1の制御方法としての温度制御部90の制御動作について説明す
る。
【0043】
ここで、第1の温度検知部21で検知された被処理水の温度をaとし、第2の温度検知
部41で検知された被処理水の温度をbとし、第3の温度検知部61で検知された被処理
水の温度をcとし、第4の温度検知部71で検知された被処理水の温度をdとする。
温度制御部90は、bがdより高くなるように、加熱部20の加熱器の蒸気量、蒸気圧
、蒸気温度などの調整により加熱の程度を制御してaを調整し、且つ第2の温度検知部4
1でbであった被処理水の温度が第4の温度検知部71でdとなるように、冷却部60の
冷却器の冷水量、冷水圧、冷水温度などの調整により冷却の程度を制御してcを調整する

【0044】
ここで、後述するユースポイント80での気泡を防止する為、温度bは温度dを下回ら
ない温度に設定することが好ましい。温度bは前述した搬送用のポンプからの過熱ばらつ
き、また配管からの放熱ばらつき、さらには制御系の制御誤差によるばらつきの影響を受
ける。よって温度bは、前記原因から生ずる温度ばらつきを考慮して温度dを下回らない
温度に設定し制御することが重要となる。
なお、ばらつきが無視できる程度の温度であれば、設定温度bは温度dと同等であって
もよい。
【0045】
ここで、上記の温度制御部90の制御動作について、図面を参照して説明する。
図2は、本実施形態の純水製造装置における被処理水の温度制御の一例を示す図である

図2において、実線の折れ線Eは、温度制御部90による温度制御がされている時の図
1における純水製造装置1内の貯水槽10から第4の温度検知部71までの温度推移を表
し、破線の折れ線Gは、温度制御部90による温度制御がされていない時の図1における
純水製造装置1内の貯水槽10から第4の温度検知部71までの温度推移を表す。
また、図2の横軸は、被処理水の温度検知地点を示し、図2の縦軸は、被処理水の温度
を示す。
【0046】
なお、ここでは、便宜的に温度の単位をセルシウス度(摂氏度)とするが、温度の単位
には、数値を変換してファーレンハイト度(華氏度)、ケルビンなどを用いることができ
る。
また、ここでは、貯水槽10における被処理水の温度を23.5℃とし、ユースポイン
ト80における純水(浄化処理済みの被処理水)に対する要求温度を、25.0℃とする
。また、第4の温度検知部71からユースポイント80までは、被処理水の温度変化がな
いものとする。
【0047】
図2に示すように、温度制御部90による温度制御がされている場合(以下、単に温度
制御されている場合ともいう)には、第4の温度検知部71で検知される被処理水の温度
d℃(以下、単に温度d℃ともいう)が25.0℃となり、第2の温度検知部41で検知
される被処理水の温度b℃(以下、単に温度b℃ともいう)が25.0℃より高くなるよ
うに、温度制御部90によって加熱部20の加熱の程度及び冷却部60の冷却の程度が制
御される。
【0048】
この際、温度制御部90は、温度d℃の目標値である25.0℃に、温度ばらつきによ
る被処理水の温度ばらつき分T1を加えた温度と温度b℃とが略等しくなるように、加熱
部20の加熱の程度を制御して、第1の温度検知部21で検知される被処理水の温度a℃
(以下、単に温度a℃ともいう)を調整する。
そして、温度制御部90は、最終的に温度d℃が25.0℃になるように、冷却部60
の冷却の程度を制御して、第3の温度検知部61で検知される被処理水の温度c℃(以下
、単に温度c℃ともいう)を調整する。
【0049】
この際、温度制御部90は、被処理水の温度が、第1の温度検知部21から第2の温度
検知部41までと、第3の温度検知部61から第4の温度検知部71までとの搬送に伴う
ポンプからの熱伝導などで加熱される分を反映させて、加熱部20の加熱の程度及び冷却
部60の冷却の程度を制御する。
なお、上記の温度上昇分は、各温度検知部で事前に検知された被処理水の温度データに
基づいて導出される。
【0050】
ここで、温度ばらつきによる被処理水の温度ばらつき分T1(以下、単に温度ばらつき
分T1という)について図面を参照して説明する。
図3は、被処理水の、第2の温度検知部における温度データの一例を示す図である。
【0051】
図3に示すように、第2の温度検知部41で検知された被処理水の4つの温度データの
ばらつきの程度を示す標準偏差は、0.10℃である。
したがって、被処理水の温度データのばらつきが正規分布であると想定すると、温度ば
らつき分T1を、標準偏差の3倍の値である0.3℃とすれば、被処理水の温度ばらつき
は、温度ばらつき分T1=0.3℃内に収まることになる。
この結果、純水製造装置1は、温度b℃が、温度d℃の目標値である25.0℃に、温
度ばらつき分T1として0.3℃を加えた温度(25.3℃)と略等しい温度になること
により、温度ばらつきがあっても、温度b℃が温度d℃より高くなる。
【0052】
図2に戻って、これらのことから、温度制御部90は、温度b℃が25.3℃となるよ
う加熱部20の加熱の程度を制御してもよい。または、温度制御部90は、第1の温度検
知部21から第2の温度検知部41までの搬送に伴うポンプからの熱伝導などで加熱され
る分(以下、前段温度上昇分という)(1.0℃)を反映させて、温度a℃が24.3℃
となるように加熱部20の加熱の程度を制御してもよい。
この結果、温度b℃は、温度a℃(24.3℃)に、前段温度上昇分(1.0℃)が加
わる25.3℃となり、温度d℃の目標値(25.0℃)に温度ばらつき分T1(0.3
℃)を加えた温度(25.3℃)と等しくなる。
【0053】
そして、温度制御部90は、温度d℃が25.0℃となるよう冷却部60の冷却の程度
を制御してもよい。あるいは、温度制御部90は、第3の温度検知部61から第4の温度
検知部71までの搬送に伴うポンプからの熱伝導などで加熱される分(以下、後段温度上
昇分という)(0.6℃)を反映させて、温度c℃が24.4℃となるように冷却部60
の冷却の程度を制御してもよい。
この結果、温度d℃は、温度c℃(24.4℃)に、後段温度上昇分(0.6℃)が加
わることにより25.0℃となり、ユースポイント80における純水に対する要求温度(
25.0℃)を満足することができる。
【0054】
一方、従来のような、温度制御部90による温度制御がされていない場合(以下、単に
温度制御されていない場合ともいう)、被処理水は、前段温度上昇分が無視され、第1の
温度検知部21で検知される被処理水の温度a’℃(以下、単に温度a’℃ともいう)が
、ユースポイント80における純水に対する要求温度である25.0℃になるまで、加熱
部20によって加熱される。
この結果、第2の温度検知部41で検知される被処理水の温度b’℃(以下、単に温度
b’℃ともいう)は、温度a’℃(25.0℃)に、前段温度上昇分(1.0℃)が加わ
ることにより、26.0℃となる。
【0055】
そして、被処理水は、後段温度上昇分が無視され、第3の温度検知部61で検知される
被処理水の温度c’℃(以下、単に温度c’℃ともいう)が、ユースポイント80におけ
る純水に対する要求温度である25.0℃になるまで、冷却部60によって1.0℃冷却
される。
この結果、第4の温度検知部71で検知される被処理水の温度d’℃(以下、単に温度
d’℃ともいう)は、温度c’℃(25.0℃)に、後段温度上昇分(0.6℃)が加わ
ることにより25.6℃となり、このままでは、ユースポイント80における純水に対す
る要求温度(25.0℃)を満足することができない。
【0056】
この事態を避けるために、温度制御されていない場合は、試行錯誤により温度c’℃の
適正値を見出し、図2の2点鎖線の折れ線Hで示すように、温度c’℃が、温度制御され
ている場合(実線)の温度c℃と同じ24.4℃になるまで、冷却部60による冷却が継
続される。
温度c’℃が24.4℃となった結果、温度d’℃は、25.0℃となり、ユースポイ
ント80における純水に対する要求温度(25.0℃)を満足することができる。
【0057】
これらのことから、温度制御されている場合(実線)は、温度制御されていない場合(
破線)と比較して、温度a’℃と温度a℃との温度差T2(0.7℃)分、例えば、蒸気
使用量が少なくて済むことから、加熱部20による加熱の程度を抑制することができる。
また、温度制御されている場合は、温度制御されていない場合と比較して、温度b’℃
と温度b℃との温度差T3(0.7℃)分、例えば、冷水使用量が少なくて済むことから
、冷却部60による冷却の程度を抑制することができる。
【0058】
この結果、温度制御されている場合は、加熱及び冷却の際に使用されるエネルギーが、
温度制御されていない場合と比較して、少量ですむことから、省エネルギー効果を奏する
ことができる。
【0059】
ところで、温度制御されていない場合は、被処理水の前段温度上昇分と後段温度上昇分
とが無視されている。
このことから、温度制御されていない場合は、被処理水の前段温度上昇分より後段温度
上昇分の方が大きいと、温度b’℃が温度d’℃より低くなることがあり得る。
【0060】
これにより、温度制御されていない場合は、脱気部40の脱気時に、被処理水に溶け込
んだ窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスの、ユースポイント80に
おける許容溶解度が減少する。
この結果、温度制御されていない場合は、ユースポイント80における許容溶解度を超
えて被処理水に溶け込んでいる分の不活性ガスが、ユースポイント80において気泡化す
ることから、純水(浄化処理済みの被処理水)を用いて洗浄などの処理が施された被処理
物に、例えば、しみなどの外観上の不具合が発生することがある。
【0061】
これに対して、温度制御されている場合は、上述したように、温度制御部90における
制御のばらつきがあっても、温度b℃が温度d℃より高くなる。
この結果、温度制御されている場合は、ユースポイント80において、被処理水の不活
性ガスの許容溶解度が、脱気部40の脱気時と比較して減少しないことから、被処理水に
溶け込んだ不活性ガスが気泡化しない。
したがって、温度制御されている場合は、ユースポイント80において、純水を用いて
洗浄などの処理が施された被処理物に、例えば、しみなどの外観上の不具合が発生するこ
とを回避できる。
【0062】
なお、上記の説明に用いた被処理水の温度は、一例であり上記の値に限定するものでは
ない。被処理水の温度は、純水製造装置1の構成、ユースポイント80からの要求温度な
どにより、適宜設定される。また、温度ばらつき分T1は、0.3℃に限定するものでは
なく、0.3℃を超える例えば、ばらつきの実態に合わせて0.4℃〜0.9℃などとし
てもよく、0.3℃を下回る例えば、0.2℃,0.1℃などとしてもよい。
【0063】
但し、純水製造装置1は、温度ばらつき分T1が大きくなるに連れて、被処理水の加熱
、冷却の程度が高まり、使用するエネルギーが増えることから、この点を考慮して、温度
ばらつき分T1を決める必要がある。
【0064】
なお、純水製造装置1において、第1の温度検知部21は、加熱部20の近くに設けら
れることが好ましく、第2の温度検知部41は、脱気部40の近くに設けられることが好
ましい。また、第3の温度検知部61は、冷却部60の近くに設けられることが好ましく
、第4の温度検知部71は、ユースポイント80の近くに設けられることが好ましい。
【0065】
上述したように、本実施形態の純水製造装置1は、第1の温度検知部21で検知された
被処理水の温度をa℃とし、第2の温度検知部41で検知された被処理水の温度をb℃と
し、第3の温度検知部61で検知された被処理水の温度をc℃とし、第4の温度検知部7
1で検知された被処理水の温度をd℃としたときに、b℃がd℃より高くなるように、且
つ第2の温度検知部41でb℃であった被処理水の温度が第4の温度検知部71でd℃と
なるように、加熱部20の加熱の程度及び冷却部60の冷却の程度を制御し、a℃及びc
℃を調整する温度制御部90を備えている。
【0066】
したがって、純水製造装置1は、温度制御部90によって、b℃がd℃より高くなるよ
うに、且つ第2の温度検知部41でb℃であった被処理水の温度が第4の温度検知部71
でd℃となるように、確実に制御されていることから、脱気部40における脱気時に、被
処理水に溶け込んだ窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスが、ユース
ポイント80において気泡化することがない。
この結果、純水製造装置1は、ユースポイント80において、純水を用いて洗浄などの
処理が施された被処理物に、例えば、しみなどの外観上の不具合が発生することを回避で
きる。
【0067】
また、純水製造装置1は、第2の温度検知部41で検知された被処理水の温度b℃が、
第4の温度検知部71で検知された被処理水の温度d℃に、温度ばらつきによる温度ばら
つき分T1を加えた温度と略等しいことから、加熱部20による被処理水の加熱及び冷却
部60による被処理水の冷却が、必要最小限に近いレベルで行われ、効率的な温度制御が
なされている。
したがって、純水製造装置1は、加熱及び冷却の際に使用されるエネルギーが、本来必
要な量より過剰に使用されることを回避できることから、省エネルギー効果を奏する。
【0068】
また、純水製造装置1は、第2の温度検知部41で検知された被処理水の温度b℃が、
第4の温度検知部71で検知された被処理水の温度d℃に0.3℃を加えた温度である。
この結果、純水製造装置1は、第2の温度検知部41で検知された被処理水の温度b℃
と、第4の温度検知部71で検知された被処理水の温度d℃との温度差が、0.3℃より
大きい場合と比較して、加熱部20による被処理水の加熱及び冷却部60による被処理水
の冷却が、より効率的に制御されている。
したがって、純水製造装置1は、第2の温度検知部41で検知された被処理水の温度b
℃と、第4の温度検知部71で検知された被処理水の温度d℃との温度差が、0.3℃よ
り大きい場合と比較して、加熱及び冷却の際に使用されるエネルギーを、低減することが
できる。
【0069】
また、純水製造装置1は、加熱部20と脱気部40との間に、被処理水を濾過する濾過
部30が設けられていることから、濾過部30により、脱気部40での脱気前の被処理水
を濾過することができる。
この結果、純水製造装置1は、被処理水に含まれている微生物や異物などの不純物が除
去され、被処理水の純度が向上することから、脱気部40による脱気を効率的及び確実に
行うことができる。
【0070】
また、純水製造装置1は、脱気部40が窒素ガスにより被処理水の脱気を行うことから
、安価で入手が容易な窒素ガスの使用によって、低コストで定常的に脱気を行うことがで
きる。
【0071】
また、純水製造装置1は、脱気部40が元素周期表におけるVIII族の不活性ガスである
ヘリウムガス、アルゴンガスなどにより被処理水の脱気を行うことから、ヘリウムガス、
アルゴンガスなどの特性によって、例えば、窒素ガスと比較して、品質的により安定した
脱気を行うことができる。
【0072】
また、純水製造装置1の制御方法は、第1の温度検知部21で検知された被処理水の温
度をa℃とし、第2の温度検知部41で検知された被処理水の温度をb℃とし、第3の温
度検知部61で検知された被処理水の温度をc℃とし、第4の温度検知部71で検知され
た被処理水の温度をd℃としたときに、b℃がd℃より高くなるように、且つ第2の温度
検知部41でb℃であった被処理水の温度が第4の温度検知部71でd℃となるように、
温度制御部90によって加熱部20の加熱の程度及び冷却部60の冷却の程度を制御し、
a℃及びc℃を調整する。
【0073】
したがって、純水製造装置1の制御方法は、b℃がd℃より高くなるように、且つ第2
の温度検知部41でb℃であった被処理水の温度が第4の温度検知部71でd℃となるよ
うに、確実に制御していることから、脱気部40における脱気時に、被処理水に溶け込ん
だ例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスが、ユースポイント
80において気泡化することがない。
これにより、純水製造装置1の制御方法は、ユースポイント80において、純水を用い
て洗浄などの処理が施された被処理物に、例えば、しみなどの外観上の不具合が発生する
ことを回避できる。
【0074】
また、純水製造装置1の制御方法は、第2の温度検知部41で検知された被処理水の温
度b℃が、温度ばらつきによる温度ばらつき分T1を、第4の温度検知部71で検知され
た被処理水の温度d℃に加えた温度と略等しいことから、加熱部20による被処理水の加
熱及び冷却部60による被処理水の冷却を効率的に制御できる。
したがって、純水製造装置1の制御方法は、加熱及び冷却の際に使用されるエネルギー
が、本来必要な量より過剰に使用されることを回避できる。
【0075】
また、純水製造装置1の制御方法は、第2の温度検知部41で検知された被処理水の温
度b℃が、第4の温度検知部71で検知された被処理水の温度d℃に0.3℃を加えた温
度である。
このことから、純水製造装置1の制御方法は、第2の温度検知部41で検知された被処
理水の温度b℃と、第4の温度検知部71で検知された被処理水の温度d℃との温度差が
、0.3℃より大きい場合と比較して、加熱部20による被処理水の加熱及び冷却部60
による被処理水の冷却を、より効率的に制御できる。
したがって、純水製造装置1の制御方法は、第2の温度検知部41で検知された被処理
水の温度b℃と、第4の温度検知部71で検知された被処理水の温度d℃との温度差が、
0.3℃より大きい場合と比較して、加熱及び冷却の際に使用されるエネルギーを低減す
ることができる。
【符号の説明】
【0076】
1…純水製造装置、10…貯水槽、20…加熱部、21…第1の温度検知部、30…濾
過部、40…脱気部、41…第2の温度検知部、50…サブタンク、60…冷却部、61
…第3の温度検知部、70…サブシステム部、71…第4の温度検知部、80…ユースポ
イント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を加熱する加熱部と、前記加熱部を通過後の前記被処理水を脱気する脱気部と
、前記脱気部を通過後の前記被処理水を冷却する冷却部と、前記冷却部を通過後の前記被
処理水を2次処理するサブシステム部とを備えた純水製造装置であって、
前記脱気部と前記冷却部との間に設けられ、前記脱気部を通過後の前記被処理水の温度
を検知する第2の温度検知部と、
前記サブシステム部と前記サブシステム部を通過後の前記被処理水が使用されるユース
ポイントとの間に設けられ、前記サブシステム部を通過後の前記被処理水の温度を検知す
る第4の温度検知部とを有し、
前記第2の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をbとし、
前記第4の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をdとしたときに、
前記bが前記dより高くなるように、前記加熱部の加熱の程度を制御し、且つ前記第2
の温度検知部でbであった前記被処理水の温度が前記第4の温度検知部でdとなるように
、前記冷却部の冷却の程度を制御する温度制御部を備えたことを特徴とする純水製造装置

【請求項2】
請求項1に記載の純水製造装置において、前記加熱部と前記脱気部との間に設けられ、
前記加熱部を通過後の前記被処理水の温度を検知する第1の温度検知部と、
前記冷却部と前記サブシステム部との間に設けられ、前記冷却部を通過後の前記被処理
水の温度を検知する第3の温度検知部とをさらに備え、
前記第1の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をaとし、
前記第3の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をcとしたときに、
前記温度制御部が、前記bが前記dより高くなるように、前記加熱部を制御して前記a
を調整し、且つ前記第2の温度検知部でbであった前記被処理水の温度が前記第4の温度
検知部でdとなるように、前記冷却部を制御して前記cを調整することを特徴とする純水
製造装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の純水製造装置において、前記bは、前記dに、前記bの温度
ばらつきによる温度ばらつき分を加えたことを特徴とする純水製造装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の純水製造装置において、前記bは、前記dに、セルシウス度
で0℃〜0.3℃の範囲の温度を加えたことを特徴とする純水製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の純水製造装置において、前記加熱部と前記脱気部
との間に、前記被処理水を濾過する濾過部が設けられていることを特徴とする純水製造装
置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の純水製造装置において、前記脱気部が窒素ガスに
より前記被処理水の脱気を行うことを特徴とする純水製造装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の純水製造装置において、前記脱気部が元素周期表
におけるVIII族の不活性ガスにより、前記被処理水の脱気を行うことを特徴とする純水製
造装置。
【請求項8】
被処理水を加熱する加熱部と、前記加熱部を通過後の前記被処理水を脱気する脱気部と
、前記脱気部を通過後の前記被処理水を冷却する冷却部と、前記冷却部を通過後の前記被
処理水を2次処理するサブシステム部とを備えた純水製造装置の制御方法であって、
前記純水製造装置が、前記脱気部と前記冷却部との間に設けられ、前記脱気部を通過後
の前記被処理水の温度を検知する第2の温度検知部と、
前記サブシステム部と前記サブシステム部を通過後の前記被処理水が使用されるユース
ポイントとの間に設けられ、前記サブシステム部を通過後の前記被処理水の温度を検知す
る第4の温度検知部と、
前記被処理水の温度を制御する温度制御部とを有し、
前記第2の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をbとし、
前記第4の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をdとしたときに、
前記温度制御部によって、前記bが前記dより高くなるように、前記加熱部の加熱の程
度を制御し、且つ前記第2の温度検知部でbであった前記被処理水の温度が前記第4の温
度検知部でdとなるように、前記冷却部の冷却の程度を制御することを特徴とする純水製
造装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の純水製造装置の制御方法において、前記純水製造装置が、前記加熱部
と前記脱気部との間に設けられ、前記加熱部を通過後の前記被処理水の温度を検知する第
1の温度検知部と、
前記冷却部と前記サブシステム部との間に設けられ、前記冷却部を通過後の前記被処理
水の温度を検知する第3の温度検知部とをさらに備え、
前記第1の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をaとし、
前記第3の温度検知部で検知された前記被処理水の温度をcとしたときに、
前記温度制御部によって、前記bが前記dより高くなるように、前記加熱部を制御して
前記aを調整し、且つ前記第2の温度検知部でbであった前記被処理水の温度が前記第4
の温度検知部でdとなるように、前記冷却部を制御して前記cを調整することを特徴とす
る純水製造装置の制御方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の純水製造装置の制御方法において、前記bは、前記dに、前
記bの温度ばらつきによる温度ばらつき分を加えたことを特徴とする純水製造装置の制御
方法。
【請求項11】
請求項8または9に記載の純水製造装置の制御方法において、前記bは、前記dに、セ
ルシウス度で0℃〜0.3℃の範囲の温度を加えたことを特徴とする純水製造装置の制御
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−503(P2010−503A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143982(P2009−143982)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】