説明

純粋且つ安定な臭化チオトロピウム

本発明は、純度99%以上の臭化チオトロピウムの溶媒和物、このような純粋な溶媒和物を調製する方法、及びこれらの医薬製剤としての使用に関する。また、本発明は、HPLCによる面積が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する臭化チオトロピウム溶媒和物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は以下の出願日の利益を請求する。
米国仮特許出願第60/836,037号(2006年8月7日出願)、
米国仮特許出願第60/835,200号(2006年8月3日出願)、
米国仮特許出願第60/835,201号(2006年8月3日出願)、
米国仮特許出願第60/752,672号(2006年12月19日出願)、
米国仮特許出願第60/754,530号(2005年12月27日出願)、
米国仮特許出願第60/761,437号(2006年1月23日出願)、
米国仮特許出願第60/774,051号(2006年2月15日出願)、
米国仮特許出願第60/780,310号(2006年3月7日出願)、
米国仮特許出願第60/830,231号(2006年7月10日出願)、
米国仮特許出願第60/832,189号(2006年7月20日出願)、
米国仮特許出願第60/851,223号(2006年12月12日出願)、及び
米国仮特許出願第60/852,740号(2006年10月18日出願)。
これらの開示内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は純粋且つ安定な臭化チオトロピウムを対象とする。
【背景技術】
【0003】
臭化チオトロピウム、(1α,2β,4β,5α,7β)−7−[(ヒドロキシジ−2−チエニルアセチル)オキシ]−9,9−ジメチル−3−オキサ−9−アゾニアトリシクロ[3.3.1.0]ノナンブロミド又は6β,7β−エポキシ−3β−ヒドロキシ−8−メチル−1αH,5αH−トロパニウムブロミド、下記化学構造を有するジ−2−チエニルグリコラート
【化1】

は、ムスカリン受容体に特異性を有する抗コリン作用薬である。本化合物は気管支拡張薬として、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療時に、治癒効果を発揮する。この医薬成分は吸入により投与され、SPIRIVA(登録商標)HandiHaler(登録商標)として市販されている。
【0004】
臭化チオトロピウムの調製、並びに、アセトン及びメタノールの混合物からの結晶化については、米国特許第5,610,163号に開示されている。
【0005】
FDAの“Summary Basis of Approval”(NDA 21-395)には、下記スキームに示すように、臭化チオトロピウムを非酵素的に加水分解することにより、N−メチルスコピン及び2,2−ジチエニルグリコール酸が生成することが報告されている。
【化2】

【0006】
NDA 21-395の初期のケミカルレヴュー(chemistry review)において、カプセル入りの前記臭化チオトロピウムAPIが、保護用パッケージから取り出されて空気及び湿気に晒されると分解することが報告されている。ある分解物(degradant)は1.0%未満(HPLC)であると報告された。
【0007】
その結果、市販の臭化チオトロピウムは、耐湿性のホイルブリスターに包装されている。そして、空気中の水分に晒されると分解が生じる場合があるとして、使用の直前にカプセルをパッケージから取り出すよう推奨されている。
【0008】
あらゆる合成化合物と同様、臭化チオトロピウムには、様々な起源に由来し得る、異物化合物又は不純物が含まれる場合がある。こうした異物化合物又は不純物としては、未反応の出発物質、副反応の生成物を含む反応の副生成物、又は分解生成物が挙げられる。ここで、分解生成物は、保存中におけるAPIの安定性に関係している。臭化チオトロピウム又は任意の原薬(Active Pharmaceutical Ingredient:API)中の不純物は、望ましくないばかりか、極端な場合には、API含有剤形による治療を受ける患者にとって有害な場合さえある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本技術分野においては、安定な臭化チオトロピウム、更には、純粋な臭化チオトロピウム溶媒和物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によれば、本発明は、HPLCによる面積純度が99%以上である、下記式の臭化チオトロピウム溶媒和物
【化3】

を提供する。
【0011】
別の態様によれば、本発明は、下記式の2,2−ジチエニルグリコール酸
【化4】

のHPLCによる面積が約0.15%未満である、臭化チオトロピウム溶媒和物を提供する。
【0012】
更に別の態様によれば、本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である、臭化チオトロピウム溶媒和物を提供する。
【0013】
一の態様によれば、本発明は、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を提供する。
【0014】
別の態様によれば、本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を提供する。
【0015】
更に別の態様によれば、本発明は、臭化チオトロピウム溶媒和物の純度、及び、臭化チオトロピウム中の2,2−ジチエニルグリコール酸の量を決定するためのHPLC法を提供する。本方法は、
(a)臭化チオトロピウムサンプルを、水中にアセトニトリル:酢酸を約0.1%:99.9%の比で含む混合液と合わせ、溶液を得る工程、
(b)前記溶液を250×4.6mm×0.5μmのCPS Hypersil(又は類似)カラムに注入する工程、
(c)過塩素酸:水を7:3の比率で含む混合物(これを溶離剤Aと呼ぶ)と、アセトニトリル(これを溶離剤Bと呼ぶ)とを溶離剤として用いて、前記サンプルを前記カラムから、約3.63分において溶出させる工程、並びに、
(d)関連するサンプル中の2,2−ジチエニルグリコール酸含量をUV検出器で測定する工程を含んでなる。
【0016】
一の態様によれば、本発明は、HPLCによる面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を調製する方法であって、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率が、それぞれ約5に対して約1以上である方法を提供する。本発明の一部として利用することが可能な有機酸としては、これらに限られるものではないが、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、及び酒石酸が挙げられる。好ましい実施形態によれば、有機酸は酢酸である。
【0017】
別の態様によれば、本発明は、HPLCによる面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.05%未満である、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率が、それぞれ約10に対して約1以上である方法を提供する。本発明の一部として利用することが可能な有機酸としては、これらに限られるものではないが、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、及び酒石酸が挙げられる。好ましい実施形態によれば、有機酸は酢酸である。
【0018】
更に別の態様によれば、本発明は、HPLCによる面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.02%未満である、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率が、それぞれ約20に対して約1以上である方法を提供する。本発明の一部として利用することが可能な有機酸としては、これらに限られるものではないが、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、及び酒石酸が挙げられる。好ましい実施形態によれば、有機酸は酢酸である。
【0019】
一態様によれば、本発明は、HPLCによる面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.01%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を調製する方法であって、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率が、それぞれ約30に対して約1以上である方法を提供する。本発明の一部として利用することが可能な有機酸としては、これらに限られるものではないが、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、及び酒石酸が挙げられる。好ましい実施形態によれば、有機酸は酢酸である。
【0020】
別の態様によれば、本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物と、医薬的に許容し得る賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0021】
更に別の態様によれば、本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物と、医薬的に許容し得る賦形剤とを含んでなる医薬組成物を調製する方法を提供する。
【0022】
一の態様によれば、本発明は、HPLCにより測定される面積が99%以上の純度を有するとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である、本発明の安定な臭化チオトロピウム溶媒和物の、医薬組成物の製造における使用を提供する。
【0023】
更に別の態様によれば、本発明は、HPLCによる2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である臭化チオトロピウムを調製する方法であって、
(a)1又は2以上の臭化チオトロピウムバッチの1又は2以上のサンプルを得る工程、
(b)工程(a)のサンプル各々の2,2−ジチエニルグリコール酸の濃度を測定する工程、
(c)工程(b)で実施された測定に基づいて、HPLCによる面積濃度が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含んでなる前記臭化チオトロピウムバッチを選択する工程、並びに、
(d)工程(c)で選択されたバッチを使用して、HPLCによる面積濃度が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含んでなる当該任意の臭化チオトロピウムを調製する工程を含んでなる方法を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
一水和臭化チオトロピウムを含有するSpiriva(登録商標)カプセルの分析によれば、臭化チオトロピウム一水和物中におけるジチエニルグリコール酸の濃度が、HPLCによる面積で0.7%を超えることが示されており、これが臭化チオトロピウム分解の加水分解説を裏付けている。これに対して、本発明は、実質的に純粋な臭化チオトロピウム溶媒和物を、首尾よく提供するものである。また、本発明は、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物、即ち、保存時に加水分解する傾向がより低い臭化チオトロピウム溶媒和物を提供する。一般的なICHガイドラインによれば、ヒトの治療用の製剤において許容し得る純度は、通常はHPLCによる面積で99.0%超であり、好ましくはHPLCにより測定される面積で99.55%超である。ここで、個々の不純物の含有量は、HPLCにより測定される面積で約0.15%未満であることが好ましい。従って、貯蔵寿命の延長が工業生産及び患者の安全性の面で有利であることを考慮すると、このような純粋な臭化チオトロピウム溶媒和物であって、保存時に加水分解する傾向がより低いものを提供することが好ましい。
【0025】
本発明は、HPLCによる面積純度が99%以上である、下記式の臭化チオトロピウム溶媒和物
【化5】

を提供する。好ましくは、上記臭化チオトロピウムのHPLCにより測定される面積純度が、約99%から約100%までの範囲であり、より好ましくは、HPLCにより測定される面積純度が、約99.5%から約100%までの範囲であり、最も好ましくは、HPLCにより測定される面積純度が、約99.7%から約100%までの範囲である。当業者であれば理解するように、溶媒和物が含有する溶媒分子の数は任意である。
【0026】
通常、本明細書で使用される「溶媒和物」という語は、水以外の溶媒を1%超の濃度で含有する物質を指す。臭化チオトロピウムの溶媒和物形態は、アルコラート及び酢酸溶媒和物からなる群より選択されることが好ましい。前記アルコラートは、C1-8アルコラートであることが好ましく、C1-6アルコラートであることが好ましく、C1-5アルコラートであることがより一層好ましく、C1-4アルコラートであることが最も好ましい。前記C1-4アルコラートは、メタノラート、エタノラート、イソプロパノラート、n−プロパノラート及びn−ブタノラートからなる群より選択されることが好ましい。最も好ましくは、前記C1-4アルコラートはメタノラート、エタノラート又はn−プロパノラートである。
【0027】
また、本発明は、HPLCにより測定される面積が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する臭化チオトロピウム溶媒和物を提供する。当該臭化チオトロピウムは、HPLCによる面積で約0.15%から、HPLC法の検出限界までの2,2−ジチエニルグリコール酸を有することが好ましい。
【0028】
「検出限界」又は「HPLC法の検出限界」という語は、臭化チオトロピウムの純度の決定、そして特に、任意の臭化チオトロピウムサンプル中における2,2−ジチエニルグリコール酸量の決定に用いられる、任意のHPLC法を指す。前記検出限界は、本発明で用いられるHPLC法、又は他の任意の同等法の検出限界であることが好ましい。
【0029】
臭化チオトロピウム溶媒和物は、HPLCにより測定される面積が約0.05%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有することが好ましく、更には、当該臭化チオトロピウムが、HPLCによる面積で約0.05%から、HPLC法の検出限界までの2,2−ジチエニルグリコール酸を有することがより好ましい。
【0030】
臭化チオトロピウム溶媒和物は、HPLCにより測定される面積が約0.02%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有することが好ましく、更には、当該臭化チオトロピウムが、HPLCによる面積で約0.02%から、HPLC法の検出限界までの2,2−ジチエニルグリコール酸を有することがより好ましい。
【0031】
臭化チオトロピウム溶媒和物は、HPLCにより測定される面積が約0.01%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有することが好ましく、更には、当該臭化チオトロピウムが、HPLCによる面積で約0.01%から、HPLC法の検出限界までの2,2−ジチエニルグリコール酸を有することがより好ましい。
【0032】
更に、本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される面積が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、臭化チオトロピウム溶媒和物を提供する。
【0033】
また、本発明は、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を提供する。本明細書において、臭化チオトロピウムに関して使用される「安定な」という語は、特定の相対湿度及び温度に特定の期間維持した場合に、特定の不純物の濃度が特定の限界よりも上昇しない臭化チオトロピウムを意味する。より具体的には、「安定な」という語は、約4℃から約30℃までの範囲の温度に2月以上維持した場合に、下記に示す2,2−ジチエニルグリコール酸の濃度が、HPLCにより測定される面積において、臭化チオトロピウムの総量の0.15%を超えて上昇しない臭化チオトロピウムを意味する。
【化6】

【0034】
本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99%以上であり、HPLCにより測定される面積が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を提供する。
【0035】
臭化チオトロピウムの安定性及び純度を試験したところ、臭化チオトロピウム一水和物を4℃を超える温度で保存すると、2,2−ジチエニルグリコール酸の含量が上昇することを示すデータが得られた。しかしながら、ヘミエタノラート等の臭化チオトロピウム溶媒和物を4℃を超える温度で保存すると、2月を超えてから初めて2,2−ジチエニルグリコール酸の存在が検出され、しかもその濃度は、一水和物生成物について検出された濃度よりも遥かに低いものであった。
【0036】
臭化チオトロピウムの純度、並びに臭化チオトロピウム中の2,2−ジチエニルグリコール酸の量は、
(a)臭化チオトロピウムサンプルを、水中にアセトニトリル:酢酸を約0.1%:99.9%の比で含む混合液と合わせ、溶液を得る工程、
(b)前記溶液を250×4.6mm×0.5μmのCPS Hypersil(又は類似)カラムに注入する工程、
(c)過塩素酸:水を7:3の比率で含む混合物(これを溶離剤Aと呼ぶ)と、アセトニトリル(これを溶離剤Bと呼ぶ)とを溶離剤として用いて、前記サンプルを前記カラムから、約3.63分において溶出させる工程、並びに、
(d)関連するサンプル中の2,2−ジチエニルグリコール酸含量をUV検出器で測定する工程を含んでなるHPLC法で決定することができる。
【0037】
使用される溶離剤は、溶離剤A及び溶離剤Bの混合物であって、これらの比率が経時変化するもの、即ち勾配溶離剤であってもよい。0分の時点で、前記溶離剤は70%の溶離剤Aと、300%の溶離剤Bとを含有する。23分の時点で、前記溶離剤は55%の溶離剤Aと、45%の溶離剤Bとを含有する。30分の時点で、前記溶離剤は50%の溶離剤Aと、50%の溶離剤Bとを含有する。35分の時点で、前記溶離剤は50%の溶離剤Aと、50%の溶離剤Bとを含有する。40分の時点で、前記溶離剤は35%の溶離剤Aと、65%の溶離剤Bとを含有し、そして41分の時点で、前記溶離剤は70%の溶離剤Aと、30%の溶離剤Bとを含有する。
【0038】
2,2−ジチエニルグリコール酸含量は240nmの波長で測定することが好ましい。
【0039】
このような純粋且つ安定な臭化チオトロピウム溶媒和物は、臭化チオトロピウムを適切な溶媒系から結晶化させる工程を含んでなる方法により、調製することができる。ここで、前記溶媒系は酢酸を含んでなる。
【0040】
HPLCによる面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を調製する方法は、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率がそれぞれ、約5に対して約1以上である。
【0041】
HPLCによる面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.05%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を調製する方法は、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率がそれぞれ、約10に対して約1以上である。本発明の一部として利用することが可能な有機酸としては、これらに限られるものではないが、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、及び酒石酸が挙げられる。好ましい実施形態によれば、有機酸は酢酸である。
【0042】
HPLCによる面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.02%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を調製する方法は、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率がそれぞれ、約20に対して約1以上である。本発明の一部として利用することが可能な有機酸としては、これらに限られるものではないが、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、及び酒石酸が挙げられる。好ましい実施形態によれば、有機酸は酢酸である。
【0043】
HPLCによる面積純度が99%以上であるとともに、HPLCにより測定される2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.01%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を調製する方法は、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率がそれぞれ、約30に対して約1以上である。本発明の一部として利用することが可能な有機酸としては、これらに限られるものではないが、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、及び酒石酸が挙げられる。好ましい実施形態によれば、有機酸は酢酸である。
【0044】
前記結晶化方法は、有機酸を含んでなる溶媒系に臭化チオトロピウムを含む溶液を提供する工程と、冷却して懸濁液を得る工程とを含んでなることが好ましい。有機酸は酢酸であることが好ましい。
【0045】
更に別の実施形態によれば、本発明は、HPLCによる2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である臭化チオトロピウムを調製する方法であって、
(a)1又は2以上の臭化チオトロピウムバッチの1又は2以上のサンプルを得る工程、
(b)工程(a)のサンプル各々の2,2−ジチエニルグリコール酸の濃度を測定する工程、
(c)工程(b)で実施された測定に基づいて、HPLCによる面積が約0.15%未満の濃度の2,2−ジチエニルグリコール酸を含んでなる前記臭化チオトロピウムバッチを選択する工程、並びに、
(d)工程(c)で選択されたバッチを使用して、HPLCによる面積が約0.15%未満の濃度の2,2−ジチエニルグリコール酸を含んでなる当該任意の臭化チオトロピウムを調製する工程を含んでなる方法を包含する。
【0046】
通常、工程(a)の臭化チオトロピウムは、十分に低い濃度の2,2−ジチエニルグリコール酸を含んでなる。特に、工程(a)の臭化チオトロピウムは、HPLCによる面積が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含んでなることが好ましい。
【0047】
工程(a)の式IIの臭化チオトロピウムのサンプルが、工程(b)における測定の結果、HPLCによる面積で約0.15%超の2,2−ジチエニルグリコール酸を含んでいる場合には、工程(c)の実施に先立ち、前記サンプルを精製してもよい。
【0048】
通常、精製後の臭化チオトロピウムは、精製前に存在した濃度よりも低い濃度の2,2−ジチエニルグリコール酸を含んでなる。工程(a)に得られる臭化チオトロピウムサンプルは、HPLCによる面積で約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含んでなることが好ましい。
【0049】
別途詳述しない限り、上記方法の工程(d)の臭化チオトロピウムの形態は任意である。その例としては、臭化チオトロピウムの各種結晶形や非晶形が挙げられる。
【0050】
前記結晶化法の出発物質として使用される臭化チオトロピウムは、例えば、2006年8月3日に米国特許商標局に出願された同時係属出願第60/835,201号(発明の名称“PROCESS FOR THE PREPARATION OF TIOTROPIUM BROMIDE”)に開示の方法に従い、2006年7月10日に米国特許商標局に出願された同時係属出願第60/830,231号(発明の名称“PROCESS FOR THE PREPARATION OF TIOTROPIUM BROMIDE”)に開示の方法に従い、或いは当業者に公知のほかの任意の方法により、調製することができる。
【0051】
同時係属出願第60/830,231号及び第60/835,201号に開示された方法は、式Iのメチル−ジ−(2−チエニル)−グリコラート、無機塩基、極性有機溶媒、及び式II−sのスコピン塩
【化7】

を、約0.5%から約40%の塩を含有するように組み合わせ、加熱し、回収し、有機溶媒を加えることを開示している。
【0052】
この方法は下記スキームに従い実施することができる。
【化8】

【0053】
式Iのグリコラートは、下記式の2−ブロモ−チオフェン
【化9】

と、Mgと、エーテル系溶媒とを合わせた後、下記式のシュウ酸ジメチル
【化10】

を加え、クエンチすることにより、調製することができる。
【0054】
2−ブロモチオフェン、Mg、及びエーテル系溶媒を合わせることにより、グリニャール試薬が得られる。これは例えば、Nyberg, K. Acta Chemica Scandinavica, 24, 1970, 1590-1596に開示の方法に従って調製することができる。
【0055】
式Iのメチルジ−(2−チエニル)グリコラートを、エタノール及びヘプタン、無水エタノール及びヘプタン、イソプロパノール及びヘプタン、或いはトルエン及びヘプタンの混合物から結晶化してもよい。
【0056】
式II−sのスコピン塩は、極性有機溶媒に懸濁されることが好ましい。この極性有機溶媒は、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、スルホラン、及びこれらの混合物からなる群より選択されることが好ましい。極性有機溶媒はジメチルホルムアミドであることがより好ましい。前記塩は、HBr塩であることが好ましい。
【0057】
前記無機塩基と、式Iのメチル−ジ−(2−チエニル)−グリコラートとを、前記懸濁液に加えることが好ましい。中でも、この無機塩基が無水であることがより好ましい。この無機塩基のpKaは、約6から約12、より好ましくは約9から約10であることが更に好ましい。更に一層好ましくは、この無機塩基は、K2CO3、NaHCO3、Na2CO3、Li2CO3、Cs2CO3、KOtBu、及びLiOtBuからなる群より選択される。無機塩基がK2CO3であることが最も好ましい。無機塩基は、スコピン塩1モル当量当たり、0.45から2.5モル当量、より好ましくは2から2.5モル当量の量となるように加えられる。
【0058】
式Iのメチル−ジ−(2−チエニル)−グリコラートは、極性有機溶媒中の溶液の形態で加えることが好ましい。前記無機塩基と式Iのメチル−ジ−(2−チエニル)−グリコラートとは、約25℃から約65℃、より好ましくは約60℃から約65℃の温度で加えることが好ましい。
【0059】
上記物質を全て含有する前記懸濁液を、70℃未満の温度、より好ましくは約25℃から約65℃までの範囲の温度、より一層好ましくは約60℃から約65℃までの範囲の温度、最も好ましくは約63℃から約65℃までの範囲の温度に加熱することが好ましい。加熱は減圧下で行なうことが好ましい。その圧力は、約70から約100ミリバールとすることが好ましい。反応の間は、第2のインレットを通じて、窒素でバブリングを行なうことが好ましい。窒素のバブリングは、約1.8から約2.6L/min、より一層好ましくは約2.0から約2.4L/min、更に一層好ましくは約2.2から約2.4L/minの速度で行なうことがより好ましい。圧下の加熱と、第2のインレットからの窒素バブリングとが、反応の間に形成されるメタノールの蒸発濃縮を促進する。そのままでも、反応は生成物を形成する方向に進行する。加熱は、約17から約24時間、より好ましくは約18から約20時間の期間に亘って実施することが好ましい。
【0060】
式IIIのN−デメチルチオトロピウムは、a)懸濁液を冷却し、b)酸を加え、c)水相を抽出し、d)この水相に塩基を加え、e)濾過し、更にf)洗浄及び乾燥することにより、回収することができる。この酸はHBrであることが好ましい。懸濁液を約10℃から約−10℃、より好ましくは約5℃から約0℃の温度に冷却することが好ましい。酸の添加によりpHを約3とすることが好ましい。水相はトルエンで抽出することが好ましい。塩基は約0℃から約5℃の温度で加えることが好ましい。塩基はK2CO3であることがより好ましい。塩基の添加により、式IIIのN−デメチル−チオトロピウムの沈殿が生じることが好ましい。この沈殿を水で洗浄し、pHを約7とすることが好ましい。
【0061】
任意でスコピン塩基を使用してもよい。スコピン塩基を使用する場合は、それよりも少ない量の無機塩基を使用することが好ましい。スコピン塩基1モル当量当たり、約1から1.5モル当量の無機塩基を使用することが好ましい。
【0062】
式IIIのN−デメチル−チオトロピウムを得た後、これを有機溶媒中でメチルブロミドと反応させることにより、臭化チオトロピウムに変換する。この有機溶媒は、C2-4ニトリル、C4-8鎖状又は環状エーテル、C2-4ニトリルとC4-8鎖状又は環状エーテルとの混合物、C7-8芳香族炭化水素とC2-4ニトリルとの混合物、及びC2-4ニトリルとC3-10ケトンとの混合物からなる群より選択することが好ましい。前記C2-4ニトリルはアセトニトリルであることが好ましい。好ましいC4-8鎖状又は環状エーテルは、テトラヒドロフランである。C2-4ニトリルとC4-8鎖状又は環状エーテルとの混合物は、アセトニトリルとテトラヒドロフランとの混合物であることが好ましい。C7-8芳香族炭化水素とC2-4ニトリルとの好ましい混合物は、トルエンとアセトニトリルとの混合物である。C2-4ニトリルとC3-10ケトンとの混合物は、アセトンとアセトニトリルとの混合物であることが好ましく、加熱は約20℃から約40℃の温度で行なうことが好ましい。溶媒はアセトニトリルであることが好ましい。加熱は約20℃から約25℃の温度にすることが好ましい。加熱は約12から約64時間、更に好ましくは約18から約22時間に亘って行なうことが好ましい。
【0063】
初めに、粗製臭化チオトロピウムを、有機酸を含んでなる溶媒系に溶解させる。こうした有機酸の例としては、これらに制限されるわけではないが、トリフルオロ酢酸、酒石酸、マレイン酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、HCl、HBr、H2SO4、及び酢酸が挙げられる。有機酸としては酢酸が好ましい。
【0064】
溶媒系は、酢酸、C1-8アルコール及び酢酸、C1-8アルコール、酢酸及びアセトン又はC1-8アルコール、酢酸及び水を含んでなることが好ましい。アルコラートは、好ましくはC1-8アルコール、より好ましくはC1-6アルコール、より一層好ましくはC1-5アルコール、そして最も好ましくはC1-4アルコールである。C1-4アルコールは、メタノラート、エタノラート、イソプロパノラート、n−プロパノラート、及びn−ブタノラートからなる群より選択されることが好ましい。C1-4アルコラートは、メタノラート、エタノラート、又はn−プロパノラートであることが最も好ましい。
【0065】
溶解は通常、臭化チオトロピウムと溶媒系との組み合わせを加熱することにより行なう。加熱は、約60℃から約78℃まで、より好ましくは約65℃から約78℃まで、最も好ましくは約65℃から約75℃までの範囲の温度とすることが好ましい。
【0066】
続いて、この溶液を約25℃から約0℃まで、より好ましくは約25℃から約5℃まで、最も好ましくは約5℃から約0℃までの範囲の温度に冷却し、結晶化産物の沈殿を誘発することが好ましい。冷却は、約4時間から約10時間、より好ましくは約6から約9時間、最も好ましくは約8から約9時間に亘って行なうことが好ましい。
【0067】
通常、懸濁状態を維持することにより、沈殿する結晶化産物の収量を増大させることができる。懸濁状態は、約3時間以上から約21時間、より好ましくは約6時間から約12時間、そして最も好ましくは約13時間から約18時間の期間に亘って維持することが好ましい。
【0068】
本結晶化法は、更に回収工程を含んでいてもよい。沈殿の回収は、当業者に知られている任意の手法を用いて行なうことができる。この回収は、懸濁液の濾過と、濾過生成物の洗浄と、乾燥とを含んでなることが好ましい。
【0069】
また、本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99%以上であり、HPLCによる2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物と、医薬的に許容し得る賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。また、本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99.3%以上であり、HPLCによる2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物と、医薬的に許容し得る賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。また、本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99.5%以上であり、HPLCによる2,2−ジチエニルグリコール酸の面積が約0.15%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物と、医薬的に許容し得る賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0070】
更に、本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99%以上であり、HPLCによる面積が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物と、医薬的に許容し得る賦形剤とを含んでなる医薬組成物を調製する方法を提供する。純粋且つ安定な臭化チオトロピウムを微粉化することにより、剤形に適した材料を調製してもよい。通常、「剤形に適した」という語は、微粉化臭化チオトロピウムに関して言う場合、90%以上の粒子が20ミクロン未満である臭化チオトロピウムに相当する。この微粉化法に続いて任意に、この微粉化形を適切な溶媒に暴露する工程を含んでなる方法を実施することにより、溶媒和物中の溶媒を当初の含量まで回復させてもよい。通常「適切な溶媒」という語は、元の溶媒和形に含まれる溶媒の種類に相当する。
【0071】
更に、本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99%以上であり、HPLCにより測定される面積が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物と、医薬賦形剤とを含んでなる医薬組成物の有効量の投与により、喘息又は慢性肺疾患を治療する方法を提供する。
【0072】
本発明は、HPLCにより測定される面積純度が99%以上であり、HPLCにより測定される面積が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、本発明の安定な臭化チオトロピウム溶媒和物の、医薬組成物の製造における使用を提供する。
【0073】
本発明の医薬組成物の投与法としては、患者の年齢、性別、及び症状に応じて、様々な製剤で投与することが可能である。本医薬組成物は、例えば、錠剤、丸剤、粉末、液体、懸濁液、乳濁液、顆粒、カプセル、座薬、注射用製剤(溶液及び懸濁液)等として投与することが可能である。
【0074】
本発明の医薬組成物は任意に、他の形態の臭化チオトロピウム溶媒和物、及び/又は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤等の他の活性成分と混合してもよい。更に、本発明の医薬組成物は、希釈剤、担体、充填剤、嵩剤、結着剤、崩壊剤、崩壊阻害剤、吸収促進剤、湿潤剤、潤滑剤、流動剤、界面活性剤、香味剤等の非活性成分を含有していてもよい。
【0075】
希釈剤は、固形医薬組成物の容積を増加させるもので、これにより、本組成物を含有する医薬剤形を、患者や介護者による取り扱いが容易なものとすることができる。固形組成物用の希釈剤としては、例えば、微結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標))、超微粒セルロース、ラクトース、澱粉、アルファ化澱粉、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストラート、デキストリン、デキストロース、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリル酸(例えばEudragit(登録商標))、塩化カリウム、粉末化セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、タルク等が挙げられる。
【0076】
本医薬組成物用の担体としては、これらに制限されるものではないが、ラクトース、白砂糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等が挙げられる。
【0077】
結着剤は、圧縮により活性成分と他の賦形剤とを互いに結着するのを補助するものである。固形医薬組成物用の結着剤としては、例えば、アカシア、アルギニン酸、カルボマー(例えばcarbopol)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、硬化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、液体グルコース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリル酸、ポビドン(例えばKollidon(登録商標)、Plasdone(登録商標))、アルファ化澱粉、アルギン酸ナトリウム、澱粉等が挙げられる。
【0078】
崩壊剤により、溶解性を高めることができる。崩壊剤としては、例えば、アルギニン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えばAc-Di−Sol(登録商標)、Primellose(登録商標))、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えばKollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、グアーガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末化セルロース、アルファ化澱粉、アルギン酸ナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム(例えばExplotab(登録商標))、澱粉等が挙げられる。
【0079】
崩壊阻害剤としては、これらに制限されるものではないが、白砂糖、ステアリン、ココナッツバター、硬化油等が挙げられる。吸収促進剤としては、これらに制限されるものではないが、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0080】
湿潤剤としては、これらに制限されるものではないが、グリセリン、澱粉等が挙げられる。使用される吸着剤としては、これらに制限されるものではないが、澱粉、ラクトース、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等が挙げられる。
【0081】
錠剤化時の打ち抜き又は染色による生成物の粘着を低減し、放出を容易にするために、本組成物に潤滑剤を加えてもよい。潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、硬化ヒマシ油、硬化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク及びステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0082】
流動剤を加えることにより、非圧縮固形組成物の流動性を向上させ、投薬の精度を向上させることができる。流動剤として機能し得る賦形剤としては、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末化セルロース、澱粉、タルク及び三塩基性リン酸カルシウムが挙げられる。
【0083】
香味剤及び調味料は、剤形が患者に与える味覚を改善するものである。本発明の組成物が含んでいてもよい、医薬製品用の一般的な香味剤及び調味料としては、例えば、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール、酒石酸等が挙げられる。
【0084】
錠剤は、一般に知られている被覆材料によって、更に被覆されていてもよい。例として、糖被覆錠剤、ゼラチンフィルム被覆錠剤、腸溶コーティングにより被覆された錠剤、フィルムにより被覆された錠剤、二層錠剤、及び多層錠剤が挙げられる。カプセルは、殻で被覆されていてもよい。殻の材料としては、例えばゼラチンが挙げられ、任意で可塑剤、例えばグリセリンやソルビトール、及び不透明化剤又は着色剤を含有していてもよい。
【0085】
固体及び液体組成物は、その外観を向上させるため、及び/又は、製品及び単位投薬量の患者による識別を容易にするために、医薬的に許容し得る任意の着色剤を用いて染色してもよい。
【0086】
本発明の液体医薬組成物中において、本明細書に記載の前記臭化チオトロピウム溶媒和物形態、及び他の任意の固体成分は、水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の液体担体中に溶解又は懸濁される。
【0087】
液体医薬組成物は、液体担体に溶解しない活性成分や他の賦形剤を、組成物全体に均一に分散させるために、乳化剤を含有していてもよい。本発明の液体組成物に有用な乳化剤としては、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカント、コンドリュール、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、ケトステアリルアルコール、セチルアルコール等が挙げられる。
【0088】
また、本発明の液体医薬組成物は、製品の口当たりを良くするため、及び/又は、消化管の内面を被覆するために、増粘剤を含有していてもよい。こうした増粘剤としては、例えば、アカシア、アルギニン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム又はナトリウム、ケトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、澱粉トラガカント、キサンタンゴム等が挙げられる。
【0089】
風味を良くするために、ソルビトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、ショ糖、アスパルテーム、果糖、マンニトール、転化糖等の甘味剤を加えてもよい。
【0090】
保存安定性を向上させるために、アルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、エチレンジアミン四酢酸等の保存料及びキレート化剤を、安全量加えてもよい。
【0091】
また、本発明に係る液体組成物は、グルコン酸、乳酸、クエン酸又は酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム又は酢酸ナトリウム等の緩衝剤を含有していてもよい。
【0092】
賦形剤の種類や使用量は、経験を積んだ製剤科学者であれば、本技術分野で知られている標準的な手法及び参考資料を考慮して、容易に決定することが可能であろう。
【0093】
錠剤用又はカプセル充填用の組成物は、湿式造粒法により調製することができる。湿式造粒法によれば、粉末状の活性成分及び賦形剤の一部又は全部を混ぜ合わせ、続いて、液体(通常は水)の存在下で更に混合することにより、粉末を凝集させて顆粒を形成させる。この顆粒を選別及び/又は粉砕し、乾燥した後、所望の粒子サイズとなるよう選別及び/又は粉砕する。その後、この顆粒を錠剤化したり、錠剤化に先立って他の賦形剤、例えば流動剤及び/又は潤滑剤を加えたりすることもできる。
【0094】
錠剤化組成物は従来通り乾式混合で調製することもできる。例えば、活性剤及び賦形剤の混合組成物をスラッグ又はシート状に圧密した後、粉砕して圧密顆粒とすればよい。続いてこの圧密顆粒を圧縮して錠剤とすることができる。
【0095】
乾式造粒法の代わりに、直接圧縮法を用いて混合組成物を直接、圧密剤形に成形することもできる。直接圧縮によれば、顆粒を有さないより均一な錠剤が得られる。直接圧縮錠剤化に特に適した賦形剤としては、微結晶セルロース、噴霧乾燥ラクトース、二リン酸カルシウム二水和物、及びコロイド状シリカが挙げられる。これらの賦形剤や他の賦形剤の直接圧縮錠剤化における適切な使用法は、直接圧縮錠剤化による特定剤形の開発に経験及び能力を有する当業者には知られている。
【0096】
本発明のカプセル充填物は、錠剤化に関連して説明した上述の混合物及び顆粒の何れかを含んでなる。但し、これらは最終的な錠剤化工程に供することなく用いる。
【0097】
本医薬組成物を丸剤状に成形する場合、本技術分野での使用が一般に知られている賦形剤を任意に用いることができる。例えば担体としては、これらに制限されるものではないが、ラクトース、澱粉、ココナッツバター、硬化植物油、カオリン、タルク等が挙げられる。使用される結着剤としては、これらに制限されるものではないが、アラビアゴム粉末、トラガカントゴム粉末、ゼラチン、エタノール等が挙げられる。使用される崩壊剤としては、これらに制限されるものではないが、寒天、昆布(Laminalia)等が挙げられる。
【0098】
医薬組成物を座薬の形態に成形する目的で、本技術分野での使用が一般に知られている賦形剤を使用することができる。例えば、賦形剤としては、これらに制限されるものではないが、ポリエチレングリコール、ココナッツバター、高級アルコール、高級アルコールのエステル、ゼラチン、半合成グリセリド等が挙げられる。
【0099】
注射用医薬組成物を調製する場合、溶液及び懸濁液を滅菌し、好ましくは血液と等張とする。注射用製剤には、本技術分野で一般に知られている担体を使用してもよい。例えば、注射用調製剤用の担体としては、これらに制限されるものではないが、水、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、及びポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステルが挙げられる。当業者であれば容易に、実験を殆ど又は全く行なうことなく、注射用調製剤を等張にするために必要な塩化ナトリウム、グルコース、又はグリセリンの量を決定することが可能であろう。追加の成分として、溶解剤、緩衝剤、鎮痛剤等を加えてもよい。必要であれば、着色料、保存料、香料、調味料、甘味剤、及び他の薬剤等を加えて、統合失調症の治療に望ましい製剤としてもよい。
【0100】
本発明に係るコレステロール低減用の医薬組成物が含有する、チオトロピウムブロミド溶媒和物又は医薬的に許容し得るその塩の量は、特に制限されるものではない。しかしながら、その用量は、症状を治療、改善、又は低減するのに十分な量とするべきである。例えば、臭化チオトロピウム溶媒和物は約1%から約70%の量で存在していてもよい。
【0101】
本発明に係るコレステロール低減用の医薬組成物の投薬量は、使用方法や患者の年齢、性別、体重及び症状等に応じて異なる。通常は、約1mgから200mgの臭化チオトロピウム溶媒和物が、投与単位形態、好ましくは10mgの錠剤に含まれるようにすればよい。
【0102】
特定の好ましい実施形態に言及しながら本発明を説明してきたが、明細書の記載を考慮することにより、他の実施形態についても当業者には明らかになるであろう。本発明を更に定義するべく、以下に掲げる実施例において、本発明の方法及び組成物を詳細に説明する。当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、材料及び方法の何れにも種々の変形を加えて実施することが可能であろう。
【実施例】
【0103】
カラム:CPS Hypersil、5μm、250×4.6mm
移動相:
溶離剤A:3mLの過塩素酸を1000mLの水に対して70%w/vで含む液
溶離剤B:アセトニトリル
【0104】
勾配: 時間(分) 移動相A(%) 移動相B(%)
0 70 30
23 55 45
30 50 50
35 50 50
40 35 65
41 70 30
【0105】
流速:1.8ml/min
動作時間:40分
カラム温度:25℃
検出器:240nmのUV
注入量:5μl
試料調製:臭化チオトロピウム(移動相中1mg/mL)
希釈剤:アセトニトリル0.1%V/V;酢酸水溶液(50:50V/V)
後時間:5分
【0106】
これらの条件において:
臭化チオトロピウム保持時間:約3.63分
ジチエニルグリコール酸保持時間:約5.4分
検出限界:0.005%。
【0107】
臭化チオトロピウムの安定性試験
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【0110】
【表3】

【0111】
【表4】

【0112】
【表5】

実施例1: SPIRIVA(登録商標)HandiHaler(登録商標)カプセルの分析
【0113】
分析されたカプセルは、ロット番号408966(有効期限2005年5月)の一部であった。
【0114】
50mgのサンプルを50mlの希釈剤に溶解させた。この溶液を、適切な注入装置を備えたクロマトグラフィーシステムに、ブランクとして(希釈剤として)注入した。分析の結果、臭化チオトロピウムのHPLCによる面積純度は98.94%であり、0.77%のジチエニルグリコール酸を含有していた。
【0115】
実施例2:粗製臭化チオトロピウムの調製
0.52gのN−デメチルチオトロピウム(1.39mmol)を窒素下で、5.23mLのCH3CNに懸濁させた。
【0116】
1.35gのCH3BrのCH3CN中50%w/w溶液(0.0071mol)を加え、この懸濁液を攪拌しながら22℃で12時間放置した。生成物を濾過し、1mlのCH3CNで洗浄した。
【0117】
572mgの湿潤臭化チオトロピウムが得られた(HPLC純度99.89%、ジチエニルグリコール酸未検出)。
【0118】
実施例3:臭化チオトロピウムの調製
4.96gのN−デメチルチオトロピウム(13.2mmol)を窒素下、49.6mLのCH3−CNを入れたフラスコに加えた。懸濁液が得られた。CH3Br12.61gのCH3CN中50%w/w溶液(0.066mol)を加えた。
【0119】
この懸濁液を攪拌下、22℃で64時間放置した。生成物を濾過し、2mLのCH3CNで洗浄した。
【0120】
6.93gの湿潤チオトロピウムが得られた。これを真空下(残圧4mbar)、45℃で22h乾燥した。5.9gの乾燥生成物(純度99.8%、ジチエニルグリコール酸未検出)が得られた。
【0121】
実施例4:無水エタノールからの臭化チオトロピウムの結晶化
臭化チオトロピウム(1.00g)を無水エタノール(65ml)に78℃で溶解させた。この溶液を78℃に約30分間加熱した後、22℃に6時間以上冷却した。得られた懸濁液を22℃で3時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体を無水エタノールで2度洗浄した(2×1.0ml)。固体をN2流通下、22℃で30分間乾燥した後、減圧下(17mbar)、60℃で9時間乾燥した。0.66gの臭化チオトロピウム(純度99.68%、ジチエニルグリコール酸0.01%)が得られた。
【0122】
実施例5:エタノール及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
粗製臭化チオトロピウム(18.6g)を、エタノール96%/CH3COOH98/2(558ml)中に懸濁させた。この懸濁液を65/70℃に加熱して溶液とした後、55℃に3時間以上冷却し、更に0±5℃に3時間以上冷却した。得られた懸濁液を0±5℃に6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をエタノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄した(3×10.0ml)。固体を減圧下(4mbar)、45℃で20分間乾燥した。16.04gの臭化チオトロピウムが得られた(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸未検出)。
【0123】
実施例6:エタノール及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
粗製臭化チオトロピウム(10g)をエタノール96%/CH3COOH98/2(50ml)中に懸濁する。懸濁液を65/70℃に加熱して溶液にした後、55℃に3時間以上冷却し、更に0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をエタノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下(4mbar)、45℃で20分間乾燥する。8gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.8%、ジチエニルグリコール酸0.13%)。
【0124】
実施例7:エタノール及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
粗製臭化チオトロピウム(10g)をエタノール96%/CH3COOH98/2(100ml)中に懸濁させる。この懸濁液を65/70℃に加熱して溶液にした後、55℃に3時間以上、次いで0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をエタノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下(4mbar)、45℃で20分間乾燥させる。8.5gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸0.03%)。
【0125】
実施例8:エタノール及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
粗製臭化チオトロピウム(10g)をエタノール96%/CH3COOH98/2(200ml)に懸濁させる。この懸濁液を65/70℃に加熱して溶液にした後、55℃に3時間以上、次いで0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をエタノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下(4mbar)、45℃で20分間乾燥する。8.2gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸0.02%)。
【0126】
実施例9:メタノール及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
粗製臭化チオトロピウム(10g)をメタノール96%/CH3COOH98/2(200ml)に懸濁させる。この懸濁液を60/65℃に加熱して溶液にした後、45℃に3時間以上、次いで0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をメタノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下(4mbar)、45℃で20分間乾燥する。8.2gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸0.02%)。
【0127】
実施例10:メタノール、アセトン及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
粗製臭化チオトロピウム(10g)をメタノール/アセトン/CH3COOHの73.5/24.5/2の混合物(50ml)に懸濁させる。この懸濁液を60/65℃に加熱して溶液にした後、45℃に3時間以上、次いで0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をメタノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下(4mbar)、45℃で20分間乾燥する。8.2gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸0.05%)。
【0128】
実施例11:メタノール、アセトン及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
粗製臭化チオトロピウム(10g)をメタノール/アセトン/CH3COOHの24.5/73.5/2の混合物に懸濁させる(50ml)。この懸濁液を60/65℃に加熱して溶液にした後、45℃に3時間以上、次いで0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をメタノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下、45℃で20分間乾燥する。8.2gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸0.05%)。
【0129】
実施例12:メタノール、アセトン及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
粗製臭化チオトロピウム(10g)を、メタノール/アセトン/CH3COOHの24.5/73.5/2の混合物に懸濁させる(100ml)。この懸濁液を60/65℃に加熱して溶液にした後、45℃に3時間以上、次いで0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をメタノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下、45℃で20分間乾燥する。7.7gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸0.03%)。
【0130】
実施例13:メタノール、アセトン及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
粗製臭化チオトロピウム(10g)を、メタノール/アセトン/CH3COOHの24.5/73.5/2の混合物に懸濁させる(300ml)。この懸濁液を60/65℃に加熱して溶液にした後、45℃に3時間以上、次いで0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をメタノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下、45℃で20分間乾燥する。5.1gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸未検出)。
【0131】
実施例14:n−プロパノール、水及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
粗製臭化チオトロピウム(10g)をn−プロパノール93/水5/CH3COOH2の混合物(200ml)に懸濁させる。この懸濁液を60/65℃に加熱して溶液にした後、45℃に3時間以上、次いで0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をn−プロパノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下、45℃で20分間乾燥する。8.2gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸0.02%)。
【0132】
実施例15:n−プロパノール及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
湿潤粗製臭化チオトロピウム(10g)を、n−プロパノール98/CH3COOH2(8500ml)に懸濁させる。この懸濁液を60/65℃に加熱して溶液にした後、45℃に3時間以上、次いで0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をn−プロパノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下、45℃で20分間乾燥する。4.2gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸未検出)。
【0133】
実施例16:n−プロパノール及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
湿潤粗製臭化チオトロピウム(10g)を、n−プロパノール98/CH3COOH2(50ml)に懸濁させる。この懸濁液を60/65℃に加熱して溶液にした後、45℃に3時間以上、次いで0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をn−プロパノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下、45℃で20分間乾燥する。8.2gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸0.08)。
【0134】
実施例17:n−プロパノール及び酢酸の混合物からの臭化チオトロピウムの結晶化
湿潤粗製臭化チオトロピウム(10g)を、n−プロパノール98/CH3COOH2中に懸濁する(100ml)。この懸濁液を60/65℃に加熱して溶液にした後、45℃に3時間以上、次いで0±5℃に3時間以上冷却する。得られた懸濁液を0±5℃で6時間以上維持した後、焼結ガラス漏斗で濾過し、固体をn−プロパノール96%/CH3COOH98/2で2度洗浄する(3×5ml)。固体を減圧下、45℃で20分間乾燥する。4.2gの臭化チオトロピウムが得られる(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸0.03)。
【0135】
実施例18:AcOH/MeOH/n−ヘプタンの7/2/2.3からの臭化チオトロピウムの調製
臭化チオトロピウム(1.00g)を45℃で、7/2(V/V)の酢酸/メタノールの混合物(11ml)に溶解させ、この溶液を45℃に1.5時間加熱した後、n−ヘプタン(2.75ml)を滴下により、20分以上かけて加えた。得られた溶液を45℃に1時間加熱した後(固体形成は観察されず)、23.5℃に3時間以上冷却し、次いでこの懸濁液を23.5℃で3時間以上維持した。焼結ガラス漏斗で濾過後、固体を3.0mLのn−ヘプタンで3度洗浄した。減圧下(18mbar)、60℃で16時間乾燥することにより、0.67gの臭化チオトロピウムが得られた(純度99.9%、ジチエニルグリコール酸0.03)。
【0136】
実施例19:微粉化法
臭化チオトロピウムを微粉化し、
最小80%が<5.84μm、
最小70%が0.6から10ミクロンの間
のP.S.Dターゲットを得た。
【0137】
微粉化装置としては、ジェットミルMC 50(Micro-Macinazionne社製)に、32°05′のアングルノズルを装着したものを使用した。
微粉化ガスとしては窒素を使用した。
微粉化気圧は10barsとした。
供給速度は0.2kg/hrとした。
【0138】
上記方法により得られた微粉化臭化チオトロピウムは、
80%≦5.84μm、
93.76%が0.6から10ミクロンの間
のPSD値を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式
【化1】

の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項2】
前記臭化チオトロピウムの純度が約99%から約100%までの範囲である、請求項1記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項3】
前記臭化チオトロピウムの純度が約99.5%から約100%までの範囲である、請求項2記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項4】
前記臭化チオトロピウムの純度が約99.7%から約100%までの範囲である、請求項3記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項5】
前記臭化チオトロピウムが約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、請求項1から4の何れかに記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項6】
2,2−ジチエニルグリコール酸が約0.15%未満である、臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項7】
前記臭化チオトロピウムが、約0.15%から、HPLC法の検出限界までの2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、請求項6記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項8】
前記臭化チオトロピウムが、約0.05%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、請求項7記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項9】
前記臭化チオトロピウムが、約0.05%から、HPLC法の検出限界までの2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、請求項8記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項10】
前記臭化チオトロピウムが、約0.02%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、請求項6記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項11】
前記臭化チオトロピウムが、約0.02%から、HPLC法の検出限界までの2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、請求項10記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項12】
前記臭化チオトロピウムが、約0.01%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、請求項6記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項13】
前記臭化チオトロピウムが、約0.01%から、HPLC法の検出限界までの2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する、請求項12記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項14】
安定な臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項15】
約4℃から約30℃までの範囲の温度に2月以上維持した場合に、2,2−ジチエニルグリコール酸の濃度が0.15%超まで上昇しない、請求項14記載の安定な臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項16】
前記臭化チオトロピウム溶媒和物が安定である、請求項1から13の何れかに記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項17】
前記臭化チオトロピウム溶媒和物が、酢酸溶媒和物及びアルコール溶媒和物からなる群より選択される、請求項1から15の何れかに記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項18】
前記アルコール溶媒和物がC1-8アルコラートである、請求項17記載の溶媒和物。
【請求項19】
前記C1-8アルコラートがC1-6アルコラートである、請求項18記載の溶媒和物。
【請求項20】
前記C1-6アルコラートがC1-5アルコラートである、請求項19記載の溶媒和物。
【請求項21】
前記C1-5アルコラートがC1-4アルコラートである、請求項20記載の溶媒和物。
【請求項22】
前記C1-4アルコラートが、メタノラート、エタノラート、イソプロパノラート、n−プロパノラート、及びn−ブタノラートからなる群より選択される、請求項21記載の溶媒和物。
【請求項23】
前記C1-4アルコラートが、メタノラート、エタノラート、又はn−プロパノラートからなる群より選択される、請求項22記載の溶媒和物。
【請求項24】
(a)臭化チオトロピウムサンプルを、水中にアセトニトリル:酢酸を約0.1%:99.9%の比で含む混合液と合わせ、溶液を得る工程、
(b)前記溶液をカラムに注入する工程、
(c)過塩素酸:水を7:3の比率で含んでなる第1の溶離剤と、アセトニトリルを含んでなる第2の溶離剤とからなる混合溶離剤を用いて、前記サンプルを前記カラムから、約3.63分において溶出させる工程、並びに、
(d)関連するサンプル中の2,2−ジチエニルグリコール酸含量をUV検出器で測定する工程を含んでなる、HPLC法。
【請求項25】
前記カラムが、250×4.6mm×0.5μmのCPS Hypersil(又は類似)カラムである、請求項24記載のHPLC法。
【請求項26】
前記の第1及び第2の溶離剤の比率が経時変化する、請求項24記載のHPLC法。
【請求項27】
0分の時点で、前記溶離剤が前記第1の溶離剤70%と前記第2の溶離剤300%とを含有する、請求項26記載のHPLC法。
【請求項28】
23分の時点で、前記溶離剤が前記第1の溶離剤55%と前記第2の溶離剤45%とを含有する、請求項26記載のHPLC法。
【請求項29】
30分の時点で、前記溶離剤が前記第1の溶離剤50%と前記第2の溶離剤50%とを含有する、請求項26記載のHPLC法。
【請求項30】
35分の時点で、前記溶離剤が前記第1の溶離剤50%と前記第2の溶離剤50%とを含有する、請求項26記載のHPLC法。
【請求項31】
40分の時点で、前記溶離剤が前記第1の溶離剤35%と前記第2の溶離剤65%とを含有する、請求項26記載のHPLC法。
【請求項32】
41分の時点で、前記溶離剤が前記第1の溶離剤70%と前記第2の溶離剤30%とを含有する、請求項26記載のHPLC法。
【請求項33】
前記2,2−ジチエニルグリコール酸含量が240nmの波長で測定される、請求項24記載のHPLC法。
【請求項34】
純度が99%以上で、2,2−ジチエニルグリコール酸含有量が約0.15%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を調製する方法であって、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率が約5に対して約1以上である、方法。
【請求項35】
HPLC測定による純度が99%以上で、2,2−ジチエニルグリコール酸量が約0.05%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を調製する方法であって、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率が約10に対して約1以上である、方法。
【請求項36】
純度が99%以上で、2,2−ジチエニルグリコール酸量が約0.02%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を調製する方法であって、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率が約20に対して約1以上である、方法。
【請求項37】
純度が99%以上で、2,2−ジチエニルグリコール酸量が約0.01%未満である、安定な臭化チオトロピウム溶媒和物を調製する方法であって、有機酸を含んでなる溶媒系から臭化チオトロピウムを結晶化させる工程を含んでなるとともに、前記溶媒系に対する臭化チオトロピウムの比率が約30に対して約1以上である、方法。
【請求項38】
前記有機酸が、トリフルオロ酢酸、酒石酸、マレイン酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、及び酢酸からなる群より選択される、請求項34から37の何れかに記載の方法。
【請求項39】
前記有機酸が酢酸である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記溶液を冷却して懸濁液を得る工程を更に含んでなる、請求項34から37の何れかに記載の方法。
【請求項41】
前記溶媒系が更にアルコールを含んでなる、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記アルコールがC1-8アルコールである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記C1-8アルコールがC1-6アルコールである、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記C1-6アルコールがC1-5アルコールである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記C1-5アルコールがC1-4アルコールである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記C1-4アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、及びn−ブタノールからなる群より選択される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記C1-4アルコラートが、メタノール、エタノール、及びn−プロパノールからなる群より選択される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
臭化チオトロピウムと前記溶媒系との組み合わせを加熱する工程を更に含んでなる、請求項34から47の何れかに記載の方法。
【請求項49】
前記の加熱が、約60℃から約78℃までの範囲の温度で行なわれる、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記溶液が、約25℃から約0℃までの温度に冷却される、請求項40記載の方法。
【請求項51】
前記冷却が、約4時間から約10時間の期間に亘って行なわれる、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記方法が、結晶化産物を回収する工程を更に含んでなる、請求項40記載の方法。
【請求項53】
請求項1から23の何れかに記載の臭化チオトロピウム溶媒和物と、少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項54】
喘息又は慢性閉塞性肺疾患の治療用の組成物の製造における、請求項1から23の何れかに記載の臭化チオトロピウム溶媒和物の使用。
【請求項55】
前記臭化チオトロピウム溶媒和物が微粉化されてなる、請求項1から23の何れかに記載の臭化チオトロピウム溶媒和物。
【請求項56】
HPLCによる面積が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含有する臭化チオトロピウムを調製する方法であって、
(a)1又は2以上の臭化チオトロピウムバッチの1又は2以上のサンプルを得る工程、
(b)前記サンプルの各々における2,2−ジチエニルグリコール酸の濃度をHPLCにより測定する工程、
(c)HPLCによる面積濃度が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含んでなる臭化チオトロピウムバッチを選択する工程、並びに
(d)前記選択されたバッチを用いて、HPLCによる面積が約0.15%未満の2,2−ジチエニルグリコール酸を含んでなる臭化チオトロピウムを調製する工程を含んでなる、方法。
【請求項57】
測定に先立ちサンプルを精製する工程を更に含んでなる、請求項56記載の方法。

【公表番号】特表2008−530251(P2008−530251A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556440(P2007−556440)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/048690
【国際公開番号】WO2007/075838
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(505216117)シコール インコーポレイティド (35)
【Fターム(参考)】