説明

紙の製造方法

セルロース繊維を含んでいる水性懸濁物を用意する段階、全ての5の高せん断場の後で該懸濁物にカチオン性多糖およびアニオン性ポリマーであるポリマーP2を添加する段階、ならびに得られた懸濁物を脱水して紙を形成する段階を含む、紙を製造する方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙の製造方法に関する。もっと具体的には、本発明は、すべての高せん断場の後でカチオンデンプンおよびポリマーP2を水性セルロース懸濁物に添加し、得られた懸濁物を脱水して、紙を形成することを含む、紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙の技術においては、ストック(紙料)と呼ばれる、セルロース繊維、任意的な填料および添加剤を含有する水性懸濁物が、ポンプ、スクリーンおよびクリーナーを通され、これらがストックを高せん断力に付し、ストックがヘッドボックス中へと供給され、ヘッドボックスがストックをフォーミングワイヤ(抄紙網)上へと放出する。フォーミングワイヤを通してストックから水が濾水され、その結果、紙の湿潤ウェブ(湿紙)がワイヤ上に形成され、ウェブはさらに抄紙機の乾燥部で脱水され乾燥される。濾水を促進し、かつ微細粒子、たとえば微細繊維、填料および添加剤のセルロース繊維上への吸着を増加するために、慣用的に濾水性・歩留り向上剤がストックの流れの様々な場で導入され、この結果、これらがワイヤ上のセルロース繊維によって保持される。慣用される濾水性・歩留り向上剤の例は、有機ポリマー、無機ポリマー、およびこれらの組み合わせを含む。
【0003】
特許文献1〜4は、カチオンデンプンおよびアニオン性ポリマーを製紙プロセスに使用する方法を開示している。しかし、高せん断の全ての場所の後の懸濁物にこれらの成分の双方を添加することについては何も開示されていない。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0234513号明細書
【特許文献2】国際公開第91/07543号パンフレット
【特許文献3】国際公開第95/33097号パンフレット
【特許文献4】国際公開第01/34910号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製紙プロセスに濾水、歩留りおよび紙形成におけるさらなる改良をもたらすことができることは有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従って、(i)セルロース繊維を含んでいる水性懸濁物を用意する段階、(ii)高せん断の全ての場所の後で該懸濁物にカチオン性多糖およびアニオン性ポリマーであるポリマーP2を添加する段階、ならびに(iii)得られた懸濁物を脱水して紙を形成する段階を含む、紙を製造する方法によって、歩留りおよび紙形成の何らかの有意な障害を起こさずに、または歩留りおよび紙形成の改良を伴ってさえ、濾水が改良されることができることが発見された。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、全ての種類のストック、特に機械パルプまたはリサイクルパルプを含有するストック、ならびに高含有量の塩(高導電率)およびコロイド状物質を有するストックからの紙の製造において、および高度の白水循環、すなわち大規模な白水リサイクルおよび限定された清水の供給による製紙プロセスにおいて、濾水および歩留りの改良をもたらす。これによって、本発明は、抄紙機の速度を増加することならびにより低い施量のポリマーを使用して同じような濾水および/または歩留りの効果を与えることを可能にし、それによって改良された製紙プロセスおよび経済的利益をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書で使用される「濾水性・歩留り向上剤」の語は、水性セルロース懸濁物に添加されると、これらを添加しないときに得られるよりも良好な濾水性および歩留りを与えるところの2以上の成分を言う。
【0008】
本発明に従うカチオン性多糖は、従来技術で知られた任意の多糖、たとえばデンプン、グアーガム、セルロース、キチン、キトサン、グリカン、ガラクタン、グルカン、キサンタンガム、ペクチン、マンナン、デキストリン、好ましくはデンプンおよびグアーガムから選択されることができる。好適なデンプンの例は、じゃがいも、とうもろこし、小麦、タピオカ、米、ワキシマイズ(蝋質とうもろこし)、および大麦等を含む。好適にはカチオン性多糖は水中分散性、または好ましくは水溶性である。
【0009】
本発明に従う特に好適な多糖は、一般構造式(I)

を含んでいるものを包含し、この式で、Pは多糖の残基であり;Aは、該多糖の残基にNを結合させる基であり、好適にはCおよびH原子、任意的にOおよび/またはN原子、普通には2〜18、好適には2〜8炭素原子を有し、任意的に1以上のヘテロ原子、たとえばOまたはNによって中断されまたは置換されたアルキレン基、たとえばアルキレンオキシ基またはヒドロキシプロピレン基(−CH−CH(OH)−CH−)を含んでいる原子鎖であり;R、R、およびRは夫々Hまたは、好ましくは炭化水素基、好適には1〜3炭素原子、好適には1または2炭素原子を有するアルキルであり;nは約2〜約300,000、好適には5〜200,000、好ましくは6〜125,000の整数であり、またはその代わりに、R、R、およびRはNと共に5〜12炭素原子を有する芳香族基を形成し;Xはアニオン性対イオン、普通には塩素イオンのようなハロゲンイオンである。
【0010】
本発明に従うカチオン性多糖は、アニオン性基を好ましくは少量で含有してもよい。このようなアニオン性基は、化学的処理によって多糖中に導入されることができ、または天然多糖中に存在することができる。
【0011】
カチオン性多糖の重量平均分子量は、とりわけ使用されるポリマーの種類に応じて、広い限度内で様々であることができ、普通には少なくとも約5,000、しばしば少なくとも10,000である。より多くの場合これは150,000超、通常500,000超、好適には約700,000超、好ましくは約1,000,000超、最も好ましくは約2,000,000超である。上限は決定的に重要ではなく、約200,000,000、普通には150,000,000、好適には100,000,000であることができる。
【0012】
カチオン性多糖は、とりわけ使用されるポリマーの種類に応じて、広い範囲にわたって様々であるカチオン置換度(DS)を有することができ、DSは0.005〜1.0、普通には0.01〜0.5、好適には0.02〜0.3、好ましくは0.025〜0.2であることができる。
【0013】
普通には、カチオン性多糖の電荷密度は0.05〜6.0、好適には0.1〜5.0、好ましくは0.2〜4.0ミリ当量/乾燥ポリマーgの範囲内にある。
【0014】
本発明に従うポリマーP2はアニオン性ポリマーであり、無機および有機アニオン性ポリマーから選択されることができる。好適なポリマーP2の例は、水溶性および水中分散性の無機および有機アニオン性ポリマーを含む。
【0015】
好適なポリマーP2の例は、ケイ酸およびシリケートに基づいた無機アニオン性ポリマー、すなわちシリカに基づいたアニオン性ポリマーを含む。シリカに基づいた好適なアニオン性ポリマーは、ケイ酸質化合物、たとえばケイ酸およびシリケートの縮合重合によって調製されることができ、これらはホモ重合されることも共重合されることもできる。好ましくは、シリカに基づいたアニオン性ポリマーは、コロイドの領域の粒子サイズ内にあるシリカに基づいたアニオン性粒子を含んでいる。シリカに基づいたアニオン性ポリマーは、普通には水性コロイド分散物、いわゆるゾルの形態で供給される。シリカに基づいたゾルは、変性され、他の元素、たとえばアルミニウム、ホウ素、窒素、ジルコニウム、ガリウムおよびチタンを有することができ、これらは水相中におよび/またはシリカに基づいた粒子中に存在することができる。シリカに基づいた好適なアニオン性粒子の例は、ポリケイ酸、ポリケイ酸ミクロゲル、ポリシリケート、ポリシリケートミクロゲル、コロイドシリカ、アルミニウム変性コロイドシリカ、ポリアルミノシリケート、ポリアルミノシリケートミクロゲル、ポリボロシリケート等を含む。シリカに基づいた好適なアニオン性粒子の例は、米国特許第4,388,150号、第4,927,498号、4,954,220号、第4,961,825号、第4,980,025号、第5,127,994号、第5,176,891号、第5,368,833号、第5,447,604号、第5,470,435号、第5,543,014号、第5,571,494号、第5,573,674号、第5,584,966号、第5,603,805号、5,688,482号、および第5,707,493号に開示されたものを含み、ここにこれらは引用によって本明細書に取り込まれる。
【0016】
シリカに基づいた好適なアニオン性粒子の例は、約100nm未満、好ましくは約20nm未満、より好ましくは約1〜約10nmの範囲にある平均粒子サイズを有するものを含む。シリカの化学において慣習であるように、粒子サイズとは一次粒子の平均サイズを言い、該一次粒子は凝集していてもしていなくてもよい。好ましくは、シリカに基づいたアニオン性粒子は、シリカに基づいた凝集したアニオン性粒子を含んでいる。シリカに基づいた粒子の比表面積は、好適には少なくとも50m/g、好ましくは少なくとも100m/gである。一般に、比表面積は約1700m/gまで、好ましくは1000m/gまでであることができる。G.W.SearsによってAnalytical Chemistry、1956年、第28巻、第12号、p.1981〜1983および米国特許第5,176,891号に記載されたNaOHによる滴定によって、滴定を妨げることがある、サンプル中に存在する何らかの化合物、たとえばアルミニウム化学種およびホウ素化学種の適切な除去または調整の後に、表面積は測定される。示された面積は、かくして粒子の平均比表面積を表す。
【0017】
本発明の好まれる実施態様では、シリカに基づいたアニオン性粒子は50〜1000m/g、より好ましくは100〜950m/gの範囲内の比表面積を有する。好ましくは、シリカに基づいた粒子は8〜50%、好ましくは10〜40%の範囲にあるS値を有し、300〜1000m/g、好適には500〜950m/g、好ましくは750〜950m/gの範囲にある比表面積を有する、シリカに基づいた粒子を含有するゾル中に存在し、該ゾルは上述のように変性されることができる。IlerおよびDaltonによってJ.Phys.Chem.、1956年、第60巻、p.955〜957に記載されたように、S値は測定され計算される。S値は凝集度すなわちミクロゲル形成度を表し、より低いS値はより高い凝集度を表す。
【0018】
本発明のさらに他の好まれる実施態様では、シリカに基づいた粒子は高い比表面積、好適には約1000m/g超の比表面積を有する。比表面積は1000〜1700m/g、好ましくは1050〜1600m/gの範囲にあることができる。
【0019】
好適なポリマーP2のさらなる例は、エチレン性不飽和のアニオン性もしくは潜在的にアニオン性のモノマー、または好ましくは1以上のエチレン性不飽和のアニオン性もしくは潜在的にアニオン性のモノマー、任意的に1以上の他のエチレン性不飽和のアニオン性もしくは潜在的にアニオン性のモノマーを含んでいるモノマー混合物を重合することによって得られる水溶性および水中分散性の有機アニオン性ポリマーを含む。好ましくは、エチレン性不飽和モノマーは水溶性である。アニオン性および潜在的にアニオン性の好適なモノマーの例は、エチレン性不飽和カルボン酸およびその塩、エチレン性不飽和スルホン酸およびその塩、たとえば上述のもののうちの任意の一つを含む。モノマー混合物は、1以上の水溶性エチレン性不飽和非イオン性モノマーを含有することができる。
【0020】
好適な共重合性非イオン性モノマーの例は、アクリルアミド、およびアクリルアミドに基づいたおよびアクリレートに基づいた上述の非イオン性モノマー、ならびにビニルアミンを含む。モノマー混合物は、1以上の水溶性エチレン性不飽和のカチオン性および潜在的にカチオン性のモノマーを、好ましくは少量で含有することもできる。好適な共重合性カチオン性モノマーの例は、上記の一般構造式(I)によって表されたモノマーおよびジアリルジアルキルアンモニウムハライド、たとえばジアリルジメチルアンモニウムクロライドを含む。モノマー混合物は、1以上の多官能性架橋剤を含有することもできる。モノマー混合物中の多官能性架橋剤の存在は、水中分散性であるポリマーP2の調製を可能にする。好適な多官能性架橋剤の例は、上述の多官能性架橋剤を含む。これらの薬剤は上述の量で使用されることができる。好適な水中分散性有機アニオン性ポリマーの例は、米国特許第5,167,766号に開示されたものを含み、この内容は引用によって本明細書に取り込まれる。好まれる共重合性モノマーの例は(メタ)アクリルアミドを含み、好まれるポリマーP2の例は、アクリルアミドに基づいた水溶性および水中分散性のアニオン性ポリマーを含む。
【0021】
本発明に従う有機アニオン性ポリマーであるポリマーP2、好ましくは水溶性である有機アニオン性ポリマーは、少なくとも約500,000の重量平均分子量を有する。普通、該重量平均分子量は少なくとも約1百万、好適には少なくとも約2百万、好ましくは少なくとも約5百万である。上限は決定的に重要ではなく、約5千万、普通には3千万であることができる。
【0022】
有機アニオン性ポリマーであるポリマーP2は、約14ミリ当量/g未満、好適には約10ミリ当量/g未満、好ましくは約4ミリ当量/g未満の電荷密度を有する。好適には、電荷密度は約1.0〜約14.0、好ましくは約2.0〜約10.0ミリ当量/gの範囲にある。
【0023】
本発明の1の実施態様では、紙を製造する本発明の方法はさらに、カチオン性ポリマーであるポリマーP1を高せん断の全ての場所の後で懸濁物に添加することを含む。
【0024】
本発明に従う任意的なポリマーP1は、好適には少なくとも2.5ミリ当量/g、好ましくは少なくとも3.0ミリ当量/gの電荷密度を有するカチオン性ポリマーである。好適には、電荷密度は2.5〜10.0、好ましくは3.0〜8.5ミリ当量/gの範囲にある。
【0025】
ポリマーP1は、無機および有機カチオン性ポリマーから選択されることができる。好ましくは、ポリマーP1は水溶性である。好適なポリマーP1の例は、ポリアルミニウム化合物、たとえばポリアルミニウムクロライド、ポリアルミニウムサルフェート、塩素イオンおよび硫酸イオンの双方を有するポリアルミニウム化合物、ポリアルミニウムシリケートサルフェート、およびこれらの混合物を含む。
【0026】
好適なポリマーP1のさらなる例は、カチオン性有機ポリマー、たとえばアクリルアミドに基づいたカチオン性ポリマー;ポリ(ジアリルジアルキルアンモニウムハライド)、たとえばポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド);ポリエチレンイミン;ポリアミドアミン;ポリアミン;およびビニルアミンに基づいたポリマーを含む。好適なカチオン性有機ポリマーの例は、水溶性エチレン性不飽和カチオン性モノマー、または好ましくは1以上の水溶性エチレン性不飽和カチオン性モノマーおよび任意的に1以上の他の水溶性エチレン性不飽和モノマーを含んでいるモノマー混合物の重合によって調製されたポリマーを含む。好適な水溶性エチレン性不飽和カチオン性モノマーの例は、ジアリルジアルキルアンモニウムハライド、たとえばジアリルジメチルアンモニウムクロライドおよび一般構造式(II)

によって表されたカチオン性モノマーを含み、この式で、RはHまたはCHであり;RおよびRは、夫々H、または好ましくは炭化水素基、好適には1〜3炭素原子、好ましくは1〜2炭素原子を有するアルキル基であり;AはOまたはNHであり;Bは、2〜8炭素原子、好適には2〜4炭素原子を有するアルキルもしくはアルキレン基、またはヒドロキシプロピレン基であり;RはH、または好ましくは炭化水素基、好適には1〜4炭素原子、好ましくは1〜2炭素原子を有するアルキル基、または芳香族基、好適にはフェニル基もしくは置換フェニル基を有する置換基であり、これは、普通には1〜3炭素原子、好適には1〜2炭素原子を有するアルキレン基によって窒素に結合されることができ、好適なRはベンジル基(−CH−C)を包含し;Xはアニオン性対イオン、普通には塩素イオンのようなハロゲンイオンである。
【0027】
一般構造式(II)によって表される好適なモノマーの例は、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、たとえばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびジメチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ならびにジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、たとえばジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、およびジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを、塩化メチルまたは塩化ベンジルで処理することによって得られる4級モノマーを含む。一般式(II)の好まれるカチオン性モノマーは、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化ベンジル4級塩、およびジメチルアミノエチルメタクリレート塩化ベンジル4級塩を包含する。
【0028】
モノマー混合物は、1以上の水溶性エチレン性不飽和非イオン性モノマーを含有することができる。好適な共重合性非イオン性モノマーの例は、アクリルアミドおよびアクリルアミドに基づいたモノマー、たとえばメタクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、たとえばN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、およびN−イソブチル(メタ)アクリルアミド;N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、たとえばN−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、およびN−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、たとえばN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド;ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;アクリレートに基づいたモノマー、たとえばジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;ならびにビニルアミンを含む。モノマー混合物は、1以上の水溶性エチレン性不飽和アニオン性または潜在的にアニオン性のモノマーを、好ましくは少量で含有することもできる。本明細書で使用される「潜在的にアニオン性のモノマー」の語句は、セルロース懸濁物に施与後のポリマー中に含まれているとアニオン性になる、潜在的にイオン化可能な基を持つモノマーを包含することを意味する。好適な共重合性のアニオン性および潜在的にアニオン性のモノマーの例は、エチレン性不飽和カルボン酸およびその塩、たとえば(メタ)アクリル酸およびその塩、好適には(メタ)アクリル酸ナトリウム、エチレン性不飽和スルホン酸およびその塩、たとえば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、スルホエチル−(メタ)アクリレート、ビニルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホネート、ならびにパラビニルフェノール(ヒドロキシスチレン)およびその塩を含む。好まれる共重合性モノマーの例はアクリルアミドおよびメタクリルアミド、すなわち(メタ)アクリルアミドを含み、好まれるカチオン性有機ポリマーの例はアクリルアミドに基づいたカチオン性ポリマー、すなわちアクリルアミドおよびアクリルアミドに基づいたモノマーのうち1以上を含んでいるモノマー混合物から調製されたカチオン性ポリマーを含む。
【0029】
カチオン性有機ポリマーの形態をしたポリマーP1は、少なくとも10,000、しばしば少なくとも50,000の重量平均分子量を有することができる。より多くの場合、これは少なくとも100,000、普通には少なくとも約500,000、好適には少なくとも約1百万、好ましくは少なくとも約2百万超である。上限は決定的に重要ではなく、約3千万、普通には2千万であることができる。
【0030】
本発明に従う好まれる濾水性・歩留り向上剤の例は、
(i) カチオンデンプンであるカチオン性多糖、およびシリカに基づいたアニオン性粒子であるポリマーP2、
(ii) カチオンデンプンであるカチオン性多糖、および水溶性または水中分散性の、アクリルアミドに基づいたアニオン性ポリマーであるポリマーP2、
(iii) アクリルアミドに基づいたカチオン性ポリマーであるポリマーP1、カチオンデンプンであるカチオン性多糖、およびシリカに基づいたアニオン性粒子であるポリマーP2、
(iv) カチオン性ポリアルミニウム化合物であるポリマーP1、カチオンデンプンであるカチオン性多糖、およびシリカに基づいたアニオン性粒子であるポリマーP2、ならびに
(v) アクリルアミドに基づいたカチオン性ポリマーであるポリマーP1、カチオンデンプンであるカチオン性多糖、および水溶性または水中分散性の、アクリルアミドに基づいたアニオン性ポリマーであるポリマーP2
を含む。
【0031】
本発明に従うと、水性セルロース懸濁物が高機械的せん断の全ての段階の中を通過した後かつ濾水の前に、カチオン性多糖、ポリマーP2、および任意的にポリマーP1が、該水性セルロース懸濁物に添加される。高せん断段階の例は、ポンプ輸送およびクリーニングの段階を含む。たとえば、セルロース懸濁物がファンポンプ、圧力スクリーン、および遠心分離スクリーンの中を通過させられるときには、このようなせん断段階が含まれる。好適には、高せん断の最後の場所は遠心分離スクリーンにおいて生じ、したがってカチオン性多糖、ポリマーP2、および任意的にポリマーP1は遠心分離スクリーンの後で好適に添加される。好ましくは、カチオン性多糖、ポリマーP2、および任意的にポリマーP1の添加の後で、セルロース懸濁物はヘッドボックス中へと供給され、該ヘッドボックスが懸濁物を濾水のためにフォーミングワイヤ上へと放出する。
【0032】
本発明の方法に追加の物質をさらに含めることが望ましいことがある。好ましくは、セルロース懸濁物が高せん断の最後の場所の中を通過させられる前に、これらの物質はセルロース懸濁物に添加される。このような追加の物質の例は、水溶性有機ポリマー凝集剤、たとえばカチオン性ポリアミン、ポリアミドアミン、ポリエチレンイミン、ジシアンジアミン縮合ポリマーおよび低分子量高カチオン性ビニル付加ポリマー;ならびに無機凝集剤、たとえばアルミニウム化合物、たとえばミョウバンおよびポリアルミニウム化合物を含む。
【0033】
カチオン性多糖、ポリマーP2、および任意的にポリマーP1は、セルロース懸濁物に別々に添加されることができる。1の実施態様では、ポリマーP2を添加する前に、カチオン性多糖はセルロース懸濁物に添加される。他の実施態様では、カチオン性多糖を添加する前に、ポリマーP2はセルロース懸濁物に添加される。好ましくは、ポリマーP2を添加する前に、カチオン性多糖はセルロース懸濁物に添加される。ポリマーP1が使用されるならば、カチオン性多糖の前、それと同時に、またはその後で、ポリマーP1はセルロース懸濁物に添加されることができる。好ましくは、カチオン性多糖の前、またはそれと同時に、ポリマーP1はセルロース懸濁物に添加される。ポリマーP2の前またはその後で、ポリマーP1はセルロース懸濁物に添加されることができる。好ましくは、ポリマーP2の前に、ポリマーP1はセルロース懸濁物に添加される。
【0034】
本発明に従う、カチオン性多糖、ポリマーP2、および任意的にポリマーP1は、脱水されるべきセルロース懸濁物に、広い限度内で様々であることができる量で添加されることができる。一般に、カチオン性多糖、ポリマーP2、および任意的にポリマーP1は、添加をしないときに得られるよりも良好な濾水性および歩留りを与える量で添加される。
【0035】
カチオン性多糖は、普通、乾燥セルロース懸濁物当たりの乾燥ポリマーとして計算されて、少なくとも約0.001重量%、しばしば少なくとも約0.005重量%の量で添加され、上限は普通、約5.0、好適には約2.0、好ましくは約1.5重量%である。
【0036】
同様に、ポリマーP2は、普通、乾燥セルロース懸濁物当たりの乾燥ポリマーまたは乾燥SiOとして計算されて、少なくとも約0.001重量%、しばしば少なくとも約0.005重量%の量で添加され、上限は普通、約2.0、好適には約1.5重量%である。
【0037】
同様に、任意的なポリマーP1は、使用されるときは、普通、乾燥セルロース懸濁物当たりの乾燥ポリマーとして計算されて、少なくとも約0.001重量%、しばしば少なくとも約0.005重量%の量で添加され、上限は普通、約2.0、好適には約1.5重量%である。
【0038】
本発明の方法は、全ての製紙プロセスおよびセルロース懸濁物に適用可能であり、特に高導電率を有するストックからの紙の生産に有用である。このような場合には、ワイヤ上で脱水されるストックの導電率は、普通、少なくとも約1.5mS/cm、好ましくは少なくとも3.5mS/cm、より好ましくは少なくとも5.0mS/cmである。標準装置、たとえばChristian Berner社によって供給されるWTW LF 539測定器によって、導電率は測定されることができる。
【0039】
本発明はさらに、白水が大規模にリサイクルされまたは再循環される製紙プロセス、すなわち、高度の白水循環、たとえば製造される乾燥紙1トン当たり0〜30トンの清水、紙1トン当たり、普通には20未満、好ましくは15未満、より好ましくは10未満、特には5トン未満の清水が使用される高度の白水循環を有する製紙プロセスを包含する。清水は該プロセスに任意の段階で導入されることができる、たとえば清水は、セルロース懸濁物を形成するためにセルロース繊維と混合されることができ、および清水は、濃いセルロース懸濁物を希釈するためにそれと混合されて、その結果、薄いセルロース懸濁物が形成され、それにカチオン性多糖、ポリマーP2、および任意的にポリマーP1が、高せん断の全ての場所の後で添加されることができる。
【0040】
本発明に従う方法は紙の製造に使用される。本明細書で使用される「紙」の語は、もちろん、紙およびその製造のみでなく、他のウェブ様生成物、たとえば厚紙および板紙ならびにこれらの製造も包含する。該方法は種々の種類のセルロース繊維懸濁物からの紙の製造に使用されることができ、該懸濁物は乾燥物質当たり、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも50重量%のこのような繊維を含有しなければならない。化学パルプ、たとえば硫酸パルプおよび亜硫酸パルプ、熱機械パルプ、化学熱機械パルプ、オルガノソルブパルプ、広葉樹および針葉樹の双方からの叩解パルプもしくは砕木パルプからの繊維に、または一年生植物、たとえばエレファントグラス、バガス、亜麻および麦わら等から誘導された繊維に、懸濁物は基づくことができ、該方法はリサイクルされた繊維に基づいた懸濁物に使用されることもできる。本発明は、好ましくは木材を含有する懸濁物からの製紙プロセスに適用される。
【0041】
懸濁物は慣用の種類の鉱物填料、たとえばカオリン、粘土、二酸化チタン、石こう、タルクならびに天然および合成炭酸カルシウム、たとえば白亜、石英粉、炭酸カルシウム粉末、および沈降炭酸カルシウムも含有する。ストックは、もちろん慣用の種類の製紙用添加剤、たとえば湿潤紙力増強剤、サイズ剤、たとえばロジンに基づいたもの、ケテン二量体、ケテン多量体およびアルケニルコハク酸無水物等を含有することもできる。
【0042】
好ましくは、木材を含有する紙(中質紙)およびリサイクルされた繊維に基づいた紙、たとえばSC、LWCおよび種々の種類の書籍用紙および新聞用紙を製造する抄紙機に、ならびに木材を含有しない印刷用紙および筆記用紙(上質紙)を製造する抄紙機に、本発明は適用され、「木材を含有しない」の語句は、木材を含有する繊維約15%未満を意味する。本発明の好まれる用途の例は、叩解繊維および/またはリサイクル繊維少なくとも50重量%を含有するセルロース懸濁物からの紙および他層紙の層の製造を含む。好ましくは、本発明は300〜3000m/分、より好ましくは500〜2500m/分の速度で操業される抄紙機に適用される。
【0043】
本発明は、以下の実施例においてさらに説明されるが、これらは同を限定することを意図されていない。部および%は、他様に述べられていない限り、夫々重量部および重量%に関する。
【0044】
実施例
【0045】
以下の成分が実施例に使用された。
【0046】
C−PAM: ポリマーP1を表す。アクリルアミド(60モル%)およびアクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(40モル%)の重合によって調製された、アクリルアミドに基づいたカチオン性ポリマーであり、該ポリマーは約3百万の重量平均分子量および約3.3ミリ当量/gのカチオン電荷を有する。
【0047】
C−PS1: 2,3−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドで0.05のカチオン置換度(DS)まで変性され、約0.3ミリ当量/gのカチオン電荷密度を有するカチオンデンプン。
【0048】
C−PS2: 2,3−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドで0.11のカチオン置換度(DS)まで変性され、約0.6ミリ当量/gのカチオン電荷密度を有するカチオンデンプン。
【0049】
シリカ: ポリマーP2を表す。約21のS値を有し、約800m/gの比表面積を有するシリカベース粒子を含有する、アルミニウム変性されたコロイドシリカゾルの形態をした、ケイ酸のアニオン性無機縮合ポリマー。
【0050】
A−PAM: ポリマーP2を表す。アクリルアミド(80モル%)およびアクリル酸(20モル%)の重合によって調製された、アクリルアミドに基づいたアニオン性ポリマーであり、該ポリマーは約1千2百万の重量平均分子量および約2.6ミリ当量/gのアニオン電荷密度を有する。
【0051】
A−X−PAM: ポリマーP2を表す。アクリルアミド(30モル%)およびアクリル酸(70モル%)の重合によって調製された、アクリルアミドに基づいたアニオン性架橋ポリマーであり、該ポリマーは約100,000の重量平均分子量および約8.0ミリ当量/gのアニオン電荷密度を有する。
【実施例1】
【0052】
濾水性能は、スウェーデン国、Akribi社から入手可能な動的濾水度分析器(DDA)によって評価され、これは、栓を外しその上にストックが存在するところの側と反対のワイヤ側に真空をかけたときに、規定された容積のストックがワイヤを通して濾水するための時間を測定する。
【0053】
歩留り性能は、スイス国、Novasina社から入手可能な比濁計によって、ストックを濾水することによって得られるろ液、すなわち白水の濁度を測定することによって評価された。濁度はNTU(比濁計濁度単位)で測定された。
【0054】
試験に使用されたストックは、新聞用紙抄紙機からのTMP75%およびDIP25%の繊維物質ならびに漂白水に基づいていた。ストック濃度は0.76%であった。ストックの導電率は1.5mS/cmでありpHは7.1であった。
【0055】
高せん断の全ての場所の後での添加をシミュレートするために、ストックはバッフル付きびん中で種々の撹拌機速度で撹拌された。撹拌および添加は以下に従って行われた。
(i) 1000rpmで25秒間撹拌すること、
(ii) 2000rpmで10秒間撹拌すること、
(iii) 添加を行いながら1000rpmで15秒間撹拌すること、および
(iv) 脱水時間を自動的に記録しながらストックを脱水すること。
【0056】
ストックへの添加は以下のように行われた。すなわち、第一の添加(5、10または15kg/tの添加レベル)は脱水の25秒前または15秒前に行われ、第二の添加(5、10または15kg/tの添加レベル)は脱水の5秒前に行われた。
【0057】
表1は種々の添加時点の場合の脱水効果を示す。カチオンデンプンの添加レベルは乾燥ストック構成物当たりの乾燥生成物として計算され、シリカに基づいた粒子はSiOとして計算され乾燥ストック構成物当たりとされた。
【0058】
試験番号1は何らの添加剤も含まない場合の結果を示す。試験番号2〜6、8、10〜14および16は比較として使用された方法(参照方法)を示し、試験番号7、9、15および17は本発明に従う方法を示す。
【表1】

【0059】
本発明に従う方法は、歩留り挙動がおおよそ同じであると同時に、改良された脱水をもたらしたことが表1から明らかである。
【実施例2】
【0060】
濾水性能および歩留りは実施例1に従って評価された。
【0061】
試験に使用されたストックは、新聞用紙抄紙機からのTMP75%およびDIP25%の繊維物質ならびに漂白水に基づいていた。ストック濃度は0.78%であった。ストックの導電率は1.4mS/cmでありpHは7.8であった。
【0062】
高せん断の全ての場所の後での添加をシミュレートするために、ストックはバッフル付きびん中で種々の撹拌機速度で撹拌された。撹拌および添加は以下に従って行われた。
(v) 1500rpmで25秒間撹拌すること、
(vi) 2000rpmで10秒間撹拌すること、
(vii) 本発明に従う添加を行いながら1500rpmで15秒間撹拌すること、および
(viii) 脱水時間を自動的に記録しながらストックを脱水すること。
【0063】
ストックへの添加は以下のように行われた。すなわち、第一の添加は脱水の25秒前または15秒前に行われ、第二の添加は脱水の5秒前に行われた。
【0064】
ストックへの添加は以下のように行われた。すなわち、第一の添加(5または10kg/tの添加レベル)は脱水の25秒前または15秒前に行われ、第二の添加(0.1kg/tの添加レベル)は脱水の5秒前に行われた。
【0065】
表4は種々の添加時点の場合の脱水効果を示す。添加レベルは乾燥ストック構成物当たりの乾燥生成物として計算された。
【0066】
試験番号1は何らの添加剤も含まない場合の結果を示す。試験番号2、3、4および6は比較として使用された添加剤を用いる方法(参照方法)を示し、試験番号5および7は本発明に従う方法を示す。
【表2】

【0067】
本発明に従う方法は、改良された脱水および歩留りをもたらしたことが表2から明らかである。
【実施例3】
【0068】
濾水性能および歩留りは実施例1に従って評価された。
【0069】
試験に使用されたストックは、新聞用紙抄紙機からのTMP75%およびDIP25%の繊維物質ならびに漂白水に基づいていた。ストック濃度は0.61%であった。ストックの導電率は1.6mS/cmでありpHは7.6であった。
【0070】
高せん断の全ての場所の後での添加をシミュレートするために、ストックはバッフル付きびん中で種々の撹拌機速度で撹拌された。撹拌および添加は以下に従って行われた。
(ix) 1500rpmで25秒間撹拌すること、
(x) 2000rpmで10秒間撹拌すること、
(xi) 本発明に従う添加を行いながら1500rpmで15秒間撹拌すること、および
(xii) 脱水時間を自動的に記録しながらストックを脱水すること。
【0071】
ストックへの添加は以下のように行われた(kg/t単位での添加レベル)。すなわち、任意的なポリマーP1は脱水の45秒前または15秒前に添加され、カチオン性多糖は脱水の25秒前または10秒前に添加され、ポリマーP2は脱水の5秒前に添加された。
【0072】
ストックへの添加は以下のように行われた。すなわち、第一の添加(0.5kg/tの添加レベル)は脱水の45秒前または15秒前に行われ、第二の添加(5、10または15kg/tの添加レベル)は脱水の25秒前または10秒前に行われ、第三の添加(2kg/tの添加レベル)は脱水の5秒前に行われた。
【0073】
表1は種々の添加時点の場合の脱水効果を示す。添加レベルは乾燥ストック構成物当たりの乾燥生成物として計算され、シリカに基づいた粒子はSiOとして計算され乾燥ストック構成物当たりとされた。
【0074】
試験番号1は何らの添加剤も含まない場合の結果を示す。試験番号2〜7、9〜11および13〜15は比較として使用された方法(参照方法)を示し、試験番号8、12および16は本発明に従う方法を示す。
【表3】

【0075】
本発明に従う方法は、改良された脱水および歩留りをもたらしたことが表3から明らかである。
【実施例4】
【0076】
濾水性能および歩留りは実施例2に従って評価された。実施例2におけるのと同じストックおよび一連の撹拌が使用された。
【0077】
ストックへの添加は以下のように行われた。すなわち、第一の添加(0.5kg/tの添加レベル)は脱水の45秒前または15秒前に行われ、第二の添加(5kg/tの添加レベル)は脱水の25秒前または10秒前に行われ、第三の添加(2kg/tの添加レベル)は脱水の5秒前に行われた。
【0078】
表2は種々の添加時点の場合の脱水効果を示す。添加レベルは乾燥ストック構成物当たりの乾燥生成物として計算され、シリカに基づいた粒子はSiOとして計算され乾燥ストック構成物当たりとされた。
【0079】
試験番号1は何らの添加剤も含まない場合の結果を示す。試験番号2〜4は比較として使用された方法(参照方法)を示し、試験番号5は本発明に従う方法を示す。
【表4】

【0080】
本発明に従う方法は、改良された脱水および歩留りをもたらしたことが表4から明らかである。
【実施例5】
【0081】
濾水性能および歩留りは実施例1に従って評価された。実施例2におけるのと同じ一連の撹拌が使用された。
【0082】
ストックへの添加は以下のように行われた。すなわち、第一のポリマーは脱水の45秒前または15秒前に添加され、第二のポリマーは脱水の25秒前または10秒前に添加され、第三のポリマーは脱水の5秒前に添加された。
【0083】
ストックへの添加は以下のように行われた。すなわち、第一の添加(0.5kg/tの添加レベル)は脱水の45秒前または15秒前に行われ、第二の添加(10kg/tの添加レベル)は脱水の25秒前または10秒前に行われ、第三の添加(0.5+0.1kg/tまたは0.1kg/tの添加レベル)は脱水の5秒前に行われた。
【0084】
試験に使用されたストックは、新聞用紙抄紙機からのTMP75%およびDIP25%の繊維物質ならびに漂白水に基づいていた。ストック濃度は0.78%であった。ストックの導電率は1.4mS/cmでありpHは7.8であった。
【0085】
表3は種々の添加時点の場合の脱水効果を示す。添加レベルは乾燥ストック構成物当たりの乾燥生成物として計算され、シリカに基づいた粒子はSiOとして計算され乾燥ストック構成物当たりとされた。
【0086】
試験番号1は何らの添加剤も含まない場合の結果を示す。試験番号2、3、4および6〜8は比較として使用された方法(参照方法)を示し、試験番号5および9は本発明に従う方法を示す。
【表5】

【0087】
本発明に従う方法は、歩留り挙動がおおよそ同じであると同時に、改良された脱水をもたらしたことが表5から明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) セルロース繊維を含んでいる水性懸濁物を用意する段階、
(ii) 高せん断の全ての場所の後で該懸濁物に
カチオン性多糖、および
アニオン性ポリマーであるポリマーP2
を添加する段階、ならびに
(iii) 得られた懸濁物を脱水して紙を形成する段階
を含む、紙を製造する方法。
【請求項2】
カチオン性ポリマーであるポリマーP1を高せん断の全ての場所の後で懸濁物に添加することを含む、請求項1に従う方法。
【請求項3】
カチオン性多糖がカチオンデンプンである、請求項1または2に従う方法。
【請求項4】
カチオン性多糖が、約0.005〜約1.0の範囲内の置換度(DS)を有する、請求項1〜3のいずれか1項に従う方法。
【請求項5】
カチオン性多糖が、約0.05〜約6.0ミリ当量/gの範囲内のカチオン電荷密度を有する、請求項1〜4のいずれか1項に従う方法。
【請求項6】
カチオン性多糖が、500,000超の分子量を有する、請求項1〜5のいずれか1項に従う方法。
【請求項7】
ポリマーP2が無機ポリマーである、請求項1〜6のいずれか1項に従う方法。
【請求項8】
ポリマーP2が、ケイ酸またはシリケート、に基づいたポリマーである、請求項1〜7のいずれか1項に従う方法。
【請求項9】
ポリマーP2が、シリカに基づいたコロイド状粒子を含んでいる、請求項1〜8のいずれか1項に従う方法。
【請求項10】
ポリマーP2が有機ポリマーである、請求項1〜6のいずれか1項に従う方法。
【請求項11】
ポリマーP2がアクリルアミドに基づいたポリマーである、請求項1〜6および10のいずれか1項に従う方法。
【請求項12】
ポリマーP1が有機ポリマーである、請求項2〜11のいずれか1項に従う方法。
【請求項13】
ポリマーP1が、アクリルアミドに基づいたカチオン性ポリマーである、請求項2〜12のいずれか1項に従う方法。
【請求項14】
ポリマーP1が、少なくとも約500,000の重量平均分子量を有する、請求項2〜13のいずれか1項に従う方法。
【請求項15】
ポリマーP1が無機ポリマーである、請求項2〜11のいずれか1項に従う方法。
【請求項16】
ポリマーP1がポリアルミニウムクロライドである、請求項2〜11および15のいずれか1項に従う方法。

【公表番号】特表2009−522456(P2009−522456A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548467(P2008−548467)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050496
【国際公開番号】WO2007/078245
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】