説明

紙シート用パッケージ

本発明は、印刷または複写用の紙などのシート材用のパッケージに関するものであり、このパッケージにおいて紙シートの束(12)は、連続した保護用包装(2)の中に包まれている。パッケージ(1)は、包装(2)の小さな部分だけをはがすことで、紙シート(12)を用いる機械に実質的に丸ごと束で配置できるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載されているような印刷および複写用紙などの紙シート用パッケージに関するものである。
【0002】
公知の技術において、A4判の複写および印刷用紙などのシート形状で供給される事務用紙は、通常、ダンボール箱に詰められ、各箱には個々の紙の包装材で包装された5つの紙束が入っている。各紙束は、連包装として知られ、500枚のA4判の紙が入っている。通常、販売用の最少の紙シートの束は、上記500枚のシートから成る。このようにして束ねられた紙束による1つの問題として、卓上印刷機、ファックスおよび複写機を使用するとき、紙の量が相対的に多くなることが挙げられる。連包装を開けると、1回で使用できるのはパッケージの半分以下にすぎない。ほとんどの卓上印刷機は、非常に少量しか紙を使用しない。これは、それらの包装を取り除いた紙シートを使用しなかったり、包装による保護がなかったりして時間の経過とともに乾燥し、または特性に変化を生じることを示す。乾燥によって、紙シートにおける静電気が増大し、シートが互いに付着し合う可能性があり、印刷機または他の紙を使用する機械の紙ラインにおいて印刷上の問題または障害が生じる。
【0003】
本発明の目的は、上記の問題を解消し、印刷および複写用紙用に安価で取り扱い易く、卓上印刷機および他の比較的小規模な用途で使用するのに適したパッケージを可能な範囲で達成することである。また、本発明の目的は、部分的に保護包装を残したまま紙シートを使用する機械の内部に配置することができ、機械内における乾燥およびその他の特性の変化から紙を保護する印刷および複写用紙用パッケージを実現することである。本発明に記載されているパッケージは、請求項1における特徴部に開示する事項を特徴とする。本発明の他の実施例は、他の請求項に開示する事項を特徴とする。
【0004】
本発明による方式の利点は、パッケージが非常に安価で迅速に生産できることである。他の利点は、パッケージ材料が高破裂耐性および引き裂き抵抗を有し、パッケージがその中の紙シートを機械の圧力から保護することである。さらなる利点は、パッケージ材料がリールで使用可能であるので、消費量を最小限にすることである。他の利点は、包装が非常に少量しか、または全くプラスチックを使わないので、環境にやさしく安価に再利用できることである。他の利点は、別個のプラスチック層がないにもかかわらず、包装紙が湿気に対して非常に抵抗力があることである。他の利点は、包装が少なくとも一つ開包用ストリップを備えて、包装の開包がより容易になることである。他の利点は、用紙の量が家庭用に適切であり、湿気を寄せつけない保護包装を部分的に伴ったままの状態で、パッケージを丸ごと印刷機または複写機の中に配置できることである。これによって、紙シートを徐々に使用しても、紙シートが容易に乾燥しすぎることはなく、また他の特性が急速に変化することはない。本発明による方式のさらなる利点は、紙を使用する機械で紙シートを導く簡単に壊れ易い部分のいくつかをなくすことができ、これによって機械は、公知の小規模な印刷機および複写機よりも手頃で、扱いやすく、信頼でき、なおかつ維持管理不要になることである。
【0005】
以下に、本発明を、添付図面を参照して、適用例を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】は、本発明によるパッケージの側面からの斜視図である。
【図2】は、図1によるパッケージの一方の端部が開包用ストリップから前に取り出されたときの斜視図である。
【図3】は、本発明による保護包装用の代表的な層構造の簡略化拡大図である。
【図4】は、本発明による保護包装用の他の層構造の簡略化拡大図である。
【図5】は、本発明による保護包装用の第3の層構造の簡略化拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1および図2は、本発明による用紙パッケージ1を表し、500枚の通常の連包装よりも少ない量のA4判の用紙を含む。用紙の枚数は、たとえばおおよそ100〜400枚、ふさわしくはたとえば200〜300枚、好ましくはたとえば250枚でよく、それは500枚からなる連包装を生産する場合に設定が簡単な量である。紙シート12は、強い保護包装によって作られたパッケージ1の内部に包装される。パッケージは、リールベース包装2によって作られ、その包装2はパッケージ1を生産する間に直接リールに巻きつけられ、適当な長さに切断され、その後、包装2はたとえば紙シート12の周りに巻きつけられて、パッケージの上部、底部および両側の長側面が1つの連続する包装体を形成し、包装2の後端部8は包装の前端部7と適切な量だけ重ねられて、その内側が前端部7の外側に貼り付けられる。包装2の隠れた前端部7は破線を用いて示される。包装2の後端部8は、集合パッケージの上面、実質的にその長い隅部付近に適切に配置される。パッケージ1の各端部において、少なくとも外折部3および4と内折部5および6がある。それらの折部は、少なくとも部分的に重なるように配置され、ともに適切に貼り付けられる。端部の折部は、小さな事故でも複数枚のシート紙を容易に損傷しかねないパッケージ内の事務用シート紙の端部の保護を強化する役割をしている。
【0008】
また、図1には、破線で開包用ストリップ10が示されているが、これは包装を切断する前に包装2の内側に貼り付けられる。したがって、開包用ストリップ10は、実質的に包装2と同じ長さ、またはそれよりも適切な程度長くする。開包用ストリップ10は集合パッケージ1の端部から適切な水平距離に配置される。適切な距離とはたとえば、包装2が開包された後、印刷機または複写機が一番上のシートの端部13をよく捕らえることができるようパッケージ1にあるシート紙12の端部13から十分に視認できるよう離れた距離である。シートの残りの部分は、包装の大部分で保護された状態である。
【0009】
開包用ストリップ10の端部において、包装2の端部8に沿って、包装の縁が切り開かれ、開包用ストリップ10の各側に開包用ストリップ10に沿って長手方向に適切な長さの切り込み11が設けられる。これによって、開包用ストリップ10の端部が掴み易くなり、包装2をシート紙12の位置に対して横方向にちょうどパッケージ1の周りだけ引き裂いて開けることができる。開包用ストリップ10の材料はさまざまなものにすることができるが、必ず十分な強度があり、かつ実質的に弾性がないか、わずかに弾性があるものにする。
【0010】
図2は、図1によるパッケージ1を示し、開包用ストリップ10で開包される。ここで、開包用ストリップ10は引き裂いて開けられ、包装2の一端は、パッケージ1の包装2の部分2aを除いてはがされ、パッケージのほとんどすべてを包んでいる部分2aは、印刷または複写中における湿気および他の変化から紙シート12を保護することができるように設計されている。したがって、一端が開いているパッケージ1は包装の残りの部分2aの内部に含まれている単一のパイルまたは束として機械の内部に運ばれるよう設計されている。
【0011】
本発明による包装2は、保護、破裂強度、引き裂き抵抗、重力および印刷適正に関する一定の必要条件を満たさなければならない。さらに、包装2は湿気からパッケージの中身を守らなければならない。したがって、包装2の材料は、たとえば紙から成る基層15のように形成することができ、抄紙機の被膜加工部にてオンライン被膜を介した工程中に付加物がそれに付加される。付加物は、湿気の吸収を遅らせるプラスチック、ポリマ混合物または同様に適切な材料16から成り、ISO標準 2528:1995に従って計算された包装2の水蒸気透過率(WVTR)が約50g/m2/d、好ましくは最大で30g/m2/d、有利には最大で10g/m2/dより小さい適切な量である。このような紙の生産過程中に加えられるポリマまたはポリマ混合物は、たとえばラテックス混合物およびさまざまな無機混合物である。
【0012】
本発明の実施例の一つによると、パッケージ1を形成する包装2は、なめらかで、より簡単にプラスチックで覆うことができる。この場合において、包装は、別個の押出機を用いてプラスチックのフィルムで少なくとも片側が覆われる。同様にして、いくつかの公知の方式で覆われる。紙の滑らかさのおかげで、以前よりも少量のプラスチックしか用いる必要はない。この目的に適切なプラスチックフィルムとしては、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムおよびポリプロピレン(PP)フィルムが含まれる。
【0013】
本発明のさらなる実施例は、上記の2つの実施例の組合せから成る。この方式において、包装2は、抄紙機のコーティング段階での生産工程でポリマ混合物を付加された紙から成り、その後別個の押出機で紙にプラスチックフィルムが付加される。
【0014】
上記の本発明のそれぞれの実施例において、包装2の様々な層の材質および厚さを選択して、最終的に全体の材料層のうちのプラスチックの総量が包装2の総重量の10%よりも少ない包装になるようにする。好ましくは、プラスチックの総量は、最大で包装2の総重量の約5%である。これにより包装は環境的に優しくより再生し易くなり、再生費用が減少する。
【0015】
図3は、本発明による包装2の1つの層構造を、簡略化して必要な層だけを示す。なお、層の厚さは示さない。包装2の底面は、紙基層15から成る。紙の種類に応じて、紙基層15は、1つ以上の層を持つことができる。簡略のため1つの層のみが図に示される。紙層15の上部には、印刷用インキ層14があり、それは紙層15の表面を少なくとも部分的に覆う。紙層15の反対側においては、オンライン被膜として紙の生産中に付加されたポリマ層、または同様の層16があり、水分の浸入を遅延させる。
【0016】
図4は、図3における同様の構造を示しているが、水分の浸入を遅延させるポリマ層または同様の材料16は、印刷用インク層14および紙層15の間に配置される。したがって、印刷は層16にされ、それは印刷に対して適切でなければならない。さらに、PE、PETまたはPPフィルムなどの実質的に薄いプラスチックフィルム17は、押出機で包装2に付加される。
【0017】
図5は、本発明による第3の包装2の層構造を示し、簡略化して必要な層だけを示す。なお、層の厚さは示さない。層構造は図3におけるものと同様である。この構造において、表層18は紙基層15の上部に付加され、その表層は熱または超音波を用いて溶かすことができる。この場合、別個の接着剤を用いないで、通常接着されるすべての合わせ目を熱シーリングまたは超音波によって作ることができる。印刷用インク層14は、溶かそうとする合わせ目に重ねる必要はない。
【0018】
包装2の層化および、特に厚さを利用して、パッケージ1の中の紙の束が外からの打撃および衝撃に対する抵抗の程度を調整することができる。少なくとも包装2の厚さは、包装の重量が60〜250 g/m2の範囲内になるようにする必要がある。包装材料に応じて、適した厚さの範囲は、重量で表すと、80〜160 g/m2である。また、この厚さは、重量が120〜150 g/m2になるようにすることもできる。
【0019】
当業者にとって明らかであるように、本発明は上記の例に限られず、下記の特許請求の範囲内で変形できる。保護用包装は、パッケージ生産用リールから取り出す必要はなく、裁断済みのシートでもよい。
【0020】
さらに、当業者にとって明らかであるように、パッケージの周りの保護用包装の包装には多くの方法があり、同様にパッケージの端にある折部を接着することができる。
【0021】
さらに、当業者にとって明らかであるように、包装の代わりに上記で述べた以外の他の保護用構造を用いることができる。たとえば、不織布または他の同様の薄膜状の保護用材料を、本発明による方式において用いることができる。
【0022】
また、当業者にとって明らかであるように、包装用材料は、必ずしもプラスチックを含むものでなく、その場合は、包装用材料が適切に疎水性となる物質を、たとえば紙の生産時に紙基層に付加すればよい。
【0023】
さらに、当業者にとって明らかであるように、紙シートの大きさを上記のA4判とは異なるものにできる。紙シートはA4のシートよりも大きく、小さくまたは異なる形にすることができる。
【0024】
さらに、当業者にとって明らかであるように、パッケージの中の紙シートの枚数を、提示した量である100〜400枚または約250枚のいずれとも変えてよい。枚数は、リームラップの枚数(約500枚)よりも多く、少なくまたは同じにすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した保護包装(2)の内側に紙シート(12)の集合が配置された印刷用または複写用を対象とした紙などのシート材用パッケージ(1)において、該パッケージ(1)は、前記包装(2)の実質的に小さな部分だけをはがすことで、実質的に一束として前記紙シート(12)を用いる機械に配置できるように設計されていることを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージ(1)において、該パッケージ(1)は、前記紙シートの位置に対して横方向に該パッケージを囲む開包用ストリップ(10)を含み、該開包用ストリップ(10)は前記パッケージ(1)の一端付近に配置され、前記包装(2)の一端をはがすことで、前記紙シート(12)は、紙を用いる前記機械の紙トレイに一束ごとに運ぶことができるように設計されていることを特徴とするパッケージ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパッケージ(1)において、前記包装(2)の実質的に大部分(2a)が前記紙シート(12)と共に前記機械に配置されることを特徴とするパッケージ。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載のパッケージ(1)において、該パッケージ(1)は約200〜300枚、好ましくは約250枚のシートを含むことを特徴とするパッケージ。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載のパッケージ(1)において、前記包装(2)の水蒸気透過率(WVTR)は、ISO標準 2528:1995に従って計算したとき、約50 g/m2/d、好ましくは最大で約30 g/m2/d、有利には最大で約10 g/m2/dであることを特徴とするパッケージ。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載のパッケージ(1)において、前記包装(2)の総重量の最大約10%、有利には最大約5%がプラスチックから成ることを特徴とするパッケージ。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載のパッケージ(1)において、水分の浸透を遅らせるプラスチック、ポリマ混合物または他の同様の材料を、抄紙機の前記包装(2)の生産工程中にオンライン方式で前記包装(2)に付加することを特徴とするパッケージ。
【請求項8】
請求項2ないし6に記載のパッケージ(1)において、該パッケージ(1)の前記保護包装(2)を形成する包装は、該パッケージ(1)を包装する際、直接リールから取り出され、該パッケージ(1)の長側面の周りを少なくとも1周することを特徴とするパッケージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−509147(P2010−509147A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535761(P2009−535761)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050603
【国際公開番号】WO2008/056037
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(500530823)ユーピーエム−キンメネ コーポレイション (7)
【氏名又は名称原語表記】UPM−KYMMENE CORPORATION
【Fターム(参考)】